(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】回動支持装置並びに情報端末
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20220705BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20220705BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
F16C11/04 F
F16C11/10 A
F16C11/10 E
G09F9/00 312
(21)【出願番号】P 2017200638
(22)【出願日】2017-10-16
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】513014628
【氏名又は名称】株式会社ナチュラレーザ・ワン
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】三浦 文昭
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-038352(JP,A)
【文献】特開2016-205482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/04
F16C 11/10
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸受部と第2軸受部とがヒンジシャフトによって相対回動自在且つ任意の回動角度に停止保持可能に連結され、前記第1軸受部と前記第2軸受部との相対回動角度を切り換える切換手段を備える回動支持装置であって、前記切換手段が、前記第1軸受部側に位置変更可能に配設されるストッパ部材と、前記第2軸受部の外周面に形成される段部と、を備え、前記ストッパ部材が、前記段部と当接して前記第1軸受部上における前記第2軸受部の回動角度を規制する規制位置と、前記段部と非当接で前記第1軸受部上における前記第2軸受部の回動角度の規制を解除する規制解除位置と、に位置変更可能であると共に、前記ストッパ部材が、前記ヒンジシャフトの軸線方向に延びる軸線を中心として回動可能に配設され、さらに前記第1軸受部と前記ストッパ部材との間に、前記ストッパ部材の回動操作にクリック感を付与する相互係合部が設けられていることを特徴とする、回動支持装置。
【請求項2】
前記ストッパ部材が、前記第1軸受部からの延長部に枢支される、請求項1に記載の回動支持装置。
【請求項3】
前記第1軸受部と前記ストッパ部材との間に、前記ストッパ部材の回動操作にクリック感を付与する相互係合部が設けられる、請求項
1に記載の回動支持装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の回動支持装置を、機器本体とディスプレイ装置との間に備える、情報端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばPOS端末のような情報端末の機器本体を構成する被回動部材に対して、例えばディスプレイ装置のような回動部材を回動可能に支持する際に用いて好適な、回動支持装置並びに情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した情報端末は、一般的に、回動部材としてのディスプレイ装置と、このディスプレイ装置の支持台となる被回動部材としての機器本体と、この機器本体に対してディスプレイ装置を回動自在且つ任意の角度で停止保持可能に連結する回動支持装置と、を備える。そして、この回動支持装置は、機器本体側に取り付けられる取付部材と、ディスプレイ装置側に取り付けられる支持部材と、該支持部材を前記取付部材に対して回動可能に連結するヒンジシャフトと、を備えている。
【0003】
また、前記回動支持装置は、取付部材上において支持部材の回動範囲を切り換える切換手段を備えている。この切換手段を操作することで、機器本体に対するディスプレイ装置の回動範囲を、第1の回動範囲と、この第1の回動範囲よりも大きな第2の回動範囲とに切り換えることができる。
【0004】
第1の回動範囲とは、例えば、情報端末の使用者が通常のレジ業務を行う場合(通常時)の回動範囲である。レジ業務の担当者は、ディスプレイ装置の傾斜角度を、第1の回動範囲内において、自身の身長や好みに応じた適宜の傾斜角度に調整することができる。仮にディスプレイ装置の回動範囲を無制限とすれば、レジ業務の担当者がディスプレイ装置の傾斜角度を調整する際に、ディスプレイ装置が必要以上に大きく回動可能となるので、使い勝手が悪かったり、ディスプレイ装置が情報端末の他の部分に接触したりする不都合も考えられる。このため、通常時には、ディスプレイ装置の回動範囲を第1の回動範囲に規制しておくことが好ましい。
【0005】
一方、第2の回動範囲とは、ディスプレイ装置を第1の回動範囲を超えて大きく回動させる場合の回動範囲である。ディスプレイ装置の回動範囲を第2の回動範囲に切り換えると、情報端末のメンテナンス時等の非通常時において、ディスプレイ装置を大きく回動させることができる。よって、メンテナンス時の作業エリアを拡大できて好適である。
【0006】
特許文献1,2,3には、前記切換手段の種々の具体例が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-169901号公報
【文献】特許第5398227号公報
