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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】バッテリ状態推定方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/396 20190101AFI20220705BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220705BHJP
   G01R 31/387 20190101ALI20220705BHJP
【FI】
G01R31/396
H02J7/00 X
G01R31/387
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018230087
(22)【出願日】2018-12-07
(65)【公開番号】P2019109234
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】10-2017-0173823
(32)【優先日】2017-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0117767
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】金 振豪
(72)【発明者】
【氏名】宋 泰元
(72)【発明者】
【氏名】成 映勳
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-115015(JP,A)
【文献】特開2014-126412(JP,A)
【文献】特開2016-25820(JP,A)
【文献】特開2018-59917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリを1つ以上の一部のバッテリと残りのバッテリに分類するステップと、
複数のスイッチング期間を含むアップデート期間に属するk番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第1バッテリモデルに基づいて決定するステップと、
前記k番目のスイッチング期間で前記残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類するステップと、
前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第2バッテリモデルに基づいて決定するステップと、
前記k番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定するステップと、
k+1番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第1バッテリモデルに基づいて決定するステップと、
前記k+1番目のスイッチング期間で前記残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類するステップであって、前記k番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとして選択されたバッテリは、前記k+1番目のスイッチング期間では非ターゲットバッテリとなり、前記非ターゲットバッテリのうち未だターゲットバッテリに選択されていない何れかのバッテリが、前記k+1番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとなるステップと、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第2バッテリモデルに基づいて決定するステップと、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定するステップと、
を含む、バッテリ状態推定方法。
【請求項2】
前記状態情報は充電状態情報(SOC)である、請求項1に記載のバッテリ状態推定方法。
【請求項3】
前記第1バッテリモデル及び前記第2バッテリモデルは電気化学モデルである、請求項1又は2に記載のバッテリ状態推定方法。
【請求項4】
前記一部のバッテリは2つのバッテリである、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のバッテリ状態推定方法。
【請求項5】
前記2つのバッテリは最大SOCバッテリと最小SOCバッテリである、請求項4に記載のバッテリ状態推定方法。
【請求項6】
前記状態変化量は、各スイッチング期間中の前記一部のバッテリの状態情報変化量又は前記各スイッチング期間中の電流積算による状態情報変化量に対応する、請求項1ないし5のうち何れか一項に記載のバッテリ状態推定方法。
【請求項7】
前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を決定するステップは、前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正するステップを含む、請求項1ないし6のうち何れか一項に記載のバッテリ状態推定方法。
【請求項8】
前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を決定するステップは、前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正するステップを含む、請求項7に記載のバッテリ状態推定方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項に記載のバッテリ状態推定方法をバッテリ状態推定装置のコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【請求項10】
複数のバッテリを1つ以上の一部のバッテリと残りのバッテリに分類し、
複数のスイッチング期間を含むアップデート期間に属するk番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第1バッテリモデルに基づいて決定し、

前記k番目のスイッチング期間で前記残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類し、
