(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】発泡剤と鉱物質との間の表面相互作用を調整することによる制御されたポリマー発泡成形
(51)【国際特許分類】
C08J 9/12 20060101AFI20220705BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20220705BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
C08J9/12 CES
C08J9/04 107
C08J9/12 CET
C08J9/12 CFD
C08J9/12 CFF
C08K3/34
(21)【出願番号】P 2018515995
(86)(22)【出願日】2016-10-03
(86)【国際出願番号】 US2016055175
(87)【国際公開番号】W WO2017059430
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-09-24
(32)【優先日】2015-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2015-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】313009947
【氏名又は名称】アイメリーズ フィルトレーション ミネラルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(74)【代理人】
【識別番号】100096943
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(72)【発明者】
【氏名】トリート,ネイル
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ジー
(72)【発明者】
【氏名】アブレー,キャロリーヌ
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-521677(JP,A)
【文献】国際公開第2014/099721(WO,A1)
【文献】特表2016-500396(JP,A)
【文献】特表2012-525472(JP,A)
【文献】国際公開第2003/104311(WO,A1)
【文献】特開昭62-106937(JP,A)
【文献】国際公開第2014/128072(WO,A1)
【文献】特表2016-509109(JP,A)
【文献】特公昭60-029643(JP,B1)
【文献】特表2006-528724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/00-9/42
B29C 44/00-44/60
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーベースの発泡体マトリックスと、
該ポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡内の鉱物質核生成剤と、
を含
む、ポリマー発泡体組成物であって、
該ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はそれらのコポリマーの少なくとも1つを含み、
該鉱物質核生成剤は、ケイ酸カルシウムを含
み、
前記ポリマー発泡体は、約3.0×10
7
/cm
3
以上の気泡密度(N
f
)を有する、
ポリマー発泡体組成物。
【請求項2】
前記ポリマーベースの発泡体マトリックスは、熱可塑性ポリマーマトリックス又は熱可塑性エラストマーマトリックスの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項3】
前記ポリマーベースの発泡体マトリックスの形成のために使用される発泡剤は、CO
2、N
2又は有機ガスの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項4】
前記ポリマーベースの発泡体マトリックス組成物は、前記ポリマー発泡体の50重量%より多い量で存在する、請求項1に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項5】
前記ポリマー発泡体は、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有する、請求項1に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項6】
前記鉱物質核生成剤は、約3.0m
2/g以上のBET表面積を有する、請求項1に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項7】
前記鉱物質核生成剤は、約1μmから約50μmまでの範囲の中央粒度(d
50)を有する、請求項1に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項8】
前記鉱物質核生成剤は、約300重量%以上の吸油量を有する、請求項1に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項9】
ポリマーベースの発泡体マトリックスと、
該ポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡内の鉱物質核生成剤と、
を含み、
該鉱物質核生成剤は、約400重量%以上の吸水量を有
し、二次的鉱物質核生成剤を更に含む、ポリマー発泡体組成物。
【請求項10】
前記鉱物質核生成剤は、約1から約50までの範囲のアスペクト比を有する、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項11】
前記二次的鉱物質核生成剤は、オキシ硫酸マグネシウム、カオリン、ベントナイト、タルク、クロライト質タルク、膨張パーライト粉砕物及び珪藻土から選択される、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項12】
前記鉱物質核生成剤は、層状タルク、微細層状タルク、微結晶質タルク及び大型結晶質タルクの少なくとも1つをさらに含む、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項13】
前記鉱物質核生成剤は、約2.8より大きいラメラリティーインデックスを有する、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項14】
前記ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリオレフィンをさらに含む、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項15】
前記鉱物質核生成剤は、アルカリ土類金属ケイ酸塩を含む、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項16】
前記ポリマー発泡体は、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有する、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項17】
前記ポリマー発泡体は、約3.0×10
7/cm
3以上の気泡密度(N
f)を有する、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項18】
前記鉱物質核生成剤は、約3.0m
2/g以上のBET表面積を有する、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【請求項19】
前記鉱物質核生成剤は、約1μm以上の中央粒度(d
50)を有する、請求項
9に記載のポリマー発泡体組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権主張]
本PCT国際出願は、2015年10月2日付けで出願された米国仮特許出願第62/236,300号及び2015年11月3日付けで出願された欧州特許出願第15290282.1号の優先権の利益を主張し、その主題の全体は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本開示は、核生成剤として少なくとも1種のアルカリ土類金属ケイ酸塩を使用する、改善された多孔質構造を有するポリマーベースの発泡体に関する。本開示はさらに、核生成剤として少なくとも1種のアルカリ土類金属ケイ酸塩を使用する、ポリマーベースの発泡体の提供方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軽量ポリマー材料から形成される軽量構成部材は、食品包装産業及び自動車産業のような多くの用途において使用される。軽量ポリマー材料にまつわる主たる課題の1つは、更に軽量化しながら、それより重い構成部材の機械的特性を維持する構成部材を開発することにある。軽量な構成部材の開発のために考えられる方策には、重量又は密度を減らすために基礎材料の発泡を行うことが含まれることがある。発泡には、気泡核生成剤又は気泡促進剤として作用するために、発泡体中への補強充填剤及び/又は機能的充填剤の導入が含まれることがある。気泡核生成剤は、気泡核生成を高めるためにポリマー発泡過程において使用することができる。核生成剤が存在する場合、核生成が不均質であることが、ポリマー発泡過程の間の気泡核生成の主な状況となる。
【0004】
ポリプロピレン発泡体が知られているが、慣用のポリプロピレンに比べて低い剛性及び機械的強度しか有さず、この場合の発泡過程は、所望な機械的特性を維持しながら重量を減らすには不十分となり得る。原油価格の増大も、プラスチック樹脂及び完成したプラスチック製品の生産コストの増大の一因となっている。プラスチック樹脂のコストは典型的には、任意の所与のプラスチック製品の総コストの50%~60%に達するため、したがってプラスチック製品の機械的特性及びその他の特性を同時に維持しながらプラスチック中の樹脂量を減らすことにより、かなりの経済的恩恵がもたらされ得る。
【0005】
ポリマー発泡体は、ポリマー内に気泡を形成することによって生成される多孔質構造を有する材料として説明することができる。ポリマー発泡体は、その中実類似体に対して、より低い密度、より高い断熱性、高められた消音性、及び調整可能な機械的特性を含む或る特定の利点をもたらすことができる。独立気泡型ポリマー発泡体において、発泡体気泡のサイズ及び分布は、得られる物理的特性に影響を及ぼし得る。例えば、ポリマーの臨界欠陥サイズより小さい気泡サイズを有する発泡体は、破断を制限することができ、機械的特性を犠牲にすることなく重量を減らすことができる。したがって、ポリマー発泡体内の気泡のサイズ及び分布を制御するための複雑でない方策の開発が望まれることとなる。
【0006】
したがって、改善された特性を有するポリマーベースの発泡体を提供することが望まれ得る。また、ポリマーベースの発泡体の製造方法を提供することも望まれ得る。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様によれば、ポリマー発泡体を製造する方法は、ポリマー組成物を準備することと、アルカリ土類金属ケイ酸塩を該ポリマー組成物中に導入することと、ガスを用いて該ポリマー組成物を発泡させて、ポリマー発泡体を形成することとを含むことができる。
【0008】
別の態様によれば、ポリマーマトリックスを製造する方法は、ポリマー組成物を準備することと、アルカリ土類金属ケイ酸塩を用いて該ポリマー組成物を核生成することと、発泡剤を使用して、該ポリマー組成物からポリマー発泡体を形成することとを含むことができる。アルカリ土類金属ケイ酸塩が、ポリマー発泡体中の気泡の核生成を促進する。
【0009】
更なる態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩を導入することは、アルカリ土類金属ケイ酸塩をポリマー組成物中に押出混合法を使用して導入することを含むことができる。
【0010】
更に別の態様によれば、ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性エラストマーの少なくとも1つを含むことができる。別の態様においては、ポリマー組成物は、少なくとも、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリアクリレート並びにそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択されるポリマーを含み得る。別の態様においては、ポリマー組成物は、少なくとも、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(エチルビニルアセテート)、ポリエチレンテレフタレート並びにそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0011】
更に別の態様によれば、ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性エラストマーの少なくとも1つを含むことができる。例えば、ポリマー組成物は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はそれらのコポリマーの少なくとも1つを含むことができる。別の態様によれば、ポリマー組成物は、例えばポリエステル又は尿素-ホルムアルデヒドポリマーのような熱硬化性ポリマーを含み得る。更なる態様によれば、ポリマー組成物は、ポリオレフィンを含み得る。
【0012】
別の態様によれば、発泡剤は、CO2、N2又は有機ガスの少なくとも1つを含むことができる。有機ガスには、例えばヘキサン、プロパン、ブタン、n-ブタン、i-ブタン、ペンタン、i-ペンタン、n-ペンタン、CHF2Cl、CF2ClCH3、CHF2CH3、CHCl2CF3、CHFClCF2Cl、CHFClCF3、CH2FCF3、CH3CF3、CFCl3、CF2Cl2、CFCl2CF2Cl、CF2ClCF2Cl、CH3Cl又はCH2Cl2が含まれ得る。
【0013】
更に別の態様によれば、ポリマー組成物は、ポリマー発泡体の主成分とすることができる。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー発泡体の重量に対して約50重量%より多い量で、ポリマー発泡体の重量に対して、約55重量%より多い量で、約60重量%より多い量で、約65重量%より多い量で、約70重量%より多い量で、約75重量%より多い量で、約80重量%より多い量で、約85重量%より多い量で、約90重量%より多い量で、約92重量%より多い量で、約95重量%より多い量で、約96重量%より多い量で、約97重量%より多い量で、約98重量%より多い量で、約98.5重量%より多い量で、約99重量%より多い量で、約99.5重量%より多い量で、又は約99.7重量%より多い量で存在し得る。
