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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】消火装置
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/40 20060101AFI20220705BHJP
   A62C 31/24 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A62C37/40
A62C31/24
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018061831
(22)【出願日】2018-03-28
(65)【公開番号】P2019170651
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 亮太
(72)【発明者】
【氏名】堀 昌彦
【審査官】村山 禎恒
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-076023(JP,A)
【文献】特開2010-057778(JP,A)
【文献】特開2011-72812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面開口部を有する筐体と、該開口部よりも前方に突出した固定位置に設けられた旋回軸と、該旋回軸のみによる一軸での旋回可能に設けられ、火災時には旋回して前記開口部から露出する放水ノズルと、前記放水ノズルの旋回軸と同軸で旋回可能に設けられて火災時に前記開口部から露出する少なくとも1個の火災検知センサと、前記放水ノズルに固定され前方に突出するように設けられて平常時は前記開口を塞ぎ、火災時には前記放水ノズルと共に旋回して少なくともその一部が前記筐体内に入り込む扉体とを備えた消火装置において、
前記旋回軸が、平面視において前記開口部の前方でかつ一方の端部に偏った位置に設けられ、
前記放水ノズルの旋回軸回りであって、前記放水ノズルの軸線の両側45°の扇形で囲まれる領域に、前記火災検知センサの全ての検知部を配置したことを特徴とする消火装置。
【請求項2】
前記火災検知センサは、熱源を検知する機能と、炎を検知する機能を有し、一つの防水箱体内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載の消火装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放水ノズルと火災検知センサとが平常時は筐体内に収容され、火災時には筐体から露出して旋回するように構成された消火装置に関し、特に火災検知センサによって火源を特定して放水ノズルを自動的に火源に指向させる自動指向型の消火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動指向型の消火装置を用いた消火設備としては、例えば特許文献1に、「常時火災監視する第1火災感知手段からの火災信号を受信する自動火災報知設備と;該自動火災報知設備からの火災信号の受信により起動する第2火災感知手段と;該第2火災感知手段の検出した火源に向かって放水する消火ノズルと;前記第2火災感知手段と前記消火ノズルとを収納し、前記自動火災報知設備からの受信により前記火災感知手段と前記消火ノズルの前面が開放される格納箱と;を備えている消火設備であって;
前記第2火災感知手段が、熱源をとらえ、火源方向を特定する可動式赤外線リニアセンサと、炎特有のCO2共鳴放射とその強度の揺らぎを検出する可動式炎感知器とからなり、
前記赤外線リニアセンサは、制御部の指示により旋回して担当全監視領域内の熱源を探査し、前記制御部は、前記赤外線リニアセンサのデータに基づき熱源の位置を検出し、又、前記炎感知器は、前記制御部の指示により旋回して前記赤外線リニアセンサが前記火源を検出した位置で停止し、前記火源方向を指向して火源探査を行うものであり、
前記格納箱には、平時には閉止し、起動信号受信時には前記第2火災感知手段と前記消火ノズルの前面を開放する扉が設けられており、
前記格納箱の扉が、前記第2火災感知手段と前記消火ノズルとを一体的に収納固定するものであり、回転支持軸を中心として旋回することを特徴とする消火設備。」(特許文献1の請求項1参照)が開示されている。
【0003】
