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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】テープ貼付装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 35/07 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
B65H35/07 Q
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019157878
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021035876
(43)【公開日】2021-03-04
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】592026901
【氏名又は名称】マルゴ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明
(72)【発明者】
【氏名】丸山 剛
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-188290(JP,A)
【文献】特開2017-197309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 35/00-35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架設経路に沿ってテープを供給するテープ供給機構と、前記テープ供給機構によって供給される前記テープを貼付面に貼り付けるテープ貼付機構と、前記架設経路上の切断位置で前記テープを切断するテープ切断機構と、を具備するテープ貼付装置において、
前記テープ切断機構は、前記架設経路上の前記切断位置に対し上流側に隣接するクランプ領域で前記テープを表裏両側から挟持する一対のクランプ部を備えるクランプ手段と、前記クランプ手段により挟持された前記テープを前記切断位置で切断する切断手段とを有
前記一対のクランプ部は、前記テープの幅方向の一端部を端縁を含む態様で挟持するとともに、前記切断手段は、前記テープを前記一端部の端縁から他端部へ向けて切断する、
テープ貼付装置。
【請求項2】
前記切断手段は、前記一端部から前記他端部に向けて前記幅方向にスライド移動する切断刃を備える、
請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
一方の前記クランプ部は、前記架設経路の一面側に固定されるテープ支持部であり、
他方の前記クランプ部は、前記架設経路の他面側において前記テープ支持部に対して前記テープを挟圧するように移動可能に構成される可動クランプ部である、
請求項1又は2に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記テープ支持部は、前記貼付面に貼り付けられる前記テープの被貼付面とは反対の面を支持し、
前記可動クランプ部は、前記テープの前記被貼付面をクランプする、
請求項3に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
架設経路に沿ってテープを供給するテープ供給機構と、前記テープ供給機構によって供給される前記テープを貼付面に貼り付けるテープ貼付機構と、前記架設経路上の切断位置で前記テープを切断するテープ切断機構と、を具備するテープ貼付装置において、
前記テープ切断機構は、前記架設経路上の前記切断位置に隣接するクランプ領域で前記テープを表裏両側から挟持する一対のクランプ部を備えるクランプ手段と、前記クランプ手段により挟持された前記テープを前記切断位置で切断する切断手段とを有
前記テープ貼付機構は、前記貼付面から離間した待機位置と、前記テープを前記貼付面に貼り付ける貼付位置との間を移動可能に構成されるテープ貼付ローラを有し、
前記テープ貼付ローラが前記待機位置にあるときに前記テープは前記切断手段により切断され、前記テープの切断後において前記テープ貼付ローラが前記貼付位置に移動したときに前記テープの貼付動作が開始され、
前記切断位置及び前記クランプ領域は、前記架設経路上の前記テープ貼付ローラの貼付点よりも下流側にそれぞれ設定され、前記クランプ領域は前記切断位置の上流側に隣接する、
テープ貼付装置。
【請求項6】
