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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】振動装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20220705BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20220705BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
G06F3/01 560
G06F3/041 480
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022521025
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(86)【国際出願番号】 JP2021023530
(87)【国際公開番号】W WO2021261470
(87)【国際公開日】2021-12-30
【審査請求日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2020107755
(32)【優先日】2020-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】大寺 昭三
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-71451(JP,A)
【文献】国際公開第2016/027667(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/079339(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
G06F 3/01
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体と、電子機器の操作のためにユーザの身体の一部が接触する操作対象物と、を備えている前記電子機器に用いられる振動装置であって、
前記電子機器本体に固定され、かつ、平板形状を有している固定部と、
前記操作対象物に固定され、かつ、平板形状を有している振動部であって、前記固定部の法線方向に見て、前記固定部の周囲に配置されている振動部と、
前記振動部と前記固定部とを連結している連結部であって、前記連結部が弾性変形することにより前記振動部が前記固定部に対して前記固定部の法線方向に直交する直交方向に変位する、連結部と、
前記振動部及び前記固定部に固定されている振動フィルムであって、電気信号が前記振動フィルムに加えられることにより前記振動部を前記固定部に対して前記直交方向に振動させる振動フィルムと、
を備えている、
振動装置。
【請求項2】
前記振動部は、前記固定部の法線方向に見て、前記固定部の一部を囲んでおり、
前記固定部は、前記固定部の法線方向に見て、前記振動部により囲まれている包囲領域内に配置されている固定部本体部と、前記固定部の法線方向に見て、前記包囲領域から突出している固定部突出部と、を含んでおり、
前記振動フィルムは、前記固定部本体部に固定されており、
前記固定部突出部は、前記電子機器本体に固定される、
請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記固定部、前記振動部及び前記連結部は、1枚の金属板により形成されている、
請求項1又は請求項2に記載の振動装置。
【請求項4】
電子機器本体と、
電子機器の操作のためにユーザの身体の一部が接触する操作対象物と、
振動装置と、
を備えており、
前記振動装置は、
前記電子機器本体に固定され、かつ、平板形状を有している固定部と、
前記操作対象物に固定され、かつ、平板形状を有している振動部であって、前記固定部の法線方向に見て、前記固定部の周囲に配置されている振動部と、
前記振動部と前記固定部とを連結している連結部であって、前記連結部が弾性変形することにより前記振動部が前記固定部に対して前記固定部の法線方向に直交する直交方向に変位する、連結部と、
前記振動部及び前記固定部に固定されている振動フィルムであって、電気信号が前記振動フィルムに加えられることにより前記振動部を前記固定部に対して前記直交方向に振動させる振動フィルムと、
を備えている、
電子機器。
【請求項5】
前記振動部は、前記固定部の法線方向に見て、前記固定部の一部を囲んでおり、
前記固定部は、前記固定部の法線方向に見て、前記振動部により囲まれている包囲領域内に配置されている固定部本体部と、前記固定部の法線方向に見て、前記包囲領域から突出している固定部突出部と、を含んでおり、
前記振動フィルムは、前記固定部本体部に固定されており、
前記固定部突出部は、前記電子機器本体に固定されている、
請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器本体は、前記固定部の法線方向に見て、前記操作対象物の少なくとも一部を囲んでおり、
前記操作対象物は、前記固定部の法線方向に見て、前記振動部の少なくとも一部及び前記固定部本体部の少なくとも一部と重なっている、
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記固定部、前記振動部及び前記連結部は、1枚の金属板により形成されている、
