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特許7099799ソイルセメント用流動化剤組成物、セメント系懸濁液及びソイルセメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ソイルセメント用流動化剤組成物、セメント系懸濁液及びソイルセメント
(51)【国際特許分類】
   C04B 24/26 20060101AFI20220705BHJP
   C04B 22/10 20060101ALI20220705BHJP
   C04B 28/08 20060101ALI20220705BHJP
   C09K 17/42 20060101ALI20220705BHJP
   C09K 17/44 20060101ALI20220705BHJP
   E02D 3/12 20060101ALI20220705BHJP
   C04B 103/30 20060101ALN20220705BHJP
【FI】
C04B24/26 E
C04B22/10
C04B28/08
C09K17/42 P
C09K17/44 P
E02D3/12 102
C04B103:30
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2016143146
(22)【出願日】2016-07-21
(65)【公開番号】P2018012620
(43)【公開日】2018-01-25
【審査請求日】2019-04-23
【審判番号】
【審判請求日】2020-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003034
【氏名又は名称】東亞合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390036515
【氏名又は名称】株式会社鴻池組
(73)【特許権者】
【識別番号】516219451
【氏名又は名称】AKテクノ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509199018
【氏名又は名称】成幸利根株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094190
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 清路
(74)【代理人】
【識別番号】100151644
【弁理士】
【氏名又は名称】平岩 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100151127
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 勝雅
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 彰夫
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 政史
(72)【発明者】
【氏名】山本 治郎
【合議体】
【審判長】宮澤 尚之
【審判官】後藤 政博
【審判官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-169209(JP,A)
【文献】特開昭55-125184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00 - 32/02
C09K17/42,17/44
E02D 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)水溶性重合体、
(B)炭酸アルカリ金属塩、
及び、
(C)重炭酸アルカリ金属塩
を含有するソイルセメント用流動化剤組成物であって、
前記水溶性重合体(A)は、エチレン性不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位であって、COO結合を有する構造単位を含み、重量平均分子量が50000以下である重合体であり、
前記炭酸アルカリ金属塩(B)、及び、前記重炭酸アルカリ金属塩(C)の含有量は、前記水溶性重合体(A)100質量部に対して、それぞれ、10~1300質量部及び10~1300質量部であり、
前記炭酸アルカリ金属塩(B)、及び、前記重炭酸アルカリ金属塩(C)の合計含有量は、前記水溶性重合体(A)100質量部に対して、100~1500質量部であり、
前記炭酸アルカリ金属塩(B)及び前記重炭酸アルカリ金属塩(C)の質量比は、85:15~15:85であることを特徴とするソイルセメント用流動化剤組成物。
【請求項2】
前記水溶性重合体(A)が、アクリル酸又はその塩に由来する構造単位を含む重合体である請求項1に記載のソイルセメント用流動化剤組成物。
【請求項3】
前記炭酸アルカリ金属塩(B)が炭酸ナトリウムであり、前記重炭酸アルカリ金属塩(C)が重炭酸ナトリウムである請求項1又は2に記載のソイルセメント用流動化剤組成物。
【請求項4】
地盤改良工法、地中連続壁工法、基礎杭工法又は埋め戻し工法で用いられる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のソイルセメント用流動化剤組成物。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のソイルセメント用流動化剤組成物と、セメントと、水とを含有することを特徴とするセメント系懸濁液。
【請求項6】
請求項5に記載のセメント系懸濁液と、土とを含有することを特徴とするソイルセメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良工法、地中連続壁工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等に適用するソイルセメント、並びに、その調製に用いられるセメント系懸濁液(「セメントミルク」又は「セメントスラリー」ともいわれる)及びソイルセメント用流動化剤組成物(以下、「ソイルセメント用流動化剤」ともいう)に関する。
【背景技術】
【0002】
ソイルセメントは、一般に、セメント(セメント系固化材を含む)と水とを混合してセメント系懸濁液を調製した後、このセメント系懸濁液と土とを混合することにより製造されてなる混合物であり、必要に応じて、例えば、ブリージング等を抑制するために、ベントナイト又は水溶性高分子を含有する。ソイルセメントは、地盤改良工法、地中連続壁工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等に利用されており、これらの工法において、ソイルセメントが調製された後、一定時間をおいて固化物を形成させる。そして、これらの工法で用いるソイルセメントにおいては、セメント系懸濁液の注入量又は廃棄ソイルセメント(以下、「泥土」という)の発生量を低減するとともに、ソイルセメントの流動性を改良し、施工効率を向上させるために、近年ではソイルセメント用流動化剤が配合されている。
【0003】
ソイルセメント用流動化剤としては、以下の技術が知られている。
特許文献1には、カルボン酸又はその1価塩を主要構成単量体単位とする低分子量重合体及びアルカリ金属炭酸塩からなることを特徴とするソイルセメント用流動化剤が開示されている。
特許文献2には、(イ)エチレン性不飽和モノカルボン酸及びエチレン性不飽和ジカルボン酸から選ばれた少なくとも1種の重合体及び共重合体及びそれらの水溶性塩の少なくとも1種を含む重合体成分と、及び(ロ)水溶性重炭酸塩の少なくとも1種を含む重炭酸塩成分とを含む地盤改良セメント組成物用添加剤が開示されている。
特許文献3には、特定のリン酸エステル系重合体を含有するソイルセメント用添加剤が開示されている。そして、リン酸エステル系重合体と、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム又は炭酸ナトリウムとを併用した添加剤が記載されている。
また、特許文献4には、(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩(A)単位と共重合モノマー(B)単位から構成される共重合体(X)を含有する組成物であって、(メタ)アクリル酸アルカリ土類金属塩(A)単位が20~85モル%、共重合モノマー(B)単位が15~80モル%であることを特徴とするソイルセメント分散剤が開示されている。そして、炭酸ナトリウムを更に含有してもよいと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-169209号公報
【文献】特開2004-175989号公報
【文献】特開2007-169547号公報
【文献】特開2013-139369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記工法のうち、地中連続壁工法や、鋼管杭工法等の基礎杭工法等においては、原地盤(地中)でソイルセメントを造成した後、H型鋼、鋼管等の応力材が建て込まれる。この場合、削孔開始から応力材の建て込み完了までの間、ソイルセメントには応力材の自重で、応力材を所定の位置に配置できるようにするための適度の流動性が必要である。このようなソイルセメントの流動性に関して、ここ10年ぐらい前までは、ソイルセメントのテーブルフロー値が150mm以上を保持する時間(流動性保持時間)が2~4時間程度であれば、大半の工事を、不具合なく進めることが可能であった。
しかしながら、最近、都市部において、下記のア)~エ)の事由等により、上記流動性保持時間の延長化を求める工事が増えつつある。
ア)近隣住民の環境対策(騒音・振動に対する配慮)として、昼食時間帯の施工中断及び夕方5時又は6時以降の施工中止
イ)交通渋滞及び現場周辺の交通規制による工事関係車両の搬入・搬出の遅延(遅延による施工中断)
ウ)上記ア)及びイ)の施工中断による1工程(削孔開始から応力材の建て込み完了まで)当たりの施工時間の遅延
エ)都市部の狭隘な土地の有効活用や公共インフラ整備等による大深度化
【0006】
夕方の施工時間規制がある工事や大深度工事等では、1工程(削孔開始から応力材の建て込み完了まで)の施工が完了し、次に同じ工程の施工を行う際、その施工がその日の作業終了規制時間までに間に合わないと判断した場合は、その時間がたとえ、午後2時であっても施工を断念していた。その理由は、翌日に施工を持ち越した場合、前日に調製したソイルセメントの流動性がなくなり固化し、再削孔しなければならないからである(工期遅延、使用材料及び発生泥土の超過)。また、1工程(削孔開始から応力材の建て込み完了まで)の施工が作業終了規制時間までに間に合うと判断して削孔を開始した場合であって、突発的なトラブルや作業遅延により、その日のうちに1工程を施工できない場合も、翌日、再削孔が必要となる(工期遅延、使用材料及び発生泥土の超過)。
更に、1工程の施工時間の遅延が度々発生する場合には、ソイルセメントの流動性保持時間を考えると、複数の工程施工後に応力材をまとめて建て込むことができないことから、その後、応力材を建て込んだすぐ隣を削孔することになり、この場合、削孔時の撹拌翼・撹拌用高圧エアの影響により、先の施工で建て込んだ応力材が揺れ動き、結果的に建て込み精度が低下する。
【0007】
本発明の課題は、ソイルセメントを調製した時点から、テーブルフロー値が150mm未満となるまでの時間(流動性保持時間)を6時間以上とすることができるセメント系懸濁液及びそれを与えるソイルセメント用流動化剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、主剤である水溶性重合体と、炭酸アルカリ金属塩と、重炭酸アルカリ金属塩とを併用したソイルセメント用流動化剤組成物において、水溶性重合体に対する炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アルカリ金属塩の含有割合がソイルセメントの流動性、即ち、ソイルセメントにおけるセメント及び土の分散保持性にもたらす効果について、鋭意検討し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下に示される。
[1](A)水溶性重合体、(B)炭酸アルカリ金属塩、及び、(C)重炭酸アルカリ金属塩を含有するソイルセメント用流動化剤組成物であって、上記炭酸アルカリ金属塩(B)、及び、上記重炭酸アルカリ金属塩(C)の含有量は、上記水溶性重合体(A)100質量部に対して、それぞれ、10~1300質量部及び10~1300質量部であり、上記炭酸アルカリ金属塩(B)、及び、上記重炭酸アルカリ金属塩(C)の合計含有量は、上記水溶性重合体(A)100質量部に対して、100~1500質量部であることを特徴とするソイルセメント用流動化剤組成物。
[2]上記水溶性重合体(A)が、エチレン性不飽和結合を有する単量体に由来する構造単位であって、COO結合を有する構造単位を含み、重量平均分子量が50000以下である上記[1]に記載のソイルセメント用流動化剤組成物。
