(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】スペクトル符号化内視鏡検査の歪み測定および補正
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20220705BHJP
G06T 5/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61B1/00 523
G06T5/00 725
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018170366
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2019-01-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-24
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】呉 紫瑜
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ ▲濱▼
【合議体】
【審判長】福島 浩司
【審判官】井上 香緒梨
【審判官】石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0058352(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0123927(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0111558(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0265380(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0103189(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1/00-1/32
G06T5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル符号化内視鏡検査(SEE)画像の歪みを補正するためのデバイスの作動方法であって、
前記デバイスが、複数の径方向線を含む第1の参照パターンをSEEスペクトル線で走査して第1の画像を取得するステップと、
前記デバイスが、極座標の前記第1の画像の前記径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、前記スペクトル線の接線方向シフトの符号を決定するステップと、
前記デバイスが、極座標またはデカルト座標のいずれかの前記第1の画像の前記径方向線のうちの少なくとも1本に基づいて、前記接線方向シフトの大きさを計算するステップと、
前記デバイスが、前記傾きが変化点を有するか否かに基づいて、前記スペクトル線の径方向シフトの符号を決定するステップと、
前記デバイスが、前記径方向シフトが負であると決定された場合に、前記変化点の位置を測定することによって、前記径方向シフトの大きさを計算するステップか、または、少なくとも1つの円を含む第2の参照パターンを前記SEEスペクトル線で走査して第2の画像を取得し、前記接線方向シフトの大きさと、前記円の半径と、前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った位置または距離dとに基づいて、前記径方向シフトの大きさを計算するステップのいずれかであり、dは前記円に対応している、ステップと、
前記デバイスが、前記径方向シフトが正であると決定された場合に、少なくとも1つの前記円を含む前記第2の参照パターンを前記SEEスペクトル線で走査して前記第2の画像を取得し、前記接線方向シフトの大きさと、前記円の半径と、前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った位置または距離dとに基づいて、前記径方向シフトの大きさを計算するステップであり、dは前記円に対応している、ステップと、
前記デバイスが、前記接線方向シフトおよび前記径方向シフトを適用して、前記SEE画像の歪みを補正するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
(i)前記接線方向シフトの大きさを計算する前記ステップは、デカルト座標において前記第1の画像の前記径方向線の元の位置からのシフトを決定することを含むこと、(ii)前記位置または距離dは、ラインセンサを用いて測定され、かつ/または歪んだ前記SEE画像から測定されること、および/または、(iii)前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った前記位置または距離dは、前記極座標において前記円に対応すること、のうちの1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接線方向シフトの大きさを計算する前記ステップは、
互いに角度を有して等間隔で離間しており、それぞれが交点で前記スペクトル線と交差する、少なくとも3本の径方向線を選択することと、
前記角度、前記少なくとも3本の径方向線のうちの第1の径方向線の交点と第2の径方向線の交点の間の第1の距離、および前記少なくとも3本の径方向線のうちの前記第2の径方向線の交点と第3の径方向線の交点の間の第2の距離に基づいて、前記接線方向シフトの大きさを計算することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記径方向シフトの大きさを計算する前記ステップは、前記径方向シフトが負であると決定され、前記変化点の位置が測定される場合に、どこで前記径方向線の2次導関数がゼロとなるかを決定することによって、前記変化点の位置を測定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記径方向シフトの符号が正であるときに、前記径方向シフトの大きさを、
【数1】
によって計算し、ここで、R
rが前記径方向シフトであり、R
tが前記接線方向シフトであり、R
0が前記円の半径であり、dが、前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った前記位置または距離であり、dは前記円に対応している、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記径方向シフトの符号が負であり、前記径方向シフトの大きさが、前記接線方向シフトの大きさと、前記円の半径と、前記位置または距離dとに基づいて計算されるときに、前記径方向シフトの大きさを、
【数2】
によって計算し、ここで、R
rが前記径方向シフトであり、R
tが前記接線方向シフトであり、R
0が前記円の半径であり、dが、前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った前記位置または距離であり、dは前記円に対応している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記接線方向シフトおよび前記径方向シフトを適用して前記SEE画像の歪みを補正する前記ステップは、前記接線方向シフトおよび前記径方向シフトを適用して、
x'=ρcosθ-R
tsinθ+R
rcosθ、および
y'=ρsinθ+R
tcosθ+R
rsinθ
で表される径方向線の実際の位置(x',y')を決定することをさらに含み、ここで、ρが前記SEEスペクトル線に沿った画素指標であり、θが前記SEEスペクトル線の回転角である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
スペクトル符号化内視鏡検査(SEE)画像の歪みを補正するためのデバイスの作動方法であって、
前記デバイスが、複数の径方向線を含む第1の参照パターンをSEEスペクトル線で走査して第1の画像を取得するステップと、
前記デバイスが、極座標の前記第1の画像の前記径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、前記スペクトル線の接線方向シフトの符号を決定するステップと、
前記デバイスが、少なくとも2つの同心円を含む第2の参照パターンを前記SEEスペクトル線で走査して第2の画像を取得するステップであって、前記2つの同心円が、それぞれ第1の半径と第2の半径を有する、ステップと、
前記デバイスが、極座標において前記2つの同心円に対応するスペクトル線の位置を測定することによって、かつ、前記第1の半径と前記第2の半径を用いることによって、前記SEEスペクトル線の前記接線方向シフトの大きさおよび径方向シフトを計算するステップと、
前記デバイスが、前記接線方向シフトの
符号及び前記接線方向シフトの大きさによって決まる前記接線方向シフトと、前記径方向シフト
とを適用して、前記SEE画像の歪みを補正するステップと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記接線方向シフトの大きさを計算する前記ステップは、デカルト座標において前記第1の画像の前記径方向線の元の位置からのシフトを決定することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記径方向シフトは、
【数3】
に基づいて計算され、ここで、R
1が前記第1の半径であり、R
2が前記第2の半径であり、d
1およびd
2が極座標の歪み画像から測定され
、d
1
は、前記極座標における前記スペクトル線上の第1の点Aと第3の点Cの間の長さの大きさであり、d
2
は、前記極座標における前記スペクトル線上の第2の点Bと前記第3の点Cの間の長さの大きさであり、前記第1の点Aは、前記少なくとも2つの同心円のうちの第1の同心円と前記スペクトル線との交点に位置し、前記第2の点Bは、前記少なくとも2つの同心円のうちの第2の同心円と前記スペクトル線との交点に位置し、前記第3の点Cは、前記スペクトル線の端に位置する、
請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記接線方向シフトの大きさは、
【数4】
に基づいて計算され、ここで、R
1が前記第1の半径であり、R
2が前記第2の半径であり、d
1およびd
2が極座標の歪み画像から測定され
、d
1
は、前記極座標における前記スペクトル線上の第1の点Aと第3の点Cの間の長さの大きさであり、d
2
は、前記極座標における前記スペクトル線上の第2の点Bと前記第3の点Cの間の長さの大きさであり、前記第1の点Aは、前記少なくとも2つの同心円のうちの第1の同心円と前記スペクトル線との交点に位置し、前記第2の点Bは、前記少なくとも2つの同心円のうちの第2の同心円と前記スペクトル線との交点に位置し、前記第3の点Cは、前記スペクトル線の端に位置する、
請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記接線方向シフトの
符号及び前記接線方向シフトの大きさによって決まる前記接線方向シフトと前記径方向シフト
とを適用して前記SEE画像の歪みを補正する前記ステップは、前記接線方向シフ
トおよび前記径方向シフトを適用して、
x'=ρcosθ-R
tsinθ+R
rcosθ、および
y'=ρsinθ+R
tcosθ+R
rsinθ
で表される径方向線の実際の位置(x',y')を決定することをさらに含み、ここで、ρが前記SEEスペクトル線に沿った画素指標であり、θが前記SEEスペクトル線の回転角であ
り、R
r
は前記径方向シフトであり、R
t
は前記接線方向シフトである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
スペクトル符号化内視鏡検査(SEE)画像の歪みを補正するためのデバイスの作動方法であって、
前記デバイスが、複数の径方向線を含む第1の参照パターンをSEEスペクトル線で走査して第1の画像を取得するステップと、
前記デバイスが、極座標の前記第1の画像の前記径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、前記スペクトル線の接線方向シフトの符号を決定するステップと、
前記デバイスが、デカルト座標における前記複数の径方向線のうちの少なくとも1本のシフトに基づいて、または前記SEEスペクトル線で走査される前記複数の径方向線に含まれる少なくとも3本の等角度で離間した径方向線に基づいて、前記接線方向シフトの大きさを決定するステップと、
前記デバイスが、少なくとも2つの同心円を含む第2の参照パターンを前記SEEスペクトル線で走査して第2の画像を取得するステップであって、前記2つの同心円が、それぞれ第1の半径と第2の半径を有する、ステップと、
前記デバイスが、前記第1の半径に対する前記第2の半径の比を提供するステップと、
前記デバイスが、前記接線方向シフトと、前記比と、前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った位置または距離とに基づいて、前記スペクトル線の径方向シフトの2つの可能な値を計算するステップであって、前記位置または距離は前記少なくとも2つの同心円に対応している、ステップと、
前記デバイスが、前記接線方向シフトと、前記径方向シフトの前記2つの可能な値のうち第1の可能な値とを適用して、前記SEE画像の歪みを補正し、または、前記SEE画像の歪みが前記第1の可能な値によって修正されなかった場合、前記接線方向シフトと、前記径方向シフトの前記2つの可能な値のうち第2の可能な値とを適用して、前記SEE画像の歪みを補正するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
(i)前記接線方向シフトの大きさを計算する前記ステップは、デカルト座標において前記第1の画像の前記径方向線の元の位置からのシフトを決定することを含むこと、(ii)前記位置または距離は、ラインセンサを用いて測定され、かつ/または歪んだ前記SEE画像から測定されること、および/または、(iii)前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った前記位置または距離は、前記極座標において前記少なくとも2つの同心円に対応すること、のうちの1つまたは複数である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記接線方向シフトの大きさを計算する前記ステップは、
互いに角度を有して等間隔で離間しており、それぞれが交点で前記スペクトル線と交差する、少なくとも3本の径方向線を選択することと、