前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第2バッテリモデルに基づいて決定し、
前記k番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定し、
k+1番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第1バッテリモデルに基づいて決定し、
前記k+1番目のスイッチング期間で残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類する場合において、前記k番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとして選択されたバッテリは、前記k+1番目のスイッチング期間では非ターゲットバッテリとなり、前記非ターゲットバッテリのうち未だターゲットバッテリに選択されていない何れかのバッテリが、前記k+1番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとなるようにし、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第2バッテリモデルに基づいて決定し、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定するコントローラを含む、バッテリ状態推定装置。
【請求項11】
前記状態情報は充電状態情報(SOC)である、請求項10に記載のバッテリ状態推定装置。
【請求項12】
前記第1バッテリモデル及び前記第2バッテリモデルは電気化学モデルである、請求項10又は11に記載のバッテリ状態推定装置。
【請求項13】
前記一部のバッテリは2つのバッテリである、請求項10ないし12のうち何れか一項に記載のバッテリ状態推定装置。
【請求項14】
前記2つのバッテリは、最大SOCバッテリと最小SOCバッテリである、請求項13に記載のバッテリ状態推定装置。
【請求項15】
前記状態変化量は、各スイッチング期間中の前記一部のバッテリの状態情報変化量又は前記各スイッチング期間中の電流積算による状態情報変化量に対応する、請求項10ないし14のうち何れか一項に記載のバッテリ状態推定装置。
【請求項16】
前記コントローラは、前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正する、請求項10ないし15のうち何れか一項に記載のバッテリ状態推定装置。
【請求項17】
前記コントローラは、前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正する、請求項16に記載のバッテリ状態推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態はバッテリ状態推定に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリの状態を推定する方法は様々である。一例として、バッテリの状態は、該当バッテリの電流を積算して推定されたり、バッテリモデル(例えば、電気回路モデル、又は電気化学モデル)を用いて推定されたりする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、バッテリ状態推定の適正化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一側面に係るバッテリ状態推定方法は、
複数のバッテリを1つ以上の一部のバッテリと残りのバッテリに分類するステップと、
複数のスイッチング期間を含むアップデート期間に属するk番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第1バッテリモデルに基づいて決定するステップと(kは1以上K-1以下の自然数であり、Kはアップデート期間に含まれるスイッチング期間の個数を示す)、
前記k番目のスイッチング期間で前記残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類するステップと、
前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第2バッテリモデルに基づいて決定するステップと、
前記k番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定するステップと、
k+1番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第1バッテリモデルに基づいて決定するステップと、
前記k+1番目のスイッチング期間で前記残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類するステップであって、前記k番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとして選択されたバッテリは、前記k+1番目のスイッチング期間では非ターゲットバッテリとなり、前記非ターゲットバッテリのうち未だターゲットバッテリに選択されていない何れかのバッテリが、前記k+1番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとなるステップと、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第2バッテリモデルに基づいて決定するステップと、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定するステップと、
を含むバッテリ状態推定方法である。
【0005】
前記状態情報は充電状態情報(State of Charge:SOC)であり得る。
【0006】
前記第1バッテリモデル及び前記第2バッテリモデルは電気化学モデルであり得る。
【0007】
前記一部のバッテリは2つのバッテリであり得る。
【0008】
前記2つのバッテリは最大SOCバッテリと最小SOCバッテリであり得る。
【0009】
前記状態変化量は、各スイッチング期間中の前記一部のバッテリの状態情報変化量又は前記各スイッチング期間中の電流積算による状態情報変化量に対応し得る。
【0010】