前記クランプ手段は、前回のテープ貼付工程において、前記テープ貼付ローラが前記待機位置に配置されているときに前記切断手段により前記テープが切断される前から、今回のテープ貼付工程において、前記テープ貼付ローラが前記貼付位置に移動し、前記テープの前記貼付面に対する貼り付けが開始されるまで、前記クランプ領域において前記テープを挟持した状態に保持する、
請求項5に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
前記テープ供給機構は、前記テープ貼付ローラの貼付点よりも上流側に設定された固定位置において前記テープを固定可能なテープ固定手段を備え、
前記テープ供給機構は、前記テープ貼付ローラが前記待機位置から前記貼付位置まで移動する間において、前記固定位置と前記クランプ領域との間の前記架設経路に沿った距離を一定に維持する、
請求項6に記載のテープ貼付装置。
【請求項8】
前記テープ供給機構は、前記固定位置と前記テープ貼付ローラの貼付点との間において、前記固定位置の側において前記テープを案内し、前記固定位置に対して固定された軸支位置を備える第1の案内ローラと、前記テープ貼付ローラの側において前記テープを案内し、前記テープ貼付ローラの軸支位置に固定された軸支位置を備える第2の案内ローラと、を有する、
請求項7に記載のテープ貼付装置。
【請求項9】
前記第1の案内ローラと前記第2の案内ローラの少なくとも一方は、前記軸支位置を調整可能に構成される、
請求項8に記載のテープ貼付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ切断機構を備えたテープ貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テープ貼付装置として、貼付面に対して接触及び離間可能に構成されたテープ貼付ローラ12と、テープ貼付ローラ12とは独立して上記貼付面に対して接触及び離間可能に構成されたテープ押付ローラ16と、上記テープ貼付ローラ12と上記貼付面との間に架設されたテープを切断するためのテープ切断機構17とを備えたテープ貼付装置が知られている(以下の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-197309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来のテープ貼付装置の上記テープ切断機構17においては、切断刃17aがテープTの架設方向と略直交する方向からテープTに突き刺されるように動作するため、テープTが柔らかい材質や伸びやすい素材で構成された場合には、テープTが撓みやすいことから、切断不良が生じたり、テープTに高い張力を与える必要があるためにテープTに切断時の伸びによる変質が生じたりするという問題点がある。
【0005】
また、上記従来のテープ貼付装置では、前回のテープ貼付工程でテープ切断機構17によって切断されることによって形成されたテープTの先端部Taがテープ貼付ローラ12から突出し、拘束されない自由な状態となっていることから、次のテープ貼付工程でテープ貼付ローラ12が貼付面に降下して貼り付けを開始する際に、上記先端部Taの上記貼付面上の貼り付け位置がずれるという問題点もあった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、材質に拘わらず、テープの切断を容易化することのできるテープ切断機構及びこれを備えたテープ貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のテープ切断機構は、テープの架設経路上の切断位置に隣接するクランプ領域で前記テープを表裏両側から挟持する一対のクランプ部を備えるクランプ手段と、前記クランプ手段により挟持された前記テープを前記切断位置で切断する切断手段と、を有する。ここで、前記一対のクランプ部は、前記テープの幅方向の一端部を端縁を含む態様で挟持するとともに、前記切断手段は、前記テープを前記一端部の端縁から他端部へ向けて切断することが好ましい。特に、前記切断手段は、前記一端部から前記他端部に向けて前記幅方向にスライド移動する切断刃を備えることが望ましい。
【0008】
本発明において、一方の前記クランプ部は、前記架設経路の一面側に固定されるテープ支持部であり、他方の前記クランプ部は、前記架設経路の他面側において前記テープ支持部に対して前記テープを挟圧するように移動可能に構成される可動クランプ部であることが好ましい。この場合において、前記テープ支持部は、前記貼付面に貼り付けられる前記テープの被貼付面とは反対の面を支持し、前記可動クランプ部は、前記テープの前記被貼付面をクランプすることが好ましい。また、前記テープ支持部は前記テープを幅方向全体にわたり支持し、前記可動クランプ部は、前記テープの幅方向の少なくとも前記一端部を端縁を含む態様で前記テープ支持部との間で挟持することが好ましい。このとき、前記可動クランプ部は、前記架設経路の前記一端部の端縁の内側から前記一端部へ近づくとともに前記端縁よりも内側に配置された中心軸の周りに回動することにより前記テープ支持部上の前記テープを挟圧することが望ましい。