上記のような特許文献1において、格納箱31は、図5図7に示すように、平面視において前面側が等辺の山形に突出する略五角形をしており(図5参照)、前面には、固定扉33と回転扉35が設けられている(図7参照)。
そして、格納箱31の内部には、主な機器として、消火ノズル37と大型の可動式赤外線リニアセンサ39と可動式炎検知器41の3つの機器が収納されている。
【0004】
消火ノズル37、可動式赤外線リニアセンサ39及び可動式炎検知器41は、格納箱31の幅方向(図5における平面視で左右方向)中央部で前寄り(図中下寄り)に設けられた回転支持軸43(図6参照)を中心に旋回するように構成されている。
そして、消火ノズル37の直ぐ隣には可動式炎検知器41が配置され、さらにその隣に可動式赤外線リニアセンサ39が配置され、より具体的には可動式炎検知器41の検知部41a(図6参照)は、消火ノズル37の軸線に対して旋回軸の回りα1=30度離れた位置に配置され、可動式赤外線リニアセンサ39の検知部39a(図6参照)は可動式炎検知器41の検知部41aからさらにα2=90度離れた位置に配置されている(図5参照)。したがって、可動式炎検知器41の検知部41a及び可動式赤外線リニアセンサ39の検知部39aは、消火ノズル37の軸線を一方の半径として、回転軸43を中心とする中心角が約120度(α1+α2)の扇形の領域内に配置されていることになる。
【0005】
上記のような構成の従来の消火設備の動作を概説する。
火災によって火災感知器等の自動火災報知設備(図示なし)が起動すると、自動火災報知設備が制御部45に火災信号を送出し、制御部45は、旋回モータ47を起動させて、可動式赤外線リニアセンサ39による熱源の探査を開始する。可動式赤外線リニアセンサ39によって、熱源が探査されると、その位置がエンコーダ49により計測され、制御部45に送出される。
次に、制御部45は、可動式炎検知器41を探査された熱源位置まで旋回させて、その場で可動式炎検知器41にて火源確認させる。可動式炎検知器41が火源を捕らえると、火災信号を制御部45に出力して火源確定され、火源確定した停止位置は、エンコーダ49により検出され、制御部45に送出される。
その後、制御部45の指示により消火ノズル37は回転支持軸43を中心にして旋回し、火源確定した位置で停止し、火源に向けて首振り揺動させて放水を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3972168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように特許文献1においては、火源を検知する可動式赤外線リニアセンサ39の検知部39a、可動式炎検知器41の検知部41a及び消火ノズル37の先端部が格納箱31内において、回転支持軸43の回り約120度の扇形の領域内に配置されており、3つの機器の位置が旋回軸回りで離れた位置関係になっている。
そのため、火災が発生した際に、可動式赤外線リニアセンサ39が熱源を探査した後、可動式炎検知器41が探査位置まで移動し、さらに消火ノズル37が火源確定位置まで移動するのに多くの回転量を要し、時間を要するという課題がある。
【0008】
また、従来例の他の課題として、回転扉35が等辺の山形に形成されて、その山の中央部に回転支持軸43を設けて、回転扉35は消火ノズル37と共に旋回するようになっているが、上述したように、回転扉35と共に旋回する3つの機器の回転支持軸回りの距離が離れて配置されている。
このため、火災が発生して3つの機器が旋回する際には、多くの旋回量が必要となり、平常時には格納箱31の外側に配置されている回転扉35の全体(回転支持軸43の両側の部分)が格納箱31の中に入り込むことなる。
そのため、格納箱31には回転扉35の全体、すなわち回転扉35が回転した際に、回転支持軸43の両側の部分を収容するだけの空間が必要となり、格納箱31が大型化するという課題がある。
【0009】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、火災検知センサが熱源の検知を開始してから放水に至るまでの時間を短縮できる消火装置を提供することを目的としている。
