(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
F02B 77/00 20060101AFI20220705BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
F02B77/00 K
F02B63/04 D
F02B77/00 D
(21)【出願番号】P 2018084477
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 功
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 孝信
(72)【発明者】
【氏名】太田 弘
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-225050(JP,A)
【文献】特開2009-225553(JP,A)
【文献】実開昭53-079954(JP,U)
【文献】実開昭59-090641(JP,U)
【文献】実開昭60-191742(JP,U)
【文献】実開昭62-149656(JP,U)
【文献】実公平04-030345(JP,Y2)
【文献】米国特許第9863498(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 63/04
F02B 77/00
F16F 15/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランク軸を有するエンジン本体と、
前記エンジン本体に一体に形成され、前記クランク軸の端部を挿通させる挿通孔を有するフライホイールハウジングと、
前記クランク軸の外周と前記挿通孔の内周との間に設けられて、前記エンジン本体内のオイルを密封するオイルシールと、
前記フライホイールハウジング内に収容され、かつ、前記クランク軸の端部に接続されるフライホイールと、を備え、
前記フライホイールは、前記フライホイールハウジングとの間に前記クランク軸の軸方向の隙間である第一隙間を形成する第一端面を有し、
前記オイルシールは、前記第一隙間に露出しており、
前記フライホイールには、前記フライホイールを貫通して形成されて前記第一隙間に外気を導く導入流路が形成され、
前記外気の出口となる前記導入流路の第一端が、前記第一端面における前記オイルシールよりも前記フライホイールの径方向の外側の部分に開口しており、
前記フライホイールの
前記第一端面には、前記フライホイールの周方向に互いに間隔をあけて配列され、前記
第一隙間に導入された前記外気を
前記径方向の外側に向けて流す複数の羽根が形成されているエンジン。
【請求項2】
前記フライホイールは、前記フライホイールハウジングとの間に前記径方向の隙間である第二隙間を形成する外周面を有し、
前記第二隙間は、前記第一隙間の前記径方向の外側の端部に接続されており、
前記外気の入口となる前記導入流路の第二端は、前記フライホイールの前記外周面に開口している請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記導入流路の長手方向は、前記フライホイールの
前記第一端面の近傍の、前記クランク軸の軸方向において前記フライホイールの
第一端面に近づくにしたがって前記フライホイールの径方向の外側に向かうように、前記軸方向に対して傾斜している請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記導入流路の前記第一端における前記導入流路の流路断面積が、前記外気の入口となる前記導入流路の第二端における前記導入流路の流路断面積よりも小さい請求項2又は請求項3に記載のエンジン。
【請求項5】
クランク軸を有するエンジン本体と、
前記エンジン本体に一体に形成され、前記クランク軸の端部を挿通させる挿通孔を有するフライホイールハウジングと、
前記クランク軸の外周と前記挿通孔の内周との間に設けられて、前記エンジン本体内のオイルを密封するオイルシールと、
前記フライホイールハウジング内に収容され、かつ、前記クランク軸の端部に接続されるフライホイールと、を備え、
前記フライホイールハウジング及び前記フライホイールの少なくとも一方には、前記クランク軸の軸方向における前記フライホイールハウジングと前記フライホイールとの隙間に外気を導く導入流路が形成され、
前記フライホイールハウジングの内面に対向する前記フライホイールの表面には、前記フライホイールの周方向に互いに間隔をあけて配列され、前記隙間に導入された前記外気を、前記隙間において前記フライホイールの径方向の外側に向けて流す複数の羽根が形成されており、
