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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】天井板載置押上装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 21/18 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
E04F21/18 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018210416
(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公開番号】P2020076262
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】511302356
【氏名又は名称】株式会社杉原クラフト
(74)【代理人】
【識別番号】100135437
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 哲三
(72)【発明者】
【氏名】杉原 正治
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-54458(JP,U)
【文献】特開平8-326324(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0294540(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 21/18
E04G 21/16
B23P 21/00
B66F 7/18-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、天井板を載置する天井板載置部と、この天井板載置部を支持する支持部と、前記天井板載置部を回動させる第一流体圧シリンダーと、前記天井板載置部を上昇させる第二流体圧シリンダーと、前記本体部の後面側適宜位置に設けた前記第一及び第二流体圧シリンダーを作動させる操作部とから成り、
前記本体部はその下方の本体下方部とその上方の本体上方部とが支柱部によって連結され、前記本体下方部と本体上方部とが前記第二流体圧シリンダーにより連結されて前記支柱部が上下に伸縮し、前記本体上方部が上下に往復動することができ、
前記天井板載置部を支持する支持部は前方の前方支持部と後方の後方支持部とから成り、これら前方支持部と後方支持部の下端部は前記本体上方部に回動自在に支持され、前記前方支持部と前記本体上方部とが前記第一流体圧シリンダーによって連結され、この第一流体圧シリンダーにより前記前方支持部を回動させて前記天井板載置部を略水平状態とすることができ、
前記天井板載置部の上に天井板を載置し、前記第一流体圧シリンダーを伸長させて天井板を略水平状態とし、前記第二流体圧シリンダーを伸長させて天井板を天井下地骨組の位置にまで上昇させて接合させ、その後螺子・釘等の固定手段によって天井板を天井下地骨組に固定できることを特徴とする天井板載置押上装置。
【請求項2】
前記第一及び第二流体圧シリンダーが圧縮エアーを利用したものであることを特徴とする請求項1に記載の天井板載置押上装置。
【請求項3】
前記本体下方部の底面に4個のキャスターを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の天井板載置押上装置。
【請求項4】
前記本体下方部の後面の適宜高さ位置の横方向に横桟を設け、この横桟の両端部分を使用者の取手部と成し、この横桟上又はこの横桟の周辺部に前記操作部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の天井板載置押上装置。
【請求項5】
前記本体下方部が、後面側略中央部に垂立する1本の支柱と、この支柱を支持する複数の支持フレームとからなり、前記支柱の上端部から更に上方に延長して上下に伸縮する支柱部が設けられ、前記第二流体圧シリンダーによって前記本体上方部を押し上げることができ、前記前方支持部が1本のフレームから成り、前記後方支持部が略矩形形状又は略コ字形状の枠体から成ることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の天井板載置押上装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種住宅等の建築物の天井板を天井下地骨組に固定する際に使用する装置であって、天井板を載置した状態で上方の天井下地骨組の位置まで押し上げて、即ち野縁に接合させて設置可能状態とし、その後ビス止め等の固定作業を行うことができる天井板載置押上装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の装置としては、本願出願人が先に提案した下記特許文献に記載の天井板支持装置を挙げることができる。
