(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H03K 19/0175 20060101AFI20220705BHJP
G11C 29/02 20060101ALI20220705BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20220705BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220705BHJP
H03K 19/00 20060101ALI20220705BHJP
H03K 19/096 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H03K19/0175 220
G11C29/02 150
H01L27/04 H
H03K19/00 121
H03K19/096 220
(21)【出願番号】P 2018056228
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2020-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 佳巧
(72)【発明者】
【氏名】佐野 聡明
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-185882(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105825878(CN,A)
【文献】特開平10-209850(JP,A)
【文献】特開2002-216481(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0155029(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/0175
G11C 29/02
H01L 21/822
H03K 19/00
H03K 19/096
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遅延線を含む遅延要素と、
メモリセルアレイと、
前記メモリセルアレイの記憶データを検出するセンスアンプと、
前記遅延要素を介して
、制御対象となる回路
である前記センスアンプと接続された駆動回路と、
動作モード信号およびクロック信号に基づいて前記駆動回路を制御する制御回路とを備え、
前記センスアンプは、前記遅延線の出力端の信号が活性化されたときに動作を開始し、
前記駆動回路は、
前記遅延要素
に含まれる前記遅延線の入力端に接続された出力ノードと、
第1の電源ノードと前記出力ノードとの間に互いに直列に接続された第1の導電型の第1のMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタおよび前記第1の導電型の第2のMOSトランジスタと、
前記第1の電源ノードと前記出力ノードとの間に前記第1および第2のMOSトランジスタと並列に接続された前記第1の導電型の第3のMOSトランジスタとを含み、
前記制御回路は、前記動作モード信号が活性であるか否かにかかわらず、前記クロック信号が活性の場合に前記第3のMOSトランジスタをオンに制御し、前記クロック信号が非活性の場合に前記第3のMOSトランジスタをオフに制御し、
前記制御回路は、前記動作モード信号が活性の場合に、前記クロック信号が活性であるか否かにかかわらず、前記第1のMOSトランジスタをオフに制御し、
前記制御回路は、前記動作モード信号が非活性であり、かつ、前記クロック信号が活性の場合に、前記第1および第2のMOSトランジスタをオンに制御し、
前記制御回路は、前記動作モード信号が非活性であり、かつ、前記クロック信号が非活性の場合に、前記第2のMOSトランジスタをオフに制御し、かつ、前記クロック信号が非活性化したことに応答して前記第1のMOSトランジスタを少なくとも一時的にオフに制御
し、
前記制御回路は、
前記動作モード信号と前記クロック信号とを受ける第1の論理回路を含み、
前記第1のMOSトランジスタのゲートには前記第1の論理回路の出力信号が入力され、
前記第1の論理回路は、前記遅延線の前記入力端の信号をさらに受け、
前記第1の論理回路は、前記動作モード信号が活性の場合に、前記第1のMOSトランジスタをオフにする信号を前記第1のMOSトランジスタのゲートに出力し、
前記第1の論理回路は、前記動作モード信号が非活性であり、かつ、前記クロック信号が非活性であり、かつ、前記駆動回路の前記入力端の信号が活性の場合に前記第1のMOSトランジスタをオフにする信号を前記第1のMOSトランジスタのゲートに出力する、半導体装置。
【請求項2】
前記駆動回路は、第2の電源ノードと前記出力ノードとの間に接続された第2の導電型の第4のMOSトランジスタをさらに含み、
前記制御回路は、前記動作モード信号が活性であるか否かにかかわらず、前記クロック信号が活性の場合に前記第4のMOSトランジスタをオフに制御し、前記クロック信号が非活性の場合に前記第4のMOSトランジスタをオンに制御する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記クロック信号を受ける第2の論理回路を含み、
前記第2のMOSトランジスタのゲートおよび前記第3のMOSトランジスタのゲートには前記第2の論理回路の出力信号が入力される、請求項
1または
2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の論理回路に用いられているMOSトランジスタの閾値電圧は、前記第2の論理回路に用いられているMOSトランジスタの閾値電圧以下である、請求項
3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1の論理回路に用いられているMOSトランジスタのゲート幅は、前記第2の論理回路に用いられているMOSトランジスタのゲート幅以上である、請求項
3に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、半導体装置に関し、たとえば、BTI(Bias Temperature Instability)によるMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタの劣化を抑制するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
MOSトランジスタの劣化モードの1つにBTIがある。BTIとは、オン状態が長く続くと閾値電圧が次第に大きくなる劣化モードである。BTIはNMOS(N-channel MOS)トランジスタにもPMOS(P-channel MOS)トランジスタにも生じる。NMOSトランジスタにおけるBTIをPBTI(Positive BTI)と称し、PMOSトランジスタにおけるBTIをNBTI(Negative BTI)と称する。
【0003】
BTIでは、ゲート電圧をオフにすると増加した閾値電圧が元に戻っていくというリカバリ現象があることが知られている。特開2015-079916号公報(特許文献1)は、このリカバリ現象を利用することにより、MOSトランジスタのBTI劣化を回復する技術を開示する。具体的にこの文献によれば、スタンバイ状態にあるMOSトランジスタがAC動作を開始する直前に、劣化を回復するためのリセットパルスが当該MOSトランジスタのゲートに入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
半導体装置には、動作モードに応じてオンとオフとが切り替えられるスイッチ用のMOSトランジスタが設けられることが多い。たとえば、製品出荷前のテストモードでは、スイッチ用MOSトランジスタがオフ状態に制御され、製品出荷後の非テストモードでは、このスイッチ用MOSトランジスタはオン状態に制御される。この場合、半導体装置の出荷後はほぼ非テストモードで使用されるので、特開2015-079916号公報に記載されているようなBTI劣化の回復手段、すなわち、動作モードの切り替え時にリセットパルスを当該MOSトランジスタのゲートに印加するという手段を、採用することができない。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態による半導体装置は、遅延要素を介して制御対象の回路と接続された駆動回路を備える。駆動回路は、直列に接続された第1および第2のMOSトランジスタを含む。第1のMOSトランジスタは動作モード信号が活性のときにオフに制御される。動作モード信号の非活性時には、第2のMOSトランジスタがオフに制御されている場合に少なくとも一時的に第1のMOSトランジスタはオフに制御される。
【発明の効果】
【0008】
上記の実施形態によれば、動作モード信号の非活性時にも第1のMOSトランジスタのBTI劣化を回復させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態による半導体装置の一部の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1の制御信号生成回路の動作を示すフローチャートである。
【
図3】第2の実施形態による半導体装置としてのSRAM回路の構成の一部を示すブロック図である。
【
図4】
図3のメモリセルの構成例を示す回路図である。
【
図5】
図3の制御ブロックの動作を説明するためのタイミング図である。
【
図6】
図3の制御ブロックの一部のレイアウトを示す平面図である。
【
図7】第3の実施形態による半導体装置としてのSRAM回路の構成の一部を示すブロック図である。
【
図8】
図7の制御ブロックのユーザモード(TE=0)における動作を説明するためのタイミング図である。
【
図9】第4の実施形態による半導体装置の一部の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図9の制御信号生成回路の動作を示すフローチャートである。
【
図11】第5の実施形態による半導体装置としてのSRAM回路の構成の一部を示すブロック図である。
【
図12】レジューム・スタンバイモード時における周辺回路の接地配線LCVSSの電圧について説明するための図である。