【文献】特許第6138852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、前記特許文献に記載されている切換手段は、構成が複雑なものが多く、コスト上も必ずしも有利であるとは言えない。
【0009】
本発明は、前記従来の技術とは別の構成を採用することにより、構成簡易にしてコスト上も有利な回動支持装置、並びにこの回動支持装置を用いた情報端末を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、請求項1の本発明に係る回動支持装置は、第1軸受部と第2軸受部とがヒンジシャフトによって相対回動自在且つ任意の回動角度に停止保持可能に連結され、前記第1軸受部と前記第2軸受部との相対回動角度を切り換える切換手段を備える回動支持装置であって、前記切換手段が、前記第1軸受部側に位置変更可能に配設されるストッパ部材と、前記第2軸受部の外周面に形成される段部と、を備え、前記ストッパ部材が、前記段部と当接して前記第1軸受部上における前記第2軸受部の回動角度を規制する規制位置と、前記段部と非当接で前記第1軸受部上における前記第2軸受部の回動角度の規制を解除する規制解除位置と、に位置変更可能であると共に、前記ストッパ部材が、前記ヒンジシャフトの軸線方向に延びる軸線を中心として回動可能に配設され、さらに前記第1軸受部と前記ストッパ部材との間に、前記ストッパ部材の回動操作にクリック感を付与する相互係合部が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項1の本発明によれば、ストッパ部材を規制位置に位置させることで、ストッパ部材が第2軸受部の外周面の段部に当接して、第1軸受部上における第2軸受部の回動角度が規制される。一方、ストッパ部材を規制解除位置に位置させると、ストッパ部材と第2軸受部の段部とが非当接となり、第1軸受部上における第2軸受部の回動角度規制が解除される。第2軸受部の外周面に第1軸受部側のストッパ部材と当接する段部を形成するだけでよいので、切換手段の構成がシンプルであり、コスト低減にも貢献できる。
【0014】
請求項2の本発明に係る回動支持装置は、請求項1に記載のものにおいて、前記ストッパ部材が、前記第1軸受部からの延長部に枢支されることを特徴とする。
【0015】
請求項3の本発明に係る回動支持装置は、請求項1に記載のものにおいて、前記第1軸受部と前記ストッパ部材との間に、前記ストッパ部材の回動操作にクリック感を付与する相互係合部が設けられることを特徴とする。
【0016】
請求項4の本発明に係る情報端末は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回動支持装置を、機器本体とディスプレイ装置との間に備えることを特徴する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る回動支持装置を用いた情報端末の側面図である。
【
図2】実施例1の回動支持装置の全体斜視図である。
【
図3】
図2の回動支持装置を前後逆方向から示した全体斜視図である。
【
図5】
図4中の左側の取付部材を前後逆方向から示した斜視図である。
【
図6】
図4中の左側の支持部材の拡大斜視図である。
【
図7】
図4中のヒンジシャフトを左右逆方向から示した斜視図である。
【
図8】実施例1の回動支持装置の前後回動範囲を示す側面図である。
【
図9】
図10の回動支持装置を前側から見た前正面図であり、(a)は、前側可動ストッパ部材の規制位置を示し、(b)は、同規制解除位置を示す。
【
図10】
図3中の左側の回動支持装置の拡大斜視図である。
【
図11】
図10中の前側可動ストッパ部材を異なる方向から示した拡大斜視図である。
【
図12】実施例1における支持部材の各種角度位置への保持状態を示す側面図であり、(a)は前方中間角度位置、(b)は前方最大角度位置、(c)は後方中間角度位置、(d)は後方最大角度位置である。
【
図13】
図10の回動支持装置を後側から見た後正面図であり、(a)は、後側可動ストッパ部材の規制位置を示し、(b)は、同規制解除位置を示す。
【
図14】
図10中の後側可動ストッパ部材を異なる方向から示した拡大斜視図である。
【
図15】実施例3の回動支持装置を斜め後から示した斜視図である。
【
図18】実施例3の回動支持装置の前後回動範囲を示す側面図である。
【
図19】
図15中の左側の回動式ストッパ部材の斜視図である。
【
図23】実施例3における支持部材の後方中間角度位置への規制状態を示す側面図である。
【
図24】実施例3における支持部材の後方最大角度位置への保持状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための最良の形態は、第1軸受部5bと第2軸受部6bとがヒンジシャフト8によって相対回動自在且つ任意の回動角度に停止保持可能に連結され、前記第1軸受部5bと前記第2軸受部6bとの相対回動角度を切り換える切換手段19,31を備える回動支持装置4,30である。この回動支持装置4,30において、前記切換手段19,31は、前記第1軸受部5b側に位置変更可能に配設されるストッパ部材24,32と、前記第2軸受部6bの外周面に形成される段部6gとを備える。そして、前記ストッパ部材24,32が、前記段部6gと当接して前記第1軸受部5b上における前記第2軸受部6bの回動角度を規制する規制位置と、前記段部6gと非当接で前記第1軸受部5b上における前記第2軸受部6bの回動角度の規制を解除する規制解除位置と、に位置変更可能とされる。