請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動を生じさせる振動装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル等の入力機器において、利用者が押し込み操作を行った際にユーザに振動を伝えることで、ユーザが押し込み操作を行ったことをユーザに実感させる触覚提示装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧電フィルムを用いて触覚フィードバックをユーザに与える触覚提示装置が提案されている。圧電フィルムは、電圧が加えられることにより、圧電フィルムが広がる方向(面方向)に伸縮する。圧電フィルムが面方向に伸縮すると、圧電フィルムに接続された振動部が面方向に振動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開2019/013164号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の触覚提示装置において、振動をより効率的にユーザに伝達したいという要望が存在する。
【0006】
そこで、本発明の目的は、振動をより効率的にユーザに伝達できる振動装置及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る振動装置は、
電子機器本体と、電子機器の操作のためにユーザの身体の一部が接触する操作対象物と、を備えている前記電子機器に用いられる振動装置であって、
前記電子機器本体に固定され、かつ、平板形状を有している固定部と、
前記操作対象物に固定され、かつ、平板形状を有している振動部であって、前記固定部の法線方向に見て、前記固定部の周囲に配置されている振動部と、
前記振動部と前記固定部とを連結している連結部であって、前記連結部が弾性変形することにより前記振動部が前記固定部に対して前記固定部の法線方向に直交する直交方向に変位する、連結部と、
前記振動部及び前記固定部に固定されている振動フィルムであって、電気信号が前記振動フィルムに加えられることにより前記振動部を前記固定部に対して前記直交方向に振動させる振動フィルムと、
を備えている。
【0008】
本発明の一形態に係る電子機器は、
電子機器本体と、
電子機器の操作のためにユーザの身体の一部が接触する操作対象物と、
振動装置と、
を備えており、
前記振動装置は、
前記電子機器本体に固定され、かつ、平板形状を有している固定部と、
前記操作対象物に固定され、かつ、平板形状を有している振動部であって、前記固定部の法線方向に見て、前記固定部の周囲に配置されている振動部と、
前記振動部と前記固定部とを連結している連結部であって、前記連結部が弾性変形することにより前記振動部が前記固定部に対して前記固定部の法線方向に直交する直交方向に変位する、連結部と、
前記振動部及び前記固定部に固定されている振動フィルムであって、電気信号が前記振動フィルムに加えられることにより前記振動部を前記固定部に対して前記直交方向に振動させる振動フィルムと、
を備えている。
【0009】
本明細書において、前後方向に延びる軸や部材は、必ずしも前後方向と平行である軸や部材だけを示すものではない。前後方向に延びる軸や部材とは、前後方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。同様に、上下方向に延びる軸や部材とは、上下方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。左右方向に延びる軸や部材とは、左右方向に対して±45°の範囲で傾斜している軸や部材のことである。
【0010】
以下では、第1部材、第2部材及び第3部材とは、電子機器及び振動装置が備えている構造物である。本明細書において、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている(すなわち、固定又は保持されている)場合、及び、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含む。また、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0011】
本明細書において、前後方向に並ぶ第1部材及び第2部材とは、以下の状態を示す。前後方向に垂直な方向に第1部材及び第2部材を見たときに、第1部材及び第2部材の両方が前後方向を示す任意の直線上に配置されている状態である。本明細書において、上下方向に見たときに前後方向に並ぶ第1部材及び第2部材とは、以下の状態を示す。上下方向に第1部材及び第2部材を見たときに、第1部材及び第2部材の両方が前後方向を示す任意の直線上に配置されている。この場合、上下方向とは異なる左右方向から第1部材及び第2部材を見ると、第1部材及び第2部材のいずれか一方が前後方向を示す任意の直線上に配置されていなくてもよい。なお、第1部材と第2部材とが接触していてもよい。第1部材と第2部材とが離れていてもよい。第1部材と第2部材との間に第3部材が存在していてもよい。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0012】