前記角度、前記少なくとも3本の径方向線のうちの第1の径方向線の交点と第2の径方向線の交点の間の第1の距離、および前記少なくとも3本の径方向線のうちの前記第2の径方向線の交点と第3の径方向線の交点の間の第2の距離に基づいて、前記接線方向シフトの大きさを計算することと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記径方向シフトは、以下の第1の数式
【数5】
に基づいて計算され、ここで、kが前記第1の半径に対する前記第2の半径の前記比であり、
前記第1の半径及び前記第2の半径は、前記少なくとも2つの同心円の走査中に前記デバイスによって得られる既知の値であり、d
1およびd
2が極座標の歪み画像から測定され、
d
1
及びd
2
は、前記少なくとも2つの同心円に対応する前記位置または距離を用いて決定され、d
1
は、前記極座標における前記スペクトル線上の第1の点Aと第3の点Cの間の長さの大きさであり、d
2
は、前記極座標における前記スペクトル線上の第2の点Bと前記第3の点Cの間の長さの大きさであり、前記第1の点Aは、前記少なくとも2つの同心円のうちの第1の同心円と前記スペクトル線との交点に位置し、前記第2の点Bは、前記少なくとも2つの同心円のうちの第2の同心円と前記スペクトル線との交点に位置し、前記第3の点Cは、前記スペクトル線の端に位置し、
前記第1の数式の2つの可能な値は、以下の第2の数式
【数6】
と比較され、ここで、R
1は前記第1の半径であり、R
2は前記第2の半径であり、
(i)以下の数式
【数7】
が満たされる場合、前記径方向シフトの以下の値
【数8】
が用いられ、または、
(ii)以下の数式
【数9】
が満たされる場合、前記径方向シフトの以下の値
【数10】
が用いられる、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記接線方向シフトおよび前記径方向シフトを適用して前記SEE画像の歪みを補正する前記ステップは、前記接線方向シフトおよび前記径方向シフトを適用して、
x'=ρcosθ-R
tsinθ+R
rcosθ、および
y'=ρsinθ+R
tcosθ+R
rsinθ
で表される径方向線の実際の位置(x',y')を決定することをさらに含み、ここで、ρが前記SEEスペクトル線に沿った画素指標であり、θが前記SEEスペクトル線の回転角であ
り、R
r
は前記径方向シフトであり、R
t
は前記接線方向シフトである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
スペクトル符号化内視鏡検査(SEE)画像の歪みを補正するためのデバイスの作動方法であって、
前記デバイスが、複数の径方向線を含む第1の参照パターンをSEEスペクトル線で走査して第1の画像を取得するステップと、
前記デバイスが、極座標の前記第1の画像の前記径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、前記スペクトル線の接線方向シフトの符号を決定するステップと、
前記デバイスが、デカルト座標における前記複数の径方向線のうちの少なくとも1本のシフトに基づいて、または前記SEEスペクトル線で走査される前記複数の径方向線に含まれる少なくとも3本の等角度で離間した径方向線に基づいて、前記接線方向シフトの大きさを決定するステップと、
前記デバイスが、少なくとも2つの同心円を含む第2の参照パターンを前記SEEスペクトル線で走査して第2の画像を取得するステップであって、前記2つの同心円が、それぞれ第1の半径と第2の半径を有する、ステップと、
前記デバイスが、前記第1の半径に対する前記第2の半径の比を提供するステップと、
前記デバイスが、前記接線方向シフトと、前記比と、前記SEEスペクトル線のまたは前記SEEスペクトル線に沿った位置または距離とに基づいて、前記スペクトル線の径方向シフトの2つの可能な値を計算するステップであって、前記位置または距離は前記少なくとも2つの同心円に対応している、ステップと、
前記デバイスが、前記径方向シフトの前記2つの可能な値のうちの第1の可能な値を選択するステップと、
前記デバイスが、前記接線方向シフトおよび前記径方向シフトの選択された第1の前記可能な値を適用して、前記SEE画像の歪みを補正するステップと、
前記デバイスが、前記歪みが第1の前記可能な値によって補正されない場合に、前記径方向シフトの前記2つの可能な値のうちの他方を選択して、前記歪みを補正するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、参照によりその開示の全体を本明細書に組み込む、2017年9月14日出願の米国特許出願第62/558,691号に関し、その優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に、スペクトル符号化内視鏡(spectrally encoded endoscope:SEE)の1つまたは複数の実施形態に関し、さらに詳細には、これらに限定されるわけではないが、小型内視鏡または超小型内視鏡などのスペクトル符号化内視鏡の1つまたは複数の実施形態によって取得される画像データの歪み測定および補正に関する。
【背景技術】
【0003】
スペクトル符号化内視鏡検査(Spectrally encoded endoscopy:SEE)は、光ファイバ、小型光学素子、および回折格子を利用して、小径の可撓性内視鏡プローブを通した高速撮像を行う技術である。SEEプローブから発出する多色光は、各色(波長)が線(分散線)に沿って組織などのターゲット上の異なる位置を照明するように、スペクトル分散されて投射される。組織からの反射光を、分光計によって集光して復号して、各画素が特定の照明波長に対応するような線画像を形成する。分散線に対して直交する他の次元の空間情報は、モータまたはガルバノメトリックモータを使用してプローブを移動させることによって取得する。前方ビューSEE撮像では、分散線に対して直交する他の次元の空間情報は、ターゲットが円形に走査されるように回転モータを使用してプローブを回転させることによって取得する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SEEプローブの作製および組立てに関する問題により、走査スペクトル線は、撮像対象上の設計位置からシフトして歪み画像を生じることが多い。この歪んだ画像は、
図1に示す画像のように、またはこれに類似した状態で見えることがある。現在のところ、この歪みの問題を解決する効率的な方法はない。したがって、歪みを実時間で効率的に補正する任意の方法など、歪みを効率的に解消する少なくとも1つの光学デバイス、アセンブリ、またはシステムで使用される1つまたは複数のSEE技術を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、スペクトル符号化内視鏡検査(SEE)画像の歪み(distortion)を補正する方法の少なくとも1つの実施形態を提供する。複数の径方向線(radial line)を含む第1の参照パターンを、SEEスペクトル線で走査して、第1の画像を取得することができる。極座標の第1の画像の径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、スペクトル線の接線方向シフト(tangential shift)の符号(sign)を決定することができる。極座標またはデカルト座標のいずれかの第1の画像の径方向線のうちの少なくとも1本に基づいて、接線方向シフトの大きさを計算することができる。傾きが変化点を有するか否かに基づいて、スペクトル線の径方向シフト(radial shift)の符号(sign)を決定することができる。径方向シフトが負であると決定された場合には、変化点の位置を測定することによって、径方向シフトの大きさを決定することができる。径方向シフトが正であると決定された場合には、少なくとも1つの円を含む第2の参照パターンを走査して、第2の画像を取得する。接線方向シフトの大きさおよび上記の円の半径に基づいて、径方向シフトの大きさを計算する。次いで、接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して、歪みを補正する。
【0006】
一実施形態では、接線方向シフトの大きさを計算するステップは、デカルト座標において第1の画像の径方向線の元の位置からのシフトを決定することを含む。あるいは、接線方向シフトの大きさを計算するステップは、互いに角度を有して等間隔で離間しており、それぞれが交点(intersection point)でスペクトル線と交差する、少なくとも3本の径方向線を選択することと、上記の角度、少なくとも3本の径方向線のうちの第1の径方向線の交点と第2の径方向線の交点の間の第1の距離、および少なくとも3本の径方向線のうちの第2の径方向線の交点と第3の径方向線の交点の間の第2の距離に基づいて、接線方向シフトの大きさを計算することと、を含むことがある。
【0007】
径方向シフトの大きさを計算するステップは、径方向シフトが負であると決定された場合に、どこで径方向線の2次導関数がゼロとなるかを決定することによって、変化点の位置を測定することをさらに含むことがある。1つまたは複数の実施形態では、径方向シフトの符号が正であるときには、径方向シフトの大きさを、幾何学的関係によって、または
【数1】
を用いる(1つまたは複数の)関係によって計算することができる。ここで、R
rは、径方向シフトであり、R
tは、接線方向シフトであり、R
0は、上記の円の半径であり、dは、上記の円と目標半径の間の距離である。径方向シフトの符号が負であるときには、径方向シフトの大きさを、
【数2】
を用いる関係によって計算することができる。ここで、R
rは、径方向シフトであり、R
tは、接線方向シフトであり、R
0は、上記の円の半径であり、dは、上記の円と目標半径の間の距離である。1つまたは複数の方法は、SEE画像の歪みを、直交する接線方向歪みと径方向歪みとに分解し、直交するスペクトル線のシフトを定量的に測定し、これらの歪みを実時間で(例えばソフトウェアおよび/またはハードウェアで実時間で)補正することができる。1つまたは複数の実施形態は、歪みの量を測定し、この歪みを接線方向歪みと径方向歪みとに分解する(1つまたは複数の)較正手順を含むことがある。1つまたは複数の実施形態では、測定した直交歪みデータを使用して、接線方向歪みおよび径方向歪みの両方を(例えばソフトウェアおよび/またはハードウェアで実時間で)補正することができる。SEE画像は、(1つまたは複数の)デカルト座標あるいは(1つまたは複数の)極座標のいずれかで表すことができる。生画像データは、横軸がスペクトル線の波長または分光計に組み込まれたラインセンサの画素指標を表し、縦軸がスペクトル線の回転角またはスペクトル線を取得する時間を表す、極座標で収集することができる。
【0008】
1つまたは複数の実施形態では、接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して歪みを補正するステップは、接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して、
x’=ρcosθ-Rtsinθ+Rrcosθ
y’=ρsinθ+Rtcosθ+Rrsinθ
で表される径方向線の実際の位置(x’、y’)を決定することをさらに含む。ここで、ρは、SEEスペクトル線に沿った画素指標であり、θは、SEEスペクトル線の回転角である。
【0009】
別の実施形態として、本明細書では、以下のステップを含むスペクトル符号化内視鏡検査(SEE)画像の歪みを補正する方法を提供する。複数の径方向線を含む第1の参照パターンを、SEEスペクトル線で走査して、第1の画像を取得する。極座標の第1の画像の径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、スペクトル線の接線方向シフトの符号を決定する。少なくとも2つの同心円を含む第2の参照パターンを、SEEスペクトル線で走査して、第2の画像を取得する。この2つの同心円は、それぞれ第1の半径と第2の半径を有する。極座標において2つの同心円に対応するスペクトル線の位置を測定することによって、スペクトル線の接線方向シフトの大きさおよび径方向シフトの大きさを走査する。接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して、歪みを補正する。接線方向シフトの大きさを計算するステップは、デカルト座標において第1の画像の径方向線の元の位置からのシフトを決定することを含むことがある。径方向シフトは、
【数3】
という関係に基づいて計算することができ、接線方向シフトは、
【数4】
という関係に基づいて計算することができる。接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して歪みを補正するステップは、接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して、
x’=ρcosθ-R
tsinθ+R
rcosθ
y’=ρsinθ+R
tcosθ+R
rsinθ
で表される径方向線の実際の位置(x’、y’)を決定することをさらに含む。ここで、ρは、SEEスペクトル線に沿った画素指標であり、θは、SEEスペクトル線の回転角である。
【0010】
別の実施形態では、複数の径方向線を含む第1の参照パターンを、SEEスペクトル線で走査して、第1の画像を取得する。極座標の第1の画像の径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、スペクトル線の接線方向シフトの符号を決定する。デカルト座標における複数の径方向線のうちの少なくとも1本のシフトに基づいて、またはSEEスペクトル線で走査される複数の径方向線に含まれる少なくとも3本の等角度で離間した径方向線に基づいて、接線方向シフトの大きさを決定する。径方向線のうちの少なくとも1本のシフトに基づいて、または複数の径方向線に含まれる少なくとも3本の等角度で離間した径方向線に基づいて、接線方向シフトの大きさを計算する。少なくとも2つの同心円を含む第2の参照パターンを、SEEスペクトル線で走査して、第2の画像を取得する。この2つの同心円は、それぞれ第1の半径と第2の半径を有する。第1の半径に対する第2の半径の比を提供する。接線方向シフトおよびこの比に基づいて、スペクトル線の径方向シフトを計算し、この接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して、歪みを補正する。
【0011】