前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を決定するステップは、前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正するステップを含み得る。
【0011】
前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を決定するステップは、前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正するステップを含み得る。
【0012】
一実施形態に係るバッテリ状態推定装置は、
複数のバッテリを1つ以上の一部のバッテリと残りのバッテリに分類し、
複数のスイッチング期間を含むアップデート期間に属するk番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第1バッテリモデルに基づいて決定し、
前記k番目のスイッチング期間で前記残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類し、
前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の検出データと第2バッテリモデルに基づいて決定し、
前記k番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定し、
k+1番目のスイッチング期間の前記一部のバッテリの状態情報を、前記一部のバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第1バッテリモデルに基づいて決定し、
前記k+1番目のスイッチング期間で残りのバッテリをターゲットバッテリと非ターゲットバッテリに分類する場合において、前記k番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとして選択されたバッテリは、前記k+1番目のスイッチング期間では非ターゲットバッテリとなり、前記非ターゲットバッテリのうち未だターゲットバッテリに選択されていない何れかのバッテリが、前記k+1番目のスイッチング期間でターゲットバッテリとなるようにし、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの状態情報を、前記ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の検出データと前記第2バッテリモデルに基づいて決定し、
前記k+1番目のスイッチング期間の前記非ターゲットバッテリの状態情報を、前記非ターゲットバッテリの前記k+1番目のスイッチング期間の状態変化量に基づいて決定するコントローラを含むバッテリ状態推定装置である。
【0013】
前記状態情報は充電状態情報(SOC)であり得る。
【0014】
前記第1バッテリモデル及び前記第2バッテリモデルは電気化学モデルであり得る。
【0015】
前記一部のバッテリは2つのバッテリであり得る。
【0016】
前記2つのバッテリは、最大SOCバッテリと最小SOCバッテリであり得る。
【0017】
前記状態変化量は、各スイッチング期間中の前記一部のバッテリの状態情報変化量又は前記各スイッチング期間中の電流積算による状態情報変化量に対応し得る。
【0018】
前記コントローラは、前記k番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正し得る。
【0019】
前記コントローラは、前記k+1番目のスイッチング期間の前記ターゲットバッテリの前記状態情報を補正し得る。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、バッテリ状態推定を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態に係るバッテリシステムを説明するための図である。
図2】一実施形態に係るバッテリ状態推定装置の動作を説明するための図である。
図3】一実施形態に係るバッテリ状態推定装置の動作を説明するための図である。
図4】一実施形態に係るバッテリ状態推定装置の動作を説明するための図である。
図5】一実施形態に係るバッテリ状態推定装置の動作を説明するための図である。
図6】一実施形態に係るバッテリ状態推定装置の動作を説明するための図である。
図7】一実施形態に係るスイッチングの順序を説明するための図である。
図8】実施形態に係るスイッチングの順序を説明するための図である。
図9】一実施形態に係るスイッチングの順序を説明するための図である。
図10】一実施形態に係るスイッチングの順序を説明するための図である。
図11】一実施形態に係るバッテリ状態推定方法を説明するためのフローチャートである。
図12】一実施形態に係るバッテリ状態推定装置を説明するためのブロック図である。
図13】一実施形態に係る車両を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態を添付する図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
下記で説明する実施形態は様々な変更が加えられることができる。特許出願の範囲がこのような実施形態によって制限も限定もされることはない。各図面に提示された同じ参照符号は同じ部材を示す。
【0024】
本明細書で開示されている特定の構造的又は機能的な説明は単に実施形態を説明するための目的として例示されたものであり、実施形態は様々な異なる形態で実施され、本明細書に説明された実施形態に限定されることはない。
【0025】
本明細書で用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられるものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0026】
異なる定義がされない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0027】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略する。実施形態の説明において関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0028】
