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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/696 20110101AFI20220705BHJP
【FI】
H01R13/696
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018176945
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020047539
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122770
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】犬童 翔太
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-169220(JP,A)
【文献】特開2012-155943(JP,A)
【文献】特開平07-067245(JP,A)
【文献】特開平08-250224(JP,A)
【文献】特開2012-216394(JP,A)
【文献】実開昭59-066874(JP,U)
【文献】米国特許第4531806(US,A)
【文献】中国実用新案第206060466(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し、電気コネクタが嵌合されたか否かを検知するために用いられるインターロック端子と、
前記インターロック端子が接続されていないときに通電が禁止される電線に接続されるコネクタ端子と、
前記インターロック端子よりも融点が高く、かつ、絶縁性を有する素材から形成され、
前記コネクタ端子及び前記インターロック端子を保持するとともに、前記コネクタ端子と前記インターロック端子との間で熱を伝達するコネクタハウジングと、を備え、
前記インターロック端子は、前記コネクタ端子に過電流が流れたときに生じ、前記コネクタハウジングを介して伝達される熱によって上昇する温度が、所定の要件に応じて設定される所定温度以上となった場合に溶断することを特徴とする電気コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタ端子の電気抵抗は、前記コネクタ端子に過電流が流れたときに生じさせる発熱量に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記インターロック端子の融点は、前記コネクタ端子に過電流が流れたときに生じる発熱量に基づいて設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記インターロック端子は、コ字形に形成され、かつ、両端部及び中央部それぞれの融点が異なるように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記コネクタ端子と前記インターロック端子とは、前記コネクタハウジングを挟んで近接して配置されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記コネクタ端子と前記インターロック端子とは、前記コネクタハウジングによって仕切られていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
前記コネクタ端子と前記インターロック端子との間に配設され、前記コネクタハウジングよりも熱伝導率が高い熱伝導部材をさらに備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクタに関し、特に、ヒューズ機能を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車においては、制御ユニットと電線(ケーブル)、又は、電線と電線を着脱可能に接続するため、電気コネクタ(以下、単に「コネクタ」ともいう)が広く一般的に用いられている。ところで、近年、エンジンと電動モータとを併用することで車両の燃料消費率(燃費)を効果的に向上させることができるハイブリッド自動車(HEV)や、電動モータのみを動力源とし、排気ガスを排出しない電気自動車(EV)が広く実用化されている。ハイブリッド車や電気自動車では、電線に比較的大電流(大電力)が流れるため、安全性の確保や、部品へのダメージを防止するために、ヒューズ付コネクタが用いられることがある。ここで、特許文献1には、直列(インライン)ヒューズ付きコネクタが開示されている。
【0003】