1つまたは複数の実施形態では、接線方向シフトの大きさを計算するステップは、デカルト座標において第1の画像の径方向線の元の位置からのシフトを決定することを含むことがある。接線方向シフトの大きさを計算するステップは、互いに角度を有して等間隔で離間しており、それぞれが交点でスペクトル線と交差する、少なくとも3本の径方向線を選択することと、上記の角度、少なくとも3本の径方向線のうちの第1の径方向線の交点と第2の径方向線の交点の間の第1の距離、および少なくとも3本の径方向線のうちの第2の径方向線の交点と第3の径方向線の交点の間の第2の距離に基づいて、接線方向シフトの大きさを計算することと、を含むこともある。
【0012】
径方向シフトは、
【数5】
という関係に基づいて計算することができる。ここで、kは、第1の半径に対する第2の半径の比である。接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して歪みを補正するステップは、1つまたは複数の実施形態では、接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して、
x’=ρcosθ-R
tsinθ+R
rcosθ
y’=ρsinθ+R
tcosθ+R
rsinθ
で表される径方向線の実際の位置(x’、y’)を決定することをさらに含む。ここで、ρは、SEEスペクトル線に沿った画素指標であり、θは、SEEスペクトル線の回転角である。
【0013】
別の実施形態として、本明細書では、スペクトル符号化内視鏡検査(SEE)画像の歪みを補正する方法を提供する。複数の径方向線を含む第1の参照パターンを、SEEスペクトル線で走査して、第1の画像を取得する。極座標の第1の画像の径方向線のうちの少なくとも1本の傾きに基づいて、スペクトル線の接線方向シフトの符号を決定する。デカルト座標における複数の径方向線のうちの少なくとも1本のシフトに基づいて、またはSEEスペクトル線で走査される複数の径方向線に含まれる少なくとも3本の等角度で離間した径方向線に基づいて、接線方向シフトの大きさを決定する。少なくとも2つの同心円を含む第2の参照パターンを、SEEスペクトル線で走査して、第2の画像を取得する。この2つの同心円は、それぞれ第1の半径と第2の半径を有する。第1の半径に対する第2の半径の比を提供する。接線方向シフトおよび上記の比に基づいて、スペクトル線の径方向シフトの大きさの2つの可能な値を計算することができる。これらの可能な値のうちの1つを選択して、スペクトル線によって撮像される径方向線の(1つまたは複数の)画素座標を計算する。接線方向シフトおよび径方向シフトを適用して、歪みを補正する。歪みが第1の可能な値によって補正されない場合には、径方向シフトの大きさの上記の可能な値のうちの他方を選択する。
【0014】
本明細書では、本開示の他の態様による、1つまたは複数のSEE歪み補正技術を使用する、またはそれらとともに使用される、1つまたは複数の追加のデバイス、1つまたは複数のシステム、1つまたは複数の方法、および1つまたは複数の記憶媒体について説明する。本開示のさらなる特徴は、部分的には以下の説明からおよび添付の図面の参照により理解可能であり、また部分的には以下の説明からおよび添付の図面の参照により明らかになるであろう。
【0015】
本開示の様々な態様を例示するために、利用することができる簡略化した形態を、図面に示してある。図面においては、同じ要素は、同じ参照番号で示してある。ただし、本開示は、図示する厳密な構成および手段によって限定されたり、あるいはこれらに限定されたりするものではないことを理解されたい。当業者が本明細書の主題を作成および使用するのを支援するために、添付の図面について述べておく。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本開示の1つまたは複数の態様による、SEEの前方視画像の例を示す図である。
【
図2】
図2(a)は、本開示の1つまたは複数の態様による、ターゲット平面内の接線方向にシフトしたスペクトル線の走査の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図2(b)は、本開示の1つまたは複数の態様による、極座標で示される走査パターンの画像の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図2(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、デカルト座標で再構築することもできる走査パターンの画像の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、本開示の1つまたは複数の態様による、オブジェクトの、またはオブジェクト上の設計走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図3(b)は、本開示の1つまたは複数の態様による、スペクトル線の方向などのスペクトル方向に沿ってシフトした走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図3(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、走査方向に沿ってシフトした走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図4】
図4(a-1)および
図4(a-2)は、本開示の1つまたは複数の態様による、外向きの径方向シフト(R
r>0の場合)を有するグリッドオブジェクト上の走査パターンおよび外向きの径方向シフトによる歪みのシミュレーションの少なくとも1つの実施形態をそれぞれ示す図である。
図4(b-1)および
図4(b-2)は、本開示の1つまたは複数の態様による、内向きの径方向シフト(R
r<0の場合)を有するグリッドオブジェクト上の走査パターンおよび内向きの径方向シフトによって歪んだシミュレーション画像をそれぞれ示す図である。
図4(c-1)および
図4(c-2)は、本開示の1つまたは複数の態様による、正の接線方向シフト(R
t>0の場合)を有するグリッドオブジェクト上の走査パターンおよび接線方向シフトによる歪みのシミュレーションの少なくとも1つの実施形態をそれぞれ示す図である。
図4(d-1)および
図4(d-2)は、本開示の1つまたは複数の態様による、負の接線方向シフト(R
t<0の場合)を有するグリッドオブジェクト上の走査パターンおよび負の接線方向シフトによる歪みのシミュレーションの少なくとも1つの実施形態をそれぞれ示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の1つまたは複数の態様による、走査スペクトル線の座標の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図6】
図6(a)から
図6(f)は、本開示の1つまたは複数の態様による、使用者が接線方向シフトR
tの符号を決定することを可能にする、元の撮像ターゲット(
図6(a)および
図6(d)参照)、ならびに極座標およびデカルト座標の両方のシミュレーション歪み画像(R
t>0の場合は
図6(b)から
図6(c)参照、R
t<0の場合は
図6(e)から
図6(f)参照)の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図7】
図7(a)から
図7(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、R
r>0およびR
t>0であるときの、元の撮像ターゲット(
図7(a)参照)、ならびに極座標およびデカルト座標の両方の歪み画像(それぞれ
図7(b)および
図7(c)参照)の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図7(d)から
図7(f)は、本開示の1つまたは複数の態様による、R
r<0およびR
t<0であるときの、元の撮像ターゲット(
図7(d)参照)、ならびに極座標およびデカルト座標のシミュレーション画像(それぞれ
図7(e)および
図7(f)参照)の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
図7(g)から
図7(i)は、本開示の1つまたは複数の態様による、R
r<0およびR
t>0であるときの、元の撮像ターゲット(
図7(g)参照)、ならびに極座標およびデカルト座標の両方のシミュレーション画像(それぞれ
図7(h)および
図7(i)参照)の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図8】
図8(a)から
図8(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、デカルト座標のR
tの大きさを測定する方法の少なくとも1つの実施形態についての、参照径方向線パターン(
図8(a))、シミュレーション歪み画像(
図8(b))、および復元画像(
図8(c))の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図9】
図9(a)から
図9(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、本開示の1つまたは複数の態様による、ターゲット平面の径方向線を撮像することによってR
tを決定する方法の少なくとも1つの実施形態についての、参照径方向線パターン(
図9(a))、R
r>0およびR
t>0である極座標のシミュレーション歪み画像(
図9(b))、および径方向線パターンに対する走査スペクトル線の座標(
図9(c))の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図10】
図10(a)から
図10(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、円形パターンを使用してR
rを決定する方法の少なくとも1つの実施形態についての、参照パターン(
図10(a)のSEEスペクトル線によって走査されている半径R
0を有する円形パターン参照)、極座標の歪みのない画像(R
r=0およびR
t=0である
図10(b)参照)、および極座標の歪み画像(R
r>0およびR
t>0である
図10(c)参照)の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図11】
図11(a)から
図11(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、R
r<0であるときに円形パターンを使用してR
rを決定する方法の少なくとも1つの実施形態についての、SEEスペクトル線によって走査される円形パターン(
図11(a)のSEEスペクトル線によって走査されている半径R
0を有する円形パターン参照)、極座標の歪みのない画像(R
r=0およびR
t=0である
図11(b)参照)、および極座標の歪み画像(R
r<0およびR
t>0である
図11(c)参照)の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図12】
図12(a)から
図12(c)は、本開示の1つまたは複数の態様による、2つの円形同心円を有するターゲットを撮像することによってR
tおよびR
rを決定する方法の少なくとも1つの実施形態についての、同心円パターン(正のRrを有する2つの同心円を有する
図12(a)、および負のR
rを有する2つの同心円を有する
図12(b)参照)、および極座標システムの歪み画像(
図12(c))の少なくとも1つの実施形態を示す図である。
【
図13】
図13は、本開示の1つまたは複数の態様による、径方向線パターンを撮像することによって歪み補正を行う方法の少なくとも1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本開示の1つまたは複数の態様による、径方向線パターンおよび円形パターンの両方を撮像することによって歪み補正を行う方法の少なくとも1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本開示の1つまたは複数の態様による、同心円パターンを撮像することによって歪み補正を行う方法の少なくとも1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本開示の1つまたは複数の態様による、別の歪み補正方法の少なくとも1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本開示の1つまたは複数の態様による、別の歪み補正方法の少なくとも1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図18】
図18(a)から
図18(f)は、本開示の1つまたは複数の態様による、様々な較正目的用のパターンの実施形態の例を示す図である。
【
図19】
図19は、本開示の1つまたは複数の態様による、SEEシステムの少なくとも1つの実施形態を示す概略図である。
【
図20】
図20は、本開示の1つまたは複数の態様による、SEEシステムの少なくとも1つの別の実施形態を示す概略図である。
【
図21】
図21は、本開示の1つまたは複数の態様による、SEE撮像を実行する方法の少なくとも1つの実施形態を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、本開示の1つまたは複数の態様による、本明細書に記載する装置またはシステムあるいは1つまたは複数の方法の1つまたは複数の実施形態とともに使用することができるコンピュータの実施形態を示す概略図である。
【
図23】