前記導入流路の前記第一端における前記導入流路の流路断面積が、前記外気の入口となる前記導入流路の第二端における前記導入流路の流路断面積よりも小さいエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発電機用のエンジンが開示されている。エンジンは、その本体部から突出したクランク軸の端部にフライホールを接続して構成されている。フライホイールは、外気に露出している。フライホイールには、発電機やエンジン本体を冷却するための冷却ファンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のエンジンでは、クランク軸と本体部との間に本体部内のオイル(エンジンオイル)を密封するオイルシールが設けられる。しかしながら、オイルシールは、フライホイールと同様に外部に露出している。このため、塵埃がオイルシールに到達してしまう、という問題がある。塵埃がオイルシールに到達すると、オイルシールが塵埃によって摩耗しやすくなる。その結果、オイルシールのメンテナンス頻度が上がってしまう。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、塵埃がオイルシールに到達することを抑制できるエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係るエンジンは、クランク軸を有するエンジン本体と、前記エンジン本体に一体に形成され、前記クランク軸の端部を挿通させる挿通孔を有するフライホイールハウジングと、前記クランク軸の外周と前記挿通孔の内周との間に設けられて、前記エンジン本体内のオイルを密封するオイルシールと、前記フライホイールハウジング内に収容され、かつ、前記クランク軸の端部に接続されるフライホイールと、を備え、前記フライホイールは、前記フライホイールハウジングとの間に前記クランク軸の軸方向の隙間である第一隙間を形成する第一端面を有し、前記オイルシールは、前記第一隙間に露出しており、前記フライホイールには、前記フライホイールを貫通して形成されて前記第一隙間に外気を導く導入流路が形成され、前記外気の出口となる前記導入流路の第一端が、前記第一端面における前記オイルシールよりも前記フライホイールの径方向の外側の部分に開口しており、前記フライホイールの前記第一端面には、前記フライホイールの周方向に互いに間隔をあけて配列され、前記第一隙間に導入された前記外気を前記径方向の外側に向けて流す複数の羽根が形成されている。
本発明の他の態様に係るエンジンは、クランク軸を有するエンジン本体と、前記エンジン本体に一体に形成され、前記クランク軸の端部を挿通させる挿通孔を有するフライホイールハウジングと、前記クランク軸の外周と前記挿通孔の内周との間に設けられて、前記エンジン本体内のオイルを密封するオイルシールと、前記フライホイールハウジング内に収容され、かつ、前記クランク軸の端部に接続されるフライホイールと、を備え、前記フライホイールハウジング及び前記フライホイールの少なくとも一方には、前記クランク軸の軸方向における前記フライホイールハウジングと前記フライホイールとの隙間に外気を導く導入流路が形成され、前記フライホイールハウジングの内面に対向する前記フライホイールの表面には、前記フライホイールの周方向に互いに間隔をあけて配列され、前記隙間に導入された前記外気を、前記隙間において前記フライホイールの径方向の外側に向けて流す複数の羽根が形成されており、前記導入流路の前記第一端における前記導入流路の流路断面積が、前記外気の入口となる前記導入流路の第二端における前記導入流路の流路断面積よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエンジンによれば、塵埃がオイルシールに到達することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの要部を示す断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るエンジンにおけるフライホイールを示す斜視図である。
【
図3】
図1のエンジンの一部を示す拡大断面図である。
【
図4】
図3における領域Rを拡大して示す拡大断面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態に係るエンジンにおけるフライホイールを示す斜視図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係るエンジンにおけるフライホイールを示す斜視図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係るエンジンにおけるフライホイールを示す斜視図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るエンジンにおけるフライホイールを示す斜視図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係るエンジンの一部を示す拡大断面図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係るエンジンの一部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について
図1~
図4を参照して詳細に説明する。
<エンジン>
図1に示すように、エンジン1は、エンジン本体2と、フライホイールハウジング3と、オイルシール4と、フライホイール5と、を備える。また、本実施形態のエンジン1は、エンジン本体2の動力によって発電する発電機6を備える。また、本実施形態のエンジン1は、発電機6を冷却する冷却ファン7を備える。
【0010】
<エンジン本体>
エンジン本体2は、複数のシリンダ11と、複数のピストン12と、クランク軸13と、を備える。
