(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】軟質個体の標的領域における超音波を発生させるための装置およびシステム、ならびに組織を局所的に処置するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20220705BHJP
A61N 7/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61N7/00
(21)【出願番号】P 2018516072
(86)(22)【出願日】2016-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2016073191
(87)【国際公開番号】W WO2017055403
(87)【国際公開日】2017-04-06
【審査請求日】2019-09-03
(32)【優先日】2015-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591100596
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
(73)【特許権者】
【識別番号】596096180
【氏名又は名称】ユニベルシテ・クロード・ベルナール・リヨン・プルミエ
(73)【特許権者】
【識別番号】504217063
【氏名又は名称】サントル レオン ベラール
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シャプロン,ジャン-イヴ
(72)【発明者】
【氏名】メスタ,ジャン-ルイ
(72)【発明者】
【氏名】ラフォン,シリル
(72)【発明者】
【氏名】グリーリエル,ベルナール
(72)【発明者】
【氏名】ミルレ,ルネ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-33547(JP,A)
【文献】国際公開第02/09813(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0029353(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217161(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0036292(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61N 7/00 - 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質固体(T)の標的
領域(V)に超音波を発生させるための装置(2)であり、軟質固体内に超音波を発生させる少なくとも
2つの超音波
トランスデューサ(32)を含む装置であって、
2つの超音波トランスデューサ(32)は、超音波源に対する装置の端面(S2)を超えて、装置の本体(20)に取り付けられ、標的ゾーン(Z
1)の共通の焦点(P)に集束
し、
装置は、軟質固体(T)のゾーン(Z
2)を表面下の散乱によって照らすための
発光ダイオード(40)で構成された複数の照明手段と、照明手段によって照らされたゾーン(Z
2)の画像(V’)を取り込むためのビデオカメラ(50)とを含み、
発光ダイオード(40)は、全ての超音波
トランスデューサ(32)の焦点(P)を含む装置の中心軸(X2)の周りに分布され
、
超音波
トランスデューサ(32)、
発光ダイオード(40)およびビデオカメラ(50)は、装置の本体(20)に取り付けられ、標的ゾーン(
Z
1
)の共通の焦点(P)に向けられ、
ビデオカメラ(50)のボアサイト(A50)は、装置(2)の中心軸(X2)上に位置合わせされ
、
ビデオカメラ(50)がボアサイト(A50)を中心とした円錐(C50)内の画像を取り込み、
全ての超音波トランスデューサ(32)の前に位置するキャビティ(26)が流体カップリング媒体(34)で満たされ、膜(28)によって塞がれ、
膜(28)は、装置(2)の端面(S2)に属し、可撓性、音響的および光学的に透明であり、平行な主表面を有し、50μm未満の厚さを有する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記
流体カップリング媒体(34)は、1.45~1.65×10
6kg・s
-1・m
-2の音響インピーダンスを有し、光学的に透明である、ことを特徴とする請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
発光ダイオード(40)がキャビティ(26)の周りに分布している、ことを特徴とする請求項
1または
2に記載の装置。
【請求項4】
前記
発光ダイオード(40)は、前記本体(20)に設けられた、または前記本体(20)の周囲に取り付けられたリング(30)に設けられた一連の孔(204;304)内に取り付けられ、
前記
発光ダイオード(40)によって放射された光ビーム(B40)が前記キャビティ(26)を横切らないように、孔が前記中心軸(X2)の周りに分布される、ことを特徴とする請求項
1~
3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ビデオカメラ(50)の前記ボアサイト(A50)は、前記本体(20)にも取り付けられた透明部分(54)を横切っており、前記ビデオカメラを前記キャビティ(26)から分離する、ことを特徴とする請求項
1~
4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記
発光ダイオード(40)は、前記超音波
トランスデューサ(32)の周りに配置される、ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記
発光ダイオード(40)によって放射される光の波長は、586~605nmで選択される、ことを特徴とする請求項