より具体的には、特許文献1に記載のヒューズ付きコネクタは、外部ハウジングと、外部ハウジング内に配置されるヒューズサブ組立体とを備えている。このヒューズサブ組立体は、電力分配モジュールの第一導電体と係合するように構成される嵌合端子と、電子デバイスと電気接続されるように構成されるヒューズ導電体と連結される内部端子とを有している。また、上記嵌合端子および内部端子は、嵌合端子と内部端子とを電気接続するヒューズを受容するように形成されている。そして、ヒューズサブ組立体がヒューズを受容し、ヒューズサブ組立体の嵌合端子がハウジングの前端内の開口を通じて電力分配モジュールの第一導電体と嵌合すると、電力分配モジュールによって供給される電流がヒューズサブ組立体を通じて流される。なお、ヒューズは、前端を通じてヒューズサブ組立体から取り外し可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2013-545241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば、ハイブリッド車(HEV)や電気自動車(EV)などにおいて、上述した直列ヒューズ付きコネクタを用いる場合、車両(パワーユニット)の大電力化(大電流化)が進むと、ヒューズが大型化し、それに伴ってコネクタも大型化するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、専用のヒューズを用いることなく、ヒューズ機能を発揮でき、かつ、サイズを小型化することが可能な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電気コネクタは、導電性を有し、電気コネクタが嵌合されたか否かを検知するために用いられるインターロック端子と、インターロック端子が接続されていないときに通電が禁止される電線に接続されるコネクタ端子と、インターロック端子よりも融点が高く、かつ、絶縁性を有する素材から形成され、コネクタ端子及びインターロック端子を保持するとともに、コネクタ端子とインターロック端子との間で熱を伝達するコネクタハウジングとを備え、コネクタ端子に過電流が流れたときに生じ、コネクタハウジングを介して伝達される熱によって上昇する温度が、所定の要件に応じて設定される所定温度以上となった場合にインターロック端子が溶断することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る電気コネクタによれば、コネクタ端子に過電流が流れたときに生じ、コネクタハウジングを介して伝達される熱によって上昇する温度が、所定の要件に応じて設定される所定温度以上となった場合にインターロック端子が溶断する。すなわち、コネクタ端子に過電流が流れると、コネクタ端子が発熱し、その熱がインターロック端子に伝えられ、インターロック端子の温度が融点以上に上昇し、インターロック端子が溶断する。そして、インターロック端子の溶断により、電気コネクタを介した通電が停止、すなわち、過電流(許容値を超える電流)が遮断される。よって、専用のヒューズを用いることなく、過電流を防止することができるため、コネクタサイズの小型化を図ることができる。その結果、専用のヒューズを用いることなく、ヒューズ機能を発揮でき、かつ、サイズを小型化することが可能となる。
【0009】
本発明に係る電気コネクタでは、コネクタ端子の電気抵抗が、コネクタ端子に過電流が流れたときに生じさせる発熱量に基づいて設定されることが好ましい。
【0010】
この場合、コネクタ端子に過電流が流れたときに生じさせる発熱量に基づいてコネクタ端子の電気抵抗が設定されるため、コネクタ端子の電気抵抗を調節(増大)することにより、過電流が流れるときのコネクタ端子の発熱量を調節(増大)することが可能となる。
【0011】
本発明に係る電気コネクタでは、インターロック端子の融点が、コネクタ端子に過電流が流れたときに生じる発熱量に基づいて設定されることが好ましい。
【0012】
この場合、コネクタ端子に過電流が流れたときに生じる発熱量に基づいてインターロック端子の融点が設定されるため、コネクタ端子に過電流が流れたときに、インターロック端子を確実に溶断することができる。
【0013】
本発明に係る電気コネクタでは、インターロック端子が、コ字形に形成され、かつ、両端部及び中央部それぞれの融点が異なるように形成されていることが好ましい。
【0014】
この場合、インターロック端子が、コ字形に、かつ、両端部及び中央部それぞれの融点が異なるように形成されているため、融点が低い部分のみを部分的に(例えば、両端部のみ、又は、中央部のみ)溶断することが可能となる。
【0015】
本発明に係る電気コネクタでは、コネクタ端子とインターロック端子とが、コネクタハウジングを挟んで近接して配置されていることが好ましい。
【0016】
この場合、コネクタ端子とインターロック端子とが、コネクタハウジングを挟んで近接して配置されているため、コネクタ端子からインターロック端子に熱が伝わり易くなり、過電流が流れたときにコネクタ端子で発生する熱を、効率よくインターロック端子に伝えることができる(熱損失を少なくできる)。
【0017】
本発明に係る電気コネクタでは、コネクタ端子とインターロック端子とが、コネクタハウジングによって仕切られていることが好ましい。
【0018】
この場合、コネクタ端子とインターロック端子とが、コネクタハウジングによって仕切られているため、溶けたインターロック端子がコネクタ端子に付着しないようにできる。
【0019】
本発明に係る電気コネクタは、コネクタ端子とインターロック端子との間に配設され、コネクタハウジングよりも熱伝導率が高い熱伝導部材をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