複数のシリンダ11は、エンジン本体2のエンジンブロック14の内部に形成されている。各ピストン12は、各シリンダ11の内部に配される。各ピストン12は、各シリンダ11の内部において燃焼した燃焼ガスの圧力を受けて往復運動する。クランク軸13は、ピストン12の往復運動を回転運動に変換する。クランク軸13の軸方向(
図1において左右方向)の端部は、エンジンブロック14の外側に突出する。
【0011】
エンジンブロック14の内部においては、シリンダ11とピストン12との間などのように擦れ合う部分に、エンジンオイル(オイル)が供給される。エンジンオイルは、エンジンブロック14の下部に設けられたオイルパン15に溜められる。エンジンオイルは、オイルパン15からオイルポンプ(不図示)によって汲み上げられることで、上記した擦れ合う部分に供給される。
【0012】
<フライホイールハウジング>
フライホイールハウジング3は、後述するフライホイール5を収容する。フライホイールハウジング3は、エンジン本体2に一体に形成される。具体的に、フライホイールハウジング3は、エンジンブロック14に固定される。フライホイールハウジング3は、エンジンブロック14の外側に突出したクランク軸13の端部を挿通させる挿通孔21を有する。
【0013】
フライホイールハウジング3の具体的な形状は任意であってよい。本実施形態のフライホイールハウジング3は、クランク軸13の軸方向においてクランク軸13の端部から離れる方向に開口する有底の箱状に形成されている。
具体的に、フライホイールハウジング3は、クランク軸13の軸線A1に沿って延びる筒状部22と、筒状部22の一方の開口を塞ぐ板状の蓋部23と、を有する。前述したエンジンブロック14には、フライホイールハウジング3の蓋部23がボルト(不図示)で固定される。前述した挿通孔21は、蓋部23を貫通して形成される。
【0014】
本実施形態において、フライホイールハウジング3の筒状部22には、フライホイールハウジング3の内側から外側まで貫通する孔24が形成されている。筒状部22の孔には、孔24を塞ぐ栓部材25が着脱可能に取り付けられる。栓部材25を筒状部22の孔24から取り外した状態では、例えばフライホイールハウジング3の内側に溜まった塵埃などを筒状部22の孔24から外側に排出することができる。
【0015】
<オイルシール>
オイルシール4は、クランク軸13の外周と挿通孔21の内周との間に設けられる。オイルシール4は、エンジン本体2内のエンジンオイルを密封する。
オイルシール4の具体的な構成は、任意であってよい。本実施形態のオイルシール4は、
図4に示すように、第一シール31と、第二シール32と、ダストリップ33と、を備える。第一シール31、第二シール32及びダストリップ33は、いずれもリング状に形成されている。
【0016】
第一シール31は、挿通孔21の内周に嵌められ、挿通孔21の内周をシールする。挿通孔21の軸方向においてフライホイールハウジング3側(
図4において右側)に位置する第一シール31の端部には、第一シール31の径方向において内側に延びる第一立ち上がり部34が形成されている。第一シール31は、金属などの剛体からなる芯材と、芯材のうち挿通孔21の内周に対向する面を覆うゴムなどの弾性体と、によって構成される。
【0017】
第二シール32は、ゴムなどの弾性体からなる。第二シール32は、クランク軸13の外周に嵌められ、クランク軸13の外周をシールする。クランク軸13の軸方向においてフライホイールハウジング3側(
図4において右側)に位置する第二シール32の端部には、第二シール32の径方向において外側に延びる第二立ち上がり部35が形成されている。第二立ち上がり部35は、挿通孔21やクランク軸13の軸方向において、第一シール31の第一立ち上がり部34と重なるように配される。
【0018】
ダストリップ33は、ゴムなどの弾性体からなる。ダストリップ33は、第一シール31の内周側の端部から、径方向において内側に向かうにしたがって、軸方向において第二シール32からフライホイールハウジング3側(
図4において右側)に離れるように延びている。ダストリップ33の延長方向の先端は、第二シール32よりもフライホイールハウジング3側においてクランク軸13の外周に接触する。ダストリップ33は、塵埃がフライホイールハウジング3側から第二シール32とクランク軸13との間に入り込むことを抑制する。ダストリップ33は、第一シール31の第一立ち上がり部34と、第二シール32の第二立ち上がり部35との間に挟まれることで、第一シール31及び第二シール32に対して保持される。
【0019】
<フライホイール>
図1,2に示すように、フライホイール5は、前述したフライホイールハウジング3内に収容される。フライホイール5は、クランク軸13の端部に接続される。これにより、フライホイール5は、クランク軸13と共に回転する。
図2における符号Rは、フライホイール5の回転方向を示している。フライホイール5は、エンジン本体2のピストン12による回転変動を抑制し、クランク軸13の滑らかな回転を得るために設けられる。
【0020】
図1に示すフライホイール5は、フライホイールハウジング3内において、フライホイールハウジング3の内面に対して間隔をあけて配される。フライホイールハウジング3の内面とフライホイール5との隙間には、軸方向におけるフライホイールハウジング3とフライホイール5との隙間S1(以下、第一隙間S1と称する。)がある。また、フライホイールハウジング3の内面とフライホイール5との隙間には、クランク軸13の径方向におけるフライホイールハウジング3とフライホイール5との隙間S2(以下、第二隙間S2と称する。)がある。