この特許文献に記載の発明は、天井下地骨組に石膏ボードから成る天井板を固定する際に使用する天井板支持装置を提供することを課題とするものである。
【0003】
その構成は、支柱とこの支柱に沿って上下往復移動する往復可動部と天井板支持部とから成り、往復可動部は4本の枠体を縦横四角に連結してリンク機構とし、その一方の縦枠が支柱に沿って往復動し、他方の縦枠が上方に延長して天井板支持部となる。
往復可動部には天井板支持部を上方に常に付勢するガススプリングを配設し、このガススプリングの付勢力を停止するストッパー部材を配設する。往復可動部を支柱の任意の高さ位置に停止するための停止手段を設ける。往復可動部を支柱の適宜高さ位置に移動して停止手段により停止させ、往復可動部の前記縦枠と天井板支持部を下方に押し下げ、その後前記ストッパー部材による停止を解除すると天井板支持部が上方に移動する構成である。
【0004】
以上の構成により、まず上下に往復移動する往復可動部の存在により、天井板支持部が天井板を二段階に上方に押し上げることができる。
即ち、第一に往復可動部を適宜必要な高さ位置に使用者が支柱に沿わせて上方に移動する。これが第一段階の押し上げである。
その後、往復可動部の天井板支持部側の縦枠を把持して使用者が下方に押下げ、前記天井板支持部の上に天井板を載置し、使用者は片手で当該天井板の側縁部等を把持する。
ここで、上記の天井板支持部側の縦枠を下方に押下げる点は、予めこれを下方に押し下げておく。
【0005】
その後、使用者が他方の手により、上向き付勢部材のストッパー部材の停止を解除することにより、天井板支持部が上方に移動し、天井板は上方に押し上げられる。これが第二の押し上げである。
使用者は、天井板の押し上げに合わせて、適宜脚立に登り、天井板を天井下地骨組に接合することができることとなるのである。
その後、使用者は、天井板を天井下地骨組にビス打ち等行い、天井板を天井下地骨組(野縁)に固定することができることとなるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-8620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の天井板支持装置にあっては、その天井板支持部が天井板の一側縁部を支持するのみであって、他方の側縁部は使用者が自身の手によって支持して使用するものであった。
即ち、従来の天井板支持装置においては、天井板の一部を支持し押し上げるものであった。
本発明においては、施工される上記天井板の全体を支持することができ、そして、天井下地骨組の位置にまで押し上げ、その後使用者が上記天井板を支持する必要がなく、ビス打ち等を両手で行うことができる装置の提供を行うことがその課題である。
更に、当該装置が天井下地骨組の下方の適宜位置に容易に移動できること、装置の操作のし易い形態を採用すること等も本発明の課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、本体部と、天井板を載置する天井板載置部と、この天井板載置部を支持する支持部と、前記天井板載置部を回動させる第一流体圧シリンダーと、前記天井板載置部を上昇させる第二流体圧シリンダーと、前記本体部の後面側適宜位置に設けた前記第一及び第二流体圧シリンダーを作動させる操作部とから成り、前記本体部はその下方の本体下方部とその上方の本体上方部とが支柱部によって連結され、前記本体下方部と本体上方部とが前記第二流体圧シリンダーにより連結されて前記支柱部が上下に伸縮し、前記本体上方部が上下に往復動することができ、前記天井板載置部を支持する支持部は前方の前方支持部と後方の後方支持部とから成り、これら前方支持部と後方支持部の下端部は前記本体上方部に回動自在に支持され、前記前方支持部と前記本体上方部とが前記第一流体圧シリンダーによって連結され、この第一流体圧シリンダーにより前記前方支持部を回動させて前記天井板載置部を略水平状態とすることができ、 前記天井板載置部の上に天井板を載置し、前記第一流体圧シリンダーを伸長させて天井板を略水平状態とし、前記第二流体圧シリンダーを伸長させて天井板を天井下地骨組の位置にまで上昇させて接合させ、その後螺子・釘等の固定手段によって天井板を天井下地骨組に固定できることを特徴とする天井板載置押上装置である。
