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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】噴霧用美容液
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20220705BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20220705BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/64
A61Q19/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019084462
(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公開番号】P2020180081
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-03-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】719002414
【氏名又は名称】株式会社グランツーク研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100123364
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 徳子
(74)【代理人】
【識別番号】100132621
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 孝行
(72)【発明者】
【氏名】三浦 由規
(72)【発明者】
【氏名】三浦 尚子
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-037769(JP,A)
【文献】国際公開第2017/165698(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3144826(JP,U)
【文献】特開2016-188180(JP,A)
【文献】特開2016-222612(JP,A)
【文献】特開2016-160203(JP,A)
【文献】特開2012-067026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
A61K 35/00- 35/768
A61K 36/06- 36/068
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 31/00- 31/327
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間中に、平均粒子径が3μm~5μmの微粒子として噴霧され、皮膚および肺から吸収される美容成分を含む噴霧用美容液であって、
前記美容成分、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドをみ、
少なくとも1日8時間、かつ少なくとも3日連続して噴霧されることを特徴とする噴霧用美容液。
【請求項2】
前記美容成分が、プラセンタから抽出されたものであることを特徴とする請求項に記載の噴霧用美容液。
【請求項3】
前記美容成分として、肝細胞増殖因子、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、クレアチン、セリン、チロシン、テアニン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、プロリン、リシン、ロイシン(分子量89~205)、神経成長因子(NGF)、コロニー刺激因子(CSF)、インスリン様増殖因子(IGF)、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンF、ビタミンK、ミノキシジル、ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド、セレブロシド、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、エラスチン、1.2-ヘキサンジオール、BG、デオキシリボ核酸ナトリウム、DPG、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-30、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400、PCA-Na、プロピレングリコール(PG)、アセチルヒアルロン酸Na、エチルヘキシルグリセリン、加水分解ケラチン、カプリリルグリコール、グリコシルトレハロース、グリセリン、グルタミン酸Na、ジグリセリン、デキストリン、エリスリトール、キシリトール、グルコース、スクロース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、トレハロース、乳糖、ベタイン、ペンチレングリコール、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、4-n-ブチルレゾール、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、グルタチオン、トラネキサム酸、マグノリグナン、リン酸アスコルビルMg、アラントイン、イノシトール、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロール、ピリドキシン塩酸塩、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、塩化Al、クロルヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、グリコール酸、サリチル酸、乳酸、パパイン、硫酸Na、t-フラバノン