フライホイール5は、例えばその全体がフライホイールハウジング3内に収容されてよい。本実施形態では、フライホイール5の一部がフライホイールハウジング3の開口(
図1においてフライホイールハウジング3の右側の端)から外側に突出する。
【0021】
本実施形態のフライホイール5は、円柱状の外観を有する。フライホイール5の軸方向の一方側に向くフライホイール5の第一端面(端面)41は、第一隙間S1を介してフライホイールハウジング3の蓋部23に対向する。また、フライホイール5の第一端面41は、第一隙間S1を介して前述したオイルシール4にも対向する。フライホイール5の外周面42は、第二隙間S2を介してフライホイールハウジング3の筒状部22に対向する。
【0022】
フライホイール5は、その軸線A2がクランク軸13の軸線A1と一致するように、クランク軸13に接続される。具体的に、フライホイール5は、その第一端面41のうち軸線を中心とする円形の接続領域43にクランク軸13の軸方向の端部を突き当てた状態で、ボルトによってクランク軸13に固定される。
【0023】
<導入流路>
フライホイール5には、前述の第一隙間S1に外気を導く導入流路50が形成されている。外気は、第一隙間S1の外部に存在する空気を意味する。外気は、例えば第二隙間S2に存在する空気であってよい。また、外気は、例えばフライホイールハウジング3の外側の空気であってもよい。
【0024】
導入流路50は、フライホイール5を貫通して形成されている。
図2,3に示すように、外気の出口となる導入流路50の長手方向の第一端51は、フライホイール5の第一端面41に開口する。フライホイール5の第一端面41側から見た導入流路50の第一端51の平面視形状は、任意であってよい。本実施形態において、導入流路50の第一端51の平面視形状は、円形状となっている。
【0025】
導入流路50の第一端51は、第一端面41のうちフライホイール5の径方向における第一隙間S1の内側の端部に対応する領域(内側領域)に開口するとよい。また、導入流路50の第一端51は、フライホイール5の径方向においてオイルシール4よりも外側に位置するとよい。導入流路50の第一端51は、フライホイール5の周方向に間隔をあけて複数配列されている。
【0026】
外気の入口となる導入流路50の長手方向の第二端52は、第一端面41を除くフライホイール5の表面に開口すればよい。本実施形態において、導入流路50の第二端52は、フライホイール5の外周面42に開口する。
フライホイール5の外周面42側から見た導入流路50の第二端52の平面視形状は、任意であってよい。本実施形態において、導入流路50の第二端52の平面視形状は、第一端51と同様に、円形状となっている。
【0027】
導入流路50の第二端52は、フライホイール5の周方向に間隔をあけて複数配列されている。導入流路50の第二端52の数は、第一端51の数と異なってもよいが、本実施形態では第一端51の数と同じである。
長手方向に直交する導入流路50の流路断面積は、例えば導入流路50の長手方向全体において等しくてよい。本実施形態では、第一端51における導入流路50の流路断面積が、第二端52における導入流路50の流路断面積よりも小さい。
【0028】
導入流路50の長手方向は、フライホイール5の第一端面41の近傍において、軸方向においてフライホイール5の第一端面41に近づくにしたがって、フライホイール5の径方向の外側に向かうように、フライホイール5の軸方向に対して傾斜している。
以下、本実施形態の導入流路50について、より具体的に説明する。
【0029】
本実施形態の導入流路50は、第一流路部53と、第二流路部54と、を有する。
第一流路部53は、導入流路50の第一端51を含み、フライホイール5の第一端面41からフライホイール5の軸方向に延びる。具体的に、第一流路部53の延長方向は、フライホイール5の第一端面41から軸方向においてフライホイール5の内部に向かうにしたがって、フライホイール5の径方向の内側に向かうように、フライホイール5の軸方向に対して傾斜している。第一流路部53は、フライホイール5の周方向に間隔をあけて複数配列されている。
第二流路部54は、導入流路50の第二端52を含み、フライホイール5の外周面42からフライホイール5の径方向の内側に延びる。第二流路部54の流路断面積は、第一流路部53の流路断面積よりも大きい。第二流路部54は、フライホイール5の周方向に間隔をあけて複数配列されている。
【0030】
本実施形態の導入流路50は、フライホイール5の内部に形成された空洞部55をさらに有する。複数の第一流路部53及び第二流路部54の延長方向の先端は、それぞれ空洞部55に接続されている。すなわち、第一流路部53と第二流路部54とは、空洞部55を介して互いにつながっている。
空洞部55は、軸方向において第一端面41と反対側に向くフライホイール5の第二端面44から窪む凹部45の開口を蓋状のカップリング46によって塞ぐことで形成されている。本実施形態におけるカップリング46は、後述する冷却ファン7によって構成されている。
【0031】
<羽根>
フライホイールハウジング3の内面に対向するフライホイール5の表面には、第一隙間S1に導入された外気を、第一隙間S1においてフライホイール5の径方向の外側に向けて流す複数の羽根60が形成されている。複数の羽根60は、フライホイール5の周方向に間隔をあけて配列される。羽根60の数は任意であってよい。