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明を情報端末の一例としてのPOS端末に適用した場合について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1において、POS端末1は、回動部材としてのディスプレイ装置2と、このディスプレイ装置2の支持台となる被回動部材としての機器本体3と、この機器本体3に対してディスプレイ装置2を前後回動自在且つ任意の角度で停止保持可能に連結する回動支持装置4と、を備える。この回動支持装置4は、機器本体3の後部上面とディスプレイ装置2の下部後面との間に介装されている。
【0021】
回動支持装置4は、
図2~
図4に示すように、機器本体3側に取り付けられる左右一対の取付部材5,5と、ディスプレイ装置2側に取り付けられる左右一対の支持部材6,6と、左右一対の支持部材6,6を連結する連結部材7と、左右それぞれの取付部材5,5と支持部材6,6とを回動可能に連結する左右一対のヒンジシャフト8,8と、を備える。
図2の例では、取付部材5,5と支持部材6,6とをそれぞれ左右別体のものとして構成してあるが、それらを一体として構成してもよい。また、強度上問題がなければ、単一の取付部材5と、単一の支持部材6と、単一のヒンジシャフト8とで、回動支持装置4を構成することもできる。
【0022】
図2のものにおいて、取付部材5と支持部材6とヒンジシャフト8との相互関係は、左右一対のそれぞれにおいて取付方向が逆になっているのみで、部材の構成及び作用は同じであることから、以下、一方側のみ説明し、他方側については同一の符号を付すに止めて、重複する説明を省略する。
【0023】
図5に示すように、取付部材5は、機器本体3側への取付部5aと、この取付部5aから起立する第1軸受部5bと、この第1軸受部5bの前縁から左右外方(右側の取付部材5にあっては右外方、左側の取付部材5にあっては左外方)へと延びる前側固定ストッパ部5cと、を有する。取付部5aは、取付孔5dを介してボルト(図示しない)により機器本体3に取り付けられる。第1軸受部5bは、ヒンジシャフト8を相対回動不能に支持する。すなわち、第1軸受部5bには略小判形の変形軸受孔5eが形成され、この変形軸受孔5eは、ヒンジシャフト8の後述する大径変形軸部8bを回動不能に受け入れる。前側固定ストッパ部5cは、後で
図12(b)を参照して説明するように、支持部材6の後述する前内側段部6hに当接して、支持部材6の前方への回動角度を前方最大角度に規制する。
【0024】
図6に示すように、支持部材6は、ディスプレイ装置2側への取付部6aと、第2軸受部6bと、この第2軸受部6bと取付部6aとを連結するブラケット6cと、を有する。取付部6aは、
図4に示すように、連結部材7を介して、ボルト(図示しない)によりディスプレイ装置2に取り付けられる。第2軸受部6bには円形軸受孔6dが形成され、この円形軸受孔6dを挟む径方向の互いに対向する位置に、一対の係止孔6e,6eが形成される。この一対の係止孔6e,6eは、後述する第1及び第2回動フリクションワッシャ11,13を係止させるためのものである。
【0025】
また、第2軸受部6bの外周面には、円形軸受孔6dを中心とする円弧に連続させて、係合部としての段部が形成される。この段部は前側段部6fと後側段部6gとを含む。前側段部6fは、円形軸受孔6dに近い前内側段部6hと、円形軸受孔6dから遠い前外側段部6iと、で構成される。前内側段部6hは、後で
図12(b)を参照して説明するように、取付部材5の前側固定ストッパ部5cに上から当接して、支持部材6の前方への回動角度を前方最大角度に規制する。また、前外側段部6iは、後で
図12(a)を参照して説明するように、ストッパ部材としての後述する前側可動ストッパ部材20に上から当接して、支持部材6の前方への回動角度を前方中間角度に規制する。一方、後側段部6gは、後で
図12(c)を参照して説明するように、ストッパ部材としての後述する後側可動ストッパ部材24に上から当接して、支持部材6の後方への回動角度を後方中間角度に規制する。
【0026】
さらに、支持部材6の第2軸受部6bの外周面には、前側段部6fと後側段部6gとの間の位置に、円形軸受孔6dを中心とする円弧から膨出する膨出部6jが形成される。この膨出部6jは、後で
図12(d)を参照して説明するように、取付部材5の前側固定ストッパ部5cに当接して、支持部材6の後方への回動角度を後方最大角度に規制する。
【0027】
図7に示すように、ヒンジシャフト8は、取付部材5の第1軸受部5bに当接する円形のフランジ部8aと、断面が略小判形の大径変形軸部8bと、断面が略小判形の小径変形軸部8cと、この小径変形軸部8cの先端側に形成される雄ねじ溝8dと、を有する。大径変形軸部8bはフランジ部8aの片面中央に一体に形成され、小径変形軸部8cは大径変形軸部8bの中央に一体に形成される。フランジ部8aの片面上における大径変形軸部8bの高さは、取付部材5の第1軸受部5bの厚みと同じである。大径変形軸部8bは、取付部材5の第1軸受部5bの変形軸受孔5eに適合する。
【0028】
図4に示すように、回動支持装置4は、支持部材6を取付部材5に対して任意の角度で停止保持可能とさせる回動制御手段9を備える。この回動制御手段9としては、例えばフリクション式のものを採用することができる。
【0029】
すなわち、
