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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】排尿用具
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/452 20060101AFI20220705BHJP
   A61F 5/455 20060101ALI20220705BHJP
   A61F 5/453 20060101ALI20220705BHJP
   A61F 13/47 20060101ALI20220705BHJP
   A61F 13/471 20060101ALI20220705BHJP
   A61F 13/472 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61F5/452
A61F5/455
A61F5/453
A61F13/47 100
A61F13/471
A61F13/472
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018078832
(22)【出願日】2018-04-17
(65)【公開番号】P2019181052
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】504026742
【氏名又は名称】有限会社朝日商会
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】市川 功一
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-052393(JP,A)
【文献】特開2013-162808(JP,A)
【文献】実開昭63-160815(JP,U)
【文献】実開昭61-200017(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0152802(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/453-5/455
A61F 13/471-13/472
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間の男女の泌尿器を覆う部分に開口部を設けたところの伸縮性のある繊維材料で構成したパンツ状の着衣体と、
前記着衣体の開口部に装着手段を介して取り付けられる集尿袋と、
前記集尿袋を収容するために前記着衣体に設けられた収容ポケットと、を備え、
前記装着手段は、前記女性の導尿口部に連通し、前記男性の陰茎部分を挿入できる開口部を有する可撓性材質の装着部材と、この装着部材の前記男女の泌尿器側に重ね合わされて固着されたところの前記女性の泌尿器を囲む大きさの導尿口部と前記男性の泌尿器を挿通させる陰茎挿入部を有する柔軟な材質のパッド部材と、前記装着部材の開口部に重なる開口部を有し、前記装着部材の前記男女の泌尿器側に重ねられた前記パッド部材の反対側に重ね合わされて固着される被係止部材とを有し、この被係止部材を前記開口部へ前記集尿袋の入口部分を連通させて取り付けると共に、この被係止部材を前記着衣体の前記開口部を通してこの開口部の裏側に取り付けた係止装着部材に対して着脱自在に取り付けられるように成したことを特徴とする、排尿用具。
【請求項2】
前記収容ポケットは、その入口部分を前記開口部に対して取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の排尿用具。
【請求項3】
前記係止装着部材が、面ファスナーであることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の排尿用具。
【請求項4】
前記集尿袋内に、吸水シート及び又は消臭紙を前記集尿袋の入口側に露出させて収容したことを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載の排尿用具。
【請求項5】