図23は、本開示の1つまたは複数の態様による、本明細書に記載する装置またはシステムあるいは方法の1つまたは複数の実施形態とともに使用することができるコンピュータの別の実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、特定の例示的な実施形態について説明するが、他の実施形態は、代替形態、等価形態、および修正形態を含む可能性がある。さらに、これらの例示的な実施形態は、いくつかの新規の特徴を含むことがあるが、個々の特徴が、本明細書に記載するデバイス、システム、および方法の1つまたは複数の実施形態を実施するのに不可欠でないこともある。以下、添付の図面を参照して、実施形態について説明する。全ての図面を通じて、同じ要素は同じ参照番号で示してある。以下の記述は、本質的に単に例証および例示的なものに過ぎず、いかなる意味でも本開示およびその適用分野または用途を限定することを意図したものではないことに留意されたい。実施形態において記載する構成要素およびステップの相対的な配置、数式、ならびに数値は、特に記載がない限り、本開示の範囲を限定しない。当業者に周知の技術、方法、およびデバイスについては、詳細には説明していないこともあるが、これは、当業者なら、それらの詳細を知らなくても、以下に述べる実施形態を利用可能にすることができるからである。さらに、人体内部を検査するために使用される以下に開示する内視鏡は、他の物体を検査するために使用することもできる。実施形態を実装することができる内視鏡の例である特殊内視鏡の例は、毛細血管鏡、肛門鏡、関節鏡、動脈鏡、関節鏡、気管支鏡、カプセル内視鏡、胆道鏡、大腸内視鏡、コルポスコープ、膀胱鏡、脳鏡、上部消化管内視鏡、食道鏡、胃内視鏡、ヒステロスコープ、腹腔鏡、咽頭鏡、縦隔鏡、腎盂鏡、神経内視鏡、直腸鏡、切除鏡、鼻腔鏡、S字結腸鏡、サイナススコープ、胸腔鏡、尿管鏡、子宮鏡、ボアスコープ、ファイバスコープ、検査カメラ、および実施形態を含むように適合することができる任意の特殊内視鏡を含む。内視鏡は、可撓性であっても、剛性であってもよい。実施形態は、プローブ、または撮像装置であることもある。
【0018】
本明細書には、SEE画像などの画像中の(1つまたは複数の)歪みを補正する1つまたは複数のデバイス、光学システム(optical system)、方法、および記憶媒体を開示する。本開示の少なくとも1つの態様によれば、本明細書に記載する1つまたは複数のデバイス、光学システム、方法、および記憶媒体は、歪み補正技術を使用して、直視像/ビューまたは前方視像/ビューを提供する。
【0019】
情報収集を迅速化する1つの方法は、空間情報の構成要素をスペクトル情報で符号化することである。内視鏡の状況では、利用することができる1つの例は、スペクトル符号化内視鏡検査(SEE)と呼ばれ、これは、照明光の波長を使用して、サンプルの空間情報を符号化するものである。このようなSEE内視鏡技術では、画像を取得できる速度が速くなり、より小径の内視鏡プローブおよび/あるいはより小さい、または最小の針によって診断および治療を行う効率が向上する。SEEは、広帯域光源、回転回折格子、および分光検出器を使用して、サンプルについての空間情報を符号化する内視鏡技術である。サンプル、対象、および/または患者(もしくはその一部分)を光で照明すると、光が1つの照明線に沿ってスペクトル分散し、その分散光は、照明線の特定の位置を特定の波長で照明する。サンプルからの反射光を分光計で検出したら、その強度分布を、その線に沿って反射率として解析する。回折格子を前後に回転または揺動させて照明線を走査することにより、サンプルの2次元画像が得られる。
【0020】
SEEは、光ファイバ、小型光学素子、および回折格子(またはプリズム)を利用して、小径の可撓性内視鏡プローブによる高速撮像を行うことができる技術である。SEEプローブから発出する多色光は、各色(波長)が1本の線(分散線、スペクトル線、または照明線)に沿ってサンプル上の異なる位置を照明するように、スペクトル分散されて投射される。サンプルからの反射(または散乱)光を、分光計および/または検出器によって集光して復号して、画像線を形成することができる。この線の各位置は、照明光の特定の波長に対応している。分散線に対して実質的に直交する別の次元の空間情報は、プローブを移動させることによって取得することができる。SEEは、2次元および3次元で、またカラーで、高画質画像を生成するために使用されている。SEEは、1本の光ファイバに入力される広帯域幅の光を使用することによって実施することができる。回折格子を前後に回転または揺動させて、光がそれに沿ってスペクトル分散される照明線を走査することにより、サンプルの2次元画像を得る。
【0021】
図1は、SEE前方視画像の例を示している。上述のように、SEE装置の少なくとも1つの実施形態で得られる画像の歪みは、走査スペクトル線が製造および/または組立ての問題によってシフトしたときに発生することが多い。SEE前方視画像中の歪みは、スペクトル線の方向に沿ったシフトおよび操作方向に沿ったシフトをそれぞれもたらす径方向シフトおよび接線方向シフトなど、少なくとも2つのシフトによって生じる歪みの組合せである。
図2(a)は、ターゲット平面内の接線方向にシフトしたスペクトル線走査の少なくとも1つの実施形態を示している。
図2(a)に示すように、この走査スペクトル線のシフトにより、ターゲット平面の中央部分に非照明領域が生じる。この走査パターンの画像は、
図2(b)に示すように、極座標で表すことができる。また、この走査パターンの画像は、
図2(c)に示すようにデカルト座標で再構築することもできる。
図3(a)は、オブジェクトの設計走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示している。
図3(b)は、径方向シフトを有する走査パターンを示し、
図3(c)は、接線方向シフトを有する走査パターンを示している。
図2(c)に示すように、接線方向シフトのみを有する画像は、次のように数式(1)によって再構築することができる。
x=isinθ+rcosθ
y=icosθ+rsinθ (1)
【0022】
歪みの総量を定量化し、歪みをさらに補正するためには、歪み測定メトリクスとしてスペクトル線シフトを測定すればよい。
図4は、径方向シフトR
rおよび接線方向シフトR
tの直交する2つの方向に分離したスペクトル線シフトの歪み効果を示している。
図4(a)-1は、外向きの径方向シフトを有する、すなわちR
r>0である、グリッドオブジェクト上の走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示している。
図4(a)-1に示すスペクトル線の外向きの径方向シフトによって生じる画像の歪みは、
図4(a)-2に示すようにシミュレートすることができる。
図4(b)-1は、内向きの径方向シフトを有する、すなわちR
r<0である、グリッドブジェクト上の走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示し、
図4(b)-2は、このスペクトル線の内向きの径方向シフトによって生じる歪みのシミュレーションを示している。
図4(c)-1は、正の接線方向シフトを有する、すなわちR
t>0である、グリッドブジェクト上のスペクトル線の走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示し、
図4(c)-2は、この正の接線方向シフトによって生じる歪みのシミュレーションを示している。
図4(d)-1は、負の接線方向シフトを有する、すなわちR<0である、グリッドブジェクト上のスペクトル線の走査パターンの少なくとも1つの実施形態を示し、
図4(d)-2は、この負の接線方向シフトの結果である歪みのシミュレーションを示している。
【0023】
図5は、走査スペクトル線の座標を示し、
lは、所望のスペクトル線を示し、
l’は、シフトしたスペクトル線を示し、
R
rは、スペクトル線の径方向シフトを示し、
R
tは、スペクトル線の接線方向シフトを示し、
(ρ,θ)は、所望のスペクトル線に関係する画素の極座標であり、ここで、ρは、スペクトル線に沿った画素指標であり、θは、スペクトル線の回転角であり、
(x,y)は、所望の画像において撮像された画素ターゲットであり、
(x’,y’)は、歪みにより生じた画像における実際に撮像されたターゲット画素である。
【0024】
測定したR
rおよびR
tを用いて、数式(2)および(3)を用いて画素位置を計算することができ、これを位置(x,y)に配置する代わりに実際の位置(x’,y’)に配置することができる。
x’=ρcosθ-R
tsinθ+R
rcosθ (2)
y’=ρsinθ+R
tcosθ+R
rsinθ (3)
実際の位置(x’,y’)は正しく計算することができるので、この画像中の歪みは、補正することができる。接線方向シフトR
tおよび径方向シフトR
rは、正または負である可能性がある。
図5に示すスペクトル線、ならびに数式(2)および(3)は、R
t>0、およびR
r>0である状況を示している。これらの数式は、負のシフト、すなわちR
t<0およびR
r<0によって生じる歪みにも適用することができることは理解されるであろう。
【0025】
数式(2)および数式(3)を歪み補正に適切に適用するために、1つまたは複数の実施形態では、スペクトルシフトR
tおよびR
rの大きさ(|R
t|および|R
r|)だけでなく、符号も決定しなければならない。接線方向シフトR
tの符号を特定するためには、グリッドの形態をした元の撮像ターゲット、例えば
図4(a)から
図4(d)に示すターゲット平面を準備すればよい。1つまたは複数の実施形態では、R
tの符号は、デカルト座標の歪み画像における回転パターンの配向によって特定することができる(元の撮像ターゲットがグリッドである
図4(c-2)および
図4(d-2)に例を見ることができる)。1つまたは複数の実施形態では、R
tの符号は、計算速度の観点から有利であることがある、極座標の生データセット(例えば
図1B)から特定することができる。あるいは、
図6(a)に示す複数の径方向線を有するターゲット平面を準備して、走査を実行することもできる。
図6は、極座標画像内の線の傾きの符号を特定することによって径方向線を撮像してR
tの符号を決定する例を示している。
図6(b)は、極座標のシミュレーション画像を示している。径方向線の画像が歪んでいないとき、すなわちR
t=0であるときには、極座標の線は、傾き=0を有する。歪みによって、極座標の径方向線の傾きが変化する可能性がある。
図6(b)は、正の接線方向シフト(R
t>0)によって歪んだ、負の傾きを有する極座標のシミュレーション画像を示している。
図6(c)は、正の接線方向シフトを有するデカルト座標のシミュレーション画像である。
図6(d)は、ターゲット平面の同じ径方向線を示し、
図6(e)および
図6(f)は、少なくとも1つの実施形態における、それぞれ極座標およびデカルト座標のR
t<0を有するシミュレーション歪み画像を示している。
図6(e)は、負のR
tシフトによって歪んだ、正の傾きを有する極座標のシミュレーション画像を示している。
【0026】
図6(a)に示す径方向線パターンは、1つまたは複数の実施形態では、デカルト座標の径方向スペクトル線シフトR
rの影響を受けず、接線方向のスペクトル線シフトR
tによって決まる。ただし、径方向スペクトル線シフトによって生じる径方向線パターンの歪みが、極座標の径方向線の傾きに顕著な変化を引き起こす可能性はある。
図7は、スペクトル線の径方向シフトおよび接線方向シフトの両方によって生じる歪みを有するシミュレーション画像を示している。
図7(a)から
図7(c)に示すように、径方向シフトR
rおよび接線方向シフトR
tの両方は正である(R
r>0およびR
t>0)。
図7(d)から
図7(f)は、負の径方向シフト(R
r<0)および負の接線方向シフト(R
t<0)を有するシミュレーション画像を示している。
図7(g)から
図7(i)は、負の径方向シフト(R
r<0)および正の接線方向シフト(R
t>0)を有するシミュレーション画像を示している。
図7(a)から
図7(i)から分かるように、R
r<0である場合には、
図7(e)および
図7(h)に示すように、極座標の画像に、線の2次導関数がゼロに等しくなる傾き移行点がある。R
rの大きさは、最大の傾きを有する、すなわち、線の2次導関数がゼロとなる位置に生じる移行点の位置(画素指標)を測定することによって決定することができる。ただし、R
r>0であるときには、
図7(b)に示すように、接線方向R
tが正であるか負であるかに関わらず、このような移行点は存在しない。したがって、径方向シフトR
rの符号は、径方向線パターンを有する参照ターゲットを撮像し、極座標のその径方向線の傾きの移行点を観察することによって、決定することができる。極座標の線の2次導関数が変化する場合には、径方向シフトR
rの符号は負であり、その他の場合は、R
rは正である。
【0027】
少なくとも1つの実施形態では、R
tは、デカルト座標の歪み画像の径方向線シフトを測定することによって得ることができる。
図8(a)に示す径方向線パターンは、デカルト座標では径方向シフトR
rによって歪んでいない。径方向線画像に現れる歪みを使用して、R
rの有無に関わらず、接線方向シフトの大きさ|R
t|を測定することができる。
図8(b)は、元の位置から|R
t|だけシフトした径方向線を有する歪み画像を示している。
図8(c)は、測定値R
tを数式(2)および(3)に適用することによって復元した画像を示している。
図8(c)の中央の穴の半径は、R
tに等しい。すなわち、1実施形態では、接線方向シフトの大きさ|R
t|は、デカルト座標における径方向線の元の位置からのシフトから、すなわち
図8(a)に示す元の位置からのシフトから、決定することができる。
【0028】
接線方向シフトの大きさ|R
t|は、極座標の少なくとも3本の等間隔で離間した径方向線を撮像することによって決定することもできる。
図9は、少なくとも3本の等角度で離間した径方向線を撮像することによってR
tを解く方法を示している。
図9(a)に示すように、互いに角度Δθだけ等間隔で離間した3本の径方向線を、撮像対象のターゲット平面に設ける。点A、B、およびCは、径方向線パターンと走査スペクトル線との交点である。
図9(c)は、撮像対象のターゲット平面の径方向線パターンに対する走査線の座標を示している。
図9(b)は、交点Cと交点Bの間の長さd
1、および交点Bと交点Aの間の長さd
2を、それぞれ極座標で測定することができ、
図9(c)に示す幾何学的関係および下記の数式によって解くことができることを示している。径方向線の間の角度距離Δθが予め決められており、間隔d
1およびd
2が極座標の歪み画像から決定することができるので、未知のパラメータx、α、およびR
tは、以下の数式によって得ることができる。
3角形OADについては、
【数6】
3角形OBDについては、
【数7】
3角形OCBに正弦定理を適用すると、
【数8】
3角形OABに正弦定理を適用すると、
【数9】
数式(6)/数式(7)によってαを解くと、
【数10】
【数11】
からR
tを解くと、
【数12】
これで、数式(8)を数式(9)と結合してαを除くことによって、R
tを得ることができる。
【0029】
径方向シフトR
rの振幅または大きさを測定するためには、参照パターンを撮像すればよい。例えば、ターゲット平面の複数の径方向線を有する参照パターンを撮像し、極座標の線の移行点に対応する画素位置を見つける。上述のように、R