[3]上記水溶性重合体(A)が、アクリル酸又はその塩に由来する構造単位を含む重合体である上記[1]又は[2]に記載のソイルセメント用流動化剤組成物。
[4]上記炭酸アルカリ金属塩(B)が炭酸ナトリウムであり、上記重炭酸アルカリ金属塩(C)が重炭酸ナトリウムである上記[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のソイルセメント用流動化剤組成物。
[5]地盤改良工法、地中連続壁工法、基礎杭工法又は埋め戻し工法で用いられる上記[1]乃至[3]のいずれか一項に記載のソイルセメント用流動化剤組成物。
[6]上記[1]乃至[5]のいずれか一項に記載のソイルセメント用流動化剤組成物と、セメントと、水とを含有することを特徴とするセメント系懸濁液。
[7]上記[6]に記載のセメント系懸濁液と、土とを含有することを特徴とするソイルセメント。
本明細書において、重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)により測定された標準ポリアクリル酸ナトリウム換算値である。「(メタ)アクリル」の記載は、アクリル及びメタクリルを意味する。また、「(共)重合体」の記載は、単独重合体及び共重合体を意味する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物、セメント系懸濁液及びソイルセメントは、地盤改良工法、地中連続壁工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等に好適である。
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物及びセメント系懸濁液によれば、ソイルセメントを調製した時点から、テーブルフロー値が150mm未満となるまでの時間(流動性保持時間)が2~4時間程度であった、従来のソイルセメントよりも更に長い6時間以上の流動性保持時間を有するソイルセメント、即ち、セメント及び土の分散保持性に優れたソイルセメントを与えることができる。従って、上記工法における施工が長時間に渡っても、不具合を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、原地盤(地中)から掘り起こした土、又は、原地盤(地中)の中のままの土と、セメント系懸濁液とを混合してソイルセメントを形成し、これにより、強度等が改良された地盤を形成する地盤改良工法、原地盤(地中)から掘り起こした土、又は、原地盤(地中)の中のままの土と、セメント系懸濁液とを混合してソイルセメントを形成した後、ソイルセメントに流動性がある間に地中連続壁の補強材となる応力材(H型鋼、I型鋼等)を建て込む地中連続壁工法、原地盤(地中)の中のままの土と、セメント系懸濁液とを混合してソイルセメントを形成し、鋼管と一体化させて合成杭を構築する基礎杭工法、原地盤(地中)から掘り起こした土と、セメント系懸濁液とを混合してソイルセメントを形成し、これを地盤に埋め戻す埋め戻し工法等に好ましく適用されるものである。
【0011】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物は、(A)水溶性重合体、(B)炭酸アルカリ金属塩、及び、(C)重炭酸アルカリ金属塩を、特定の割合で含有する組成物であり、必要により、他の成分(後述)を含んでもよい組成物である。
【0012】
上記水溶性重合体(A)は、水に溶解するものであれば、特に限定されず、例えば、エチレン性不飽和結合を有する単量体(ビニル系単量体)に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体又はその塩(以下、単に「ビニル系(共)重合体」という。)、ポリアルキレングリコール、多糖類等を用いることができる。本発明のソイルセメント用流動化剤組成物は、水溶性重合体(A)を1種のみ含んでよいし、2種以上を含んでもよい。
【0013】
上記ビニル系(共)重合体は、下記に示される親水性基の少なくとも1つを含むことが好ましい。
【化1】
(式中、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNHであり、Rは、炭化水素基である。)
上記ビニル系(共)重合体に含まれる親水性基は、分子末端に位置していてよいし、側鎖に含まれていてもよい。
上記ビニル系(共)重合体は、上記親水性基の少なくとも1つを有するビニル系単量体に由来する構造単位(親水性基含有構造単位)を含むことが好ましい。この場合、親水性基含有構造単位の含有割合は、ビニル系(共)重合体を構成するすべての構造単位の合計を100質量%とした場合に、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上であり、更に好ましくは70質量%以上である。尚、上限値は100質量%である。
【0014】
また、上記ビニル系(共)重合体は、COO結合を含むことが好ましい。この場合、親水性基として例示した-COOMを含む重合体だけでなく、-COOM以外の親水性基と、COO結合とを含む重合体も好ましい。尚、COO結合は、以下に例示されるものを意味する。
【化2】
【0015】
上記COO結合は、エチレン性不飽和結合に由来する主鎖を構成する炭素原子に直接結合されたものであってよいし、側鎖に含まれるものであってもよい。
【0016】
上記COO結合を含む親水性基含有構造単位を与えるビニル系単量体としては、アクリル酸及びその塩(アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム等)、メタクリル酸及びその塩(メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム等)、エタクリル酸及びその塩、クロトン酸及びその塩、桂皮酸及びその塩、マレイン酸及びその塩(マレイン酸ナトリウム等)、メチルマレイン酸及びその塩、ジメチルマレイン酸及びその塩、フェニルマレイン酸及びその塩、マレイン酸ハーフエステル及びその塩、フマル酸及びその塩(フマル酸ナトリウム等)、フマル酸ハーフエステル及びその塩、イタコン酸及びその塩(イタコン酸ナトリウム等)、イタコン酸ハーフエステル及びその塩、シトラコン酸及びその塩、シトラコン酸ハーフエステル及びその塩等の、-COOM基を有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の、酸無水物基を有する単量体;(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、マレイン酸ジ-2-ヒドロキシエチル、マレイン酸ジ-4-ヒドロキシブチル、イタコン酸ジ-2-ヒドロキシプロピル等の、ヒドロキシル基を有する単量体;2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシ3-クロロプロピルホスフェート、フェニル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのリン酸エステル等の、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で表されるリン原子含有単量体;1-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及びその塩、2-(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸及びその塩、2-(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸及びその塩、3-(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸及びその塩、2-(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸及びその塩、3-(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸及びその塩、4-(メタ)アクリロイルオキシブタンスルホン酸及びその塩、2-ヒドロキシスルホプロピル(メタ)アクリレート及びその塩、3-(メタ)アクリロキシ-2-(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパンスルホン酸及びその塩、3-(メタ)アクリロキシ-2-(ポリ)オキシプロピレンエーテルプロパンスルホン酸及びその塩等の、下記一般式(5)又は(6)で表される硫黄原子含有単量体;下記一般式(7)、(8)、(9)又は(10)で表される硫黄原子含有単量体等が挙げられる。
【化3】
(式中、Rは、炭素原子数1~3の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数1~20の、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数1~40の炭化水素基であり、M、M及びMは、互いに独立して、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNHである。)
【化4】
(式中、Rは、炭素原子数1~3の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数1~40の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数2~4の、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、M、M及びMは、互いに独立して、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNHであり、nは、1~20の整数である。)
【化5】
(式中、Rは、炭素原子数1~3の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数1~20の、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数2~4の、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNHであり、nは、1~20の整数である。)
【化6】
(式中、Rは、炭素原子数1~3の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数2~4の、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数1~40の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数1~20の、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数2~4の、置換又は非置換の2価の炭化水素基であり、Rは、炭素原子数1~40の炭化水素基であり、Mは、水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子又はNHであり、nは、1~20の整数である。)
【0017】
上記ビニル系(共)重合体を構成する、COO結合を含む親水性基含有構造単位を与えるビニル系単量体としては、-COOM基を有する単量体が好ましく、アクリル酸又はその塩が特に好ましい。
【0018】
また、COO結合を含まないが親水性基含有構造単位を与えるビニル系単量体としては、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N-n-プロピルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリルアミド、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-4-ピロリドン、N-ビニル-3-メチルピロリドン、N-ビニル-5-メチルピロリドン、N-ビニル-3-ベンジルピロリドン、N-ビニル-3,3,5-トリメチルピロリドン、N-アクリロイルピペジリン、N-アクリロイルピロリジン、ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド等が挙げられる。
【0019】
上記ビニル系(共)重合体は、更に、親水性基を有さない構造単位を含んでもよい。このような構造単位を与えるビニル系単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、ビニルアミン、アリルアミン、アミノスチレン、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルメチルアミン、アリルメチルアミン、メチルアミノスチレン、tert-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、N-エチルモルホリノ(メタ)アクリレート、ジメチルアミノスチレン、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、β-メチルスチレン、エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等が挙げられる。