本明細書において、第1部材が第2部材の前に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材の一部は、第2部材が前方向に平行移動するときに通過する領域内に配置されている。よって、第1部材は、第2部材が前方向に平行移動するときに通過する領域内に収まっていてもよいし、第2部材が前方向に平行移動するときに通過する領域から突出していてもよい。この場合、第1部材及び第2部材は、前後方向に並んでいる。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0013】
本明細書において、左右方向に見たときに、第1部材が第2部材の前に配置されるとは、以下の状態を指す。左右方向に見たときに、第1部材と第2部材が前後方向に並んでおり、かつ、左右方向に見たときに、第1部材の第2部材と対向する部分が、第2部材の前に配置される。この定義において、第1部材と第2部材は、3次元では、前後方向に並んでいなくてもよい。この定義は、前後方向以外の方向も適用される。
【0014】
本明細書において、第1部材が第2部材より前に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材は、第2部材の前端を通り前後方向に直交する平面の前に配置される。この場合、第1部材及び第2部材は、前後方向に並んでいてもよく、並んでいなくてもよい。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0015】
本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、振動をより効率的にユーザに伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、振動装置20を備える電子機器1の分解斜視図である。
図2図2は、図1のA-Aにおける断面図である。
図3図3は、振動装置20の上面図である。
図4図4は、振動装置20の斜視図である。
図5図5は、振動装置20の斜視図である。
図6図6は、振動装置20aを備える電子機器1aの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[振動装置の構造]
以下に、本発明の一実施形態に係る振動装置20の構造について図面を参照しながら説明する。図1は、振動装置20を備える電子機器1の分解斜視図である。図2は、図1のA-Aにおける断面図である。図3は、振動装置20の上面図である。図4及び図5は、振動装置20の斜視図である。
【0019】
また、本明細書において、方向を以下のように定義する。平板形状を有する固定部22(図3参照)の法線方向を上下方向と定義する。また、振動装置20は、上下方向に見て、長方形状を有している。振動装置20の長辺が延びる方向を左右方向と定義する。振動装置20の短辺が延びる方向を前後方向と定義する。上下方向、左右方向及び前後方向は、互いに直交している。なお、本明細書における方向の定義は、一例である。従って、電子機器1及び振動装置20の実使用時における方向と本明細書における方向とが一致している必要はない。また、図1において上下方向が反転してもよい。同様に、図1において左右方向が反転してもよい。図1において前後方向が反転してもよい。
【0020】
電子機器1は、例えば、パーソナルコンピュータである。図1では、パーソナルコンピュータのタッチパッド型の入力装置近傍を図示した。電子機器1は、図1及び図2に示すように、電子機器本体2、操作対象物4、電子機器本体6、クッション材8、接着部材10a,10b、スペーサ12a~12d、ねじ14a~14d,16及び駆動回路50(図2参照)を備えている。
【0021】
操作対象物4は、電子機器1の操作のためにユーザの身体の一部が接触する部材である。ユーザの身体の一部は、例えば、指である。操作対象物4は、タッチパッド型の入力装置である。操作対象物4は、平板形状を有している。操作対象物4は、上下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。ただし、操作対象物4の形状は、長方形状に限らない。ユーザは、操作対象物4を触ったり、操作対象物4を下方向に押したりすることにより、電子機器1の操作を行うことができる。
【0022】
電子機器本体2は、電子機器1のパームレストである。パームレストとは、ユーザがキーボードやタッチパッド型の入力装置を操作する際に、ユーザの掌が接触する部分である。電子機器本体2は、操作対象物4の上に配置されている。電子機器本体2は、平板形状を有している。電子機器本体2には、上下方向に見て、左右方向に延びる長方形状の開口Op1が設けられている。開口Op1は、上下方向に見て、操作対象物4と重なっている。開口Op1の長辺の長さは、操作対象物4の長辺の長さより僅かに短い。開口Op1の短辺の長さは、操作対象物4の短辺の長さより僅かに短い。そのため、操作対象物4の一部が、開口Op1を介して、電子機器本体2から露出している。電子機器本体2は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)により作製される。ただし、電子機器本体2は、例えば、樹脂により作製されていてもよい。
【0023】