前記吸水シートが、吸収した尿に溶解してゼリー状に変化する材質であることを特徴とする、請求項に記載の排尿用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泌尿器の手術を受けた人や、排尿コントロールが困難な高齢者等の人達、或はドライブ中の渋滞時や災害時などにトイレや簡易トイレなどでの排尿が困難な状況に置かれることが予測される人達等が、予めパッドやオムツを装着したり、或は下着を脱いで排尿補助具を装着したりすることなく排尿ができ、かつ活動も制限されず、使い勝手も良く、外観的にも良好なように工夫した、とくに女性には好適であると共に、そのまま男性も兼用可能な排尿用具に関する。
【背景技術】
【0002】
尿漏れ或はトイレ等で正常に排尿することが困難な人に対する排尿用具として一般的なものは紙オムツであるが、使用感の悪さ、使用部位のかぶれ、取替え処理の煩雑さ、コスト高など種々の問題があり、これに代わる排尿用具が種々開発されてきている。
【0003】
とくに男性用の排尿用具としては、下記特許文献1と2に記載されているように、男性の陰茎部に装着できる尿袋を着脱可能に取り付けることのできる装着部材を用いたものが公知であるが、このものは女性用としては不向きである。さらに女性用に用いることのできるものとしてはあまり多くはないが、下記特許文献3に記載されたものが公知である。このものは使用時に下着を脱いで泌尿器の部分に装着させるものであることから、身体の不自由な人や、排尿感覚のない人には不向きである。また、女性用として下記特許文献4に記載されているように、紙オムツの股下に開口部を設け、この開口部に尿袋を取り付けたものも公知でありこのものは、身体の不自由な人や、排尿感覚のない人にも使用可能であるが、使用中に使用者が動いて紙オムツが緩んだ際には尿が漏れてしまい、紙オムツとあまり変わらない状態となってしまうという問題があった。
【0004】
このような従来品の問題点を解消するため、本発明者は先に下記特許文献5において、装着が簡単であり、かつ就寝時或は起居時のどちらにおいても使用でき、さらに装着した状態で自由に動き回ることができるように工夫した排尿用具を開示した。即ち、特許文献5に記載の排尿用具は、主として女性用のもので、外陰部を覆う部分に開口部を設けた、伸縮性のある繊維材料で構成したパンツ状の着衣体と、伸縮性を有し前記着衣体の前記開口部に前記外陰部を覆った状態で装着でき、かつ取り外すことのできるバンド部材と、このバンド部材が外陰部に当接する部分に設けた装着孔に装着手段を介して取り付けられる集尿袋と、前記着衣体に設けられた前記集尿袋を収容させる収容袋部とから成り、前記装着手段は、前記外陰部の部分を囲う大きさの開口部を有する平板リング状を呈し、前記集尿袋の入口部分に装着されるように構成したものであった。男性用には、前記バンド部材に設ける前記集尿袋の装着孔の位置と大きさを、女性用のものとは異ならせたものを用いるようになっていた。
【0005】
しかしながら、この特許文献5に記載の排尿用具においては、パンツ状の着衣体の正面から集尿袋が露出して見えるため、必ずしも外観が良好でなく、また、着衣体への集尿袋の装着が安定しなかったり、装着者の姿勢や動きによっては集尿袋から尿が漏れ出る可能性があったり、女性用と男性用とでは、異なったバンド部材を用意する必要があるなどの問題があり、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】WO2011/024864号公報
【文献】特開平10-314204号公報
【文献】特開2003-199688号公報
【文献】実開平4-27909号公報
【文献】特開2016-52393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記観点に立ってなされたものであり、その目的とするところは、外観が良好で、集尿袋を安定して装着でき、集尿袋から尿が漏れたり、臭いが生じたりすることもなく、女性だけでなく男性の使用も可能なように工夫された排尿用具を提供せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る排尿用具は、人間の男女の泌尿器を覆う部分に開口部を設けたところの伸縮性のある繊維材料で構成したパンツ状の着衣体と、前記着衣体の開口部に装着手段を