【
図14】
図11の制御ブロックのユーザモード(TE=0)における動作を説明するためのタイミング図である。
【
図15】第6の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰り返さない。
【0011】
<第1の実施形態>
[半導体装置の構成]
図1は、第1の実施形態による半導体装置の一部の構成を示すブロック図である。
【0012】
図1の半導体装置100では、制御対象33に出力するためのタイミング信号TSを生成する部分の構成が示されている。制御対象33は、タイミング信号TSの論理レベルに応じて動作状態と非動作状態とが切り替わる。
【0013】
具体的に、半導体装置100は、遅延要素32と、遅延要素32を駆動する駆動回路31と、駆動回路31に出力するゲート制御信号を生成する制御信号生成回路30とを含む。
【0014】
遅延要素32は、たとえば、遅延線または容量素子である。
駆動回路31は、制御信号生成回路30から入力された制御信号TDEC1,TDEC2,ITEに応答して、遅延要素32の入力端の電圧を電源電圧VDDまたは接地電圧VSSに駆動する。遅延要素32の出力端から制御対象33にタイミング信号TSが出力される。
【0015】
具体的に、駆動回路31は、遅延要素32の入力端に接続される出力ノード35と、少なくとも1つのPMOS(P-channel Metal Oxide Semiconductor)トランジスタP1と、複数のNMOS(N-channel MOS)トランジスタN1,N2,N3とを含む。
図1では、代表的に1つのPMOSトランジスタP1と3つのNMOSトランジスタN1,N2,N3とが示されているが、より多くのトランジスタが設けられていてもよい。
【0016】
図1の場合、PMOSトランジスタP1は、電源電圧VDDが与えられるノード(以下、VDD電源ノードと称する)と出力ノード35との間に接続される。NMOSトランジスタN1,N2は、接地電圧VSSが与えられる電源ノード(以下、VSS電源ノードと称する)と出力ノード35との間に直列に接続される。NMOSトランジスタN3は、NMOSトランジスタN1,N2が設けられている電流経路と並列に、出力ノード35とVSS電源ノードとの間に接続される。
【0017】
NMOSトランジスタN1は、テストモードのときオフ状態に制御されるモード選択スイッチとして用いられる。テストモードをタイミング調整モードとも称する。NMOSトランジスタN1は、テストモード以外の通常状態(ユーザモードと称する)のとき、従来はオン状態に制御されていたが、本実施形態の場合には、PBTI劣化を回復させるために、クロック信号CLKに基づいてタイミング信号TSの制御に影響のない時間帯でオフ状態に制御される。
【0018】
テストモード時には、NMOSトランジスタN1を介した電流経路が遮断されるので、出力ノード35からVSS電源ノードに流れる電流量が減る。すなわち、駆動回路31の駆動能力が低下する。このため、タイミング信号TSの遅延時間が増える。逆に、ユーザモード時には、NMOSトランジスタN1を介した電流経路は遮断されないので、テストモード時に比べて出力ノード35からVSS電源ノードに流れる電流量を増やすことができる。この結果、テストモード時に比べてタイミング信号TSの遅延時間を減らすことができる。
【0019】
制御信号生成回路30は、クロック信号CLKとテストモード信号TEとに基づいて、制御信号TDEC1,TDEC2,ITEを生成する。制御信号TDEC1は、PMOSトランジスタP1のゲート電圧の制御に用いられる。制御信号TDEC2は、NMOSトランジスタN2,N3のゲート電圧の制御に用いられる。制御信号ITEは、NMOSトランジスタN1のゲート電圧の制御に用いられる。
【0020】
制御信号TDEC1が活性状態の場合、PMOSトランジスタP1はオン状態であり、制御信号TDEC1が非活性状態の場合、PMOSトランジスタP1はオフ状態である。制御信号TDEC2が活性状態の場合、NMOSトランジスタN2,N3はオン状態であり、制御信号TDEC2が非活性状態の場合、NMOSトランジスタN2,N3はオフ状態である。制御信号ITEが活性状態の場合、NMOSトランジスタN1はオン状態であり、制御信号ITEが非活性状態の場合、NMOSトランジスタN1はオフ状態である。
【0021】
[制御信号生成回路の動作]
図2は、
図1の制御信号生成回路の動作を示すフローチャートである。なお、制御信号生成回路30は、ロジック回路によって構成されていてもよいし、コンピュータをベースに構成されていてもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)などPLD(Programmable Logic Device)によって構成されていてもよい。すなわち、制御信号生成回路30の具体的構成は特に限定されない。
【0022】
また、以下の説明において、信号が活性(Active)な状態をアサートとも称し、信号が非活性(Inactive)な状態をネゲートとも称する。
【0023】
まず、制御信号生成回路30は、テストモードであるか、ユーザモードであるかにかかわらず、クロック信号CLKに応じて、制御信号TDEC1,TDEC2の一方を活性状態に切り替え、他方を非活性に切り替える(S101)。制御信号TDEC1,TDEC2は、同一の制御信号TDECであってもよい。たとえば、制御信号TDECが活性状態の場合に、PMOSトランジスタP1はオフ状態であり、NMOSトランジスタN2,N3はオン状態である。
【0024】
テストモード信号TEが活性な場合、すなわち、テストモード時(S102でYES)には、制御信号生成回路30は、制御信号ITEを常時非活性化する(S103)。これにより、NMOSトランジスタN1,N2を介する電流経路が常時遮断される。したがって、駆動回路31を流れる電流経路は、クロック信号CLKに応じて、PMOSトランジスタP1を介する電流経路とNMOSトランジスタN3を介する電流経路とに切り替わる。この結果、駆動回路31の駆動能力が減少するので、遅延要素32における信号の遅延時間が増加し、動作マージンを増やすことができる。
【0025】
一方、テストモード信号TEが非活性な場合、すなわち、ユーザモード時(S102でNO)には、制御信号生成回路30は、制御信号TDEC2に応じて、制御信号ITEを活性または非活性に切り替える。
【0026】
具体的に、制御信号生成回路30は、ユーザモード時(S102でNO)であり、かつ、制御信号TDEC2が活性な場合(S104でYES)には、制御信号ITEを活性化する(S105)。これによって、NMOSトランジスタN1,N2を介する電流経路は遮断されることはない。したがって、NMOSトランジスタN1,N2を介する経路とNMOSトランジスタN3を介する経路の両方の経路を介して出力ノード35からVSS電源ノードに電流が流れる。
【0027】
ユーザモード時(S102でNO)であり、かつ、制御信号TDEC2が非活性な場合(S104でNO)には、NMOSトランジスタN2,N3はオフ状態に制御され、電流はオン状態のPMOSトランジスタP1を介して流れる。この場合、制御信号生成回路30は、制御信号ITEを少なくとも一時的に非活性化することによって、NMOSトランジスタN1が少なくとも一時的にオフ状態になるように制御する(S106)。NMOSトランジスタN2,N3はオフ状態であるので、NMOSトランジスタN1をオフ状態に制御しても、駆動回路31の動作が妨げられることはない。
【0028】
[第1の実施形態の効果]
以上のとおり第1の実施形態では、遅延要素32を駆動する駆動回路31にモード選択スイッチとして用いられるNMOSトランジスタN1が含まれている場合について説明した。たとえば、NMOSトランジスタN1は、製品出荷前のテストモード時にオフ状態に制御され、製品出荷後のユーザモード時には常時オン状態に制御される。このため、NMOSトランジスタN1はPBTIによる劣化が生じやすい。また、NMOSトランジスタN1に劣化、すなわち、閾値電流の増加が生じると、タイミング信号TSの遅延時間が増大するので回路動作上望ましくない。
【0029】
この問題を解決するため
図1の半導体装置100では、制御信号生成回路30から駆動回路31のNMOSトランジスタN2,N3のゲートに出力されている制御信号TDEC2が非活性のときに、すなわち、NMOSトランジスタN2,N3がオフ状態の場合に、少なくとも一時的にNMOSトランジスタN1がオフ状態に制御される。これにより、駆動回路31の動作に影響を及ぼすことなく、NMOSトランジスタN1のPBTIによる劣化を回復させることができる。
【0030】
上記では、モード選択スイッチがNMOSトランジスタで構成されている場合について説明したが、モード選択スイッチがPMOSトランジスタで構成されている場合にも同様の制御を行うことができる。この場合、モード選択用のPMOSトランジスタと直列に少なくとも1つの遅延要素32の駆動用PMOSトランジスタが設けられ、さらにこれらのトランジスタの電流経路と並列に少なくとも1つの遅延要素32の駆動用PMOSトランジスタが設けられる。
【0031】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、メモリ回路を例に挙げ、第1の実施形態の
図1で説明した制御対象33がセンスアンプSAに対応する場合について説明する。以下に詳述するように、センスアンプSAを動作させるためのタイミング信号は、タイミングレプリカ51に設けられた遅延線80を介して供給される。遅延線80を駆動する駆動回路31には、テストモード選択用スイッチとしてのNMOSトランジスタN1が設けられている。
【0032】
なお、以下の説明では、メモリ回路としてSRAM(Static Random Access Memory)回路を例に挙げて説明するが、以下の制御方法はSRAM以外のメモリ回路にも適用可能である。
【0033】
[SRAM回路の構成]
図3は、第2の実施形態による半導体装置としてのSRAM回路の構成の一部を示すブロック図である。
図3では、制御ブロック53のさらに詳細な回路図の一例も示されている。
【0034】
図3を参照して、半導体装置101は、メモリセルアレイ52と、ワード線デコーダ50と、入出力ブロック54と、タイミングレプリカ51と、制御ブロック53とを含む。以下、各構成要素について説明する。
