(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】電流制御電圧を供給するための構成および方法
(51)【国際特許分類】
G05F 1/56 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
G05F1/56 310T
(21)【出願番号】P 2020531734
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(86)【国際出願番号】 FI2018050942
(87)【国際公開番号】W WO2019122524
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-14
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519361106
【氏名又は名称】タクトテック オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カルナ、ミーッカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘイッキラ、トゥオマス
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-059676(JP,A)
【文献】特開平08-185232(JP,A)
【文献】特開2013-229340(JP,A)
【文献】特表2008-509523(JP,A)
【文献】特開2011-049197(JP,A)
【文献】特開2012-084593(JP,A)
【文献】特開2014-229152(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0190927(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0188487(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷された導電性トレースを含む構成(100、200、300)であって、前記構成は、少なくとも
電圧源(V
supply)と、
少なくとも電流感知増幅器(104)および第1の抵抗(102)を含む測定回路と、
少なくとも第1のトランジスタ(110)および電圧レギュレータ(112)および少なくとも1つのターゲットコンポーネント(106)を含む電圧調整回路と、
を含み、
前記構成は、前記電圧源から発生する電流制御電圧(V
OUT2、V
OUT)を生成するように適用され、前記電流制御電圧は、前記少なくとも1つのターゲットコンポーネントに結合され、前記電流制御電圧は、前記ターゲットコンポーネントを通過している電流(I
R,LED、I
LED)に依存し、
以下の事項を特徴とする、
前記電流感知増幅器は、前記少なくとも1つのターゲットコンポーネントを通過する電流を少なくとも示す電流(I
R,LED)である、前記第1の抵抗を通過する電流を検出するように構成され、前記電流感知増幅器の第1の出力電圧(V
OUT1)は、前記検出された電流に依存しており、前記第1の出力電圧は、前記第1のトランジスタのベースに導かれる前記第1の出力電圧によって前記第1のトランジスタを制御し、
前記測定回路はさらに、前記電圧調整回路を制御して、前記検出された電流に依存する電流制御電圧(V
OUT2)を生成するように構成され、
前記第1のトランジスタは、前記電圧レギュレータの調整電圧(V
adj)を調整することを介して第2の出力電圧を決定する前記第1のトランジスタのインピーダンスによって前記電圧レギュレータの前記電流制御電圧(V
OUT2)を制御する、
構成。
【請求項2】
前記構成は、トランジスタ回路をさらに含み、前記トランジスタ回路は、第2のトランジスタ(224)、第3のトランジスタ(228)、および制御電圧源(V
MCU)を含み、
前記第2のトランジスタは、前記第2のトランジスタのベースに導かれる前記制御電圧源によって生成された電圧により前記制御電圧源によって制御され、
前記第2のトランジスタのコレクタ電流は、前記第3のトランジスタのベースに流され、前記第3のトランジスタのコレクタが、前記少なくとも1つのターゲットコンポーネントに結合され、
前記電圧レギュレータからの前記電流制御電圧は、前記第3のトランジスタのエミッタに導かれている
請求項1に記載の構成。
【請求項3】
前記構成は、前記ターゲットコンポーネントを通過する電流のターゲット値を達成するために、前記生成された電流制御電圧を調整するように構成される、
請求項1又は請求項2に記載の構成。
【請求項4】