【0014】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩又は核生成剤は、ポリマー発泡体の重量に対して約1重量%から約30重量%までの範囲の量で、例えばポリマー発泡体の重量に対して、約5重量%から約20重量%までの、約5重量%から約15重量%までの、約10重量%から約20重量%までの、約15重量%から約25重量%までの、又は約20重量%から約25重量%までの範囲の量で存在し得る。
【0015】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ベリリウム、ケイ酸ストロンチウム又はケイ酸バリウムの少なくとも1つが含まれ得る。別の態様においては、ケイ酸カルシウムには、合成ケイ酸カルシウムが含まれ得る。別の態様においては、ケイ酸カルシウムは、例えばウォラストナイトのような天然ケイ酸カルシウムを含み得る。別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、例えば珪藻土由来のケイ酸カルシウムのような誘導ケイ酸カルシウムが含まれ得る。別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、アルカリ土類金属ケイ酸塩のブレンドが含まれ得る。別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、アルカリ土類金属ケイ酸塩に加えて、二次的鉱物質が含まれ得る。
【0016】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、二次的鉱物質としてオキシ硫酸マグネシウムが含まれ得る。一態様においては、オキシ硫酸マグネシウムは、約1から約50までの、例えば約1から約40までの、又は約10から約40までの範囲のアスペクト比を有し得る。別の態様においては、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、カオリン、ベントナイト、タルク、クロライト質タルク、膨張パーライト粉砕物及び珪藻土から選択される二次的鉱物質が含まれ得る。
【0017】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、官能化されたアルカリ土類金属ケイ酸塩が含まれ得る。官能化されたアルカリ土類金属ケイ酸塩は、1種以上のガス又はポリマー組成物との相互作用を高め得る表面処理が施されてよい。例えば、表面処理は、アルカリ土類金属ケイ酸塩に疎水性特性を付与し得る。別の態様によれば、表面処理は、シラン、シリコーン油、シロキサン、脂肪酸、その塩又はそのエステルを含み得る。別の態様によれば、脂肪酸、その塩又はそのエステルは、C8以上の鎖長を有し得る。別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、アルカリ土類金属ケイ酸塩に加えて、二次的鉱物質が含まれ得る。
【0018】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、二次的鉱物質としてオキシ硫酸マグネシウムが含まれ得る。一態様においては、オキシ硫酸マグネシウムは、約1から約50までの、例えば約1から約40までの、又は約10から約40までの範囲のアスペクト比を有し得る。別の態様においては、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、カオリン、ベントナイト、タルク、クロライト質タルク、膨張パーライト粉砕物及び珪藻土から選択される二次的鉱物質が含まれ得る。別の態様によれば、タルク又はクロライト質タルクには、層状タルク、微細層状タルク、微結晶質タルク及び大型結晶質タルクの少なくとも1つが含まれ得る。
【0019】
別の態様によれば、例えばアルカリ土類金属ケイ酸塩のような鉱物質核生成剤は、高いアスペクト比を有し得る。
【0020】
なおも更なる態様によれば、タルク又はクロライト質タルクには、高アスペクト比のタルク、高アスペクト比の層状タルク、高アスペクト比の微細層状タルク、高アスペクト比のクロライト質タルク、高アスペクト比の層状クロライト質タルク、及び高アスペクト比の微細層状クロライト質タルクの1つ以上が含まれ得る。
【0021】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤の高いアスペクト比は、湿式粉砕法によって達成することができる。
【0022】
更に別の態様によれば、鉱物質核生成剤には、タルクとクロライト質タルクとのブレンドが含まれ得る。例えば、鉱物質核生成剤は、鉱物質としてタルクを含み、かつ二次的鉱物質としてクロライト質タルクを含むか、又は鉱物質としてクロライト質タルクを含み、かつ二次的鉱物質としてタルクを含み得る。
【0023】
更なる態様によれば、ポリマー発泡体組成物は、約1000MPa以上、例えば約1300MPa以上、約1500MPa以上、約1700MPa以上、約2000MPa以上、約2100MPa以上、約2300MPa以上、又は約2500MPa以上の曲げ弾性率を有し得る。
【0024】
別の態様によれば、ポリマー発泡体組成物は、約1000MPaから約3000MPaまでの範囲の、例えば約1300MPaから約2800MPaまでの範囲の、約1500MPaから約2300MPaまでの範囲の、又は約2000MPaから約2600MPaまでの範囲の曲げ弾性率を有し得る。
【0025】
別の態様によれば、ポリマー発泡体組成物は、第一の曲げ弾性率を有し得る。第一の曲げ弾性率は、鉱物質及び二次的鉱物質の一方を個別に含む鉱物質核生成剤を有する比較用ポリマー発泡体組成物の曲げ弾性率よりも大きくてよい。
【0026】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤と二次的鉱物質核生成剤とを有するポリマー発泡体組成物は、鉱物質及び二次的鉱物質の一方を個別に含む鉱物質核生成剤を有するポリマー発泡体組成物に対して悪影響が及ぼされない耐衝撃性を有し得る。
【0027】
なおも更なる態様によれば、ポリマー発泡体組成物は、同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約5%以上の重量軽減、例えば同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約10%以上、約15%以上、又は約20%以上の重量軽減を示し得る。
【0028】
更に別の態様によれば、ポリマー発泡体組成物は、同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約5%から約30%までの範囲の重量軽減を示し得る。
【0029】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約2.8より大きい、例えば約3.0以上、約3.5以上、又は約4.0以上のラメラリティーインデックスを有し得る。
【0030】
更に別の態様によれば、ポリマー発泡体は、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約400μm以下、約350μm以下、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約25μm以下、又は約20μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0031】
更に別の態様によれば、ポリマー発泡体は、約10μmから約450μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約100μmから約400μmまでの、約100μmから約300μmまでの、約50μmから約250μmまでの、約10μmから約100μmまでの、約200μmから約400μmまでの、約200μmから約300μmまでの、約100μmから約150μmまでの、約10μmから約50μmまでの、約10μmから約30μmまでの、又は約50μmから約100μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0032】
別の態様によれば、ポリマー発泡体は、ポリマー組成物の臨界欠陥サイズ未満の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0033】
更なる態様によれば、ポリマー発泡体は、約3.0×107/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約5.0×107/cm3以上、約7.0×107/cm3以上、約8.0×107/cm3以上、約9.0×107/cm3以上、約1.0×108/cm3以上、約1.3×108/cm3以上、約1.5×108/cm3以上、約1.8×108/cm3以上、約2.0×108/cm3以上、約2.3×108/cm3以上、約2.5×108/cm3以上、約2.8×108/cm3以上、又は約3.0×108/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0034】
更なる態様によれば、ポリマー発泡体は、約3.0×107/cm3から約4.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約5.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約7.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約2.0×108/cm3までの、約2.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約3.0×108/cm3から約4.0×108/cm3までの、約1.5×108/cm3から約2.5×108/cm3までの、約5.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの、又は約7.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0035】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約3.0m2/g以上のBET表面積を有し得る。例えば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約10m2/g以上、約50m2/g以上、約75m2/g以上、約90m2/g以上、約100m2/g以上、約150m2/g以上、約200m2/g以上、約250m2/g以上、又は約300m2/g以上のBET表面積を有し得る。
【0036】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約3.0m2/gから約300m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。例えば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約3m2/gから約30m2/gまでの、約10m2/gから約100m2/gまでの、約100m2/gから約300m2/gまでの、約50m2/gから約150m2/gまでの、約10m2/gから約50m2/gまでの、約3m2/gから約25m2/gまでの、約150m2/gから約250m2/gまでの、約200m2/gから約300m2/gまでの、又は約100m2/gから約200m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。
【0037】
更に別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1μm以上、例えば約3μm以上、約5μm以上、約7μm以上、約9μm以上、約10μm以上、約11μm以上、約12μm以上、約13μm以上、約14μm以上、又は約15μm以上の中央粒度(d50)を有し得る。
【0038】
更に別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1μmから約15μmまでの、例えば約1μmから約5μmまでの、約5μmから約10μmまでの、約10μmから約15μmまでの、約1μmから約3μmまでの、約3μmから約6μmまでの、約6μmから約9μmまでの、約9μmから約12μmまでの、又は約12μmから約15μmまでの範囲の中央粒度(d50)を有し得る。
【0039】
別の態様によれば、上記方法は、押出混合及び発泡成形の2段階法を含み得る。更に別の態様によれば、上記方法は、射出発泡成形の1段階法を含み得る。
【0040】
なおも別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約300重量%以上、例えば約320重量%以上、約350重量%以上、約370重量%以上、約400重量%以上、約420重量%以上、又は約450重量%以上の吸油量を有し得る。
【0041】
なおも別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約400重量%以上、例えば約420重量%以上、約450重量%以上、約470重量%以上、約500重量%以上、約520重量%以上、約550重量%以上、又は約570重量%以上の吸水量を有し得る。
【0042】
更に別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1から約50までの範囲の、例えば約1から約25までの範囲の、約1.5から約20までの範囲の、約2から約10までの範囲の、約10から約40までの範囲の、又は約20から約40までの範囲のアスペクト比を有し得る。
【0043】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、塩基性pHを有し得る。例えば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、7より高い、約8以上、約9以上、又は約10以上のpHを有し得る。
【0044】
別の態様によれば、ポリマー発泡体は、それぞれの未発泡の基礎材料と比較して、約0.20から0.90までの範囲の、例えば約0.25から約0.40までの、約0.40から約0.60までの、約0.60から約0.80までの、約0.25から約0.35までの、約0.35から約0.50までの、約0.50から約0.75までの、又は約0.60から約0.75までの範囲の相対密度を有し得る。
【0045】
別の態様によれば、ポリマー発泡体組成物は、ポリマーベースの発泡体マトリックス、及びポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡内の鉱物質核生成剤を含むことができる。