介して取り付けられる集尿袋と、前記集尿袋を収容するために前記着衣体に設けられた収容ポケットと、を備え、前記装着手段は、前記女性の導尿口部に連通し、前記男性の陰茎部分を挿入できる開口部を有する可撓性材質の装着部材と、この装着部材の前記男女の泌尿器側に重ね合わされて固着されたところの前記女性の泌尿器を囲む大きさの導尿口部と前記男性の泌尿器を挿通させる陰茎挿入部を有する柔軟な材質のパッド部材と、前記装着部材の開口部に重なる開口部を有し、前記装着部材の前記男女の泌尿器側に重ねられた前記パッド部材の反対側に重ね合わされて固着される被係止部材とを有し、この被係止部材を前記開口部へ前記集尿袋の入口部分を連通させて取り付けると共に、この被係止部材を前記着衣体の前記開口部を通してこの開口部の裏側に取り付けた係止装着部材に対して着脱自在に取り付けられるように成したことを特徴とする。
【0010】
上記各発明において、前記収容ポケットは、前記開口部に対して取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明において、前記係止装着部材は、面ファスナーであることを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明において、前記集尿袋内に、吸水シート及び又は消臭紙を前記集尿袋の入口側に露出させて収容したことを特徴とする。
【0013】
そして本発明において、前記吸水シートは、吸収した尿に溶解してゼリー状に変化する材質であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以上のように構成したので、着衣体の前面に設けたフラップ布@によって集尿袋は覆い隠されるため外観が損なわれることはなく、集尿袋の装着部材は、着衣体の内面の開口部の上下に設けた係止装着部材によって係着されるため、装着中の位置ずれを防止できることにより、尿漏れを有効に防止でき、さらに集尿袋内には吸水シート及び消臭紙を収容したことにより、集尿袋内の尿は吸水シートに吸収され、また吸水シートの材質によってはゼリー状に変化することによって、装着者の姿勢や動きに関係なく集尿袋から漏れ出ることはなく、また、消臭紙の効果によって臭いが漏れ出ることもなく、更にまた、パッド部材に女性用の導尿口部と合わせて、或は単独で男性用の陰茎挿入部を設けることにより、男性の使用もそのまま可能となる、等々の多くの効果が得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る排尿用具を身体へ装着させてみた状態を示す説明図である。
図2図1に示す排尿用具を、集尿袋を収容ポケットに装着させずに持ち上げて見た状態を示す正面図である。
図3図2に示した排尿用具をその前後方向の中央部で縦方向へ切断し、開口部の部分を裏側から見た背面図である。
図4図2に示した排尿用具において、その開口部に装着手段を介して集尿袋を収容ポケットに装着させた状態の正面図である。
図5図4に示した状態で着衣体をその前後方向の中央部で縦方向へ切断し、装着手段の部分を裏側から見た断面図である。
図6】装着手段とこの装着手段に取り付けた集尿袋の説明図である。
図7図6に示した集尿袋とその装着手段及びパッド部材の分解斜視図である。
図8図6に示したパッド部材の展開図である。
図9図1図8に示した排尿用具の装着作業時の説明図である。
図10図1図8に示した排尿用具の集尿袋の装着方法を示す説明図である。
図11図1図8に示した排尿用具の集尿袋のもう1つの装着方法を示す説明図である。
図12図1図8に示した排尿用具の集尿袋の取り外し方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明に係る排尿用具を図面に示した望ましい実施例に基づいて説明する。
【実施例
【0017】