【0009】
本発明のテープ貼付装置は、テープの架設経路に沿ってテープを供給するテープ供給機構と、前記テープ供給機構によって供給される前記テープを貼付面に貼り付けるテープ貼付機構と、前記架設経路上の切断位置で前記テープを切断するテープ切断機構と、を具備する。ここで、前記テープ切断機構は、前述の構成を有することが好ましい。また、前記テープ貼付機構は、前記貼付面から離間した待機位置と、前記テープを前記貼付面に貼り付ける貼付位置との間を移動可能に構成されるテープ貼付ローラを有することが好ましい。ここで、前記テープ貼付ローラが前記待機位置にあるときに前記テープは前記切断手段により切断され、前記テープの切断後において前記テープ貼付ローラが前記貼付位置に移動したときに前記テープの貼付動作が開始されることが望ましい。このとき、前記切断位置及び前記クランプ領域は、前記架設経路上の前記テープ貼付ローラの貼付点よりも下流側にそれぞれ設定され、前記クランプ領域は前記切断位置の上流側に隣接することが好ましい。
【0010】
本発明において、前記クランプ手段は、前回のテープ貼付工程において、前記テープ貼付ローラが前記待機位置に配置されているときに前記切断手段により前記テープが切断される時点から、今回のテープ貼付工程において、前記テープ貼付ローラが前記貼付位置に移動し、前記テープの前記貼付面に対する貼り付けが開始されるまで、前記クランプ領域において前記テープを挟持した状態に保持することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記テープ供給機構は、前記テープ貼付ローラの貼付点よりも上流側に設定された固定位置において前記テープを固定可能なテープ固定手段を有することが好ましい。このとき、前記テープ供給機構は、前記テープ貼付ローラが前記待機位置から前記貼付位置まで移動する間において、前記固定位置と前記クランプ領域との間の前記架設経路に沿った距離を一定に維持することが望ましい。
【0012】
本発明において、前記テープ供給機構は、前記固定位置と前記テープ貼付ローラの貼付点との間において、前記固定位置の側において前記テープを案内し、前記固定位置に対して固定された軸支位置を備える第1の案内ローラと、前記テープ貼付ローラの側において前記テープを案内し、前記テープ貼付ローラの軸支位置に固定された軸支位置を備える第2の案内ローラと、を有することが望ましい。これにより、前述の距離を一定に維持することが容易になる。この場合において、前記第1の案内ローラと前記第2の案内ローラの少なくとも一方は、前記軸支位置を調整可能に構成されることがさらに望ましい。これにより、前述の距離の調整が容易になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、材質に拘わらず、テープの切断を容易化することのできるテープ切断機構及びこれを備えたテープ貼付装置を実現できる。また、さらなる構成を付加することにより、テープ切断機構によってテープの先端部の貼り付け位置を高精度化できるテープ貼付装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係るテープ貼付装置の実施形態の全体構成について、テープ貼付ローラが待機位置にあるときの様子を示す正面図である。
図2】同実施形態の全体構成について、テープ貼付ローラが貼付位置にあるときの様子を示す正面図である。
図3】同実施形態のテープ切断機構の正面図(a)、右側面図(b)、左側面図(c)、平面図(d)、主要部の拡大正面図(e)、及び、主要部の拡大右側面図(f)である。
図4】同実施形態のテープ切断機構の動作手順の態様を示す右側面図(a)~(d)である。
図5】同実施形態のテープ切断機構の動作手順の態様を示す左側面図(a)~(d)である。
図6】同実施形態の全体の動作手順を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、添付図面を参照して本発明のテープ貼付装置の実施形態について詳細に説明する。最初に、図1及び図2を参照して、本発明に係るテープ貼付装置の全体構成について説明する。
【0016】