ここで、上記「後面側」、「前方」又は「後方」という前後の位置関係は、本発明に係る装置を使用者が使用する際に操作部の側に位置して当該装置を操作使用するため、その使用者は装置の後方側に位置して装置を使用するため、操作部が設けられている側が後方となり、その反対側が前方となる。
【0009】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記第一及び第二流体圧シリンダーが圧縮エアーを利用したものであることを特徴とする天井板載置押上装置である。
【0010】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記本体下方部の底面に4個のキャスターを設けたことを特徴とする天井板載置押上装置である。
【0011】
本発明の第4のものは、上記第1乃至第3の何れかの発明において、前記本体下方部の後面の適宜高さ位置の横方向に横桟を設け、この横桟の両端部分を使用者の取手部と成し、この横桟上又はこの横桟の周辺部に前記操作部を設けたことを特徴とする天井板載置押上装置である。
【0012】
本発明の第5のものは、上記それぞれの発明において、前記本体下方部が、後面側略中央部に垂立する1本の支柱と、この支柱を支持する複数の支持フレームとからなり、前記支柱の上端部から更に上方に延長して上下に伸縮する支柱部が設けられ、前記第二流体圧シリンダーによって前記本体上方部を押し上げることができ、前記前方支持部が1本のフレームから成り、前記後方支持部が略矩形形状又は略コ字形状の枠体から成ることを特徴とする天井板載置押上装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1のものにおいては、使用者は、石膏ボード等の天井板を天井下地骨組に固定する際に使用することができ、当該天井板を上記天井板載置部の上に載置し、天井下地骨組の取付位置の下方に装置を移動配置し、前記操作部を操作して、上記第一流体圧シリンダーを伸長させて天井板を略水平状態とし、次に上記第二流体圧シリンダーを伸長させて天井板を天井下地骨組の位置にまで上昇させて接合させ、その後螺子・釘等の固定手段によって天井板を天井下地骨組に固定することが出来ることとなる。
【0014】
ここで、上記第一流体圧シリンダー及び第二流体圧シリンダーを操作する順番は任意であり、先に第二流体圧シリンダーを作動させることも可能である。
また、天井板を略水平状態として適宜高さ位置に押し上げた状態で、所望の天井下地骨組の取付位置の下方に移動配置することもできる。
このように、本発明に係る天井板載置押上装置では、その作動手順又は操作手順は使用者が自由に選択してその順番を決定することができる。
【0015】
本発明の第2のものにおいては、本発明をより具体化したものであり、前記第一及び第二流体圧シリンダーとして圧縮エアーを利用したものであることを限定したものである。
【0016】
本発明の第3のものにおいては、前記本体下方部の底面に4個のキャスターを設けたことを特徴とし、本発明に係る装置の移動を容易化し、天井下地骨組の所定位置への移動配置を容易にできるようにしたものである。
【0017】
本発明の第4のものにおいては、前記本体下方部の後面の適宜高さ位置の横方向に横桟を設け、この横桟の両端部分を使用者の取手部と成し、この横桟上又はこの横桟の周辺部に前記操作部を設けたことを限定したものである。
これにより本発明に係る装置の使用者は、装置の後方側に立ち、横桟の両端部の取手部を把持して、装置の移動を容易に行うことができ、前記第一及び第二流体圧シリンダーの操作も容易に行うことが出来ることとなる。
【0018】
本発明の第5のものにおいては、本発明の装置の本体下方部及び支持部をより具体化したものであり、即ち、前記本体下方部が、後面側略中央部に垂立する1本の支柱と、この支柱を支持する複数の支持フレームとからなり、前記支柱の上端部から更に上方に延長して上下に伸縮する支柱部が設けられ、前記第二流体圧シリンダーによって前記本体上方部を押し上げることができ、前記前方支持部が1本のフレームから成り、前記後方支持部が略矩形形状又は略コ字形状の枠体から成ることを限定したものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の天井板載置押上装置に係る一実施形態を図示する側面図であって、作動前の初期状態を示している。