電子機器本体6は、後述する振動装置20のホルダーである。従って、電子機器本体6は、振動装置20を支持している。電子機器本体6は、操作対象物4の下に配置されている。電子機器本体6は、平板形状を有している。電子機器本体6は、上下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。電子機器本体6には、上下方向に見て、左右方向に延びる長方形状の開口Op2が設けられている。開口Op2は、上下方向に見て、操作対象物4と重なっている。開口Op2の長辺の長さは、操作対象物4の長辺の長さより僅かに短い。開口Op2の短辺の長さは、操作対象物4の短辺の長さより僅かに短い。そのため、操作対象物4は、上下方向に見て、開口Op2から上下方向及び左右方向にはみ出している。これにより、電子機器本体6は、上下方向(固定部22の法線方向)に見て、操作対象物4の少なくとも一部を囲んでいる。電子機器本体6は、例えば、SUS(Steel Use Stainless)により作製される。
【0024】
クッション材8は、電子機器本体6の上主面に設けられている。従って、クッション材8は、操作対象物4の下に配置されている。クッション材8は、上下方向に見て、開口Op2の外縁に沿う形状を有している。従って、クッション材8は、上下方向に見て、長方形状の枠形状を有している。ただし、クッション材8の右辺の中央付近が切り欠かれている。また、クッション材8は、上下方向に見て、操作対象物4の外縁部と重なっている。操作対象物4は、クッション材8を介して、電子機器本体6上に載置されている。クッション材8は、例えば、粘着剤である。クッション材8は、クッション材8が外力を受けた時に変形しやすい材料により作成されている。これにより、操作対象物4は、電子機器本体6に対して強く拘束されず、振動し易い状態で電子機器本体6に固定されている。
【0025】
スペーサ12a~12dは、電子機器本体2と電子機器本体6との上下方向の距離を一定に保つための部材である。スペーサ12a~12dは、上下方向に延びる中心軸を有する円柱形状を有している。スペーサ12aは、上下方向に見て、電子機器本体2,6の左前の角部に配置されている。スペーサ12bは、上下方向に見て、電子機器本体2,6の左後の角部に配置されている。スペーサ12cは、上下方向に見て、電子機器本体2,6の右前の角部に配置されている。スペーサ12dは、上下方向に見て、電子機器本体2,6の右後の角部に配置されている。
【0026】
ねじ14aは、電子機器本体2、電子機器本体6及びスペーサ12aを固定している。ねじ14bは、電子機器本体2、電子機器本体6及びスペーサ12bを固定している。ねじ14cは、電子機器本体2、電子機器本体6及びスペーサ12cを固定している。ねじ14dは、電子機器本体2、電子機器本体6及びスペーサ12dを固定している。
【0027】
振動装置20は、電子機器1に用いられる。振動装置20は、操作対象物4を振動させる。そこで、振動装置20は、操作対象物4の下に配置されている。そして、振動装置20は、操作対象物4に固定されている。振動装置20は、図3ないし図5に示すように、固定部22、振動部24、振動フィルム26及び連結部28a,28bを備えている。
【0028】
固定部22は、電子機器本体6に固定され、かつ、平板形状を有している。従って、固定部22は、上主面及び下主面を有している。固定部22は、T字形状を有している。具体的には、固定部22は、固定部本体部222及び固定部突出部224を含んでいる。固定部本体部222は、上下方向に見て、前後方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。固定部突出部224は、上下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。固定部突出部224の左端は、固定部本体部222の前後方向の中央に接続されている。
【0029】
固定部突出部224は、電子機器本体6に固定されている。具体的には、固定部突出部224は、ねじ16により電子機器本体6に固定される。なお、固定部突出部224の固定には、ねじ16の代わりに両面テープが用いられてもよい。
【0030】
振動部24は、平板形状を有している。従って、振動部24は、上主面及び下主面を有している。振動部24は、上下方向(固定部22の法線方向)に見て、固定部22の周囲に配置されている。より詳細には、振動部24は、上下方向(固定部22の法線方向)に見て、固定部22の一部を囲んでいる。本明細書において、「振動部24が固定部22の一部を囲んでいる」とは、振動部24が、固定部22の一部の周囲を周回していることである。ただし、振動部24は、枠形状を有していてもよいし、枠形状の一部が切り欠かれた形状を有していてもよい。本実施形態では、振動部24は、長方形状の枠形状の一部が切り欠かれた形状を有している。振動部24の右辺の中央付近が切り欠かれている。以下では、振動部24により囲まれている領域を包囲領域A1と定義する。
【0031】
固定部本体部222は、上下方向(固定部22の法線方向)に見て、包囲領域A1内に配置されている。固定部本体部222は、包囲領域A1の右端部に配置されている。ただし、固定部本体部222は、振動部24と接触していない。固定部突出部224は、上下方向(固定部22の法線方向)に見て、包囲領域A1から突出している。固定部突出部224は、振動部24の右辺の中央付近に設けられた切り欠きを左右方向に通過している。ただし、固定部突出部224は、振動部24と接触していない。