図4に示すように、フリクション式の回動制御手段9は、ヒンジシャフト8上において互いに接触させて配設される第1固定フリクションワッシャ10と第1回動フリクションワッシャ11との組合せで構成される。図示例では、第1固定フリクションワッシャ10と第1回動フリクションワッシャ11との組合せに加えて、第2固定フリクションワッシャ12と第2回動フリクションワッシャ13との組合せも備えている。これは必要十分な大きさのフリクショントルクを得るための工夫に過ぎない。したがって、第1固定フリクションワッシャ10と第1回動フリクションワッシャ11との組合せのみで好ましい大きさのフリクショントルクが得られるのであれば、それだけ備わっていれば十分である。また、必要なフリクショントルクが得られるのであれば、取付部材5と支持部材6とヒンジシャフト8との組合せの内、左右いずれか一方の組合せにのみ回動制御手段9を設けることとしてもよい。
【0030】
なお、回動制御手段9の構成は、図示のものに限定される必要はなく、他の公知の構成のものに代えることもできる。
【0031】
回動制御手段9において、第1及び第2固定フリクションワッシャ10,12は、ヒンジシャフト8の小径変形軸部8cに適合する変形孔10a,12aを有し、これらの変形孔10a,12aにヒンジシャフト8の小径変形軸部8cを受け入れることで、ヒンジシャフト8に対して回動不能に固定される。一方、第1及び第2回動フリクションワッシャ11,13は、ヒンジシャフト8に対して回動自由であり、且つ、支持部材6と常に一体に回動するように支持部材6に対して係止される。第1及び第2回動フリクションワッシャ11,13は、その中心部軸方向に設けた円形孔11a,13aにヒンジシャフト8の小径変形軸部8cを回動自由に受け入れる。また、第1及び第2回動フリクションワッシャ11,13は、その縁部に設けた係止片11b,13bを支持部材6に設けた係止孔6e,6eに係止することによって、支持部材6と常に一体に回動する。
【0032】
以上の構成により、支持部材6が取付部材5に対して回動すると、第1及び第2回動フリクションワッシャ11,13は支持部材6の回動と共に回動するが、第1及び第2固定フリクションワッシャ10,12は回動しないので、互いに接触している回動フリクションワッシャと固定フリクションワッシャとの間に所定のフリクショントルクが発生する。
【0033】
ヒンジシャフト8は、左右一対の支持部材6,6の内側から外側へ向かって順に、取付部材5の第1軸受部5bの変形軸受孔5e、第1固定フリクションワッシャ10の変形孔10a、第1回動フリクションワッシャ11の円形孔11a、支持部材6の第2軸受部6bの円形軸受孔6d、第2回動フリクションワッシャ13の円形孔13a、第2固定フリクションワッシャ12の変形孔12a、スプリングワッシャ14の円形孔14a、ワッシャ15の変形孔15aを貫通する。そして、ワッシャ15の上からヒンジシャフト8の雄ねじ溝8dに対して止めナット16がねじ結合される。これにより、ヒンジシャフト8を介して取付部材5上で支持部材6が回動可能且つ任意の角度で停止保持可能に支持される。
【0034】
さらに、回動支持装置4は、取付部材5に対する支持部材6の回動角度を切り換える切換手段18,19を備える。本実施例の切換手段は、前側切換手段18と後側切換手段19とで構成される。
【0035】
図8に示すように、前側切換手段18は、取付部材5に対する支持部材6の前方への回動角度を、前方最大角度(
図8に矢印Aで示す支持部材6の角度:例えば、支持部材6を後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ70度回動させた状態)と前方中間角度(
図8に矢印Bで示す支持部材6の角度:例えば、支持部材6を後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ60度回動させた状態)とに切り換え可能とするものである。一方、後側切換手段19は、取付部材5に対する支持部材6の後方への回動角度を、後方最大角度(
図8に矢印Dで示す支持部材6の角度:例えば、支持部材6を後方へ水平に寝かせた0度の状態)と後方中間角度(
図8に矢印Cで示す支持部材6の角度:例えば、支持部材6を後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ40度回動させた状態)とに切り換え可能とするものである。
【0036】
前方中間角度と後方中間角度との間が支持部材6の第1の回動範囲θ1となり、前方中間角度と後方最大角度との間が支持部材6の第2の回動範囲θ2となる。後側切換手段19を操作することで、取付部材5に対する支持部材6の回動範囲(機器本体3に対するディスプレイ装置2の回動範囲)を、第1の回動範囲θ1と、この第1の回動範囲θ1よりも大きな第2の回動範囲θ2とに切り換えることができる。
【0037】
第1の回動範囲θ1は、例えば、
図1のPOS端末1の使用者が通常のレジ業務を行う場合(通常時)の回動範囲である。レジ業務の担当者は、ディスプレイ装置2の傾斜角度を、第1の回動範囲θ1内において、自身の身長や好みに応じた適宜の傾斜角度に調整することができる。仮にディスプレイ装置2の回動範囲を無制限とすれば、レジ業務の担当者がディスプレイ装置2の傾斜角度を調整する際に、ディスプレイ装置2が必要以上に大きく回動可能となるので、使い勝手が悪かったり、ディスプレイ装置2がPOS端末1の他の部分に接触したりする不都合も考えられる。このため、通常時には、ディスプレイ装置2の回動範囲を第1の回動範囲θ1に規制しておくことが好ましい。
【0038】
一方、第2の回動範囲θ2とは、ディスプレイ装置2を第1の回動範囲θ1を超えて後方へと大きく回動させたい場合の回動範囲である。ディスプレイ装置2の回動範囲を第2の回動範囲θ2に切り換えると、POS端末1のメンテナンス時等の非通常時において、ディスプレイ装置2を後方へと大きく回動させることができる。よって、メンテナンス時の作業エリアを拡大できて好適である。