図2】上記実施形態を後方側から見た斜視図である。
図3】上記図2に図示した状態の天井板載置押上装置の天井板載置部の上に天井板を載置した状態の後方側から見た斜視図である。
図4】上記実施形態において天井板載置部を略水平にした状態を示す前方側から見た斜視図である。
図5】上記実施形態において天井板載置部を上方に押し上げた状態を示す側面図である。
図6】上記実施形態における操作部を図示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面と共に本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の天井板載置押上装置に係る一実施形態を図示する側面図であって、作動前の初期状態を示している。
図2は、上記実施形態を後方側から見た斜視図である。
【0021】
まず、本発明に係る天井板載置押上装置は、本体部10と、天井板を載置できる天井板載置部20と、前方支持部31と後方支持部32と、前記天井板載置部20を略水平の状態に回動させる第一流体圧シリンダー33と、前記天井板載置部20を上昇させる第二流体圧シリンダー34と、前記本体部10の後面側適宜位置に設けた前記第一及び第二流体圧シリンダー33、34を作動させる操作部40とから成る。
【0022】
前記本体部10はその下方の本体下方部11とその上方の本体上方部12とが支柱部13によって連結され、前記本体下方部11と本体上方部12とが前記第二流体圧シリンダー34により連結されて前記支柱部13が上下に伸縮し、前記本体上方部12が上下に往復動することができる。
支柱部13が上下に伸縮する構成は、本体下方部11の上端部で支柱部13が出没自在に形成されていればよい。
【0023】
前記本体下方部11は、この実施形態では、平面視略台形(後方が短辺で前方が長辺)の底面構成枠体14の短辺側の略中央部から支柱15aが垂立し、この支柱15aを4本の支持枠体16が支持し、前記支柱15aから更に上方に支柱15bが延長し、この支柱15bの内部に前記支柱部13が没入し且つ伸長することができるように構成している。
【0024】
この本体下方部11の構成は全く自由に設計することができ、上記のような枠体の組み合わせでなくとも実施可能である。
要するに、前記本体下方部11の上端部から支柱部13が出没でき、この支柱部13が上下に伸縮できる構成であればどのような構造であってもよい。
【0025】
他方、前記支柱部13の上端部に固定された本体上方部12は、側面視英文字Fを左右反転させた如き形状(図1参照)の枠体(反対側から見ると略英文字F形状)から成り、その後方側で支柱部13の上端部に固定されている。
この本体上方部12の後端の上端部には後方支持部32が回動自在に設けられ、他方、前方支持部31の後方端部も当該本体上方部12に回動自在に軸支されている。
【0026】
前記第一流体圧シリンダー33の上端部は、前記前方支持部31に連結し、前記第一流体圧シリンダー33の下端部は、前記本体上方部12の下端部に連結されている。
他方、前記第二流体圧シリンダー34の下端部は、前記本体下方部11の支柱15aに連結され、前記第二流体圧シリンダー34の上方端は、前記本体上方部12に連結されている。
【0027】
前方支持部31は、1本の枠体から成り、その先端部は天井板載置部20の横枠21の中間部と回動自在に連結され、その後方端部は本体上方部12に回動自在に連結される。
後方支持部32は、略コ字形状の枠体から成り、その後方側両端部が本体上方部の後方上端部と回動自在に連結される。
【0028】
前記天井板載置部20は、石膏ボード等の天井板を載置できる略長方形の枠体から成り、縦枠22及び横枠21を適宜組み合わせて固定することにより形成される。
この天井板載置部20の上に天井板を載置することができ、縦枠22の前方端部にはストッパー23を設け、天井板載置部20が斜めの状態のときに、天井板が下方に落下しないように構成している。
【0029】
図中符号33t及び34tは、前記第一流体圧シリンダー33及び第二流体圧シリンダー34に接続されている圧縮エアーのチューブであって、チューブ33tが操作部40から第一流体圧シリンダー33に接続し、チューブ34tが操作部40から第二流体圧シリンダー34へと接続している。
また、図中符号35は、操作部と図示していない圧縮エアー供給装置と接続するチューブを示している。
【0030】