前記構成に、チップ上の統合システム(SoC)またはパッケージ上のシステム(SoP)として提供されるか、または、前記構成は、チップ上の統合システム(SoC)またはパッケージ上のシステム(SoP)を少なくとも含む、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の構成。
【請求項5】
前記少なくとも1つのターゲットコンポーネントは、LEDマトリクスを含む、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の構成。
【請求項6】
電流制御電圧を少なくとも1つのターゲットコンポーネント(106)
、LEDの発光コンポーネントに供給するための印刷された電子トレースを伴う方法であって、前記方法は、少なくとも、
ターゲットコンポーネントを提供するステップと、
印刷された導電性トレースを提供するステップと、
電圧源(V
supply)を提供するステップと、
電流感知増幅器(104)および第1の抵抗(102)を含む測定回路を提供するステップと、
電圧レギュレータ(112)および第1のトランジスタ(110)を含む電圧調整回路を提供するステップと、
前記第1の抵抗を介して電流(I
R,LED)を検出するステップであって、前記電流は、前記ターゲットコンポーネントを通過する電流を少なくとも示す、電流(I
R,LED)を検出するステップと
を含む、前記方法であって、
以下のことを特徴とする、
前記ターゲットコンポーネントを通過する電流(I
R,LED、I
LED)に依存する電流制御電圧(V
OUT2、V
OUT)を生成するステップであって、
前記検出された電流に従って前記測定回路の第1の出力電圧(V
OUT1)を設定すること、
前記第1の出力電圧を介して前記第1のトランジスタを制御する
ことと、
前記第1のトランジスタを介して前記電圧レギュレータの調整電圧を調整すること、
前記電圧レギュレータで、前記検出された電流に依存する前記電流制御電圧を生成すること
によって、電流制御電圧(V
OUT2、V
OUT)を生成するステップと、
前記電流制御電圧を前記ターゲットコンポーネントに結合するステップと、
を含む、方法。
【請求項7】
第2のトランジスタ(224)を提供するステップと、
第3のトランジスタ(228)を提供するステップと、
制御電圧源(V
MCU)を提供するステップと、
前記第2のトランジスタを前記制御電圧源によって生成された電圧で、前記第2のトランジスタのベースに前記電圧を導くことによって制御するステップと、
前記第2のトランジスタのコレクタ電流を前記第3のトランジスタのベースに流すステップと、
前記第3のトランジスタのコレクタを前記ターゲットコンポーネントに結合するステップと、
前記電圧レギュレータからの前記電流制御電圧を前記第3のトランジスタのエミッタに結合するステップであって、前記電流制御電圧は、それから、前記少なくとも1つのターゲットコンポーネントに結合され
る出力電圧であると共に、前記第3のトランジスタのコレクタから前記ターゲットコンポーネントへ通過する前記電流に依存する
請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子機器に関する。より具体的には、本発明は、電流制御電圧を供給するための配置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの状況では、コンポーネントに供給される電流を特定の値に設定することが望ましい場合がある。例えば、発光ダイオード(LED)の場合、LED駆動回路は、一般に、所定の電流をLEDに供給するように構成される。
【0003】
電流に依存する特定の機能を持つコンポーネントの場合、コンポーネントに供給される電流を変更することが望ましい場合がある。コンポーネントに供給されている電流を連続的に変更できることが有利である場合がある。前述のLEDの場合、例えば、LEDによって放出された光の輝度または強度の変化が要求されてもよく、その場合、電流が変更されるべきである。
【0004】
LEDを駆動するための一般的な回路、およびLED電流を調整できる回路も、固定電圧で動作する。この電圧は、LEDから放出される放射の最大強度につながる電流でLEDを駆動できるように十分に高くなるように選択される。これらの高電圧での解決は、余分な電圧が回路のどこかで熱に変換されるため、問題があり、好ましくない。また、LEDマトリクスに関しては、過剰な電圧がLEDを制御しているソフトウェアに課題を引き起こす可能性があることも気づかれている。
【0005】