図1に示したように、本発明の排尿用具1は、この排尿用具1を構成する着衣体2を丁度パンツを穿くようにして身体Aに装着させることができる点に特徴があり、装着した状態で、行動が制限されない上に、就寝時においても使用が可能である。図1図8において、本発明の好適な実施例に係る男女兼用の排尿用具1は、その主体部2aの女性の泌尿器の外陰部を覆う部分に開口部2bを設けたところの伸縮性のある繊維材料(例えば木綿)を用いて縫製したパンツ状の着衣体2と、この着衣体2の開口部2bに装着手段3を介して取り付けられる集尿袋6と、着衣体2の開口部2bに挿入口2gを取り付けた収容ポケット2fとから構成される。前記装着手段3は、前記外陰部の部分を囲む大きさの開口部4bを有する平板リング状を呈したところの可撓性材質の装着部材4と、この装着部材4が外陰部と接触する側に重ね合わされて固着されたところの同じく前記外陰部を囲む大きさの導尿口部5dを有する柔軟な材質のパッド部材5と、装着部材4が主体部2aと接触する側に重ね合わされて固着されたところの装着部材4と略同様の開口部9aを有する平板リング状を呈する被係止部材9とから構成され、収容ポケット2fは、挿入口2gを着衣体2の開口部2bに縫い付け、或は一体編み込みなどの手段で設けられている。しかしながら、この収容ポケット部2fの着衣体2に対する取付方法は、この実施例のものに限定されない。本願特許出願人の先の特許出願である特開2016-52393号公報に記載されているように取り付けてもよい。
【0018】
また、男女兼用の排尿用具1は、実施例に示したように、装着手段3のパッド部材5に設けた導尿口部5dの上部に男性の泌尿器の陰茎挿入部5fを設けるものである。さらに、図示はしてないが、男性専用の排尿用具は、装着手段3に陰茎挿入部5fのみを設けるものである。
【0019】
以下に男女兼用の排尿用具1について説明するが、実施例に示した装着手段3のパッド部材5に設けた女性用の導尿口部5dから、男性用の陰茎挿入部5fを省略させればそれは女性専用となるものであり、女性用の導尿口部5dを省略すれば、それは男性専用となるものである。
【0020】
とくに、図1図2に示したように、着衣体2の前記開口部2bは、主体部2aに縫い付けられたところの友布でやや厚めに形成した一対の対向布2c、2dの側縁2c-1、2d-1によって形成されている。前記一対の対向布2c、2dのうち、一方の対向布2dは、その上下の端縁2d-3側と、端縁2d-4側が主体部2aに縫い付けられ、開口部2bと反対側の上下方向に延びる側縁2d-2も主体部2aに縫い付けられている。もう一方の対向布2cも、上下の端縁2c-3側と、端縁2c-4側が主体部2aに縫い付けられ、開口部2bとは反対側の側縁2c-2が主体部2aに縫い付けられている。
【0021】
前記収容ポケット2fは、実施例のものは、その挿入口2gが着衣体2の前記開口部2bの両側に縫い付けられたものが示されているが、このものに限定されない。収容ポケット2fが開口部2bの片側にのみ縫い付けられたものでもよい。しかし、実施例のように構成すると、着衣体2の開口部2bへ装着手段3を装着する際に、先に集尿袋6を着衣体2の開口部2bから集尿袋6を収容ポケット2fへ簡単に挿入収容させることができ、その後に、装着手段3を開口部2bへ簡単に装着できるので、集尿袋6の装着が容易となる利点がある。
【0022】
集尿袋6は、例えばポリエチレンフィルム製の可撓性の袋であり、その主体部6aの一端に入口部分6b(図6参照)がある。この集尿袋6はこれを透明にすると、排尿された尿の色を確認するのに便利である。集尿袋6の内部には、後述する吸水シート7と消臭紙8とが折り畳んで収納される。
【0023】
集尿袋6を着衣体2の前記開口部2bへ装着させる装着手段3(図7参照)は、主体部4aの中央部に装着者の膣部と尿道口を含む外陰部の周りを囲み、男性の陰茎部を挿入できる形と大きさの開口部4bを有する略楕円形状を呈した孔開き平板リング状の装着部材4と略同形状の被係止部材9と、前記着衣体2の開口部2bを形成する一対の対向布2c、2dにそれぞれ設けられた一対のマジックテープ(登録商標)などの面ファスナーから成る係止装着部材2h、2iとを備える。装着部材4の上面、即ち、装着者の外陰部と対向する面にはパッド部材5が重ね合せられ、このとき装着部材4の上面とパッド部材5の下面とは、集尿袋6の入口部分6bを間に挟んで、例えば両面粘着テープやボンド等の接着剤で接合され、これにより集尿袋6の入口部分6bに装着部材4とパッド部材5とが取り付けられる。
【0024】