本実施形態のテープ貼付装置1は、図1及び図2に示すテープ貼付ユニット10と、このテープ貼付ユニット10を貼付面2に対して移動可能に制御する制御駆動機構3とを具備する。ここで、貼付面2は、図示しないテーブル上に配置された基板、容器、装置、器具などの貼付対象物のテープを貼り付ける表面である。また、上記制御駆動機構3は、貼付面2に対して、上記テープ貼付ユニット10を貼付面2と平行な平面方向に沿って相対的に移動させることができる。さらに、上記制御駆動機構3は、上記テープ貼付ユニット10の貼付面2との間隔も適宜に設定可能に構成される。
【0017】
テープ貼付ユニット10は、それぞれ回転可能に軸支された、テープ供給リール11、テンションローラ12、テープ固定手段13、第1の案内ローラ14、及び、第2の案内ローラ15を含むテープ供給機構10Aを含む。テープTは、少なくとも一面(被貼付面)が粘着性を有する。このテープTは、テープ供給リール11に装着された巻体から引き出され、テンションローラ12を経てテープ固定手段13に供給される。テープ固定手段13は、テープTの架設経路Rtの一面側に配置される支持ローラ13aと、この支持ローラ13aと対向し、架設経路Rtの他面側に配置されるストッパ13bとを備える。ストッパ13bは、支持ローラ13a上に配置されるテープTを押圧面により押圧し、テープTを固定する。図示のストッパ13bは回動式のストッパを構成する。
【0018】
上記テープ固定手段13を通過したテープTは、第1の案内ローラ14及び第2の案内ローラ15を経て、テープ貼付ローラ16に供給される。テープ貼付ローラ16は、軸支ブロック21上において回転可能に軸支され、この軸支ブロック21が空圧シリンダ等の駆動機構により上下に移動可能に構成される。これによって、テープ貼付ローラ16は、貼付面2から離間した待機位置(図1に示す位置)と、貼付面2上の貼付位置(図2に示す位置)との間を移動可能に構成される。また、上記軸支ブロック21上には第2の案内ローラ15も軸支される。これにより、第2の案内ローラ15は、テープ貼付ローラ16とともに移動可能に軸支される。
【0019】
また、テープ押付ローラ17が、架設経路Rtの末端に用意される。テープ押付ローラ17は、貼付面2から離間した待機位置と、貼付面2上の貼付位置(図1及び図2に示す位置)との間を移動可能に構成される。このテープ押付ローラ17も、上記テープ貼付ローラ16と同様に軸支ブロック22に回転可能に軸支され、軸支ブロック22とともに上下に移動可能に構成される。このテープ貼付ユニット10において、上記テープ貼付ローラ16及びテープ押付ローラ17並びにこれらの駆動機構は、テープ貼付機構10Bを構成する。
【0020】
テープ貼付ユニット10には、架設経路Rt上でテープTを切断するためのテープ切断機構10Cが設けられる。このテープ切断機構10Cでは、架設経路Rt上におけるテープ貼付ローラ16の貼付点Paよりも下流側に、テープTが切断される切断位置CPが設定される。テープ切断機構10Cは、図3に示すように、この切断位置CPに隣接するクランプ領域CRでテープTを表裏両側から挟持する一対のクランプ部18a、18bを備えるクランプ手段18を有する。このクランプ領域CRは、架設経路Rt上で上記切断位置CPよりも上流側に設定される。なお、切断位置CP及びクランプ領域CRは図中には示していないが、図1においては、架設経路Rtと切断刃19aとが交差する点が切断位置CPに相当する。また、架設経路Rt上のクランプ部18aのクランプ面Psとクランプ部18bのクランプ面Pcとの間に挟持される領域がクランプ領域CRに相当する。
【0021】
また、テープ切断機構10Cは、クランプ手段18により挟持された状態のテープTを切断位置CPで切断する切断手段19を有する。ここで、図3(b)に示すように、一対のクランプ部18a、18bは、テープTの幅方向の一端部Ts1を端縁を含む態様で挟持するとともに、切断手段19は、テープTを一端部Ts1の端縁から他端部Ts2へ向けて切断する。特に、切断手段19は、一端部Ts1の端縁から他端部Ts2に向けて幅方向にスライド移動する切断刃19aを備える。ここで、切断刃19aは、幅方向に対して上下いずれかに斜めに傾斜する刃先を備えることが好ましい。図示例では、切断刃19aの刃先は、斜め下方に向く姿勢で傾斜している。
【0022】
クランプ手段18のクランプ部18aは、架設経路Rtに対して固定されたテープ支持部を構成する。このクランプ部18aは、テープTを貼付面2とは反対側の上方から支持するように設けられる。クランプ部18aのクランプ面(テープ支持面)Psは架設経路Rtに沿った面である。また、そのクランプ面Psは、テープTの幅方向に平坦に延長された形状を備える。図3(b)に示すように、クランプ部18aは、幅広のテープTにも対応可能なように広幅に形成され、使用するテープTの幅に合わせたテープガイド23a,23bが幅方向両側に移動可能に取り付けられる。