【0035】
(メモリセルアレイ)
メモリセルアレイ52は、行列状に配列された複数のメモリセルMCと、複数のメモリセルMCの各行に個別に設けられ、行方向に延在する複数のワード線WLと、複数のメモリセルMCの各列に個別に設けられ、列方向に延在する複数のビット線対BL,/BLとを含む。
【0036】
(メモリセル)
図4は、
図3のメモリセルの構成例を示す回路図である。
図3を参照して、メモリセルMCは、記憶ノード130,131と、ドライバPMOSトランジスタ121,122と、ドライバNMOSトランジスタ123,124と、アクセスNMOSトランジスタ125,126とを含む。
【0037】
記憶ノード130,131は、一方がハイレベル(Hレベル)であり、他方がローレベル(Lレベル)である相補のデータを保持する。
【0038】
ドライバPMOSトランジスタ121はVDD電源ノードと一方の記憶ノード130との間に接続される。ドライバPMOSトランジスタ122はVDD電源ノードと他方の記憶ノード131との間に接続される。ドライバNMOSトランジスタ123はVSS電源ノードと記憶ノード130との間に接続される。ドライバNMOSトランジスタ124はVSS電源ノードと記憶ノード131との間に接続される。ドライバPMOSトランジスタ121およびドライバNMOSトランジスタ123のゲートは記憶ノード131に接続される。ドライバPMOSトランジスタ122およびドライバNMOSトランジスタ124のゲートは記憶ノード130に接続される。上記の接続により、MOSトランジスタ121~124はラッチ回路を構成する。
【0039】
アクセスNMOSトランジスタ125は記憶ノード130とビット線BLとの間に接続される。アクセスNMOSトランジスタ126は記憶ノード131とビット線/BLとの間に接続される。アクセスNMOSトランジスタ125,126のゲートは、対応するワード線WLに接続される。上記の構成により、対応するワード線WLの選択信号を活性化したときに、記憶ノード130,131に記憶されている相補のデータに応じてビット線対の電位が変化する。このビット線対BL,/BLの電位変化がセンスアンプSAによって検出される。
【0040】
(ワード線デコーダ)
再び
図3を参照して、ワード線デコーダ50は、入力されたアドレス信号をデコードし、デコード結果に基づいて、読出しまたは書込み対象となっているメモリセルMCに対応する行のワード線WLに選択信号を出力する。
【0041】
(入出力ブロック)
入出力ブロック54は、メモリセルアレイ52の複数の列にそれぞれ対応する複数のセンスアンプSAを含む。各センスアンプSAは、制御ブロック53から入力されたタイミング信号TSが活性化されたときに、対応するビット線対BL,/BLの電圧の増幅を開始する。そして、各センスアンプSAは、対応するビット線対BL,/BLに接続された読出し対象のメモリセルMCの記憶データの検出結果Qを出力する。
【0042】
なお、
図3では、メモリセルアレイ52の各列に対応してセンスアンプSAが設けられていたが、この構成と異なり、入出力ブロック54は、列選択回路と少なくとも1つのセンスアンプSAを含むように構成されていてもよい。この場合、読出しアドレスに基づいて選択された選択列のメモリセルMCの記憶データがセンスアンプSAによって検出される。
【0043】
(タイミングレプリカ)
タイミングレプリカ51は、ビット線BL,/BLを模擬した遅延線80を備える。
図3において遅延線80は太線で示されている。遅延線80は、ビット線BL,/BLと同程度の長さを有することにより、ビット線BL,/BLと同程度の容量81,82を有している。
【0044】
遅延線80は、入力端80Aに入力されたパルス波形のタイミングを遅延させて出力端80Bから出力する。また、パルス波形の立ち上がり時間および立ち下がり時間が増大する(すなわち、エッジ波形が鈍る)。これにより、タイミング信号TSをセンスアンプSAに出力するタイミングが調整可能になる。パルス波形を整形するために、遅延線80の途中にインバータ83,84によって構成されたバッファを設けてもよい。
【0045】
(制御ブロック)
制御ブロック53は、遅延線80を駆動する駆動回路31と、駆動回路31に供給するゲート制御信号TDEC,ITEを生成する制御信号生成回路30Aと、インバータ66とを含む。
【0046】
駆動回路31の構成は
図1と同じであるので、構成に関して詳しい説明を繰り返さない。駆動回路31を構成するPMOSトランジスタP1のゲートおよびNMOSトランジスタN2,N3のゲートには、共通の制御信号TDECが入力される。駆動回路31を構成するNMOSトランジスタN1のゲートには、制御信号ITEが入力される。出力ノード35は、遅延線80の入力端80Aに接続される。遅延線80の出力端80Bは、インバータ66を介してセンスアンプSAに接続されるとともに、制御信号生成回路30Aに設けられたラッチ回路36に接続される。
【0047】
駆動回路31は、タイミングレプリカ51の遅延線80をHレベルからLレベルに駆動する。この結果、タイミングが調整されたタイミング信号TSがセンスアンプSAに出力される。センスアンプSAは、タイミング信号TSが活性化されると、対応するビット線対BL,/BLの電圧を増幅および検出を行う。遅延線80を駆動するMOSトランジスタN1,N2,N3の種類がNチャネルであることは、各メモリセルMCのアクセストランジスタがNMOSトランジスタであるのに合わせたものである。
【0048】
制御信号生成回路30Aは、クロック信号CLKとテストモード信号TEとに基づいて、制御信号TDEC,ITEを生成する。
図3の例では、テストモード信号TEがLレベル(論理値“0”)のときに非活性となって動作モードはユーザモードになり、テストモード信号TEがHレベル(論理値“1”)ときに活性となって動作モードはテストモード(タイミング調整モードとも称する)になる。すなわち、テストモード信号TEはH-アクティブな信号である。
【0049】
具体的に、制御信号生成回路30Aは、インバータ61~65と、NANDゲート70~72とを含む。NANDゲート70,71によってラッチ回路36が構成される。
【0050】
ラッチ回路36を構成するNANDゲート70の第1入力ノードにはインバータ61を介してクロック信号CLKが入力される。NANDゲート70の第2入力ノードにはNANDゲート71の出力信号が入力される。NANDゲート70の出力信号は、内部クロック信号CK1として用いられる。NANDゲート71の第1入力ノードにはNANDゲート70の出力信号である内部クロック信号CK1が入力され、NANDゲート71の第2入力ノードには遅延線80の出力端80Bが接続される。
【0051】
NANDゲート70の出力信号である内部クロック信号CK1は、インバータ63,64を介してPMOSトランジスタP1およびNMOSトランジスタN2,N3のゲートに制御信号TDECとして入力される。内部クロック信号CK1は、さらに、NANDゲート72の第1入力ノードに入力される。
【0052】
NANDゲート72は、第1入力ノードに内部クロック信号CK1を受けるとともに、第2入力ノードにインバータ62を介してテストモード信号TEの入力を受ける。NANDゲート72の出力信号は、インバータ65を介してNMOSトランジスタN1のゲートに制御信号ITEとして入力される。
【0053】
[制御ブロックの動作]
図5は、
図3の制御ブロックの動作を説明するためのタイミング図である。
図5では、時刻t0から時刻t20で読出し動作の信号波形が示されており、時刻t20から時刻t30でスタンバイ時の信号波形が示されている。
【0054】
スタンバイ時には、クロック信号CLK、内部クロック信号CK1、制御信号TDEC、および制御信号ITEは全てLレベルである。タイミングレプリカ51に設けられた遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTは、Hレベルである。NMOSトランジスタN1,N2,N3は全てオフ状態になるので、BTI劣化を回復することができる。
【0055】
次に、読出し動作について、ユーザモードとタイミング調整モードとに分けて説明する。
【0056】
(1. ユーザモード(TE=0)における読出し動作)
図3および
図5を参照して、まずユーザモード(すなわち、TE=0)における読出し動作について説明する。
図5の例では、制御信号TDECと制御信号ITEとが同期している点、すなわち、両制御信号TDEC,ITEが同じタイミングでLレベルまたはHレベルに変化する点に特徴がある。
【0057】
具体的に、ユーザモード(TE=0)の場合には、インバータ62の出力はHレベルになるので、NANDゲート72の出力は、内部クロック信号CK1の論理値のみによって決まる。したがって、NMOSトランジスタN1のゲートに入力される制御信号ITEの論理値も内部クロック信号CK1に応じて決定される。
【0058】
図5の時刻t1において、クロック信号CLKがLレベルからHレベルに変化する。時刻t1からインバータ61およびNANDゲート70の反転動作に要する遅延時間が経過した時刻t2に、内部クロック信号CK1がLレベルからHレベルに変化する。
【0059】
時刻t2から、インバータ63,64の反転動作に要する遅延時間が経過した時刻t3に、制御信号TDECがLレベルからHレベルに変化する。これにより、PMOSトランジスタP1がオン状態からオフ状態に切り替わるとともに、NMOSトランジスタN2,N3がオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0060】
また、時刻t2から、NANDゲート72およびインバータ65の反転動作に要する遅延時間が経過した時刻t4に、制御信号ITEがLレベルからHレベルに変化する。これにより、NMOSトランジスタN1がオフ状態からオン状態に切り替わる。
【0061】
第2の実施形態の場合には、NMOSトランジスタN1のPBTI劣化の回復のために、NMOSトランジスタN1は、NMOSトランジスタN2がオフ状態のときはオフ状態に制御され、NMOSトランジスタN1がオン状態のときはオン状態に制御される。この回復動作のために、駆動回路31の動作に影響を及ぼさないようにするために、時刻t4は、時刻t3とほぼ同時であるか、時刻t3よりも前である必要がある。
