(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】洗濯機用の防水パン
(51)【国際特許分類】
E03C 1/20 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
E03C1/20 Z
(21)【出願番号】P 2021116302
(22)【出願日】2021-07-14
【審査請求日】2021-07-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】305043629
【氏名又は名称】有限会社宮城運輸機工
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐瀬 力
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-010559(JP,U)
【文献】米国特許第09874374(US,B1)
【文献】特開2002-282326(JP,A)
【文献】中国実用新案第209548287(CN,U)
【文献】特開2015-150667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/12-1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板部と、
この底板部から起立している所定の高さの環状の側壁部と、
を有し、前記側壁部のうちの一部の部位が、前記底板部に対して、着脱自在なように構成されており、
前記底板部は矩形な平板状に形成されており、前記側壁部は矩形な環状に形成されて前記底板部の外周から起立しており、
前記側壁部のうちの一部の部位であって前記底板部に対して着脱自在になっている着脱自在部位が、矩形な環状に形成されている前記側壁部の1つの辺に相当する部位で構成されており、
前記着脱自在部位が、前記側壁部の他の部位であって前記着脱自在部位以外の部位である着脱非自在部位に対しても、着脱自在なように構成されており、
前記着脱自在部位と前記底板部および前記着脱非自在部位との間には、弾性を備えた「コ」字状のパッキンが設けられており、
前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときには、前記パッキンが弾性変形し、
前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記パッキンが、前記着脱自在部位が前記底板部および前記着脱非自在部位から離れていたときに状態よりも弾性変形しているが、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときよりも復元しており、
前記着脱自在部位の長手方向の両端部であって上端部には切り欠きが形成されており、
前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が、
前記着脱非自在部位に係止されて
おり、
前記底板部および前記着脱非自在部位には溝部が形成されており、前記溝部は前記着脱非自在部位の上面までは貫通しておらず前記着脱非自在部位の上面の近傍で止まっており、
前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記パッキンが前記溝部に入っているとともに、前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が、前記着脱非自在部位の前記溝部の、前記着脱非自在部位の上面の近傍で止まっている端面に接触していることで、前記着脱自在部位が前記着脱非自在部位に係止されている洗濯機用の防水パン。
【請求項2】
前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置しやすくするために、前記着脱非自在部位の端面に円弧状部位が形成されており、前記端面が「S」字に近い形状に形成されており、
前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が前記着脱非自在部位の端面に合致した「S」字に近い形状に形成されている
請求項1に記載の洗濯機用の防水パン。
【請求項3】
底板部と、
この底板部から起立している所定の高さの環状の側壁部と、
を有し、前記側壁部のうちの一部の部位が、前記底板部に対して、着脱自在なように構成されており、
前記底板部は矩形な平板状に形成されており、前記側壁部は矩形な環状に形成されて前記底板部の外周から起立しており、
前記側壁部のうちの一部の部位であって前記底板部に対して着脱自在になっている着脱自在部位が、矩形な環状に形成されている前記側壁部の1つの辺に相当する部位で構成されており、
前記着脱自在部位が、前記側壁部の他の部位であって前記着脱自在部位以外の部位である着脱非自在部位に対しても、着脱自在なように構成されており、
前記着脱自在部位と前記底板部および前記着脱非自在部位との間には、弾性を備えた「コ」字状のパッキンが設けられており、
前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときには、前記パッキンが弾性変形し、
前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記パッキンが、前記着脱自在部位が前記底板部および前記着脱非自在部位から離れていたときに状態よりも弾性変形しているが、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときよりも復元しており、
前記着脱自在部位の長手方向の両端部であって上端部には切り欠きが形成されており、
前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が、
前記着脱非自在部位に係止されて
おり、
前記底板部の、前記着脱自在部位が設置される部位には、洗濯機が前記底板部の上に移ることをしやすくするための斜面が形成されている洗濯機用の防水パン。
【請求項4】
底板部とこの底板部から起立している所定の高さの環状の側壁部とを備えて矩形な背の低い枡状に形成されており、
前記側壁部が一体成形によって矩形な環状に形成されて前記底板部に設置されているとともに、前記側壁部の総てが弾性を備えており、
前記側壁部の断面形状が、上下が逆転して「V」字状になっており、前記側壁部が前記底板部から起立していることで、前記底板部と
前記側壁部とで
前記側壁部の「V」字の内側に空洞が形成されている洗濯機用の防水パン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機用の防水パンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の事情により近年の住宅は合理的に設計されており、無駄な空間を極力減らすものとなっている。洗濯機の設置スペースも例外ではなく、洗濯機を設置する際は人が手持ちで行うのではなく、本体を引きずることにより定位置まで押し込む形態がとられている。
【0003】