図2における羽根60の数は、八つである。
【0032】
本実施形態において、複数の羽根60はフライホイール5の第一端面41に形成されている。各羽根60は、フライホイール5の径方向に延びている。具体的に、各羽根60は、フライホイール5の径方向の内側から外側に向かうにしたがって、フライホイール5の回転方向Rの後側に向かうように延びている。すなわち、各羽根60が延びる方向は、フライホイール5の径方向に対してフライホイール5の回転方向Rの後側に傾斜している。また、各羽根60は、その延長方向の中途部が両端部に対してフライホイール5の回転方向Rの前側に張り出すように湾曲した弓状に形成されている。
複数の羽根60を形成したフライホイール5を回転させた際には、第一隙間S1(
図1)において、外気がフライホイール5の径方向の内側から外側に向けて流れる。すなわち、第一隙間S1は、外気が流れる流路となっている。
【0033】
各羽根60は、フライホイール5の周方向に隣り合う二つの導入流路50の第一端51の間に位置する。具体的に、各羽根60は、フライホイール5の周方向において、羽根60の両側に位置する二つの導入流路50の第一流路部53の第一端51までの距離が等しくなるように位置する。
【0034】
<環状突起>
図3,4に示すように、第一隙間S1には、これを第一空間S11と第二空間S12とに区画する環状突起47が設けられる。第一空間S11は、第一隙間S1のうちオイルシール4がフライホイール5の第一端面41に対向する空間である。第二空間S12は、フライホイール5の径方向において環状突起47を介して第一空間S11よりも外側に位置する空間である。フライホイール5やクランク軸13の径方向における第一空間S11の長さは、第二空間S12と比較して小さいとよい。導入流路50の第一端51は、第二空間S12に開口する。導入流路50の第一端51は、フライホイール5の第一端面41のうちフライホイール5の径方向における第二空間S12の内側の端部に対応する領域(内側領域)に開口するとよい。
【0035】
環状突起47は、例えばフライホイールハウジング3に形成されてよい。本実施形態の環状突起47は、
図2~4に示すように、フライホイール5に形成されている。具体的に、環状突起47は、フライホイール5の第一端面41から第一端面41に対向するフライホイールハウジング3の内側端面26に向けて突出する。環状突起47の突出方向の先端は、フライホイール5の軸方向においてフライホイールハウジング3の内側端面26と間隔をあけて位置する。環状突起47の先端とフライホイールハウジング3の内側端面26との間隔は、小さいとよい。
【0036】
フライホイール5の軸方向における環状突起47の突出高さは、例えばフライホイール5の軸方向における羽根60の高さ寸法と同等であってよいが、本実施形態では羽根60の高さ寸法よりも高い。フライホイール5の径方向の内側に位置する各羽根60の端部は、例えば環状突起47と間隔をあけて位置してよいが、本実施形態では環状突起47に接続されている。
環状突起47は、フライホイール5の軸線A2を中心とする環状に形成されている。フライホイール5の軸方向から見た環状突起47の形状は、例えば多角形など任意の環状であってよいが、本実施形態では円環状となっている。
【0037】
<発電機>
図1に示すように、発電機6は、エンジン本体2のクランク軸13の回転駆動力によって発電する。発電機6は、ロータ71と、ステータ72と、発電機ハウジング73と、を備える。
ロータ71は、フライホイール5を介してエンジン本体2のクランク軸13に接続される。これにより、ロータ71は、クランク軸13と共に回転する。ロータ71は、例えばフライホイール5に直接接続されてよい。本実施形態のロータ71は、後述する冷却ファン7を介してフライホイール5に接続される。
【0038】
ステータ72は、ステータコア74及びコイル75を有する。ステータコア74は、円環状に形成されている。ステータコア74は、その内周から突出する複数のステータティース部76を有する。複数のステータティース部76は、ヨーク部の周方向に間隔をあけて配列される。ステータコア74は、複数のステータティース部76がロータ71の外周に対向するように配される。コイル75は、ステータコア74の各ステータティース部76に巻かれる。ステータ72は、後述する発電機ハウジング73の内周に保持される。
【0039】
発電機ハウジング73は、ロータ71及びステータ72を収容する。発電機ハウジング73は、ロータ71の軸線に沿って延びる筒状に形成された周壁部77と、周壁部77の一方の開口を塞ぐ端壁部78と、を有する。端壁部78には、軸方向におけるロータ71の第一端部を支持する軸受部79が設けられている。周壁部77の内周には、ステータ72が保持される。
【0040】
発電機6では、ロータ71をステータ72に対して相対的に回転させることで、コイル75に交流電流が流れる。これにより、発電機6において発電することができる。発電機6において発電された電力は、例えばインバータを介してキャパシタに蓄電されてよい。また、発電機6のコイル75には、例えば、キャパシタに蓄電された電力がインバータを介して供給されてよい。この場合、ロータ71を駆動回転させることができる。すなわち、発電機6は、例えばモータとして機能してもよい。