図1は、一実施形態に係るバッテリシステムを説明するための図である。
【0029】
図1を参照すれば、一実施形態に係るバッテリシステム100は、バッテリ110-1ないし110-n、及びバッテリ状態推定装置120を含む。
【0030】
バッテリ110-1ないし110-nのそれぞれは、バッテリセル、バッテリモジュール又はバッテリパックを示す。
【0031】
バッテリ状態推定装置120は、1つ以上のセンサを用いてバッテリ110-1ないし110-nのそれぞれを検出し、各検出データを収集する。検出データは、例えば、電圧データ、電流データ、及び温度データのいずれか1つ、又はその組み合せを含んでもよいが、この例に制限されることはない。
【0032】
バッテリ状態推定装置120は、バッテリ110-1ないし110-nそれぞれの状態情報を決定する。状態情報は、例えば、充電状態情報(State Of Charge:SOC)、寿命状態情報(State Of Health:SOH)などを含んでもよい。以下、図2図6を参照しながらバッテリ状態推定装置120がバッテリ110-1ないし110-nそれぞれの状態情報をどのように決定するかについて詳細に説明する。
【0033】
図2図6は、一実施形態に係るバッテリ状態推定装置を説明するための図である。
【0034】
図2を参照すれば、バッテリ状態推定装置120は、選択器210、推定器220、230、及び240、及び比較器250を含む。
【0035】
選択器210は、バッテリ110-1ないし110-nの検出データを推定器220~240に送信する。一例として、Nthアップデート期間で、選択器210は、最大バッテリの検出データを選択して第1推定器220に送信し、最小バッテリの検出データを選択して第2推定器230に送信し、最大バッテリ及び最小バッテリを除いた残りのバッテリの検出データを第3推定器240に送信する。最大バッテリ及び最小バッテリは、比較器250によって決定される。以前アップデート期間におけるバッテリ110-1ないし110-nの最終状態情報のうち、最大値を有するバッテリが最大バッテリに該当し、最小値を有するバッテリが最小バッテリに該当する。
【0036】
第1推定器220は、最大バッテリの検出データに基づいて最大バッテリの状態情報を決定する。一例として、第1推定器220は、Nthアップデート期間で最大バッテリの検出データ及び第1バッテリモデルを用いて最大バッテリの状態情報を決定し得る。第1推定器220は、Nthアップデート期間における最大バッテリの最終状態情報を比較器250に送信する。
【0037】
同様に、第2推定器230は、最小バッテリの検出データに基づいて最小バッテリの状態情報を決定する。一例として、第2推定器230は、Nthアップデート期間で最小バッテリの検出データ及び第2バッテリモデルを用いて最小バッテリの状態情報を決定し得る。第2推定器230は、Nthアップデート期間における最小バッテリの最終状態情報を比較器250に送信する。
【0038】
第3推定器240は、最大バッテリ及び最小バッテリを除いた残りのバッテリの状態情報を決定する。一例として、第3推定器240は、Nthアップデート期間でスイッチング期間ごとにターゲットバッテリを選択してもよい。各スイッチング期間で選択されていないバッテリは、非ターゲットバッテリと表現される。第3推定器240は、各スイッチング期間で、各スイッチング期間のターゲットバッテリの状態情報を、該当ターゲットバッテリの検出データ及び第3バッテリモデルを用いて決定する。各スイッチング期間の非ターゲットバッテリの状態情報は、該当の非ターゲットバッテリの以前スイッチング期間における状態情報、及び該当スイッチング期間中の状態変化量に基づいて決定する。状態変化量は、例えば、該当スイッチング期間中の電流積算(coulomb counting)による状態変化量、該当のスイッチング期間中の最大バッテリの状態変化量、及び該当スイッチング期間中の最小バッテリの状態変化量のいずれか1つ又は2以上の組み合せの平均に該当する。状態変化量については後述する。
【0039】
第3推定器240は、ターゲットバッテリの状態情報を決定するときは第3バッテリモデルを利用するが、非ターゲットバッテリの状態情報を決定するときは第3バッテリモデルを利用しない。現在のスイッチング期間におけるターゲットバッテリは、最大バッテリ及び最小バッテリを除いた残りのうち、先行するスイッチング期間で第3バッテリモデルが利用されて状態情報が決定されたバッテリと相違するように選択される。第3推定器240は、Nthアップデート期間における最大及び最小バッテリを除いた残りのバッテリの最終状態情報を比較器250に送信する。
【0040】
前述した第1バッテリモデル、第2バッテリモデル、及び第3バッテリモデルは、例えば、電気回路モデル(Electrical Circuit Model)又は電気化学的モデル(Electrochemical Model)であってもよいが、この例に制限されることはない。
【0041】
第3推定器240は、1つのバッテリモデル(言い換えれば、前述した1つの第3バッテリモデル)を含んでもよい。実施形態によって、バッテリ110-1ないし110-nの個数が特定個数(例えば、20個)を超過すれば、第3推定器240は、2以上のバッテリモデルを含んでもよい。
【0042】
比較器250は、バッテリ110-1ないし110-nそれぞれの最終状態情報を比較し、比較結果に基づいて最大バッテリ及び最小バッテリを再び決定する。
【0043】
以下、図3図6を参照しながら、Nthアップデート期間中に選択器210、推定器220~240、及び比較器250がどのように動作するかについて詳細に説明する。
【0044】
図3に示された例において、バッテリ1~12のうち、バッテリ1が最大バッテリに該当し、バッテリ5が最小バッテリに該当する場合、Nthアップデート期間で第1推定器220は、選択器210からバッテリ1の検出データが入力され、第2推定器230は、選択器210からバッテリ5の検出データが入力される。言い換えれば、バッテリ1~12それぞれのN-1thアップデート期間における状態情報SOCN-1#1、SOCN-1#2、...、SOCN-1#12のうち、SOCN-1#1が最大値であり、SOCN-1#5が最小値である場合、比較器250は、バッテリ1をNthアップデート期間における最大バッテリとして決定し、バッテリ5をNthアップデート期間における最小バッテリとして決定し、バッテリ1の識別情報「1」とバッテリ5の識別情報「5」を選択器210に送信する。N-1thアップデート期間が終了してNthアップデート期間が開始される場合、選択器210は、第1推定器220にバッテリ1の検出データを送信し、バッテリ5の検出データ第2推定器230に送信する。