さらに、洗濯機本体が多機能となり一般的な機種でも本体重量が60kg以上となる場合が少なくない。最重量クラスとなると120kg程度の機種も存在する。洗濯機の手持ちによる設置が困難であることと、洗濯機重量が増加したことが原因となり、洗濯機を定位置より手軽に移動することはほぼ不可能な状況になっている。
【0004】
この結果として、洗濯機本体の3面(2つの側面と1つの背面)とそれに接する壁(壁面)と床面の清掃が不可能な状況になっている。また、排水口が洗濯機の直下に位置しているため、排水ホースのトラブルや排水口のつまりなどの単純なトラブルであっても自己解決が不可能であり、高額な料金を支払って専門業者に頼らざるを得ない状況になっている。
【0005】
図19(a)で示すように、重量級の洗濯機301を容易に移動させるために、キャスタ付きの台303に洗濯機301を載せる。そして、洗濯機301とキャスタ付きの台303とを床305の上で移動し、
図19(b)で示すように、キャスタ付きの台303を床305上に残して、防水パン307の上に洗濯機301を設置している。
【0006】
また、洗濯機301を容易に移動できない現況を解決するための洗濯機本体移設台(特許文献1参照)が開発されている。そして、一人でも120kgほどの洗濯機301の防水パン上から別の場所への移動を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マンションなどの共同住宅では階下漏水を防止するために防水パン307が必ず設けられている。しかし、防水パン307の坊液堤部品(側壁部)309の存在により、キャスタ付きの台303に載置されている洗濯機301を、キャスタ付きの台303から一旦おろし、持ち上げて、防水パン307上に設置する必要がある。
【0009】
現状、防水パン307が設置されている住宅では、洗濯機301まわり(洗濯機301の側面や背面や下面とこれに対向している壁や床)の掃除、洗濯機301にまつわるトラブルの解決が、一般家庭のユーザにとって困難な状況になっている。
【0010】
また、トラブルを解決する専門業者であっても防水パン307上に設置されている洗濯機301を1人で移動させることは困難である。たとえ、洗濯機301周辺の掃除や排水ホースのトラブル解消などの1人で解決できる作業であっても、洗濯機301の移動のために最低2人を出動させなければならず、昨今の人手不足から考えても大きなロスになっている。
【0011】
なお、特許文献1に記載されている洗濯機本体移設台は、移設機材が高額となるためプロユーザにとっては値打ちが合致する。しかし、一般家庭ユーザとしては費用対効果の面で合致できない。
【0012】
本発明は、洗濯機と床面との間に設置される洗濯機用の防水パンであって、構成が簡素であり、しかも洗濯機を1人でも容易に設置することができる洗濯機用の防水パンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の態様に係る洗濯機用の防水パンは、底板部と、この底板部から起立している所定の高さの環状の側壁部とを有し、前記側壁部のうちの一部の部位が、前記底板部に対して、着脱自在なように構成されており、前記底板部は矩形な平板状に形成されており、前記側壁部は矩形な環状に形成されて前記底板部の外周から起立しており、前記側壁部のうちの一部の部位であって前記底板部に対して着脱自在になっている着脱自在部位が、矩形な環状に形成されている前記側壁部の1つの辺に相当する部位で構成されており、前記着脱自在部位が、前記側壁部の他の部位であって前記着脱自在部位以外の部位である着脱非自在部位に対しても、着脱自在なように構成されており、前記着脱自在部位と前記底板部および前記着脱非自在部位との間には、弾性を備えた「コ」字状のパッキンが設けられており、前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときには、前記パッキンが弾性変形し、前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記パッキンが、前記着脱自在部位が前記底板部および前記着脱非自在部位から離れていたときに状態よりも弾性変形しているが、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときよりも復元しており、前記着脱自在部位の長手方向の両端部であって上端部には切り欠きが形成されており、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が、前記着脱非自在部位に係止されており、前記底板部および前記着脱非自在部位には溝部が形成されており、前記溝部は前記着脱非自在部位の上面までは貫通しておらず前記着脱非自在部位の上面の近傍で止まっており、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記パッキンが前記溝部に入っているとともに、前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が、前記着脱非自在部位の前記溝部の、前記着脱非自在部位の上面の近傍で止まっている端面に接触していることで、前記着脱自在部位が前記着脱非自在部位に係止されている洗濯機用の防水パンである。
【0014】
また、本発明の態様に係る洗濯機用の防水パンでは、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置しやすくするために、前記着脱非自在部位の端面に円弧状部位が形成されており、前記端面が「S」字に近い形状に形成されており、前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が前記着脱非自在部位の端面に合致した「S」字に近い形状に形成されている。
【0015】
また、本発明の態様に係る洗濯機用の防水パンは、底板部と、この底板部から起立している所定の高さの環状の側壁部とを有し、前記側壁部のうちの一部の部位が、前記底板部に対して、着脱自在なように構成されており、前記底板部は矩形な平板状に形成されており、前記側壁部は矩形な環状に形成されて前記底板部の外周から起立しており、前記側壁部のうちの一部の部位であって前記底板部に対して着脱自在になっている着脱自在部位が、矩形な環状に形成されている前記側壁部の1つの辺に相当する部位で構成されており、前記着脱自在部位が、前記側壁部の他の部位であって前記着脱自在部位以外の部位である着脱非自在部位に対しても、着脱自在なように構成されており、前記着脱自在部位と前記底板部および前記着脱非自在部位との間には、弾性を備えた「コ」字状のパッキンが設けられており、前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときには、前記パッキンが弾性変形し、前記着脱自在部位を、前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記パッキンが、前記着脱自在部位が前記底板部および前記着脱非自在部位から離れていたときに状態よりも弾性変形しているが、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置するときよりも復元しており、前記着脱自在部位の長手方向の両端部であって上端部には切り欠きが形成されており、前記着脱自在部位を前記底板部および前記着脱非自在部位に設置し終えたときには、前記着脱自在部位の切り欠きの上端面が、前記着脱非自在部位に係止されており、前記底板部の、前記着脱自在部位が設置される部位には、洗濯機が前記底板部の上に移ることをしやすくするための斜面が形成されている洗濯機用の防水パンである。
