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▶ 近藤 朋之の特許一覧

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  • 特許-手引き鋸 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】手引き鋸
(51)【国際特許分類】
   B27B 21/04 20060101AFI20220705BHJP
   B23D 49/10 20060101ALI20220705BHJP
   B23D 61/12 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B27B21/04 Z
B23D49/10
B23D61/12 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018106694
(22)【出願日】2018-06-04
(65)【公開番号】P2019209559
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】514142245
【氏名又は名称】近藤 朋之
(74)【代理人】
【識別番号】100091465
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 久夫
(72)【発明者】
【氏名】近藤 朋之
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-048201(JP,U)
【文献】登録実用新案第3001778(JP,U)
【文献】登録実用新案第3018724(JP,U)
【文献】実開昭54-138196(JP,U)
【文献】特開2006-247784(JP,A)
【文献】実開平02-010902(JP,U)
【文献】米国特許第02213135(US,A)
【文献】特開平09-205887(JP,A)
【文献】実開昭60-000085(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27B 21/04
B23D 49/10
B23D 61/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製柄の先端には差込み溝が軸線方向に延びて形成され、該差込み溝に鋸板の基部が押し込まれ、木製柄の先端部に籐が巻き締められて鋸板の基部が木製柄に固定されるようになした手引き鋸において、
上記鋸板(12)の基部(12A)は固定用の穴又は溝を有し、
上記木製柄(11)の先端部には籐(15)が巻き締められ、
上記木製柄(11)の差込み溝(11A)には先端開口から縦断面U字状の金属製の固定板(14)が差込み固定され、該固定板(14)の両側壁面は鋸板基部(12A)の厚みと等しい間隔を有し、該固定板(14)の両側壁面の対面する箇所に挿通穴(14A、14B)が設けられており、上記挿通穴の一方(14B)は雌ねじが刻設されるか又は背後に雌ねじ部材を有する一方、上記挿通穴の他方(14A)に対応する木製柄(11)の部位には挿通穴が設けられており、
上記固定板(14)にはその先端側から鋸板(12)の基部(12A)が差し込まれ、上記木製柄(11)の挿通穴及び固定板(14)の他方の挿通穴(14A)から皿ねじ(13)が差し込まれ、上記鋸板基部(12A)の穴又は溝に挿通されて上記固定板(14)の一方の挿通穴(14B)の雌ねじ又は雌ねじ部材(14C)に螺合されて締め付けられることによって鋸板基部(12A)が木製柄(11)に固定されていることを特徴とする手引き鋸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は手引き鋸に関し、特に切れ味の劣化に容易に対応でき、しかもほぞ切り等の特定の用途に限定されることがないようにした鋸に関する。
【背景技術】
【0002】
手引き鋸は木材品、プラスチック品、金属品などの切断に広く使用されており、通常は柄に鋸板を取付けた構造になっているが、長期にわたる使用によって鋸の切れ味が劣化することがあり、その対応が求められている。
【0003】
手引き鋸の柄には直線状の木製柄(特許文献1、特許文献2)と、湾曲したプラスチック製柄(特許文献3、特許文献4、特許文献5)とが知られている。プラスチック製柄の場合には柄の先端に金属製の取付け部を設け、取付け部に鋸板の基部を蝶ねじなどで交換可能に取付ける構造が採用され、切れ味が劣化したときには鋸板を簡単に交換することができるようになっている。
【0004】
他方、木製柄の場合には柄の先端部分に差込み溝を形成し、差込み溝に鋸板の狭幅の基部を押し込み、柄の先端部分の外側に籐を強く巻き締めて鋸板の基部を固定するという構造が採用されており、切れ味が劣化したときには必要に応じてあさり槌であさり分けを回復させ、やすりで目立てを行っているが、目立て作業は素人には難しく、熟練した職人に頼らざるを得ない。
【0005】
これに対し、木製柄の差込み溝に2枚の重ねた取付け板の基部を差し込み、木製柄の先端部分に籐を巻き付けて取付け板を固定し、この取付け板の間に鋸板を挟み、蝶ねじで固定し、切れ味が劣化したときに鋸板を交換できるようにした木製柄の手引き鋸が提案されている(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-091485号公報
【文献】特開2016-203560号公報
【文献】特開2003-220521号公報
【文献】特開2006-247784号公報
【文献】特開2008-207289号公報