図5には、時刻t3と時刻t4とがほぼ同時である場合が示されている。
【0062】
次に、時刻t3(=t4)から、NMOSトランジスタN1,N2,N3のターンオンに要する遅延時間が経過した時刻t5に、遅延線80の入力端80Aにおける電圧RPLBTがHレベルからLレベルに変化する。遅延線80が有する容量のためにこの変化は緩やかである。
【0063】
図5には図示していないが、時刻t5から遅延線80による遅延時間が経過したときに、遅延線80の出力端80Bの電圧が、HレベルからLレベルに変化する。遅延線80が有する容量のためにこの変化は緩やかである。
【0064】
出力端80Bの電圧がLレベルに変化したことによって、
図3のインバータ66からセンスアンプSAに出力されるタイミング信号TSがLレベルからHレベルに変化する。この結果、センスアンプSAがビット線対BL,/BLの電圧の増幅動作を開始する。時刻t7に、センスアンプSAは、読出し対象のメモリセルMCのデータの検出結果Q(すなわち、「YYY」)を出力する。
【0065】
時刻t11に、クロック信号CLKがHレベルからLレベルに変化する。この時点では、遅延線80の出力端80Bの電圧は、HレベルのままでLレベルに変化していない。したがって、ラッチ回路36を構成するNANDゲート71の第2入力ノードにはHレベルの信号が入力されるので、内部クロック信号CK1はHレベルに維持される。すなわち、ラッチ回路36は、内部クロック信号CK1を保持した状態(すなわち、ラッチ状態)である。
【0066】
その後、出力端80Bの電圧がHレベルからLレベルに変化すると、NANDゲート71の第2入力ノードの入力信号はHレベルからLレベルに変化する。これにより、内部クロック信号CK1は、クロック信号CLKに応じて変化できるようになるので、時刻t12に内部クロック信号CK1がHレベルからLレベルに変化する。
【0067】
このようにラッチ回路36を設けたことにより、少なくとも遅延線80の出力端80Bの電圧がHレベルからLレベルに変化するまでは、内部クロック信号CK1をHレベルに維持することができる。この結果、読出し対象メモリセルMCの記憶データをセンスアンプSAによって確実に検出することができる。
【0068】
時刻t12における内部クロック信号CK1のLレベルへの変化に応じて、時刻t13に制御信号TDECがHレベルからLレベルに変化し、時刻t14に制御信号ITEがHレベルからLレベルに変化する。この結果、PMOSトランジスタP1がターンオンし、NMOSトランジスタN1,N2,N3がターンオフする。
【0069】
PMOSトランジスタP1のターンオンによって、時刻t15に、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTがLレベルからHレベルに緩やかに変化する。その後、
図5には図示していないが、遅延線80の出力端80BがLレベルからHレベルに変化すると、インバータ66からセンスアンプSAに出力されるタイミング信号TSはHレベルからLレベルに変化する。これにより、センスアンプSAは動作を停止する。
【0070】
(2. タイミング調整モード(TE=1)における読出し動作)
次に、タイミング調整モード(すなわち、TE=1)における読出し動作について説明する。タイミング調整モード(TE=1)の場合は、インバータ62の出力はLレベルになるので、制御信号ITEは常にLレベルである。したがって、NMOSトランジスタN1は常にオフ状態である。これにより、NMOSトランジスタN1,N2を介した電流経路が遮断される。結果として、制御信号TDECに応答してNMOSトランジスタN3のみによって遅延線80の電荷が引き抜かれるので、駆動回路31の駆動能力は減少する。この結果、駆動回路31によって駆動される遅延線80の電圧変化はさらに緩やかになり、遅延線80の遅延時間が増大する。
【0071】
このようにタイミング調整モードでは、ユーザモードよりもSRAM回路101を低速に動作させて動作マージンを確保する。以下、
図5のタイミング図を参照して、具体的に説明する。
【0072】
時刻t1にクロック信号CLKがLレベルからHレベルに変化すると、ユーザモードの場合と同様に、時刻t2に内部クロック信号CK1がLレベルからHレベルに変化し、時刻t3に制御信号TDECがLレベルからHレベルに変化する。これにより、PMOSトランジスタP1がターンオフし、NMOSトランジスタN3がターンオンする。
【0073】
このNMOSトランジスタN3のターンオンによって、時刻t5Aに、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTがHレベルからLレベルに変化する。前述のように、駆動回路31の駆動能力はユーザモードの場合よりも小さいので、電圧RPLBTの変化は、ユーザモードの場合よりもさらに緩やかになる。この結果、遅延線80の遅延時間が増大する。
図5では、ユーザモードの場合が破線で示されている。
【0074】
図5には図示していないが、時刻t5Aから遅延線80による遅延時間が経過したときに、遅延線80の出力端80Bの電圧が、HレベルからLレベルに変化する。これにより、
図3のインバータ66からセンスアンプSAに出力されるタイミング信号TSがLレベルからHレベルに変化する。このタイミング信号TSの活性化に応答して、センスアンプSAがビット線対BL,/BLの電圧の増幅動作を開始する。
【0075】
時刻t7Aに、センスアンプSAは、読出し対象のメモリセルMCのデータの検出結果Q(すなわち、「YYY」)を出力する。この時刻t7Aは、遅延線80の遅延時間の増大分だけユーザモードの場合(すなわち、時刻t7)よりも遅延する。
【0076】
時刻t11に、クロック信号CLKがHレベルからLレベルに変化する。この時点では、遅延線80の出力端80Bの電圧はHレベルのままでLレベルに変化していないので、内部クロック信号CK1はHレベルに維持される。
【0077】
その後、出力端80Bの電圧がHレベルからLレベルに変化したことによって、時刻t12Aに内部クロック信号CK1がHレベルからLレベルに変化する。この時刻t12Aは、遅延線80の遅延時間の増大分だけユーザモードの場合(すなわち、時刻t12)よりも遅延する。
【0078】
内部クロック信号CK1がLレベルに変化したことによって、時刻t13Aに制御信号TDECがHレベルからLレベルに変化する。これにより、PMOSトランジスタP1がターンオンし、NMOSトランジスタN3がターンオフする。時刻t13Aは、遅延線80の遅延時間の増大分だけユーザモードの場合(すなわち、時刻t13)よりも遅延する。
【0079】
PMOSトランジスタP1のターンオンによって、時刻t15Aに、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTがLレベルからHレベルに緩やかに変化する。この時刻t15Aは、遅延線80の遅延時間の増大分だけユーザモードの場合(すなわち、時刻t15)よりも遅延する。
【0080】
その後、
図5には図示していないが、遅延線80の出力端80BがLレベルからHレベルに変化すると、インバータ66からセンスアンプSAに出力されるタイミング信号TSはHレベルからLレベルに変化する。これにより、センスアンプSAは動作を停止する。
【0081】
[制御ブロックの一部のレイアウト]
第2の実施形態の半導体装置では、PBTIの劣化を回復するためにNMOSトランジスタN1をオフ状態に制御することによって制御ブロック53の動作に影響を及ぼさないようにするために、制御ブロック53の一部にレイアウト上の工夫が施されている。以下では、まず、レイアウトの概要について説明し、次にレイアウト上の工夫について説明する。
【0082】
(レイアウトの概要)
図6は、
図3の制御ブロックの一部のレイアウトを示す平面図である。
図6では、図解を容易にするために、ポリシリコン配線(すなわち、ゲート配線)の部分に斜線のハッチング付し、不純物領域にドットのハッチングを付している。ここで、ゲート配線の両側の不純物領域はチャネル領域によって分離されるが、便宜上、同じ参照符号を付している。
図6において、破線で示した小さな矩形部分はコンタクトCTを表す。
【0083】
図面の左右方向をX方向と称し、図面の上下方向をY方向と称する。Y方向はゲート配線PS1~PS9の延在方向である。X方向について図面上で右方向を+X方向と称し、左方向を-X方向と称する。Y方向についても同様に、図面上で上方向を+Y方向と称し、下方向を-Y方向と称する。
【0084】
図6には、
図3のNMOSトランジスタN1,N2,N3と、インバータ63~65と、NANDゲート72のレイアウトが示されている。以下では、まず、これらのレイアウトについて説明する。
【0085】
N型の不純物領域151、P型の不純物領域152、P型の不純物領域153、およびN型の不純物領域154は、この並び順でY方向に並んで配置されている。P型の不純物領域152,153は、共通のN型ウェルNWに配置されている。N型の不純物領域155は、不純物領域151,152に対して図面上で右側(+X方向)に配置され、N型の不純物領域156は、不純物領域153に対して図面上で右側(+X方向)に配置されている。
【0086】
ゲート配線PS1~PS9の各々は、Y方向に延在する。ゲート配線PS1~PS9は、この並び順で、図面上で左から右の方向に並ぶ。ゲート配線PS3,PS4,PS7は、途中で分離されている。図面上で下側(-Y方向)のゲート配線の参照符号をそれぞれPS3A,PS4A,PS7Aとし、上側(+Y方向)のゲート配線の参照符号をそれぞれPS3B,PS4B,PS7Bとしている。
【0087】
図6に示すように、ゲート配線PS7Aおよびその両側の不純物領域156は、
図3のNMOSトランジスタN1を構成する。ゲート配線PS8およびその両側の不純物領域156は、
図3のNMOSトランジスタN2を構成する。ゲート配線PS7Aとゲート配線PS8とによって挟まれた部分の不純物領域156は、NMOSトランジスタN1,N2で共有化されている。
【0088】
ゲート配線PS8およびその両側の不純物領域155は、