プリンテッド電子機器も広く普及しており、多くの場合、従来のプリント回路基板(PCB)の使用に取って代わる可能性がある。導電性トレースの印刷に使用されるプリンテッド電子機器のインクでは、インクの抵抗率が回路内の電圧損失につながり、従来のPCBの場合よりもプリンテッド電子機器のLEDの駆動がより困難になる。この電圧損失は電流によって変化し、例えばプリンタの不正確さのために考慮に入れることが困難であり、したがってトレースはおそらく均一でさえない可能性がある。調整可能な電流をLEDに供給するように回路を設計する必要がある状況に加えて、回路設計者は、LEDの消費電力が時間とともに変化する可能性があるため、調整不可能な電流のある回路についても前述の電圧損失を計算または推定できる必要がある。印刷されたインク抵抗の影響を推定し、実際にLEDに望ましい電流を供給する回路を設計することは、困難または実際には不可能である場合がある。
【0006】
場合によっては、回路の抵抗が時間とともに変化する可能性があるため、回路は、電流および/または電圧の連続的な調整につながる条件に曝されることがある。例えば、製造中または回路を含む製品の使用中に、材料の伸びやひずみが発生し、時間の経過とともに、一方で、使用中または製造直後ターゲットコンポーネントを流れる変動する電流または予測できない電流により、製品の予期しない動作または望ましくない動作を引き起こす可能性のあるさまざまな抵抗および電圧損失が発生する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、公知の従来技術に関する問題の少なくともいくつかを軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、印刷された導電性トレースを含む構成が提供され、この構成は、少なくとも電圧源および少なくとも1つのターゲットコンポーネント、好ましくはLEDなどの発光コンポーネントを含む。配置は、電圧源から生じる電流制御電圧を生成するように適合され、電流制御電圧は、少なくとも1つのターゲットコンポーネントに結合され、前述の電圧は、ターゲットコンポーネントを通過する電流に依存する。
【0009】
他の一態様によれば、電流制御電圧を少なくとも1つのターゲットコンポーネント、好ましくはLEDなどの発光コンポーネントに供給するための印刷された電子トレースを含む方法が提供される。この方法は、少なくとも、ターゲットコンポーネントを提供するステップ、印刷された導電性トレースを提供するステップ、および電圧源を提供するステップを含む。この方法はさらに、ターゲットコンポーネントを通過している電流に依存する電流制御電圧を生成するステップと、前述の電流制御電圧をターゲットコンポーネントに結合するステップとを含む。
【0010】
本発明の有用性を考慮して、一実施形態によれば、本発明は、ターゲットコンポーネント、任意選択でLEDなどの放射放出半導体素子を、ターゲット電流を生成するのに十分であるが、過度に高くはない電圧で駆動するための配置および方法を提供することができる。これは、過剰な電圧による加熱の影響を低減できるため、有利であり得る。これは、LEDまたは他のそのようなコンポーネントを駆動するために固定された、おそらく過度に高い電圧が使用される従来技術の解決策よりも有利である。
【0011】
さらに、印刷されたインクの抵抗の影響は、本発明の実施形態で効果的に考慮に入れることができる。例えば、LED電流を増やす必要がある場合、印刷インクに関連する電圧損失は、電流の増加に伴って増加する。少なくとも1つのターゲットコンポーネントを通過する電流に依存する少なくとも1つのターゲットコンポーネントに駆動電圧を結合することにより、電流を望ましい値またはターゲット値に設定するか、または結合電圧を、過度に高い電圧を使用する必要がないように、電流にしたがって変化させることができる。そうすることで、例えば、印刷されたインクトレースの抵抗からの回路の電圧損失を考慮に入れることができる。前述の電圧損失を推定または計算する必要がないため、時間とリソースを節約できる。
【0012】
本発明の実施形態では、電流制御電圧は、好ましくは、ターゲットコンポーネントを通過している電流に基づいて、複数の、有利には非ゼロの電圧の間で動的に選択され得る。したがって、選択は、検出された電流に基づいて、複数の(ゼロではない)電圧を含む範囲からなされ得る。
【0013】
場合によっては、コンポーネントを通過する電流に基づいて、ターゲットコンポーネントに供給される電圧を連続的に変更できることが有利な場合がある。本発明の実施形態は、この変化が、電流に発生する変化を考慮に入れるために漸進的に実施され得る解決策を提供し得る。
【0014】