【0045】
第3推定器240は、Nthアップデート期間でバッテリ1及び5を除いた残りの検出データ、言い換えれば、バッテリ2~4及び6~12それぞれの検出データが選択器210から入力される。
【0046】
第1推定器220は、Nthアップデート期間の1stスイッチング期間でバッテリ1の検出データ及び第1バッテリモデルを用いてバッテリ1の状態情報SOCN_1#1を決定し得る。ここで、SOCN_1#1は、第1バッテリモデルがバッテリ1の検出データを用いて演算を行った結果である。SOCN_1#1における下付文字NはNthアップデート期間を示し、下付文字1は1stスイッチング期間を示し、#1はバッテリ1を示す。
【0047】
第2推定器230は、Nthアップデート期間の1stスイッチング期間でバッテリ5の検出データ及び第2バッテリモデルを用いてバッテリ5の状態情報SOCN_1#5を決定し得る。ここで、SOCN_1#5は、第2バッテリモデルがバッテリ5の検出データを用いて演算を行った結果である。
【0048】
第3推定器240は、バッテリ1及び5を除いた残りのスイッチングの順序を考慮し、残りのうちバッテリ2をNthアップデート期間の1stスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択する。スイッチングの順序について、図7を参照して後述する。1stスイッチング期間でバッテリ3~4及び6~12は、非ターゲットバッテリに該当する。
【0049】
第3推定器240は、1stスイッチング期間のターゲットバッテリの状態情報を決定し得る。一例として、第3推定器240は、バッテリ2の検出データで1stスイッチング期間に該当する検出データを抽出し、抽出された検出データ及び第3バッテリモデルを用いてバッテリ2の状態情報αを決定する。ここで、αは、第3バッテリモデルと抽出された検出データとを用いて演算を行った結果である。
【0050】
第3推定器240は、1stスイッチング期間の非ターゲットバッテリの状態情報を決定し得る。一実施形態において、第3推定器240は、1stスイッチング期間中の状態変化量Δを算出し、該当の非ターゲットバッテリのN-1thアップデート期間における最終状態情報及びΔに基づいて該当非ターゲットバッテリの状態情報を決定する。状態変化量Δは、例えば、1stスイッチング期間中の電流積算による状態変化量ΔSOCcoulomb counting、stスイッチング期間中のバッテリ1の状態情報変化量ΔSOCN_1#1、及び1stスイッチング期間中のバッテリ5の状態情報変化量ΔSOCN_1#5のうち、1つ又は2以上の組み合せの平均であり得る。ΔSOCcoulomb countingについては後述する。
【0051】
一例として、第3推定器240は、バッテリ3のN-1thアップデート期間における最終状態情報SOCN-1#3にΔを加え、SOCN-1#3+Δをバッテリ3の1stスイッチング期間における状態情報として決定する。これと類似して、第3推定器240は、残りの非ターゲットバッテリのN-1thアップデート期間における状態情報にΔを加え、1stスイッチング期間における残りの非ターゲットバッテリの状態情報を決定する。
【0052】
次の表1は、1stスイッチング期間におけるバッテリ1~12それぞれの状態情報の一例を示す。
【0053】
【表1】
【0054】
一実施形態において、Δの例のうち、1つのΔSOCcoulomb countingは次の数式(1)により算出されてもよい。
【0055】
【数1】
数式(1)において、tは1stスイッチング期間の開始時点を示し、tは1stスイッチング期間の終了時点を示し、reference capacityは、予め設定された値にバッテリ1~12と同じ種類のバッテリの総キャパシティを示す。Iはバッテリ1~12の電流を示す。バッテリ1~12が互いに直列に接続されれば、バッテリ1~12には同じ電流が流れる。そのため、上記の表1の一例のように、第3推定器240は、バッテリ3~4及び6~12それぞれの状態情報を決定するために、同一のΔSOCcoulomb countingを用いることができる。一実施形態では、バッテリ1~12は並列に接続されてもよい。バッテリ1~12に同じ電流が流れない場合、第3推定器240は、バッテリ3~4及び6~12それぞれの1stスイッチング期間中の電流検出結果及び前述したreference capacityに基づいて、バッテリ3~4及び6~12それぞれの電流積算による状態変化量を算出し得る。ここで、1stスイッチング期間中の電流検出結果の代わりに、並列接続されたバッテリ1~12に1stスイッチング期間中に流れた電流量をバッテリ数で割った値(言い換えれば、平均電流量)を用いてもよい。一例として、該当の平均電流量は、1stスイッチング期間中の電流検出結果がない場合、バッテリ3~4及び6~12それぞれの電流積算による状態変化量を算出するために用いてもよい。第3推定器240は、バッテリ3~4及び6~12それぞれのN-1thアップデート期間における状態情報にバッテリ3~4及び6~12それぞれの電流積算による状態変化量を加え、1stスイッチング期間におけるバッテリ3~4及び6~12それぞれの状態情報を決定し得る。
【0056】
図4を参照すれば、2ndスイッチング期間で第1推定器220は、バッテリ1の検出データ及び第1バッテリモデルを用いてバッテリ1の状態情報SOCN_2#1を決定し、第2推定器230は、バッテリ5の検出データ及び第2バッテリモデルを用いてバッテリ5の状態情報SOCN_2#5を決定する。Nthアップデート期間で第1推定器220は、バッテリ1の状態情報のみを決定し、第2推定器230はバッテリ5の状態情報のみを決定する。
【0057】
第3推定器240は、スイッチングの順序を考慮して、バッテリ3を2ndスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択する。2ndスイッチング期間で、バッテリ1及び5を除いた残りのうち、バッテリ2、4、及び6~12は非ターゲットバッテリに該当する。1stスイッチング期間のターゲットバッテリに選択されたバッテリ2は、他のスイッチング期間では非ターゲットバッテリに該当する。