【0020】
上記ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリブチレングリコール等が挙げられる。
【0021】
上記多糖類としては、ノニオン性セルロース、アニオン性セルロース、カチオン性セルロース等が挙げられる。
【0022】
上記水溶性重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度等の観点から、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、更に好ましくは20000以下である。尚、重量平均分子量(Mw)の下限値は、通常、2000である。
【0023】
本発明に係る水溶性重合体(A)としては、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度等がより優れることから、-COOM基を有する単量体に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体が好ましく、アクリル酸又はその塩に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体が特に好ましい。上記水溶性重合体(A)がアクリル酸又はその塩に由来する構造単位を含むビニル系(共)重合体である場合、このビニル系(共)重合体に含まれる、アクリル酸又はその塩に由来する構造単位の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上である。
【0024】
上記炭酸アルカリ金属塩(B)は、水溶性化合物であることが好ましい。水溶性の炭酸アルカリ金属塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。これらのうち、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度、費用対効果等の観点から、炭酸ナトリウムが特に好ましい。尚、本発明のソイルセメント用流動化剤組成物は、炭酸アルカリ金属塩(B)を1種のみ含んでよいし、2種以上を含んでもよい。
【0025】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物に含まれる炭酸アルカリ金属塩(B)の含有量は、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度等の観点から、上記水溶性重合体(A)100質量部に対して、10~1300質量部であり、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは10~730質量部である。
【0026】
また、上記重炭酸アルカリ金属塩(C)は、水溶性化合物であることが好ましい。水溶性の重炭酸アルカリ金属塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等が挙げられる。これらのうち、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度、費用対効果等の観点から、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。尚、本発明のソイルセメント用流動化剤組成物は、重炭酸アルカリ金属塩(C)を1種のみ含んでよいし、2種以上を含んでもよい。
【0027】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物に含まれる重炭酸アルカリ金属塩(C)の含有量は、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度等の観点から、上記水溶性重合体(A)100質量部に対して、10~1300質量部であり、好ましくは10~1000質量部、より好ましくは10~730質量部である。
【0028】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物に含まれる炭酸アルカリ金属塩(B)及び重炭酸アルカリ金属塩(C)の質量比は、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度等の観点から、好ましくは85:15~15:85、より好ましくは70:30~30:70である。
【0029】
また、本発明のソイルセメント用流動化剤組成物において、炭酸アルカリ金属塩(B)及び重炭酸アルカリ金属塩(C)の合計含有量は、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度、費用対効果等の観点から、水溶性重合体(A)100質量部に対して、100~1500質量部であり、好ましくは120~1200質量部、より好ましくは150~900質量部である。
【0030】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物は、原地盤の土(対象土)の質(粘土、シルト、砂、礫)及びその物性(湿潤密度、含水比、液性限界等)、更には、各工法における施工条件(基準配合:セメント量、水/セメント比、注入量、及び要求品質等)等に応じて、グルコン酸塩、トリエタノールアミン、サッカロース等のセメント用硬化遅延剤や硬化促進剤、リグニンスルホン酸系化合物、ナフタレン系化合物等の減水剤又はAE減水剤や流動化剤、AE剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、増粘剤、分離低減剤、防錆剤、収縮低減剤、膨張剤、防凍剤、ポゾラン系混和剤等の、従来、公知の混和剤を含有することができる。
【0031】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物の性状は、特に限定されず、固体混合物及び液状分散体のいずれでもよい。
【0032】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物は、原料成分を混合することにより製造することができる。炭酸アルカリ金属塩及び重炭酸アルカリ金属塩については、これらを、そのまま用いてよいし、複塩であるセスキ炭酸アルカリ金属塩を用いてもよい。また、液状分散体とする場合には、例えば、一部又は全ての原料成分を、予め、水に溶解させてなる水溶液を用いて製造することができる。
【0033】
本発明のセメント系懸濁液は、上記本発明のソイルセメント用流動化剤と、セメントと、水とを含有する。即ち、本発明のセメント系懸濁液は、水溶性重合体(A)と、炭酸アルカリ金属塩(B)と、重炭酸アルカリ金属塩(C)と、セメントと、水とを含有する。
【0034】
上記セメントは、水和反応により硬化するものであれば、特に限定されず、従来、公知の、ポルトランドセメント(JIS R5210に示される、普通、早強、超早強、中庸熱、低熱、耐硫酸塩)や、高炉セメント(JIS R5211に示される、A種、B種、C種)、シリカセメント(JIS R5212に示される、A種、B種、C種)、フライアッシュセメント(JIS R5213に示される、A種、B種、C種)等のポルトランド系混合セメント、更には、都市ゴミ焼却灰又は下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)等を用いることができる。
本発明においては、ソイルセメントの流動性、ソイルセメントが固化した場合の強度等に優れることから、高炉セメントが好ましく、高炉セメントB種が好ましい。
尚、固化後の強度が得られにくいとされるローム質土、腐植土等については、特殊土用として市販されているセメント系固化材を用いることができる。
【0035】
本発明のセメント系懸濁液に含まれるセメントの含有量は、上記水溶性重合体(A)100質量部に対して、好ましくは500~50000質量部、より好ましくは1000~25000質量部である。
【0036】
本発明のセメント系懸濁液における水・セメント比(以下、「W/C比」という。)は、原地盤の土(対象土)の質(粘土、シルト、砂、礫)及びその物性(湿潤密度、含水比、液性限界等)等に応じて、適宜、選択されるが、好ましくは60~350%である。
【0037】
本発明のセメント系懸濁液は、ベントナイト、木節粘土、カオリン系粘土鉱物、石灰系固化材、中性固化材、弱アルカリ固化材、軽焼マグネシア等の他の成分を含有してもよい。
【0038】
本発明のセメント系懸濁液は、上記本発明のソイルセメント用流動化剤と、セメントと、水とを混合することにより製造することができる。また、例えば、予め、上記本発明のソイルセメント用流動化剤の一部と、セメントとを混合した後、上記本発明のソイルセメント用流動化剤の残部と、水とを混合してもよい。
【0039】
本発明のソイルセメントは、上記本発明のセメント系懸濁液と、土とを含有する。即ち、本発明のソイルセメントは、水溶性重合体(A)と、炭酸アルカリ金属塩(B)と、重炭酸アルカリ金属塩(C)と、セメントと、水と、土とを含有する。
【0040】
本発明のソイルセメントは、セメント系懸濁液と、原地盤(地中)の土とを混合することにより得ることができ、土(対象土)の質(粘土、シルト、砂、礫)及びその物性(湿潤密度、含水比、液性限界等)、更には、各工法における施工条件(基準配合:セメント量、水/セメント比、注入量、及び要求品質等)等に応じて、セメント系懸濁液及び土の各使用量が設定される。
一般に、セメント系懸濁液に含まれるソイルセメント用流動化剤の必須成分の固形分合計量は、土1mあたり、好ましくは2~40kgである。2kg未満の場合、必須成分の不足により効果が全く得られない。一方、40kg超の場合、所望の流動性保持時間が得られなかったり、ソイルセメントが速やかに固化せず、強度が著しく低下することも少なくない。
【0041】
必須成分の合計量を具体的に示す。土が粘性土である場合、土1mあたりの、ソイルセメント用流動化剤の必須成分の固形分合計量は、好ましくは8~40kgである。
土が砂質土である場合、土1mあたりの、ソイルセメント用流動化剤の必須成分の固形分合計量は、好ましくは4~20kgである。
土が礫質土である場合、土1mあたりの、ソイルセメント用流動化剤の必須成分の固形分合計量は、好ましくは2~10kgである。
また、対象土が粘性土、砂質土、礫質土の3土質で構成される場合の必須成分の固形分合計量は、上記の各土質の好ましい固形分合計量と各土質の構成割合(容積比)とを加重平均して算出すればよい。例えば、各土質の混合割合が、粘性土:砂質土:礫質土=1:1:1である場合、土1mあたり、4.7~23.3kgとなる。
【0042】
本発明のソイルセメントの流動性について、JIS R5201に準ずるテーブルフロー値は、応力材の自重による建込み、セルフレベリング性の観点から、好ましくは200mm以上である。
本発明のソイルセメントを調製した時点から、テーブルフロー値が150mm未満となるまでの時間(流動性保持時間)は、好ましくは6時間以上、より好ましくは8時間以上で任意にコントロールすることができる。
また、本発明のソイルセメントを調製した時点から、テーブルフロー値が200mm未満となるまでの時間(流動性保持時間)は、好ましくは5時間以上、より好ましくは7時間以上で任意にコントロールすることができる。
【0043】
本発明のソイルセメントは、原地盤(地中)又は地上で造成されたものとすることができる。本発明のソイルセメントは、上記のような流動性保持時間を有するため、特に、原地盤(地中)で造成される場合に有用であり、特に、深層混合処理工法、中層混合処理工法等の地盤改良工法;地中連続壁工法;鋼管杭工法等の基礎杭工法に好適である。また、地上でソイルセメントを造成する埋め戻し工法においても、高充填性(セルフレベリング性、高流動性)が要求される工事に対して好適である。
【実施例
【0044】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
【0045】
1.ソイルセメント用流動化剤の原料
(1)水溶性重合体の水溶液
GPCによるMwが6000のポリアクリル酸ナトリウム(A1)の43.0%水溶液(W1)又はMwが19000のポリアクリル酸ナトリウム(A2)の42.1%水溶液(W2)を用いた。
[GPC測定条件]
装置 :HLC8020システム(東ソー社製)
カラム :G4000PWxl、G3000PWxl及びG2500PWxl(東ソー社製)を連結
溶離液 :0.1M-NaCl+リン酸バッファー(pH7)
流量 :0.8mL/分
カラム温度:40℃
検出器 :RI
標準物質 :ポリアクリル酸ナトリウム
【0046】
(2)炭酸アルカリ金属塩粉末
炭酸ナトリウム粉末又は炭酸カリウム粉末を用いた。
(3)重炭酸アルカリ金属塩粉末
重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)粉末又は重炭酸カリウム(炭酸水素カリウム)粉末を用いた。
【0047】
2.ソイルセメント用流動化剤、セメント系懸濁液及びソイルセメントの製造並びに評価
