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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】締付けビス類のマーキング治具
(51)【国際特許分類】
   B41K 1/00 20060101AFI20220705BHJP
   H02B 3/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
B41K1/00 Z
H02B3/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018115623
(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公開番号】P2019217662
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】清田 達
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103395055(CN,A)
【文献】登録実用新案第3126481(JP,U)
【文献】実開平6-78512(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41K 1/00
B25H 7/04
B25B 23/15
B23P 19/06
B43K 29/00
E04G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締め付けるビス類の直径より大きい断面を有する円柱体を設け、当該円柱体の一端面から中央部をくりぬき、前記ビス類の直径より大きい直径を有する円柱溝を設け、当該円柱溝内に当該円柱溝の直径よりやや小さい直径を有する円柱状の弾性体をはめ込み、当該弾性体の外端面の中心部付近から円周縁まで直線状に伸びた一定深さの溝を設け、この溝内に当該溝の形状に相応した形状を有する第1塗布体を嵌合させ、この第1塗布体に予めインクを染み込ませたことを特徴とする、締付けビス類のマーキング治具。
【請求項2】
締め付けるビス類の直径より大きい断面を有する円柱体を設け、当該円柱体の一端面から中央部をくりぬき、前記ビス類の直径とほぼ同じ大きさの直径を有する円柱溝を設け、当該円柱溝内に当該円柱溝よりやや小さな直径を有する円柱状の弾性体をはめ込み、当該弾性体の外端面の中心部付近から円周縁まで直線状に伸びた一定深さの溝を設け、当該溝の延長線上の前記円柱体の円柱溝の内周縁から円柱体の外周縁に向けて一定深さの本体溝を設け、これらの溝内及び本体溝内に夫々当該各溝の形状に相応した形状を有する第1塗布体及び第2塗布体を夫々嵌合させ、これらの第1塗布体及び第2塗布体に予めインクを染み込ませたことを特徴とする、締付けビス類のマーキング治具。
【請求項3】
前記円柱溝の奥部に、前記弾性体を支持するバネ材を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の締付けビス類のマーキング治具。
【請求項4】
前記弾性体の溝の断面形状が、中心方向に次第に先細となっていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の締付けビス類のマーキング治具。
【請求項5】
前記弾性体及び第1塗布体の外端面である印面が凹湾曲したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の締付けビス類のマーキング治具。
【請求項6】
締め付けるビス類の直径より大きい断面を有する円柱体を設け、当該円柱体の一端面から中央部をくりぬき、前記締付けビス類の直径とほぼ同じ大きさの直径を有する円柱溝を設け、当該円柱溝内に当該円柱溝の直径よりやや小さい直径の円柱状の弾性体をはめ込み、当該弾性体の外端面の中心部付近から円周縁まで直線状に伸びた溝を設け、当該溝の延長線上の前記円柱体の円柱溝の内周縁から円柱体の外周縁に向けて本体溝を設け、当該本体溝内に棒状の第3塗付体を入れて回動自在に支持させ、前記円柱溝の奥部に前記弾性体を支持するバネ材を挿入し、前記弾性体の外端面を締め付けビス類に押圧すると前記バネ材が圧縮されて、前記第3塗付体の一端を外側方向に押しやり、前記第3塗付体の先端部が前記締付けビス類の外周一側面を押圧する構成とし、前記第3塗付体に予めインクを染み込ませたことを特徴とする、締付けビス類のマーキング治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気設備の分電盤の端子や配電用遮断器の端子等の締付けボルトや締付けビス等の増し締め点検用のマーキング治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気設備の定期点検の際に、分電盤の端子及び配電用遮断器に接続された電線の緩み防止のため、ボルト、ネジ、ビス等の増し締め作業を行っている。この際に、規定のトルク値でボルト等の増し締めを行った印としてマーカーペンでマーキング作業を行っている。このマーキング作業は、締付けたボルト、ネジ、ビス等の個数分行う。