【0039】
なお、本実施例において前側切換手段18を設けてあるのは、支持部材6を前方中間角度から直立状態により近い前方最大角度へと変位可能にすることにより、機器本体3上でディスプレイ装置2を略直立状態にできるようにするためである。これにより、商品としてのPOS端末1全体の形状を梱包及び搬送に適したコンパクトなものにすることができる。
【0040】
前側切換手段18と後側切換手段19は、回動支持装置4を構成する取付部材5と支持部材6との左右一対の組合せの双方に配設してもよいし、そのいずれか一方にのみ配設してもよい。
図2~
図4では、前側切換手段18と後側切換手段19を回動支持装置4の左右の一方にのみ図示し、他方の図示を省略している。
【0041】
次に、前側切換手段18について詳細に説明する。
【0042】
図9に示すように、前側切換手段18は、規制位置と規制解除位置とに位置変更可能な前側可動ストッパ部材20を備える。この前側可動ストッパ部材20は、ヒンジシャフト8の軸線X方向へとスライドさせることにより、規制位置と規制解除位置とに変位させることができる。そして、前側可動ストッパ部材20は、規制位置にあるときに、支持部材6の前方への回動角度を前方中間角度に規制し、規制解除位置にあるときに、支持部材6の前方への回動角度を、前方中間角度を超える前方最大角度へと拡大する。
【0043】
前側可動ストッパ部材20は、金属プレートで形成され、
図10及び
図11に示すように、縦板部20aと、この縦板部20aに形成される左右水平方向の長孔20bと、縦板部20aの上面に形成されるストッパ部20cと、縦板部20aの下縁から後方へ向けて折り曲げ形成される案内片部20dと、を備える。縦板部20aは、
図10に示すように、取付部材5に形成されるストッパ支持片としての前側ストッパ支持片5fの前面に対して重ね合わされる。この前側ストッパ支持片5fは、
図5に示すように、取付部材5の第1軸受部5bの前縁から左右一対の取付部材5,5の内方へ向けて折り曲げ形成される。そして、前側ストッパ支持片5fには、前側ストッパ固定ねじ22をねじ込むためのねじ孔5gが形成される。
【0044】
図4及び
図10に示すように、前側ストッパ固定ねじ22は、前側可動ストッパ部材20の長孔20bに挿通された後に前側ストッパ支持片5fのねじ孔5gにねじ込まれ、前側ストッパ固定ねじ22の先端には脱落防止ワッシャ23が結合される。前側ストッパ固定ねじ22を締めることで、前側ストッパ支持片5fに対して前側可動ストッパ部材20が固定される。そして、前側ストッパ固定ねじ22を緩めることで、前側ストッパ支持片5fに沿って長孔20bの長さ分だけ前側可動ストッパ部材20を水平方向に移動させることができる。
【0045】
図10に示すように、前側ストッパ支持片5fへの前側可動ストッパ部材20の取付状態において、前側可動ストッパ部材20の案内片部20dの水平な上面が前側ストッパ支持片5fの水平な下縁部に当接する。このため、前側ストッパ固定ねじ22を緩めると、前側可動ストッパ部材20を前側ストッパ支持片5fに沿ってヒンジシャフト8の軸線X方向に動かすことができる。すなわち、前側可動ストッパ部材20の案内片部20dと、前側ストッパ支持片5fの下縁部とで、前側可動ストッパ部材20を規制位置と規制解除位置とに案内する案内機構21が構成される。
【0046】
前記構成において、
図9(a)に示すように、前側ストッパ固定ねじ22が前側可動ストッパ部材20の長孔20bの内端部20e(
図9の左端部)に当接するまで前側可動ストッパ部材20を左右一対の支持部材6,6の外方(
図9の右方)へと移動させた状態が、前側可動ストッパ部材20の前記規制位置である。逆に、
図9(b)に示すように、前側ストッパ固定ねじ22が前側可動ストッパ部材20の長孔20bの外端部20f(
図9の右端部)に当接するまで前側可動ストッパ部材20を左右一対の支持部材6,6の内方(
図9の左方)へと移動させた状態が、前側可動ストッパ部材20の前記規制解除位置である。
【0047】
そして、前側可動ストッパ部材20を
図9(a)の規制位置に位置させて支持部材6を前方へと回動させると、
図12(a)に示すように、前側可動ストッパ部材20のストッパ部20cが支持部材6の前外側段部6iに当接することで、支持部材6の前方への回動角度が前方中間角度に規制される。
【0048】
一方、前側可動ストッパ部材20を
図9(b)の規制解除位置に変位させると、前側可動ストッパ部材20のストッパ部20cによる支持部材6の回動規制が解除され、
図12(b)に示すように、支持部材6の前方への回動角度が前方中間角度を超える前方最大角度にまで拡大される。支持部材6の前内側段部6hが取付部材5の前側固定ストッパ部5cに上から当接することで、支持部材6の前方への回動角度が前方最大角度に規制される。
【0049】
次に、後側切換手段19について詳細に説明する。
【0050】
図13に示すように、後側切換手段19は、規制位置と規制解除位置とに位置変更可能な後側可動ストッパ部材24を備える。この後側可動ストッパ部材24は、ヒンジシャフト8の軸線X方向へとスライドさせることにより、規制位置と規制解除位置とに変位させることができる。そして、後側可動ストッパ部材24は、規制位置にあるときに、支持部材6の後方への回動角度を後方中間角度に規制し、規制解除位置にあるときに、支持部材6の後方への回動角度を、後方中間角度を超える後方最大角度へと拡大する。