r<0である場合には、極座標中に示される少なくとも1つの画像で線の傾きの移行がある。R
rの振幅は、
図7(e)および
図7(h)に示すように、最大の傾きが生じる、すなわち、線の2次導関数がゼロとなる位置に生じるこの傾き移行点の位置(画素指標)を測定することによって決定することができる。ただし、1つまたは複数の実施形態では、これはR
r<0であるときにしか当てはまらない。
【0030】
径方向シフトが正である、すなわちR
r>0である状況では、異なるパターンを有するターゲットオブジェクトをSEEプローブで撮像する。例えば、
図10(a)に示すように、半径R
0を有する円形パターンをSEEプローブで撮像する。スペクトル線の接線方向および径方向のずれは、円形パターンが円形のままであるという点では、円形パターンの歪みを引き起こさない。ただし、極座標画像中の円に対応する垂直線の位置は変化する。これらの垂直線の変化を測定することにより、スペクトル線のずれを測定することができる。実際に、このような同心円パターンを撮像して、極座標で測定されたパラメータを使用してR
rについて解く方法を使用することができる。
図10(b)は、スペクトル線にずれがない(すなわちR
r=0およびR
t=0)と仮定して極座標に示される歪みのない画像を示している。R
0は、ターゲットの半径から測定することができ、その対応する画素指標は、分光計の較正によって決定することができる。
図10(c)は、未知のR
rおよびR
tを有する極座標に示される歪みのある画像を示している。dは、ラインセンサ上で測定することができ、R
tは、少なくとも
図9に示す方法、および少なくとも
図7(e)から
図7(h)に示す方法で測定することができるので、R
rは、以下のように数式(10)によって解くことができる。
【数13】
【0031】
図11(a)に示すようにR
r<0であるときには、数式(11)を適用してR
rを決定することができる。
【数14】
図11(b)は、極座標の歪みのない画像(R
t=0,R
r=0)を示し、
図11(c)は、R
t>0およびR
r<0であるときの極座標の歪みのある画像を示している。
【0032】
図12(a)および
図12(b)は、2つの同心円を有するパターンを撮像することによって歪み補正を行う方法の少なくとも1つの実施形態を示している。1つまたは複数の実施形態では、2つの同心円を有するパターンを撮像することができ、R
tおよびR
rは、極座標で測定したパラメータを使用して解くことができる。
図12(a)に示すように、一方の半径がR
1、他方の半径がR
2である2つの同心円を有するパターンを、正の径方向シフトスペクトル線を有するSEEプローブで撮像する。同様に、
図12(b)に示すように、一方の半径がR
1、他方の半径がR
2である2つの同心円を有するパターンを、負の径方向シフトスペクトル線を有するSEEプローブで撮像する。スペクトル線の接線方向および径方向のずれは、円形パターンが円形のままであるという点では、円形パターンに歪みを生じていないように見える。ただし、極座標画像の2つの円に対応する垂直線の位置は変化しており、デカルト座標の円の半径も変化している。2本の垂直線の相対位置を測定することにより、スペクトル線の径方向および接線方向のずれを測定することができる。
【0033】
図12(c)は、極座標で示される未知のR
rおよびR
tを有する歪みのある画像を示している。d
1およびd
2はこの画像から測定することができ、R
tは少なくとも
図7および
図9に提示する方法で測定することができるので、R
rは、以下の数式によって解くことができる。
既知パラメータおよび測定したパラメータ:d
1=|BC|、d
2=|AC|、R
t、およびR
2/R
1
未知のパラメータ:R
r=|CD|(R
rは、正または負である可能性がある)
直角3角形OADから、
R
t
2+(R
r+d
2)
2=R
2
2 (12)
直角3角形OBDから、
R
t
2+(R
r+d
1)
2=R
1
2 (13)
R
1およびR
2が与えられると、R
rおよびR
tは両方とも、以下のように数式(12)および数式(13)から解くことができる。
【数15】
R
rおよびR
tは、1つまたは複数の実施形態では、R
1およびR
2が既知である限り解くことができる。画像空間内のR
1およびR
2は、SEEプローブの理論的導出(波長に対する分散角)、ターゲット上でのR
1およびR
2の測定、および分光計の較正(画素指標に対する波長)によって得ることができる。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、R
1およびR
2を得るための第2の手法は、既知の、または無視できる歪みを有する参照SEEプローブを使用して円を撮像することである。R
1を得るための第3の手法は、数式(15)を修正して、
【数16】
にすることである。ここで、k=R
2/R
1であり、数式(9)で得られたR
tを使用してR
1を解き、R
2=R
1+kである。ここで、kは、常に物理的ターゲットから測定することができる。少なくともこの実施形態では、R
rの符号を決定するための余分のステップは不要である。R
tの符号は、依然として、上述の
図6に関係する実施形態など、前述の実施形態のうちの1つまたは複数によって決定する必要がある。R
rおよびR
tは、両方とも、1回の撮像によって解くことができる。
【0035】
k=R
2/R
1のみが与えられる場合、すなわち、R
1およびR
2が画像中で直接測定されない場合には、R
rは、以下のように数式12/数式13から得ることができる。
【数17】
数式(17)は、R
rについて2つの解を生じ、そのうちの1つは、無効な解であると予想される。数式(14)は常に一意的かつ有効な解を生じるので、数式(17)を数式(14)と比較することによって、この有効な解を見つけることができる。
【数18】
である場合には、数式(17)から得られるR
rの有効な解は、
【数19】
であり、
【数20】
であるときには、R
rの有効な解は、
【数21】
である。同心円パターンは、数式(18)または数式(20)のいずれかが、スペクトル線のずれの許容誤差内で常に真となり、数式(19)または数式(21)から常に1つだけ有効な解が得られるように設計することができる。例えば、R
tがR
1よりはるかに小さい(R
t<<R
1)と仮定すると、d
2-d
1≒R
2-R
1である。R
1<<R
2(例えばR
2/R
1≒3)となるように同心円を設計する。したがって、数式(19)を使用して、一意的な有効な解を決定することができる。別の手法は、人間が観察することによって、数式(19)または数式(21)のいずれかを使用者に選択させるものである。これらの実施形態の少なくとも1つの利点は、R
rの符号を決定するための余分のステップが不要になることである。
【0036】
図10から
図11に関連する、かつ/または
図12に示す1つまたは複数の実施形態では、R
rは、少なくとも1つの円形パターンを使用して測定することができる。全体の線シフトがR
0より大きくなる(すなわち、
【数22】
となる)場合を回避するために、円形パターンは、1つの円に限定する必要はない。等間隔の同心円を有するパターンも、任意選択で可能である。各円は、ソフトウェアで、かつ/あるいは本明細書の以下に記載するプロセッサのうちの1つまたは複数などのプロセッサによって区別できるように、マーク付けする(限定されるわけではないが、色分けする、破線とする、太さの異なる輪にするなど)ことが好ましい。
【0037】
図13は、径方向線パターンを使用する歪み補正/較正方法の少なくとも1つの実施形態のフローチャートを示している。図示のように、例えば
図6から
図9に示すオブジェクトなど、複数の径方向線を有する参照サンプルの画像を撮像または撮影する(例えば
図13のステップS1300参照)。スペクトル線の接線方向シフトR
tの符号は、例えば極座標の径方向パターンの歪み画像の傾きに基づいて決定または判断することができる(例えば
図13のステップS1301参照)。次いで、
図8(b)に示すデカルト座標の歪み画像に基づいて、接線方向シフトの大きさ|R
t|を計算する(例えば
図13のステップS1302参照)。あるいは、接線方向シフトの大きさ|R
t|は、数式(9)に基づいて、少なくとも3本の等角度で離間した径方向線を使用して計算することもできる(例えば
図13のステップS1302参照)。径方向シフトの符号は、極座標の参照パターンから得られる画像中に変化(移行)点があるかどうかを判断することによって決定することができる(例えば
図13のステップS1303参照)。変化点が存在する場合(
図13のステップ1303で「Yes」である場合)には、R
rは、負である。変化点を使用して、径方向シフトを計算することができる(例えば
図13のステップS1306参照)。ただし、変化点が存在しない場合(
図13のステップ1303で「No」である場合)には、R
rは、正であり、同心円パターンを撮像して(例えば
図13のステップS1304参照)、数式(10)に基づいて径方向シフトを決定することができる(例えば
図13のステップS1305参照)。径方向シフトR
rおよび接線方向シフトR
tが決定されているので、数式(2)および数式(3)に基づいて歪みを補正することができ(例えば
図13のステップS1307参照)、画像を歪みなく再構築することができる。
【0038】
図14は、径方向線パターンを使用する歪み補正/較正方法の少なくとも1つの別の実施形態のフローチャートを示している。図示のように、例えば
図6から
図9に示すオブジェクトなど、複数の径方向線を有する参照サンプルの画像を撮像または撮影する(例えば
図14のステップS1300参照)。スペクトル線の接線方向シフトR
tの符号は、極座標の径方向パターンの歪み画像の傾きに基づいて決定することができる(例えば
図14のステップS1301参照)。次いで、
図8(b)に示すデカルト座標の歪み画像に基づいて、接線方向シフトの大きさ|R
t|を計算する(例えば
図14のステップS1302参照)。あるいは、接線方向シフトの大きさ|R
t|は、数式(9)に基づいて、少なくとも3本の等角度で離間した径方向線を使用して計算することもできる。径方向シフトR
rの符号は、極座標の参照パターンから得られる画像中に変化(移行)点があるかどうかを判断することによって決定することができる(例えば
図14のステップS1403参照)。変化点が存在する場合には、R
rは、負である。そうでない場合には、R
rは、正である。次いで、同心円を有する参照サンプルの画像(例えば
図14のステップ1304参照)を撮影して、例えば数式(10)または数式(11)に基づいてR
rを計算する(例えば
図14のステップS1405参照)。径方向シフトR
rおよび接線方向シフトR
tが決定されているので、歪みを補正することができ、数式(2)および数式(3)によって画像を歪みなく再構築することができる(例えば
図14のステップ1406参照)。
【0039】
図15は、SEE画像の歪み補正の別の実施形態を示している。
図13および
図14に示す方法と同様に、複数の径方向線を有する参照サンプルの画像を撮影する(例えば
図15のステップS1300参照)。スペクトル線の接線方向シフトR
tの符号は、例えば極座標の画像の傾きに基づいて決定または判断することができる(例えば
図15のステップS1301参照)。次いで、既知の半径R
1およびR
2をそれぞれ有する少なくとも2つの同心円を有する参照サンプルの画像を撮影する(例えば
図15のステップS1502参照)。次いで、これらの同心円の既知のパラメータに基づいて、径方向シフトR
rおよび接線方向シフトR
tを計算することができる(例えば
図15のステップS1503参照)。次いで、R
rおよびR
tに基づいて、歪みを補正することができる(例えば
図15のステップS1406参照)。この方法の1つまたは複数の実施形態では、2つの同心円を有するパターンを1つだけ使用して、あるいは2つの同心円を有するパターンを少なくとも1つ使用して、(例えば数式(14)および数式(15)から)R
rおよびR
tの値を決定することができる。例えば
図6に関連して上述したようにR
rおよびR
tの符号を決定または特定する前述のステップを使用して、R
tの符号を決定することもできる。
【0040】
さらに別の実施形態では、複数の径方向線を有する参照サンプルの画像を撮影し(例えば
図16のステップS1300参照)、
図16に示す少なくとも1つのさらに別の歪み補正方法を使用して処理する。接線方向シフトR
tの符号は、例えば極座標の画像の傾きに基づいて決定する(例えば
図16のステップS1301参照)。次いで、例えば径方向線のうちの少なくとも1つの元の位置からのシフトを決定することによって、接線方向シフトR
tを計算することができる(例えば
図16のステップS1302参照)。あるいは、3本の等角度で離間した径方向線に基づいて、R
tの大きさを得ることもできる。次いで、少なくとも2つの同心円を有する参照サンプルの画像を撮影して(例えば
図16のステップS1603参照)、径方向シフトR
tを決定する(例えば
図16のステップS1604参照)。R
rおよびR
tにより、数式(2)および数式(3)を適用することによって画像を補正することができる(例えば
図16のステップS1406参照。本明細書で述べるように、画像は、1人または複数人の使用者がソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せの実施形態を使用して補正することができる)。1つまたは複数の実施形態では、例えば、R
tは、上述の数式(9)によって解く、または決定することができ、R
rは、上記の数式(21)によって解く、または決定することができる。
【0041】
図17は、歪み補正方法のさらに別の実施形態を示している。複数の径方向線を有する参照サンプルの画像を撮影する(例えば
図17のステップS1300参照)。接線方向シフトR
tの符号は、例えば極座標の画像の傾きに基づいて決定する(例えば
図17のステップS1301参照)。次いで、例えば径方向線のうちの少なくとも1つの元の位置からのシフトを決定することによって、接線方向シフトR
tを計算することができる(例えば
図17のステップS1302参照)。あるいは、3本の等角度で離間した径方向線に基づいて、R
tの大きさを得ることもできる。次いで、少なくとも2つの同心円を有する参照サンプルの画像を撮影して(例えば
図17のステップS1703参照)、径方向シフトR
tを決定する(例えば
図17のステップS1704参照)。1つまたは複数の実施形態では、例えば、上述の数式(9)によって、R
tを解く、または決定することができる。
図17では、数式(19)および数式(21)に記されるR
rの2つの可能な解を考慮する(例えば