装着部材4は、可撓性を有する厚紙製あるいは合成樹脂製のもので、着衣体2の開口部2bへ出し入れさせることができるものである。図示した実施例において、この装着部材4の主体部4aに形成した開口部4bは、その上端側(図7において右下方向)へ向けて拡大した拡張開口部4cを有し、男性による使用時にこの拡張開口部4cへ陰茎を挿入できるようになっている。
【0025】
前記着衣体2の開口部2bを形成する一対の対向布2c、2dにそれぞれ取り付けられた前記一対の面ファスナーから成る係止装着部材2h、2iは、被係止部材9と共に前記装着手段3を構成する。これらの係止装着部材2hと2iは、被係止部材9をそれぞれ取り付けることによって装着手段3が開口部2bからずれたり、外れたりするのを有効に防止できるものである。なお、実施例のものは、係止装着部材2h、2iが、開口部2bの右側及び左側の近傍に取付けられているが、このものに限定されない。係止装着部材2h、2iが、開口部2bの上側及び下側の近傍に取付けられていてもよい。
【0026】
装着部材4と略同様の外形を有し、装着者の身体Aに接するように装着部材4の上面に重ね合わせられるパッド部材5は、装着者の泌尿器の部分を囲う大きさの導尿口部5dと陰茎挿入部5fを有する平板状のもので、泌尿器の部分にあてがわれても違和感のない柔軟性と弾力性のある不織布等の素材で、吸水性を有するもので作製される。これらの導尿口部5dの内周縁は、図示する如く波形に形成され、漏れ出た尿の吸収効率を高めるようになっている。さらに、このパッド部材5の図示した実施例において、前記装着部材4の前記拡張開口部4cに対応する領域には、所定の輪郭の切れ目5gによって男性が使用するときの陰茎挿入部5fが設けられている。即ち、前記切れ目5gで囲まれた部分に陰茎を押し入れると、図8において破線で示す折れ曲がり部5hが曲がって挿入でき、前記装着部材4の前記拡張開口部4cを通じて集尿袋6内まで挿入できるようになっている。装着部材4と略同様の外形を有し、装着部材4の下面に重ね合わせられる被係止部材9は、平板状のもので、面ファスナーである係止装着部材2h、2iに形成されたフックが引っ掛かるルームが形成されている不織布等の素材で作製される。被係止部材9は、装着部材4に両面粘着テープやボンド等の接着剤で接合される。被係止部材9は、装着部材4の下面で係止装着部材2h、2iに係着されているので、被係止部材9や係止装着部材2h、2iが使用者に接触することはない。このため、使用者に違和感を生じさせることなく、安定して使用させることができる。なお、実施例のものは、被係止部材9が装着部材4と略同形状に作製されているが、このものに限定されない。被係止部材9が、係止装着部材2h、2iと同じ形状に作製されていてもよい。
【0027】
集尿袋6内に収納される吸水シート7及び消臭紙8は、これらを集尿袋6内に収納する際には、これを収納しやすい形状に折り畳んで収納するようにする。折り畳みの形態は自由であるが、なるべく収容ポケット2fの形態に合わせて矩形状を呈するように折り曲げ、そのいずれかの縁部側が集尿袋6の入口から露出するようにして、排泄器から排尿された尿がすぐに接触できるようにすることが望ましい。
【0028】
吸水シート7は、吸水性繊維を用いた不織布が好適に用いられ、1000cc程度の吸水が可能で、好適には吸水によって溶解してゼリー状に変化する高分子吸水シートを用いることが望ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。消臭紙8としては、例えば、不織布の繊維間に例えば梅の種を焼いて梅炭とし、これを粉状にしたものを漉き込んでクレープ紙としたようなものを好適に用いることができる。梅炭は、空孔の大きさが備長炭よりも小さくて、数の多いことが知られており、そのため吸着率が高く、消臭、脱臭、調湿効果に優れている。ただし、消臭紙8の形態は、これに限定されるものではない。このようなシート状の消臭紙8を前記吸水シート7と接合したものを用いることにより、顆粒状、球状、粉末状などの消臭剤を、集尿袋6の入口部分6bからこぼれ出ないように更に袋等に入れて収納するよりも、効率的である。
【0029】