、アスタキサンチン、アセチルパントテニルエチル、アデノシン三リン酸2Na、アミノカプロン酸、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アミノ酪酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、フェルラ酸エステル、カルニチン、L-カルノシン、D―カルノシン、カロテン、プラトニン、カンフル、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸メチル、シアノコバラミン、シルク、セチルPGヒドロキシエルチルパルミタミド、2-アミノエタンスルフォン酸、トコトリエノール、トコフェリルリン酸Na、トコフェノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェノールパルミチン酸レチノール、パルミトイルオリゴペプチド、パンテノール、パントテン酸Ca、ビオチン、ビサボロール、ヒノキチオール、フェルラ酸、ポリクオタニウム-7、メチオニン、ユビキノン、葉酸、リノール酸、リノレン酸、リボフラビン、ルチン、レチノール、アズレンからなる群から選ばれる化合物の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の噴霧用美容液。
【請求項4】
前記肝細胞増殖因子は、ヒトの肝細胞増殖因子であることを特徴とする請求項3に記載の噴霧用美容液。
【請求項5】
前記上皮成長因子は、ヒトの上皮成長因子であり、
前記線維芽細胞増殖因子は、ヒトの線維芽細胞増殖因子であり
前記セラミドは、ヒトの皮膚に含まれるセラミドである
ことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の噴霧用美容液。
【請求項6】
前記美容成分の濃度が6.0×10-10wt%~6.0wt%の範囲にあることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の噴霧用美容液。
【請求項7】
前記美容成分の濃度が1.0×10-9wt%~3.0wt%の範囲にあることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の噴霧用美容液。
【請求項8】
前記美容成分の濃度が2.0×10-9wt%~1.0wt%の範囲にあることを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の噴霧用美容液。
【請求項9】
コラーゲン、プロテオグリカンおよびヒアルロン酸を含まないことを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の噴霧用美容液。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空間中に噴霧され、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を吸収させることができる噴霧用美容液に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な美容成分を含んだ美容液が製造・販売されて、多くの人々に使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、チシマザサの生の葉及び茎を圧搾して得られる圧搾汁を加熱しながら分留して得られるチシマザサ留出液及びビタミンC 類を含有する美容液が開示されている。この美容液は、無色で透明性があり、嫌味臭のない、安全性、安定性に優れたものであるという特徴を有する。
【0004】
また、特許文献2には、油性成分を乳化粒子として含有し、該乳化粒子の平均粒径が0.02~1.0μmであって、外観が透明であり、粘度が200~100000mPa・sである美容液が開示されている。この美容液は、油性成分を多量に含有することができ、なおかつ外観が透明であるという特徴を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-224750号公報
【文献】特開2001-342113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の美容液は、皮膚に塗布することで、美容成分が皮膚から吸収されるようになっている。
【0007】
ここで、皮膚には皮膚バリア機能があり、外界からの異物(アレルゲン・細菌など)の侵入を防御する機能があることが知られている。この機能は、皮膚に塗布された美容液に含まれる美容成分に対しても働く。その結果、美容液に含まれる美容成分の量に対して、体内に浸透する美容成分の量が非常に少なくなってしまうという問題点があった。特に、分子量が大きなもの(例えば、分子量が500以上の美容成分は皮膚からほとんど吸収されないという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑み、空間中に噴霧させることができ、皮膚だけでなく肺や気道等からも美容成分を吸収させることができる噴霧用美容液を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の発明者は、上述した問題点に関して鋭意研究・開発を続けた結果、美容液は皮膚に塗布されるものという概念を打ち破り、肺等からも吸収させることができるという全く新しい概念を作り出し、以下のような画期的な噴霧用美容液を見出した。また、本発明の発明者は、分子量が500以上の美容成分であっても、皮膚に塗布した場合と比較して、空間中に噴霧させ、肺等から吸収させた方がより効率的に体内に取り入れることができることを見出した。
【0010】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、美容成分として、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことを特徴とする噴霧用美容液にある。
【0011】