また、放水ノズル等の機器を収容する筐体をできるだけ小型化できる消火装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る消火装置は、前面が開口した筐体と、平常時は前記筐体内に収納され、火災時には前記開口部から露出して旋回可能に設けられた放水ノズルと、平常時は前記筐体内に収納され、火災時には前記開口部から露出して前記放水ノズルの旋回軸と同軸で旋回可能に設けられた少なくとも1個の火災検知センサと、前記放水ノズルと共に旋回して平常時は前記筐体の開口を塞ぎ、火災時には少なくともその一部が前記筐体内に入り込む扉体とを備えたものにおいて、
前記放水ノズルの旋回軸回りであって、前記放水ノズルの軸線の両側45°の扇形で囲まれる領域に、前記火災検知センサの全ての検知部を配置したことを特徴とするものである。
【0011】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記旋回軸が、平面視において前記開口部の一方の端部に偏った位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
(3)また、上記(1)又は(2)に記載のものにおいて、前記火災検知センサは、熱源を検知する機能と、炎を検知する機能を有し、一つの防水箱体内に収納されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る消火装置においては、前面が開口した筐体と、平常時は前記筐体内に収納され、火災時には前記開口部から露出して旋回可能に設けられた放水ノズルと、平常時は前記筐体内に収納され、火災時には前記開口部から露出して前記放水ノズルの旋回軸と同軸で旋回可能に設けられた少なくとも1個の火災検知センサと、前記放水ノズルと共に旋回して平常時は前記筐体の開口を塞ぎ、火災時には少なくともその一部が前記筐体内に入り込む扉体とを備えたものにおいて、
前記放水ノズルの旋回軸回りであって、前記放水ノズルの軸線の両側45°の扇形で囲まれる領域に、前記火災検知センサの全てを配置したことにより、火災感知器等が作動して、火災検知センサが熱源の検知を開始してから放水に至るまでの火災検知センサ及び放水ノズルの無駄な動きをなくして、放水に至るまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る消火装置の閉扉時の内部構造の説明図である。
図2図1に示した消火装置の開扉時における動作を説明する説明図である。
図3】本発明の実施の形態の他の態様に係る消火装置の閉扉時の内部構造の説明図である。
図4図3に示した消火装置の開扉時における動作を説明する説明図である。
図5】従来例の消火装置の開扉時の内部構造を平面視して示す図である。
図6図5に示した消火装置の開扉時の内部構造を正面視して示す図である。
図7図5に示した消火装置の閉扉時を正面視して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態に係る消火装置1は、図1に示すように、前面が開口した筐体3と、平常時は筐体3内に収納され、火災時には開口部11から露出して旋回可能に設けられた放水ノズル5と、平常時は筐体3内に収納され、火災時には開口部11から露出して火源を検知する火災検知センサ7と、放水ノズル5と共に旋回する扉体9とを備えている。
以下、各構成を詳細に説明する。
なお、本明細書において、前面とは消火装置1を壁面等に設置した状態で、前側すなわち壁面の前方になる面である。
【0016】
<筐体>
筐体3は、前面に開口部11を有し、平面視において、前面側が前方に略へ字状に突出した箱体からなり、平常時には、その内部に放水ノズル5と、火災検知センサ7とが収納される。
また、後述するように、火災時には扉体9の一部が収納されるので、そのためのスペースも有している。
筐体3の前面の形状は、従来例として示した図7と同様に、前面の上側に固定扉(図示なし)があり、下部側に放水ノズル5と共に旋回する扉体9(従来例における回転扉35に相当)が設けられている。
【0017】
<放水ノズル>
放水ノズル5は、給水フランジ13を介して供給される消火水の供給源に連通しており、旋回軸15を中心にして旋回可能に設けられ、火災時には開口部11から露出して消火水を火源に対して放水する。放水ノズル5の旋回の制御は、従来例で説明したのと同様に、図示しない制御部によって制御される旋回モータ(図示なし)によって行われ、またその旋回角度や停止位置はエンコーダの情報によって制御部で行われるが、この点も従来例と同様である。
【0018】