【0016】
また、本発明の態様に係る洗濯機用の防水パンは、底板部とこの底板部から起立している所定の高さの環状の側壁部とを備えて矩形な背の低い枡状に形成されており、前記側壁部が一体成形によって矩形な環状に形成されて前記底板部に設置されているとともに、前記側壁部の総てが弾性を備えており、前記側壁部の断面形状が、上下が逆転して「V」字状になっており、前記側壁部が前記底板部から起立していることで、前記底板部と前記側壁部とで前記側壁部の「V」字の内側に空洞が形成されている洗濯機用の防水パンである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、構成が簡素であり、しかも、洗濯機を1人でも容易に設置することができる洗濯機用の防水パンを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】(a)は本発明の実施形態に係る防水パンとキャスタ付きの台と洗濯機とを示す図であり、(b)は(a)におけるIB矢視図である。
【
図2】(a)、(b)は本発明の実施形態に係る防水パンへのキャスタ付きの台と洗濯機との設置動作を示す図である。(c)、(d)は、防水パンの開口部(側壁部の着脱自在な部位のところの開口部)のところの、底板部の部位に斜面を(ガイド面)設けたものを示す図である。
【
図3】(a)は本発明の実施形態に係る防水パンの斜視図であり、(b)は本発明の実施形態に係る防水パンの斜視図であって、側壁部の着脱自在な部位(着脱自在部位)を取り外した状態を示す図である。
【
図4】(a)は1つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は1つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部の着脱自在部位を取り外した状態を示す図である。
【
図5】(a)は2つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は2つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部の着脱自在部位の一部(1つ)を取り外した状態を示す図である。
【
図6】2つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部の着脱自在部位の総てを取り外した状態を示す図である。
【
図7】(a)は3つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は3つ目の変形例に係る防水パンにおいて、側壁部の一部の部位が弾性変形している状態を示す図である。
【
図8】(a)は3つ目の変形例に係る防水パンの平面図であり、(b)は(a)におけるVIIIB―VIIIB断面を示す図である。
【
図9】(a)は4つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は4つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部の着脱自在部位を取り外した状態を示す図である。
【
図10】(a)は5つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は5つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部の着脱自在部位を取り外した状態を示す図である。
【
図11】6つ目の変形例に係る防水パンの斜視図である。
【
図12】(a)は7つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は7つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部を取り外した状態を示す図である。
【
図13】7つ目の変形例に係る防水パンの側壁部と底板部の一部の断面図である。
【
図14】(a)は8つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は8つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部を取り外した状態を示す図である。
【
図15】(a)は9つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であり、(b)は9つ目の変形例に係る防水パンの斜視図であって、側壁部の着脱自在な部位を取り外した状態を示す図である。
【
図16】9つ目の変形例に係る防水パンでの、側壁部の着脱自在部位の着脱について説明する図である。
【
図17】9つ目の変形例に係る防水パンの、側壁部の着脱自在部位を示す図である。(b)は(a)におけるXVIIB矢視図であり、(c)は(a)におけるXVIIC矢視図であり、(d)は(a)におけるXVIID矢視図であり、(e)は(a)におけるXVIIE―XVIIE断面を示す図である。
【
図18】(a)はキャスタ付きの台と洗濯機との斜視図であり、(b)は10番の変形例に係る防水パンとキャスタ付きの台と洗濯機とを示す図である。
【
図19】洗濯機の従来の設置について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る防水パン1は、
図1、
図2等で示すように、たとえば洗濯機3の防水パンとして使用されるものであり、底板部(底壁部)5と側壁部(側板部)7とを備えて構成されている。
【0021】
ここで、説明の便宜のために、水平な所定の一方向を縦方向とし、水平な所定の他の一方向であって縦方向に対して直交する方向を横方向とし、縦方向と横方向とに対して直交する方向を上下方向とする。
【0022】
側壁部7は、環状に形成されており、底板部5から所定の高さ起立している。また、防水パン1では、
図3~
図6で示すように、側壁部7のうちの少なくとも一部の部位が、着脱自在なように構成されている。
【0023】
さらに説明すると、防水パン1では、
図3、
図4で示すように、側壁部7のうちの一部の部位7Aが、底板部5と側壁部7の他の部位(一部の部位7A以外の部位;着脱非自在部位)7Fとに対して、着脱自在なように構成されている。もしくは、防水パン1では、
図5、
図6で示すように、側壁部7の総てが、底板部5に対して、着脱自在なように構成されている。
【0024】
なお、側壁部7のうちの少なくとも一部の部位7Aが着脱自在な構成は、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を洗濯機3といっしょに移動して、防水パン1の内部11に設置するときの障害に、側壁部7がなってしまうこと防止するためのものである。防水パン1の内部11とは、側壁部7で囲まれた底板部5上の空間である。