上記原料を用いて、ソイルセメント用流動化剤を製造し、得られたソイルセメント用流動化剤と、下記の沖積粘性土又は洪積粘性土とを用いて、セメント系懸濁液及びソイルセメントを製造した。
・沖積粘性土(P):東京都江東区新砂三丁目地先で採取した、湿潤密度が1.817g/cm、含水比が36.5%の沖積粘性土
・沖積粘性土(Q):東京都中央区勝どき一丁目地先で採取した、湿潤密度が1.706g/cm、含水比が47.1%の沖積粘性土
・洪積粘性土(R):茨城県つくば市柳橋地先で採取した、湿潤密度が1.700g/cm、含水比が49.6%の洪積粘性土
・洪積粘性土(S):茨城県潮来市小泉南地先で採取した、湿潤密度が1.693g/cm、含水比が49.9%の洪積粘性土
【0048】
実施例1
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末6.25kgと、重炭酸ナトリウム粉末1.25kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S11)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S11)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は291部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は58部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S11)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C11)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が6.25kg、重炭酸ナトリウムの含有量が1.25kgとなるように、セメント系懸濁液(C11)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L11)を得た。
【0049】
得られたソイルセメント(L11)について、JIS R5201に準じて、テーブルフロー値を測定した。即ち、フローテーブルの中央に設置したフローコーンに調製したソイルセメントを詰め、突き棒を用いて15回突いた。そして、直ちに、フローコーンを垂直方向に取り去り、15秒間に15回の落下運動を与え、ソイルセメントが広がった後の径を最大と認める方向とこれに直角な方向とで1mm単位まで測定し、この平均値をテーブルフロー値(TF)とした。
また、ソイルセメント(L11)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0050】
実施例2
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末5.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末2.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S12)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S12)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は233部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は116部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S12)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C12)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が5.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が2.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C12)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L12)を得た。
得られたソイルセメント(L12)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L12)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0051】
実施例3
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末3.75kgと、重炭酸ナトリウム粉末3.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S13)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S13)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は174部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は174部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S13)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C13)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が3.75kg、重炭酸ナトリウムの含有量が3.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C13)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L13)を得た。
得られたソイルセメント(L13)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L13)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0052】
実施例4
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末2.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末5.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S14)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S14)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は116部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は233部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S14)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C14)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が2.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が5.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C14)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L14)を得た。
得られたソイルセメント(L14)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L14)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0053】
実施例5
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末1.25kg部と、重炭酸ナトリウム粉末6.25kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S15)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S15)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は58部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は291部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S15)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C15)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が1.25kg、重炭酸ナトリウムの含有量が6.25kgとなるように、セメント系懸濁液(C15)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L15)を得た。
得られたソイルセメント(L15)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L15)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0054】
実施例6
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)9.0kgと、炭酸ナトリウム粉末6.75kgと、重炭酸ナトリウム粉末6.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S16)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S16)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は174部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は174部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S16)22.5kg(固形分17.37kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C16)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.87kg、炭酸ナトリウムの含有量が6.75kg、重炭酸ナトリウムの含有量が6.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C16)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L16)を得た。
得られたソイルセメント(L16)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L16)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0055】
実施例7
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)9.0kgと、炭酸ナトリウム粉末6.75kgと、重炭酸カリウム粉末6.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S17)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S17)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は174部であり、重炭酸カリウムの含有量は174部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S17)22.5kg(固形分17.37kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C17)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.87kg、炭酸ナトリウムの含有量が6.75kg、重炭酸カリウムの含有量が6.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C17)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L17)を得た。