【0051】
後側可動ストッパ部材24は、金属プレートで形成され、
図10及び
図14に示すように、縦板部24aと、この縦板部24aに形成される左右水平方向の長孔24bと、縦板部24aの上面に形成されるストッパ部24cと、縦板部24aの下縁から前方へ向けて折り曲げ形成される案内片部24dと、を備える。縦板部24aは、
図10に示すように、取付部材5に形成されるストッパ支持片としての後側ストッパ支持片5hに対して重ね合わされる。この後側ストッパ支持片5hは、
図5に示すように、取付部材5の第1軸受部5bの後縁から左右一対の取付部材5,5の内方へ向けて折り曲げ形成される。そして、後側ストッパ支持片5hには、後側ストッパ固定ねじ25をねじ込むためのねじ孔5iが形成される。
【0052】
図4及び
図10に示すように、後側ストッパ固定ねじ25は、後側可動ストッパ部材24の長孔24bに挿通された後に後側ストッパ支持片5hのねじ孔5iにねじ込まれ、後側ストッパ固定ねじ25の先端には脱落防止ワッシャ26が結合される。後側ストッパ固定ねじ25を締めることで、後側ストッパ支持片5hに対して後側可動ストッパ部材24が固定される。そして、後側ストッパ固定ねじ25を緩めることで、後側ストッパ支持片5hに沿って長孔24bの長さ分だけ後側可動ストッパ部材24を水平方向に移動させることができる。
【0053】
図10に示すように、後側ストッパ支持片5hへの後側可動ストッパ部材24の取付状態において、後側可動ストッパ部材24の案内片部24dの水平な上面が後側ストッパ支持片5hの水平な下縁部に当接する。このため、後側ストッパ固定ねじ25を緩めると、後側可動ストッパ部材24を後側ストッパ支持片5hに沿ってヒンジシャフト8の軸線X方向に動かすことができる。すなわち、後側可動ストッパ部材24の案内片部24dと、後側ストッパ支持片5hの下縁部とで、後側可動ストッパ部材24を規制位置と規制解除位置とに案内する案内機構27が構成される。
【0054】
前記構成において、
図13(a)に示すように、後側ストッパ固定ねじ25が後側可動ストッパ部材24の長孔24bの内端部24e(
図13の右端部)に当接するまで後側可動ストッパ部材24を左右一対の支持部材6,6の外方(
図13の左方)へと移動させた状態が、後側可動ストッパ部材24の前記規制位置である。逆に、
図13(b)に示すように、後側ストッパ固定ねじ25が後側可動ストッパ部材24の長孔24bの外端部24f(
図13の左端部)に当接するまで後側可動ストッパ部材24を左右一対の支持部材6,6の内方(
図13の右方)へと移動させた状態が、後側可動ストッパ部材24の前記規制解除位置である。
【0055】
そして、後側可動ストッパ部材24を
図13(a)の規制位置に位置させて支持部材6を後方へと回動させると、
図12(c)に示すように、後側可動ストッパ部材24のストッパ部24cが支持部材6の後側段部6gに当接することで、支持部材6の後方への回動角度が後方中間角度に規制される。
【0056】
一方、後側可動ストッパ部材24を
図13(b)の規制解除位置に変位させると、後側可動ストッパ部材24のストッパ部24cによる支持部材6の回動規制が解除され、
図12(d)に示すように、支持部材6の後方への回動角度が後方中間角度を超える後方最大角度にまで拡大される。支持部材6の第2軸受部6bに形成される膨出部6jが取付部材5の前側固定ストッパ部5cに当接することで、支持部材6の後方への回動角度が後方最大角度に規制される。
【0057】
本実施例の回動支持装置4によれば、取付部材5側に前側固定ストッパ部5cと前側可動ストッパ部材20と後側可動ストッパ部材24を設け、これらに対応させて、支持部材6の第2軸受部6bの外周面に、前内側段部6hと前外側段部6iと後側段部6gと膨出部6jとを形成するだけでよいので、前側切換手段18及び後側切換手段19の構成がシンプルであり、コスト低減にも貢献できる。
【0058】
なお、以上の実施例とは逆に、前側固定ストッパ部5cと前側可動ストッパ部材20と後側可動ストッパ部材24とを支持部材6側に配設し、前内側段部6hと前外側段部6iと後側段部6gと膨出部6jとを取付部材5側に形成することとしてもよい。
【0059】
また、前記膨出部6jは、前記前側段部6fや前記後側段部6gと同様に、第2軸受部6bの円形軸受孔6dを中心とする円弧から段部状に突出形成される態様で代替することもでき、さらに他の態様として、単なる突出部で代替することもできる。
【実施例2】
【0060】
本発明の実施例2として、実施例1の前側可動ストッパ部材20を省略した態様を採用することも可能である。前側可動ストッパ部材20を省略すると、支持部材6の前方への回動角度を前方中間角度に規制することができなくなる。しかし、取付部材5上における前側固定ストッパ部5cの配設高さ位置を変更することで、前記支持部材6の前方への最大回動角度を適宜に設定することができる。
【実施例3】
【0061】
次に本発明の実施例3を説明する。実施例3において、実施例1のものと同一の部分については同一の符号を付して説明を省略するので、実施例1の説明を参照されたい。
【0062】
実施例3は、実施例1における後側可動ストッパ部材24の変位の形式をスライド式から回動式へと変更したものである。
【0063】
図15に示すように、本実施例の回動支持装置30は、機器本体3(
図1参照)側に取り付けられる左右一対の取付部材5,5と、ディスプレイ装置2(
図1参照)側に取り付けられる左右一対の支持部材6,6と、左右一対の支持部材6,6を連結する連結部材7と、左右それぞれの取付部材5,5と支持部材6,6とを回動可能に連結する左右一対のヒンジシャフト8,8と、を備える。