【0046】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、アルカリ土類金属ケイ酸塩を含むことができる。別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、オキシ硫酸マグネシウム、カオリン、タルク、クロライト質タルク、パーライト、膨張パーライト粉砕物、珪藻土、ガラスカレット、長石、かすみ石閃長岩、又はベントナイトの少なくとも1つを含むことができる。別の態様によれば、タルク又はクロライト質タルクは、層状タルク、微細層状タルク、微結晶質タルク及び大型結晶質タルクの少なくとも1つを含むことができる。
【0047】
一般に、個々のタルク小板(数千の基本薄板)の個々の小板サイズ、すなわちSedigraph法により測定される中央粒度は、鉱床の形成条件に応じて、約1μmから100μm超まで変動し得る。個々の小板サイズは、タルクのラメラリティーを決定する。ラメラリティーの高い(highly lamellar)タルクは、大きな個々の小板を有することとなり、一方で、微結晶質タルクは、小さい小板を有することとなる。全てのタルクは、層状であるとみなすことができるが、それらの小板サイズは、鉱床ごとに異なる。小さい結晶は、微結晶質タルクとして知られる小型で緻密な鉱石をもたらす。大きな結晶は、大型結晶質タルクとして知られる薄層となる。既知の微結晶質タルク鉱床は、モンタナ州(イエローストーン)及びオーストラリア(スリースプリングス)に位置している。微結晶質構造において、タルク基本粒子は、より大きい小板から構成される大型結晶質構造と比較して小さい小板から構成されている。
【0048】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、高いアスペクト比を有し得る。なおも別の態様によれば、タルク又はクロライト質タルクには、高アスペクト比のタルク、高アスペクト比の層状タルク、高アスペクト比の微細層状タルク、高アスペクト比のクロライト質タルク、高アスペクト比の層状クロライト質タルク、及び高アスペクト比の微細層状クロライト質タルクの1つ以上が含まれ得る。
【0049】
更なる態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、熱可塑性ポリマーマトリックス又は熱可塑性エラストマーマトリックスの少なくとも1つを含むことができる。更に別の態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリエチレンマトリックス、ポリスチレンマトリックス、ポリプロピレンマトリックス、ポリウレタンマトリックス、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)マトリックス、ポリエチレンテレフタレート(PET)マトリックス又はそれらのコポリマーマトリックスの少なくとも1つを含むことができる。更なる態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリオレフィンマトリックスを含むことができる。
【0050】
別の態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスの形成のために使用される発泡剤は、CO2、N2又は有機ガスの少なくとも1つを含むことができる。有機ガスには、例えばヘキサン、プロパン、ブタン、n-ブタン、i-ブタン、ペンタン、i-ペンタン、n-ペンタン、CHF2Cl、CF2ClCH3、CHF2CH3、CHCl2CF3、CHFClCF2Cl、CHFClCF3、CH2FCF3、CH3CF3、CFCl3、CF2Cl2、CFCl2CF2Cl、CF2ClCF2Cl、CH3Cl又はCH2Cl2が含まれ得る。
【0051】
更に別の態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリマー発泡体組成物の主成分とすることができる。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリマー発泡体組成物の重量に対して約50重量%より多い量で、ポリマー発泡体組成物の重量に対して、約55重量%より多い量で、約60重量%より多い量で、約65重量%より多い量で、約70重量%より多い量で、約75重量%より多い量で、約80重量%より多い量で、約85重量%より多い量で、約90重量%より多い量で、約92重量%より多い量で、約95重量%より多い量で、約96重量%より多い量で、約97重量%より多い量で、約98重量%より多い量で、約98.5重量%より多い量で、約99重量%より多い量で、約99.5重量%より多い量で、又は約99.7重量%より多い量で存在し得る。
【0052】
別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩又は核生成剤は、ポリマー発泡体組成物の重量に対して約1重量%から約30重量%までの範囲の量で、例えばポリマー発泡体組成物の重量に対して、約5重量%から約20重量%までの、約5重量%から約15重量%までの、約10重量%から約20重量%までの、約15重量%から約25重量%までの、又は約20重量%から約25重量%までの範囲の量で存在し得る。
【0053】
なおも別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ベリリウム、ケイ酸ストロンチウム又はケイ酸バリウムの少なくとも1つが含まれ得る。別の態様においては、ケイ酸カルシウムには、合成ケイ酸カルシウムが含まれ得る。別の態様においては、ケイ酸カルシウムは、例えばウォラストナイトのような天然ケイ酸カルシウムを含み得る。幾つかの実施の形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、例えば珪藻土由来のケイ酸カルシウムのような誘導ケイ酸カルシウムが含まれ得る。別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、アルカリ土類金属ケイ酸塩のブレンドが含まれ得る。
【0054】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤には、官能化されたアルカリ土類金属ケイ酸塩が含まれ得る。官能化された鉱物質核生成剤は、1種以上のガス又はポリマー組成物との相互作用を高める表面処理が施されてよい。
【0055】
更に別の態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約400μm以下、約350μm以下、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約25μm以下、又は約20μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0056】
更に別の態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約10μmから約450μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約100μmから約400μmまでの、約100μmから約300μmまでの、約50μmから約250μmまでの、約10μmから約100μmまでの、約200μmから約400μmまでの、約200μmから約300μmまでの、約100μmから約150μmまでの、約10μmから約50μmまでの、約10μmから約30μmまでの、又は約50μmから約100μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0057】
別の態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリマーの臨界欠陥サイズ未満の平均気泡サイズを有し得る。
【0058】
更なる態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約3.0×107/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約5.0×107/cm3以上、約7.0×107/cm3以上、約8.0×107/cm3以上、約9.0×107/cm3以上、約1.0×108/cm3以上、約1.3×108/cm3以上、約1.5×108/cm3以上、約1.8×108/cm3以上、約2.0×108/cm3以上、約2.3×108/cm3以上、約2.5×108/cm3以上、約2.8×108/cm3以上、又は約3.0×108/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0059】
更なる態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約3.0×107/cm3から約4.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約5.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約7.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約2.0×108/cm3までの、約2.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約3.0×108/cm3から約4.0×108/cm3までの、約1.5×108/cm3から約2.5×108/cm3までの、約5.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの、又は約7.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0060】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約3.0m2/g以上のBET表面積を有し得る。例えば、鉱物質核生成剤は、約10m2/g以上、約50m2/g以上、約75m2/g以上、約90m2/g以上、約100m2/g以上、約150m2/g以上、約200m2/g以上、約250m2/g以上、又は約300m2/g以上のBET表面積を有し得る。
【0061】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約3.0m2/gから約300m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。例えば、鉱物質核生成剤は、約3m2/gから約30m2/gまでの、約10m2/gから約100m2/gまでの、約100m2/gから約300m2/gまでの、約50m2/gから約150m2/gまでの、約10m2/gから約50m2/gまでの、約3m2/gから約25m2/gまでの、約150m2/gから約250m2/gまでの、約200m2/gから約300m2/gまでの、又は約100m2/gから約200m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。
【0062】
更に別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約1μm以上、例えば約3μm以上、約5μm以上、約7μm以上、約9μm以上、約10μm以上、約11μm以上、約12μm以上、約13μm以上、約14μm以上、又は約15μm以上の中央粒度(d50)を有し得る。
【0063】
更に別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約1μmから約15μmまでの、例えば約1μmから約5μmまでの、約5μmから約10μmまでの、約10μmから約15μmまでの、約1μmから約3μmまでの、約3μmから約6μmまでの、約6μmから約9μmまでの、約9μmから約12μmまでの、又は約12μmから約15μmまでの範囲の中央粒度(d50)を有し得る。
【0064】
なおも別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約300重量%以上、例えば約320重量%以上、約350重量%以上、約370重量%以上、約400重量%以上、約420重量%以上、又は約450重量%以上の吸油量を有し得る。
【0065】
なおも別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約400重量%以上、例えば約420重量%以上、約450重量%以上、約470重量%以上、約500重量%以上、約520重量%以上、約550重量%以上、又は約570重量%以上の吸水量を有し得る。
【0066】
更に別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、約1から約50までの範囲の、例えば約1から約25までの範囲の、約1.5から約20までの範囲の、約2から約10までの範囲の、約10から約40までの範囲の、又は約20から約40までの範囲のアスペクト比を有し得る。
【0067】
別の態様によれば、ポリマー発泡体組成物は、それぞれの未発泡の基礎材料と比較して、約0.20から0.90までの範囲の、例えば約0.25から約0.40までの、約0.40から約0.60までの、約0.60から約0.80までの、約0.25から約0.35までの、約0.35から約0.50までの、約0.50から約0.75までの、又は約0.60から約0.75までの範囲の相対密度を有し得る。
【0068】
例示的な実施形態を、以下の図面を参照することにより更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【
図1】ポリウレタン発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図2】例示的ポリマー発泡体についての、気泡直径の、ケイ酸カルシウムの重量パーセントに対するグラフを示す図である。
【
図3】例示的なポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図4】例示的なEVAポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図5】例示的なポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図6】例示的なポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図7】例示的なPETポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図8】例示的なポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図9】例示的なポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図10】例示的なポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【