【0025】
なお、上記障害を避けるために、側壁部7の少なくとも一部の部位7Aが弾性を備えている構成であってもよい(
図7、
図8参照)。
【0026】
環状の側壁部7は、底板部5の外周の全周(全長)にわたって底板部5から上側に所定の高さ起立(突出)している。したがって、防水パン1は、上側が開口し高さ寸法の値が小さい枡状に形成されていることになる。防水パン1の内部11には、水等の液体が溜まるようになっている。
【0027】
ここで、側壁部7のうちの一部の部位7(着脱自在部位)Aが着脱自在になっている態様について、
図1、
図2(a)(b)、
図3、
図4を参照しつつさらに説明する。
【0028】
側壁部7のうちの一部の部位7Aを取り去った状態では、防水パン1から環状の側壁部7の一部の部位7Aが無くなった形態になる。側壁部7の一部の部位7Aを取り去った防水パン1を、底板部5の下面が床面13に接するようにして、床面13上の所定の位置に設置する。続いて、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を、防水パン1から離れた床面13の所定の位置に配置する(
図2(a)参照)。
【0029】
この状態で、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を、キャスタ15の車輪を回転させつつ床面13上で適宜移動することで、キャスタ15が、側壁部7の一部の部位7Aが取り外された箇所を通って、床面13上から底板部5上に移るようになっている。さらに、キャスタ付きの台9を、キャスタ15の車輪を回転しつつ底板部5の上でさらに移動することで、キャスタ付きの台9(洗濯機3)が、底板部5の上の適宜の位置(目標とする位置)に設置されるようになっている。
【0030】
この後、側壁部7の一部の部位7Aを、底板部5と側壁部7のうちの残りの部位(一部の部位7A以外の部位)7Fとに設置することで、防水パン1へのキャスタ付きの台の9と洗濯機3との設置が終了するようになっている(
図2(b)参照)。ここで、底板部5の厚さは、キャスタ15の車輪が床面13上から底板部5上に移るときに、底板部5の厚さ分の段差を容易に乗り越えることができる厚さになっている。
【0031】
側壁部7の総てが着脱自在になっている態様について、
図5、
図6を参照しつつさらに説明する。
【0032】
側壁部7の総てを取り去った状態では、底板部5のみが残った形態になっている(
図6参照)。側壁部7の総てが着脱自在になっている態様であっても、側壁部7のうちの一部の部位7Aが着脱自在になっている態様と同様にして、防水パン1へのキャスタ付きの台9と洗濯機3との載置されるようになっている。すなわち、
図5(b)で示すように、側壁部7のうちの一部7Aを取り外すことで、防水パン1へのキャスタ付きの台9と洗濯機3との載置されるようになっている。
【0033】
なお、底板部5と側壁部7とは、たとえば合成樹脂で構成されており、ある程度の剛性を備えている。ここで、底板部5と側壁部7との剛性の程度についてさらに説明すると、底板部5、側壁部7に素手で力を加えても、肉眼では弾性変形していることをほとんど認識できない程度の剛性を、底板部5や側壁部7は備えている。
【0034】
次に、側壁部7の一部7Aが弾性を備えている態様について、
図7、
図8を参照しつつさらに説明する。
【0035】
側壁部7の弾性を備えている部位7Aの弾性の程度について説明する。側壁部7の弾性を備えている部位7Aは、たとえばゴムで構成されている。側壁部7の弾性を備えている部位7Aに素手で力を加えると、弾性変形していることを肉眼で容易に認識することができるようになっている。さらに加えていた力を取り除くと、側壁部7の弾性を備えている部位7Aが力を加える前の形状に容易に復元するようになっている。
【0036】
側壁部7の一部の部位7Aが弾性を備えている態様での、防水パン1への洗濯機3およびキャスタ付きの台9の設置は、側壁部7の一部の部位7Aが着脱自在になっている場合と同様にしてなされる。
【0037】
すなわち、防水パン1を、底板部5の下面が床面13に接するようにして、床面13上の所定の位置に設置する。続いて、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を、防水パン1から離れた床面13の所定の位置に配置する。
【0038】
この状態で、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を、キャスタ15の車輪を回転させつつ床面13上で適宜移動することで、キャスタ15が、側壁部7の弾性を備えている部位7Aを通って、床面13上から底板部5上に移るようになっている。さらに、キャスタ15の車輪を回転させつつ底板部5の上をさらに移動して、底板部5の上の適宜の位置(目標とする位置)に洗濯機3等が設置されるようになっている。
【0039】
キャスタ15の車輪が、側壁部7の弾性を備えている部位7Aを通るとき、側壁部7の弾性を備えている部位7Aが弾性変形するようになっている。また、キャスタ15の車輪が、側壁部7の弾性を備えている部位7Aを通り過ぎたときに、側壁部7の弾性を備えている部位7Aが復元し、防水パン1へのキャスタ付きの台9と洗濯機3との設置が終了するようになっている。
【0040】
側壁部7の少なくとも一部の部位7Aが弾性を備えている態様であっても、底板部5の厚さが、キャスタ15の車輪が床面13上から底板部5上に移るときに、底板部5の厚さ分の段差をキャスタ15の車輪が容易に乗り越えることができる厚さになっている。さらに、キャスタ15の車輪が、側壁部7の弾性を備えている部位7Aを通るとき、側壁部7の弾性を備えている部位7Aが大きな障害にならないように、側壁部7の弾性を備えている部位7Aが十分な弾性変形をするようになっている。
【0041】
防水パン1についてさらに説明すると、底板部5は矩形な平板状に形成されている。すなわち、底板部5の厚さ方向が上下方向になっている状態で平面視すると、底板部5は矩形状に見える。側壁部7は、矩形な環状に形成されて底板部5の外周の全周から起立している。
【0042】
側壁部7のうちの一部の部位7Aが着脱自在になっている態様では、
図3、
図4で示すように、着脱自在になっている側壁部7の一部の部位7Aが、矩形な環状に形成されている側壁部7の1つの辺に相当する部位(1本の直線状の部位)で構成されている。
【0043】
側壁部7の総てが着脱自在になっている態様では、
図5、
図6で示すように、側壁部7が、環状に形成されている底板部5の4つの辺に相当する部位(4本の直線状の部位)で構成されている。
【0044】
側壁部7のうちの一部の部位7Aが弾性を備えている態様では、
図7、
図8で示すように、側壁部7の弾性を備えている部位7Aが、矩形な環状に形成されている側壁部7の1つの辺に相当する部位(1本の直線状の部位)で構成されている。
【0045】
側壁部7の総てが弾性を備えている態様では、
図12、