得られたソイルセメント(L17)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L17)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0056】
実施例8
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)9.0kgと、炭酸カリウム粉末6.75kgと、重炭酸カリウム粉末6.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S18)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S18)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸カリウムの含有量は174部であり、重炭酸カリウムの含有量は174部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S18)22.5kg(固形分17.37kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C18)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.87kg、炭酸カリウムの含有量が6.75kg、重炭酸カリウムの含有量が6.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C18)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L18)を得た。
得られたソイルセメント(L18)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L18)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0057】
実施例9
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)9.0kgと、炭酸カリウム粉末6.75kgと、重炭酸ナトリウム粉末6.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S19)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S19)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸カリウムの含有量は174部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は174部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S19)22.5kg(固形分17.37kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C19)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.87kg、炭酸カリウムの含有量が6.75kg、重炭酸ナトリウムの含有量が6.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C19)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L19)を得た。
得られたソイルセメント(L19)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L19)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0058】
実施例10
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W2)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末3.75kgと、重炭酸ナトリウム粉末3.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S20)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S20)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A2)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は178部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は178部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S20)12.5kg(固形分9.61kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C20)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A2)の含有量が2.11kg、炭酸ナトリウムの含有量が3.75kg、重炭酸ナトリウムの含有量が3.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C20)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L20)を得た。
得られたソイルセメント(L20)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L20)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0059】
比較例1
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム7.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S21)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S21)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表1参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S21)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水368kgとを混合し、セメント系懸濁液(C21)を得た。その後、上記沖積粘性土(P)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が9.65kgとなるように、セメント系懸濁液(C21)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L21)を得た。
得られたソイルセメント(L21)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L21)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例11
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、炭酸ナトリウム粉末7.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末7.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S22)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S22)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は249部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は249部である(表2参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S22)22.00kg(固形分18.01kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C22)を得た。その後、上記沖積粘性土(Q)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、炭酸カリウムの含有量が7.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が7.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C22)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L22)を得た。
得られたソイルセメント(L22)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L22)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表2に示す。
【0062】
比較例2
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S23)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S23)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表2参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S23)17.50kg(固形分13.51kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C23)を得た。その後、上記沖積粘性土(Q)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、炭酸ナトリウムの含有量が10.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C23)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L23)を得た。
得られたソイルセメント(L23)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L23)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表2に示す。
【0063】
比較例3
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、炭酸ナトリウム粉末15.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S24)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S24)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は498部である(表2参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S24)22.00kg(固形分18.01kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C24)を得た。その後、上記沖積粘性土(Q)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、炭酸ナトリウムの含有量が15.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C24)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L24)を得た。
得られたソイルセメント(L24)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L24)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表2に示す。
【0064】
比較例4