本発明の第1の実施形態では、LED電流(またはLED電流を少なくとも示す電流)は、測定回路で測定され、測定回路の第1の出力電圧は、検出された電流にしたがって設定されてもよく、第1の出力電圧は第1のトランジスタに結合され、第1のトランジスタは電圧レギュレータ回路の調整電圧を制御し、電圧レギュレータ回路は、次いで、少なくとも1つのターゲットコンポーネントに結合される第2の出力電圧を生成する。このような配置により、(LED電流であり得る)測定された電流は、LED駆動電圧を変化させることによって所望の値に設定され得る。
【0015】
本発明の他の1つの第2の実施形態では、トランジスタ回路が使用され、トランジスタのベース電圧は、所定の値に設定され得る制御電圧によって制御される。トランジスタのエミッタ電流は、コレクタ側で少なくとも1つのターゲットコンポーネントおよびエミッタ側で電圧源に結合され得る別のトランジスタのベースに流され得る。したがって、少なくとも1つのターゲットコンポーネントを流れる電流が変化すると、ターゲットコンポーネントに供給される電圧も変化する。ターゲットコンポーネントを通過する電流の変化は、印刷されたインクトレースの抵抗が変化するにつれて変化する可能性があり、例えば、回路の使用中に発生する可能性がある。
【0016】
本明細書に提示される例示的な実施形態では、本発明は、ターゲットコンポーネントとしてのLEDに利用される。しかしながら、本発明は、本明細書に示されるようなフィードバック回路構成で供給される電圧を変更することにより、電流依存電圧および/または電流を特定の値に調整する手段を供給するために使用できることは明らかである。
【0017】
本発明のさまざまな実施形態は、1つまたは複数のターゲットコンポーネントを含む異なるタイプの回路に有利であり得る解決策を提供する。例えば、本発明の一実施形態は、測定回路および電圧レギュレータ回路を利用することができ、この実施形態は、並列に接続され得るLEDなどの1つまたは複数の単一ターゲットコンポーネントの場合に使用するのに便利であり得る。
【0018】
一方、LEDマトリクスを含む回路では、構成の他の実施形態の組み合わせであり得る本発明のさらなる実施形態が利用され得、その結果、この組み合わされた実施形態は、個別に適用することもできるが、それら自体の実施形態よりも有利である。
【0019】
さらなる一実施形態では、上記で開示された2つの実施形態は、LEDマトリクスを含む構成で一緒に使用され得、その場合、測定および電圧調整回路を含む構成の部分は、LEDマトリクス全体に向けられる電圧を測定および調整するように機能し得る。一方、構成の別の部分は、好ましくは、単一のLEDの微調整として役立ち得る電流制御電圧を与えるためのいくつかのトランジスタ回路を含み得る。
【0020】
実施形態の構成は、任意の数の別個の実施形態を部分または部分回路として含むことができ、特に、特に第1の実施形態を1つまたは複数の第2の実施形態と対にして、特に一部の使用シナリオに有利である構成のさらなる実施形態を得ることができることを理解されたい。
【0021】
構成は、別個のコンポーネントとして提供されてもよく、構成は、チップ上の統合システム(SoC)またはパッケージ上のシステム(SoP)として提供されてもよいし、または少なくともそれを含んでもよい。SoCまたはSoPを利用することで得られる可能性のあるメリットは、例えば、高レベルの統合、低電力消費、および/または低スペース要件を提供することである。
【0022】
構成は、使用中に発生する材料の伸張またはひずみなどの環境条件を考慮する方法を提供することができる。この曲げは、電流の望ましくない変化、例えば、材料の伸びによるLEDの輝度の望ましくない変化とそれに続く抵抗の変化を引き起こさないので、構成は曲げの影響を受けやすい製品のライフサイクルを延ばすことができる。例えば、プリンテッド電子機器を含むウェアラブル製品は、ユーザが例えば、製品を押したり、力を加えたりする製品が有用であるように、本発明が有用であると判明する可能性がある用途である。
【0023】
前述の使用中の材料のひずみに加えて、本発明は、製造中に材料のひずみが発生する可能性がある製品の製造における改善を提供することができる。次に、最終製品は、材料の伸縮によって発生する可能性のある抵抗の変化を考慮する必要なしに、1つまたは複数のターゲットコンポーネントにターゲット電流を供給することができる。
【0024】
この本文に提示されている例示的な実施形態は、添付の特許請求の範囲の適用性に制限をもたらすと解釈されるべきではない。この本文では、「含む」という動詞は、引用されていない機能の存在を排除しないオープンな制限として使用されている。従属請求項に記載されている特徴は、特に明記されていない限り、相互に自由に組み合わせることができる。
【0025】