図13で示すように、側壁部7が、環状に形成されている側壁部7の4つの辺に相当する部位(4本の直線状の部位)で構成されている。
図12、
図13で示す防水パン1では、側壁部7の総てが底板部5に対して着脱自在になっているが、底板部5と側壁部7とが弾性を備えたゴム等で一体成形されていてもよい(
図11参照)。
【0046】
また、
図13で示すように、側壁部7の弾性を備えている部位のうちの少なくとも一部が中空構造になっていてもよい。
【0047】
ここで、側壁部7の総てが、底板部5に対して着脱自在なように構成されている態様についてさらに詳しく説明する。
【0048】
側壁部7の総てが着脱自在なように構成されている1つ目の態様について説明する。この態様では、側壁部7が、矩形な環状に形成されている側壁部7の4つの辺に相当する4本の部材7A、7B、7C、7Dに分かれるようになっている。そして、側壁部7が底板部5から取り外しできるようになっている(
図5、
図6参照)。
【0049】
側壁部7の総てが着脱自在なように構成されている2つ目の態様について説明する。この態様では、側壁部7が、矩形な環状に形成されている側壁部7の1つの辺に相当する1つの部材7Aと残りの3つの辺に相当する「コ」字状の他の1つの部材7Eとに分かれるようになっている。そして、側壁部7が底板部5から取り外しできるようになっている(
図14参照)。
【0050】
側壁部7の総てが着脱自在なように構成されている3つ目の態様について説明する。この態様では、図示してはいないが、側壁部7が、1つの「L」字状の1つの部材と、他の1つの「L」字状の部材7Gとに分かれるようになっている。
【0051】
ここで、側壁部7のうちの一部の部位7Aが、はめ込み式になっていることで、底板部5等に対して着脱自在になっている態様について、
図15~
図17を参照しつつ説明する。
【0052】
図15~
図17で示す防水パン1でも、側壁部7のうちの一部の部位7Aが底板部5と側壁部7の他の部位(一部の部位7A以外の部位)7Fとに対して、着脱自在なように構成されている。
【0053】
また、
図15~
図17で示す防水パン1では、底板部5、側壁部7の一部の部位である着脱自在部位7A以外の部位である着脱非自在部位(非着脱自在部位)7Fの少なくともいずれかに、係止部17が設けられている。また、着脱自在部位7には被係止部19が設けられている。
【0054】
そして、側壁部7の着脱自在部位7Aを、底板部5および前記着脱非自在部位7Fに設置するときには、係止部17、被係止部19の少なくともいずれか弾性変形するようになっている。
【0055】
また、着脱自在部位7Aを底板部5および着脱非自在部位7Fに設置し終えたときにも、上記弾性変形した箇所が、着脱自在部位7Aが底板部5および着脱非自在部位7Fから離れていたときに状態よりも弾性変形している構成になっている。
【0056】
ただし、着脱自在部位7Aを底板部5および着脱非自在部位7Fに設置し終えたときには、側壁部7の着脱自在部位7Aが、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置するときよりも復元するようになっている。
【0057】
このように構成されていることで、係止部17と被係止部19とがお互いに押し合っていることになり、着脱自在部位7Aが、底板部5および着脱非自在部位7Fに、一体的に設置される構成になっている。着脱自在部位7Aが、底板部5および着脱非自在部位7Fに、一体的に設置されている状態では、底板部5および着脱非自在部位7Fに対する着脱自在部位7Aのガタツキは無くなっている。
【0058】
次に、
図9、
図10を参照しつつ、側壁部7の着脱自在部位7Aの一部7Aaが弾性を備えている態様について説明する。
【0059】
図9、
図10で示す防水パン1でも、側壁部7のうちの少なくとも一部の部位7Aが、底板部5等に対して、着脱自在なように構成されている。また、
図9、
図10で示す防水パン1でも、側壁部7の着脱自在な部位7Aの一部7Aaが、ゴム等で構成されていることで、弾性を備えている。着脱自在な部位7Aの他の部位7Abは、底板部5と同様な剛性を備えた合成樹脂で構成されている。
【0060】
ここで、
図1~
図3で示すについて防水パン1についてより詳しく説明する。
【0061】
図1~
図3で示す防水パン1は、矩形な平板状の底板部5と、矩形な環状の側壁部7とを備えて構成されている。底板部5に厚さ方向は上下方向と一致している。矩形な底板部5の外周を構成する一対の辺(お互平行な一対の辺)は、縦方向に延びている。また、矩形な底板部5の外周を構成する他の一対の辺(お互平行な他の一対の辺)は、横方向に延びている。
【0062】
矩形な環状の側壁部7は、底板部5の外周の全周から上側に所定の高さだけ突出している。矩形な環状の側壁部7の、縦方向に延びている部位の断面形状(縦方向に対して直交する平面による断面形状)は矩形状になっている。矩形な環状の側壁部7の、横方向に延びている部位の断面形状(横方向に対して直交する平面による断面形状)も矩形状になっている。
【0063】
また、
図1~
図3で示す防水パン1では、矩形な環状の側壁部7の、横方向に延びている一対の部位のうちの一方の部位が着脱自在(着脱自在部位7A)になっている。底板部5と矩形な環状の側壁部7のうちの着脱非自在部位7Fとは一体化している。着脱自在部位7Aはすでに理解されるように、細長い直方体状に形成されおり、横方向に長く延びている。
【0064】
また、
図1~
図3で示す防水パン1では、ボルト21を用いることで、着脱自在部位7Aが底板部5および着脱非自在部位7Fに対して着脱自在になっている。なお、着脱自在部位7Aは、たとえば、「コ」字状に形成されているパッキン23を間に挟んで、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置されるようになっている。
図3(b)で示すように、底板部5に設けられている突部25と着脱非自在部位7Fとには、ボルト21が螺合するメスネジ27が形成されている。
【0065】
なお、
図1~
図3で示す防水パン1において、キャスタ付きの台9のキャスタ15の車輪が床面13上から底板部5上に移ることをしやすくするための斜面(ガイド面;傾斜面)29が、底板部5に形成されていてもよい(
図2(c)(d)参照)。
【0066】
洗濯機3が載置されるキャスタ付きの台9は、矩形な平板状に形成されている平板状の台の本体部31と、キャスタ15と、台の固定用ジャッキボルト33とを備えて構成されている。
【0067】
次に、洗濯機3が載置されるキャスタ付きの台9の防水パン1への設置動作について説明する。
【0068】
初期状態では、
図2(a)で示すように、防水パン1から側壁部7のうちの一部の部位7Aが取り去られている。側壁部7の一部の部位7Aを取り去った防水パン1が、底板部5の下面が床面13に接するようにして、床面13上の所定の位置(床面13の端から起立している壁35近傍の位置)に設置されている。洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9が、防水パン1から離れた床面13の所定の位置に配置されている。また、キャスタ付きの台9の固定用ジャッキボルト33は、床面13から離れており、キャスタ15の車輪が床面13に接している。