ここで、「上皮成長因子」(EGF)は、ヒトの上皮成長因子と同様の効果があれば特に限定されず、例えば豚や馬の胎盤(プラセンタ)に含まれている上皮成長因子であってもよいが、ヒトの上皮成長因子が好ましい。
【0012】
「線維芽細胞増殖因子」(FGF)は、ヒトの線維芽細胞増殖因子と同様の効果があれば特に限定されず、例えば豚や馬の胎盤(プラセンタ)に含まれている線維芽細胞増殖因子であってもよいが、ヒトの線維芽細胞増殖因子(FGF1、FGF2、FGF3、FGF4、FGF5、FGF6、FGF7、FGF8、FGF9、FGF10、FGF11、FGF12、FGF13、FGF14、FGF16、FGF17、FGF18)が好ましい。
【0013】
「セラミド」は、ヒトの皮膚に含まれるものと同様の保湿等の効果を奏するものであれば特に限定されないが、ヒトの皮膚に含まれる次の11個の化合物が高い美容効果を奏するので好ましく、下記のセラミド2およびセラミド3はより高い美容効果を奏するので特に好ましい。
【0014】
【化1】
【0015】
【化2】
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
【化10】
【0024】
【化11】
【0025】
また、「美容液」とは、容姿・肌などを美しくすることだけでなく、容姿・肌などを保つために用いられる液体という。
【0026】
かかる第1の態様では、空間中に噴霧させることにより微粒子化されているため、皮膚からの取り込みが容易になる。また、肺等からも美容成分を吸収させることができる噴霧用美容液を提供することができる。特に、肺等からの美容成分の吸収は、皮膚からの吸収と比較して非常に効率的である。したがって、本発明の噴霧用美容液は、従来の美容液と比較して効率的に体内吸収されるので、高い美容効果が得られる。また、呼吸等で美容成分を体内に取り入れるので、身体全体において高い美容効果を得ることができる。
【0027】
本発明の第2の態様は、美容成分として、セラミドと、上皮成長因子または線維芽細胞増殖因子の何れか一方を含むことを特徴とする第1の態様に記載の噴霧用美容液にある。
【0028】
かかる第2の態様では、空間中に噴霧させることができ、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を吸収させることができる噴霧用美容液を提供することができる。本発明の噴霧用美容液は、肺等から吸収されるので、従来の美容液と比較して効率的に体内吸収されるので、より高い美容効果が得られる。また、呼吸等で美容成分を体内に取り入れるので、身体全体において、より高い美容効果を得ることができる。
【0029】
本発明の第3の態様は、美容成分として、セラミド、上皮成長因子および線維芽細胞増殖因子を含むことを特徴とする第1の態様に記載の噴霧用美容液にある。
【0030】
かかる第3の態様では、空間中に噴霧させることができ、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を吸収させることができる噴霧用美容液を提供することができる。本発明の噴霧用美容液は、肺等から吸収されるので、従来の美容液と比較して効率的に体内吸収されるので、さらに高い美容効果が得られる。また、呼吸等で美容成分を体内に取り入れるので、身体全体において、さらに高い美容効果を得ることができる。
【0031】
本発明の第4の態様は、美容成分が、プラセンタから抽出されたものであることを特徴とする第1~第3の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0032】
ここで、プラセンタとは、動物の胎盤をいう。プラセンタとしては、動物の胎盤であれば特に限定されないが、例えば馬、豚およびヒトの胎盤が高い美容効果を奏するので好ましく、ヒトの胎盤が特に高い美容効果を奏するのでより好ましい。
【0033】
かかる第4の態様では、高い美容効果を有する噴霧用美容液を提供することができる。
【0034】
本発明の第5の態様は、美容成分として、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、クレアチン、セリン、チロシン、テアニン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、プロリン、リシン、ロイシン(分子量89~205)、神経成長因子(NGF)、コロニー刺激因子(CSF)、インスリン様増殖因子(IGF)、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンF、ビタミンK、ミノキシジル、ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド、セレブロシド、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、エラスチン、1.2-ヘキサンジオール、BG、デオキシリボ核酸ナトリウム、DPG、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-30、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400、PCA-Na、プロピレングリコール(PG)、アセチルヒアルロン酸Na、エチルヘキシルグリセリン、加水分解ケラチン、カプリリルグリコール、グリコシルトレハロース、グリセリン、グルタミン酸Na、ジグリセリン、デキストリン、エリスリトール、キシリトール、グルコース、スクロース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、トレハロース、乳糖、ベタイン、ペンチレングリコール、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、4-n-ブチルレゾール、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、グルタチオン、トラネキサム酸、マグノリグナン