図11】例示的なポリエチレンテレフタレート(PET)ポリマー発泡体の走査型電子顕微鏡(SEM)像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
幾つかの実施形態によれば、本開示は、アルカリ土類金属核生成剤を使用して製造されるポリマー発泡体を提供し得る。
【0071】
本明細書で使用される場合に、「表面積」とは、BET表面積を指す。本明細書で使用される「BET表面積」は、ブルナウアー、エメット及びテラー(「BET」)の理論による物理的吸収分子の比表面積を計算するための技術に対するものである。BET表面積は、吸着ガスとして窒素を使用してMicromeritics Instrument Corporation社(米国、ジョージア州、ノークロス)から入手可能なASAP(商標)2460表面積多孔度分析装置を用いて測定することができる。
【0072】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、Jennings理論によるアスペクト比を有し得る。アスペクト比のJennings理論(又はJennings近似)は、プラハの化学技術研究所のガラス及びセラミックスの部門並びにドイツのチュービンゲン大学の地球科学研究所のW. Pabst、E. Gregorova及びC. Bertholdによって行われた、例えばPabst W., Berthold C.: Part. Part. Syst. Charact. 24(2007), 458に記載される研究に基づいている。
【0073】
本明細書で特に記載がない限り、本開示に記載される様々な発泡体の多孔質構造は、液体窒素を使用して低温破砕して、炭素薄層のスパッタ堆積により導電性にされた試料から、HITACHI社製のS-4300SE/N走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して調査した。平均気泡サイズ(φ)及び気泡密度(N
f)は、G.L.A. Sims and C, Khunniteekool, "Cell size measurement of polymeric foams," Cellular Polymers, 13, 137 (1994)に記載される切片法を使用して低倍率顕微鏡写真から直接的に得た。特に、気泡密度N
fは、以下の等式:
【数1】
(式中、nは、面積A(cm
2)当たりの気泡数であり、ρ
s及びρ
fは、それぞれ中実体の密度及び発泡体の密度である)に従って測定された。
【0074】
鉱物質に関する粒度特性は、当業者に既知の方法に従って、日機装の一員であるマイクロトラック社によって供給されるMicrotrac S3500レーザ回折装置を使用して水性媒体中に完全に分散された状態の粒状材料の光散乱を使用して測定した。粒子のサイズは、「等価球径」(esd)と呼ばれる。測定された粒度は、esd値より小さい所与のサイズを有する粒子の重量に対する累積パーセントのプロットとして提供され得る。中央粒度d50は、粒子の50重量%が特定の値未満のesdを有するesdであることが測定される値である。
【0075】
「ラメラリティーインデックス」は、粒子の形状を特徴付けるものであり、より具体的にはその平坦度(大寸法/厚さ)を特徴付けるものである。以下の説明において、ラメラリティーインデックスは、Malvernレーザ回折による粒度測定によって湿式法(規格AFNOR NFX11-666)を使用して得られる粉末の粒子の平均寸法の値と、「Sedigraph」(規格AFNOR X11-683)を使用する沈降による測定によって得られる平均直径d50の値との間の差によって測定され、この差は平均直径d50に関連している。G. BAUDET及びJ. P. RONAによる文献Ind. Min. Mines et Carr. Les Techn. June, July 1990, pp. 55-61を参照することができ、該文献は、このインデックスが、粒子の最大寸法の、その最小寸法に対する平均比率に相関することを示している。本開示において使用される高アスペクト比の鉱物質は、2.8より大きいラメラリティーインデックスを有する鉱物質である。
【0076】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、ポリマー発泡体の製造において核生成剤及び/又は充填剤として使用するために適切であり得る。ポリマー発泡体は、熱可塑性材料、物理発泡剤を用いて発泡された熱可塑性エラストマー、又はその他のポリマー発泡体、例えばポリスチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)発泡体若しくはポリエチレンテレフタレート(PET)発泡体から選択することができる。幾つかの実施形態においては、ポリプロピレン発泡体は、食品包装産業及び自動車産業において使用するために適切であり得る。幾つかの実施形態においては、ポリスチレン発泡体は、例えば包装製品、絶縁材料又は自動車製品として使用するために適切であり得る。幾つかの実施形態においては、PET発泡体は、輸送材料、構造部材、例えば自動車用若しくは航空用の構成部材、又は消費財、例えばカップ、箱若しくはプレートにおいて使用するために適切であり得る。幾つかの実施形態においては、EVA発泡体は、消費財、例えば靴、サーフボード、矯正器具又は自動車用若しくは航空用の構成部材のために適切であり得る。
【0077】
さらに、或る特定の実施形態によれば、本明細書に開示される組成物及び方法は、それらが押出混合及び発泡成形の2段階法、射出発泡成形の1段階法、又は別の適切な発泡成形法を使用して製造されるかどうかにかかわらず改善された特性を提供し得る。幾つかの実施形態によれば、射出発泡成形の1段階法が使用される場合に、成形の流れ方向(FD)及び成形方向に対する横断方向(TD)の両方において好ましい物理的特性を得ることができる。
【0078】
所望の特性を有するポリマー発泡体は、発泡剤と、例えばアルカリ土類金属ケイ酸塩のような鉱物質核生成剤の表面との間の相互作用により製造され得る。発泡剤及びアルカリ土類金属ケイ酸塩の選択は、ポリマー発泡体中の気泡サイズを低下させ、気泡形成を促進するために使用することができる。特定の理論に縛られることを望むものではないが、ガス(例えば発泡剤)との強力な相互作用を有する核生成剤の表面は、発泡体における気泡核生成のための活性化エネルギーを減らすことができ、それにより気泡核生成率は高められ、気泡サイズは低下されると考えられる。幾つかの実施形態によれば、高い表面積、CO2親和性又はN2親和性のアルカリ土類金属ケイ酸塩は、ポリマー発泡体中で効果的な気泡核剤として作用し得る。CO2又はN2以外の発泡剤、例えば有機ガスのような発泡剤が使用される場合に、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、該発泡剤に対する親和性を有するように選択され得る。
【0079】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体内の気泡のサイズは、気泡形成メカニズムによって制御され得る。例えば、ポリマー発泡体内の気泡のサイズ及び分布は、気泡の核生成率と気泡の成長速度との組み合わせによって制御することができる。この核生成及び成長は、古典的な核生成理論によって説明することができる。簡単に言うと、古典的な核生成理論は、均質なポリマー-ガス溶液からの気泡形成が、関連の活性化エネルギーを伴うエネルギー的に好ましくない過程であることを述べている。形成の活性化エネルギーは、気泡の核生成率とは反比例している。安定な気泡が形成した後に、次いでその気泡のサイズは、ガスを取り巻く溶液を減少させることによって増大する。ポリマー発泡体において、気泡核生成と関連した活性化エネルギーは、所与の体積内で作られた気泡の数における制限因子である。
【0080】
幾つかの実施形態によれば、気泡核生成と関連した活性化エネルギーは、不均質な核生成を通じて低下され得る。この不均質な核生成において、核生成剤とポリマーとの間の表面は、気泡の界面秩序を高めることによって気泡形成を促進することができる。気泡の界面秩序を高めることで、核生成のために好ましい表面を提供することによって核生成に対するエネルギー障壁を低下させることができる。そのような表面は、ガスによる表面の濡れを促進する表面エネルギーを有し得る。さらに、これらの表面は、核生成部位の密度を最大限にするために、高い表面積を有し得る。活性化エネルギーの低下は、ポリマー発泡体の気泡構造を制御するとともに、それらの機械的特性を制御するための方策をもたらし得る。
【0081】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体を製造する方法は、ポリマー組成物を準備することと、アルカリ土類金属ケイ酸塩を該ポリマー組成物中に導入することと、ガスを用いて該ポリマー組成物を発泡させて、ポリマー発泡体を形成することとを含むことができる。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーマトリックスを製造する方法は、ポリマー組成物を準備することと、アルカリ土類金属ケイ酸塩を用いて該ポリマー組成物を核生成することと、発泡剤を使用して、該ポリマー組成物からポリマー発泡体を形成することとを含むことができる。アルカリ土類金属ケイ酸塩は、ポリマー発泡体中の気泡の核生成を促進することができる。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩を導入することは、アルカリ土類金属ケイ酸塩をポリマー組成物中に押出混合法を使用して導入することを含むことができる。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性エラストマーの少なくとも1つを含むことができる。例えば、ポリマー組成物は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はそれらのコポリマーの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、ポリマー組成物は、例えばポリエステル又は尿素-ホルムアルデヒドポリマーのような熱硬化性ポリマーを含み得る。幾つかの実施形態によれば、ポリマー組成物は、ポリオレフィンを含み得る。幾つかの実施形態によれば、ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性エラストマーの少なくとも1つを含むことができる。別の実施形態においては、ポリマー組成物は、少なくとも、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、ポリアクリレート並びにそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択されるポリマーを含み得る。別の実施形態においては、ポリマー組成物は、少なくとも、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ(エチルビニルアセテート)、ポリエチレンテレフタレート並びにそれらのコポリマー及びブレンドからなる群から選択されるポリマーを含み得る。
【0085】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体は、その他の充填剤又は添加剤を含み得る。充填剤又は添加剤には、例えば添加剤、顔料又は補強充填剤が含まれ得る。幾つかの実施形態によれば、添加剤又は充填剤には、例えばタルク、炭酸カルシウム、カオリン、珪藻土、金属炭酸塩又は金属ケイ酸塩が含まれ得る。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、発泡剤は、CO2、N2又は有機ガスの少なくとも1つを含むことができる。有機ガスには、例えばヘキサン、プロパン、ブタン、n-ブタン、i-ブタン、ペンタン、i-ペンタン、n-ペンタン、CHF2Cl、CF2ClCH3、CHF2CH3、CHCl2CF3、CHFClCF2Cl、CHFClCF3、CH2FCF3、CH3CF3、CFCl3、CF2Cl2、CFCl2CF2Cl、CF2ClCF2Cl、CH3Cl又はCH2Cl2が含まれ得る。
【0087】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー組成物は、ポリマー発泡体の主成分とすることができる。例えば、ポリマー組成物は、ポリマー発泡体の重量に対して約50重量%より多い量で、ポリマー発泡体の重量に対して、約55重量%より多い量で、約60重量%より多い量で、約65重量%より多い量で、約70重量%より多い量で、約75重量%より多い量で、約80重量%より多い量で、約85重量%より多い量で、約90重量%より多い量で、約92重量%より多い量で、約95重量%より多い量で、約96重量%より多い量で、約97重量%より多い量で、約98重量%より多い量で、約98.5重量%より多い量で、約99重量%より多い量で、約99.5重量%より多い量で、又は約99.7重量%より多い量で存在し得る。
【0088】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩又は核生成剤は、ポリマー発泡体の重量に対して約1重量%から約30重量%までの範囲の量で、例えばポリマー発泡体の重量に対して、約5重量%から約20重量%までの、約5重量%から約15重量%までの、約10重量%から約20重量%までの、約15重量%から約25重量%までの、又は約20重量%から約25重量%までの範囲の量で存在し得る。
【0089】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ベリリウム、ケイ酸ストロンチウム又はケイ酸バリウムの少なくとも1つが含まれ得る。幾つかの実施形態においては、ケイ酸カルシウムには、合成ケイ酸カルシウムが含まれ得る。幾つかの実施形態においては、ケイ酸カルシウムは、例えばウォラストナイトのような天然ケイ酸カルシウムを含み得る。幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、例えば珪藻土由来のケイ酸カルシウムのような誘導ケイ酸カルシウムが含まれ得る。別の態様によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、アルカリ土類金属ケイ酸塩のブレンドが含まれ得る。