【0069】
この初期状態で、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を、キャスタ15の車輪を回転させつつ床面13上で防水パン1に向けて適宜移動する。これにより、キャスタ15が、側壁部7の一部の部位7Aが取り外された箇所を通って、床面13上から底板部5上に移る。さらに、キャスタ15の車輪を回転しつつ洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を底板部5の上でさらに移動する。そして、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を底板部5上の適宜の位置に配置する。
【0070】
続いて、キャスタ付きの台9固定用ジャッキボルト33を床面13に接地させて、キャスタ付きの台9の本体部31を僅かに上昇させ、キャスタ15の車輪を床面13から離し、取り去られていた一部の部位7Aを底板部5等に設置する。これにより、防水パン1へのキャスタ付きの台9と洗濯機3との設置が終了する(
図1、
図2(b)参照)。
【0071】
ここで、1つ目の変形例に係る防水パン1について、
図4を参照しつつ詳しく説明する。
【0072】
図4で示す防水パン1は、
図3で示す防水パン1と同様に側壁部7の一部の部位7Aが着脱自在になっている。ただし、一部の部位7Aが底板部5および着脱非自在部位7Fに設けられた溝部37に嵌まり込むことで、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置されるようになっている。
【0073】
さらに説明すると、
図4で示す防水パン1の着脱自在部位7Aには、突部39が設けられている。突部39は、着脱自在部位7Aの長手方向(横方向)の両端から僅かに突出しているとともに、着脱自在部位7Aの上端よりに僅かに上側に突出している。また、突部39には、ボルト21が貫通する貫通孔41が設けられている。
【0074】
溝部37は、底板部5および着脱非自在部位7Fの内側であって、着脱自在部位7Aが設置される側の端部(縦方向の端部)に設けられている。また、着脱非自在部位7Fの上端であって、着脱自在部位7Aが設置される側の端部にはメスネジ43が設けられている。
【0075】
着脱自在部位7Aは、「コ」字状のパッキン(シール用のパッキン)45を間に挟んで、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置されるようになっている。
【0076】
着脱自在部位7Aが底板部5および着脱非自在部位7Fに設置されている状態では、パッキン45と着脱自在部位7Aの一部(下端部と長手方向の両端部)が溝部37に入り込んでいる。また、着脱自在部位7Aが底板部5および着脱非自在部位7Fに設置されている状態では、突部39が着脱非自在部位7Fの上に載っており、ボルト21によって、着脱自在部位7Aと底板部5および着脱非自在部位7Fとが一体化している。
【0077】
次に、2つ目の変形例に係る防水パン1について、
図5、
図6を参照しつつ詳しく説明する。
【0078】
図5、
図6で示す防水パン1は、側壁部7の総てが底板部5に対して着脱自在になっている。また、側壁部7は、細長い直方体状の4本の部材7A、7B、7C、7Dで構成されている。
【0079】
底板部5の外周部には矩形状の凹部47が形成されている。凹部47は底板部5の上面から下側に凹んでいる。また、矩形な環状の凹部47には、メスネジ49が設けられている。
【0080】
縦方向に長い部材7Bには、切り欠き51が設けられている。切り欠き51は、部材7Bの縦方向(長手方向)の両端部に設けられている。また、切り欠き51は、上下方向では、上側に位置している。縦方向に長い部材7Bの、切り欠き51が設けられている部位には、ボルト21を貫通させるための貫通孔53が設けられている。部材7Bの長手方向の中間部にも、ボルト21を貫通させるための貫通孔53が設けられている。縦方向に長い部材7Dは、部材7Bと同形状に形成されている。
【0081】
横方向に長い部材7Aには、突部55が設けられている。突部55は、部材7Aの横方向(長手方向)の両端部に設けられている。突部55は、上下方向では、上側に位置している。また、突部55は、縦方向に僅かに突出している。突部55には、ボルト21を貫通させるための貫通孔53が設けられている。部材7Aの長手方向の中間部にも、ボルト21を貫通させるための貫通孔53が設けられている。縦方向に長い部材7Cは、部材7Aと同形状に形成されている。
【0082】
パッキン57は、矩形な環状に形成されている。部材7A、7B、7C、7Dは、矩形な環状のパッキン57を間に挟んで、底板部5に設置されるようになっている。
【0083】
部材7A、7B、7C、7D(側壁部7)が底板部5に設置されている状態では、パッキン57と側壁部7の一部(下端部)が凹部47に入り込んでいる。また、部材7A、7B、7C、7Dが底板部5に設置されている状態では、突部55が切り欠き51に嵌まり込んでおり、ボルト21によって、部材7A、7B、7C、7Dと底板部5とが一体化している。
【0084】
なお、底板部5への、部材7A、7B、7C、7Dおよびパッキン57の設置は、まず、底板部5にパッキン57を設置し、続いて、部材7B、7Dを設置し、続いて、部材7A、7Cを設置することでなされるようになっている。
【0085】
また、
図5、
図6で示す防水パン1では、部材7A、7B、7C、7D同士の間にもシール材(図示せず)が設置されており、部材7A、7B、7C、7D同士の接合部からの水漏れが防止されるようになっている。
【0086】
次に、3つ目の変形例に係る防水パン1について、
図7、
図8を参照しつつ詳しく説明する。
【0087】
図7、
図8で示す防水パン1は、着脱自在部位7Aのかわりに、ゴム等の弾性体59が、底板部5および着脱非自在部位7Fに一体的に設けられている点が、
図3で示す防水パン1とは異なり、その他に点は、
図3で示す防水パン1と同様に構成されている。弾性体59は矩形な板状に形成されており、弾性体59の厚さ方向は、縦方向と一致している。
【0088】
次に、4つ目の変形例に係る防水パン1について、
図9を参照しつつ詳しく説明する。
【0089】
図9で示す防水パン1は、側壁部7の着脱自在部位7Aの一部7Aaが弾性を備えている。その他の点は、
図3で示す防水パン1と概ね同様に構成されている。
【0090】
さらに説明すると、着脱自在部位7Aは「コ」字状の非弾性部材7Abと矩形な板状の弾性部材7Aaとを備えて構成されている。非弾性部材7Abと弾性部材7Aaとはお互いが一体化している。非弾性部材7Abがボルト21によって、底板部5および着脱非自在部位7Fに対して着脱自在になっている。なお、着脱自在部位受部61は、
図5(b)で示す細長い1本の凹部47と同様な凹部を設けたことによって形成されたものであるとも言える。
【0091】
なお、底板部5には、着脱自在部位7Aを受ける着脱自在部位受部61が設けられている。着脱自在部位受部61は、細長く薄い矩形な板状に形成されており、縦方向では縦方向の一方に側に底板部5から僅かに突出し、上下方向では底板部5の下端側に位置している。
