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  • 特許-固定ストッパーへの木材位置決め方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】固定ストッパーへの木材位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   B27B 27/10 20060101AFI20220705BHJP
   B27C 1/12 20060101ALI20220705BHJP
   B27B 31/06 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B27B27/10
B27C1/12 Z
B27B31/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018216106
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020082404
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000154624
【氏名又は名称】株式会社平安コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100139789
【氏名又は名称】町田 光信
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】金原 義明
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-090778(JP,A)
【文献】特開2008-114528(JP,A)
【文献】特開平09-044252(JP,A)
【文献】特開平03-078004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0226319(US,A1)
【文献】特開昭57-062415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27B 27/10
B27C 1/12
B27B 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材を加工する加工機と、
前記加工機に木材を搬送する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアの近傍に取り付けられ、前記搬送コンベアの搬送方向に平行に移動可能で、前記搬送コンベアによって搬送された木材の前端面に当接して前記木材の前端面を所定の加工位置に位置決めする移動ストッパーと、
前記移動ストッパーを前記移動方向に駆動する移動装置を駆動するモータと、
前記搬送コンベアの近傍に前記移動ストッパーに対向して取り付けられ、前記搬送コンベアによって搬送された木材の後端面に当接して前記木材の後端面を所定の加工位置に位置決めする固定ストッパーと
を有する木材加工機において、
前記移動ストッパーを移動して前記木材の前端面に当接させて、前記移動ストッパーの移動で前記木材を前記固定ストッパー側に移動し、
前記木材の後端面を前記固定ストッパーに押し当て、
前記モータのトルクが所定のトルク、又は前記押し当ての面圧が所定圧に達したら前記モータを停止し、
前記木材の後端側を後端側木材クランプ装置でクランプした後、後端側加工機で前記木材の後端側を基準にした加工を行う
ことを特徴とする固定ストッパーへの木材位置決め方法。
【請求項2】
請求項に記載の固定ストッパーへの木材位置決め方法において、
前記固定ストッパーは、
前記搬送コンベアの木材搬送路から退避した退避位置と、前記木材の後端面に当接可能な位置決め位置との間で移動可能である
ことを特徴とする固定ストッパーへの木材位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定ストッパーへの木材位置決め方法に関する。さらに詳しくは、プレカット加工機等の木材加工機で、固定ストッパーへの木材の位置決め誤差を補正するための固定ストッパーへの木材位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレカット加工機等の木材加工機では、長尺の木材の前端側を加工する場合には、前端基準で加工をするために、木材の前端面を位置決めするための移動ストッパーが使用されている。この移動ストッパーは、搬送コンベアの搬送方向に平行に移動可能で、搬送コンベアによって搬送された木材の前端面に当接して木材の前端面を所定の加工位置に位置決めしている。また、長尺の木材の後端側を加工する場合には、後端基準で加工をするために、木材の後端面を位置決めするための固定ストッパーが使用されている。木材の後端面を位置決めする場合には、搬送コンベアによって木材を搬送し、木材の後端面を固定ストッパーに押し付けて、木材の後端面を位置決めしている。
【0003】
加工する木材は、使用目的に応じて、長さ、幅、厚さが種々異なる。従って、搬送コンベアによって木材の後端面を固定ストッパーに押し付けると、加工する木材の質量、押し付ける速度の差によって、木材が固定ストッパーを押し付ける力が変動するため、固定ストッパーの弾性変形量が異なってくる。また、搬送コンベアによって、木材の後端面を固定ストッパーに押し付けると、木材が固定ストッパーに当接した反動で、木材の後端面と固定ストッパーとの間に隙間ができる場合がある。