【0041】
発電機6は、発電機ハウジング73の開口(周壁部77の他方の開口)がフライホイールハウジング3の開口に対向するように配される。発電機ハウジング73の開口端とフライホイールハウジング3の開口端とが接続されることで、フライホイール5と発電機6のロータ71及びステータ72とが同一の収容空間内に収容される。
【0042】
<冷却ファン>
冷却ファン7は、軸方向に間隔をあけて配された円板部81及び円環板部82と、円板部81及び円環板部82との間において周方向に配列された複数のファン用羽根83と、を備える。冷却ファン7は、その軸線を中心に回転することで、空気を、円環板部82の内側に通して吸い込むと共に、円板部81と円環板部82との間から径方向においてファン用羽根83の外側に吹き出す遠心ファンである。
【0043】
冷却ファン7は、軸方向においてフライホイール5と発電機6のロータ71との間に位置する。具体的に、冷却ファン7は、その円板部81がフライホイール5の第二端面44に対向するようにフライホイール5に取り付けられる。これにより、冷却ファン7は、クランク軸13、フライホイール5と共に回転する。本実施形態において、円板部81は、フライホイール5の凹部45の開口を塞ぐ蓋状のカップリング46として機能する。円板部81には、軸方向におけるロータ71の第二端部が接続される。これにより、ロータ71は、冷却ファン7と共に回転する。
【0044】
冷却ファン7は、ロータ71及びステータ72と共に発電機ハウジング73内に収容される。このため、発電機ハウジング73には、その外側から内側に外気を引き込む吸気口77A、及び、冷却ファン7から吹き出した外気を発電機ハウジング73の外側に排出する排気口77Bが形成されている。
吸気口77Aは、発電機ハウジング73のうち、軸方向においてステータ72に対して冷却ファン7と反対側に位置する部分に形成されればよい。
図1において、吸気口77Aは発電機ハウジング73の周壁部77に形成されているが、例えば端壁部78に形成されてもよい。排気口77Bは、周壁部77のうち冷却ファン7の外周を囲む部分に形成されている。吸気口77Aや排気口77Bには、例えば、発電機ハウジング73の外側からロータ71やステータ72、冷却ファン7に触れることを防ぐための網が設けられてよい。
【0045】
本実施形態のエンジン1において、オイルシール4は、吸気口77Aや排気口77Bを通じて発電機ハウジング73の外側(外部)に露出する。
【0046】
<作用効果>
本実施形態のエンジン1では、エンジン本体2の駆動によって冷却ファン7が回転する。この際、吸気口77Aから発電機ハウジング73の内側に吸い込まれた外気が、軸方向においてステータ72及びロータ71を通るように流れる。これにより、発電機6を冷却することができる。ステータ72及びロータ71を通過した外気は、冷却ファン7に吸い込まれ、冷却ファン7の外周から排気口77Bを通じて発電機ハウジング73の外側に排出される。
冷却ファン7の外周から吹き出す外気の一部は、フライホイール5の外周面42とフライホイールハウジング3の筒状部22との第二隙間S2に入り込むことがある。また、第二隙間S2に入り込む外気は塵埃を含むことがある。
【0047】
本実施形態のエンジン1では、フライホイール5とフライホイールハウジング3との隙間(第一隙間S1、第二隙間S2)に塵埃が入り込んでも、塵埃がオイルシール4に到達することを抑制又は防止できる。以下、この点について具体的に説明する。
エンジン本体2の駆動によってフライホイール5が回転する。この際、フライホイール5に形成された複数の羽根60によって、第一隙間S1においては、外気がフライホイール5の径方向の内側から外側に向けて流れる。すなわち、オイルシール4が露出する第一隙間S1においては、外気がオイルシール4から離れる方向に流れる。さらに、外気は、第一隙間S1から第二隙間S2に流れ込む。これにより、仮に第一隙間S1に塵埃が入り込んでも、上記した外気の流れによって塵埃を第一隙間S1の外側に排出できる。したがって、塵埃がオイルシール4に到達することを抑制又は防止できる。
【0048】
また、本実施形態のエンジン1では、外気が導入流路50を通じて第一隙間S1に供給される。具体的には、第二隙間S2に存在する外気が、第二端52を通して導入流路50内に吸い込まれ、導入流路50の第一端51から第一隙間S1に供給される。これにより、外気を第一隙間S1において継続的かつ安定的に流すことができる。
【0049】
また、本実施形態のエンジン1では、オイルシール4と第一隙間S1に流れる外気との間で熱交換を行うことができる。このため、オイルシール4を冷却することもできる。これにより、オイルシール4の性能が劣化する(例えばオイルシール4の硬度が上昇する)ことを効果的に抑えることができる。したがって、オイルシール4のメンテナンス頻度を下げることができる。
【0050】
また、本実施形態のエンジン1では、空気の流れを利用してオイルシール4への塵埃の到達を抑制又は防止する。このため、オイルシール4への塵埃の到達を抑制又は防止する性能が、摩擦等によって劣化することがない。したがって、オイルシール4への塵埃の到達を長期間にわたって抑制又は防止できる。
【0051】