【0092】
着脱自在部位7Aを底板部5よび着脱非自在部位7Fに設置した状態では、パッキン23を間にし、ボルト21によって、着脱自在部位7A(非弾性部材7Ab)が底板部5よび着脱非自在部位7Fに一体的に設けられている。また、着脱自在部位7Aを底板部5よび着脱非自在部位7Fに設置した状態では、非弾性部材7Abが着脱自在部位受部61の上に載っている。
【0093】
なお、
図3で示す防水パン1に、
図9で示す防水パン1の着脱自在部位受部61と同様な着脱自在部位受部が設けられていてもよい。逆に、
図9で示す防水パン1の着脱自在部位受部61が削除されていてもよい。
【0094】
次に、5つ目の変形例に係る防水パン1について、
図10を参照しつつ詳しく説明する。
【0095】
図10で示す防水パン1は、着脱自在部位7Aの長手方向の中間部の複数箇所が弾性部材7Aaで構成されている点が、
図9で示す防水パン1と異なっている。そして、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9を防水パン1に設置するときに、キャスタ付きの台9のキャスタ15の車輪が弾性部材7Aaのところを通過するようになっている。
【0096】
なお、
図9、
図10で示す防水パン1において、弾性部材7Aaを非弾性部材7Abと同様な剛性の高い材料で構成してもよい。そして、キャスタ付きの台9のキャスタ15の車輪が通過するときに、弾性部材7Aaがこの下端を回動中心にして、底板部5および着脱非自在部位7Fに対して底板部5側に回動するようにしてもよい(矢印A1参照)。
【0097】
このように構成した場合、バネ等の付勢部材によって、着脱自在部位7Aは、底板部5から起立するように付勢されているものとする(
図9(a)、
図10(a)の状態参照)。
【0098】
次に、6つ目の変形例に係る防水パン1について、
図11を参照しつつ詳しく説明する。
【0099】
図11で示す防水パン1は、矩形な背の低い枡状に形成されており、底板部5と側壁部7とが弾性を備えたゴム等で一体成形されている。
【0100】
次に、7つ目の変形例に係る防水パン1について、
図12、
図13を参照しつつ詳しく説明する。
【0101】
図12、
図13で示す防水パン1は、矩形な側壁部7が一体で形成されておりしかも弾性を備えている点が、
図5、
図6で示す防水パン1と異なっており、その他の点は、
図5、
図6で示す防水パン1と同様に構成されている。
【0102】
すなわち、
図12、
図13で示す防水パン1では、側壁部7が、弾性を備えた矩形な環状に形成されており、たとえばゴム等の材料で一体成形されている。また、
図12、
図13で示す防水パン1では、側壁部7の断面の一部(大部分)が、
図13で示すように、上下が逆転した「V」字状になっている。さらに、「V」字状の端部から矩形な環状の舌部(板状突出部)63が、矩形な環状の側壁部7の内側に突出している。側壁部7は舌部63のところで、ボルト21によって、底板部5に一体的に設置されるようになっている。
【0103】
なお、側壁部7の一部が、上下が逆転した「V」字状になっていることで、「V」字の内側には、空間65が形成されている。これによって、側壁部7が中空構造になっていることになる。
【0104】
また、
図12、
図13で示す防水パン1に係る上記説明では、側壁部7が弾性を備えているとしているが、側壁部7の剛性が高くなっていてもよい。すなわち、側壁部7が剛性を備えた合成樹脂等の材料で一体成形されていてもよい。
【0105】
次に、8つ目の変形例に係る防水パン1について、
図14を参照しつつ詳しく説明する。
【0106】
図14で示す防水パン1は、側壁部7が2つの部材7A、7Fで構成されている点が、
図5、
図6で示す防水パン1とは異なり、その他の点は、
図5、
図6で示す防水パン1と同様に構成されている。
【0107】
すなわち、
図14で示す防水パン1では、側壁部7が、矩形な環状に形成されている側壁部7の1つの辺に相当する1つの部材7Aと残りの3つの辺に相当する「コ」字状の他の1つの部材7E(着脱非自在部位7Fに相当)とに分かれるようになっている。そして、側壁部7の総てが底板部5から取り外しできるようになっている。
【0108】
次に、9つ目の変形例に係る防水パン1について、
図15~
図17を参照しつつ詳しく説明する。
【0109】
図15~
図17で示す防水パン1は、側壁部7の着脱自在部位7Aがはめ込み式になっていることで底板部5等に対して着脱自在になっている点が、
図4で示す防水パン1と異なっており、その他の点は、
図4で示す防水パン1とほぼ同様に構成されている。
【0110】
底板部5および着脱非自在部位7Fには、
図15(b)で示すように、溝部67が形成されている。ただし、溝部67は、着脱非自在部位7Fの上面まで貫通しておらず、着脱非自在部位7Fの上面の近傍で止まっている(
図16参照)。また、溝部67の、着脱非自在部位7Fに形成されている上端面には、着脱自在部位7Aを設置しやすくするための円弧状部位69が形成されている(
図16(a)参照)。これにより、溝部67の、着脱非自在部位7Fに形成されている上端面は、「S」字に近い形状になっている。
【0111】
図17で示すように、着脱自在部位7Aの長手方向(横方向)の両端部であって上端部には、切り欠き73が形成されている。着脱自在部位7Aの、切り欠き73のところにおける上端面75は、着脱非自在部位7Fに形成されている上端面に合致した「S」字に近い形状になっている(
図17(d)参照)。
【0112】
着脱自在部位7Aにも、「コ」字状の溝部71が設けられている(
図17(e)参照)。溝部71は、着脱自在部位7Aの下面と長手方向の両側面にわたって設けられている。ただし、溝部71は、着脱自在部位7Aの切り欠き73の上端面75まで貫通しておらず、上端面75の近傍で止まっている(
図17(d)参照)。また、溝部71は、幅方向(縦方向)では、着脱自在部位7Aの概ね中央部に位置している。
【0113】
弾性を備えた「コ」字状のパッキン77は、溝部71に入り込むようになっている。パッキン77が溝部71に入り込んでいる状態では、パッキン77が、着脱自在部位7Aの下面および着脱自在部位7Aの長手方向の両端面から僅かに突出している。
【0114】
図15~
図17で示す防水パン1では、たとえば、底板部5および着脱非自在部位7Fの溝部67が係止部17になっている。また、
図15等で示す防水パン1では、たとえば、着脱自在部位7Aに設けられているパッキン77と上端面75が、被係止部19になっている。
【0115】
そして、側壁部7の着脱自在部位7Aを、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置するときには、被係止部19のパッキン77が弾性変形するようになっている。
【0116】
また、着脱自在部位7Aを、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置し終えたときにも、パッキン77の弾性変形した箇所が、着脱自在部位7Aが底板部5および着脱非自在部位7F位から離れていたときに状態よりも弾性変形している構成になっている。