、リン酸アスコルビルMg、アラントイン、イノシトール、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロール、ピリドキシン塩酸塩、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、塩化Al、クロルヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、グリコール酸、サリチル酸、乳酸、パパイン、硫酸Na、t-フラバノン、アスタキサンチン、アセチルパントテニルエチル、アデノシン三リン酸2Na、アミノカプロン酸、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アミノ酪酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、フェルラ酸エステル、カルニチン、L-カルノシン、D―カルノシン、カロテン、プラトニン、カンフル、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸メチル、シアノコバラミン、シルク、セチルPGヒドロキシエルチルパルミタミド、2-アミノエタンスルフォン酸、トコトリエノール、トコフェリルリン酸Na、トコフェノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェノールパルミチン酸レチノール、パルミトイルオリゴペプチド、パンテノール、パントテン酸Ca、ビオチン、ビサボロール、ヒノキチオール、フェルラ酸、ポリクオタニウム-7、メチオニン、ユビキノン、葉酸、リノール酸、リノレン酸、リボフラビン、ルチン、レチノール、アズレンからなる群から選ばれる化合物の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする第1~第4の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0035】
ここで、「肝細胞増殖因子」(HGF)は、ヒトの肝細胞増殖因子と同様の効果があれば特に限定されず、例えば豚や馬の胎盤(プラセンタ)に含まれている肝細胞増殖因子であってもよいが、ヒトの肝細胞増殖因子が好ましい。
【0036】
かかる第5の態様では、空間中に噴霧させることができ、皮膚だけでなく肺等からも美容成分を吸収させることができる噴霧用美容液を提供することができる。本発明の噴霧用美容液は、肺等から吸収されるので、従来の美容液と比較して効率的に体内吸収されるので、より高い美容効果が得られる。
【0037】
本発明の第6の態様は、上皮成長因子は、ヒトの上皮成長因子であり、線維芽細胞増殖因子は、ヒトの線維芽細胞増殖因子であり、肝細胞増殖因子は、ヒトの肝細胞増殖因子であり、セラミドは、ヒトの皮膚に含まれるセラミドであることを特徴とする第1~第5の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0038】
かかる第6の態様では、ヒトの上皮成長因子、ヒトの線維芽細胞増殖因子、ヒトの肝細胞増殖因子、ヒトの肝細胞増殖因子やヒトの皮膚に含まれるセラミドであるので、より高い美容効果が得られる。
【0039】
本発明の第7の態様は、美容成分の濃度が6.0×10-10wt%~6.0wt%の範囲にあることを特徴とする第1~第6の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0040】
かかる第7の態様では、噴霧させると十分な美容効果を有する噴霧用美容液を提供することができる。
【0041】
本発明の第8の態様は、美容成分の濃度が1.0×10-9wt%~3.0wt%の範囲にあることを特徴とする第1~第6の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0042】
かかる第8の態様では、噴霧させるとより高い美容効果を有する噴霧用美容液を提供することができる。
【0043】
本発明の第9の態様は、美容成分の濃度が2.0×10-9wt%~1.0wt%の範囲にあることを特徴とする第1~第8の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0044】
かかる第9の態様では、噴霧させるとさらに高い美容効果を有する噴霧用美容液を提供することができる。
【0045】
本発明の第10の態様は、平均粒子径が1μm~10μmの範囲にあることを特徴とする第1~第9の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0046】
かかる第10の態様では、美容成分を体内に、容易に吸収させることができる。
【0047】
本発明の第11の態様は、平均粒子径が3μm~5μmの範囲にあることを特徴とする第1~第9の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0048】
かかる第11の態様では、美容成分を体内に、より容易に吸収させることができる。
【0049】
本発明の第12の態様は、コラーゲン、プロテオグリカンおよびヒアルロン酸を含まないことを特徴とする第1~第11の態様の何れか1つに記載の噴霧用美容液にある。
【0050】
かかる第12の態様では、噴霧後の残渣(残留物)が少ない噴霧用美容液を提供することができる。コラーゲン、プロテオグリカンおよびヒアルロン酸を含む美容液を噴霧化(微粒子化)させると、これらの化合物を噴霧化(微粒子化)できず、噴霧用美容液中に残渣として残ってしまう。その結果、噴霧用美容液のタンク等の洗浄頻度が多くなる。一方、本態様の噴霧用美容液を噴霧させてもその残渣は少なく、噴霧用美容液のタンク等の洗浄頻度を低減させることができる。
【0051】
なお、上述した上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子、肝細胞増殖因子、肝細胞増殖因子およびセラミドは、ヒトを含む動物の胎盤等から抽出されたものでもよいし、人工的に合成されたものでもよい。