また、本実施形態のエンジン1では、導入流路50がフライホイール5に形成され、導入流路50の第一端51がフライホイール5の第一端面41に開口する。このため、外気を、第一隙間S1においてフライホイール5の径方向の内側から外側に向けて滑らかに流すことができる。以下、この点について、具体的に説明する。
フライホイール5が回転している状態において、フライホイール5の第一端面41はフライホイール5の周方向に動く。このため、導入流路50から第一隙間S1に流れ出た外気は、空気の粘性によって、フライホイール5の周方向にも流れる。ここで、導入流路50の第一端51がフライホイール5の第一端面41に開口することで、外気は導入流路50内においてもフライホイール5の周方向に流れる。このため、導入流路50から第一隙間S1に流れ出た外気は、フライホイール5の第一端面41における空気の粘性の影響を受けにくくなる。すなわち、第一隙間S1における外気の流れに乱れが発生し難くなる。したがって、外気を、第一隙間S1においてフライホイール5の径方向の内側から外側に向けて滑らかに流すことができる。
【0052】
また、本実施形態のエンジン1では、フライホイール5に形成された導入流路50の長手方向が、フライホイール5の第一端面41の近傍において、軸方向においてフライホイール5の第一端面41に近づくにしたがってフライホイール5の径方向の外側に向かうように、フライホイール5の軸方向に対して傾斜している。具体的には、導入流路50のうち第一流路部53が、軸方向においてフライホイール5の第一端面41に近づくにしたがってフライホイール5の径方向の外側に向かうように延びている。
このため、外気は、第一流路部53内においてフライホイール5の径方向の外側に向けて流れる。これにより、外気が第一流路部53から第一隙間S1に流れ出る際に、外気が流れる向きの変化を小さくすることができる。すなわち、外気が第一流路部53から第一隙間S1に流れ出る際の圧力損失を小さく抑えることができる。したがって、外気を第一隙間S1において効率よくてフライホイール5の径方向の外側に向けて流すことができる。
【0053】
また、本実施形態のエンジン1では、第二端52における導入流路50の流路断面積が、第一端51における導入流路50の流路断面積よりも大きい。具体的に、導入流路50の第二端52を含む第二流路部54の流路断面積は、導入流路50の第一端51を含む第一流路部53の流路断面積よりも大きい。これにより、導入流路50の第二端52から導入流路50内に外気を効率よく吸い込むことができる。したがって、より多くの外気を第一隙間S1において流すことができる。
【0054】
また、本実施形態のエンジン1では、複数の羽根60がフライホイール5の第一端面41に形成されている。このため、導入流路50から第一隙間S1に流れ出た外気には、羽根60による遠心力が作用する。これにより、第一隙間S1において、フライホイール5の径方向の外側に向けて流れる外気の流速を効率よく高めることができる。また、外気を、第一隙間S1においてフライホイール5の径方向の外側に向けて安定に流すことができる。
【0055】
また、本実施形態のエンジン1では、第一隙間S1に、これをオイルシール4が露出する第一空間S11と、導入流路50から供給された外気が流れる第二空間S12とに区画する環状突起47が設けられている。このため、塵埃が外気と共に導入流路50から第一隙間S1の第二空間S12に流れ出ても、塵埃がオイルシール4に到達することを効果的に抑制又は防止できる。
【0056】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0057】
本発明のエンジンにおけるフライホイール5において、フライホイール5の第一端面41に開口する導入流路50の第一端51の平面視形状は、例えば
図5に示すように、フライホイール5の周方向における寸法が径方向における寸法よりも長い長円形状であってよい。同様に、フライホイール5の外周面42に開口する導入流路50の第二端52の平面視形状は、例えばフライホイール5の周方向における寸法が径方向における寸法よりも長い長円形状であってよい。導入流路50の第一端51の平面視形状が上記した長円形状である場合、より多くの外気を第一隙間S1に導入することができる。
【0058】
本発明のエンジンにおけるフライホイール5において、各羽根60は、例えば
図6に示すように、フライホイール5の回転方向Rにおいて当該羽根60よりも後側に位置する導入流路50の第一端51までの距離が、フライホイール5の回転方向Rにおいて当該羽根60よりも前側に位置する導入流路50の第一端51までの距離よりも小さくなるように位置してよい。フライホイール5の回転方向Rにおいてフライホイール5が回転している際、羽根60の後側に近い領域では、羽根60の後側から遠い領域よりも負圧が発生しやすい。このため、
図6に例示したように羽根60の後側に近い領域に導入流路50の第一端51が位置することで、外気を導入流路50の第一端51から吹き出しやすくなる。したがって、外気を第一隙間S1に効率よく導入することができる。
【0059】
本発明のエンジンにおけるフライホイール5において、各羽根60は、例えば
図7に示すように、単純にフライホイール5の径方向に延びてもよい。すなわち、各羽根60が延びる方向は、フライホイール5の周方向(回転方向R)に傾斜しなくてもよい。また、各羽根60は、フライホイール5の径方向に延びる直線状に形成されてよい。この場合でも、フライホイール5を回転させた際には、第一隙間S1(