本発明の特徴と考えられる新規の特徴は、特に添付の特許請求の範囲に記載されている。しかしながら、本発明自体は、その構造およびその動作方法の両方に関して、その追加の目的および利点とともに、添付の図面と併せて読むとき、特定の例示的な実施形態の以下の説明から最もよく理解されるであろう。
【0026】
当業者には理解されるように、構成のさまざまな実施形態に関して以前に提示された考慮事項は、必要な変更を加えて方法の実施形態に柔軟に適用でき、逆もまた同様である。
【発明の効果】
【0027】
本発明では、公知の従来技術に関する問題の少なくともいくつかを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による例示的な構成を示す。
【
図2】
図2は、本発明の他の一実施形態による第2の例示的な構成を与える。
【
図3】
図3は、本発明のさらなる実施形態による第3の例示的な構成を与える。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による方法で実行することができるステップを示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態による1つの他の方法で実行され得るさらなるステップを与える。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態によるさらに1つの他の方法で実行され得るさらなるステップを与える。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明を、添付の図面による例示的な実施形態を参照してより詳細に説明する。
【0030】
図1には、例示的な構成100が示されている。構成100の実施形態における導電性トレース、例えば、構成100に含まれる様々なコンポーネントを接続する
図1に線として示されるものは、インクを含む印刷されたトレースであり得る。構成100のトレースの全てのいずれも印刷することができる。例えば、一部のトレースは印刷され、他のトレースはエッチングされる。測定回路は、電流を測定または検出するように構成され、
図1では、測定回路は、少なくとも第1の抵抗102および電流感知増幅器104を含む。第1の抵抗R1 102は、それを通過する電流I
R,LEDを測定する電流感知抵抗として利用されてもよく、電流I
R,LEDは、LED106を通過する電流と同じである(または電流を少なくとも示す)。電流I
R,LEDが通過する可能性のあるコンポーネントは、他の電流駆動デバイスであってもよい。構成100の目的は、ターゲットコンポーネント106を通過する所望の電流を得るため、例えば、LEDなどの放射線放出半導体素子のようなターゲットコンポーネントに、適切な駆動電圧を供給または生成することであり得る。
【0031】
構成100はまた、電圧源、ここでは、電圧調整回路およびターゲットコンポーネント106に電力を供給するために使用され得る第1の電源Vsupplyを含む。Vsupplyは、例えば12Vである。
【0032】
電流IR,LEDは、抵抗R1 102の両端の電圧降下を測定することによって測定されることができ、これは、電流感知増幅器104を介して実行されることができる。電流感知増幅器104は、例えば、テキサスインスツルメンツ社から入手可能なINA199-Q1のようなコモンモードゼロドリフトトポロジー電流感知増幅器であり得る。第1の抵抗102VIN-にわたる電圧降下は、電流感知増幅器104によって電圧VIN+およびVIN-を検出することによって測定され得る。
【0033】
当業者によって理解され得るように、次いで、電流感知増幅器104は、感知された電圧降下(すなわち、電流)に依存する第1の出力電圧V
out1を生成し得る。ここで論じられ、前述の電流感知増幅器を含む種類の典型的に使用される測定回路の場合のように、測定回路は、バイパスコンデンサ108および第2の電源V
supply,2をさらに含むことができる。バイパスコンデンサは、例えば、100nFの静電容量を有し、第2の電源V
supply,2は、例えば、電流感知増幅器104に電力を供給するために利用される5Vの電圧を供給し得る。
図1の実施形態で使用される電流感知増幅器104は、基準ピンREF、接地ピンGND、および供給電圧ピンV
+も含む。
【0034】
次に、この第1の出力電圧V
out1は、電圧調整回路に供給され得る。
図1の実施形態では、電圧調整回路は、少なくとも第1のトランジスタ110および電圧レギュレータ112を含む。電圧V