【0023】
一方、クランプ部18bは、架設経路Rtに対して移動可能な可動クランプ部を構成する。このクランプ部18bは、貼付面2の側の下方から上記クランプ面Psと対向するクランプ面PcによりテープTを挟圧するように構成される。このクランプ面Pcも、架設経路Rtに沿った面を構成する。また、クランプ手段18は、このクランプ部18bを動作させるためのクランプ駆動部18cを有する。クランプ駆動部18cは、空圧シリンダ等の駆動手段24と、この駆動手段24によりテープTの幅方向に移動可能に構成された移動体25と、この移動体25に対して架設経路Rtの架設方向或いはその両側の水平方向と垂直方向の間の方向(図示例では水平方向)に沿った軸25aの周りに回動可能に取り付けられ、コイルばね25bによりクランプ部18bがクランプ部18aから離れる向きに付勢された回動体26とを備える。回動体26には、移動体25の移動方向に突出した当接部26aが設けられ、この当接部26aは、移動体25の移動時において、クランプ部18a若しくはこれに固定された被当接部27に当接可能に構成される。そして、当接部26aが被当接部27に当接したときに回動体26が軸25aの周りに上記付勢の向きとは逆向きに回動するように構成される。これにより、クランプ部18bは、一端部Ts1の端縁よりも内側に配置される軸25aを中心に回動し、テープTを架設経路Rtの他面側(下方)から押圧する。ここで、回動体26の一部は、クランプ部18aと対向する領域に張り出すように形成され、上記可動クランプ部18bを構成している。
【0024】
図4及び図5に示すように、駆動手段24によって移動体25がテープTに向かってその幅方向に移動すると、当接部26aが被当接部27に当接することにより、回動体26がコイルばねの付勢力に抗して、クランプ部18bがクランプ部18aに向けて接近する方向に回動し、テープTを間に挟み込む形でクランプする。このときのテープTがクランプ面PsとPcによりクランプされる領域、すなわち、クランプ領域CRは、架設経路Rt上の上記切断位置CPの上流側に隣接する。このように動作することにより、テープTに対して幅方向の応力を与えずに、架設経路Rt上のテープTにねじれや損傷を与えることなく、クランプ部18aと18bで表裏両側からしっかりとクランプすることができる。図示例では、クランプ部18bがテープTの一端部Ts1の内側から繰り出して回動することにより、当該一端部Ts1を端縁を含む態様でクランプ部18aとの間で確実に挟持する。これにより、後述する切断初期の切り込み時におけるテープTの変形を防止する効果を維持しつつ、クランプ部18bを必要以上に長く構成する必要がなくなる。もっとも、一対のクランプ部18a,18bによってテープTの幅方向の全体を挟持するように構成しても構わない。
【0025】
ここで、図示例では、クランプ部18aのクランプ面PsがテープTの被貼付面の反対側の面に接触し、クランプ部18bのクランプ面Pcが被貼付面に接触する。このとき、被貼付面のみが粘着面である場合には、クランプ面Pcが粘着面に貼り付き難い、例えば、微細な凹凸表面などの、非粘着性の表面に構成されることが望ましい。また、テープTが両面粘着テープであれば、このような非粘着性の表面は、クランプ面Psにも構成されることが望ましい。この非粘着性の表面は、例えば、樹脂コーティング、セラミック溶射、めっき処理などの各種処理や材質の使用により構成できる。可動側のクランプ部18bが被貼付面に当接することで、テープTの走行時における粘着面との摺接による不具合(粘着面の損傷やテープTの撓みなど)を回避できる。また、クランプ部18bをテープTの解放時に退避するように構成することで、先端部Taの貼付動作に支障のないように構成できるとともに、テープTの架設経路Rtへの装着・取り外しの容易化を図ることができる。
【0026】
テープ切断機構19において、上記切断刃19aは、ロッドレスシリンダとリニアガイド等の駆動案内手段19bによってテープTの幅方向に移動可能に取り付けられる。このとき、切断刃19aは、上記駆動案内手段19bによって、テープ貼付ユニット10におけるテープTの幅方向の一端部Ts1の端縁の内側から、テープTの他端部Ts2に向けて幅方向の外側に直線状に移動する。この移動過程において、切断刃19aの刃先は、図示例では、貼付面2の側に斜めに向いた姿勢で斜めに延在した姿勢に維持される。これにより、切断刃19aは、架設経路Rt上の切断位置CPにおいて、テープTの上記クランプ領域CRに沿って幅方向に移動する。
【0027】