【0003】
マーカーペンによるマーキング方法は、締付けが終わったボルト等の位置を確定させる必要があるため、ボルト等の中心からボルト等の台座に向かってラインを引いている。この様にラインを引くため、一箇所あたりのマーキング作業には一定の時間がかかる。
【0004】
また、このマーキング作業は、分電盤等の台数に比例して端子や配電用遮断器の数が増え、一個のビル等の建物でも100箇所以上となる。また、各端子の位置が、両脇に仕切り板がある等狭くなっており、マーキングしずらい場所が多く、当該ラインを引く作業に手間がかかっているのが現状である。一方、上記ボルト等の締付け作業において、締付け作業の終了と同時にマーキングできる工具が、例えば、特許文献1及び2のように開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭59-124073号公報
【文献】特開平09-254045号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び2のものは、ボルトを一定のトルク値で締付けた証しとしてボルト等の頭体表面にマーキングするもので、前記分電盤等でのボルト等の締付け位置を印したものではない。すなわち、ボルト等の中心からボルト等の台座に向かってラインを引くわけではないので、締付けたボルトやビスが緩んでいるかどうかは分からない。
【0007】
そこで、この発明は上述の課題を解決するため、ラインを引くことを意識せずに、印面をボルトやビスに押し付けるだけで、ボルト及び台座に一体な直線状の印が容易かつ確実につくマーキング治具を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、締め付けるビス類の直径より大きい断面を有する円柱体を設け、当該円柱体の一端面から中央部をくりぬき、前記ビス類の直径より大きい直径を有する円柱溝を設け、当該円柱溝内に当該円柱溝の直径よりやや小さい直径を有する円柱状の弾性体をはめ込み、当該弾性体の外端面の中心部付近から円周縁まで直線状に伸びた一定深さの溝を設け、この溝内に当該溝の形状に相応した形状を有する第1塗布体を嵌合させ、この第1塗布体に予めインクを染み込ませた、締付けビス類のマーキング治具とした。
【0009】
また、請求項2の発明は、締め付けるビス類の直径より大きい断面を有する円柱体を設け、当該円柱体の一端面から中央部をくりぬき、前記ビス類の直径とほぼ同じ大きさの直径を有する円柱溝を設け、当該円柱溝内に当該円柱溝よりやや小さな直径を有する円柱状の弾性体をはめ込み、当該弾性体の外端面の中心部付近から円周縁まで直線状に伸びた一定深さの溝を設け、当該溝の延長線上の前記円柱体の円柱溝の内周縁から円柱体の外周縁に向けて一定深さの本体溝を設け、これらの溝内及び本体溝内に夫々当該各溝の形状に相応した形状を有する第1塗布体及び第2塗布体を夫々嵌合させ、これらの第1塗布体及び第2塗布体に予めインクを染み込ませた、締付けビス類のマーキング治具とした。
【0010】
また、請求項3の発明は、前記円柱溝の奥部に、前記弾性体を支持するバネ材を設けた、請求項1又は2に記載の締付けビス類のマーキング治具とした。
【0011】
また、請求項4の発明は、前記弾性体の溝の断面形状が、中心方向に次第に先細となっている、請求項1~3のいずれかに記載の締付けビス類のマーキング治具とした。
【0012】
また、請求項5の発明は、前記弾性体及び第1塗布体の外端面である印面が凹湾曲した、請求項1に記載の締付けビス類のマーキング治具とした。
【0013】
また、請求項6の発明は、締め付けるビス類の直径より大きい断面を有する円柱体を設け、当該円柱体の一端面から中央部をくりぬき、前記締付けビス類の直径とほぼ同じ大きさの直径を有する円柱溝を設け、当該円柱溝内に当該円柱溝の直径よりやや小さい直径の円柱状の弾性体をはめ込み、当該弾性体の外端面の中心部付近から円周縁まで直線状に伸びた溝を設け、当該溝の延長線上の前記円柱体の円柱溝の内周縁から円柱体の外周縁に向けて本体溝を設け、当該本体溝内に棒状の第3塗付体を入れて回動自在に支持させ、前記円柱溝の奥部に前記弾性体を支持するバネ材を挿入し、前記弾性体の外端面を締め付けビス類に押圧すると前記バネ材が圧縮されて、前記第3塗付体の一端を外側方向に押しやり、前記第3塗付体の先端部が、前記締付けビス類の外周一側面を押圧する構成とし、前記第3塗付体に予めインクを染み込ませた、締付けビス類のマーキング治具とした。
【発明の効果】
【0014】