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末10.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S25)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S25)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、重炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表2参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S25)17.50kg(固形分13.51kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C25)を得た。その後、上記沖積粘性土(Q)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、重炭酸ナトリウムの含有量が10.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C25)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L25)を得た。
得られたソイルセメント(L25)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L25)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表2に示す。
【0065】
比較例5
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末15.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S26)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S26)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、重炭酸ナトリウムの含有量は498部である(表2参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S26)22.00kg(固形分18.01kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C26)を得た。その後、上記沖積粘性土(Q)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、重炭酸ナトリウムの含有量が15.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C26)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L26)を得た。
得られたソイルセメント(L26)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L26)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表2に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
実施例12
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末10.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S27)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S27)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は349部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表3参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S27)28.00kg(固形分24.01kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C27)を得た。その後、上記洪積粘性土(R)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、炭酸カリウムの含有量が10.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が10.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C27)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L27)を得た。
得られたソイルセメント(L27)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L27)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0068】
実施例13
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末5.25kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S28)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S28)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は349部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は174部である(表3参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S28)22.75kg(固形分18.76kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C28)を得た。その後、上記洪積粘性土(R)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、炭酸カリウムの含有量が10.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が5.25kgとなるように、セメント系懸濁液(C28)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L28)を得た。
得られたソイルセメント(L28)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L28)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0069】
実施例14
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末10.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S29)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S29)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は332部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は332部である(表3参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S29)27.00kg(固形分23.01kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C29)を得た。その後、上記洪積粘性土(R)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、炭酸カリウムの含有量が10.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が10.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C29)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L29)を得た。
得られたソイルセメント(L29)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L29)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0070】
実施例15
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)14.0kgと、炭酸ナトリウム粉末14.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末7.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S30)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S30)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は233部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は116部である(表3参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S30)35.00kg(固形分27.02kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C30)を得た。その後、上記洪積粘性土(R)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が6.02kg、炭酸カリウムの含有量が14.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が7.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C30)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L30)を得た。
得られたソイルセメント(L30)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L30)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0071】
実施例16
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)16.5kgと、炭酸ナトリウム粉末5.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末5.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S31)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S31)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は78部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は78部である(表3参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S31)27.50kg(固形分18.10kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C31)を得た。その後、上記洪積粘性土(R)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が7.10kg、炭酸カリウムの含有量が5.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が5.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C31)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L31)を得た。
得られたソイルセメント(L31)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L31)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0072】
実施例17