図3のNMOSトランジスタN3を構成する。ゲート配線PS8は、NMOSトランジスタN2,N3で共有化されている。図面上でゲート配線PS8対して右側の不純物領域155,156の部分は、Y方向に延在する金属配線150を介して相互に接続されている。金属配線150は、
図3の遅延線80に接続される配線である。また、ゲート配線PS8に対して図面上で左側の不純物領域155の部分とゲート配線PS7Aに対して図面上で左側の不純物領域156の部分とは、金属配線149を介して相互に接続されている。金属配線149には接地電圧VSSが与えられる。
【0089】
図3のインバータ64は、NMOSトランジスタN11とPMOSトランジスタP11とによって構成される。ゲート配線PS4Bおよびその両側の不純物領域151は、NMOSトランジスタN11を構成する。ゲート配線PS4Bおよびその両側の不純物領域152は、PMOSトランジスタP11を構成する。ゲート配線PS4Bは、NMOSトランジスタN11とPMOSトランジスタP11とで共有化されている。
【0090】
ゲート配線PS4Bに対して図面上で右側の不純物領域151,152の部分は、金属配線147を介してゲート配線PS8と接続される。金属配線147は、インバータ64からNMOSトランジスタN2,N3のゲート(すなわち、ゲート配線PS8)に制御信号TDECを伝達する。金属配線147は、
図3のワード線デコーダ50および入出力ブロック54にも接続される。
【0091】
図3のインバータ63は、NMOSトランジスタN10とPMOSトランジスタP10とによって構成される。ゲート配線PS3Bおよびその両側の不純物領域151は、NMOSトランジスタN10を構成する。ゲート配線PS3Bとゲート配線PS4Bとで挟まれた不純物領域151の部分は、NMOSトランジスタN10とN11とによって共有されており、金属配線141を介在して接地電圧VSSを受ける。
【0092】
ゲート配線PS3Bおよびその両側の不純物領域152は、PMOSトランジスタP10を構成する。ゲート配線PS3Bとゲート配線PS4Bとで挟まれた不純物領域152の部分は、PMOSトランジスタP10およびPMOSトランジスタP11によって共有されており、金属配線143を介して電源電圧VDDを受ける。
【0093】
ゲート配線PS3Bに対して図面上で左側の不純物領域151,152の部分は、金属配線142を介してゲート配線PS4Bと接続される。金属配線142によってインバータ63の出力信号がインバータ64に入力される。また、ゲート配線PS3Bには、金属配線140を介して内部クロック信号CK1が供給される。
【0094】
図3のインバータ65は、NMOSトランジスタN14とPMOSトランジスタP14とによって構成される。ゲート配線PS4Aおよびその両側の不純物領域154は、NMOSトランジスタN14を構成する。ゲート配線PS4Aおよびその両側の不純物領域153は、PMOSトランジスタP14を構成する。ゲート配線PS4Aは、NMOSトランジスタN14とPMOSトランジスタP14で共有化されている。
【0095】
ゲート配線PS4Aに対して図面上で右側の不純物領域154,153の部分は、金属配線148を介してゲート配線PS7Aと接続される。金属配線148は、インバータ65からNMOSトランジスタN1のゲート(すなわち、ゲート配線PS7A)に制御信号ITEを伝達する。
【0096】
図3のNANDゲート72は、PMOSトランジスタP12,P13と、NMOSトランジスタN12,N13とによって構成される。ゲート配線PS3Aとその両側の不純物領域153は、PMOSトランジスタP12を構成する。ゲート配線PS2とその両側の不純物領域153は、PMOSトランジスタP13を構成する。ゲート配線PS3Aとその両側の不純物領域154は、NMOSトランジスタN12を構成する。ゲート配線PS2とその両側の不純物領域154は、NMOSトランジスタN13を構成する。
【0097】
ゲート配線PS3Aとゲート配線PS4Aとによって挟まれた不純物領域153の部分と、ゲート配線PS2の左側の不純物領域153の部分とには、金属配線143を介して電源電圧VDDが与えられる。ゲート配線PS3Aとゲート配線PS4Aとによって挟まれた不純物領域154の部分には、金属配線146を介して接地電圧VSSが与えられる。ゲート配線PS2とゲート配線PS3Aとによって挟まれた不純物領域153の部分、ゲート配線PS2に対して図面上で左側の不純物領域154の部分、およびゲート配線PS4Aは、金属配線144を介して相互に接続される。
【0098】
上記の金属配線144は、NANDゲート72の出力ノードに相当する。上記のレイアウトによって、VDD電源ノードに対応する金属配線143と出力ノードとの間にPMOSトランジスタP12,P13が並列に接続される。VSS電源ノードに対応する金属配線146と出力ノードとの間にNMOSトランジスタN12,NMOSトランジスタN13が直列に接続される。また、NANDゲート72の出力ノード(金属配線144)は、インバータ65を構成するPMOSトランジスタP14およびNMOSトランジスタN14のゲート配線PS4Aに入力される。
【0099】
さらに、PMOSトランジスタP13およびNMOSトランジスタN13用のゲート配線PS2には、金属配線140を介して内部クロック信号CK1が入力される。PMOSトランジスタP12およびNMOSトランジスタN12用のゲート配線PS3Aには、145を介してテストモード信号TEの反転信号TE1が入力される。
【0100】
(レイアウト上の工夫)
次に、上記のレイアウト上の工夫について説明する。まず、内部クロック信号CK1が与えられる金属配線140から、ゲート配線PS2、金属配線144、ゲート配線PS4A、金属配線148を順に経由して、NMOSトランジスタN1のゲート配線PS7Aに至る経路を、第1の信号経路とする。第1の信号経路を介して伝達された内部クロック信号CK1は、制御信号ITEとしてNMOSトランジスタN1のゲートに入力される。
【0101】
一方、金属配線140から、ゲート配線PS3B、金属配線142、ゲート配線PS4B、金属配線147を順に経由して、NMOSトランジスタN2用のゲート配線PS8に至る電流経路を、第2の信号経路とする。第2の信号経路を介して電圧された内部クロック信号CK1は、制御信号TDECとしてNMOSトランジスタN2のゲートに入力される。
【0102】
図6のレイアウトでは、第1の電流経路による信号の遅延は、第2の電流経路による信号の遅延に等しいか、それよりも小さくなるように各回路要素が配置され、配線が施されている。実際上、第1の電流経路の長さは、第2の電流経路の長さにほぼ等しいか、それよりも短い。これにより、NMOSトランジスタN1がターンオンするタイミングは、NMOSトランジスタN2がターンオンするタイミングとほぼ同じか、それよりも早くなる。
【0103】
上記の同等の効果は、NMOSトランジスタNMOSトランジスタN10~N14およびPMOSトランジスタP10~P14の各々の閾値電圧の設定によっても実現することができる。具体的には、制御信号ITEの伝達に関係するNMOSトランジスタN12~N14およびPMOSトランジスタP12~P14の閾値電圧を、制御信号TDECの伝達に関係するNMOSトランジスタN10,N11およびPMOSトランジスタP10,P11の閾値電圧に等しくする。もしくは、前者を後者よりも低くする。これにより、第1の電流経路による信号の遅延を、第2の電流経路による信号の遅延に等しいか、それよりも小さくすることができる。
【0104】
また、上記と同等の効果は、NMOSトランジスタNMOSトランジスタN10~N14およびPMOSトランジスタP10~P14の各々についてゲート幅Wとチャネル長Lとの比W/Lの設定によっても実現することができる。具体的には、制御信号ITEの伝達に関係するNMOSトランジスタN12~N14およびPMOSトランジスタP12~P14のW/Lサイズを、制御信号TDECの伝達に関係するNMOSトランジスタN10,N11およびPMOSトランジスタP10,P11のW/Lサイズに等しくする。もしくは、前者を後者よりも大きくする。これにより、第1の電流経路による信号の遅延を、第2の電流経路による信号の遅延に等しいか、それよりも小さくすることができる。
【0105】
たとえば、
図6において、NMOSトランジスタN10,N11のゲート幅をW1とし、NMOSトランジスタN12~N14のゲート幅をW2とする。PMOSトランジスタP10、P11のゲート幅をW3とし、PMOSトランジスタP12~P14のゲート幅をW4とする。この場合、W1≦W2およびW3≦W4とすることで、第1の電流経路による信号の遅延を、第2の電流経路による信号の遅延に等しいか、それよりも小さくすることができる。
【0106】
[第2の実施形態の効果]
SRAM回路などのメモリ回路では、大部分の内部タイミングを、タイミングレプリカ51を用いて設定する。このため、タイミングレプリカ51の遅延線80を駆動する駆動回路31に設けられたNMOSトランジスタN1,N2,N3がBTIによって劣化すると、他のスタンダードセルおよびIP(Intellectual Property)セルと比べてタイミングの変化が著しい。この結果、メモリ回路からの出力信号のタイミングが外部のIPセルのタイミングと合わなくなる虞がある。そこで、メモリ回路では、内部タイミングに生成する回路に関係するMOSトランジスタのBTI劣化に十分な注意を払う必要がある。
【0107】
上述した第1の実施形態によれば、スタンバイ期間中にはモード切替えスイッチとして用いられているNMOSトランジスタN1がオフ状態で待機するので、BTI劣化の影響を受けず、また、BTI劣化の回復を期待することができる。
【0108】
読出し動作時には、モード選択用のNMOSトランジスタN1は、他のNMOSトランジスタN2,N3と同期してオンおよびオフするように制御される。これによって、駆動回路31の動作を妨げずにBTI劣化の影響を受けなくするようにできる。
【0109】
好ましくは、NMOSトランジスタN1用のゲート制御用回路の動作タイミングは、NMOSトランジスタN2,N3のゲート制御用回路の動作タイミングと同等か、それよりも早く動作するように、制御信号生成回路30Aが設計される。これにおって、SRAM回路の高速動作を妨げないようにすることができる。
【0110】