請求項1~6の各発明によれば、締付けたボルト、ネジ、ビス等の増し締めをした後のマーキングに際して、この発明の締付けビス類のマーキング治具を使用することのより、迅速かつ容易にマーキングができる。即ち、締付けビス類の上からスタンプを押す作業をすれば、締付けビス類及びその周囲の台座にマーキングができ、従来のマーカー等による締付けビス類及びその周囲の台座への直線引きに比べ、印面を締め付けビス類に押圧するだけで済むため、作業が容易、迅速に行える。
【0015】
また、特に、請求項2の発明によれば、第1塗布体は締付けビス類の面に、第2塗布体は当該締付けビス類の脇の台座に夫々押圧するため、被押圧体の形状に各塗布体の端部が合わせ易く、それ故、より確実に押印できる。
【0016】
また、特に、請求項3の発明によれば、円柱溝の奥部にバネ材を設けたことにより、押圧時の塗布体の反発力が増し、インクの付着がより確実になる。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、第1塗布体の印面の、締付けビス類の中心付近が先細りとなっているため、押印後、締付けビスの中心部にインクが溜まらない。これは当該締付けビス類のマーキング治具を締め付けビス類に押し付けた場合、締付けビス類の中心部がまず最初に第1塗布体に当たり、その後も押圧の最後まで中心部が第1塗布体に接触しているために第1塗布体のインクが締付けビス類の中心部に多量に付着する恐れがあるが、これが解消される。
【0018】
また、請求項5の発明は、当該締付けビス類のマーキング治具の印面が予め凹湾曲しているため、締付けビス類に被せた場合、容易に締付けビス類の外周形状に合わせて収縮しやすい。
【0019】
また、請求項6の発明によれば、当該締付けビス類のマーキング治具を締め付けビス類に被せて押圧すると、バネ材の横方向への膨張で第3塗布体の一端部が押されて回動し、当該第3塗布体の他端部が締付けビス類の外周面一側及び隣接する台座を側方から押圧し、より確実にマーキングができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施の形態例1の締付けビス類のマーキング治具の斜視図である。
図2】この発明の実施の形態例1の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の拡大斜視図である。
図3】この発明の実施の形態例1の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の拡大端面図である。
図4】この発明の実施の形態例1の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の変形例の拡大端面図である。
図5】この発明の実施の形態例1の締付けビス類のマーキング治具の使用状態におけるスタンプ部の縦断面図である。
図6】この発明の実施の形態例2の締付けビス類のマーキング治具の斜視図である。
図7】この発明の実施の形態例2の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の拡大斜視図である。
図8】この発明の実施の形態例2の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の拡大端面図である。
図9】この発明の実施の形態例2の締付けビス類のマーキング治具の使用状態を示し、スタンプ部を締め付けビス類に近づけた状態の拡大縦断面図である。
図10】この発明の実施の形態例2の締付けビス類のマーキング治具の使用状態を示し、スタンプ部分を締め付けビス類に被せて押圧した状態の拡大縦断面図である。
図11】この発明の実施の形態例3の締付けビス類のマーキング治具の使用状態を示し、スタンプ部分を締め付けビス類に近づけた状態の拡大縦断面図である。
図12】この発明の実施の形態例4の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の拡大斜視図である。
図13】この発明の実施の形態例4の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の作動状態を示す拡大斜視図である。
図14】この発明の実施の形態例4の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の拡大端面図である。
図15】この発明の実施の形態例4の締付けビス類のマーキング治具のスタンプ部分の拡大縦断面図である。
図16】この発明の実施の形態例4の締付けビス類のマーキング治具の使用状態を示し、スタンプ部分を締め付けビス類に被せて押圧した状態の拡大縦断面図である。
図17】この発明の締付けビス類のマーキング治具で印をつけた締付けビス類の端子部分の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態例1)
まず、この発明の実施の形態例1の締付けビス類のマーキング治具を図1図5に基づいて説明する。
【0022】