図6は、本実施形態において、テープTを貼付面2に貼り付ける際の各部の動作の一例を示すタイミングチャートである。初期状態において、テープ貼付ユニット10のテープ貼付ローラ16及びテープ押付ローラ17はいずれも待機位置にある。また、テープ固定手段13はストッパ13bが支持ローラ13a上にあるテープTを、架設経路Rt上の固定位置RPにおいて押圧固定している。さらに、クランプ手段18は、クランプ部18a,18bによりクランプ領域CRでテープTを挟持した状態にある。このとき、前回の切断手段19の作動によってテープTはクランプ領域CRの下流側に隣接する切断位置CPにおいて切断されているから、クランプ手段18は、テープ供給機構10Aによって供給されるテープTの先端部Taを挟持していることになる。なお、切断手段19の切断刃19aは、テープTの幅方向の一端部Ts1の端縁の内側に待機した状態である。
【0028】
この初期状態において、貼付面2の所定の位置にテープTを貼り付けるという命令が伝達されると、制御駆動機構3は、テープ貼付ローラ16の貼付点(最下点)Pa上に接触するべきテープTの接触点から先端部Taまでの距離ΔLを勘案して、テープTの貼付開始位置に対して、上記貼付点Paが上記距離ΔLだけ進んだ位置の直上位置に配置されるように、テープ貼付ユニット10を位置決めする。次に、図6の(A)に示すように、テープ貼付ローラ16が待機位置から貼付位置に降下し、貼付面2に接触する。このとき、図2に示すように、貼付点PaにおいてテープTは貼付面2に貼り付けられる。このとき、クランプ手段18は、テープTの先端部Taを挟持したままである。これが可能になる理由は、テープ貼付ローラ16が図1に示す待機位置にあるときと、図2に示す貼付位置にあるときとで、テープTの架設経路Rtに沿った上記固定位置RPから上記クランプ領域CRまでの長さLが変わらないように、テープ供給機構10Aが構成されているからである。
【0029】
すなわち、テープTは、上記固定位置RPから第1の案内ローラ14と、第2の案内ローラ15を経て、テープ貼付ローラ16の貼付点Paを通過し、上記クランプ領域CRに至る。このとき、架設経路Rt上の固定位置RPではテープTは固定されているにも拘わらず、テープ貼付ローラ16及び第2の案内ローラ15が降下するに従って、第1の案内ローラ14からの架設経路Rtが変化したときに、当該架設経路Rt上の上記長さLが変わらないように設計する。これにより、固定位置RPでテープTが固定されているとともに、クランプ手段18がテープTの先端部Taを挟持したままとすることで、テープTが許容範囲を越える張力により引っ張られたり、或いは逆に、緩んだりしないように構成できるから、テープTの伸び等による変形や緩みに伴う粘着面の貼り付き等を防止できる。しかも、上述のようにテープTの先端部Taをクランプ手段18によって挟持したままにできることから、次に行われるテープの貼付開始時における先端部Taの位置ずれを防止することができ、以下のようにテープTを貼り付けたときに、貼付面2上のテープTの貼付開始位置を正確に設定することができる。
【0030】
上述のようにテープ貼付ローラ16が貼付位置に降下し、貼付点PaにおいてテープTを貼付面2に貼り付ける(A)と、クランプ手段18がテープTの先端部Taを解放し(B)、また、テープ固定手段13がテープTを解放する(C)。すると、テープ供給機構10AはテープTを供給可能となるので、テープ貼付ユニット10は貼付面2に対してテープ貼付方向とは逆向きに後退し(D)、これにより、テープ貼付ローラ16はテープTの解放されている先端部Taを貼付面2上に貼り付ける。テープTの先端部Taが貼付面2上に貼り付けられると、テープ貼付ユニット10はテープ貼付方向に前進を開始する(E)。これにより、テープTは、テープ供給機構10Aにより引き出されながら、テープ貼付方向に貼付面2上を貼り付けられていく。
【0031】
次に、テープTが貼付面2上に所定の長さだけ貼り付けられると、テープ貼付ユニット10は停止し(F)、その後、テープ押付ローラ17が待機位置から貼付位置に降下し(G)、その後、テープ貼付ローラ16は、貼付位置から待機位置に上昇する(H)。これにより、テープ貼付機構10Bは、図1に示す状態となる。このとき、テープTは、テープ押付ローラ17により貼付面2上に押し付けられているが、テープ貼付ローラ16が待機位置に復帰することにより、架設経路Rtの上流側に向けて斜め上方に持ち上げられた状態となる。この状態で、テープ貼付ユニット10をテープ貼付方向に僅かに前進させる(I)ことにより、テープ貼付ローラ16とテープ押付ローラ17の間でまっすぐに架設されるようにテープTを伸ばす。
【0032】