この場合、コネクタ端子とインターロック端子との間に配設され、コネクタハウジングよりも熱伝導率が高い熱伝導部材をさらに備えているため、過電流が流れたときにコネクタ端子で発生する熱を、より効率よくインターロック端子に伝えることが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、専用のヒューズを用いることなく、ヒューズ機能を発揮でき、かつ、電気コネクタのサイズを小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る電気コネクタが用いられたEVシステムの一例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る電気コネクタの構成を示す模式図である。
図3】実施形態に係る電気コネクタの嵌合時の状態を示す模式図である。
図4】実施形態に係る電気コネクタに過電流が流れたときの状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を用いることとする。また、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
まず、図1図4を併せて用いて、実施形態に係る電気コネクタ1,2の構成について説明する。図1は、電気コネクタ1,2が用いられたEVシステムの一例を示すブロック図である。図2は、電気コネクタ1,2の構成を示す模式図(斜視図)である。図3は、電気コネクタ1,2の嵌合時の状態を示す模式図(斜視図)である。図4は、電気コネクタ1,2に過電流が流れたときの状態を示す模式図(斜視図)である。本実施形態では、電気コネクタ1,2を、インバータ52と高電圧バッテリ53との間の接続に用いる場合を例にして説明する。なお、電気コネクタ1,2は、例えば、インバータ52と電動モータ54との間の接続に用いてもよい。
【0025】
ここで、電動モータ(モータ・ジェネレータ)54は、供給された電力を機械的動力に変換するモータとしての機能と、入力された機械的動力を電力に変換するジェネレータとしての機能とを兼ね備えた同期発電電動機として構成されている。すなわち、電動モータ(以下「モータ・ジェネレータ」ともいう)54は、車両駆動時には駆動トルクを発生するモータとして動作し、回生時にはジェネレータとして動作する。
【0026】
高電圧バッテリ53は、電池セルが、例えば、数十から百数十個、直列に接続されて構成(すなわち、数十から数百Vの高電圧バッテリとして構成)されている。電池セルは、例えばリチウムイオン電池が好適に用いられる。ただし、リチウムイオン電池に代えて、ニッケルカドミウム電池などの充放電可能な二次電池を用いることもできる。
【0027】
モータ・ジェネレータ54の駆動は、EV-CU(Electric Vehicle Control Unit)51によって総合的に制御される。EV-CU51は、演算を行うマイクロプロセッサ、該マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するEEPROM、演算結果などの各種データを記憶するRAM、記憶内容が保持されるバックアップRAM、及び、入出力I/F等を有して構成されている。EV-CU51は、例えば、アクセルペダル開度(運転者の要求駆動力)、車両の運転状態(例えば車速など)、及び、高電圧バッテリ53の充電状態(SOC)などに基づいて、モータ・ジェネレータ54のトルク指令値を求めて出力する。また、EV-CU51には、電気コネクタ1と電気コネクタ2との嵌合状態を検知するためのインターロック回路30が接続されている。EV-CU51は、インターロック回路30の状態(ショート又はオープン)に応じて、高電圧バッテリ53からインバータ52への通電(電力供給)を許可又は禁止(停止)する。
【0028】
インバータ52は、上記トルク指令値に基づいて、高電圧バッテリ53の直流電力を三相交流の電力に変換してモータ・ジェネレータ54に供給する(すなわち、モータ・ジェネレータ54を駆動する)。一方、インバータ52は、回生時などに、モータ・ジェネレータ54で発電した交流電圧を直流電圧に変換して高電圧バッテリ53を充電する。
【0029】
電気コネクタ1は、コネクタハウジング10に、一対のオス型のコネクタ端子(以下、単に「オス端子」ともいう)11が取付けられたオス型の電気コネクタ(以下「オスコネクタ」ともいう)である。各オス端子11それぞれには、他方の端部がインバータ52と接続された電線(ケーブル)40bが圧着されて電気的に接続されている。また、電気コネクタ1のコネクタハウジング10には、オス型のインターロック端子13(特許請求の範囲に記載のインターロック端子に相当)が取付けられている。
【0030】
電気コネクタ2は、コネクタハウジング20に、一対のメス型のコネクタ端子(以下、単に「メス端子」ともいう)21が取付けられたメス型の電気コネクタ(以下「メスコネクタ」ともいう)である。各メス端子21それぞれには、電線(ケーブル)40aが圧着されて電気的に接続されている。また、電気コネクタ2のコネクタハウジング20には、メス型のインターロック端子23が取付けられている。なお、電気コネクタ2は、高電圧バッテリ53のケース(筐体)に取付けられる。
【0031】