放水ノズル5の形状等は、特に限定されないが、従来例と同様に、遠方に放水する遠投ヘッド51、中距離に放水する中投ヘッド53及び近距離に放水する近投ヘッド55の3つのヘッドから構成されるもの(図6参照)であってもよいし、例えば、本実施の形態のように放水ノズル5の先端に所望の開口溝を有するデフレクタ17を設けて、放水距離や放水範囲を制御するようにしたものであってもよい。
【0019】
放水ノズル5の旋回軸15は、平面視において、図1に示すように、開口部11の片側(図中右側)に偏った位置に設けられている。
このように、旋回軸15の位置を偏って設けた理由は、放水ノズル5と共に旋回する火災検知センサ7の配置及び扉体9の形状とも関連しているので、火災検知センサ7の配置及び扉体9の形状を説明した後に説明する。
【0020】
<火災検知センサ>
火災検知センサ7は、熱源を検知する機能と、炎を検知する機能を有することが好ましく、この点では、従来例で示したように、赤外線リニアセンサと炎検知器の2つのセンサがそれぞれ別の防水の箱体に収納されたようなものでもよい。
もっとも、本実施の形態では、熱源を検知する機能と炎を検知する機能を、一つの防水箱体内に収納した例を示している。
【0021】
このような火災検知センサ7の例としては、カメラによって火源を撮影して、撮影した画像を診断することで、熱源と炎を検知するようにしたものを想定することができる。
ただ、火災検知センサ7は、放水ノズル5の近傍に配置する必要があり、本実施の形態では、放水ノズル5の旋回軸回りであって、放水ノズル5の軸線Gの両側45°の扇形で囲まれる領域Fに、その全ての検知部7aが配置されている必要がある。この点、本実施の形態では、図1に示すように、火災検知センサ7は、その検知部7aが放水ノズル5の軸線G上に設けられている。なお、放水ノズル5の軸線G上とは、放水ノズル5の上面だけでなく、下面側も当然に含む。
なお、図1では領域Fが扉体9の外側まで出ているが、これは扉体9の外側に火災検知センサ7を設ける場合があることを意味しているのではなく、領域Fは放水ノズル5との関係で火災検知センサ7を設置可能な領域を示すものであり、平常時においては、火災検知センサ7が扉体9の内側(筐体3内)となることは言うまでもない。
【0022】
全ての火災検知センサ7を、放水ノズル5との関係で上記のように配置することで、後述するように、火災感知器が火災を検知してからの火災検知センサ7及び放水ノズル5の無駄な動きを少なくして、火源の検知開始から放水に至るまでの時間を短くすることができる。
【0023】
<扉体>
扉体9は、放水ノズル5に一体的に固定されて放水ノズル5と共に旋回して平常時は筐体3の開口部11を塞ぎ、火災時には少なくともその一部(本実施の形態では、図1中の旋回軸15の右側の部分)が筐体3内に入り込むように構成されている。
本実施の形態では、扉体9は平面視で略へ字状をしており、正面から見た状態では、前方に突出するように設けられた傾斜面部19と、最も突出した平坦面部21と、傾斜面部19よりも傾斜が急な急傾斜面部23とを備えて構成される。
【0024】
ここで、放水ノズル5の旋回軸15を、平面視において、開口部11の片側(図中右側)に偏った位置に設けた理由を、図1図2に基づいて説明する。
本実施の形態では、火災検知センサ7が放水ノズル5の軸線G上に設けられ、ほぼ同じ方向を向けて配置されており、放水ノズル5とほぼ同一の旋回軌道を通る。
火災が発生した後、火災検知センサ7が旋回する領域は、図1に示す収納状態から、図2の状態Aで示す筐体3の開口部11から少し露出した状態、状態Bで示す状態Aから約90度旋回した状態、状態Cで示す状態Bからさらに約90度旋回した状態までである。より詳細には、状態Cは消火装置1が設置される壁面にも放水できるようにしており、状態Bからは90°よりわずかに大きく旋回している。
【0025】
図1の状態から図2の状態Aまでの旋回角度が約20度で、状態Aから状態Cまでが約180度、より具体的には180度よりわずかに大きい角度であり、全体として旋回角度は約180度+α(20度)である。
このとき、一連の旋回中に開口部11の外側にあった扉体9における筐体3内に入る部分は、図1において、右側に配置された片部の短い急傾斜面部23のみである(図2参照)。
すなわち、本実施の形態では、放水ノズル5の旋回軸15を、開口部11の片側に偏った位置に設けることで、この旋回軸15と同軸で旋回する扉体9における旋回時に筐体3内に入り込む長さを短くしている。これによって、筐体3の奥行きを短くして筐体3の小型化を実現している。
【0026】