図17のステップS1704参照)。R
rの解のうちの一方は、R
tに基づいて使用する。R
tと、選択したR
rとを使用して、数式(2)および数式(3)に基づいて歪みを補正する(例えば
図17のステップS1705参照)。ただし、歪みを正しく、または十分に補正することができない場合(
図17のステップS1706で行われる判定参照)には、1つまたは複数の実施形態では、R
rのもう1つの解を使用して、補正を実行する(例えばステップS1706の結果が「No」であるときの
図17のステップS1707参照)。1つまたは複数の実施形態では、使用者が、補正結果を見ることによって、数式(19)および数式(21)の2つの可能な解の間で有効な解を判断することができる(例えば
図17のステップS1705からS1707参照)。
【0042】
色、歪み、背景、および白バランスなど様々な較正の目的を実現するために、パターンは、単独のものであってもよいし、1つのターゲットに組み込んでもよい。
図18(a)は、色と径方向線の組合せを示している。
図18(b)は、色と、径方向線と、(1つまたは複数の)同心円の組合せを示している。
図18(c)は、
図18(b)と同様であるが、白バランスを較正するために中央白領域がある点が異なる。
図18(d)および
図18(e)は、同じ角度間隔を有する、または異なる角度間隔を有する、径方向線と同心円の組合せを示している。
図18(f)は、各セットが異なる角度間隔を有する、3組の径方向線のセットを示している。
【0043】
本開示の1つまたは複数の実施形態は、2Dセンサを有する光学システムを使用してスペクトル線シフトを測定することができる。この光学システムは、シフトを正確に測定することができるように、スペクトル線シフトを拡大することができる。1つまたは複数の実施形態では、複数のスペクトル線を取り込んで、回転中心を決定することが好ましい。1つまたは複数の実施形態では、較正は、実行することが容易であり、例えばSEEプローブの歪みが時間とともに変化する可能性があるので、顧客側でも較正を更新するために使用することができる。1つまたは複数の実施形態は、スペクトル線シフトの(1つまたは複数の)測定値の交差検証(cross verification)として使用することができる。1つまたは複数の実施形態では、(例えばソフトウェアおよび/またはハードウェアによる、あるいはソフトウェアのみによる)歪み補正のために、個々のSEEスコープごとに、測定値RtおよびRrを、バーコード、クイックレスポンス(「QR」)コード、設定ファイルなどに保存することができる。
【0044】
これらの配置、構成、デバイス、またはシステムに限定されるわけではないが、本明細書に記載する方法の1つまたは複数の実施形態は、限定されるわけではないが例えばシステム100(
図19参照)、システム100’(例えば
図20参照)などの前述のSEEプローブとともに使用することができる。1つまたは複数の実施形態では、1人の使用者が本明細書に記載する(1つまたは複数の)方法を実行することができる。1つまたは複数の実施形態では、1人または複数人の使用者が、本明細書に記載する(1つまたは複数の)方法を実行することができる。
【0045】
システム100、システム100’などのデバイスおよび/またはシステムは、広帯域光源102を含むことができる、または広帯域光源102に接続することができる(システム100’、システム100’’についての
図19および
図20で最もよく分かる)。広帯域光源102は、複数の光源を含んでいてもよいし、あるいは単一の光源であってもよい。広帯域光源102は、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、発光ダイオード(LED)、ハロゲンランプ、白熱灯、レーザによって励起されるスーパコンティニューム光源、および/または蛍光灯のうちの1つまたは複数を含む可能性がある。広帯域光源102は、その後に分散させて空間情報のスペクトル符号化に使用される光にすることができる光を提供する任意の光源とすることができる。広帯域光源102は、装置および/またはシステム100、あるいは本明細書に記載するその他の任意の実施形態(限定されるわけではないがシステム100’(
図20参照)など)のその他の構成要素に、ファイバ結合してもよいし、自由空間結合してもよい。
【0046】
図19および
図20で最もよく分かるように、システム100および/または100’(あるいは本明細書に記載するその他の任意の装置またはシステム)は、回転接合部106を含むことがある。光源102と回転接合部106の間の接続は、自由空間結合であってもよいし、ファイバ104を介したファイバ結合であってもよい。回転接合部106は、回転結合によって照明光のみを供給することもできるし、あるいは照明光、電力、および/またはセンサ信号線のうちの1つまたは複数を供給することもできる。
【0047】
回転接合部106は、光を第1の導波路108に結合する。少なくとも1つの実施形態では、第1の導波路108は、単一モードファイバ、多モードファイバ、または偏波保持ファイバである。
【0048】
第1の導波路108は、撮像機または撮像デバイス112として動作する光学装置および/またはシステムに結合される。光学装置および/またはシステム(あるいは撮像機)112は、第1の導波路108からの光を屈折させ、反射し、分散させて、サンプル、オブジェクト、または患者116(例えば患者の所定領域、ターゲット内および/またはターゲット上の所定領域、患者を通して、ターゲットを通して)上に少なくとも1本の線の照明光114を形成する1つまたは複数の光学構成要素を含むことがある(例えば、これに加えて、または別法として、1つまたは複数の実施形態では、装置またはシステム(例えばSEEシステム)の撮像デバイス112は、限定されるわけではないがスペクトルの3つの波長範囲などから複数の照明線を形成することができ(例えば限定されるわけではないが、赤(R)(例えば線114a)、緑(G)(例えば線114b)、青(B)(例えば線114c)などの色などで3本以上の照明線114a、114b、114cなどを形成することができる)、
図19で最もよく分かるように、この3本の照明線をオブジェクト、サンプル、または患者116上の同じ位置、または実質的に同じ位置に重ねることができる)。1実施形態では、照明光の線114は、照明光が光学装置および/またはシステム(あるいは撮像機または撮像デバイス)112を出るときの、ある波長範囲で焦点を結んだ線であり、この波長範囲は、光源102によって決まる。別の実施形態では、分光計120が、指定された関心波長からの情報のみを使用して、この波長範囲をさらに限定することができる。別の実施形態では、照明光の線114は、分光計120によって検出される波長の範囲で、照明光がサンプル、オブジェクト、または患者116の表面と交差するときに照明光によって形成される線である。別の実施形態では、照明光の線114は、検出光学素子によって決まる特定の像平面上に形成されるある波長範囲の照明光の線である。1つまたは複数の実施形態では、画像線上の点のうちの一部のみが合焦し、画像線上の他の点は合焦していないこともある。照明光の線114は、直線的であっても湾曲していてもよい。
【0049】
代替の実施形態では、光学装置および/またはシステム(あるいは撮像機または撮像デバイス)112は、導波路108からの光を部分的に視準して、この光がサンプル、オブジェクト、または患者116上に合焦するようにすることができるが、この光は、回折格子などの分散性光学素子で実質的に視準される。
【0050】
装置(システム100、100’など)は、検出導波路118を含むことがある。検出導波路118は、多モードファイバ、複数の多モードファイバ、ファイバ束、ファイバテーパ(fiber taper)、またはその他の何らかの導波路とすることができる。1つまたは複数の実施形態では、検出導波路118は、複数の検出ファイバ(例えば45本のファイバ、60本のファイバ、45本から60本のファイバ、45本未満のファイバ、60本超のファイバなど)を含むことが好ましい。検出導波路118の複数の検出ファイバは、撮像デバイス112の外周部の周り(例えば外周部の内側、外周部の境界の周りなど)に離間して位置付けることができる。検出導波路118は、光学装置および/またはシステム(あるいは撮像機または撮像デバイス)112からの光で照明されているサンプル、オブジェクト、および/または患者116からの光を集光する。検出導波路118によって集光された光は、反射光、散乱光、および/または蛍光である可能性がある。1実施形態では、検出導波路118は、光学装置および/またはシステム112の分散性要素の前または後に配置することができる。1実施形態では、検出導波路118は、光学装置および/またはシステム112の分散性要素によって覆うこともでき、この場合には、分散性要素が波長角度フィルタ(wavelength-angular filter)として働くことができる。別の実施形態では、検出導波路118は、光学装置および/またはシステム、撮像機あるいは撮像デバイス112の分散性要素で覆われていない。検出導波路118は、サンプル、オブジェクト、および/または患者116からの検出光を分光計120に案内する。
【0051】
分光計120は、光を分散させ、検出導波路118からの検出光を1つまたは複数の検出器に案内する、1つまたは複数の光学構成要素を含むことがある。この1つまたは複数の検出器は、直線状アレイ、電荷結合素子(CCD)、複数のフォトダイオード、または光を電気信号に変換するその他の何らかの方法をとることができる。分光計120は、プリズム、回折格子、またはグリズムなど、1つまたは複数の分散性構成要素を含むことがある。分光計120は、分光計120がサンプル、オブジェクト、および/または患者116からの検出光の強度および波長を測定することを可能にする光学素子および光電子構成要素を含むことがある。分光計120は、アナログデジタル変換器(ADC)を含むことがある。
【0052】
分光計120は、デジタルまたはアナログの信号を、限定されるわけではないが、画像プロセッサ、プロセッサまたはコンピュータ1300、1300’(例えば
図19および
図20ならびに
図22および
図23参照)、およびそれらの組合せなどのプロセッサまたはコンピュータに伝送することができる。画像プロセッサは、専用画像プロセッサであっても、画像を処理するように構成された汎用プロセッサであってもよい。少なくとも1つの実施形態では、コンピュータ1300、1300’は、画像プロセッサの代わりに、またはこれに加えて、使用することができる。代替の実施形態では、画像プロセッサは、ADCを含み、分光計120からアナログ信号を受信することがある。画像プロセッサは、CPU、DSP、FPGA、ASIC、またはその他の何らかの処理回路のうちの1つまたは複数を含むことがある。画像プロセッサは、画像、データ、および命令を記憶するメモリを含むことがある。画像プロセッサは、分光計120から提供される情報に基づいて、1つまたは複数の画像を生成することができる。これらに限定されるわけではないがコンピュータ1300、コンピュータ1300’、画像プロセッサなどの本明細書に記載するコンピュータまたはプロセッサは、本明細書の以下でさらに説明する1つまたは複数の構成要素(例えば
図22および
図23参照)を含むこともある。
【0053】
装置および/またはシステム(システム100,100’など)の1つまたは複数の構成要素は、回転接合部106を介して回転させたり、あるいは振動させたりして、照明光の線114を走査して照明光の2Dアレイを生成することができる。2D画像は、光学装置および/またはシステム、撮像機あるいは撮像デバイス112からのスペクトル符号化線を、サンプル、オブジェクト、および/または患者116を横切るように走査することによって形成することができる。装置および/またはシステム(システム100,100’など)は、検出ファイバ118からの光を分光計120に結合する追加の回転接合部を含むこともある。あるいは、分光計120または分光計120の一部分が、ファイバ118とともに回転することもある。代替の実施形態では、回転接合部106がなく、光源がファイバ108とともに回転する。代替の実施形態では、光学システムまたは撮像機112内の分散性要素の後に、照明光のスペクトル符号化線を、サンプル、オブジェクト、および/または患者116を横切るように、照明光のスペクトル符号化線114に対して実質的に直交する方向に直線的に回転させる、または走査して2D画像を生成する、あるいは円周方向に円状に回転させる、または走査して環状画像を生成する、光学構成要素(ミラー)を含むこともある。実質的には、本開示の1つまたは複数の実施形態の状況では、装置および/またはシステム(システム100,100’など)ならびに/あるいは本明細書で述べている任意のその他のシステムの位置合わせおよび/または検出の許容誤差内を意味する。代替の実施形態では、回転接合部106がなく、光学装置および/またはシステムあるいは撮像機112の照明端部は、照明線に対して直交する方向に走査する、または振動させる。
【0054】
1つまたは複数の代替の実施形態では、分散性要素107(すなわち回折格子)を、
図19および
図20にそれぞれ示すように、光学装置および/またはシステム112で使用することができる。1つまたは複数の実施形態(
図19および
図20で最もよく分かる)では、照明光ファイバまたは第1の導波路108の端部のコアから発出された光は、屈折率分布レンズ(本明細書の以下では「屈折率分布型(GRIN)レンズ」と呼ぶ)109を介してスペーサ111に入射することができる。回折格子107は、
図19および
図20に示すようにスペーサ111の先端部に形成され、回折格子107に入射する白色光の光束によって、スペクトルシーケンス114が被験者、オブジェクト、またはサンプル116上に形成される。
図20は、
図19に示す分光計(例えばシステム100参照)を含む装置および/またはシステム100’の代替の実施形態を示すが、
図20のシステム100’には偏光または被偏光部分117が組み込まれており、光源102を回転接合部106ならびに/または光学装置および/もしくはシステム112に接続するケーブルもしくはファイバ104および/またはケーブルもしくはファイバ108と、分光計120を回転接合部106ならびに/あるいは光学装置および/もしくはシステムまたは撮像機112に接続するケーブルもしくはファイバ118とが、被偏光部分117を通過し、被偏光部分117を介して接続されるようになっている点が異なる(以下でさらに詳細に述べる)。
【0055】