【文献】特開2000-343503号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献6記載の手引き鋸では取付け板が鋸板の両側に突き出ているので、取付け板が邪魔になって鋸板を深く切り込むことができず、ほぞ切り等、特定の用途に限定されてしまう。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑み、切れ味の劣化に容易に対応でき、しかもほぞ切り等の特定の用途に限定されることがないようにした手引き鋸を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明に係る手引き鋸は、木製柄の先端には差込み溝が軸線方向に延びて形成され、該差込み溝に鋸板の基部が押し込まれ、木製柄の先端部に籐が巻き締められて鋸板の基部が木製柄に固定されるようになした手引き鋸において、上記鋸板の基部は固定用の穴又は溝を有し、上記木製柄の先端部には籐が巻き締められ、上記木製柄の差込み溝には先端開口からU字状の金属製の固定板が差込み固定され、該固定板の両側壁面は鋸板基部の厚みと等しい間隔を有し、該固定板の両側壁面の対面する箇所に挿通穴が設けられており、上記挿通穴の一方は雌ねじが刻設されるか又は背後に雌ねじ部材を有する一方、上記挿通穴の他方に対応する木製柄の部位には挿通穴が設けられており、上記固定板には鋸板の基部が差し込まれ、上記木製柄の挿通穴及び固定板の他方の挿通穴から皿ねじが差し込まれ、上記鋸板基部の穴又は溝を挿通されて上記固定板の一方の挿通穴の雌ねじ又は雌ねじ部材に螺合されて締め付けられることによって鋸板基部が木製柄に固定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の特徴の1つは木製柄にU字状の固定板を差込み、この固定板の狭い壁面の間に鋸板の基部を押し込み、皿ねじ(PCねじ)で締め付け固定するようにした点にある。
【0011】
これにより、鋸板は固定板と皿ねじとによって木製柄の差込み溝に強固に固定され、鋸の押し引きによって固定が弛むことはなく、又熟練した職人によって通常の木製柄の鋸と同様に目立て作業を行うことができる。
【0012】
また、切れ味が劣化したときには皿ねじを弛めることによって鋸板を固定板から抜いて新しい鋸板と交換することができ、職人がいない場合にも切れ味の劣化に確実に対応できることとなる。
【0013】
さらに、木製柄に固定板を埋設して鋸板の基部を固定した構造であり、鋸板自体は通常の鋸と同様に切り込みを阻害するものはないので、ほぞ切りなどの特定の用途に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る手引き鋸の好ましい実施形態を示す図である。
図2】上記実施形態における固定板を示す図である。
図3】上記実施形態における木製柄を示す側面図である。
図4】上記木製柄を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図4は本発明に係る手引き鋸の好ましい実施形態を示す。図において、手引き鋸10は真っ直ぐな木製柄11と木製柄11の先端に取付けられた鋸板12とからなり、木製柄11は2つ割りの柄を重ね接着して製作され(但し、図示の都合上、図には割り線は表していない)、その両端には籐15、16が強く巻き締められている。
【0016】
木製柄11は先端に差込み溝11Aが軸線方向に延びて形成され、差込み溝11Aには固定板14が押し込まれて固定されている。この固定板14は金属板をU字状にプレス曲げして製作され、固定板14の左右両側壁面の間は鋸板12の基部12Aの厚みと同じ間隔となっている。
【0017】
固定板14の両壁面には挿通穴14A、14Bが対面して穿設され、一方の挿通穴14Bには雌ねじが刻設され、他方の挿通穴14Aに対応する木製柄11及び籐15の部位には挿通穴が形成されている。なお、一方の挿通穴14Bには雌ねじを刻設するのではなく、差込み溝11に内面にナット14Cを嵌め込む凹溝を形成し、図2の(c)に示されるように、挿通穴14Bの背後にナット14Cを設けるようにしてもよい。
【0018】
鋸板12の基部12Aは本体に比較して狭幅に形成され、鋸板12の基部12Aには挿通穴が形成され、鋸板12の基部12Aが固定板14に十分に、つまり鋸板12の本体の後端縁が固定板14の前端面にほぼ接する程度差し込まれた後、他方の挿通穴14Aから皿ねじ13が差し込まれ、鋸板12の基部12Aの挿通穴に挿通され、一方の挿通穴14Bの雌ねじに螺合され、皿ねじ13が強く締め付けられることによって鋸板12の基部12Aは木製柄11の先端部に着脱可能に固定されている。
【0019】
以上のように、木製柄11にU字状の固定板14を差込み、この固定板14の狭い壁面の間に鋸板12の基部12Aを押し込み、皿ねじ13で締め付け固定するようにしたので、鋸板12は固定板14と皿ねじ13とによって木製柄11の差込み溝11Aに強固に固定され、鋸の押し引きによって固定が弛むことはなく、又熟練した職人によって通常の木製柄の鋸と同様に目立て作業を行うことができる。
【0020】
また、切れ味が劣化したときには皿ねじ13を弛めることによって鋸板12を固定板14から抜いて新しい鋸板12と交換することができ、職人がいない場合にも切れ味の劣化に確実に対応できることとなる。
【0021】
さらに、木製柄11に固定板14を埋設して鋸板12の基部12Aを固定した構造であり、鋸板12自体は通常の鋸と同様に切り込みを阻害するものはないので、ほぞ切りなどの特定の用途に限定されることはない。
【符号の説明】
【0022】
10 手引き鋸
11 木製柄
12 鋸板
12A 基部
13 皿ねじ
14 固定板
14A 14B 挿通穴
図1
図2
図3
図4