電気コネクタ(オスコネクタ)1と電気コネクタ(メスコネクタ)2とは嵌合(接続)可能に構成されている。すなわち、オス型のコネクタ端子(オス端子)11とメス型のコネクタ端子(メス端子)21、及び、オス型のインターロック端子13とメス型のインターロック端子23それぞれが嵌合可能に構成されている。そのため、電気コネクタ(オスコネクタ)1と電気コネクタ(メスコネクタ)2とが嵌合されると、コネクタ端子(オス端子)11がコネクタ端子(メス端子)21に嵌合して接触し、端子どうしの接触部分により電気的に接続される。同様に、オス型のインターロック端子13がメス型のインターロック端子23に嵌合して接触し、端子どうしの接触部分により電気的に接続される。その結果、電気コネクタ1と電気コネクタ2とを介して、高電圧バッテリ53とインバータ52とが電気的に接続されるとともに、インターロック回路30が閉じられる。
【0032】
ここで、コネクタハウジング10は、コネクタ端子11及びインターロック端子13を保持するとともに、コネクタ端子11(21)とインターロック端子13との間で熱を伝達する。なお、熱の伝達はコネクタハウジング20を介してもよい。そのため、コネクタハウジング10,20は、インターロック端子13よりも融点が高く、かつ、絶縁性を有する素材から形成される。より具体的には、コネクタハウジング10,20の素材としては、高電気絶縁性と高熱伝導性と高耐熱性とを兼ね備えたエポキシ樹脂系の材料(例えば、ポリイミド・エポキシ樹脂の熱硬化性樹脂に、伝熱に優れた無機フィラーを配合したもの)などが好適に用いられる。
【0033】
コネクタ端子11(21)の電気抵抗(端子自体の電気抵抗、及び、コネクタ端子11とコネクタ端子21との接触抵抗を含む)は、コネクタ端子11(21)に過電流(許容値を超える電流)が流れたときに生じさせる(生じさせたい)発熱量に基づいて(すなわち、発熱量を考慮して)設定される。より具体的には、コネクタ端子11(21)の電気抵抗は、例えば、5mΩ程度に設定(すなわち通常よりも高く設定)することが好ましい。
【0034】
上述したように、電気コネクタ1(コネクタハウジング10)には、導電性を有し、インターロック回路30をショート/オープンすることにより、電気コネクタ1と電気コネクタ2との嵌合(コネクト)/非嵌合(ディスコネクト)を検知して通電を許可/禁止(停止)するためのインターロック端子13が設けられている。
【0035】
電気コネクタ(オスコネクタ)1と電気コネクタ(メスコネクタ)2とが嵌合され、インターロック端子13が接続されたこと(すなわち、インターロック回路30が閉じたこと)がEV-CU51により検知されると、通電が許可される。一方、電気コネクタ(オスコネクタ)1と電気コネクタ(メスコネクタ)2との嵌合が解除され、インターロック端子13(インターロック回路30)が開放状態となると、EV-CU51により、電気コネクタ1,2への通電(すなわち、高電圧バッテリ53からインバータ52への通電)が禁止(停止)される。
【0036】
インターロック端子13は、コネクタ端子11,21に過電流が流れたときに生じ、コネクタハウジング10(20)を介して伝達される熱によって上昇する温度が、所定の保護要件(例えば、過電流値・時間)に応じて予め設定される所定温度以上となった場合に溶断する。
【0037】
インターロック端子13が溶ける温度(融点)は、コネクタ端子11,21に過電流が流れたときに生じる発熱量に基づいて(すなわち、発熱量を考慮して)設定される。また、インターロック端子13の融点は、コネクタハウジング10(20)の熱伝導率を考慮することが好ましい。より具体的には、インターロック端子13の融点は、例えば、145℃程度(前後)に設定することが好ましい。ただし、インターロック端子13の融点は、要件や規格等に応じて任意に設定(変更)することができる。
【0038】
特に、インターロック端子13は、コ字形(又はU字状)に形成された部位を含んでおり、該コ字形部(又はU字状部)の両端部、及び、中央部それぞれの融点が異なるように形成されている(すなわち、融点が異なる素材から形成されている)ことが好ましい。
【0039】
インターロック端子13の素材としては、例えば、Sn-58Bi(融点139℃)などの合金(易融合金)が好適に用いられる。なお、インターロック端子13の素材として、その他の合金型温度ヒューズで用いられる合金を採用してもよい。その場合、合金の組成を変えることにより動作温度(融点)を変える(設定する)ことができる。
【0040】
インターロック端子13の溶断時間は、例えば、600%過電流で、0.1秒以内に切れるように設定されることが好ましい。なお、インターロック端子13の溶断時間は、要件や規格等に応じて、任意に設定することができる。
【0041】
ここで、コネクタ端子11(21)とインターロック端子13とは、コネクタハウジング10(20)を挟んで近接して(例えば並べて)配置されていることが好ましい。また、コネクタ端子11とインターロック端子13とは、コネクタハウジング10(20)によって仕切られており、溶けたインターロック端子13がコネクタ端子11(21)に付着しないように構成されていることが好ましい。
【0042】
上述したように構成されることにより、電気コネクタ(オスコネクタ)1と電気コネクタ(メスコネクタ)2とが嵌合された場合、図3に示されるように、インターロック端子13が接続されて、インターロック回路30が閉じられる。そして、インターロック回路30が閉じられたことがEV-CU51によって検知されると、電気コネクタ1,2が嵌合されたと判断され、高電圧バッテリ53からインバータ52へ電力供給が可能な状態、すなわち、電源ライン(電線40a)に電流を流すことが可能な状態となる。