【0004】
このような、固定ストッパーの弾性変形量の差や木材の後端面と固定ストッパーとの間の隙間が有ると、木材の後端面の位置が所定の位置からズレてしまうため、木材の加工誤差が大きくなり、不良品が発生することになる。特に近年は、木造軸組み工法の弱点を補う金物工法が多くなってきたため、木材の加工精度に対する要求が高くなってきて、上記した加工誤差が大きな問題になっている。上記した加工誤差を補正するために種々の方法(特許文献1、特許文献2)が提案されているが、いずれも製造コストが上昇する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-178172号公報
【文献】特開2004-167770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような背景で発明されたものであり、以下の目的を達成するものである。本発明の目的は、製造コストの上昇が抑えられる固定ストッパーへの木材位置決め方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、木材の質量の大小にかかわらず所定の加工精度を維持することが可能な固定ストッパーへの木材位置決め方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、固定ストッパーの機械的な強度を大きくしたり、ピンやキー等の機械的な固定手段が不要な固定ストッパーへの木材位置決め方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、木材加工機のオペレーターの木材位置決めのための付加的な作業が不要な固定ストッパーへの木材位置決め方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために、次の手段を採る。
即ち、本発明1の固定ストッパーへの木材位置決め方法は、
木材を加工する加工機と、
前記加工機に木材を搬送する搬送コンベアと、
前記搬送コンベアの近傍に取り付けられ、前記搬送コンベアの搬送方向に平行に移動可能で、前記搬送コンベアによって搬送された木材の前端面に当接して前記木材の前端面を所定の加工位置に位置決めする移動ストッパーと、
前記移動ストッパーを前記移動方向に駆動する移動装置を駆動するモータと、
前記搬送コンベアの近傍に前記移動ストッパーに対向して取り付けられ、前記搬送コンベアによって搬送された木材の後端面に当接して前記木材の後端面を所定の加工位置に位置決めする固定ストッパーと
を有する木材加工機において、
前記移動ストッパーを移動して前記木材の前端面に当接させて、前記移動ストッパーの移動で前記木材を前記固定ストッパー側に移動し、
前記木材の後端面を前記固定ストッパーに押し当て、
前記モータのトルクが所定のトルク、又は前記押し当ての面圧が所定圧に達したら前記モータを停止し、
前記木材の後端側を後端側木材クランプ装置でクランプした後、後端側加工機で前記木材の後端側を基準にした加工を行うことを特徴とする。
【0008】
本発明2の固定ストッパーへの木材位置決め方法は、本発明において、前記固定ストッパーは、前記搬送コンベアの木材搬送路から退避した退避位置と、前記木材の後端面に当接可能な位置決め位置との間で移動可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の固定ストッパーへの木材位置決め方法は、木材加工機のオペレーターの木材位置決めのための付加的な作業が不要なため、オペレーターの作業負担が軽減される。また、制御プログラムで固定ストッパーへ木材を精度良く位置決めするので、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施の形態のプレカット加工機を示す全体図である。
図2図2は、図1のプレカット加工機で固定ストッパーへ木材を位置決めする動作を示す動作説明図である。
図3図3は、図2の後の動作を示す動作説明図である。
図4図4は、図3の後の動作を示す動作説明図である。
図5図5は、本発明の実施の形態の固定ストッパーへ木材を位置決めする動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[プレカット加工機の構造の説明]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態のプレカット加工機(木材加工機)を示す全体図である。図1に示すプレカット加工機(木材加工機)100は、搬送コンベア1、移動ストッパー2、固定ストッパー3、前端側木材クランプ装置4A、後端側木材クランプ装置4B、前端側加工機5A、後端側加工機5B等で構成される。搬送コンベア1は、図1の左右方向に複数のローラを有し、このローラの回転で木材6を図1の左右方向に搬送する。搬送コンベア1は、図1の左右方向に長い図示しないベッド上に取り付けられている。移動ストッパー2は、ベッドに沿って配置された図示しないガイドレールに案内され、搬送コンベア1の搬送方向に平行に移動可能である。ベッド(図示せず)には、図1の左右方向に長いラック21が固定されている。移動ストッパー2には、モータ22で回転駆動されるピニオン23が取り付けられ、このピニオン23がラック21に噛み合い、モータ22の回転で搬送コンベア1の搬送方向に平行に移動ストッパー2が移動する。