少なくとも1つの実施形態では、コンソールまたはコンピュータ1300、1300’は、動作制御装置(MCU)140を介してRJ106の動作を制御するように動作し、分光計120の(1つまたは複数の)検出器から強度データを取得し、(例えば
図19から
図20および
図22のいずれかのコンソールまたはコンピュータ1300ならびに/あるいは以下でさらに詳細に説明する
図23のコンソール1300’に示すようにディスプレイ、スクリーン、またはモニタ1309などのモニタまたはスクリーン上に)走査画像を表示する。1つまたは複数の実施形態では、MCU140は、RJ106のモータおよび/またはRJ106の速度を変化させるように動作する。モータは、速度を制御し、位置精度を高める、ステッピングモータまたはDCサーボモータとすることができる。1つまたは複数の実施形態では、偏光または被偏光部分117は、光源から干渉光学システムへの光を偏光させ、その後に干渉光学システムから受光した光を少なくとも1つの検出器に向けて送るように動作する構成要素、ならびに1つまたは複数の干渉計、サーキュレータ、ビームスプリッタ、アイソレータ、カプラ、融着ファイバカプラ、穴を有する部分切断ミラー(partially severed mirror)、およびタップを有する部分切断ミラーのうちの少なくとも1つを含む偏光または被偏光部分のうちの少なくとも1つとすることができる。1つまたは複数の他の実施形態では、回転接合部106は、接触型回転接合部、レンズレス回転接合部、レンズ式回転接合部、または当業者には既知のその他の回転接合部のうちの少なくとも1つとすることができる。回転接合部は、1チャネル回転接合部であってもよいし、2チャネル回転接合部であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、SEEプローブの照明部分は、SEEプローブの検出部分から分離していることもある。例えば、1つまたは複数の適用分野では、「プローブ」が、照明ファイバ108(例えば単一モードファイバ、GRINレンズ、スペーサ、およびスペーサの研磨表面上の回折格子など)を含む照明アセンブリを指すこともある。1つまたは複数の実施形態では、「スコープ」が、例えば駆動ケーブル、外装、および外装の周りの検出ファイバ(例えば多モードファイバ(MMF))によって封入されて保護されていることもある照明部分を指すこともある。1つまたは複数の適用分野では、回折格子の範囲は、検出ファイバ(例えばMMF)上で任意選択である。照明部分は、回転継手に接続することができ、ビデオレートで連続的に回転することができる。1つまたは複数の実施形態では、検出部分は、検出ファイバ118、分光計120、コンピュータ1300、コンピュータ1300’などのうちの1つまたは複数を含むことができる。(1つまたは複数の)検出ファイバ118などの検出ファイバは、IF108などの照明ファイバを取り囲むこともあり、これらの検出ファイバは、回折格子107などの回折格子によって覆われていることも、覆われていないこともある。
【0056】
1実施形態では、第1の導波路108は、単一モードファイバであることがある。代替の実施形態では、第1の導波路108は、多モードファイバ、またはダブルクラッドファイバであることがある。1実施形態では、第2の導波路118は、多モードファイバ、単一モードファイバ、またはファイバ束であることがある。
【0057】
代替の実施形態では、第1の導波路108が、ダブルクラッドファイバの内側コアであり、第2の導波路118が、ダブルクラッドファイバの内側コアと外側クラッディングの間にあることがある。ダブルクラッドファイバを使用する場合には、代替の実施形態は、照明光を内側コアに案内する光カプラを含むことがあり、この光カプラは、外側の導波路からの検出光を受光することもでき、その後、この光を分光計120に案内する。
【0058】
本開示の1つまたは複数の態様によれば、本明細書では、撮像を実行する1つまたは複数の方法が提供される。
図21は、撮像を実行する方法の少なくとも1つの実施形態のフローチャートを示している。好ましくは、この(1つまたは複数の)方法は、(i)スペクトル帯域がサンプルまたはターゲット上で重なり合う、または実質的に重なり合うように、画像を取得するために使用する波長範囲のスペクトルを規定するステップ(
図21のステップS4000参照)、(ii)ターゲット領域から反射された光を検出するステップ(
図21のステップS4001参照)、(iii)検出した光を異なる波長を有する2つ以上の光束に分離するステップ(
図21のステップS4002参照)、ならびに(iv)検出した光から分離された光束を撮像して、白黒および/またはカラーの画像を取得または生成するステップ(
図21のステップS4003参照)のうちの1つまたは複数を含む可能性がある。1つまたは複数の方法は、z(probe grating)を使用して、ターゲット領域上で重なり合う、または実質的に重なり合うスペクトル帯域を生成するステップ、および波長範囲内で回折効率が高くなるようにプローブ格子を最適化するステップのうちの少なくとも1つをさらに含むことがある。1つまたは複数の実施形態では、SEEプローブは、接続部材またはインタフェースモジュールによって1つまたは複数のシステム(例えばシステム100、システム100’など)に接続することができる。例えば、接続部材またはインタフェースモジュールがSEEプローブの回転接合部であるときには、この回転接合部は、接触型回転接合部、レンズレス回転接合部、レンズ式回転接合部、または当業者には既知のその他の回転接合部のうちの少なくとも1つとすることができる。回転接合部は、1チャネル回転接合部であってもよいし、2チャネル回転接合部であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、SEEプローブの照明部分は、SEEプローブの検出部分から分離していることもある。例えば、1つまたは複数の適用分野では、「プローブ」が、照明ファイバ108(例えば単一モードファイバ、GRINレンズ、スペーサ、およびスペーサの研磨表面上の回折格子など)を含む照明アセンブリを指すこともある。1つまたは複数の実施形態では、「スコープ」が、例えば駆動ケーブル、外装、および外装の周りの検出ファイバ(例えば多モードファイバ(MMF))によって封入されて保護されていることもある照明部分を指すこともある。1つまたは複数の適用分野では、回折格子の範囲は、検出ファイバ(例えばMMF)上で任意選択である。照明部分は、回転継手に接続することができ、ビデオレートで連続的に回転することができる。1つまたは複数の実施形態では、検出部分は、検出ファイバ118、分光計120、コンピュータ1300、コンピュータ1300’などのうちの1つまたは複数を含むことができる。(1つまたは複数の)検出ファイバ118などの検出ファイバは、IF108などの照明ファイバを取り囲むこともあり、これらの検出ファイバは、回折格子107などの回折格子によって覆われていることも、覆われていないこともある。
【0059】
本明細書で特に説明していない限り、同じ参照番号は同じ要素を指している。例えば、限定されるわけではないがシステム100、システム100’などのシステム間には、変化または相違が存在するが、限定されるわけではないが光源102またはその他の(1つまたは複数の)構成要素(例えばコンソール1300、コンソール1300’、RJ106など)など、それらのシステムの1つまたは複数の特徴は、互いに同じか、または同様であることがある。当業者なら、システム100の光源102、RJ106、MCU140、分光計120(その1つまたは複数の構成要素)、および/あるいは1つまたは複数のその他の要素が、限定されるわけではないがシステム100’など、本明細書に記載する1つまたは複数のその他のシステムの同じ番号の要素と同じ、または同様の動作をすることができることを理解するであろう。当業者なら、システム100、システム100’などの代替の実施形態、および/またはこれらのシステムのうちの1つの、本明細書に記載するように他の変化を有しているが1つまたは複数の同じ番号の要素が、本明細書に記載するその他のシステム(またはその構成要素)のうちのいずれかの同じ番号の要素と同じ、または同様の動作をすることができることを理解するであろう。実際に、本明細書に記載するシステム100、システム100’、およびその他の(1つまたは複数の)システムの間には、特定の相違点が存在するが、類似点もある。同様に、コンソールまたはコンピュータ1300が1つまたは複数のシステム(例えばシステム100、システム100’など)で使用されることがあるが、これに加えて、または別法として、コンソールまたはコンピュータ1300’など、1つまたは複数のその他のコンソールまたはコンピュータを使用することもできる。
【0060】
白色光源から発出された光は、照明光伝送ファイバによって伝送することができ、RJ106を介してプローブ部分に入射することができる。これに加えて、または別法として、白色光源から発出された光は、照明光伝送ファイバによって伝送して、偏光または被偏光部分117およびRJ106を介してプローブ部分(例えば光学装置および/またはシステムあるいは撮像機112)に入射することもできる。スペクトルシーケンスからの反射光(例えば被験者またはサンプル上に形成され、これによって反射されるスペクトルシーケンスからの光、被験者またはサンプルによって反射された光など)を、ケーブルまたはファイバ118などの検出ファイバまたはケーブルによって取り込む。1つまたは複数の実施形態では1本の検出ファイバを使用することがあるが、これに加えて、または別法として、複数の検出ファイバを使用することもできる。1つまたは複数の実施形態では、検出ファイバは、プローブ部分の端部まで、かつ/またはその付近に延びることがある。例えば、検出ファイバ118は、RJ106から、またはRJ106を通って延び、プローブ部分(例えば光学装置および/またはシステム112)の端部を通って、この端部まで、かつ/またはこの端部付近に延びる(例えばプローブ部分の端部に隣接して、プローブ部分の端部の周りに、サンプルに最も近いプローブ部分の端部の付近に、など)、検出ファイバ部分(例えばプローブ部分の中に延びるファイバ)を有することがある。検出ファイバ118によって取り込まれた光は、複数のスペクトル成分に分離され、限定されるわけではないが分光計120(および/または本明細書に記載するその1つもしくは複数の構成要素)など、検出ファイバ118の出射側に設けられた少なくとも1つの検出器によって検出される。1つまたは複数の実施形態では、反射光を取り込む検出ファイバ118の端部は、回折格子107、スペーサ111の端部、プローブ部分または撮像機112の端部などのうちの少なくとも1つに配置する、またはその付近に位置付けることができる。これに加えて、または別法として、反射光は、プローブ部分、GRINレンズ、回転接合部などのうちの少なくとも1つを通過することができ、この反射光は、偏光または被偏光部分117(上記および以下で説明する)を介して分光計120まで通すことができる。RJ106からプローブ部分112まで延びる部分が、プローブ部分112の長手方向に延びる回転軸の周りで回転するにつれて、スペクトルシーケンスが、スペクトルシーケンスに対して直交する方向に移動し、2次元方向の反射率情報を得ることができる。これらの情報(例えば2次元方向の反射率情報)を配列することによって、2次元画像を得ることができる。
【0061】
好ましくは、偏光または被偏光部分117を含む1つまたは複数の実施形態では、被偏光部分117は、光源102からプローブ部分(例えば要素または撮像機112)への光を偏光させ、その後、プローブ部分から受光した光を少なくとも1つの検出器(例えば分光計120、分光計120の1つまたは複数の構成要素など)に向けて送るように動作する。1つまたは複数の実施形態では、被偏光部分117は、限定されるわけではないがサーキュレータ、ビームスプリッタ、アイソレータ、カプラ(例えば融着ファイバカプラ)、穴を有する部分切断ミラー、およびタップを有する部分切断ミラーなど、本明細書に記載するように動作する1つまたは複数の干渉計あるいは光学干渉システムを含む、または備えることがある。1つまたは複数の実施形態では、干渉計または光学干渉システムは、限定されるわけではないが光源102、被偏光部分117、回転接合部106、ならびに/あるいはプローブ部分(例えば要素112)(および/またはその1つまたは複数の構成要素)など、このシステムの1つまたは複数の構成要素を含むことがある。
【0062】
白黒および/またはカラーの画像の強度、粘度、解像度(1つまたは複数の画像の解像度を高めることを含む)、生成、あるいは本明細書に記載するその他の任意のデジタルまたはアナログの測定値を計算する方法は、多数ある。少なくとも1つの実施形態では、コンソールまたはコンピュータ1300、1300’などのコンピュータは、本明細書に記載するSEEデバイス、システム、方法、および/または記憶媒体の制御および監視を行う専用にすることもできる。
【0063】
撮像、および/または本明細書に記載する方法のうちの1つもしくは複数の実行のために使用される電気信号は、限定されるわけではないが(1つもしくは複数の)ケーブルまたは(1つもしくは複数の)ワイヤ113(
図19から
図20および
図22参照)などの(1つもしくは複数の)ケーブルまたは(1つもしくは複数の)ワイヤを介して、限定されるわけではないがコンピュータ1300(例えば
図19から
図20および
図22参照)、本明細書の以下に記載するコンピュータ1300’(例えば
図23参照)などの1つまたは複数のプロセッサに送信することができる。
【0064】
コンピュータシステム1300(例えば
図19から
図20に示すコンソールまたはコンピュータ1300参照)の様々な構成要素を、