次に、本発明に係る排尿用具1の使用方法について説明する。本発明に係る排尿用具1は、1枚の着衣体2と、吸水シート7及び消臭紙8がそれぞれ収納された複数枚の集尿袋6とがセットで販売されるものである。まず、その着衣体2を使用者が装着してから、その着衣体2に集尿袋6を取り付ける場合の使用方法について説明する。この場合、図9図10(1)に示したように、着衣体2の上部を前方に引き下ろし、次いで、図10(2)で示したように、着衣体2の開口部2bの内側から、集尿袋6の主体部6aを着衣体2の収容ポケット2fの挿入口2gから収容ポケット2f内に挿入収容させる。次いで、図10(2)に示すように、集尿袋6の入口部分6bに取り付けてある前記被係止部材9を着衣体2の開口部2bの周囲にあてがった状態で押し当てて、被係止部材9を係止装着部材2hに係着させ、同様に、被係止部材9に係止装着部材2iを係着させる。これにより、装着部材4及びパッド部材5は着衣体2の開口部2bに安定的に取り付けられる。次いで、図10(3)に示すように、着衣体2の上部を元に戻し、着衣体2内から収容ポケット2fの内部まで手指を差し入れたりして、集尿袋6の主体部6aが着衣体2の収容ポケット2f内に十分に挿入されるように調整する。収容ポケット2f内に集尿袋6の主体部6aを十分に挿入した後、収容ポケット2fを所望の位置にすることにより、集尿袋6の装着作業が完了する。装着された集尿袋6は収容ポケット2fで覆い隠され、正面から見えなくなる。
【0030】
次に、図11を参照して、着衣体2を使用者が装着する前に、予め集尿袋6を着衣体2に取り付けておき、外出先などでの装着作業を容易にするような場合の使用方法について説明する。この場合、図11(a)に示すように、未装着の着衣体2を開口部2bが見える状態でテーブル等の上に置き、集尿袋6の主体部6aを収容ポケット2fの挿入口2gから収容ポケット2f内へ収納し、図11(b)に示した状態とする。次いで、図11(b)に示すように、集尿袋6の入口部分6bに取り付けてある前記被係止部材9を着衣体2の開口部2bの周囲にあてがった状態で押し当てて、被係止部材9を係止装着部材2hに係着させ、同様に、被係止部材9に係止装着部材2iを係着させる。次いで、図11(c)に示すように、着衣体2の上部を元に戻し、着衣体2内から収容ポケット2fの内部まで手指を差し入れたりして、集尿袋6の主体部6aが着衣体2の収容ポケット2f内に十分に挿入されるように調整する。このように予め集尿袋6が取り付けられた着衣体2を装着すれば、図10(3)と同様の装着状態が得られる。
【0031】
上記の如く集尿袋6が装着された排尿用具1を装着した女性が、立った状態で排尿すると、尿はパッド部材5の導尿口部5dと装着部材4の開口部4bを通じて集尿袋6内に集められることになる。その際に尿道口から洩れた尿は、パッド部材5を構成する不織布等に吸収される。また、集尿袋6内に集められた尿は、吸水シート7に吸収され、この吸収された尿によって吸水シート7が溶解してゼリー状となることにより、集尿袋6から尿が漏れ出ることが防止される。また、集尿袋6内には消臭紙8も収納されているため、集尿袋6の外部へ匂いが漏れるのを可及的に防止することができるものである。この際に、吸水シート7のいずれかの縁部が集尿袋6から露出するように装着すると、排泄器から排尿された尿がすぐに給水シート7に接触して吸収されることから、尿漏れを有効に防止できることは前述した。
【0032】
また、本発明に係る排尿用具1は、女性が寝た状態、あるいはベッドや車いすに座った状態でも使用することができ、椅子に座った状態で使用する場合には、椅子から乗り出すようにして集尿袋6が股間より下になるように片足を伸ばすか膝を下げるようにすると、よりスムーズに排尿することが可能になる。また、尿意があり夜間頻尿の人の場合には、ベッドから起き上がって、少し腰を浮かすか、ベッドから足を下ろして少し腰を上げることにより、スムーズに排尿ができ、簡易トイレを用いる煩雑さを解消でき、或はトイレへ移動中に転倒する事故を未然に防止することができるものである。
【0033】
集尿袋6は、尿量にもよるが、1回使用するごとに交換することが望ましい。また、着衣体2は、繰り返し洗濯をして用いることができる。
【0034】