1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ビデオカメラ(50)は、自動利得制御を有する、ことを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記標的
領域(V)内の超音波を検出するための検出手段(32)と、超音波の各散乱レベルを表す信号をユーザに提供するための手段(16)とを含む、ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記
発光ダイオード(40)は、前記
軟質固体(T)の表面(S)に接触して、支持するように適応する支持部材(30)上に取り付けられる、ことを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記本体(20)は片手に保持されるように設計、構成されている、ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記装置の本体内の前記ビデオカメラ(50)の位置および/または向きが調節可能である、ことを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
超音波源に対する装置の端面(S2)を超えて、装置の本体(20)に取り付けられ、標的ゾーン(Z
1)の共通の焦点(P)に集束する3つの超音波源を含む、ことを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
膜(28)は、約35μmの厚さを有する、ことを特徴とする請求項
1に記載の装置。
【請求項15】
前記
流体カップリング媒体(34)は、約1.54×10
6kg・s
-1・m
-2に等しい、ことを特徴とする請求項
2に記載の装置。
【請求項16】
前記
発光ダイオード(40)によって放射される光の波長は、黄色および/または橙色スペクトルである、ことを特徴とする請求項
7に記載の装置。
【請求項17】
軟質固体(T)の標的
領域(V)に超音波を発生させるためのシステム(4)であって、
前記システムが、
請求項1~
16のいずれか1項に記載の装置(2)と、
装置のビデオカメラ(50)によって取り込まれた画像を表示するためのスクリーン(6)と、を含む、ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質固体の標的領域に超音波を発生させる装置に関する。本発明はまた、そのような装置を含む超音波を発生するためのシステムに関する。最後に、本発明はまた、対象の組織を超音波で局所的に処置する方法に関する。
【0002】
本発明の意味において、軟質固体は、動物または植物起源を有することができる有機組織である。例えば、そのような軟質固体は、人体の器官、動物の身体または野菜の器官であり得る。
【背景技術】
【0003】
WO-A-2006/021651に記載されているように、超音波を静脈瘤の処置に使用することができる。このような場合、静脈壁を収縮させるために高強度の超音波の熱効果が使用される。
【0004】
キャビテーション現象も使用することができる。例えば、静脈瘤の処置のために、それらが崩壊するときに局所的な衝撃波を発生させるために、キャビテーション気泡が生成される。これにより、所与の静脈または血管の内皮を破壊することが可能になる。重要なキャビテーション現象を得るためには、超音波を生成し、正しい位置に集束させる必要がある。このために、EP-A-2636428に記載されているように、交差した超音波ビームを使用することができる。
【0005】
対象の皮膚の近くにあるスパイダー静脈は、時には目に見える、または部分的に目に見えることがある。処置の効率を上げるために、その長さに沿っていくつかの点で静脈を処置することが知られている。しかしながら、対象または患者の皮膚に処置装置を置くとき、この装置は静脈を隠すので、施術者は、超音波をその経路に沿って正確に集束させるために、装置を正確に方向付けおよび/または移動させることができない。
【0006】
WO-A-2014/160964に記載されているように、超音波技術に基づく軟質体内の標的を検出するために超音波イメージングプローブを使用することができる。しかしながら、このような超音波探触子は高価であり、小流量の血液が流れる小径の静脈はほとんど検出されない。実際、血液が低流量である静脈は、ドップラーまたはBモード超音波技術によって検出することが困難であり、時には不可能である。実際、静脈が小さいほど、静脈の血流速が低いほど、検出が難しく、コストがかかる。
【0007】
一方、WO-A-2009/112969およびWO-A-2012/156863は、異なるタイプの超音波源を用いた高強度集束超音波(HIFU)の応用に頼っている。超音波が印加される場所を正確に制御することはできない。
【0008】
EP-A-1795131は、患者の皮膚を照らす光源を備えた処置ヘッドを含むHIFUシステムを開示している。このような構造では、静脈のような皮膚の下に位置する物体の鮮明な画像を得ることができない。さらに、単一の超音波トランスデューサが使用され、その焦点で得られるキャビテーションゾーンが不安定である可能性があることを意味する。さらに、この文献の
図3に見られるように、光源は、撮像ユニットから半径方向にオフセットされており、観察される物体の正確な照射を可能にしない。
【0009】
WO-A-02/09813は、単一の固有に集束されたトランスデューサが使用され、キャビテーションゾーンの安定性に関して上記と同様の不都合を伴う、脱毛のための方法および装置を開示する。いくつかの照明手段は、超音波ビームを照準するための低強度レーザと、観察する領域を照らすための光源の形態で提供される。これらの品物は、装置の本体には取り付けられていないが、ライトガイドを介して接続されているため、煩雑である。さらに、光は皮膚に向けられ、脱毛のための毛髪を見るのには十分であるが、皮膚の下に位置する静脈などの物体をはっきりと見ることはできない。レーザまたは光源から来る光は、ビデオカメラのボアサイトと同じゾーンで装置の中心軸ゾーンに到達する。したがって、皮膚の直接照射のみが可能である。