【0090】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、二次的鉱物質(二次的鉱物質核生成剤)としてオキシ硫酸マグネシウムが含まれ得る。幾つかの実施形態においては、オキシ硫酸マグネシウムは、約1から約50までの、例えば約1から約40までの、又は約10から約40までの範囲のアスペクト比を有し得る。幾つかの実施形態においては、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、カオリン、ベントナイト、タルク、クロライト質タルク、膨張パーライト粉砕物及び珪藻土から選択される二次的鉱物質が含まれ得る。
【0091】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、官能化されたアルカリ土類金属ケイ酸塩が含まれ得る。官能化されたアルカリ土類金属ケイ酸塩は、1種以上のガス又はポリマー組成物との相互作用を高める表面処理が施されてよい。
【0092】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、タルクとクロライト質タルクとのブレンドが含まれ得る。例えば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、鉱物質としてタルクを含み、かつ二次的鉱物質としてクロライト質タルクを含むか、又は鉱物質としてクロライト質タルクを含み、かつ二次的鉱物質としてタルクを含み得る。
【0093】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、約1000MPa以上、例えば約1300MPa以上、約1500MPa以上、約1700MPa以上、約2000MPa以上、約2100MPa以上、約2300MPa以上、又は約2500MPa以上の曲げ弾性率を有し得る。
【0094】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、約1000MPaから約3000MPaまでの範囲の、例えば約1300MPaから約2800MPaまでの範囲の、約1500MPaから約2300MPaまでの範囲の、又は約2000MPaから約2600MPaまでの範囲の曲げ弾性率を有し得る。
【0095】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、第一の曲げ弾性率を有し得る。第一の曲げ弾性率は、該鉱物質及び該二次的鉱物質の一方を個別に含むアルカリ土類金属ケイ酸塩を有する比較用ポリマー発泡体組成物の曲げ弾性率よりも大きくてよい。
【0096】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤と二次的鉱物質核生成剤とを有するポリマー発泡体組成物は、鉱物質及び二次的鉱物質の一方を個別に含む鉱物質核生成剤を有するポリマー発泡体組成物に対して悪影響が及ぼされない耐衝撃性を有し得る。
【0097】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約5%以上の重量軽減、例えば同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約10%以上、約15%以上、又は約20%以上の重量軽減を示し得る。
【0098】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約5%から約30%までの範囲の重量軽減を示し得る。
【0099】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約2.8より大きい、例えば約3.0以上、約3.5以上、又は約4.0以上のラメラリティーインデックスを有し得る。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体は、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約400μm以下、約350μm以下、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約25μm以下、又は約20μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0101】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体は、約10μmから約450μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約100μmから約400μmまでの、約100μmから約300μmまでの、約50μmから約250μmまでの、約10μmから約100μmまでの、約200μmから約400μmまでの、約200μmから約300μmまでの、約100μmから約150μmまでの、約10μmから約50μmまでの、約10μmから約30μmまでの、又は約50μmから約100μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0102】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体は、ポリマー組成物の臨界欠陥サイズ未満の平均気泡サイズを有し得る。
【0103】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体は、約3.0×107/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約5.0×107/cm3以上、約7.0×107/cm3以上、約8.0×107/cm3以上、約9.0×107/cm3以上、約1.0×108/cm3以上、約1.3×108/cm3以上、約1.5×108/cm3以上、約1.8×108/cm3以上、約2.0×108/cm3以上、約2.3×108/cm3以上、約2.5×108/cm3以上、約2.8×108/cm3以上、又は約3.0×108/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0104】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体は、約3.0×107/cm3から約4.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマー発泡体は、約5.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約7.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約2.0×108/cm3までの、約2.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約3.0×108/cm3から約4.0×108/cm3までの、約1.5×108/cm3から約2.5×108/cm3までの、約5.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの、又は約7.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0105】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約3.0m2/g以上のBET表面積を有し得る。例えば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約10m2/g以上、約50m2/g以上、約75m2/g以上、約90m2/g以上、約100m2/g以上、約150m2/g以上、約200m2/g以上、約250m2/g以上、又は約300m2/g以上のBET表面積を有し得る。
【0106】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約3.0m2/gから約300m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。例えば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約3m2/gから約30m2/gまでの、約10m2/gから約100m2/gまでの、約100m2/gから約300m2/gまでの、約50m2/gから約150m2/gまでの、約10m2/gから約50m2/gまでの、約3m2/gから約25m2/gまでの、約150m2/gから約250m2/gまでの、約200m2/gから約300m2/gまでの、又は約100m2/gから約200m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1μm以上、例えば約3μm以上、約5μm以上、約7μm以上、約9μm以上、約10μm以上、約11μm以上、約12μm以上、約13μm以上、約14μm以上、又は約15μm以上の中央粒度(d50)を有し得る。
【0108】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1μmから約15μmまでの、例えば約1μmから約5μmまでの、約5μmから約10μmまでの、約10μmから約15μmまでの、約1μmから約3μmまでの、約3μmから約6μmまでの、約6μmから約9μmまでの、約9μmから約12μmまでの、又は約12μmから約15μmまでの範囲の中央粒度(d50)を有し得る。
【0109】
幾つかの実施形態によれば、上記方法は、押出混合及び発泡成形の2段階法を含み得る。更に別の態様によれば、上記方法は、射出発泡成形の1段階法を含み得る。
【0110】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約300重量%以上、例えば約320重量%以上、約350重量%以上、約370重量%以上、約400重量%以上、約420重量%以上、又は約450重量%以上の吸油量を有し得る。
【0111】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約400重量%以上、例えば約420重量%以上、約450重量%以上、約470重量%以上、約500重量%以上、約520重量%以上、約550重量%以上、又は約570重量%以上の吸水量を有し得る。
【0112】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1から約50までの範囲の、例えば約1から約25までの範囲の、約1.5から約20までの範囲の、約2から約10までの範囲の、約10から約40までの範囲の、又は約20から約40までの範囲のアスペクト比を有し得る。
【0113】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体は、それぞれの未発泡の基礎材料と比較して、約0.20から0.90までの範囲の、例えば約0.25から約0.40までの、約0.40から約0.60までの、約0.60から約0.80までの、約0.25から約0.35までの、約0.35から約0.50までの、約0.50から約0.75までの、又は約0.60から約0.75までの範囲の相対密度を有し得る。
【0114】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、ポリマーベースの発泡体マトリックス、及びポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡内の鉱物質核生成剤を含むことができる。
【0115】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、アルカリ土類金属ケイ酸塩を含むことができる。幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、オキシ硫酸マグネシウム、カオリン、タルク、クロライト質タルク、パーライト、膨張パーライト粉砕物、珪藻土、ガラスカレット、長石、かすみ石閃長岩、又はベントナイトの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、タルク又はクロライト質タルクは、層状タルク、微細層状タルク、微結晶質タルク及び大型結晶質タルクの少なくとも1つを含むことができる。
【0116】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、高いアスペクト比を有し得る。幾つかの実施形態によれば、タルク又はクロライト質タルクには、高アスペクト比のタルク、高アスペクト比の層状タルク、高アスペクト比の微細層状タルク、高アスペクト比のクロライト質タルク、高アスペクト比の層状クロライト質タルク、及び高アスペクト比の微細層状クロライト質タルクの1つ以上が含まれ得る。
【0117】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤の高いアスペクト比は、湿式粉砕法によって達成することができる。
【0118】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤には、タルクとクロライト質タルクとのブレンドが含まれ得る。例えば、鉱物質核生成剤は、鉱物質としてタルクを含み、かつ二次的鉱物質としてクロライト質タルクを含むか、又は鉱物質としてクロライト質タルクを含み、かつ二次的鉱物質としてタルクを含み得る。
【0119】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、約1000MPa以上、例えば約1300MPa以上、約1500MPa以上、約1700MPa以上、約2000MPa以上、約2100MPa以上、約2300MPa以上、又は約2500MPa以上の曲げ弾性率を有し得る。
【0120】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、約1000MPaから約3000MPaまでの範囲の、例えば約1300MPaから約2800MPaまでの範囲の、約1500MPaから約2300MPaまでの範囲の、又は約2000MPaから約2600MPaまでの範囲の曲げ弾性率を有し得る。
【0121】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、第一の曲げ弾性率を有し得る。第一の曲げ弾性率は、該鉱物質及び該二次的鉱物質の一方を個別に含む鉱物質核生成剤を有する比較用ポリマー発泡体組成物の曲げ弾性率よりも大きくてよい。
【0122】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤と二次的鉱物質核生成剤とを有するポリマー発泡体組成物は、鉱物質及び二次的鉱物質の一方を個別に含む鉱物質核生成剤を有するポリマー発泡体組成物に対して悪影響が及ぼされない耐衝撃性を有し得る。