out1は、電圧レギュレータ112の出力電圧を制御するために利用され得る第1のトランジスタ110に供給され得る。第1のトランジスタ110は、BC857BLT1GなどのPNPバイポーラシリコントランジスタであり得、電圧レギュレータ112は、フローティング出力を有する調整可能な低ドロップアウト(LDO)レギュレータ、例えば、NCV317であり得、これらの両方は、セミコンダクタコンポーネントインダストリーズLLCを通じて入手可能である。電圧レギュレータ112は、ピンV
INを介して電圧源V
supplyによって電力を供給され得る。リニアレギュレータの出力電圧である第2の出力電圧V
out2は、第1の出力電圧V
out1に依存し、したがって、以下で説明するように、電流I
R,LEDに依存する。
【0035】
電圧調整回路は、第2の抵抗R2 114と第3の抵抗R3 116、入力コンデンサ118、および出力コンデンサ120をさらに含むことができる。第2の抵抗R2 114は、当業者には理解されるように、トランジスタ110を制御するために使用できるような電流を供給するために、第1のトランジスタ110のベースに小さな電流を供給するために、第1のトランジスタ110のベースへの電流を制限するように構成できる。
【0036】
第3の抵抗R3 116、入力コンデンサ120、および出力コンデンサ122は、調整可能な電圧レギュレータ112の典型的な回路構成に含まれ得、その出力電圧は、第3の抵抗116、およびこのような典型的な回路では、トランジスタ110の代わりに常駐する調整抵抗によって制御される典型的な回路にあり得る。電圧レギュレータ112を含む例示的な典型的な回路は、例えば、NCV317電圧レギュレータのデータシートに見られ得る。
【0037】
電圧レギュレータ112は、第2の出力電圧Vout2と調整電圧Vadjとの間に、1.25Vなどの固定電圧を維持するように構成され得る。(トランジスタを含まない)従来の使用シナリオでは、第2の出力電圧Vout2は、例えば、可変抵抗を使用することによって、調整抵抗の抵抗を調整することによって調整され得る。
【0038】
賢いことに、
図1の実施形態では、可変抵抗を使用する代わりに、調整電圧V
adj、およびしたがって第2の出力電圧V
out2が、V
out1を介して調整されるそのベース電流の調整を通じて第1のトランジスタ110のインピーダンスを変化させることによって変更される。
【0039】
ターゲットコンポーネント106への電流を増加させる必要がある場合、これは、第2の出力電圧V
out2を増加させることによって達成され得る。したがって、上記および
図1から理解できるように、ターゲットコンポーネント106を通過する電流I
R,LEDは、回路で発生する変動する電圧損失にもかかわらず、所望の値に設定、または一定値に保つことができる。
【0040】
例えば、回路の負荷またはインピーダンスが変化すると、電流IR,LEDが変化することがある。回路材料に生じる変動は、そのような変化、したがって電流の変化を説明し得ることが理解され得る。例えば、回路に含まれる材料の曲げまたは伸張は、電流の前述の変化をもたらし得る。回路の使用に伴って材料が徐々に変化を示すとき、変化は例えば段階的である場合がある。
【0041】
図1の回路構成から、次のことが導き出される。
V
out2-Δ
VOUT2,Vadj-V
eb,1=V
qb,1 (1)
ここで、Δ
VOUT2,VadjはV
out2とV
adjの間の電圧で、ここでは1.25Vであり、V
eb,1は、第1のトランジスタ110のエミッタとベースの間の電圧(この例では0.7Vの飽和電圧が使用されている)であり、V
qb,1は、第1のトランジスタ110のコレクタとベース間の電圧である。
(V
out1-V
qb,1)/R2=I
b,1 (2)
ここで、V
out1-V
b,1は第1のトランジスタ110のベースと第1の出力電圧の間の電圧差、R2は第2の抵抗114の抵抗、I
b,1は第1のトランジスタ110のベースを通過する電流である。この例では、抵抗R2は110kΩになるように選択されている。さらに、
(Δ
VOUT2,Vadj/R3)/H
fe,1=I
b,1 (3)
ここで、R3は第3の抵抗116の抵抗(124Ωとして選択される)であり、H
fe,1は第1のトランジスタ110の電流利得である。式(1)から、
V
out2-1.25V-0.7V=V
qb,1 (4)
→V
out2=V
qb,1+1.95V (5)
そして方程式(2)から、
V
qb,1=V
out1+I
b,1*100kΩ (6)
【0042】
式(5)と式(6)を組み合わせ、式(3)からIbを挿入することにより、
Vout2=Vout1+100kΩ*((1.25V/124Ω)/Hfe,1)+1.95V (7)
=Vout1+1008/Hfe,1+1.95V
【0043】