たとえば、NMOSトランジスタN1用のゲート制御用MOSトランジスタの閾値電圧を、NMOSトランジスタN2,N3のゲート制御用MOSトランジスタの閾値電圧にほぼ等しくする。これによって、プロセス、電源電圧、および動作温度のいずれかに変動があったとしても、両者の閾値電圧は同様に変動するので、NMOSトランジスタN1のスイッチングがNMOSトランジスタN2,N3よりもスイッチングよりも遅れる事態を防止することができる。
【0111】
<第3の実施形態>
第2の実施形態では、モード選択用のNMOSトランジスタN1がターンオンするタイミングを、NMOSトランジスタN2がターンオンするタイミングと同じにするか、それよりも早くする必要があった。このため、NMOSトランジスタN1のゲート制御信号ITEのタイミング制御に注意を払う必要があった。第3の実施形態は、制御信号ITEのタイミング制御を簡単にする方法について開示する。
【0112】
[半導体装置の構成]
図7は、第3の実施形態による半導体装置としてのSRAM回路の構成の一部を示すブロック図である。
図7では、制御ブロック53Aのさらに詳細な回路図の一例も示されている。
【0113】
図7の半導体装置102は
図3の半導体装置101に対応するものであるが、制御信号生成回路の構成が異なる。具体的に、
図7の制御信号生成回路30Bは、インバータ62,65およびNANDゲート72に代えて、インバータ67、ANDゲート73、およびNORゲート74が設けられている点で
図3の制御信号生成回路30Aと異なる。なお、ANDゲート73は、NANDゲートとその出力ノードに接続されたインバータとに置き換えることができる。
【0114】
図7を参照して、ANDゲート73の第1入力ノードはインバータ63,64の接続ノードと接続される。ANDゲート73の第2入力ノードには、駆動回路31の出力ノード35の電圧の論理値がインバータ67によって反転された信号が入力される。なお、出力ノード35の電圧は、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTに等しい。以下、インバータ67の出力信号をRPLBTNと記載する。
【0115】
NORゲート74の第1入力ノードにはANDゲート73の出力信号が入力される。NORゲート74の第2入力ノードには、テストモード信号TEが入力される。NORゲート74の出力ノードはNMOSトランジスタN1のゲートに接続される。
【0116】
図7のその他の点は
図3の場合と同様なので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0117】
[制御ブロックの動作]
以下、
図7の構成の制御ブロック53Aの動作について説明する。
【0118】
まず、タイミング調整モード(TE=1)の場合、NORゲート74から出力される制御信号ITEはLレベルに固定されるので、NMOSトランジスタN1は常時オフ状態になる。制御信号TDECに関係する制御ブロック53Aの動作は、
図3の制御ブロック53の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
【0119】
次に、ユーザモード(TE=0)の場合、NORゲート74から出力される制御信号ITEの論理レベルは、ANDゲート73の出力信号のみに応じて決まる。ここで、ANDゲート73の出力信号は、内部クロック信号CK1がLレベルであり、かつ遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTがLレベルである場合にHレベルとなる。この場合、NORゲート74から出力される制御信号ITEはLレベルとなるので、NMOSトランジスタN1はオフ状態になる。
【0120】
一方、内部クロック信号CK1および電圧RPLBTの少なくとも一方がHレベルの場合には、ANDゲート73の出力信号はLレベルになる。この場合、NORゲート74から出力される制御信号ITEはHレベルとなるので、NMOSトランジスタN1はオン状態になる。
【0121】
上記のユーザモードの場合の動作を
図8のタイミング図を参照してさらに詳しく説明する。
図8は、
図7の制御ブロックのユーザモード(TE=0)における動作を説明するためのタイミング図である。
【0122】
図8を参照して、スタンバイ時には、クロック信号CLK、内部クロック信号CK1、制御信号TDEC、および制御信号ITEは全てLレベルである。タイミングレプリカ51に設けられた遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTは、Hレベルである。NMOSトランジスタN1,N2,N3は全てオフ状態になるので、BTI劣化を回復することができる。
【0123】
時刻t1にクロック信号CLKがLレベルからHレベルに変化すると、
図5のユーザモードの場合と同様に、時刻t2に内部クロック信号CK1がLレベルからHレベルに変化し、時刻t3に制御信号TDECがLレベルからHレベルに変化する。これにより、PMOSトランジスタP1がターンオフし、NMOSトランジスタN2,N3がターンオンする。なお、この時点では、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTは、スタンバイ状態と同じHレベルに維持されているので、NMOSトランジスタN1はオン状態のままである。
【0124】
NMOSトランジスタN2,N3のターンオンによって、時刻t5に、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTがHレベルからLレベルに変化する。これにより、時刻t6にインバータ67の出力信号RPLBTNがLレベルからHレベルに変化する。しかし、この時点では、内部クロック信号CK1がHレベルであるので、NMOSトランジスタN1はオン状態のままである。
【0125】
図8には図示していないが、時刻t5から遅延線80による遅延時間が経過したときに、遅延線80の出力端80Bの電圧が、HレベルからLレベルに変化する。これにより、
図7のインバータ66からセンスアンプSAに出力されるタイミング信号TSがLレベルからHレベルに変化する。このタイミング信号TSの活性化に応答して、センスアンプSAがビット線対BL,/BLの電圧の増幅動作を開始する。時刻t7に、センスアンプSAは、読出し対象のメモリセルMCのデータの検出結果Q(すなわち、「YYY」)を出力する。
【0126】
時刻t11に、クロック信号CLKがHレベルからLレベルに変化する。この時点では、遅延線80の出力端80Bの電圧はHレベルのままでLレベルに変化していないので、内部クロック信号CK1はHレベルに維持される。その後、出力端80Bの電圧がHレベルからLレベルに変化したことによって、時刻t12に内部クロック信号CK1がHレベルからLレベルに変化する。
【0127】
時刻t12に内部クロック信号CK1がLレベルに変化したことによって、時刻t13に制御信号TDECがHレベルからLレベルに変化する。これにより、PMOSトランジスタP1がターンオンし、NMOSトランジスタN2,N3がターンオフする。
【0128】
さらに、時刻t12の時点では、インバータ67の出力信号RPLBTNは既にHレベルであるので、時刻t18に制御信号ITEがHレベルからLレベルに変化する。これによって、NMOSトランジスタN1のBTI劣化が回復される。
【0129】
PMOSトランジスタP1のターンオンによって、時刻t15に、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTがLレベルからHレベルに緩やかに変化する。これにより、時刻t16にインバータ67の出力信号RPLBTNがHレベルからLレベルに変化する。出力信号RPLBTNがLレベルに変化したことによって、時刻t19に制御信号ITEは、LレベルからHレベルに変化する。これにより、NMOSトランジスタN1がオン状態に戻る。
【0130】
[第3の実施形態の効果]
上記のとおり、第3の実施形態では、制御信号ITEがLレベルに制御されるのは、内部クロック信号CK1がHレベルからLレベルに変化することによって、SRAM回路の読出し動作が終了したときである。したがって、SRAM回路の読出し動作に影響を及ぼすことない。第2の実施形態の場合と異なり、制御信号ITEの変化のタイミングを考慮することなく、NMOSトランジスタN1のBTI劣化の回復を図ることができる。
【0131】
また、制御信号ITEがLレベルになるのは、パルス状の限られた期間(すなわち、
図8の時刻t18から時刻t19まで)であるが、この期間を延ばすことができる。具体的に、
図7のインバータ67と直列に遅延用のインバータを偶数個接続すると、出力信号RPLBTNの遅延時間が増加する。これにより、時刻t19における制御信号ITEのHレベルへの変化を遅らせることができるので、制御信号ITEがLレベルとなる期間を延ばすことができる。
【0132】
<第4の実施形態>
第4の実施形態では、テストモード信号TE以外の他の動作モード信号MDを利用することによって、NMOSトランジスタN1のBTI劣化の回復を図る方法について説明する。
【0133】
[半導体装置の構成]
図9は、第4の実施形態による半導体装置の一部の構成を示すブロック図である。
【0134】
図9の半導体装置103の制御信号生成回路30Cは、クロック信号CLKおよびテストモード信号TEに加えて、他の動作モード信号MDが入力される点で、
図1の半導体装置100と異なる。この開示では、動作モード信号MDを第1の動作モード信号と称し、テストモード信号TEを第2の動作モード信号と称する場合がある。
【0135】
動作モード信号MDは、テストモード信号TEよりも優先順位の高い信号である。さらに、動作モード信号MDが活性状態の場合には駆動回路31を動作させる必要がない。したがって、動作モード信号MDが活性状態の場合には、制御信号ITEを非活性化してNMOSトランジスタN1をオフすることによってBTI劣化を回復させることができる。
【0136】
図9のその他の構成は
図1の場合と同様であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0137】
[制御信号生成回路の動作]
図10は、
図9の制御信号生成回路の動作を示すフローチャートである。
【0138】
図9および