【0123】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約5%以上の重量軽減、例えば同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約10%以上、約15%以上、又は約20%以上の重量軽減を示し得る。
【0124】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、同じ体積の未発泡のポリマーと比較して約5%から約30%までの範囲の重量軽減を示し得る。
【0125】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、高いアスペクト比を有し得る。
【0126】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約2.8より大きい、例えば約3.0以上、約3.5以上、又は約4.0以上のラメラリティーインデックスを有し得る。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤の高いアスペクト比は、湿式粉砕法によって達成することができる。
【0128】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、熱可塑性ポリマーマトリックス又は熱可塑性エラストマーマトリックスの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリエチレンマトリックス、ポリスチレンマトリックス、ポリプロピレンマトリックス、ポリウレタンマトリックス、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)マトリックス、ポリエチレンテレフタレート(PET)マトリックス又はそれらのコポリマーマトリックスの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリオレフィンマトリックスを含むことができる。
【0129】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスの形成のために使用される発泡剤は、CO2、N2又は有機ガスの少なくとも1つを含むことができる。有機ガスには、例えばヘキサン、プロパン、ブタン、n-ブタン、i-ブタン、ペンタン、i-ペンタン、n-ペンタン、CHF2Cl、CF2ClCH3、CHF2CH3、CHCl2CF3、CHFClCF2Cl、CHFClCF3、CH2FCF3、CH3CF3、CFCl3、CF2Cl2、CFCl2CF2Cl、CF2ClCF2Cl、CH3Cl又はCH2Cl2が含まれ得る。
【0130】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリマー発泡体組成物の主成分とすることができる。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリマー発泡体組成物の重量に対して約50重量%より多い量で、ポリマー発泡体組成物の重量に対して、約55重量%より多い量で、約60重量%より多い量で、約65重量%より多い量で、約70重量%より多い量で、約75重量%より多い量で、約80重量%より多い量で、約85重量%より多い量で、約90重量%より多い量で、約92重量%より多い量で、約95重量%より多い量で、約96重量%より多い量で、約97重量%より多い量で、約98重量%より多い量で、約98.5重量%より多い量で、約99重量%より多い量で、約99.5重量%より多い量で、又は約99.7重量%より多い量で存在し得る。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩又は核生成剤は、ポリマー発泡体組成物の重量に対して約1重量%から約30重量%までの範囲の量で、例えばポリマー発泡体組成物の重量に対して、約5重量%から約20重量%までの、約5重量%から約15重量%までの、約10重量%から約20重量%までの、約15重量%から約25重量%までの、又は約20重量%から約25重量%までの範囲の量で存在し得る。
【0132】
幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ベリリウム、ケイ酸ストロンチウム又はケイ酸バリウムの少なくとも1つが含まれ得る。幾つかの実施形態においては、ケイ酸カルシウムには、合成ケイ酸カルシウムが含まれ得る。幾つかの実施形態においては、ケイ酸カルシウムは、例えばウォラストナイトのような天然ケイ酸カルシウムを含み得る。幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、例えば珪藻土由来のケイ酸カルシウムのような誘導ケイ酸カルシウムが含まれ得る。幾つかの実施形態によれば、アルカリ土類金属ケイ酸塩には、アルカリ土類金属ケイ酸塩のブレンドが含まれ得る。
【0133】
別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、アルカリ土類金属ケイ酸塩を含むことができる。別の態様によれば、鉱物質核生成剤は、オキシ硫酸マグネシウム、カオリン、タルク、クロライト質タルク、パーライト、膨張パーライト粉砕物、珪藻土、ガラスカレット、長石、かすみ石閃長岩、又はベントナイトの少なくとも1つを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、タルク又はクロライト質タルクは、層状タルク、微細層状タルク、微結晶質タルク及び大型結晶質タルクの少なくとも1つを含むことができる。
【0134】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、高いアスペクト比を有し得る。幾つかの実施形態によれば、タルク又はクロライト質タルクには、高アスペクト比のタルク、高アスペクト比の層状タルク、高アスペクト比の微細層状タルク、高アスペクト比のクロライト質タルク、高アスペクト比の層状クロライト質タルク、及び高アスペクト比の微細層状クロライト質タルクの1つ以上が含まれ得る。幾つかの実施形態においては、鉱物質核生成剤には、二次的鉱物質核生成剤(二次的鉱物質)が含まれ得る。
【0135】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤には、官能化された鉱物質核生成剤が含まれ得る。官能化された鉱物質核生成剤は、1種以上のガス又はポリマー組成物との相互作用を高め得る表面処理が施されてよい。例えば、表面処理は、鉱物質核生成剤に疎水性特性を付与し得る。幾つかの実施形態によれば、表面処理は、シラン、シリコーン油、シロキサン、脂肪酸、その塩又はそのエステルを含み得る。幾つかの実施形態によれば、脂肪酸、その塩又はそのエステルは、C8以上の鎖長を有し得る。幾つかの実施形態によれば、脂肪酸には、ステアリン酸が含まれ得る。
【0136】
幾つかの実施形態においては、その1種の表面処理は、鉱物質核生成剤をシラン化する。シラン化する表面処理は、少なくとも1種のシロキサンを含み得る。一般に、シロキサンは、ケイ素、酸素並びにしばしば炭素及び水素を含む、R2SiO(式中、Rは、アルキル基であってよい)の一般実験式を基礎とするいずれかの種類の有機又は無機の化学的化合物である。例示的なシロキサンには、限定されるものではないが、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ジフェニルシロキサン及びモノフェニルシロキサン単位、ジフェニルシロキサン単位、フェニルメチルシロキサン単位、ジメチルシロキサン単位、モノメチルシロキサン単位、ビニルシロキサン単位、フェニルビニルシロキサン単位、メチルビニルシロキサン単位、エチルシロキサン単位、フェニルエチルシロキサン単位、エチルメチルシロキサン単位、エチルビニルシロキサン単位又はジエチルシロキサン単位の任意の組み合わせのコポリマー又はコポリマーのブレンドが含まれ得る。
【0137】
幾つかの実施形態においては、シラン化する表面処理は、少なくとも1種のシランを含み得る。一般的に、シラン及びその他のモノマー型のケイ素化合物は、鉱物質核生成剤のような無機材料に結合する能力を有する。結合メカニズムは、シラン構造中の2つの基によって補助され得る。ここで、例えばSi(OR3)部は、無機粒状材料と相互作用する一方で、有機官能基(ビニル基、アミノ基、エポキシ基等)は、その他の材料と相互作用し得る。
【0138】
幾つかの実施形態においては、鉱物質核生成剤は、少なくとも1種のイオン性シランで表面処理される表面処理にかけられてよい。例示的なイオン性シランには、限定されるものではないが、3-(トリメトキシシリル)プロピルエチレンジアミン三酢酸三ナトリウム塩及び3-(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルリン酸塩が含まれる。幾つかの実施形態においては、鉱物質核生成剤は、少なくとも1種の非イオン性シランによる表面処理にかけられてよい。
【0139】
更なる実施形態においては、鉱物質核生成剤は、式(I):
(R1)XSi(R2)3-XR3 (I)
(式中、
R1は、限定されるものではないが、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシ、アミノ、アミド、メタクリレート、メルカプト、カルボニル、ウレタン、ピロール、カルボキシ、シアノ、アミノアシル、アシルアミノ、アルキルエステル及びアリールエステルを含む、無機粒状材料の表面上の任意の活性基と化学的反応し得る任意の加水分解可能な部であり、
Xは、2つ以上のシロキサン結合が、無機粒状材料と少なくとも1つのシランとの間に形成されるように、1から3の間の値を有し、
R2は、限定されるものではないが、置換又は非置換のアルキル、アルケニル、アルカリール、アルキルシクロアルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルカリール、シクロアルケニルアリール、アルキルシクロアルカリール、アルキルシクロアルケニルアリール及びアリールアルカリールを含む、処理過程の間に無機粒状材料と本質的に反応又は相互作用しない任意の炭素含有部であり、
R3は、少なくとも1つの表面処理が完了すれば式(I)のケイ素原子に本質的に化学的に結合されたままとなる、活性成分と反応又は相互作用することが可能な任意の有機含有部、例えば限定されるものではないが、水素、アルキル、アルケニル、アルカリール、アルクシクロアルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルカリール、シクロアルケニルアリール、アルクシクロアルカリール、アルクシクロアルケニルアリール、アリールアルカリール、アルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、アリールオキシ、アミノ、アミド、メタクリレート、メルカプト、カルボニル、ウレタン、ピロール、アルキルエステル、アリールエステル、カルボキシ、スルホネート、シアノ、アミノアシル、アシルアミノ、エポキシ、ホスホネート、イソチオウロニウム、チオウロニウム、アルキルアミノ、第四級アンモニウム、トリアルキルアンモニウム、アルキルエポキシ、アルキル尿素、アルキルイミダゾール又はアルキルイソチオウロニウムであり、ここで、上記アルキル、アルケニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール及びヘテロ環の水素は、任意に、例えばハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシ又はシアノによって置換されている)の少なくとも1種のシランによる表面処理にかけられてよい。
【0140】
幾つかの実施形態においては、シラン化は、当業者に既知の「湿式」又は「乾式」シラン化方法に従って行うことができる。
【0141】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約400μm以下、約350μm以下、約300μm以下、約250μm以下、約200μm以下、約150μm以下、約100μm以下、約50μm以下、約25μm以下、又は約20μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0142】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約10μmから約450μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約100μmから約400μmまでの、約100μmから約300μmまでの、約50μmから約250μmまでの、約10μmから約100μmまでの、約200μmから約400μmまでの、約200μmから約300μmまでの、約100μmから約150μmまでの、約10μmから約50μmまでの、約10μmから約30μmまでの、又は約50μmから約100μmまでの範囲の平均気泡サイズ(φ)を有し得る。
【0143】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリマーの臨界欠陥サイズ未満の平均気泡サイズを有し得る。
【0144】
別の態様によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡サイズ分布は、所望の粒度分布を有する鉱物質核剤の選択的な添加によって選択的に制御することができる。幾つかの実施形態によれば、この制御により、狭い又は広い細孔サイズ分布を有するポリマー発泡体の製造は、同様の狭い又は広い粒度分布を有する鉱物質核生成剤の利用によって可能となる。
【0145】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約3.0×107/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約5.0×107/cm3以上、約7.0×107/cm3以上、約8.0×107/cm3以上、約9.0×107/cm3以上、約1.0×108/cm3以上、約1.3×108/cm3以上、約1.5×108/cm3以上、約1.8×108/cm3以上、約2.0×108/cm3以上、約2.3×108/cm3以上、約2.5×108/cm3以上、約2.8×108/cm3以上、又は約3.0×108/cm3以上の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0146】