ここで本実施形態では、操作部40は、本体下方部11の後面側に設けられており、より詳しくは、本体下方部11の支柱15bの上方部横方向に横桟41を配設し、その略中央部分に操作部40を設けている。
この横桟41の両端部が使用者の取手部41tとなる。
【0031】
また、この実施形態では、本体部10の底面部14を構成する枠体の四隅下面にキャスターをそれぞれ設け、上記取手部41tを両手で把持して、本発明に係る装置を所望位置に容易に移動することが出来る構成としている。
【0032】
図3は、上記図2に図示した状態の本発明に係る天井板載置押上装置の天井板載置部の上に天井板を載置した状態の後方側から見た斜視図である。
この図3に示した状態の天井板載置押上装置は、図2に図示したものと同一であって、この天井板載置押上装置の天井板載置部20の上に天井板Tを載せた状態を図示したものである。
【0033】
天井板載置部20の縦枠22の前端には、図では天井板Tの存在により隠れて見えないが、ストッパー23がそれぞれ設けられ、天井板載置部20の前方が下に傾いた状態であっても、天井板Tは落下しない。
この図3の状態から第一流体圧シリンダー33を伸長させて上記天井板載置部20の前方を押上回動させて、天井板Tを略水平状態にすることができる。
【0034】
図4は、上記実施形態において天井板載置部を略水平にした状態を示す前方側から見た斜視図である。
天井板載置部20の横枠21にその前方端が軸着された前方支持部31は、その後方端が本体上方部12と回動自在に取り付けられ、その前方支持部31の中間部と本体上方部12とを連結する第一流体圧シリンダー33によって押し上げられて、上記前方支持部31は、その後方端を中心として反時計回りに回動する。
【0035】
これにより上記前方支持部31の前方端は上方に回動して天井板載置部20は略水平状態となる。
この前方支持部31の動きに連動して、後方支持部32の側も反時計回りに回動する。
後方支持部32は、この図4からよく解る通り、略コ字形状の枠体からなり、その両側の縦枠の下方端部32sを中心として反時計回りに回動する。
【0036】
ここで、後方支持部32は、上記のような略コ字形状のものでなくとも実施可能であり、例えば、略矩形形状の枠体であってもよく、その下方の横枠の中央部で本体上方部12に回動自在に取り付けられていればよいものである。
【0037】
ここで本実施形態では、上記した通り、操作部40は、本体下方部11の後面側に設けられており、より詳しくは、本体下方部11の支柱15bの上方部横方向に横桟41を配設し、その略中央部分に操作部40を設けている。
この横桟41の両端部が使用者の取手部41tとなり、本体部10の底面部14の四隅に設けたキャスターにより容易に所望位置に移動させることができる。
【0038】
上記のように、天井板載置部20に天井板Tを載置して略水平状態にしたのちに、上記第二流体圧シリンダー34を作動させて天井板Tを上方に押し上げることができる。その状態を次の図5が示している。
【0039】
図5は、上記実施形態において、天井板載置部を上方に押し上げた状態を示す側面図である。
この図においては、天井板の図示を省略している。
上記図3の状態において、第二流体圧シリンダー34を伸長させることにより本体上方部12が上方に押し上げられる。
【0040】
即ち、上記した通り、第一流体圧シリンダー33の作動により前方支持部31の回動及びこれに追随する後方支持部32の回動により、天井板載置部20が略水平状態となり、その後本発明に係る装置を天井板を設置すべき天井下地骨組の下方位置に移動させて第二流体圧シリンダー34を作動させるのである。
【0041】
これにのより、本体上方部12は上方方向に押し上げられ、天井板載置部20が上昇し、天井板を天井下地骨組の例えば野縁に接合させて、その後ビス止め等を行い、天井板を前記野縁に固定し設置することができるのである。
天井板をビス止めする際には、施工者は脚立を用いて行うのであるが、天井板が落下しない程度に固定が済んだ後、本発明に係る装置を移動させて、更にビス止め作業を続行することができる。
この間の施工作業手順は適宜変更して行うことができる。
【0042】
図6は、上記実施形態における操作部を図示する説明図である。
本実施形態に係る操作部40は、本体下方部11の支柱15bの上方部に設けた横桟41の略中央部に設けている。
即ち、この操作部40は開閉バルブ33v、34v及び35vと、これらを接続する配管42とから成る。
【0043】