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)17.5kgと、炭酸ナトリウム粉末8.75kgと、重炭酸ナトリウム粉末8.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S32)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S32)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は116部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は116部である(表3参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S32)35.00kg(固形分25.03kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C32)を得た。その後、上記洪積粘性土(R)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が7.53kg、炭酸カリウムの含有量が8.75kg、重炭酸ナトリウムの含有量が8.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C32)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L32)を得た。
得られたソイルセメント(L32)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L32)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0073】
比較例6
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)7.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S33)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S33)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表3参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S33)17.50kg(固形分13.51kg)と、高炉セメントB種170kgと、水442kgとを混合し、セメント系懸濁液(C33)を得た。その後、上記洪積粘性土(R)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が3.01kg、炭酸カリウムの含有量が10.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C33)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L33)を得た。
得られたソイルセメント(L33)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L33)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
実施例18
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末3.75kgと、重炭酸ナトリウム粉末3.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S34)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S34)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は174部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は174部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S34)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C34)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が3.75kg、重炭酸ナトリウムの含有量が3.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C34)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L34)を得た。
得られたソイルセメント(L34)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L34)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0076】
実施例19
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末7.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末7.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S35)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S35)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は349部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S35)20.0kg(固形分17.15kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C35)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が7.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が7.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C35)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L35)を得た。
得られたソイルセメント(L35)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L35)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0077】
実施例20
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末10.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S36)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S36)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は465部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は465部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S36)25.0kg(固形分22.15kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C36)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が10.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が10.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C36)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L36)を得た。
得られたソイルセメント(L36)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L36)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0078】
実施例21
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)4.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末10.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S37)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S37)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は581部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は581部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S37)24.0kg(固形分21.72kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C37)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が1.72kg、炭酸ナトリウムの含有量が10.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が10.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C37)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L37)を得た。
得られたソイルセメント(L37)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L37)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0079】
実施例22
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)15.0kgと、炭酸ナトリウム粉末3.75kgと、重炭酸ナトリウム粉末3.75kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S38)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S38)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は58部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は58部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S38)22.5kg(固形分13.95kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C38)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が6.45kg、炭酸ナトリウムの含有量が3.75kg、重炭酸ナトリウムの含有量が3.75kgとなるように、セメント系懸濁液(C38)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L38)を得た。
得られたソイルセメント(L38)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L38)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0080】
実施例23
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)3.5kgと、炭酸ナトリウム粉末10.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末10.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S39)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S39)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は664部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は664部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S39)23.5kg(固形分21.51kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C39)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が1.51kg、炭酸ナトリウムの含有量が10.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が10.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C39)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L39)を得た。