幾つかの実施形態によれば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約3.0×107/cm3から約4.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。例えば、ポリマーベースの発泡体マトリックスは、約5.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約7.0×107/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約1.0×108/cm3から約2.0×108/cm3までの、約2.0×108/cm3から約3.0×108/cm3までの、約3.0×108/cm3から約4.0×108/cm3までの、約1.5×108/cm3から約2.5×108/cm3までの、約5.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの、又は約7.0×107/cm3から約1.0×108/cm3までの範囲の気泡密度(Nf)を有し得る。
【0147】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約3.0m2/g以上のBET表面積を有し得る。例えば、鉱物質核生成剤は、約10m2/g以上、約50m2/g以上、約75m2/g以上、約90m2/g以上、約100m2/g以上、約150m2/g以上、約200m2/g以上、約250m2/g以上、又は約300m2/g以上のBET表面積を有し得る。
【0148】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約3.0m2/gから約300m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。例えば、鉱物質核生成剤は、約3m2/gから約30m2/gまでの、約10m2/gから約100m2/gまでの、約100m2/gから約300m2/gまでの、約50m2/gから約150m2/gまでの、約10m2/gから約50m2/gまでの、約3m2/gから約25m2/gまでの、約150m2/gから約250m2/gまでの、約200m2/gから約300m2/gまでの、又は約100m2/gから約200m2/gまでの範囲のBET表面積を有し得る。
【0149】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約1μm以上、例えば約3μm以上、約5μm以上、約7μm以上、約9μm以上、約10μm以上、約11μm以上、約12μm以上、約13μm以上、約14μm以上、又は約15μm以上の中央粒度(d50)を有し得る。
【0150】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約1μmから約15μmまでの、例えば約1μmから約5μmまでの、約5μmから約10μmまでの、約10μmから約15μmまでの、約1μmから約3μmまでの、約3μmから約6μmまでの、約6μmから約9μmまでの、約9μmから約12μmまでの、又は約12μmから約15μmまでの範囲の中央粒度(d50)を有し得る。
【0151】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約300重量%以上、例えば約320重量%以上、約350重量%以上、約370重量%以上、約400重量%以上、約420重量%以上、又は約450重量%以上の吸油量を有し得る。
【0152】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約400重量%以上、例えば約420重量%以上、約450重量%以上、約470重量%以上、約500重量%以上、約520重量%以上、約550重量%以上、又は約570重量%以上の吸水量を有し得る。
【0153】
幾つかの実施形態によれば、鉱物質核生成剤は、約1から約50までの範囲の、例えば約1から約25までの範囲の、約1.5から約20までの範囲の、約2から約10までの範囲の、約10から約40までの範囲の、又は約20から約40までの範囲のアスペクト比を有し得る。
【0154】
幾つかの実施形態によれば、ポリマー発泡体組成物は、それぞれの未発泡の基礎材料と比較して、約0.20から0.90までの範囲の、例えば約0.25から約0.40までの、約0.40から約0.60までの、約0.60から約0.80までの、約0.25から約0.35までの、約0.35から約0.50までの、約0.50から約0.75までの、又は約0.60から約0.75までの範囲の相対密度を有し得る。
【実施例】
【0155】
実施例1:
この実施例においては、ポリマー発泡体内の気泡サイズ及び分布は、高い表面積を有し、かつ発泡剤との好ましい相互作用を有するアルカリ土類金属ケイ酸塩を添加することによって制御した。
【0156】
合成ケイ酸カルシウムを、4,4’-メチレンビス(フェニルイソシアネート)、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、及びポリオールを含む、ユタ州ソルトレイクシティーのMorris Materials社により供給される市販の2ポンドの2液形ポリウレタン発泡体に添加した。合成ケイ酸カルシウムは、約95m2/gの高い表面積、高い吸水量(約550重量%)及び高い吸油量(約420重量%)を有していた。湿分とイソシアネートとの反応により生成されたCO2は、物理発泡剤として使用された。
【0157】
試料を調製するために、最終ポリウレタン混合物の全質量に対して1重量%の合成ケイ酸カルシウムをポリオールに添加し、高速ミキサ中で3000rpmにおいて5分間にわたり混合した。次に、等しい重量のイソシアネート混合物をポリオールに添加し、色がクリーム色になるまで3000rpmにおいて25秒間にわたり混合した。該混合物を発泡させ、室温及び室圧で10分間にわたり硬化させた。対照ポリウレタン発泡体は、同様の条件下であるが、合成ケイ酸カルシウム核生成剤を用いずに調製した。
【0158】
発泡体組成物を分析するために、該発泡体を周囲条件において破砕し、走査型電子顕微鏡を使用して顕微鏡写真を収集した。核生成剤を含まないそのままのポリウレタン発泡体と比較したケイ酸カルシウム核生成剤を有する発泡体組成物の画像を、
図1に示す。核生成された発泡体及び核生成されていない発泡体の気泡サイズを、ImageJソフトウェアを使用して計算し、それぞれの発泡体について4つの画像の平均を取った。対照ポリウレタン発泡体は、624μm±385μmの平均気泡直径を示した。1重量%の合成ケイ酸カルシウムを有する例示的な核生成された発泡体は、平均気泡直径を約63%下げ、231μm±190μmの平均気泡直径を有した。
【0159】
次いで、気泡核生成の効率を、全質量に対して0.1重量%から10重量%まで合成ケイ酸カルシウムの量を変動させることによって調査した。該ポリマーは、この実施例に記載されるように、合成ケイ酸カルシウムの重量パーセントを変動させて調製し、次いで発泡させた。気泡直径を、合成ケイ酸カルシウムの重量パーセントの関数として測定した。平均気泡直径の、合成ケイ酸カルシウムの重量パーセントに対するグラフを、
図2に示す。
図2に示されるように、ケイ酸カルシウムが約1重量%までの量で添加される場合に、気泡直径は低減される。合成ケイ酸カルシウムが約1重量%を上回ると、気泡直径は、更に低下しないようである。特定の理論に縛られることを望むものではないが、約1重量%の合成ケイ酸カルシウム以降の気泡サイズにおける明らかな低下限界は、発泡剤の限られた利用可能性による材料の飽和に起因するものであると考えられる。これらの知見は、合成ケイ酸カルシウムが、化学発泡される系にとっての有望な気泡核剤であり得ることを指摘している。
【0160】
実施例2:
ケイ酸カルシウムの気泡核生成能を、物理発泡される系において発泡剤としてCO
2を使用して調査した。ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)をキシレン類中に溶解させ、高速ミキサを用いて3000rpmにおいて5分間にわたり1重量%のケイ酸カルシウムと混合した。得られた混合物を、減圧下(真空中29水銀柱インチ)において50℃で乾燥させ、そして100℃及び1MPaにおいてcarverプレス機で加圧することで、0.5mm厚のフィルムを形成した。次いで該フィルムを、34℃で14MPaにおいて3時間にわたりCO
2環境中に置いた。次いで、圧力を、5MPa/sの速度で素早く低下させ、該組成物を、34℃及び周囲圧力で発泡させた。さらに、対照EVA発泡体を、ケイ酸カルシウムを添加しないことを除いて同じ方法を使用して調製した。該発泡体を低温破砕し、HITACHI社製のS-4300SE/N型の走査型電子顕微鏡(SEM)を使用してその特性を調べた。対照EVA発泡体及びケイ酸カルシウムで核生成されたEVA発泡体のSEM顕微鏡写真を、
図3に示す。平均気泡直径を、実施例1に記載されるように測定した。
【0161】
図3に示されるように、核生成剤としてのケイ酸カルシウムの添加は、EVA発泡体の平均気泡サイズを低下させる。対照EVA発泡体に関して、平均気泡直径は、108μmであった。核生成剤としての1重量%のケイ酸カルシウムの添加により、平均気泡直径は約79%低下して、23μmとなった。
図4は、ケイ酸カルシウムで核生成されたEVA発泡体の更なる拡大画像を示しており、それは、発泡体の気泡直径と、気泡内のケイ酸カルシウム粒子の直径との間の相関を示している。
図4に示されるように、アルカリ土類金属ケイ酸塩は、ポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡内に見出すことができる。また
図8~
図11は、ポリマー発泡体中の気泡核生成のために使用されるアルカリ土類金属ケイ酸塩のSEM像を示し、そこでは、核生成剤は、発泡体の気泡内に見出すことができる。特定の理論により縛られることを望むものではないが、気泡サイズと粒度との間のこの相関は、核生成メカニズムに直接的に関連していると思われる。そのような条件下では、CO
2はケイ酸カルシウムの表面と好ましく相互作用することで、気泡形成を促進し、発泡のために利用可能なガスの量は、核生成するケイ酸塩の利用可能な表面積に対応する。結果として、粒度が増大すると、発泡体の気泡サイズの増加をもたらし得る。この相関は、気泡核生成が、ガスとケイ酸カルシウム表面との好ましい相互作用によって促進されることを指摘し得る。
【0162】
実施例3:
充填剤を含まないポリエチレンテレフタレート発泡体及び充填剤を含むポリエチレンテレフタレート発泡体の試験及び分析結果は、押出混合及び発泡成形の2段階法を介して準備した。
【0163】
全ての材料は、PolyQuest,Inc.社から市販されるポリエチレンテレフタレート樹脂「PQB15-089」と種々の核生成剤とを、Haake社製のRheomex PTW16型の同方向回転式二軸スクリュー押出機を使用して溶融混合することによって調製した。表1は、押出温度プロファイルを示している。スクリュー速度は、この実施例では250rpmであった。
【0164】
【0165】
幾つかの鉱物質を、ポリマー発泡体のための核生成剤として試験した。それらは、以下の表2に、それぞれの鉱物質のd50値及びBET表面積値と一緒に示されている。d50及びBET表面積は、上記のように測定される。
【0166】
【0167】
試料A~Dのそれぞれを、1重量%の鉱物質とポリエチレンテレフタレート(「PET」)とを機械的に混合し、次いで該組成物を二軸スクリュー押出機内にて加工することによって添加した。比較の目的のために、鉱物質を一切含まないPETの対照材料も、同じ加工条件を用いて加工した。環状押出ダイの出口で、全ての複合物を25℃の水浴を用いて冷やし、ペレット化した後で、発泡する中実前駆体を調製した。
【0168】
それぞれのPET-鉱物質複合物の組成を、5.0gのそれぞれの試料材料を使用してUNE-EN ISO 345-1に従って得られた3つの値の平均として600℃でか焼することによって測定した。以下の表3は、それぞれの試料の組成を示している。
【0169】
【0170】
発泡のための中実前駆体を調製するために、ペレット化された試料A~Dのそれぞれを、Haake社製のMiniJet Pro型のピストン式射出成形機システムを用いて直径34.5mm及び厚さ1.7mmを有するディスクへと成形した。成形条件を、以下で表4に示す。
【0171】
【0172】
発泡は、二酸化炭素(CO2)又は窒素(N2)のいずれかのガス溶解を使用して実施した。
【0173】
CO2溶解のために、発泡する中実前駆体ディスクを、物理発泡剤としてCO2を用いたガス溶解作業-発泡成形の2段階法を用いて発泡させた。発泡体は、該ディスクをCO2中で高圧容器内にて20℃で7.5MPaにおいて、そのディスクが6重量%の溶解CO2を含有するまで72時間にわたり飽和させることによって得た。次いで圧力は、5MPa/sの速度で解放した。飽和されたディスクをCarverホットプレス機に移し、150℃で1分間にわたり発泡させた。
【0174】
N2溶解のために、発泡する中実前駆体ディスクを、物理発泡剤としてN2を用いたガス溶解作業-発泡成形の2段階法を用いて発泡させた。発泡体は、該ディスクをN2中で高圧容器内にて20℃で17.5MPaにおいて、ディスクが0.2重量%の溶解N2を含有するまで112時間にわたり飽和させることによって得た。次いで圧力は、5MPa/sの速度で解放した。次いで、飽和されたディスクをCarverホットプレス機に移し、150℃で1分間にわたり発泡させた。
【0175】
次いで、発泡された複合物及び未発泡の複合物の特性を調べた。CO2発泡法及びN2発泡法の間に生成された発泡された試験体の外側スキンを除去せずに、ISO 845に従って密度を測定した。また、発泡された複合物と未発泡の複合物との間の密度の比率を指す相対密度を測定した。様々な発泡体の多孔質構造は、液体窒素を使用して低温破砕して、金薄層のスパッタ堆積により導電性にされた試料から、HITACHI社製のS-4300SE/N型の走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して調査した。平均気泡直径(φ)及び気泡密度(Nf)は、先に記載された切片法を使用して低倍率顕微鏡写真から直接的に得た。
【0176】
CO
2発泡の結果を、以下で表5に示す。CO
2発泡された試料A~DのSEM像は、中心部については
図5に示され、スキン層については
図6に示される。
【0177】
【0178】
N
2発泡の結果を、以下で表6に示す。N
2発泡された試料A~DのSEM像は、
図7に示される。
【0179】
【0180】
上記表5及び表6並びに
図5及び
図6に示されるように、アルカリ土類金属ケイ酸塩、例えばケイ酸カルシウム及びケイ酸マグネシウムは、CO
2環境及びN
2環境において効果的な核生成剤となり得る。N
2環境においては、ケイ酸カルシウム(例えば、ウォラストナイト等)は、気泡(泡)サイズを低下させるのに効果的な、発泡された複合物の機械的強度を改善し得る作用物質となり得る。
【0181】
実施例4:
押出混合法及び射出発泡成形法により製造された充填剤を含まないポリプロピレン発泡体及び充填剤を含むポリプロピレン発泡体の試験及び分析結果を、この実施例で記載する。
【0182】