【0012】
モータ22を駆動して移動ストッパー2を所定の位置に位置決めした後、搬送コンベア1を駆動して、木材6を図1の左方向に搬送する。すると、木材6の前端面61が移動ストッパー2に当接して木材6の前端面61が加工位置に位置決めされる。その後、前端側木材クランプ装置4Aの空圧シリンダ41Aを駆動して、前端側木材クランプ装置4Aを下降し、木材6の前端側をクランプする。その後、前端側加工機5Aを移動して木材6の前端側や中間側の側面や上下面を加工する。
【0013】
固定ストッパー3は、空圧シリンダ31を駆動して、搬送コンベア1の木材搬送路から退避した退避位置と、木材1の後端面62に当接可能な位置決め位置との間で、図1の上下方向に移動可能である。図1は、木材1の後端面62に当接可能な位置決め位置を示す。搬送コンベア1を駆動して木材6を図1の右方向に搬送し、木材6の後端面62を固定ストッパー3に当接して、木材6の後端面62を加工位置に位置決めする。その後、後端側木材クランプ装置4Bを駆動して木材6の後端側をクランプする。その後、後端側加工機5Bを移動して木材6の後端側や中間側の側面や上下面を加工する。図1のプレカット加工機100は、加工する木材6の質量の差によって、固定ストッパー3の弾性変形量が異なってくる。また、木材6が固定ストッパー3に当接した反動で、木材6の後端面62と固定ストッパー3との間に隙間ができ、木材6の後端側の加工誤差が大きくなる場合がある。
【0014】
[固定ストッパーへの木材位置決め動作の説明]
図2は、図1のプレカット加工機100で固定ストッパー3へ木材6を位置決めする動作を示す動作説明図、図5は本発明の実施の形態の固定ストッパー3へ木材6を位置決めする動作を示すフローチャートである。図2図5に示すように、木材6の後端側の加工が開始されると、ステップS10で、空圧シリンダ31を駆動して、固定ストッパー3を搬送コンベア1の木材搬送路から退避した退避位置に移動する。同時に、前端側木材クランプ装置4A、後端側木材クランプ装置4Bの空圧シリンダ41A、41Bを駆動して、前端側木材クランプ装置4A、後端側木材クランプ装置4Bを上昇させた後、搬送コンベア1を駆動して木材6を図2の左方向に搬送し、木材6の前端面61を移動ストッパー2に当接させる。
【0015】
次に、ステップS20、図3に示すように、空圧シリンダ31を駆動して、固定ストッパー3を図3の上方向に移動した後、モータ22を駆動して移動ストッパー2を図2の右側に移動し、木材6を固定ストッパー3側に移動する。ステップS30で木材6の後端面62が固定ストッパー3に押し当てられ、モータ22のトルクが予め設定された所定のトルクに達したら、ステップS40でモータ22の回転を停止する。
【0016】
ステップS50、図4に示すように、後端側木材クランプ装置4Bの空圧シリンダ41Bを駆動して後端側木材クランプ装置4Bを下降し、木材6の後端側をクランプする。その後、ステップS60、図4に示すように、後端側加工機5Bを移動させて木材6の後端側を基準にして側面や上下面を加工すれば、固定ストッパー3の弾性変形量が一定で、木材6の後端面62と固定ストッパー3との間の隙間が無くなるため、木材6を高精度に加工することが可能となる。上記した固定ストッパー3へ木材6を位置決めする動作は、プレカット加工機100の制御装置に予め設定された制御プログラムに従って、所定加工数、ロッド等の度に実施される。
【0017】
本発明の実施の形態の固定ストッパー3への木材位置決め方法では、木材加工機のオペレーターが木材位置決めのための付加的な作業を行う必要が無く、オペレーターの作業負担が軽減される。また、制御プログラムで固定ストッパー3へ木材6を位置決めするので、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。さらに、固定ストッパー3の機械的な強度を大きくしたり、固定ストッパー3の構成部品を固定する付加的なピンやキー等の機械的な固定手段が不要なため、製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0018】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこの実施の形態に限定されることはない。例えば、前述した実施例では、プレカット加工機に適用した例について説明したが、その他の木材加工機に適用してもよい。また、前述した移動ストッパー2は、ラック、ピニオン機構で駆動するものであったが、ボールネジによる送りネジ機構、チャーン機構等の他の送り駆動手段であっても良い。更に、固定ストッパー3への押圧力は、モータ22のトルクで制御するものであったが、固定ストッパー3に圧力センサーを配置し、この面圧を一定に制御するものであっても良い。モータ22のトルクと固定ストッパー3への面圧は相関関係にあるので、歯車等の機構的な摩擦等の誤差を除けば、本発明ではトルクと面圧は技術的には同一である。
【符号の説明】
【0019】
100…プレカット加工機(木材加工機)
1…搬送コンベア
2…移動ストッパー
21…ラック
22…モータ
23…ピニオン
3…固定ストッパー
31…空圧シリンダ
4A…前端側木材クランプ装置
4B…後端側木材クランプ装置
41A、41B…空圧シリンダ
5A…前端側加工機
5B…後端側加工機
6…木材
61…前端面
62…後端面
図1
図2
図3
図4
図5