この締付けビス類のマーキング治具Aは、全体が円柱状のもので、その一端のインクカートリッジ部1と他端のスタンプ部2とにより構成されている。これらのカートリッジ部1とスタンプ部2とは相互に接続自在となっている。
【0023】
前記スタンプ部2は、締め付けるビス類の直径より充分大きい断面を有する円柱体3から成り、当該円柱体3の一端面から中央部をくりぬき、前記ビス類の直径(座金がある場合は座金の直径)より大きい直径を有する円柱溝4を設けている。この円柱溝4は一定の深さを有している。そして、当該当該円柱溝4の奥部にバネ材5を挿入し、更に、該円柱溝4の直径と同じかやや小さい直径を有する円柱状のスポンジやゴムから成る弾性体6を前記バネ材5に隣接する円柱溝4内にはめ込んでいる。
【0024】
当該弾性体6の外端面の中心部付近から円周縁まで直線状に伸びた、一定の深さの溝7を設け、この溝7内に当該溝7の形状に相応した形状を有する第1フェルト体8を嵌合させ、この第1フェルト体8に予めインクを染み込ませている。この溝7及び第1フェルト体8の外端面は、図3に示す様に、棒状のものでも良いが、図4に示す様に、弾性体6の中心部に位置する溝7及び第1フェルト体8が先細り形状になっているものでも良い。
【0025】
この様に先細り状とする理由は、当該締付けビス類のマーキング治具Aを締め付けビス類に押し付けた場合、締付けビス類の中心部が第1フェルト体8にまず最初に当たり、その後も、押圧の最後まで中心部が第1フェルト体8に接触しているために第1フェルト体8からインクが多量に中心部に付着するおそれがある。これを防ぐため第1フェルト体8の端面形状を先細りとしてインクの付着量を制御するものである。
【0026】
この第1フェルト体8のインクは前記カートリッジ部1とスタンプ部2とが接続された状態で、カートリッジ部1のインクがスタンプ部2の一側に設けた管路(図示省略)を介して第1フェルト体8に導通する構成となっている。これにより第1フェルト体8には常時インクが染み込んでいる。また、カートリッジ部1のインクが無くなった場合は、当該カートリッジ部1を取り替える。
【0027】
この締付けビス類のマーキング治具Aを用いて、締付けビス9にマーキングするには、図5に示す様に、締付けビス9の上から当該締付けビス類のマーキング治具Aの弾性体6の外端面、即ち印面を被せて押し付けると、印面の弾性体6及び第1フェルト体8が締付けビス9及びその周囲の台座10の外周面形状に沿って収縮し、弾性体6及び第1フェルト体8の印面が前記バネ材5の反発力で締付けビス9、座金9a及びその周縁の台座10に押圧、接触し、図17に示す様に、前記第1フェルト体8に染み込ませたインクによる太い直線状の印22が付着する。
【0028】
(実施の形態例2)
次に、この発明の実施の形態例2の締付けビス類のマーキング治具Bを図6図10に基づいて説明する。
【0029】
この締付けビス類のマーキング治具Bは、前記実施の形態例1の締付けビス類のマーキング治具Aとほぼ同一構造であるので、以下の異なる点のみを説明する。
【0030】
まず、円柱体3に穿った円柱溝4の直径及び当該円柱溝4に嵌め入れた弾性体6の直径は、締付けビス類の直径とほぼ同じである。また、前記円柱溝4に嵌め入れた弾性体6の溝7に対向して円柱溝4の内周面から、円柱体3の外周に向けて、本体溝11を設け、当該本体溝11内に第2フェルト体12を嵌入させている。
【0031】
これにより第1フェルト体8及び第2フェルト体12の外端面は直線上に並ぶ。また、この実施の形態例2では溝7の断面はV字型となっている。
【0032】
この締付けビス類のマーキング治具Bは、図9に示す様に、締付けビス9をマーキングするには、図9に示す様に、締付けビス9の上から当該締付けビス類のマーキング治具Bの弾性体6の外端面である印面を被せて押し付ける。その際、締付けビス9及び座金9aに合わせて弾性体6の外端面を押し付け、第2フェルト体12の外端面は当該締付けビス9及び座金9aから外すようにする。
【0033】
この押圧により、図10に示す様に、外端面の弾性体6及び第1フェルト体8が締付けビス9の外周形状に沿って収縮し、弾性体6及び第1フェルト体8の外端面が前記バネ材4の力で締付けネジ9及び座金9aを押圧、接触し、また、第2フェルト体12の外端面が座金9aに隣接する台座10を押圧する。そして、図17に示す様に、前記第1フェルト体8及び第2フェルト体12に染み込ませたインクによる直線状の印22が付着する。
【0034】
(実施の形態例3)
次に、この発明の実施の形態例3の締付けビス類のマーキング治具Cを図11に基づいて説明する。
【0035】
この締付けビス類のマーキング治具Cは前記実施の形態例2の締付けビス類のマーキング治具Bとほぼ同じであるが、弾性体6及び第1フェルト体8の外端面、即ち、印面を予め凹湾曲させた、凹湾曲面13を設けている。
【0036】
これにより締付けビス9及び座金9aに当該締付けビス類のマーキング治具Cを押し付けた際、弾性体6及び第1フェルト体8の凹湾曲面13が締付けビス9の外周面に沿ってさらに収縮しやすいようになっている。他の構成及び作用は、締付けビス類のマーキング治具Bと同じである。