その後、テープ固定手段13を作動させてテープTを固定位置RPで固定し(J)、さらに、クランプ手段18を前述のように作動させて、クランプ領域CRにおいてテープTを挟持する(K)。なお、その後、必要に応じて、図6に点線で示すように、クランプ後に再度テープTを伸ばすためにテープ貼付ユニット10を僅かに前進させてもよい(L)。しかる後に、上記切断手段19を作動させて、テープTを切断位置CPで切断する(M)。その後、テープ貼付ユニット10を前進させ、テープTの後端部Tbを貼付面2上に貼り付ける(N)。このようにしてテープ貼付工程が全て完了すると、テープ押付ローラ17を上昇させ、貼付面2から離間させて待機位置に配置する(O)。なお、このとき、クランプ手段18は、次のテープ貼付工程に備えて、テープTの先端部Taを挟持したままである。
【0033】
なお、上記の動作例では、テープ貼付ローラ16でテープTの先端部Taと中間部を貼り付け、テープ押付ローラ17で後端部Tbを貼り付けているが、テープTの中間部を、テープ押付ローラ17で貼り付けるようにしてもよく、或いは、テープ貼付ローラ16とテープ押付ローラ17で分担して貼り付けるようにしてもよい。
【0034】
以上説明した本実施形態によれば、テープ切断機構10CによるテープTの切断工程においては、前述のように、事前にクランプ手段18によりテープTを架設経路Rt上のクランプ領域CRで挟持した状態で、切断手段19により切断することにより、テープTの材質によらず、安定確実に切断することができる。より具体的には、クランプ手段18によりテープTの一端部Ts1が端縁を含めた態様で挟持された状態で、その挟持された一端部Ts1の端縁から他端部Ts2に向けて幅方向に切断することにより、テープTが撓むことなしに、切断時の切断刃19aの切り込み作用が確実に生じ、その後の切断線の拡がりも確実に生ずるため、テープTに過剰な引き延ばし力を与えずに、また、テープTを過剰な張力で架設せずに、確実に切断することができる。これにより、切断不良が発生したり、テープTに伸びなどの変質を生じさせたりする虞がなくなる。また、スポンジ状のテープ基材などの伸びやすく変形しやすい材質を用いる場合でも、支障なく切断できる。特に、図示例のように、切断刃19aを挟持された一端部Ts1の端縁の内側から幅方向外側にスライド移動させることによってテープTを切断することにより、上記切り込み作用や切断線の拡がりをさらにスムーズに生じさせることができる。
【0035】
また、本実施形態では、テープTの架設経路Rt上のテープ貼付ローラ16の貼付点Paよりも下流側に切断位置CPとクランプ領域CRを設定し、この切断位置CPに対して、クランプ領域CRを架設経路Rtの上流側に隣接して設定することにより、切断後に形成されたテープTの先端部Taをクランプ手段18によって挟持したままとし、次回のテープ貼付工程の当初のテープTの貼付開始後に上記先端部Taをクランプ状態から解放して貼り付けるようにすれば、テープTの貼付開始位置のずれを回避することができ、貼付位置の高精度化を図ることができる。
【0036】
なお、本発明に係るテープ貼付装置は、上述の図示例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。図示例では、切断刃19aをテープTの幅方向にスライド移動させるように構成しているが、本発明はこのような態様に限定されず、例えば、切断刃19aをテープTの幅方向全体にわたり延在し、かつ、傾斜した刃先を備えるものとし、この切断刃19aを上下方向に移動させることによって、切断箇所が一端部Ts1の端縁の内側から他端部Ts2(外側)へ向けて徐々に移動するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…テープ貼付装置、2…貼付面、3…制御駆動機構、10…テープ貼付ユニット、10A…テープ供給機構、10B…テープ貼付機構、10C…テープ切断機構、11…テープ供給リール、12…テンションローラ、13…テープ固定手段、13a…支持ローラ、13b…ストッパ、14…第1の案内ローラ、15…第2の案内ローラ、16…テープ貼付ローラ、17…テープ押付ローラ、18…クランプ手段、18a、18b…クランプ部(テープ支持部、可動クランプ部)、18c…クランプ駆動部、19…切断手段、19a…切断刃、19b…駆動案内手段、T…テープ、Ta…先端部、Tb…後端部、Ts1…一端部、Ts2…他端部、Rt…架設経路、CP…切断位置、CR…クランプ領域、RP…固定位置、Pa…貼付点、Ps,Pc…クランプ面、21,22…軸支ブロック、23a,23b…テープガイド、24…駆動手段、25…移動体、25a…軸、25b…コイルばね、26…回動体、26a…当接部、27…被当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6