例としてBC857BLT1Gとしてここで言及されている第1のトランジスタ110のDC電流利得は、この場合、5Vで200Aと見なされ、次のようになる。
Vout2=Vout1+5.04V+1.95V (8)
→Vout2=Vout1+6.99V
【0044】
したがって、式(8)から、第2の出力電圧Vout2は、この例で利用されるコンポーネントを用いて、第1の出力電圧Vout1、および、したがって、検出された電流IR,LEDのみに依存することがわかる。ここで、Vsupply,2に5Vの例示的な値を使用すると、電流IR,LEDがその最大値にある場合、第1の出力電圧Vout1が5Vになり、Vout2が11.99Vに達する可能性がある。これはVout2の理論上の最大値である。実際には、電圧レギュレータで一部の電圧が熱に変換されるため、Vout2は、より小さくなり得る。
【0045】
図2では、第2の構成200が、本発明の他の1つの実施形態にしたがって示されている。ここでも(本発明の全ての実施形態と同様に)、トレースのいずれかまたは全てが印刷されたインクのトレースであり得る。第2の構成200は、LEDであるターゲットコンポーネント106、電圧源V
supply、ならびに、制御電圧V
MCU、第2のトランジスタ224、第4の抵抗R4 226、および第3のトランジスタ228を含むトランジスタ回路を含む。
【0046】
制御電圧VMCUは、BC846BなどのNPNバイポーラシリコントランジスタであり得る第2のトランジスタ224のベースに供給され得る。制御電圧VMCUは、マイクロコントローラユニット(MCU)によって設定され得る。制御電圧VMCUは、例えば、0Vと5Vの間で変化してもよく、制御電圧は、所定の値に設定され得る。
【0047】
第2のトランジスタ224のコレクタ電流は、PNPバイポーラパワートランジスタMJD210であってよい第3のトランジスタ228のベースに流される。第3のトランジスタ228のコレクタ側は、ターゲットコンポーネント106に結合されてもよく、一方で第3のトランジスタ228のエミッタ側は、電圧源VINに結合される。
【0048】
したがって、第3のトランジスタ228のベースに流れる電流は一定であり、(例えば、回路に含まれる材料の抵抗の変化による)電流ILEDの変化は、電圧源VINから引き出される電圧の変化となる。それに応じて、ターゲットコンポーネント106を駆動できる電圧である電圧Voutも変化する。
【0049】
制御電圧の所定の値は、第4の抵抗226の値とともに、ターゲットコンポーネント106を通過することができる最大電流を決定する。
【0050】
図2の回路構成から、第2のトランジスタ224のベースにおける電流I
b,2が、次式より導かれる。
I
b,2=(V
MCU-V
bc,2)/R4 (9)
ここで、V
bc,2は、第2のトランジスタ224のベースとコレクタの間の電圧であり、R4は、第4の抵抗の抵抗である。第2のトランジスタI
c,2を通過する電流は、次式である。
I
c,2=I
b,2*H
fe,2 (10)
ここで、H
fe,2は第2のトランジスタ224の電流利得であり、一方で第3のトランジスタ228のベースのベース電流I
b,3は、次式である。
I
b,3=I
c,2 (11)
【0051】
次に、ターゲットコンポーネント106を通過することができる最大電流ILED,maxは、次式である。
ILED,max=Hfe,3*Ib,3 (12)
【0052】
式(9)、式(10)、式(11)、および式(12)を組み合わせて、次式を得る。
ILED,max=Hfe,3*Hfe,2*(VMCU-V Vbc,2)/R4 (13)
【0053】
ターゲットコンポーネント106に供給されている電圧Voutは、次式である。
Vout=Vf,LED*ILED (14)
ここで、Vf,LEDはLED106の順方向電圧である。したがって、ターゲットコンポーネント106に結合される電流制御電圧が生成される。
【0054】
図2の実施形態は、ハイサイドスイッチなどの他の目的にも使用できることに留意されたい。
【0055】
図3では、本発明のさらなる実施形態による第3の構成300が示されている。第3の構成300は、構成100および第2の構成200の少なくとも一部と、両方の前述の構成の機能の少なくともいくつかとを含む組み合わせ実施形態を構成し得る。
図3の第3の構成300は、
図1の構成100に関連して開示された測定回路および電圧調整回路、さらに
図2の第2の構成200に関連して開示されたトランジスタ回路を含む。
【0056】
図3のコンポーネントおよび部分回路は、以前に開示されたように機能するが、測定回路は現在、ターゲットコンポーネント106を通過している電流ではないがそれを示す電流I