図1,3参照)において、外気をフライホイール5の径方向の内側から外側に向けて流すことができる。
なお、
図7に例示するフライホイール5では、
図5に例示したフライホイール5と同様に、導入流路50の第一端51及び第二端52の平面視形状が長円形状となっているが、これに限ることはない。
【0060】
本発明のエンジンにおけるフライホイール5において、導入流路50の第一端51は、例えば
図8に示すように、フライホイール5の第一端面41のうちフライホイール5の径方向における中間領域に開口してもよい。
なお、
図8に例示するフライホイール5において、導入流路50の第一端51及び第二端52の平面視形状が円形状となっているが、例えば
図5,7と同様の長円形状であってもよい。また、
図8に例示するフライホイール5において、各羽根60は、フライホイール5の回転方向Rにおいて当該羽根60よりも後側に位置する導入流路50の第一端51までの距離が、フライホイール5の回転方向Rにおいて当該羽根60よりも前側に位置する導入流路50の第一端51までの距離よりも小さくなるように位置しているが、これに限ることはない。
【0061】
本発明のエンジンにおいて、複数の羽根60は、例えば
図9に示すように、径方向においてフライホイールハウジング3の内周面28に対向するフライホイール5の外周面42に形成されてもよい。このような構成では、フライホイール5を回転させた際には、複数の羽根60により第二隙間S2において、フライホイール5の軸方向において第一隙間S1から離れるように(
図9において左から右に向けて)外気を流すことができる。これにより、上記実施形態と同様に、第一隙間S1において、外気をフライホイール5の径方向の内側から外側に向けて流すことができる。
なお、羽根60は、
図9に例示するようにフライホイール5の第一端面41及び外周面42の両方に形成されてもよいが、例えば外周面42のみに形成されてもよい。
【0062】
本発明のエンジンにおいて、フライホイール5に形成される導入流路50の長手方向は、例えば
図9に示すように、フライホイール5の第一端面41の近傍において、フライホイール5の軸線A2に沿って延びてもよい。すなわち、導入流路50の第一流路部53は、フライホイール5の軸線A2に沿って延びてもよい。
【0063】
本発明のエンジンにおいて、フライホイール5の外周面42に開口する導入流路50の第二端52は、例えば
図9に示すように、フライホイール5の径方向において、発電機ハウジング73の排気口77Bに対向するように位置してよい。このような構成では、冷却ファン7の外周から吹き出した外気が、第二端52から導入流路50内に入り込みやすくなる。これにより、導入流路50の第一端51から第一隙間S1に導入された外気が、第二隙間S2まで流れた後に再び導入流路50内に入り込んで第一隙間S1に導入されることを抑制できる。すなわち、外気が、導入流路50、第一隙間S1及び第二隙間S2において循環することを抑制できる。
【0064】
本発明のエンジンにおいてフライホイール5に導入流路50が形成される場合、フライホイール5の凹部45の開口を塞ぐカップリング46(冷却ファン7の円板部81)には、例えば空洞部55をフライホイール5の外部につなげる貫通孔が形成されてよい。このような構成では、フライホイール5の外部から貫通孔を通して導入流路50内に外気を導入することができる。すなわち、カップリング46の貫通孔を導入流路50の第二端52とすることができる。カップリング46に貫通孔を形成する場合、導入流路50は、例えば第二流路部54を含まなくてもよい。
カップリング46は、蓋状に形成されることに限らず、フライホイール5と発電機6のロータ71とを接続する任意の形状に形成されてよい。カップリング46は、例えば、フライホイール5と発電機6のロータ71とのねじれを吸収するように構成されてもよい。
【0065】
本発明のエンジンにおいて、導入流路50を構成する第一流路部53と第二流路部54とは、例えばフライホイール5の内部において直接つながってもよい。この場合、フライホイール5の内部には、空洞部55が形成されなくてもよい。
本発明のエンジンにおいて、導入流路50は、例えばフライホイール5の軸方向に貫通して形成されてもよい。
【0066】
本発明のエンジンにおいて、導入流路50は、例えば
図10に示すように、フライホイールハウジング3に形成されてもよい。この場合、導入流路50の第二端52は、エンジン本体2のエンジンブロック14に干渉しない位置に配されるとよい。
なお、導入流路50は、
図10に例示するように、フライホイールハウジング3のみに形成されてよいが、例えばフライホイールハウジング3及びフライホイール5の両方に形成されてもよい。
【0067】
本発明のエンジンは、例えばハイブリッド型の作業機械(例えば油圧ショベル、ホイールローダ)に適用されてよい。
【符号の説明】
【0068】
1…エンジン、2…エンジン本体、3…フライホイールハウジング、4…オイルシール、5…フライホイール、6…発電機、7…冷却ファン、13…クランク軸、21…挿通孔、26…内側端面、27…環状溝部、28…内周面、41…第一端面、42…外周面、44…第二端面、47…環状突起、50…導入流路、51…第一端、52…第二端、53…第一流路部、54…第二流路部、55…空洞部、60…羽根、S1…第一隙間、S2…第二隙間