図10を参照して、動作モード信号MDが活性の場合(S201でYES)には、制御信号生成回路30Cは、駆動回路31を動作させる必要がない。したがって、制御信号生成回路30Cは、制御信号ITEを非活性化させる(S202)ことにより、半導体装置103の動作を妨げることなくNMOSトランジスタN1のBTI劣化を回復させることができる。
【0139】
さらに、たとえば、クロック信号CLKを停止することにより、駆動回路31の動作を停止してもよい。この場合、たとえば、制御信号生成回路30Cは、制御信号TDEC1を活性化することによりPMOSトランジスタP1をオン状態に固定し、制御信号TDEC2を非活性化することによりNMOSトランジスタN2,N3をオフ状態に固定する(S202)。
【0140】
一方、動作モード信号MDが非活性の場合(S201でNO)には、制御信号生成回路30Cは、テストモード信号TEが活性か非活性かに応じて、制御信号ITEの非活性および活性を切り替える。
【0141】
具体的に、動作モード信号MDが非活性(S201でNO)であり、かつテストモード信号TEが活性(S203でYES)の場合(すなわち、テストモードの場合)、制御信号生成回路30Cは、クロック信号CLKに応じて、制御信号TDEC1,TDEC2の一方を活性状態に切り替え、他方を非活性に切り替える(S204)。さらに、制御信号生成回路30Cは、制御信号ITEを常時非活性化する(S205)。これによって、NMOSトランジスタN1がオフ状態となり、NMOSトランジスタN1,N2を介した電流経路が遮断される。この結果、タイミング信号TSの遅延時間が増加し、動作マージンを増やすことができる。
【0142】
一方、動作モード信号MDが非活性(S201でNO)であり、かつテストモード信号TEが非活性(S203でNO)の場合(すなわち、ユーザモードの場合)、制御信号生成回路30Cは、クロック信号CLKに応じて、制御信号TDEC1,TDEC2の一方を活性状態に切り替え、他方を非活性に切り替える(S206)。さらに、制御信号生成回路30Cは、制御信号ITEを常時活性化する(S207)。これによって、NMOSトランジスタN1,N2を介する電流経路は遮断されることはない。したがって、NMOSトランジスタN1,N2を介する経路とNMOSトランジスタN3を介する経路の両方の経路を介して出力ノード35からVSS電源ノードに電流が流れる。この結果、タイミング信号TSの遅延時間を減少させることができる。
【0143】
[第4の実施形態の効果]
第4の実施形態では、テストモード信号TE非活性のときに活性と非活性とに切り替わり得る動作モード信号MDを利用することによって、動作モード信号MDが活性のときに半導体装置103の動作に影響を与えないタイミングでNMOSトランジスタN1をオフ状態に制御することができる。この結果、NMOSトランジスタN1のBTI劣化の回復を図ることができる。動作モード信号MDが活性状態に制御される時間が十分に長い場合には、BTI劣化を十分に回復させることができる。
【0144】
<第5の実施形態>
第5の実施形態では、SRAM回路を例に挙げ、第4の実施形態の
図9で説明した制御対象33がセンスアンプSAに対応し、動作モード信号MDがレジューム・スタンバイ信号に対応する場合について説明する。
【0145】
ここで、レジューム・スタンバイモード(低消費電力モードとも称する)とは、メモリセルアレイ52の記憶データは保持した状態で、SRAM回路動作を停止させるものである。この場合、SRAM回路の周辺回路の接地配線LCVSSは接地電圧VSSから切り離されてフローティングな状態になる。一方、メモリセルアレイ52の接地配線ARVSSについては、接地電圧VSSよりも電位が上昇した状態に制御される。これによって、メモリセルアレイ52を構成するMOSトランジスタのリーク電流を低減させることができる。以下、図面を参照して詳しく説明する。
【0146】
[SRAM回路の構成]
図11は、第5の実施形態による半導体装置としてのSRAM回路の構成の一部を示すブロック図である。
図11では、制御ブロック53Cのさらに詳細な回路図の一例も示されている。
【0147】
図11の半導体装置104は、制御信号生成回路30Aの構成に変更が加えられている点と、レジューム・スタンバイモードで使用される回路が追加されている点で、
図3の半導体装置101と異なる。
【0148】
具体的に、
図11の制御信号生成回路30Dは、インバータ69をさらに含み、NANDゲート72の第1入力ノードには、内部クロック信号CK1に代えてインバータ69を介してレジューム・スタンバイ信号RSが入力される点で、
図3の制御信号生成回路30Aと異なる。
【0149】
また、
図11の半導体装置104は、レジューム・スタンバイモード用の構成として、周辺回路の接地配線LCVSSとVSS電源ノードとの間に接続されたNMOSトランジスタN4と、レジューム・スタンバイ信号RS用の遅延線90と、メモリセルアレイ52の接地配線ARVSS用の接地電圧制御回路93と、インバータ86~89をさらに含む。
【0150】
接地配線LCVSSは、ワード線デコーダ50、タイミングレプリカ51、制御ブロック53C、および入出力ブロック54などの周辺回路で用いられる共通の接地配線である。レジューム・スタンバイモード時には、NMOSトランジスタN4がオフ状態に制御される。この場合、接地配線LCVSSは、接地電圧VSSと電源電圧VDDとの間の電圧(ミドルレベルと称する)になり得る。
図12を参照してこの理由を説明する。
【0151】
図12は、レジューム・スタンバイモード時における周辺回路の接地配線LCVSSの電圧について説明するための図である。
【0152】
図12を参照して、接地配線LCVSSは、駆動回路31のNMOSトランジスタN1のソースに接続されるとともに、NMOSトランジスタN4のドレインに接続される。さらに、接地配線LCVSSは、他の回路ブロックに設けられたNMOSトランジスタのソースにも接続される。
【0153】
たとえば、
図12の例では、接地配線LCVSSはNANDゲート171を構成するNMOSトランジスタのソースに接続される。さらに、接地配線LCVSSは、PMOSトランジスタ172とNMOSトランジスタ173とによって構成されるインバータに接続され、PMOSトランジスタ174とNMOSトランジスタ175とによって構成されるインバータに接続される。
【0154】
また、
図12の例では、インバータ69の出力ノードは、NANDゲート171の一方の入力ノードに接続される。NANDゲート171の出力ノードは、PMOSトランジスタ172およびNMOSトランジスタ173のゲートに接続される。PMOSトランジスタ172およびNMOSトランジスタ173の接続ノードは、PMOSトランジスタ174およびNMOSトランジスタ175のゲートに接続される。
【0155】
上記の構成において、レジューム・スタンバイモード時、すなわち、レジューム・スタンバイ信号RSがHレベルの場合には、PMOSトランジスタP1がオン(ON)状態に制御され、NMOSトランジスタN1,N2,N4はオフ(OFF)状態に制御される。これによって、接地配線LCVSSの論理レベルは不定(フローティング状態)になる。
図12では、不定を“X”で表示する。
【0156】
さらに、NANDゲート171にはLレベルの信号が入力されるので、NANDゲート171の出力信号はHレベルになる。この結果、PMOSトランジスタ172はオフ状態になり、NMOSトランジスタ173はオン状態になる。このとき、PMOSトランジスタ174およびNMOSトランジスタ175のゲートの論理レベルが不定Xになることにより、PMOSトランジスタ174およびNMOSトランジスタ175を介して貫通電流SCCが流れ得る。貫通電流SCCが流れると、接地配線LCVSSは充電されるためにその電圧は上昇する。
【0157】
ここで、注目すべき点は、接地配線LCVSSが接地電圧VSSよりも高電圧になると、NMOSトランジスタN1のゲート・ソース間は逆バイアスになることである。これにより、BTI劣化に対してより高い回復効果が期待できる。
【0158】
再び
図11を参照して、レジューム・スタンバイ信号RS用の遅延線90について説明する。遅延線90の一端はインバータ69の出力ノードに接続される。遅延線90の他端RSOからは他の回路モジュールにレジューム・スタンバイ信号RSが出力される。遅延線90の長さは、回路モジュールのサイズに応じた長さに設計される。したがって、回路モジュールのサイズが大きい程、遅延線90の遅延量が大きくなる。遅延線90上には信号整形用のインバータ86~87が設けられていてもよい。
【0159】
NMOSトランジスタN4は、周辺回路用の接地配線LCVSSとVSS電源ノードとの間に設けられている。NMOSトランジスタN4のゲートは、インバータ69の出力ノードに接続される。したがって、レジューム・スタンバイ信号RSが活性状態(Hレベル)のときには、NMOSトランジスタN4はオフ状態となって、周辺回路の接地配線LCVSSはフローティング状態になる(実際には、貫通電流SCCによってミドルレベルになり得る)。レジューム・スタンバイ信号RSが非活性状態(Lレベル)のときには、NMOSトランジスタN4はオン状態になるので、周辺回路の接地配線LCVSSの電圧は接地電圧VSSに等しくなる。
【0160】
接地電圧制御回路93は、NMOSトランジスタN5,N6と、PMOSトランジスタP6とを含む。PMOSトランジスタP6およびNMOSトランジスタN6は、この並び順で、VDD電源ノードとメモリセルアレイ用の接地配線ARVSSとの間に接続される。PMOSトランジスタP6およびNMOSトランジスタN6のゲートは、インバータ89を介してインバータ69の出力ノードに接続される。NMOSトランジスタN5は、接地配線ARVSSとVSS電源ノードとの間に接続される。NMOSトランジスタN5のゲートは、PMOSトランジスタP6およびNMOSトランジスタN6の接続ノード94に接続される。
【0161】