また、美容液中の美容成分以外の成分は特に限定されず、水等が含まれていてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に、本発明に係る噴霧用美容液の実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
(実施形態1)
【0053】
本実施形態に係る噴霧用美容液は、所定の美容成分を含む噴霧用美容液であり、超音波振動子等を備えた噴霧器等を用いて空間に噴霧され、その美容成分が皮膚だけでなく、肺等からも体内に吸収されるものである。
【0054】
所定の美容成分としては、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)およびセラミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が含まれていればよい。
【0055】
噴霧用美容液中に含まれる美容成分の濃度は特に限定されないが、6.0×10-8wt%~6.0wt%の範囲のものを噴霧させると、十分な美容効果を有するので好ましく、1.0×10-8wt%~3.0wt%の範囲のものを噴霧させると、より高い美容効果を有するのでより好ましく、2.0×10-8wt%~1.0wt%の範囲のものを噴霧させると、さらに高い美容効果を有するので特に好ましい。
【0056】
噴霧用美容液は、噴霧器によって、平均粒子径が1μm~10μmの範囲にある微粒子として空間中に噴霧される。
【0057】
なお、噴霧器としては、噴霧用美容液を噴霧(微粒子化)できるものであれば特に限定されないが、周波数が1.5MHz~2.8MHzの範囲にある超音波を照射できるものが好ましい。周波数が1.5MHzより低いと、噴霧用美容液を噴霧することができない。一方、周波数が2.8MHzよりも高いと、噴霧用美容液に含まれる美容成分を分解してしまう。したがって、この範囲の周波数を噴霧用美容液に照射できる噴霧器を用いると、美容成分を分解することなく、噴霧用美容液を平均粒子径が1μm~10μmの範囲にある微粒子として空間に噴霧させることができる。噴霧器としては、例えば、上述した周波数を照射できる市販されている噴霧器を使用することができる。
【0058】
ここで、微粒子の平均粒子径は、レーザー回析式粒度分布測定装置等(例えば、マスターサイザー3000(登録商標、Malvern Panalytical社製)により測定することができる。
【0059】
微粒子化された噴霧用美容液は、吸気と共に気道を通って肺内に送られる。そして、噴霧用美容液に含まれる美容成分は、肺胞や気道等から体内に吸収されることになる。
【0060】
ここで、皮膚とは異なり、肺胞や気道等には皮膚バリア機能がない。したがって、噴霧用美容液に含まれる美容成分は、皮膚に塗布した場合と比較して、容易にかつ大量に体内に吸収されることになる。その結果、皮膚に塗布する従来の美容液と比較して、高い美容効果が得られる。
【0061】
なお、美容効果は、噴霧用美容液に含まれる美容成分によって異なる。美容成分が上皮成長因子の場合には、皮膚の表面の細胞のターンオーバー(肌の新陳代謝)を促進すると共に肌の保湿能力を高めることができる。
【0062】
美容成分が線維芽細胞増殖因子の場合には、皮膚の深いところにある真皮の線維芽細胞を増殖させ、ターンオーバーを促進する。
【0063】
美容成分がセラミドの場合には、セラミド1による紫外線や摩擦などの外部刺激からの保護、セラミド2による肌の保水力のサポート、セラミド3によるシワの低減、セラミド4、5による角質の脂質バリア機能の保持、セラミド6による肌の保水力のサポート、ターンオーバーの促進、シワを軽減することができる。なお、噴霧用美容液に含まれるセラミドは、1種類だけでもよいし、複数種類のセラミドが含まれてもよい。
(実施形態2)
【0064】
実施形態1では、噴霧用美容液に含まれる美容成分として、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が含まれていればよいとしたが、本発明はこれに限定されない。
【0065】
例えば、美容成分として、セラミドと上皮成長因子とを含むように噴霧用美容液を構成してもよいし、セラミドと線維芽細胞増殖因子とを含むように噴霧用美容液を構成してもよい。
【0066】
例えば、美容成分として、セラミドと上皮成長因子とが噴霧用美容液に含まれている場合には、上述した上皮成長因子の美容効果に、セラミドの美容効果が加わることによってより効率的に皮膚表面のターンオーバーが促進される。
【0067】
また、美容成分として、セラミドと線維芽細胞増殖因子とが噴霧用美容液に含まれている場合には、上述した線維芽細胞増殖因子の美容効果にセラミドの美容効果が加わることによってより効率的に皮膚深層のターンオーバーが促進される。
(実施形態3)
【0068】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、美容成分として、セラミド、上皮成長因子および線維芽細胞増殖因子を含むように噴霧用美容液を構成してもよい。
【0069】
このように噴霧用美容液を構成することにより、上述した上皮成長因子の美容効果、上述した線維芽細胞増殖因子の美容効果に加えて、セラミドの美容効果も同時に得ることができる。また、それぞれの相乗効果により、単独で使用した場合と比較してより強力に皮膚のターンオーバーが促進され、高い修復効果が得られる。
(実施形態4)
【0070】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、肝細胞増殖因子(HGF)をさらに含むように噴霧用美容液を構成してもよい。
【0071】
このように構成することにより、各美容成分の美容効果に加えて、肝細胞増殖因子による体全体の細胞の新陳代謝が促進される。
<実施例>
【0072】
次の美容成分(wt%)が含まれる噴霧用美容液(実施例)を作成した。これに含まれるセラミド等はヒトから抽出されたものと同じ成分となっている。なお、これ以外に噴霧用美容液に含まれている成分は水である。