R,LEDを測定するという違いがある。ここで、電圧調整回路は、
図2の第2の構成200と本質的に同等である回路の残りの電圧源として機能する電圧V
OUT2を生成する。次に、第2の構成200に対応する部分回路を使用して、例えば、ターゲットコンポーネント106を通過している電流である電流I
LEDで起こり得る変化を説明するために、電圧V
out2を変化させることができる。
【0057】
さらなる実施形態は、上記で開示された測定回路および電圧調整回路と、それぞれがターゲットコンポーネント106に結合され得る複数のトランジスタ回路とを備え得、その構成は、次いで、複数のターゲットコンポーネント106を含む。これらの実施形態では、電流IR,LEDは、LEDマトリクスに流されている電流であり得る。次に、マトリクス内の各LEDは、ターゲットコンポーネント106のそれぞれを通過している電流であり得る電流ILEDをそれぞれが含むトランジスタ回路に関連付けられ得、したがって、それぞれのターゲットコンポーネント106を流れる電流を微調整する方法を提供する。一実施形態では、LEDマトリクスに関連して使用または必要とされ得るトランジスタ回路の数は、例えば、LEDマトリクスが含むように構成される行および/または列の数に依存し得る。
【0058】
図4は、本発明による方法で行うことができるステップを示している。(少なくとも1つの)ターゲットコンポーネント106が提供され(402)、印刷された導電性トレースが提供され(404)、電圧源V
supply供給が提供される(406)。408では、ターゲットコンポーネント106を流れる電流に依存する電流制御電圧が生成され、一方で410では、生成された電流制御電圧がターゲットコンポーネント106に結合される。
【0059】
図5は、本発明の実施形態による1つの他の方法で行うことができるさらなるステップを示す。502では、測定回路および電圧調整回路が提供される。ステップ504は、測定回路に含まれることになる第1の抵抗102および電流感知増幅器104を提供することを含む。さらに504では、PNPトランジスタなどの第1のトランジスタ110、および電圧レギュレータ112がさらに提供され、電圧レギュレータ回路に含まれる。ターゲットコンポーネント106、印刷された導電性トレース、および電圧源V
supplyを提供するステップは、
図5では省略されている。
【0060】
506で、測定回路を利用することにより電流が検出される。第1の抵抗を通過し、ターゲットコンポーネント106を通過し得る電流IR,LEDは、電流感知増幅器104で検出され、その後、測定回路の第1の出力電圧(ここでは電流感知増幅器104の第1の出力電圧Vout1)は、508で検出された電流にしたがって設定される。
【0061】
ステップ510で、第1の出力電圧V
out1が電圧調整回路に供給される。512において、供給された第1の出力電圧は、第1のトランジスタ110を制御するために使用され、一方、第1のトランジスタ110は、514において、電圧レギュレータ112の調整電圧V
adjを調整するために使用される。516では、第1の出力電圧にしたがって、電圧調整回路の第2の出力電圧(ここでは例示的な実施形態ではV
adjとともに変化するV
out2)が設定(または生成)される。
図1に関連して上で開示されたものによって容易に理解されるように、この第2の出力電圧は、検出された電流に依存し、したがって、ターゲットコンポーネント106に結合される電流制御電圧である。
【0062】
図6では、本発明のさらに他の1つの実施形態で行うことができるさらなるステップが示されている。(
図6では省略されるターゲットコンポーネント106、印刷された導電性トレース、および電圧源V
supplyを提供することに加えて)PNPトランジスタなどの第2のトランジスタ224、NPNトランジスタなどの第3のトランジスタ228、および制御電圧源V
MCUが提供される602。第2のトランジスタ224は、第2のトランジスタのベースを介して制御電圧源で制御される604。606で、第2のトランジスタ224のコレクタから第3のトランジスタ228のベースに電流が流れる。第3のトランジスタ228のコレクタは、ターゲットコンポーネント106に結合され608、一方、610で、第3のトランジスタ228のエミッタは、電圧源に結合される。
【0063】
本発明は、前述の実施形態を参照して上で説明されており、本発明のいくつかの利点が実証されている。本発明がこれらの実施形態に限定されるだけでなく、発明思想の精神および範囲および以下の特許請求の範囲内の全ての可能な実施形態を含むことは明らかである。
【0064】
従属請求項に記載されている機能は、特に明記されていない限り、相互に自由に組み合わせることができる。