【0032】
振動部24は、操作対象物4に固定されている。具体的には、接着部材10a,10bは、振動部24の上主面に設けられている。接着部材10aは、振動部24の前辺に沿って左右方向に延びている。接着部材10bは、振動部24の後辺に沿って左右方向に延びている。接着部材10a,10bは、操作対象物4の下主面に貼り付けられる。これにより、振動部24は、操作対象物4に固定されている。その結果、操作対象物4は、上下方向(固定部22の法線方向)に見て、振動部24の少なくとも一部及び固定部本体部222の少なくとも一部と重なっている。接着部材10a,10bは、例えば、両面テープである。
【0033】
連結部28a,28bは、振動部24と固定部22とを連結している。連結部28a,28bが弾性変形することにより振動部24が固定部22に対して左右方向(固定部22の法線方向に直交する直交方向)に変位する。より詳細には、連結部28a,28bは、上下方向に見て、包囲領域A1内に配置されている。連結部28aは、前後方向に延びる線形状を有している。連結部28aの前端は、振動部24の前辺の右端部に接続されている。連結部28aの後端は、振動部24の左端部に接続されている。連結部28bは、前後方向に延びる線形状を有している。連結部28bの後端は、振動部24の後辺の右端部に接続されている。連結部28aの前端は、振動部24の左端部に接続されている。連結部28a,28bの線幅は細い。従って、連結部28a,28bは、容易に弾性変形できる。これにより、振動部24は、固定部22に対して左右方向に変位できる。
【0034】
以上のような固定部22、振動部24及び連結部28a,28bは、1枚の金属板により形成されている。また、金属板は、ポリイミド等の樹脂によりコーティングされていてもよい。これにより、金属板に絶縁処理が施される。ただし、固定部22、振動部24及び連結部28a,28bは、単一の部材であれば、金属以外の材料(例えば、アクリル樹脂、PET、ポリカーボネイト、ガラスエポキシ、FRP、金属、又はガラス等)により作製された部材であってもよい。
【0035】
振動フィルム26は、振動部24及び固定部22に固定されている。振動フィルム26は、電気信号が加えられることにより振動部24を固定部22に対して左右方向(直交方向)に振動させる。より詳細には、振動フィルム26は、上主面及び下主面を有している。振動フィルム26は、上下方向に見て、左右方向に延びる長辺を有する長方形状を有している。振動フィルム26は、固定部22及び振動部24の下に配置されている。振動フィルム26は、固定部本体部222に固定されている。具体的には、振動フィルム26の上主面の右端部は、両面テープ30aにより固定部本体部222の下主面に固定されている。振動フィルム26の上主面の左端部は、両面テープ30bにより振動部24の左辺の下主面に固定されている。このとき、固定部本体部222が左方向に振動フィルム26により引っ張られ、かつ、振動部24の左辺が右方向に振動フィルム26により引っ張られるように、振動フィルム26が固定部本体部222と振動部24の左辺との間に張り渡される。従って、振動フィルム26には、振動フィルム26が左右方向に縮むような張力が発生している。
【0036】
振動フィルム26は、所定の周波数で変化する電圧を有する電気信号が加えられると左右方向に振動する。従って、振動フィルム26は、圧電フィルムである。振動フィルム26は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)により作製されたフィルムである。ただし、振動フィルム26は、例えば、キラル高分子により作製されたフィルムであってもよい。キラル高分子は、ポリ乳酸を含む。ポリ乳酸は、L型ポリ乳酸(PLLA)又はD型ポリ乳酸(PDLA)等を含む。
【0037】
また、振動フィルム26の上主面及び振動フィルム26の下主面のそれぞれには、不図示の電極が設けられている。駆動回路50は、振動フィルム26の上主面に設けられている電極及び振動フィルム26の下主面に設けられている電極に電気的に接続されている。駆動回路50は、振動フィルム26の上主面に設けられている電極及び振動フィルム26の下主面に設けられている電極に電気信号を印加する。振動フィルム26は、電気信号に応じて、左右方向に伸縮する。なお、ポリ乳酸は、電気信号の電圧に応じてずり変形する。従って、振動フィルム26にポリ乳酸が用いられた場合、振動フィルム26の延伸方向が左右方向に対して45°±10°程度傾くように、フィルムが裁断される。これにより、振動フィルム26は、左右方向に伸縮することができる。
【0038】
[効果]
振動装置20によれば、振動をより効率的にユーザに伝達できる。より詳細には、固定部22は、電子機器本体6に固定されている。振動部24は、操作対象物4に固定されている。そして、振動フィルム26は、電気信号が振動フィルム26に加えられることにより振動部24を固定部22に対して左右方向に振動させる。これにより、振動部24の振動は、ユーザの身体の一部が接触する操作対象物4に直接に伝達される。その結果、振動装置20によれば、振動をより効率的にユーザに伝達できる。
【0039】