上記の接地電圧制御回路93の構成によれば、レジューム・スタンバイ信号RSが非活性状態(Lレベル)のときには、PMOSトランジスタP6がオン状態、NMOSトランジスタN6がオフ状態、NMOSトランジスタN5がオン状態になる。したがって、メモリセルアレイ52用の接地配線ARVSSの電圧は接地電圧VSSに等しくなる。一方、レジューム・スタンバイ信号RSが活性状態(Hレベル)のときには、PMOSトランジスタP6がオフ状態、NMOSトランジスタN6がオン状態になる。この場合、NMOSトランジスタN5はダイオード接続された状態になるので、NMOSトランジスタN5の閾値電圧だけ接地配線ARVSSの電圧は接地電圧VSSよりも高くなる。
【0162】
[変形例の構成]
図13は、
図11のSRAM回路の変形例を示す回路図である。
図13の半導体装置105は、インバータ89および接地電圧制御回路93が設けられていない点で
図11の104と異なる。
図13の場合には、メモリセルアレイ52の接地配線ARVSSと周辺回路用の接地配線LCVSSとは共通である。レジューム・スタンバイモードにおいて、メモリセルアレイ52の記憶内容を保持する必要が無い場合は、このような簡略化した構成を用いてもよい。
【0163】
図13の構成にすると、レジューム・スタンバイモード時に、メモリセルアレイ52のMOSトランジスタを介して接地配線LCVSSに電流が流れ得るので、接地配線LCVSSがより高い電圧になることが期待できる。この結果、NMOSトランジスタN1のBTI劣化に対してより高い回復効果が期待できる。
【0164】
[制御ブロックの動作]
以下、
図11の構成の制御ブロック53Cの動作について説明する。
【0165】
まず、レジューム・スタンバイ信号RSが非活性状態(Lレベル)でありかつタイミング調整モード(TE=1)の場合、インバータ62からNANDゲート72に出力される信号はLレベルであるので、NMOSトランジスタN1のゲートに入力される制御信号ITEはLレベルに固定される。したがって、NMOSトランジスタN1は常時オフ状態になる。制御信号TDECに関係する制御ブロック53Cの動作は、
図3の制御ブロック53の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
【0166】
次に、レジューム・スタンバイ信号RSが非活性状態(Lレベル)でありかつユーザモード(TE=0)の場合、インバータ62からNANDゲート72に出力される信号はHレベルであるので、NMOSトランジスタN1のゲートに入力される制御信号ITEは、Hレベルに固定される。したがって、NMOSトランジスタN1は常時オン状態になる。制御信号TDECに関係する制御ブロック53Aの動作は、
図3の制御ブロック53の場合と同様であるので説明を繰り返さない。
【0167】
レジューム・スタンバイ信号RSが活性状態(Hレベル)の場合、NMOSトランジスタN1のゲートに入力される制御信号ITEはLレベルに固定される。したがって、NMOSトランジスタN1は常時オフ状態になる。なお、レジューム・スタンバイモードでは、SRAM回路の動作は停止されるので、クロック信号CLK、内部クロック信号CK1、制御信号TDECは全てLレベルに固定される。この場合、タイミングレプリカ51に設けられた遅延線80の電圧はHレベルであり、NMOSトランジスタN2,N3はオフ状態であり、PMOSトランジスタP1はオン状態である。
【0168】
上記のユーザモードの場合の動作を
図14のタイミング図を参照してさらに詳しく説明する。
【0169】
図14は、
図11の制御ブロックのユーザモード(TE=0)における動作を説明するためのタイミング図である。
図14では、時刻t0から時刻t20で通常動作時(レジューム・スタンバイモードでない場合)の読出し動作における信号波形が示されており、時刻t20から時刻t30でレジューム・スタンバイモードにおける波形が示されている。
【0170】
図11および
図14を参照して、通常動作時(RS=0)の場合について説明する。この場合、制御信号ITEはHレベルに固定されるので、NMOSトランジスタN1は常時オン状態である。
【0171】
時刻t1にクロック信号CLKがLレベルからHレベルに変化すると、
図5のユーザモードの場合と同様に、時刻t2に内部クロック信号CK1がLレベルからHレベルに変化し、時刻t3に制御信号TDECがLレベルからHレベルに変化する。これにより、PMOSトランジスタP1がターンオフし、NMOSトランジスタN2,N3がターンオンする。
【0172】
NMOSトランジスタN2,N3のターンオンによって、NMOSトランジスタN1,N2,N3を介して、出力ノード35からVSS電源ノードに電流が流れる。この結果、時刻t5に、遅延線80の入力端80Aの電圧RPLBTがHレベルからLレベルに変化する。
【0173】
図5には図示していないが、時刻t5から遅延線80による遅延時間が経過したときに、遅延線80の出力端80Bの電圧が、HレベルからLレベルに変化する。これより、タイミング信号TSが活性化し、センスアンプSAが動作を開始する。時刻t7に、センスアンプSAは、読出し対象のメモリセルMCのデータの検出結果Q(すなわち、「YYY」)を出力する。
【0174】
時刻t11に、クロック信号CLKがHレベルからLレベルに変化する。この時点では、遅延線80の出力端80Bの電圧はHレベルのままでLレベルに変化していないので、内部クロック信号CK1はHレベルに維持される。
【0175】
その後、出力端80Bの電圧がHレベルからLレベルに変化したことによって、時刻t12に内部クロック信号CK1がHレベルからLレベルに変化する。内部クロック信号CK1がLレベルに変化したことによって、時刻t13に制御信号TDECがHレベルからLレベルに変化する。この結果、PMOSトランジスタP1がターンオンし、NMOSトランジスタN2,N3がターンオフする。
【0176】
その後、
図5には図示していないが、遅延線80の出力端80BがLレベルからHレベルに変化すると、インバータ66からセンスアンプSAに出力されるタイミング信号TSはHレベルからLレベルに変化する。これにより、センスアンプSAは動作を停止する。
【0177】
次に、レジューム・スタンバイモード(RS=1)への移行について説明する。
図14の時刻t21に、レジューム・スタンバイ信号RSがLレベルからHレベル(すなわち、活性状態)に変化する。これによって、時刻t22に制御信号ITEがHレベルからLレベルに変化する。制御信号ITEがLレベルに変化すると、NMOSトランジスタN1はオフ状態に切り替わる。
【0178】
また、レジューム・スタンバイ信号RSがHレベルになると、NMOSトランジスタN4のゲートに入力される信号はLレベルになる。この結果、NMOSトランジスタN4はオフ状態になるので、周辺回路の接地配線LCVSSはVSS電源ノードから切り離される。この結果、接地配線LCVSSの電圧は電源電圧VDDと接地電圧VSSとの間のミドルレベルの電圧になる。
【0179】
[第5の実施形態の効果]
第5の実施形態では、テストモード信号TEが非活性のときに活性と非活性とに切り替わり得るレジューム・スタンバイ信号RSを利用することによって、半導体装置103の動作に影響を与えないタイミングでNMOSトランジスタN1をオフ状態に制御することができる。これによって、NMOSトランジスタN1のBTI劣化を回復させることができる。
【0180】
さらに、レジューム・スタンバイモードでは、周辺回路の接地配線LCVSSはVSS電源ノードから切り離されるので、接地配線LCVSSの電圧は接地電圧VSSよりも高い電圧になり得る。これによって、NMOSトランジスタN1のゲート・ソース間には逆バイアスが印加されるので、BTI劣化に対してより高い回復効果を期待できる。
【0181】
<第6の実施形態>
図15は、第6の実施形態による半導体装置の構成を示すブロック図である。
【0182】
図15を参照して、半導体装置200は、複数のメモリモジュール211~214,221~223,231~234,241~244を含む。各メモリモジュールは、
図11または
図13で説明した構成を有している。
【0183】
これらの複数のメモリモジュールは複数のメモリブロック210,220,230,240にグループ分けされる。具体的に、メモリブロック210は、メモリモジュール211~214を含む。メモリブロック220は、メモリモジュール221~223を含む。メモリブロック230は、メモリモジュール231~234を含む。メモリブロック240は、メモリモジュール241~244を含む。
【0184】
上記の構成において、レジューム・スタンバイ信号RS信号の伝搬経路は次のように構成される。すなわち、レジューム・スタンバイ信号RSは、異なるメモリブロック210,220,230,240をチェーン状に順番に伝搬し、同一のメモリブロックの各メモリモジュールについては並列的に伝搬する。ここで、各メモリブロックのうち、最もメモリ容量の大きい(したがって、レジューム・スタンバイ信号RSの伝搬遅延量が大きい)メモリモジュールを通過したレジューム・スタンバイ信号RSが次段のメモリブロックに伝搬する。
【0185】
上記の構成によれば、レジューム・スタンバイモードの解除時に発生する突入電流を緩和することができる。さらに、各メモリブロックごとに伝搬遅延量が最も大きいメモリモジュールを通過させて、レジューム・スタンバイ信号RSを伝搬させるので、レジューム・スタンバイモードへの移行と復帰が繰り返されたとしても、BTI劣化の回復のために十分な時間を確保することができる。
【0186】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0187】
30,30A~30D 制御信号生成回路、31 駆動回路、32 遅延要素、33 制御対象、35 出力ノード、36 ラッチ回路、50 ワード線デコーダ、51 タイミングレプリカ、52 メモリセルアレイ、53,53A,53C 制御ブロック、54 入出力ブロック、80,90 遅延線、80A 入力端、80B 出力端、93 接地電圧制御回路、94 接続ノード、100,101~105,200 半導体装置、210,220,230,240 メモリブロック、211,214,221,223,231,234,241,244 メモリモジュール、2015 特開、ARVSS,LCVSS 接地配線、BL,BB ビット線対、CK1 内部クロック信号、CLK クロック信号、ITE,TDEC 制御信号、MC メモリセル、MD 動作モード信号、SA センスアンプ、TE テストモード信号、TE1 反転信号、TS タイミング信号、VDD 電源電圧、VSS 接地電圧。