【0073】
【表1】
<比較例1>
【0074】
次の美容成分が含まれる噴霧用美容液(比較例)を作成した。これに含まれる美容成分は、実施例と同様に、ヒトから抽出されたものと同じ成分となっている。なお、これ以外に噴霧用美容液に含まれている成分は、実施例と同様に水である。
【0075】
【表2】
【0076】
これらの噴霧用美容液を、試験者(10名)がいる空間容積35mの空間中に1日8時間、噴霧量(40g/h)で噴霧した。この作業を3日間連続して繰り返した。
【0077】
その後、第三者がその試験者の肌に触れ、試験者の肌の状態を検査した。
<比較例2>
【0078】
実施例の噴霧用美容液を、3日間連続して試験者(10名)の肌に塗布した。その後、第三者がその試験者の肌に触れ、試験者の肌の状態を検査した。
これらの結果を次に示す。
【0079】
【表3】
【0080】
ここで、「〇」は肌の保湿感、密度に改善が見られたことを示し、「×」は保湿感、密度に改善が見られなかったことを示す。なお、比較例1を噴霧した際には、残渣物がタンク内に残留していた。
【0081】
このように、実施例を空間中に噴霧することによって、直接皮膚に塗布した場合(比較例2)と比較しても、高い美容効果が得られることが分かった。
(他の実施形態)
【0082】
実施形態1では、噴霧用美容液は、噴霧器によって、平均粒子径が1μm~10μmの範囲にある微粒子として空間中に噴霧されるようにしたが、本発明はこれに限定されない。噴霧用美容液は、平均粒子径が3μm~5μmの範囲の微粒子として噴霧された方が好ましい。平均粒子径がこの範囲にあるものは、美容成分を体内により容易に吸収させることができる。その結果、高い美容効果が得られる。
【0083】
なお、平均粒子径がこの範囲にある噴霧用美容液は、周波数が1.6MHz~2.4MHzの範囲にある超音波を照射できる噴霧器を用いることにより作製することができる。
【0084】
また、上述した実施形態では、上述した美容成分以外の噴霧用美容液に含まれる美容成分は特に限定されない。噴霧用美容液に含まれるその他の美容成分としては、例えば、アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、グルタミン酸、クレアチン、セリン、チロシン、テアニン、トレオニン、バリン、ヒスチジン、ヒドロキシプロリン、フェニルアラニン、プロリン、リシン、ロイシン(分子量89~205)、神経成長因子(NGF)、コロニー刺激因子(CSF)、インスリン様増殖因子(IGF)、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシル、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンF、ビタミンK、ミノキシジル、ピロリジニルジアミノピリミジンオキシド、セレブロシド、プロテオグリカン、ヒアルロン酸、エラスチン、1.2-ヘキサンジオール、BG、デオキシリボ核酸ナトリウム、DPG、PEG-6、PEG-8、PEG-20、PEG-30、PEG-32、PEG-75、PEG-150、PEG-400、PCA-Na、プロピレングリコール(PG)、アセチルヒアルロン酸Na、エチルヘキシルグリセリン、加水分解ケラチン、カプリリルグリコール、グリコシルトレハロース、グリセリン、グルタミン酸Na、ジグリセリン、デキストリン、エリスリトール、キシリトール、グルコース、スクロース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、トレハロース、乳糖、ベタイン、ペンチレングリコール、ポリクオタニウム-51、ポリクオタニウム-61、メチルグルセス-10、メチルグルセス-20、4-n-ブチルレゾール、アスコルビルグルコシド、アスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、グルタチオン、トラネキサム酸、マグノリグナン、リン酸アスコルビルMg、アラントイン、イノシトール、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸エチル、グリチルリチン酸2K、グリチルレチン酸ステアリル、酢酸トコフェロール、ピリドキシン塩酸塩、ジパルミチン酸ピリドキシン、ジカプリル酸ピリドキシン、塩化Al、クロルヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、グリコール酸、サリチル酸、乳酸、パパイン、硫酸Na、t-フラバノン、アスタキサンチン、アセチルパントテニルエチル、アデノシン三リン酸2Na、アミノカプロン酸、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アミノ酪酸、エストラジオール、エチニルエストラジオール、フェルラ酸エステル、カルニチン、L-カルノシン、D―カルノシン、カロテン、プラトニン、カンフル、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸メチル、シアノコバラミン、シルク、セチルPGヒドロキシエルチルパルミタミド、2-アミノエタンスルフォン酸、トコトリエノール、トコフェリルリン酸Na、トコフェノール、ナイアシンアミド、ニコチン酸トコフェノールパルミチン酸レチノール、パルミトイルオリゴペプチド、パンテノール、パントテン酸Ca、ビオチン、ビサボロール、ヒノキチオール、フェルラ酸、ポリクオタニウム-7、メチオニン、ユビキノン、葉酸、リノール酸、リノレン酸、リボフラビン、ルチン、レチノール、アズレン等が挙げられる。
【0085】
ただし、これらの成分のうち、コラーゲン、プロテオグリカンおよびヒアルロン酸が含まれない噴霧用美容液が好ましい。これらの化合物は、上皮成長因子、線維芽細胞増殖因子およびセラミドが十分に噴霧できる噴霧条件でも噴霧されにくい。その結果、噴霧用美容液中に残留物として残留し、その他の美容成分の噴霧に悪影響を及ぼす可能性がある。