得られたソイルセメント(L39)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L39)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0081】
実施例24
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)4.0kgと、炭酸ナトリウム粉末12.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末12.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S40)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S40)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は581部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は581部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S40)29.0kg(固形分26.72kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C40)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が1.72kg、炭酸ナトリウムの含有量が12.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が12.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C40)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L40)を得た。
得られたソイルセメント(L40)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L40)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0082】
実施例25
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W2)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末7.5kgと、重炭酸ナトリウム粉末7.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S41)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S41)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A2)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は356部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は356部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S41)20.0kg(固形分17.11kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C41)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A2)の含有量が2.11kg、炭酸ナトリウムの含有量が7.5kg、重炭酸ナトリウムの含有量が7.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C41)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L41)を得た。
得られたソイルセメント(L41)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L41)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0083】
比較例7
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末7.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S42)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S42)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S42)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C42)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が7.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C42)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L42)を得た。
得られたソイルセメント(L42)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L42)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0084】
比較例8
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)3.0kgと、炭酸ナトリウム粉末10.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末10.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S43)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S43)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は775部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は775部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S43)23.0kg(固形分21.29kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C43)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が1.29kg、炭酸ナトリウムの含有量が10.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が10.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C43)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L43)を得た。
得られたソイルセメント(L43)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L43)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0085】
比較例9
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末1.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末1.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S44)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S44)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は47部であり、重炭酸ナトリウムの含有量は47部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S44)7.0kg(固形分4.15kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C44)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が1.0kg、重炭酸ナトリウムの含有量が1.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C44)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L44)を得た。
得られたソイルセメント(L44)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L44)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0086】
比較例10
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、重炭酸ナトリウム粉末7.5kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S45)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S45)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、重炭酸ナトリウムの含有量は349部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S45)12.5kg(固形分9.65kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C45)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、重炭酸ナトリウムの含有量が7.5kgとなるように、セメント系懸濁液(C45)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L45)を得た。
得られたソイルセメント(L45)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L45)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0087】
比較例11
ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(W1)5.0kgと、炭酸ナトリウム粉末20.0kgとを混合し、ソイルセメント用流動化剤(S46)を得た。このソイルセメント用流動化剤(S46)の構成は、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量を100部とした場合に、炭酸ナトリウムの含有量は930部である(表4参照)。
次いで、このソイルセメント用流動化剤(S46)25.0kg(固形分22.15kg)と、高炉セメントB種160kgと、水480kgとを混合し、セメント系懸濁液(C46)を得た。その後、上記洪積粘性土(S)1mに、ポリアクリル酸ナトリウム(A1)の含有量が2.15kg、炭酸ナトリウムの含有量が20.0kgとなるように、セメント系懸濁液(C46)を添加し、これらを混合することにより、ソイルセメント(L46)を得た。
得られたソイルセメント(L46)について、実施例1と同様にして、テーブルフロー値を測定した。また、ソイルセメント(L46)を調製してから、テーブルフロー値が150mm未満又は200mm未満となるまでの時間を求めた。
以上の結果を表4に示す。
【0088】
【表4】
【0089】
表1~表4から、実施例1~25におけるソイルセメント用流動化剤及びセメント系懸濁液を用いて得られたソイルセメントは、それを調製した時点から、テーブルフロー値が150mm未満となるまでの時間(流動性保持時間)を6時間以上とすることができ、更に、この流動性保持時間を、6~36時間の範囲で任意にコントロールできることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明のソイルセメント用流動化剤組成物、セメント系懸濁液及びソイルセメントは、原地盤(地中)の土を利用した、地盤改良工法、地中連続壁工法、基礎杭工法、埋め戻し工法等に好適である。