図2の例では、取付部材5,5と支持部材6,6とをそれぞれ左右別体のものとして構成してあるが、それらを一体として構成してもよい。また、強度上問題がなければ、単一の取付部材5と、単一の支持部材6と、単一のヒンジシャフト8とで、回動支持装置4を構成することもできる。
【0064】
図15のものにおいて、取付部材5と支持部材6とヒンジシャフト8との相互関係は、左右一対のそれぞれにおいて取付方向が逆になっているのみで、部材の構成及び作用は同じであることから、以下、一方側のみ説明し、他方側については同一の符号を付すに止めて、重複する説明を省略する。
【0065】
図16に示すように、取付部材5は、機器本体3側への取付部5aと、この取付部5aから起立する第1軸受部5bと、この第1軸受部5bの前縁から左右外方(右側の取付部材5にあっては右外方、左側の取付部材5にあっては左外方)へと延びる前側固定ストッパ部5cと、を有する。取付部5aは、取付孔5dを介してボルト(図示しない)により機器本体3に取り付けられる。第1軸受部5bは、ヒンジシャフト8を相対回動不能に支持する。すなわち、第1軸受部5bには略小判形の変形軸受孔5eが形成され、この変形軸受孔5eは、ヒンジシャフト8の大径変形軸部8bを回動不能に受け入れる。
【0066】
取付部材5には、第1軸受部5bからの延長部として、第1軸受部5bの下部と連続する後方延長部5jが設けられ、この後方延長部5jには軸受孔5kが形成される。後方延長部5jの上面5mは前後方向に水平に延びる平坦面とされ、この平坦な上面5mの前部は、第1軸受部5bの垂直な後面5nの下部に連続している。後方延長部5jの上面5mは、後方延長部5jの軸受孔5kを中心とする円弧面5pを介して、後方延長部5jの垂直な後面5qに連続している。
【0067】
図17に示すように、支持部材6は、ディスプレイ装置2側への取付部6aと、第2軸受部6bと、この第2軸受部6bと取付部6aとを連結するブラケット6cと、を有する。取付部6aは、連結部材7を介して、ボルト(図示しない)によりディスプレイ装置2に取り付けられる。第2軸受部6bには円形軸受孔6dが形成される。
【0068】
また、第2軸受部6bの外周面には、円形軸受孔6dを中心とする円弧に連続させて、係合部としての前側段部6fと後側段部6gとが形成される。前側段部6fは、
図18に示すように、取付部材5の前側固定ストッパ部5cに上から当接して、支持部材6の前方への回動角度を前方最大角度(
図18に矢印Aで示す支持部材6の角度:例えば、支持部材6を後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ60度回動させた状態)に規制する。一方、後側段部6gは、ストッパ部材としての後述する回動式ストッパ部材32のストッパ部32cに上から当接して、支持部材6の後方への回動角度を後方中間角度に規制する。
【0069】
また、
図17に示すように、支持部材6の第2軸受部6bの外周面には、前側段部6fと後側段部6gとの間の位置に、円形軸受孔6dを中心とする円弧から膨出する膨出部6jが形成される。この膨出部6jは、後で
図24を参照して説明するように、取付部材5の前側固定ストッパ部5cに当接して、支持部材6の後方への回動角度を後方最大角度に規制する。
【0070】
さらに、回動支持装置4は、取付部材5に対する支持部材6の回動角度を切り換える切換手段31を備える。
【0071】
図18に示すように、切換手段31は、取付部材5に対する支持部材6の後方への回動角度を、後方最大角度(
図18に矢印Dで示す支持部材6の角度:例えば、支持部材6を後方へ水平に寝かせた0度の状態)と後方中間角度(
図18に矢印Cで示す支持部材6の角度:例えば、支持部材6を後方へ水平に寝かせた0度の状態から前方へ30度回動させた状態)とに切り換え可能とするものである。
【0072】
前方最大角度と後方中間角度との間が支持部材6の第1の回動範囲θ1となり、前方最大角度と後方最大角度との間が支持部材6の第2の回動範囲θ2となる。切換手段31を操作することで、取付部材5に対する支持部材6の回動範囲(機器本体3に対するディスプレイ装置2の回動範囲)を、第1の回動範囲θ1と、この第1の回動範囲θ1よりも大きな第2の回動範囲θ2とに切り換えることができる。
【0073】
図15に示すように、本実施例の切換手段は、規制位置と規制解除位置とに位置変更可能なストッパ部材として、回動式ストッパ部材32を備える。この回動式ストッパ部材32は、取付部材5に回動自在に取り付けられる。そして、回動式ストッパ部材32は、ヒンジシャフト8の軸線X方向に延びる軸線Yを中心として回動させることにより、
図23に示す規制位置と
図24に示す規制解除位置とに変位させることができる。回動式ストッパ部材32は、規制位置にあるときに、支持部材6の後方への回動角度を
図18に矢印Cで示す後方中間角度に規制し、規制解除位置にあるときに、支持部材6の後方への回動角度を、
図18に矢印Dで示す後方最大角度へと拡大する。
【0074】
図19及び
図20に示すように、回動式ストッパ部材32は、例えば金属プレートを折り曲げて形成され、平板部32aと、この平板部32aの一側面から下向きに延びる取付部32bと、平板部32aの前端部に起立形成されるストッパ部32cと、平板部32aの後端部に起立形成される操作部32eと、平板部32aの他側面から取付部32bと平行に下向きに延びる補強脚部32fと、を備える。回動式ストッパ部材32の取付部32bには軸受孔32dが形成される。この軸受孔32dには、