【0043】
次に、嵌合された電気コネクタ1及び電気コネクタ2(電気コネクタ組立体)に過電流が流れた場合、過電流によりコネクタ端子11,21が発熱し、その熱が、コネクタハウジング(隔壁)10(20)を介してインターロック端子13に伝達される。そして、インターロック端子13の温度が上昇し、図4に示されるように、インターロック端子13が溶融する。その結果、インターロック回路30が開回路となり、EV-CU51によって、電源ライン(電線40a)が遮断(すなわち電力供給が停止)される。
【0044】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によれば、コネクタ端子11,21に過電流が流れたときに生じ、コネクタハウジング10(20)を介して伝達される熱によって上昇する温度が、所定の保護要件に応じて予め設定される所定温度以上となった場合にインターロック端子13が溶断する。すなわち、コネクタ端子11,21に過電流が流れると、コネクタ端子11,21が発熱し、その熱がインターロック端子13に伝えられ、インターロック端子13の温度が融点以上に上昇し、インターロック端子13が溶断する。そして、インターロック端子13の溶断により、電気コネクタ1,2を介した電力供給が停止、すなわち、過電流が遮断される。よって、専用のヒューズを用いることなく、過電流を防止することができるため、コネクタサイズの小型化を図ることができる。その結果、専用のヒューズを用いることなく、ヒューズ機能を発揮でき、かつ、サイズを小型化することが可能となる。
【0045】
本実施形態によれば、コネクタ端子11,21に過電流が流れたときに生じさせる(生じさせたい)発熱量に基づいてコネクタ端子11,21の電気抵抗が設定されるため、コネクタ端子11,21の電気抵抗Rを調節(増大)することにより、過電流Iが流れるときのコネクタ端子11,21の発熱量(IR)を調節(増大)することが可能となる。
【0046】
本実施形態によれば、コネクタ端子11,21に過電流が流れたときに生じる発熱量に基づいてインターロック端子13の融点が設定されるため、コネクタ端子11,21に過電流が流れたときに、確実に、インターロック端子13を溶断することができる。
【0047】
本実施形態によれば、インターロック端子13が、コ字形(又はU字状)に形成された部位を含み、該コ字形部(又はU字状部)の両端部及び中央部それぞれの融点が異なるように形成されているため、融点が低い部分のみを部分的/選択的に(例えば、両端部のみ、又は、中央部のみ)溶断することが可能となる。
【0048】
本実施形態によれば、コネクタ端子11(21)とインターロック端子13とが、コネクタハウジング10(20)を挟んで近接して(例えば並べて)配置されているため、コネクタ端子11(21)からインターロック端子13に熱が伝わり易くなり、過電流が流れたときにコネクタ端子11(21)で発生する熱を、効率よくインターロック端子13に伝えることができる(熱損失を少なくできる)。
【0049】
本実施形態によれば、コネクタ端子11(21)とインターロック端子13とが、コネクタハウジング10(20)によって仕切られているため、溶けたインターロック端子13がコネクタ端子11(21)に付着しないようにできる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、電気コネクタ1,2を、高電圧バッテリ53とインバータ52との間の接続に用いた場合を例にして説明したが、電気コネクタ1,2の適用箇所は上記実施形態に限られることなく、例えば、インバータ52と電動モータ(モータ・ジェネレータ)54との間の接続に用いてもよい。また、他の制御ユニットと電線(ケーブル)との接続等に用いてもよい。さらに、電気コネクタ1,2で接続される電線(ケーブル)の数は2本には限られない。
【0051】
また、上記実施形態では、電気コネクタ(オスコネクタ)1にコ字形(又はU字状)のインターロック端子13を設けたが、電気コネクタ(メスコネクタ)2にインターロック端子13を設ける構成としてもよい。
【0052】
さらに、コネクタハウジング10(20)よりも熱伝導率が高い熱伝導部材を、コネクタ端子11(21)とインターロック端子13との間に配設してもよい。このようにすれば、過電流が流れたときにコネクタ端子11(21)で発生する熱を、より効率よくインターロック端子13に伝えることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 電気コネクタ(オスコネクタ)
2 電気コネクタ(メスコネクタ)
10,20 コネクタハウジング
11 コネクタ端子(オス型のコネクタ端子)
21 コネクタ端子(メス型のコネクタ端子)
13 インターロック端子(オス型のインターロック端子)
23 インターロック端子(メス型のインターロック端子)
30 インターロック回路(電線)
40a,40b,40c 電線(電源ライン)
51 EV-CU
52 インバータ
53 高電圧バッテリ
54 電動モータ(モータ・ジェネレータ)
図1
図2
図3
図4