図示はしていない圧縮エアー供給装置に接続するチューブ35が元栓45に接続し、この元栓45の上方には供給排気バルブ35vが位置し、その横方向に延長する配管42の中間部には第二流体圧シリンダーに接続する開閉バルブ34vが設けられ、上記配管42の端部には第一流体圧シリンダー33に接続する開閉バルブ33vが設けられている。
【0044】
作動手順は、以下の通りである。
元栓45を開として圧縮エアーを上記供給排気バルブ35vに供給する。この供給排気バルブ35vをエアー供給の給気状態とし、第二流体圧シリンダーへの開閉バルブ34vを閉とし、第一流体圧シリンダー33に供給する開閉バルブ33vを開とすることにより第一流体圧シリンダーの作動を開始できる。
【0045】
この第一流体圧シリンダー33への圧縮エアーの供給により前記第一流体圧シリンダー33のピストンロッドが伸長して前方支持部31を回動させて天井板載置部20を略水平状態とする。
その後、開閉バルブ34vを開とすることにより第二流体圧シリンダー34が作動してそのビストンロッドが伸長して本体上方部12が上方に押し上げられる。
【0046】
この状態で、天井板は、天井下地骨組に接合されて、ビス止め作業を行うことができる。
ビス止め作業が終了した後は、前記供給排気バルブ35vを排気の位置に回動させることにより圧縮エアーは排気されて、上記第一及び第二流体圧シリンダー内の圧縮エアーは排気され、両流体圧シリンダー33、34のピストンロッドは収縮し、前方支持部31及び後方支持部32は元の初期状態の位置に復帰する。
【0047】
1枚の天井板の固定作業が終了した後は、上記開閉バルブ33v及び34vは閉の状態に戻しておくのである。
以上の手順を繰り返すことにより、1枚の天井板は本発明に係る天井板載置押上装置により天井下地骨組に固定され、その後これを繰り返すことにより順次天井板が天井下地骨組に接合固定されることとなるのである。
【0048】
以上、実施形態について説明したが、本発明においては以下の通り種々設計変更をすることができる。
まず、本発明において本体下方部を木材製とし、その本体下方部から上方に延長する支柱15bを金属製(アルミニウム製)のものから形成し、その他の構成部材も金属製(アルミニウム製)としているが、その素材は全く自由に採用することができる。
【0049】
各部材のサイズ等も適宜必要に応じて設計変更することができる。
第一及び第二流体圧シリンダーも圧縮エアーでなく、他のオイル等の流体を利用することもできる。
本体下方部も各種枠体から構成しているが、これを箱体形態のものとすることもできる。
【0050】
要は、本体下方部から上方に支柱部13が垂立して上下に往復動する、つまり上下に伸縮する構造を採用すればよい。
本体上方部の構成及び形態も全く自由に設計変更することができ、要は、支柱部13の上端にこの本体上方部が固定され、この本体上方部で前方支持部及び後方支持部が回動して天井板載置部が略水平状態に保持できるように構成すればよい。
【0051】
そして、上記前方支持部を第一流体圧シリンダーが回動させて天井板載置部を略水平状態とし、その後この天井板載置部を第二流体圧シリンダーによって上方に押し上げることができればよいのである。この手順も逆に行うことができる。
これらの流体圧シリンダーも上記した通り各種のものを利用することができる。
【0052】
本体部の後面側に設けた操作部も、上記実施形態のように横桟41の略中央部に設けていたが、この操作部も横桟の周辺部、例えば支柱15b上に設けることもでき、異なる構成からなる本体下方部であれば、その後面側適宜位置に設けることができる。
天井板が天井下地骨組に接合された後、ビス止め等を行うのであるが、具体的には、螺子、釘、接着剤等々、各種の固定手段をそれぞれ個別に又は組み合わせて使用することができる。
【0053】
以上、本発明においては、石膏ボード等の天井板を装置の天井板載置部に載置し、前記天井下地骨組の所望位置の下方にまで移動し、天井板載置部を容易に回動し、押し上げて天井下地骨組に接合し、ビス止め等の固定作業を容易に行うことができる天井板載置押上装置を提供することができたものである。
【符号の説明】
【0054】
10 本体部
11 本体下方部
12 本体上方部
13 支柱部
14 底面構成枠体
14c キャスター
15a、15b 支柱
16 支持枠体
20 天井板載置部
21 横枠
22 縦枠
23 ストッパー
31 前方支持部
32 後方支持部
33 第一流体圧シリンダー
34 第二流体圧シリンダー
33t、34t、35 チューブ
40 操作部
41 横桟
41t 取手部
42 配管
33v、34v 開閉バルブ
35v 供給排気バルブ
45 元栓
T 天井板
図1
図2
図3
図4
図5
図6