図21及び
図22に示すように、ヒンジシャフト8と平行に延びる枢支軸33が挿通され、この枢支軸33が取付部材5の軸受孔5k(
図16参照)にも挿通されることで、回動式ストッパ部材32が取付部材5に対して回動自在に取り付けられる。この取付状態において、回動式ストッパ部材32の取付部32bが、取付部材5の後方延長部5jの側面に対して、回動自在に面接触している。
【0075】
回動式ストッパ部材32において、ストッパ部32cは、回動式ストッパ部材32が規制位置にあるときに、後方へ回動する支持部材6の後側段部6gに当接する。操作部32eは、回動式ストッパ部材32を規制位置から規制解除位置へと回動操作する際の、指掛け操作部である。補強脚部32fは、回動式ストッパ部材32が規制位置にあるときに、取付部材5の取付部5aに当接して、回動式ストッパ部材32を補強する。
【0076】
取付部材5に対する回動式ストッパ部材32の取付状態において、回動式ストッパ部材32の平板部32aが取付部材5の後方延長部5jの上面5m上に重なり、且つ、回動式ストッパ部材32のストッパ部32cが取付部材5の第1軸受部5bの垂直な後面5nに接触する。
図21~
図23に示すこの位置が、回動式ストッパ部材32の規制位置である。
【0077】
回動式ストッパ部材32は、規制位置から枢支軸33を中心として後方へと90度回動させることで、回動式ストッパ部材32の平板部32aが取付部材5の後方延長部5jの後面5qに接触して停止する。
図24に示すこの位置が、回動式ストッパ部材32の規制解除位置である。取付部材5の後方延長部5jの上面5mと後面5qとの間の円弧面5pが、規制位置と規制解除位置との間における回動式ストッパ部材32の前後回動を可能にする。
【0078】
図22に示すように、取付部材5の第1軸受部5bの側面にはドーム状の小突起5rが形成され、この小突起5rへの係合部として、回動式ストッパ部材32の取付部32bの前端部には、U字状の係合溝32gが形成される。回動式ストッパ部材32が規制位置にあるときに、前記係合溝32gが前記小突起5rを受け入れる。これにより、回動式ストッパ部材32が規制位置に保持される。回動式ストッパ部材32を規制位置から規制解除位置へと回動させる際には、前記係合溝32gが前記小突起5rを乗り越える。これにより、回動式ストッパ部材32の操作時にクリック感が得られる。すなわち、前記小突起5rと前記係合溝32gは、第1軸受部5bと回動式ストッパ部材32との間にあって回動式ストッパ部材32の回動操作にクリック感を付与する相互係合部34として機能する。
【0079】
前記構成において、
図23に示すように、回動式ストッパ部材32を規制位置に位置させて支持部材6を後方へと回動させると、回動式ストッパ部材32のストッパ部32cが支持部材6の後側段部6gに当接することで、支持部材6の後方への回動角度が後方中間角度に規制される。支持部材6が当接することで回動式ストッパ部材32には偏荷重がかかるが、補強脚部32fが取付部材5の取付部5aに当接しているので、破損等の問題は生じない。
【0080】
一方、
図24に示すように、回動式ストッパ部材32を規制解除位置に変位させると、回動式ストッパ部材32のストッパ部32cによる支持部材6の回動規制が解除され、支持部材6の後方への回動角度が後方中間角度を超える後方最大角度にまで拡大される。支持部材6の第2軸受部6bに形成される膨出部6jが取付部材5の前側固定ストッパ部5cに当接することで、支持部材6の後方への回動角度が後方最大角度に規制される。
【0081】
実施例3の回動支持装置30によれば、取付部材5側に前側固定ストッパ部5cと回動式ストッパ部材32とを設け、これらに対応させて、支持部材6の第2軸受部6bの外周面に、前側段部6fと後側段部6gと膨出部6jとを形成するだけでよいので、切換手段31の構成がシンプルであり、コスト低減にも貢献できる。
【0082】
なお、実施例3とは逆に、前側固定ストッパ部5cと回動式ストッパ部材32とを支持部材6側に配設し、前側段部6fと後側段部6gと膨出部6jとを取付部材5側に形成することとしてもよい。
【0083】
また、前記膨出部6jは、前記前側段部6fや前記後側段部6gと同様に、第2軸受部6bの円形軸受孔6dを中心とする円弧から段部状に突出形成される態様で代替することもでき、さらに他の態様として、単なる突出部で代替することもできる。
【0084】
また、
図15において、左側と右側の回動式ストッパ部材32,32を図示しない連結部材で互いに連結した態様とすることもできる。このようにすれば、左側と右側の回動式ストッパ部材32,32の回動操作を共通の操作で同時に行うことができ、操作性が向上する。
【0085】
実施例3においては、実施例2と同様に前側可動ストッパ部材は配設されていないが、実施例1に倣って前側可動ストッパ部材を追加してもよいことは勿論である。この場合、前側可動ストッパ部材は、実施例1と同様のスライド式のものであってもよいし、本実施例の回動式のものであってもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 POS端末(情報端末)
2 ディスプレイ装置
3 機器本体
4 回動支持装置
5b 第1軸受部
5h ストッパ支持片
5j 後方延長部(延長部)
6b 第2軸受部
6g 後側段部(段部)
8 ヒンジシャフト
19 後側切換手段(切換手段)
24 後側可動ストッパ部材(ストッパ部材)
30 回動支持装置
31 切換手段
32 回動式ストッパ部材(ストッパ部材)
34(5r:小突起,32g:係合溝) 相互係合部