発泡されたポリプロピレンの製造は、射出成形の間に化学発泡添加剤を使用して実施した。Sabic社から市販されているポリプロピレンブロックコポリマー「PP56M10」(6.2g/10minのMFI;230℃、2.16kg)を、Clariant社から市販されているHydrocerol ITP 818(65%活性含分のクエン酸と重炭酸ナトリウムとのブレンド)(2重量%)を化学発泡剤として使用して発泡させて、80cm×10cm×4mmの寸法のISO B型の短冊形試験片を得た。導入された鉱物質組成物は、(i)タルク、(ii)ウォラストナイト、(iii)タルクとウォラストナイトとの50:50重量ブレンドであり、全ては、充填剤を含むポリマーの全重量に対して20重量%の濃度で存在していた。射出成形機「Arburg Allrounder 420C」は、100トンの型閉め力、2000barの最高射出圧力、及び35mmのスクリュー直径を有する。射出ユニットの温度は、表7に示されている。型温度は、それぞれ15秒及び30秒の型内冷却時間で、中実体のためには40℃に調節し、発泡体のためには60℃に調節した。この実施例で使用されるタルクは、タルクAとタルクBとの2つのブレンドであった。タルクAは、10.5μm(レーザ)及び2μm(Sedigraph)のd50と19.5m2/gのBET表面積とを有していた。タルクBは、5.7μm(レーザ)及び1.1μm(Sedigraph)のd50と21m2/gのBET表面積とを有していた。ウォラストナイトは、7μm(レーザ)のd50と2.9m2/gのBET表面積とを有していた。
【0183】
【0184】
発泡体を、上記方法を使用して製造した。中実体の条件及び発泡体の条件のためのポリマー投入量並びに射出速度は、表8に示されている。
【0185】
【0186】
タルクとウォラストナイトとを含むポリプロピレンから製造された様々な発泡体及びそれらの未発泡等価物は、表9に示される密度を有していた。密度は、ISO 1183に従って測定した。
【0187】
【0188】
曲げ弾性率を、射出成形されたISO短冊形試験片について、23℃でISO 178規格による3点曲げ試験に従って分析した。
【0189】
射出発泡成形法に従って製造された発泡体を、上記のような3点曲げ試験による特性決定によって分析した。結果は、表10に示されている。
【0190】
【0191】
そのデータは、タルクとウォラストナイトとのブレンドが、それぞれの物質単独と比較して改善された結果を示すことを裏付けており、それは、相乗効果の証拠を示している。
【0192】
疑義を避けるために、本出願は、以下の段落番号1~52における主題に及んでいる。
【0193】
1. ポリマー発泡体を製造する方法であって、
a.ポリマー組成物を準備することと、
b.アルカリ土類金属ケイ酸塩を該ポリマー組成物中に導入することと、
c.ガスを用いて該ポリマー組成物を発泡させて、ポリマー発泡体を形成することと、
を含む、方法。
2. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩を導入することは、上記アルカリ土類金属ケイ酸塩を上記ポリマー組成物中に押出混合法を使用して導入することを含む、段落番号1に記載の方法。
3. 上記ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性エラストマーの少なくとも1つを含む、段落番号1又は2に記載の方法。
4. 上記ポリマー組成物は、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はそれらのコポリマーの少なくとも1つを含む、段落番号1~3のいずれか1つに記載の方法。
5. 上記ガスは、CO2、N2若しくは有機ガスの少なくとも1つを含むか、又は上記ガスは、CO2、N2若しくは有機ガスの少なくとも1つを含む発泡剤に由来するものである、段落番号1~4のいずれか1つに記載の方法。
6. 上記ポリマー組成物は、上記ポリマー発泡体の主成分である、段落番号1~5のいずれか1つに記載の方法。
7. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、ケイ酸カルシウム又はケイ酸マグネシウムの少なくとも1つを含む、段落番号1~6のいずれか1つに記載の方法。
8. 上記ポリマー発泡体は、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有する、段落番号1~7のいずれか1つに記載の方法。
9. 上記ポリマー発泡体は、約3.0×107/cm3以上の気泡密度(Nf)を有する、段落番号1~8のいずれか1つに記載の方法。
10. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約3.0m2/g以上のBET表面積を有する、段落番号1~9のいずれか1つに記載の方法。
11. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1μm以上の中央粒度(d50)を有する、段落番号1~10のいずれか1つに記載の方法。
12. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1μmから約50μmまでの範囲の中央粒度(d50)を有する、段落番号1~11のいずれか1つに記載の方法。
13. 押出混合及び発泡成形の2段階法を含む、段落番号1~12のいずれか1つに記載の方法。
14. 射出発泡成形の1段階法を含む、段落番号1~13のいずれか1つに記載の方法。
15. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、珪藻土由来のケイ酸カルシウムを含む、段落番号1~14のいずれか1つに記載の方法。
16. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、ウォラストナイトを含む、段落番号1~15のいずれか1つに記載の方法。
17. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約300重量%以上の吸油量を有する、段落番号1~16のいずれか1つに記載の方法。
18. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約400重量%以上の吸水量を有する、段落番号1~17のいずれか1つに記載の方法。
19. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、約1から約50までの範囲のアスペクト比を有する、段落番号1~18のいずれか1つに記載の方法。
20. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、二次的鉱物質を更に含む、段落番号1~19のいずれか1つに記載の方法。
21. 上記二次的鉱物質は、オキシ硫酸マグネシウム、カオリン、ベントナイト、タルク、クロライト質タルク、膨張パーライト粉砕物及び珪藻土から選択される、段落番号20に記載の方法。
22.
a.ポリマーベースの発泡体マトリックスと、
b.該ポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡内の鉱物質核生成剤と、
を含む、ポリマー発泡体組成物。
23. 上記鉱物質核生成剤は、アルカリ土類金属ケイ酸塩を含む、段落番号22に記載のポリマー発泡体組成物。
24. 上記鉱物質核生成剤は、オキシ硫酸マグネシウム、カオリン、タルク、クロライト質タルク、パーライト、膨張パーライト粉砕物、珪藻土、ガラスカレット、長石、かすみ石閃長岩、及びベントナイトの少なくとも1つを含む、段落番号22に記載のポリマー発泡体組成物。
25. 上記ポリマーベースの発泡体マトリックスは、熱可塑性ポリマーマトリックス又は熱可塑性エラストマーマトリックスの少なくとも1つを含む、段落番号22~24のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
26. 上記ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリスチレンマトリックス、ポリプロピレンマトリックス、ポリウレタンマトリックス、ポリ(エチルビニルアセテート)(EVA)マトリックス、ポリエチレンテレフタレート(PET)マトリックス又はそれらのコポリマーマトリックスの少なくとも1つを含む、段落番号22~25のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
27. 上記ポリマーベースの発泡体マトリックスの形成のために使用される発泡剤は、CO2、N2又は有機ガスの少なくとも1つを含む、段落番号22~26のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
28. 上記ポリマーベースの発泡体マトリックス組成物は、上記ポリマー発泡体の主成分である、段落番号22~27のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
29. 上記アルカリ土類金属ケイ酸塩は、ケイ酸カルシウム又はケイ酸マグネシウムの少なくとも1つを含む、段落番号23~28のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
30. 上記ケイ酸カルシウムは、天然ケイ酸カルシウム、例えばウォラストナイトである、段落番号29に記載のポリマー発泡体組成物。
31. 上記ポリマー発泡体は、約450μm以下の平均気泡サイズ(φ)を有する、段落番号22~30のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
32. 上記ポリマー発泡体は、約3.0×107/cm3以上の気泡密度(Nf)を有する、段落番号22~31のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
33. 上記鉱物質核生成剤は、約3.0m2/g以上のBET表面積を有する、段落番号22~32のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
34. 上記鉱物質核生成剤は、約1μm以上の中央粒度(d50)を有する、段落番号22~33のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
35. 上記鉱物質核生成剤は、約1μmから約50μmまでの範囲の中央粒度(d50)を有する、段落番号22~34のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
36. 上記鉱物質核生成剤は、約300重量%以上の吸油量を有する、段落番号22~35のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
37. 上記鉱物質核生成剤は、約400重量%以上の吸水量を有する、段落番号22~36のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
38. 上記鉱物質核生成剤は、約1から約50までの範囲のアスペクト比を有する、段落番号22~37のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
39. 上記鉱物質核生成剤は、二次的鉱物質核生成剤を更に含む、段落番号22~38のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
40. 上記二次的鉱物質核生成剤は、オキシ硫酸マグネシウム、カオリン、ベントナイト、タルク、クロライト質タルク、膨張パーライト粉砕物及び珪藻土から選択される、段落番号39に記載のポリマー発泡体組成物。
41. 上記鉱物質核生成剤は、タルクとクロライト質タルクとのブレンドを含む、段落番号22~40のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
42. タルク又はクロライト質タルクの1つを個別に含む鉱物質核生成剤を有する比較用ポリマー発泡体組成物の曲げ弾性率より大きい第一の曲げ弾性率を有する、段落番号41に記載のポリマー発泡体組成物。
43. 上記鉱物質核生成剤は、層状タルク、微細層状タルク、微結晶質タルク及び大型結晶質タルクの少なくとも1つを含む、段落番号22~42のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
44. 上記鉱物質核生成剤は、約2.8より大きいラメラリティーインデックスを有する、段落番号22~43のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
45. 上記ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリオレフィンを含む、段落番号22~44のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
46. ポリマーマトリックスを製造する方法であって、
a.ポリマー組成物を準備することと、
b.アルカリ土類金属ケイ酸塩を用いて該ポリマー組成物を核生成することと、
c.発泡剤を使用して、該ポリマー組成物からポリマー発泡体を形成することと、
を含み、
d.上記アルカリ土類金属ケイ酸塩が、ポリマー発泡体中の気泡の核生成を促進する、方法。
47.
a.ポリマーベースの発泡体マトリックスと、
b.該ポリマーベースの発泡体マトリックスの気泡内の鉱物質核生成剤と、
を含み、
上記鉱物質核生成剤が、タルクとクロライト質タルクとを含む、ポリマー発泡体組成物。
48. タルク又はクロライト質タルクの1つを個別に含む鉱物質核生成剤を有する比較用ポリマー発泡体組成物の曲げ弾性率より大きい第一の曲げ弾性率を有する、段落番号47に記載のポリマー発泡体組成物。
49. 上記鉱物質核生成剤は、層状タルク、微細層状タルク、微結晶質タルク及び大型結晶質タルクの少なくとも1つを含む、段落番号47又は48に記載のポリマー発泡体組成物。
50. 上記鉱物質核生成剤は、約2.8より大きいラメラリティーインデックスを有する、段落番号47~49のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
51. 上記ポリマーベースの発泡体マトリックスは、ポリオレフィンを含む、段落番号47~50のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物。
52. 段落番号47~51のいずれか1つに記載のポリマー発泡体組成物を含む、射出成形された自動車用構成部材。
【0194】
本発明の他の実施形態は、本明細書の考察及び本明細書に開示される本発明の実施から当業者に明らかとなる。本明細書及び実施例は単なる例示とみなされることが意図されるものであり、本発明の真の範囲及び趣旨は添付の特許請求の範囲により示される。