振動装置20によれば、振動をより効率的にユーザに伝達できる。より詳細には、振動部24は、上下方向に見て、固定部22の周囲に配置されている。そのため、振動部24の周囲に固定部22が存在しない。その結果、振動部24の外周部の設計が、固定部22による制約を受けにくい。すなわち、振動部24の設計自由度が高くなる。その結果、振動部24が振動しやすい構造に振動部24を設計することが容易になる。よって、振動装置20によれば、振動をより効率的にユーザに伝達できる。
【0040】
振動装置20によれば、固定部22、振動部24及び連結部28a,28bは、1枚の金属板により形成されている。これにより、1枚の金属板を打ち抜き加工することにより固定部22、振動部24及び連結部28a,28bを形成できる。その結果、固定部22、振動部24及び連結部28a,28bを容易に形成できる。
【0041】
振動装置20によれば、電子機器1の小型化を図ることができる。より詳細には、電子機器本体6は、上下方向に見て、操作対象物4の少なくとも一部を囲んでいる。操作対象物4は、上下方向に見て、振動部24の少なくとも一部及び固定部本体部222の少なくとも一部と重なっている。これにより、振動装置20の大部分は、上下方向に見て、操作対象物4と重なる。その結果、電子機器1の小型化が図られる。
【0042】
(変形例)
以下に、第1の変形例に係る振動装置20aについて図面を参照しながら説明する。図6は、振動装置20aを備える電子機器1aの分解斜視図である。
【0043】
電子機器1aは、操作対象物4の構造、及び、振動装置20aが電子機器本体2に固定されている点において電子機器1と相違する。以下に、これらの相違点を中心に電子機器1aについて説明する。
【0044】
操作対象物4は、ガラス板、タッチパッド型の入力装置及び液晶パネルが上から下へとこの順に重ねられた構造を有する。操作対象物4は、表示機能を有するタッチパッド型の入力装置である。
【0045】
振動装置20aは、電子機器本体2に固定されている。より詳細には、固定部突出部224は、電子機器本体2に固定されている。固定部突出部224は、ねじ16により電子機器本体2に固定される。なお、固定部突出部224の固定には、ねじ16の代わりに両面テープが用いられてもよい。電子機器1aのその他の構造は、電子機器1と同じであるので説明を省略する。
【0046】
固定部突出部224は、上下方向に見て、包囲領域A1から突出している。これにより、固定部突出部224の一部の上又は下には、操作対象物4及び振動部24が存在しなくなる。その結果、固定部突出部224は、電子機器1のように電子機器本体6に固定されることもでき、電子機器1aのように電子機器本体2に固定されることもできる。
【0047】
(その他の実施形態)
本発明に係る振動装置は、上記振動装置20,20aに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。また、振動装置20の構造と振動装置20aの構造とを組み合わせてもよい。
【0048】
なお、振動装置20,20aにおいて、振動部24は、長方形状の枠形状の一部が切り欠かれた形状でなくてもよい。振動部24は、上下方向に見て、固定部22の周囲に配置されていればよい。振動部24は、例えば、前辺及び後辺を有し、左辺及び右辺を有さない構造であってもよい。すなわち、振動部24は、左右方向に延びる2本の長方形状の部材であってもよい。
【0049】
なお、振動装置20,20aにおいて、固定部22、振動部24及び連結部28a,28bは、一つの部材により形成されていなくてもよい。すなわち、固定部22と振動部24とは、ばねやゴム等のような弾性体である連結部28a,28bにより連結されていてもよい。
【0050】
なお、振動装置20,20aにおいて、固定部22は、固定部突出部224を含んでいなくてもよい。この場合、固定部本体部222が電子機器本体2又は電子機器本体6に固定される。
【0051】
なお、振動装置20,20aにおいて、開口Op2は必須の構成要件ではない。例えば、クッション材8の厚さが振動装置20の厚さよりも大きければよい。これにより、ユーザが押圧した際に、振動装置20が電子機器本体6に接触して振動が阻害されない。また、開口Op2が存在しない場合、電子機器1,1aの厚みは大きくなるものの、電子機器1,1aの外部からの熱やノイズ等による振動フィルム26への影響を軽減することができる。
【0052】
なお、振動装置20,20aにおいて、開口Op2の代わりに窪みが設けられていてもよい。窪みが設けられた振動装置20,20aも、開口Op2が設けられた振動装置20,20aと同じ作用効果を奏することができる。また、窪みが設けられた振動装置20,20aにおいても、振動装置20,20aの厚みが小さくなる。
【0053】
振動装置20の内の固定部22を除く部分(長方形の部分)の全体は、上下方向に見て、開口Op2と重なることが好ましい。ユーザが押圧した際に、振動装置20が電子機器本体6に接触して、振動部24の振動が阻害されることが抑制される。
【符号の説明】
【0054】
1,1a:電子機器
2,6:電子機器本体
4:操作対象物
8:クッション材
10a,10b:接着部材
12a~12d:スペーサ
14a~14d,16:ねじ
20,20a:振動装置
22:固定部
24:振動部
26:振動フィルム
28a,28b:連結部
30a,30b:両面テープ
50:駆動回路
222:固定部本体部
224:固定部突出部
A1:包囲領域
Op1,Op2:開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6