【0058】
第3推定器240は、バッテリ3の検出データで2ndスイッチング期間に該当する検出データを抽出し、抽出された検出データ及び第3バッテリモデルを用いて、バッテリ3の2ndスイッチング期間における状態情報αを決定する。言い換えれば、第3推定器240は、抽出された検出データを第3バッテリモデルに入力し、第3バッテリモデルは、入力データからバッテリ3の2ndスイッチング期間における状態情報αを導き出して出力できる。ここで、第3推定器240はαを補正し得る。
【0059】
図5を参照して補正について説明すると、2ndスイッチング期間でターゲットバッテリは、バッテリ2からバッテリ3にスイッチングされ、第3バッテリモデルは、バッテリ2の検出データではないバッテリ3の検出データが入力される。言い換えれば、スイッチングの時点で、第3バッテリモデルの入力データ510と入力データ520との間に不連続性が存在し得る。このような不連続性が存在する状態で、第3バッテリモデルが入力データ520から状態情報を導き出して出力すると、第3バッテリモデルの出力は、グラフ530のようにスイッチング時点で不連続的である。実施形態によれば、第3推定器240は、各スイッチング期間における第3バッテリモデルの出力を別に構築された補正モデル又はフィルタ(一例として、カルマンフィルタ)を用いて補正してもよい。そのため、補正された出力は、グラフ540のように連続的であり得る。一実施形態によれば、第3バッテリモデルに補正機能が内蔵されており、第3バッテリモデルの出力がグラフ540のように連続的であってもよい。
【0060】
再び図4に戻って、第3推定器240は、2ndスイッチング期間中の状態変化量Δを算出する。上記でΔに対する説明がΔに適用されてよいため、Δに対する詳細な説明は省略する。第3推定器240は、2ndスイッチング期間の非ターゲットバッテリ(すなわち、バッテリ2、4、及び6~12)の以前スイッチング期間に対する状態情報とΔに基づいて、2ndスイッチング期間の非ターゲットバッテリの状態情報を決定し得る。一例として、第3推定器240は、バッテリ2の1stスイッチング期間における状態情報αにΔを加えてバッテリ2の状態情報を決定し、バッテリ4の1stスイッチング期間における状態情報SOCN-1#4+ΔにΔを加えてバッテリ4の状態情報を決定し得る。これと類似して、第3推定器240は、2ndスイッチング期間に対するバッテリ6~12それぞれの状態情報を決定し得る。次の表2は、2ndスイッチング期間におけるバッテリ1~12それぞれの状態情報の一例を示す。
【0061】
【表2】
【0062】
thアップデート期間の残りのスイッチング期間それぞれに対して推定器220~240は、図3図5を参照して説明した方法により動作する。
【0063】
図6には、推定器220~240それぞれのNthアップデート期間中の動作結果の一例が示されている。図6を参照すれば、第1推定器220は、全体スイッチング期間でバッテリ1の検出データ及び第1バッテリモデルを用いてバッテリ1の状態情報を決定し、第2推定器230は、全体スイッチング期間でバッテリ5の検出データ及び第2バッテリモデルを用いてバッテリ5の状態情報を決定する。第1推定器220の出力SOC#1は、Nthアップデート期間で決定されたバッテリ1の最終状態情報に該当し、第2推定器230の出力SOC#5は、Nthアップデート期間で決定されたバッテリ5の最終状態情報に該当する。
【0064】
第3推定器240は、Nthアップデート期間の個別スイッチング期間のターゲットバッテリの状態情報を該当ターゲットバッテリの検出データ及び第3バッテリモデルを用いて決定し、Nthアップデート期間の個別スイッチング期間の非ターゲットバッテリの状態情報を非ターゲットバッテリの以前スイッチング期間における状態情報及び個別スイッチング期間中の状態変化量に基づいて決定し得る。一例として、第3推定器240は、最後のスイッチング期間のターゲットバッテリであるバッテリ12の状態情報を、バッテリ12の最後のスイッチング期間中の検出データ及び第3バッテリモデルを用いて決定し、最後のスイッチング期間におけるバッテリ2の状態情報を、バッテリ2の9thスイッチング期間における状態情報α+Δ+Δ+...+Δに最後のスイッチング期間中の状態変化量Δ10を加えて決定し得る。
【0065】
次の表3は、Nthアップデート期間で決定されたバッテリ1~12それぞれの最終状態情報の一例を示す。
【0066】
【表3】
【0067】
比較器250は、SOC#1、...、.SOC#12を推定器220~240から受信し、SOC#1、...、.SOC#12に基づいて最大バッテリ及び/又は最小バッテリを再び決定する。一例として、SOC#3が最大値であり、SOC#8が最小値である場合、比較器250は、最大バッテリをバッテリ3に再び決定し、最小バッテリをバッテリ8に再び決定し得る。
【0068】
比較器250は、再び決定された最大バッテリ及び/又は最小バッテリに関する情報を選択器210に送信する。一例として、比較器250は、バッテリ3の識別情報「3」とバッテリ8の識別情報「8」を選択器210に送信してもよい。選択器210は、N+1thアップデート期間でバッテリ3の検出データを第1推定器220に入力し、バッテリ8の検出データを第2推定器230に入力し、バッテリ3及び8を除いた残りの検出データを第3推定器240に入力してもよい。N+1thアップデート期間中の推定器220~240の動作には、Nthアップデート期間中の推定器220~240の動作に対する説明が適用されているため、詳細な説明は省略する。
【0069】
図7図10は、一実施形態に係るスイッチングの順序を説明するための図である。
【0070】
上記で説明したように、第3推定器240は、残りのスイッチングの順序を考慮して、残りのうち1つずつをスイッチング期間それぞれのターゲットバッテリとして選択し得る。
【0071】