図22に示す。コンピュータシステム1300は、中央処理装置(「CPU」)1301、ROM1302、RAM1303、通信インタフェース1305、ハードディスク(および/またはその他の記憶デバイス)1304、スクリーン(またはモニタインタフェース)1309、キーボード(または入力インタフェース。キーボードに加えてマウスまたはその他の入力デバイスを含むこともある)1310、ならびにこれらの構成要素(例えば、限定されるわけではないが、コンソール、プローブ、本明細書に記載する任意のモータ、光源などに接続されている場合も含む)のうちの1つまたは複数の間のバスまたはその他の接続線路(例えば接続線路1313)を含むことがある。さらに、コンピュータシステム1300は、上記の構成要素のうちの1つまたは複数を備えることもある。例えば、コンピュータシステム1300は、CPU1301、RAM1303、入出力(I/O)インタフェース(通信インタフェース1305など)、およびバス(コンピュータシステム1300の構成要素間の通信システムとして1本または複数本の線路1313を含むことがある。1つまたは複数の実施形態では、コンピュータシステム1300と少なくともCPU1301とが、限定されるわけではないがモータ、回転接合部などを使用するシステムなどのデバイスまたはシステムの1つまたは複数の上述の構成要素と通信することがある)を含むことがあり、1つまたは複数のその他のコンピュータシステム1300は、その他の上述の構成要素の1通りまたは複数通りの組合せを含むことがある(例えば、コンピュータ1300の1本または複数本の線路1313は、線路113を介して他の構成要素に接続することもある)。CPU1301は、記憶媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令を読み取って実行するように構成されている。コンピュータ実行可能命令は、本明細書に記載する方法および/または計算を実行するための命令を含むことがある。システム1300は、CPU1301に加えて1つまたは複数の追加のプロセッサを含むこともあり、CPU1301を含めて、これらのプロセッサは、組織またはサンプルの特性決定、診断、評価、処置、および/または撮像(ならびに/あるいは本明細書に記載するその他のプロセス)に使用することができる。システム1300は、ネットワーク接続を介して(例えばネットワーク1306を介して)接続された1つまたは複数のプロセッサをさらに含むこともある。CPU1301およびシステム1300で使用されている任意の追加のプロセッサは、同じ電気通信ネットワーク内に位置していてもよいし、異なる電気通信ネットワークに位置していてもよい(例えば本明細書に記載する(1つまたは複数の)技術の実行を遠隔に制御することもできる)。
【0065】
I/Oまたは通信インタフェース1305は、光源、分光計、SEEプローブ、装置および/またはシステム(例えばシステム100、システム100’など)を含むことがある入力および出力デバイスへの通信インタフェースを提供し、コンピュータ1300の通信インタフェースは、線路113(
図22に概略的に示す)を介して本明細書に記載するその他の構成要素に接続することもでき、また、マイクロフォン、通信ケーブルおよびネットワーク(有線または無線)、キーボード1310、マウス(例えば
図23に示すマウス1311参照)、タッチスクリーンまたはスクリーン1309、およびライトペンなどに接続することもできる。モニタインタフェースまたはスクリーン1309は、それに対する通信インタフェースを提供する。
【0066】
組織またはサンプルの特性決定、診断、検査、処置、および/または撮像(限定されるわけではないが画像解像度を高めること、歪みの測定および補正など)、ならびに/あるいは本明細書に記載するその他の任意のプロセスを実行する方法など、本開示の任意の方法および/またはデータは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶することができる。限定されるわけではないが、ハードディスク(例えばハードディスク1304、磁気ディスクなど)、フラッシュメモリ、CD、光ディスク(例えばコンパクトディスク(「CD」)、デジタル汎用ディスク(「DVD」)、Blu-ray(登録商標)ディスクなど)、光磁気ディスク、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(RAM1303など)、DRAM、読取り専用メモリ(「ROM」)、分散型コンピューティングシステムの記憶装置、またはメモリカードなど(例えば、限定されるわけではないが不揮発性メモリカード、ソリッドステートドライブ(SSD)(
図23のSSD1307参照)、SRAMなどのその他の半導体メモリなど)、それらの任意の組合せ、サーバ/データベースなど、一般に使用されるコンピュータ可読および/または書込み可能記憶媒体を使用して、前述のコンピュータシステム1300のプロセッサまたはCPU1301などのプロセッサに、本明細書に開示する方法のステップを実行させることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的コンピュータ可読媒体とすることができ、かつ/またはコンピュータ可読媒体は、全てのコンピュータ可読媒体を含む可能性があるが、1つまたは複数の実施形態では、過渡的な伝搬信号だけは例外である。コンピュータ可読記憶媒体は、限定されるわけではないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタメモリ、(1つまたは複数の)プロセッサキャッシュなど、所定の、限られた、または短い期間にわたって、かつ/または電力があるときにのみ、情報を記憶する媒体を含む可能性がある。本開示の(1つまたは複数の)実施形態は、記憶媒体(より完全に「非一時的コンピュータ可読記憶媒体」と呼ぶこともある)に記録されたコンピュータ実行可能命令(例えば1つまたは複数のプログラム)を読み出して実行して、上述の(1つまたは複数の)実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行するシステムまたは装置のコンピュータ、および/あるいは上述の(1つまたは複数の)実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行する1つまたは複数の回路(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))を含むシステムまたは装置のコンピュータ、ならびに例えば記憶媒体からコンピュータ実行可能命令を読み出して実行して上述の(1つまたは複数の)実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行すること、および/あるいは上述の(1つまたは複数の)実施形態のうちの1つまたは複数の機能を実行する1つまたは複数の回路を制御することによってシステムまたは装置のコンピュータによって実行される方法によって、実現することもできる。
【0067】
本開示の少なくとも1つの態様によれば、限定されるわけではないが前述のコンピュータ1300のプロセッサなど、上述のプロセッサに関連する方法、システム、およびコンピュータ可読記憶媒体は、図面に示すものなど、適当なハードウェアを利用して実現することができる。本開示の1つまたは複数の態様の機能は、
図22に示すものなど、適当なハードウェアを利用して実現することができる。このようなハードウェアは、標準的なデジタル回路、ソフトウェアおよび/またはファームウェアプログラムを実行するように動作可能な既知のプロセッサのいずれか、ならびにプログラマブル読取り専用メモリ(PROM)、プログラマブルアレイロジックデバイス(PAL)などの1つまたは複数のプログラマブルデジタルデバイスまたはシステムなど、既知の技術のいずれかを利用して実装することができる。CPU1301(
図22に示す)は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、ナノプロセッサ、1つまたは複数のグラフィックス処理ユニット(「GPU」、ビジュアル処理ユニット(「VPU」)とも呼ばれる)、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、またはその他のタイプの処理構成要素(例えば(1つまたは複数の)特定用途向け集積回路(ASIC)など)を含むこともあり、かつ/またはこれらで構成されることもある。さらに、本開示の様々な態様は、運搬および/または配布のために、適当な記憶媒体(例えばコンピュータ可読記憶媒体、ハードドライブなど)または媒体((1つまたは複数の)フロッピーディスク、(1つまたは複数の)メモリチップなど)に記憶することができる(1つまたは複数の)ソフトウェアおよび/またはファームウェアプログラムによって実施することができる。コンピュータは、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行する分離したコンピュータまたは分離したプロセッサのネットワークを含むことがある。コンピュータ実行可能命令は、例えばネットワークまたは記憶媒体からコンピュータに供給することができる。
【0068】
前述のように、コンピュータまたはコンソール1300’の代替の実施形態のハードウェア構造を、
図23に示す。コンピュータ1300’は、中央処理装置(CPU)1301、グラフィックス処理ユニット(GPU)1315、ランダムアクセスメモリ(RAM)1303、ネットワークインタフェースデバイス1312、ユニバーサルシリアルバス(USB)などの操作インタフェース1314、およびハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ(SSD)1307などのメモリを含む。好ましくは、コンピュータまたはコンソール1300’は、ディスプレイ1309を含む。コンピュータ1300’は、操作インタフェース1314またはネットワークインタフェース1312を介して(例えば同様に
図22に示すケーブルまたはファイバ113などのケーブルまたはファイバを介して)モータ、コンソール、および/あるいは本明細書に記載する(1つまたは複数の)デバイスまたは(1つまたは複数の)システムのその他の任意の構成要素に接続することができる。コンピュータ1300’などのコンピュータは、1つまたは複数の実施形態では、モータまたは動作制御装置(MCU)を含むことがある。操作インタフェース1314は、マウスデバイス1311、キーボード1310、またはタッチパネルデバイスなどの操作ユニットに接続される。コンピュータ1300’は、各構成要素を2つ以上含むこともある。
【0069】
少なくとも1つのコンピュータプログラムが、SSD1307に記憶され、CPU1301は、この少なくとも1つのプログラムをRAM1303にロードし、この少なくとも1つのプログラム中の命令を実行して、本明細書に記載する1つまたは複数のプロセス、ならびに基本的な入力プロセス、出力プロセス、計算プロセス、メモリ書込みプロセス、およびメモリ読取りプロセスを実行する。
【0070】
コンピュータ1300、1300’などのコンピュータは、MCU、回転接合部、針などと通信して、撮像、診断、処置、および/または本明細書に記載するその他の任意のプロセスを実行することができ、取得した強度データから画像を再構築する(また、前述の歪みの測定および補正を実行することもできる)。モニタまたはディスプレイ1309は、再構築した画像を表示するが、撮像条件についての、または撮像対象についてのその他の情報を表示することもできる。モニタ1309は、使用者が本明細書に記載する任意のシステムを操作するためのグラフィカルユーザインタフェースも提供する。操作信号は、操作ユニット(例えば、限定されるわけではないが、マウスデバイス1311、キーボード1310、タッチパネルデバイスなど)から、コンピュータ1300’の操作インタフェース1314に入力され、この操作信号に従って、コンピュータ1300’は、本明細書に記載する任意のシステムに、撮像条件を設定または変更し(例えば1つまたは複数の画像の解像度を向上させる)、撮像を開始または終了するように命令する。光源またはレーザ源、ならびに分光計および/または検出器は、コンピュータ1300、1300’と通信して状態情報および制御信号を送信および受信するためのインタフェースを有することがある。1つまたは複数の実施形態は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを介して利用することができる。
【0071】
コンピュータは、1つまたは複数のプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッシングユニット(MPU))を備えることがあり、コンピュータ実行可能命令を読み出して実行する分離したコンピュータまたは分離したプロセッサのネットワークを含むことがある。コンピュータ実行可能命令は、例えばネットワークまたは記憶媒体からコンピュータに供給することができる。記憶媒体は、例えば、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、分散型コンピューティングシステムの記憶装置、光ディスク(コンパクトディスク(CD)、デジタル汎用ディスク(DVD)、Blu-rayディスク(BD)(登録商標)など)、フラッシュメモリデバイス、メモリカード、本明細書に記載するその他の記憶媒体のうちのいずれかなどのうちの1つまたは複数を含む可能性がある。
【0072】
本開示、そのデバイス、システム、および記憶媒体の1つまたは複数の構成要素、ならびに/あるいはその方法は、これらに限定されるわけではないが、米国特許第6,341,036号、7,447,408号、第7,551,293号、第7,796,270号、第7,859,679号、第8,045,177号、第8,145,018号、第8,838,213号、第9,254,089号、第9,295,391号、第9415550号、および第9,557,154号などに記載されるようなSEEプローブ技術を含む任意の適当な光学アセンブリ、ならびにTearney他の米国特許第7,889,348号に開示されるものなどの光ルミネセンス撮像を容易にする構成および方法とともに使用することもできる。その他の例示的なSEEシステムは、例えば、米国特許公開第2016/0341951号、第2016/0349417号、第2017/0035281号、第2017/167861号、第2017/0168232号、第2017/0176736号、第2017/0290492号、第2017/0322079号、第2012/0101374号、および第2018/0017778号、ならびにWO2015/116951、WO2015/116939、WO2017/117203、WO2017/024145、WO2017/165511、およびWO2017/139657に記載されている。これらの特許、特許公開、および特許出願のそれぞれは、その全体を参照により本明細書に組み込む。前述のように、別法として、またはこれらに加えて、その他の撮像技術を、本明細書に記載する装置、システム、方法、および記憶媒体とともに使用することもできる。
【0073】
特定の実施形態を参照して本明細書の開示について説明したが、これらの実施形態は、単に本開示の原理および適用例を例示するものに過ぎないこと(またそれらに限定されないこと)を理解されたい。したがって、本開示の趣旨および範囲を逸脱することなく、これらの例示的な実施形態に多数の修正を加えることができ、他の構成を考案することができることを理解されたい。後記の特許請求の範囲は、このような修正ならびに等価な構造および機能を全て包含するように、最も広範に解釈されるものとする。