【0037】
(実施の形態例4)
次に、この発明の実施の形態例4の締付けビス類のマーキング治具Dを図12図16に基づいて説明する。
【0038】
この締付けビス類のマーキング治具Dは、図示は省略するが、前記締付けビス類のマーキング治具Aと同様に、全体が円柱状のもので、その一のインクカートリッジ部と他端のスタンプ部とにより構成され、これらのカートリッジ部とスタンプ部とは相互に接続自在となっている。
【0039】
この締付けビス類のマーキング治具Dのスタンプ部2Bは、締め付けるビス類の直径より大きい断面を有する円柱体14から成り、当該円柱体14の一端面から中央部をくりぬき、前記ビス類の直径(座金がある場合は座金の直径)とほぼ同じかやや小さい直径を有する円柱溝15を設けている。この円柱溝15は一定の深さを有している。また、当該円柱溝15の奥部は段部を介して、開口部より内周径が大きい拡径部15aとなっている。
【0040】
そして、当該当該円柱溝15の奥部中央にバネ材16を挿入、固定しているが、当該バネ材16の外周径は円柱溝15の内径より小さくなっており、端面方向からの押圧により外周が膨らむ構造となっている。このバネ材16の手前の円柱溝15には、当該円柱溝15の開口部の直径と同じかやや小さい直径を有する円柱状のスポンジやゴムから成る弾性体17を前記バネ材16に隣接してはめ込んでいる。
【0041】
この弾性体17の外端面の一側から軸方向に一定の深さの断面V字型の溝18が設けられている。また、当該溝18に対向した、円柱溝15の内周面に本体溝19が設けられている。この本体溝19は断面が四角形で、円柱体の一端面から前記円柱溝15の奥部の拡径部15aまで伸びている。
【0042】
この本体溝19内に棒状の第3フェルト体20が設けられ、当該第3フェルト体20は上下の中央部で軸21に支持され、本体溝19内で回動自在となっており、前記バネ材16が外周に膨らむと、図13に示す様に、当該第3フェルト体20の一端が前記バネ材16に押されて、回転し、他端が弾性体17の溝18に入り込む構成となっている。また、前記第3フェルト体20の先端部20aは斜めに抉られ、先細になっている。
【0043】
この締付けビス類のマーキング治具Dを用いて締付けビス9にマーキングするには、図16に示す様に、締付けビス9の上から当該締付けビス類のマーキング治具Dの弾性体17の外端面を被せて押し付けると、弾性体17の外端面が締付けビス9の外周面に沿って収縮し、同時に押圧力でバネ材16が圧縮されて外周が膨らむ。
【0044】
これにより第3フェルト体20の一端が外側に押され、軸21を中心に回転し、その先端部20aが締付けビス9一端外周及び座金9a、さらに台座10を押圧する。その際、第3フェルト体20の先端部20aは締付けビス9の外周側面を側方から押圧する力が働き、より確実に締付けビス8の外周側面に印22を付着することができる。また、第3フェルト体20の先端部20aの形状は、斜めに抉られているが、締付けビス9、座金9a及び台座10の形状に合わせた形状にしてもよい。
【0045】
そして、図17に示す様に、前記第3フェルト体20に染み込ませたインクにより、締付けビス9の一側から座金9a及び台座10に至る直線状の印22が付着する。
【0046】
なお、上記実施の形態例1~4では弾性体6及び17の反発力を増すため、バネ材5及び16を設けたが、反発力の高い素材の弾性体6及び17であれば、バネ材を設ける必要がない場合もある。また、上記実施の形態例1~4では第1フェルト体8、第2フェルト体12、第3フェルト体20としたが、これらはフェルト素材に限定されるものではなく、スポンジや発泡体等他の素材から成る塗布体でも使用できる。
【0047】
また、溝7及び溝18、第1フェルト体8の断面形状は必ずしも一端が先細りの形状でなくてもよく、棒状のものでも良い。また、印面を凹湾曲面とする構成は、実施の形態例1、4等の締付けビス類のマーキング治具A、Dに採用することもできる。また、この発明の締付けビス類のマーキング治具は、ボルト、ナット、ネジ、ビス等締付け係止体に広く適用できる。
【符号の説明】
【0048】
A 締付けビス類のマーキング治具
B 締付けビス類のマーキング治具
C 締付けビス類のマーキング治具
D 締付けビス類のマーキング治具
1 カートリッジ部 2 スタンプ部
2A スタンプ部 2B スタンプ部
3 円柱体 4 円柱溝
5 バネ材 6 弾性体
7 溝 8 第1フェルト体
9 締付けビス 9a 座金
10 台座 11 本体溝
12 第2フェルト体 13 凹湾曲面
14 円柱体 15 円柱溝
15a 拡径部 16 バネ材
17 弾性体 18 溝
19 本体溝 20 第3フェルト体
20a 先端部 21 軸
22 印

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17