この点、従来例では、旋回中に格納箱31(本発明の筐体3に相当)内に入り込む回転扉35は、回転支持軸43の両側の部分(回転扉35全体)となる。このため、従来例では回転支持軸43(本発明の旋回軸15に相当)を平面視において回転扉35の幅方向中央部に配置し、かつ、回転扉35を回転支持軸43の両側で左右均等にすることで、格納箱31内に入り込む長さを短くしていた。しかし、それでも回転扉35の約半分の長さ、換言すれば開口部の幅の半分の長さが入るためのスペースを格納箱31内部に確保する必要がある。
これに対して、上述したように、本実施の形態では放水ノズル5の旋回軸15の旋回角度を小さくすることと相俟って、筐体3の小型化を実現しているのである。
【0027】
次に、上記のように構成された本実施の形態の火災発生時の動作を概説する。
なお、放水ノズル5の旋回動作は、基本的には従来例で説明したのと同様に、図示しない制御部で行われるので、以下においては動作時間短縮ができることに重点を置いて以下説明する。
【0028】
火災によって火災信号が制御部に送出されると、制御部は、旋回モータを起動させて、火災検知センサ7による熱源の探査を開始する。このとき、火災検知センサ7は図1の状態から図2の状態Aまで移動し、状態Aから状態Cまで旋回して熱源検知機能によって熱源を探査する。熱源が探査できると、次に、制御部は、炎検知機能によって火源を探査する。火災検知センサ7が火源を捉えると、火災信号を制御部に出力して火源確定され、制御部の指示により消火ノズルは、火源確定した位置にある火源に向けて放水を開始する。
このように、本実施の形態では、火災検知センサ7が放水ノズル5の軸線G上にあるので、火災検知センサ7によって熱源を捉えた後、火源探査に移行する際に無駄な旋回が必要なく、また火源を捉えた後、放水に移行する際にも無駄な旋回が必要なく、熱源探査から放水に至るまでほとんど無駄な旋回動作をすることがなくタイムロスがない。
【0029】
もっとも、上記の例は、火災検知センサ7が放水ノズル5の軸線G上にある例であったが、本発明は、火災検知センサ7の配置に関し、放水ノズル5の旋回軸回りであって、放水ノズル5の軸線Gの両側45°の扇形で囲まれる領域F内に配置する場合を含む。この場合であっても、熱源の探査開始から放水までの動作は、従来例に比べて大きく短縮される。なお、この場合には、従来例と同様に、制御部がエンコーダからの情報に基づいて、旋回の制御を行うようにすればよい。
【0030】
上記の実施の形態では、扉体9の形状を平面視で略へ字状としたものを示したが、扉体9の形状は特に限定されるものではなく、例えば図3に示すように、最も前面側に突出した平坦面部21の長さを長くして、図1中左側の傾斜面部19を図中右側の急傾斜面部23と同じ傾斜面の急傾斜面部25とすることで、左右対称の形状にしてもよい。
この場合には、図4に示すように、状態Cになったときに、扉体9の平坦面部21が筐体3の開口部11の縁部に干渉しやすくなるので、本例では、旋回軸15の位置を、図1、2に示したものより前方に配置するようにしている。この意味で、小型化の観点からは図1、2の方が好ましく、左右対称という意匠的な観点からは図3、4のものであってもよい。
なお、本実施の形態では、火災検知センサ7は、放水ノズル5の近傍に配置する必要があり、近傍とは放水ノズル5の軸線Gの両側45°の扇形で囲まれる領域Fであると説明したが、例えば図1に示すように、筐体3の扉体9が放水ノズル5に沿うように配置されることを前提とするなら、火災検知センサ7の配置される領域は下記のように表現することもできる。
すなわち、この領域は、図1に示す閉扉状態において、筐体3内の領域を旋回軸15で図中左右に2分割し、分割された領域のうち放水ノズル5の先端部が配置される筐体内の領域とすることができる。
【符号の説明】
【0031】
1 消火装置
3 筐体
5 放水ノズル
7 火災検知センサ
7a 検知部
9 扉体
11 開口部
13 給水フランジ
15 旋回軸
17 デフレクタ
19 傾斜面部
21 平坦面部
23 急傾斜面部(右側)
25 急傾斜面部(左側)
G 軸線
F 領域
<従来例>
31 格納箱
33 固定扉
35 回転扉
37 消火ノズル
39 可動式赤外線リニアセンサ
39a 検知部
41 可動式炎検知器
41a 検知部
43 回転支持軸
45 制御部
47 旋回モータ
49 エンコーダ
51 遠投ヘッド
53 中投ヘッド
55 近投ヘッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7