一実施形態によれば、スイッチングの順序は、残りの識別情報の順序であってもよい。例えば、その順序は若番順又は老番順であってもよい。図7に示された例を参照すれば、第3推定器240は、Nthアップデート期間の1stスイッチング期間で、バッテリ1及び5を除いたバッテリ2~4及びバッテリ6~12のうち、識別情報が最も小さいバッテリ2を1stスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択し、2ndスイッチング期間でターゲットバッテリを残りのうち2番目に識別情報が小さいバッテリ3として選択する。言い換えれば、第3推定器240は、2ndスイッチング期間でターゲットバッテリをバッテリ2からバッテリ3にスイッチングする。最後のスイッチング期間で、第3推定器240は、バッテリ12を最後のスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択する。一実施形態では、第3推定器240は、残りのうち識別情報が最も大きいバッテリ12を1stスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択してもよい。この場合、第3推定器240は、最後のスイッチング期間でバッテリ2を最後のスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択してもよい。
【0072】
他の実施形態において、スイッチングの順序は、残りの以前アップデート期間における最終状態情報の順序であってもよい。図8に示された例を参照すれば、第3推定器240は、Nthアップデート期間の1stスイッチング期間で、バッテリ1及び5を除いたバッテリ2~4及びバッテリ6~12のうちN-1thアップデート期間における最終状態情報が最も大きいバッテリ3を1stスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択し、2ndスイッチング期間で、残りのうち2番目に状態情報が大きいバッテリ4を2ndスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択してもよく、最後のスイッチング期間で、バッテリ7を最後のスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択してもよい。一実施形態では、逆に、第3推定器240は、残りのうちN-1thアップデート期間における状態情報が最も小さいバッテリ7を1stスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択してもよい。この場合、第3推定器240は、最後のスイッチング期間で、バッテリ3を最後のスイッチング期間のターゲットバッテリとして選択してもよい。
【0073】
更なる実施形態において、第3推定器240は、残りの電圧の大きさ順にターゲットバッテリをスイッチングしてもよい。一例として、第3推定器240は、選択器210から残りの電圧データを受信し、Nthアップデート期間中に残りの電圧が高い順又は低い順にターゲットバッテリをスイッチングしてもよい。
【0074】
更なる実施形態において、第3推定器240は、任意にターゲットバッテリをスイッチングしてもよい。
【0075】
thアップデート期間でバッテリ110-1~110-nそれぞれの最終状態情報が決定された場合、比較器250は、決定された最終状態情報に基づいて最大バッテリ及び/又は最小バッテリを再び決定する。また、比較器250は、N+1thアップデート期間のスイッチングの順序を前述した実施形態のうちの1つによって決定し得る。
【0076】
一実施形態によれば、N+1thアップデート期間中、第3推定器240は、Nthアップデート期間のスイッチングの順序の反対の順に、残りでターゲットバッテリをスイッチングし得る。図9に示された例を参照すれば、第3推定器240は、Nthアップデート期間中に、図7を参照して説明したスイッチングの順序にターゲットバッテリをスイッチングした場合、N+1thアップデート期間中ではその順序の反対の順にターゲットバッテリをスイッチングし得る。言い換えれば、第3推定器240は、N+1thアップデート期間の1stスイッチング期間でバッテリ1及び5を除いた残りのうち、バッテリ12をターゲットバッテリとして選択し、2ndスイッチング期間でターゲットバッテリをバッテリ12からバッテリ11にスイッチングし、以下同様にスイッチングし、最後のスイッチング期間でターゲットバッテリをバッテリ3からバッテリ2にスイッチングしてもよい。
【0077】
図10に示された例を参照すれば、第3推定器240は、Nthアップデート期間中に図8を参照して説明したスイッチングの順序にターゲットバッテリをスイッチングした場合、N+1thアップデート期間の1stスイッチング期間でバッテリ1及び5を除いた残りのうち、バッテリ7をターゲットバッテリとして選択し、2ndスイッチング期間でターゲットバッテリをバッテリ7からバッテリ10にスイッチングし、以下同様にスイッチングし、最後のスイッチング期間でターゲットバッテリをバッテリ4からバッテリ3にスイッチングしてもよい。
【0078】
図7及び図8を参照して説明した例の最大バッテリ及び/又は最小バッテリに対するアップデート周期は、図9及び図10を参照して説明した例の最大バッテリ及び/又は最小バッテリに対するアップデート周期と異なってもよい。図7及び図8を参照して説明した例の場合、アップデート周期はNであってもよく、図9及び図10を参照して説明した例の場合、アップデート周期は2Nであってもよい。
【0079】
図11は、一実施形態に係るバッテリ状態推定方法を説明するためのフローチャートである。
【0080】
一実施形態に係るバッテリ状態推定方法は、バッテリ状態推定装置120によって実行される。
【0081】
図11を参照すれば、バッテリ状態推定装置120は、バッテリ110-1~110-nのうち一部のバッテリの検出データを選択し、推定器220~240のうち1つ又はそれ以上の推定器210及び220に送信し、一部のバッテリを除いた残りの検出データを推定器220~240のうち1つ以上の推定器を除いた残りの推定器240に送信する(S1110)。一部のバッテリは、例えば、図3図10を参照して説明したNthアップデート周期におけるバッテリ1及び5に対応する。
【0082】
バッテリ状態推定装置120は、推定器220~240を介してバッテリ110-1~110-nそれぞれの状態情報を決定する(S1120)。一実施形態によれば、バッテリ状態推定装置120は、推定器210及び220を介して一部のバッテリの状態情報を一部のバッテリの検出データに基づいて決定する。バッテリ状態推定装置120は、推定器240を介してスイッチング期間の個別スイッチング期間のターゲットバッテリの状態情報を該当ターゲットバッテリの検出データに基づいて決定し、推定器240を介して個別スイッチング期間の非ターゲットバッテリの状態情報を該当の非ターゲットバッテリの以前スイッチング期間における状態情報及び個別スイッチング期間中の状態変化量に基づいて決定する。