次に、使用後に集尿袋6を着衣体2から取り外す方法について図12により説明する。その場合、図示した実施例においては、図12(1)に示したように集尿袋6内に集められた尿が、前記吸水シート7の溶解によりゼリー状となった状態で溜まっている。この集尿袋6を取り外すときは、図12(2)に示す如く、着衣体の上部を引き降ろし、被係止部材9を係着している係止装着部材2h及び2iを被係止部材9の両端から引き離し、次いで図12(3)に示す如く装着部材4及びパッド部材5を適宜折り曲げて引き上げることにより、図12(4)に示す如く集尿袋6を着衣体2の開口部2bから取り外すことができる。その際、集尿袋6内の尿は前記の如くゼリー状となっているので、こぼれる虞れがなく、衛生的に尿の処理を行うことができる。
【0035】
次に、前記図1図8に示した本発明に係る排尿用具1を、男性が用いる場合には、女性の場合と同様に、例えば着衣体2を装着した後、集尿袋6を前記装着手段3を介して着衣体2に取り付ける。次いで、装着者である男性は、その陰茎を前記パッド部材5に設けた前記切れ目5gによって形成される陰茎挿入部5fに押し付けると、前記の如く図8において破線で示すパッド部材5の折れ曲がり部5hが曲がって陰茎が陰茎挿入部5f内へ挿入され、前記装着部材4の前記拡張開口部4cを通じて集尿袋6内まで挿入できる。したがって、この状態で男性が排尿すると、排出された尿は女性の場合と同様に集尿袋6に貯留され、図示した実施例においては、吸水シート7に吸収されてゼリー状となって溜められると共に、消臭紙8の作用により集尿袋の外部へ匂いが漏れ出ることもない。
【0036】
本発明に係る排尿用具1を装着後、通常の排尿が可能な状況の場合には、装着している着衣体2を排尿することができる程度におろすことにより、排尿することが可能である。通常の排尿をした後は、上述したようにして、再度集尿袋6を装着することもできる。或いはまた、集尿袋6を取り外すことなく、通常通り着衣体2を下ろして、便器に排尿したりすることも可能である。尚、着衣体2は図示した実施例ではパンツ形状であるが、これをT字帯や褌に変えても良く、それらを含めて本発明では「パンツ状」と称する。本発明に係る排尿用具を用いる対象となる人は、女性、男性、太った人、痩せた人など様々である。この点を考慮して、着衣体2は大、中、小の3種類を用意するものである。なお、図1に示す如く、実施例では収容ポケット2fを向かって右側に位置させているが、左側に位置させることも勿論可能である。これは例えば、就寝時に右側と左側のどちらを下にして就寝する習性のある人であっても、尿漏れを防止できる点で有利である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、以上のように構成したので、排尿障害のある人たちは日常的に、或は排尿障害のない人たちでも、例えば車の渋滞が予測されるドライブに先立ち、本発明に係る排尿用具を予め身体に装着させておくことができる、下着感覚の排尿用具として、パッドやオシメなどのように排尿後の不快感を与えることなく、好適に用いることができるものである。その場合、本発明では、集尿袋の装着部材が、着衣体の内面の開口部の上下に設けた係止装着部材によって係着されるため、安定して取り付けられ、それによって尿漏れが防止され、集尿袋内には吸水シート及び消臭紙を収容したことにより、袋内の尿は吸水シートに吸収され、また吸水シートの材質によっては尿に溶解した吸水シートがゼリー状に変化することによって、装着者の姿勢や動きに関係なく袋から漏れ出ることはなく、また、消臭紙の効果によって臭いが漏れ出ることもなく、更にまた、パッド部材に男性の陰茎部を挿通可能な切れ目を設けることにより、男性の使用もそのまま可能となる、等々の多くの利点が得られるものである。
【符号の説明】
【0038】
A 身体
a 外陰部
b 陰茎部
1 排尿用具
2 着衣体
2a 主体部
2b 開口部
2c、2d 対向布
2f 収容ポケット
2g 挿入口
2h、2i 係止装着部材(面ファスナー)
3 装着手段
4 装着部材
4a 主体部
4b 開口部
4c 拡張開口部
5 パッド部材
5a 主体部
5c 折り畳み部
5d 導尿口
5f 陰茎挿入部
5g 切れ目
5h 折れ曲がり部
6 集尿袋
6a 主体部
6b 入口部分
7 吸水シート
8 消臭紙
被係止部材
図1
図2
図3
図4
図5
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図12