【0117】
ただし、着脱自在部位7Aを底板部5および着脱非自在部位7Fに設置し終えたときには、側壁部7の着脱自在部位7Aが、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置するときよりも復元するようになっている。
【0118】
このように構成されていることで、係止部17と被係止部19とがお互いに押し合っていることになり(
図16(c)の矢印A2参照)、着脱自在部位7Aが、底板部5および着脱非自在部位7Fに、一体的に設置される構成になっている。なお、
図16は、着脱自在部位7Aの底板部5および着脱非自在部位7Fへの設置動作を示している。
【0119】
次に、10番目の変形例に係る防水パン1について、
図18を参照しつつ詳しく説明する。
【0120】
10番目の変形例に係る防水パン1は、底板部5に貫通孔79が設けられている点が、
図3で示す防水パン1と異なっており、その他の点は、
図3で示す防水パン1と同様に構成されている。なお、2つ目から9つ目の変形例に係る防水パン1において、底板部5に貫通孔79が形成されていてもよい。
【0121】
図18で示す防水パン1の底板部5に設けられている貫通孔79には、洗濯機パン用排水用排水トラップ81が嵌まり込んでいる。洗濯機パン用排水用排水トラップ81には、洗濯機3の排水ホース83がつながっており、洗濯機パン用排水用排水トラップ81からは排水ホース83が延出している。
図18(b)に参照符号87で示すものは、パッキンである。
【0122】
このように構成されていることで、防水パン1内からの水漏れを防止しつつ、床面13の排水孔が防水パン1の真下にあっても、洗濯機3の排水を、底板部5を通過させて行うことができる。なお、
図18(a)では、防水パン1の表示が省略されている。
【0123】
防水パン1が、底板部5と、底板部5から起立している所定の高さの環状の側壁部7とを備えて構成されている。また、防水パン1では、側壁部7のうちの少なくとも一部の部位7Aが、底板部5と側壁部7の他の部位7Fとに対して、着脱自在なように構成されている。
【0124】
このように構成されていることで、防水パン1の構成が簡素になっており、安価になっている。また、防水パン1の上に洗濯機3を1人でも容易に設置することができる。
【0125】
すなわち、防水パン1の上に洗濯機3を設置するときには、側壁部7の一部の部位7Aを取り外しておく。この状態で、キャスタ付きの台9に載置されている洗濯機3を、キャスタ付きの台9ごと移動して、防水パン1の上にもってくる。この後、側壁部7の一部の部位7Aを設置することで、防水パン1の上に洗濯機3を1人でも容易に設置することができる。
【0126】
また、防水パン1の上に設置されている洗濯機3を防水パン1から引き出し床面13の上に引き出すことも、側壁部7のうちの一部の部位7Aを取り外すことで、1人でも容易にすることができる。
【0127】
また、上記引き出しが容易になっていることで、洗濯機3まわり(洗濯機3の側面や背面や下面とこれに対向している壁35や床面13)の掃除、洗濯機3にまつわるトラブルの解決(一部の解決容易なトラブル)が、一般家庭のユーザにとって容易になる。そして、人手不足を解消することができる。
【0128】
なお、側壁部7の総てが着脱自在な構成、側壁部7の少なくとも一部の部位が弾性を備えている構成であっても、側壁部7の一部の部位7Aが着脱自在なように構成さている態様と同様の効果を得ることができる。
【0129】
また、防水パン1では、底板部5が矩形な平板状に形成されており、側壁部7が矩形な環状に形成されて底板部5の外周の全周から起立している。また、着脱自在になっている側壁部7の一部の部位7Aが、矩形な環状に形成されている側壁部7の1つの辺に相当する部位で構成されている。
【0130】
このように構成されていることで、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9の防水パン1への出し入れをするための、防水パン1の開口部の幅を十分なものとすることができる。そして、洗濯機3が載置されているキャスタ付きの台9の防水パン1への出し入れが容易になっている。
【0131】
なお、次の示す3つの態様であっても、着脱自在になっている側壁部7の一部の部位7Aが矩形な環状に形成されている側壁部7の1つの辺に相当する部位で構成されている態様と同様な効果を得ることができる。
【0132】
1つ目の態様は、側壁部7の総てが着脱自在になっており、側壁部7が環状に形成されている側壁部7の4つの辺に相当する部位で構成されて態様である。2つ目の態様は、側壁部7のうちの一部が弾性を備えており、側壁部7の弾性を備えている部位が、矩形な環状に形成されている側壁部7の1つの辺に相当する部位で構成されて態様である。3つ目の態様は、側壁部7の総てが弾性を備えており、側壁部7が、環状に形成されている側壁部7の4つの辺に相当する部位で構成されている態様である。
【0133】
また、防水パン1では、底板部5、側壁部7の着脱非自在部位7Fに係止部17が設けられており、着脱自在部位7Aに被係止部19が設けられている。そして、側壁部7の着脱自在部位7Aを底板部5および着脱非自在部位7Fに設置するときには、係止部17、被係止部19の少なくともいずれか弾性変形するようになっている。また、着脱自在部位7Aを、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置し終えたときには、弾性変形した箇所が復元するようになっている。さらに、着脱自在部位7Aを、底板部5および着脱非自在部位7Fに設置し終えた状態で、係止部17と被係止部19とがお互いに押し合っていることで、着脱自在部位7Aが、底板部5および着脱非自在部位7Fに一体的に設置されているようになっている。
【0134】
このように構成されていることで、着脱自在部位7Aの底板部5および着脱非自在部位7Fへの着脱に要する手間を少なくすることができる。
【0135】
また、防水パン1において、側壁部7の弾性を備えている部位を中空構造にすることで、側壁部7の弾性を備えている部位が一層容易に弾性変形しやすくなっており、防水パン1の上に洗濯機3を1人で一層容易に設置することができる。
【0136】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 防水パン
5 底板部
7 側壁部
7A 着脱自在部位(側壁部の一部の部位)
7F 着脱非自在部位(側壁部の一部の部位以外の部位)
17 係止部
19 被係止部
【要約】
【課題】洗濯機と床面との間に設置される防水パンであって、構成が簡素であり、しかも洗濯機を1人でも容易に設置することができる防水パンを提供する。
【解決手段】底板部5と、底板部5から起立している所定の高さの環状の側壁部7とを有し、側壁部7のうちの少なくとも一部の部位7Aが、底板部5に対して、着脱自在なように構成されているか、もしくは、側壁部7の少なくとも一部の部位7Aが弾性を備えている防水パン1である。
【選択図】
図3