【0083】
バッテリ状態推定装置120は、バッテリ110-1~110-nそれぞれの決定された状態情報の最大値又は最小値をバッテリ110-1~110-nを含んでいるバッテリセットの状態情報として決定する。一例として、バッテリ状態推定装置120がバッテリパック内のバッテリセルそれぞれの状態情報を決定した場合、バッテリセルそれぞれの決定された状態情報の最大値又は最小値をバッテリパックの状態情報として決定し得る。
【0084】
図1図10を参照して記述された事項は、図11を参照して記述された事項に適用し得るため、詳細な説明は省略する。
【0085】
図12は、一実施形態に係るバッテリ状態推定装置を説明するためのブロック図である。
【0086】
図12を参照すれば、バッテリ状態推定装置120は、メモリ1210及びコントローラ1220を含む。
【0087】
コントローラ1220は、メモリ1210と結合される。また、コントローラ1220は、選択器210、推定器220~240、及び比較器250を実現する。
【0088】
一実施形態によれば、バッテリ状態推定装置120は、上述した方法によりバッテリ110-1~110-nそれぞれのSOCを推定し、従来のSOC推定方式(一例として、SOC-OCVルックアップテーブルを利用した推定方式)よりも推定結果が正確であり、算出時間も減らし得る。
【0089】
図1図11を参照して記述された事項は、図12を参照して記述された事項に適用し得るため、詳細な説明は省略する。
【0090】
バッテリ状態推定装置120は、バッテリ110-1~110-nを電源として用いる様々な電子機器(一例として、車両、歩行補助機器、ドローン、移動端末)に搭載されてもよく、図1図12を参照して説明した動作を行ってもよい。以下、図13を参照して、バッテリ状態推定装置120が車両に搭載された場合について説明する。図13に対する説明は、他の電子機器に対しても適用される。
【0091】
図13は、一実施形態に係る車両を説明するためのブロック図である。
【0092】
図13を参照すれば、車両1300は、バッテリパック1310及びバッテリ管理システム(Battery Management System:BMS)1320を含む。車両1300は、バッテリセルを含むバッテリパック1310を電源として利用する。車両1300は、例えば、電気自動車又はハイブリッド自動車であり得る。
【0093】
バッテリ管理システム1320は、バッテリパック1310に異常が発生したか否かをモニタリングし、バッテリパック1310が過充電又は過放電されないようにする。また、バッテリ管理システム1320は、バッテリパック1310の温度が第1温度(一例として、40℃)を超過したり、第2温度(一例として、-10℃)未満であったりすると、バッテリパック1310に対して温度制御を行う。また、バッテリ管理システム1320は、セルバランシングを行ってバッテリパック1310に含まれたバッテリセル間の充電状態が均等になるようにする。
【0094】
一実施形態によれば、バッテリ管理システム1320は、バッテリ状態推定装置120の動作を行ってバッテリパック1310内のバッテリセルそれぞれの状態情報を決定する。バッテリ管理システム1320がバッテリセルそれぞれの状態情報をどのように決定するかについては、図1図12を参照して説明した内容が適用されるため、その詳細な説明は省略する。
【0095】
バッテリ管理システム1320は、バッテリセルそれぞれの状態情報の最大値又は最小値をバッテリパック1310の状態情報として決定する。バッテリ管理システム1320は、バッテリパック1310の状態情報を車両1300のECU又はVCUに送信する。車両1300のECU又はVCUは、バッテリパック1310の状態情報を車両1300のディスプレイ1330に出力する。
【0096】
実施形態に係る方法は、様々なコンピュータ手段を介して実施されるプログラム命令の形態で具現され、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録される。記録媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独又は組合せて含む。記録媒体及びプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計して構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク及び磁気テープのような磁気媒体、CD-ROM、DYIJDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気-光媒体、及びROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置を含む。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。ハードウェア装置は、本発明に示す動作を実行するために1つ以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成してもよく、その逆も同様である。
【0097】
上述したように実施形態をたとえ限定された図面によって説明したが、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、上記の説明に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる順で実行されるし、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法と異なる形態で結合又は組み合わせられてもよいし、他の構成要素又は均等物によって置き換え又は置換されたとしても適切な結果を達成することができる。
【0098】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されて定められるものではなく、特許請求の範囲及び特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13