【0010】
座瘡、しわ、蜂巣炎、入れ墨、メラノーマおよび子宮内膜の処置のために、処置すべきゾーンの潜在的な隠蔽の同様の問題が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、軟質固体の標的領域に超音波を発生させるのに有効であり、施術者が超音波がどこに集束するかを正確に選択すること、特に、患者の皮膚表面の下の1つまたはいくつかの所与の点でキャビテーション現象を得ることを可能にする新しい装置を用いて、既知技術の問題を解決することを目的とする。
【0012】
この目的のために、本発明は、軟質固体の標的領域に超音波を発生させるための装置であって、軟質固体内に超音波を発生させる少なくとも1つの超音波源を含む装置に関する。本発明によれば、装置は、少なくとも2つの超音波源、好ましくは3つの超音波源を含み、超音波源に対する装置の端面を越えて装置の本体に取り付けられる。この装置はまた、表面下の散乱によって軟質固体のゾーンを照らすための照明手段と、照明手段によって照らされたゾーン内の画像を取り込むためのビデオカメラとを含む。照明手段は、全ての超音波源の共通の焦点を含む、装置の中心軸の周りに分布されたいくつかの光源を含む。さらに、超音波源、光源およびビデオカメラは、装置の本体に取り付けられ、標的ゾーン内の共通の焦点に向けられている。ビデオカメラのボアサイトは、装置の中心軸上に整列される。
【0013】
本発明のおかげで、光源は、装置、特に対象の皮膚と接触する軟質固体のゾーンを照らすか、照明することを可能にする。これらの光源はまた、サブ表面光輸送(SSLT)としても知られているサブ表面散乱(SSS)によって、皮膚の下の筋肉または組織の一部を照明して、これにより、組織内のクモ静脈、並びに、にきび、しわ、蜂巣炎、入れ墨、メラノーマおよび子宮頸のような不整を検出することを可能にする。特に、EP-A-1795131またはWO-A-02/09813の教示と比較して、装置の操作は患者の皮膚を見ることに限定されない。これは、中心軸の周りに分布された異なる光源が、中心軸の周りのいくつかの位置で標的領域に浸透する光ビームを有し、異なる方向からの共通焦点の良好な照射を誘導するという事実に由来する。WO-A-02/03813のように中心軸を中心とするか、またはEP-A-1795131のように、そのような軸に対してオフセットした単一の光源を使用する場合、そのような手法は実施できない。さらに、少なくとも2つの超音波源を使用することにより、それらの共通の焦点でキャビテーションゾーンを安定させることができ、これにより、本発明の装置は、従来技術のシステムよりもはるかに使い易くなる。超音波源の共通の焦点に向けられた本発明の照明手段および埋め込み型ビデオカメラのおかげで、軟質個体に対して効率的に装置を位置決めするために、超音波センサ又はドップラカメラのような広範囲の装置を使用する必要はない。例えば、カメラが静脈または組織内の他の不整を検出すると、施術者は、標的領域に集束された超音波を適用するために、この検出を使用して組織に対して装置を適切に位置および/または移動させることができる。
【0014】
有利であるが強制的でない本発明のさらなる態様によれば、装置は、技術的に許容可能な構成で取られた以下の特徴の1つまたは複数を組み込むことができる。
【0015】
- 全ての超音波源の前に位置するキャビティがカップリング媒体で満たされ、前記カップリング媒体が液体である場合、膜によって塞がれ、膜は、装置の端面に属し、可撓性、音響的および光学的に透明であり、平行な主表面を有し、100μm未満、好ましくは50μm未満、より好ましくは約35μmの厚さを有する。
【0016】
- カップリング媒体は、1.45~1.65×106kg・s-1・m-2の音響インピーダンスを有し、より好ましくは約1.54×106kg・s-1・m-2に等しく、光学的に透明である。
【0017】
- 光源はキャビティの周りに分布している。
【0018】
- 光源は、本体に設けられた一連のまたは複数の孔、または本体の周りに取り付けられたリングに取り付けられ、孔は、光源によって放射された光線が前記キャビティを横切らないように中心軸の周りに分布される。
【0019】
- ビデオカメラのボアサイトは、本体に取り付けられた透明部分を横切り、ビデオカメラをキャビティから分離する。
【0020】
- 光源はLEDで構成されている。
【0021】
- LEDによって放射される光の波長は、586~605nm、特に黄色および/または橙色スペクトルで選択される。
【0022】
- ビデオカメラは、自動利得制御を有する。
【0023】
- 装置は、標的領域内の超音波を検出するための検出手段と、散乱された超音波のレベルを表す信号を使用者に提供する手段とを含む。検出手段は有利には、超音波源も構成するいくつかの超音波トランスデューサを含む。
【0024】
- 照明手段は、軟質固体の表面に接触してこれを支持するように適応された支持部材に取り付けられる。
【0025】
- 装置の本体は片手で保持するように設計、形成されている。
【0026】
- 装置の本体内のビデオカメラの位置および/または向きは調整可能である。
【0027】
本発明はまた、軟質個体の標的領域に超音波を発生させるシステムにも関し、このシステムは、上述の装置と、ビデオカメラによって取り込まれた画像を表示するためのスクリーンとを含む。
【0028】
さらに、本発明は、特に、超音波でキャビテーション気泡を生成することによって、対象の組織を局所的に処置する方法であって、少なくとも以下のステップを含む:
a)装置を、対象の皮膚のゾーンに接触させて配置するステップと、
b)対象の皮膚に向かって配向され、対象の皮膚の下の標的ゾーン内の共通点に集束する装置の少なくとも2つの超音波源を作動させるステップと、
c)標的ゾーン内の組織の画像フィードバックを得るステップ。
【0029】
この方法は、装置と接触している対象の皮膚の一部およびこの部分の下の組織の層を含む組織のゾーンを、表面下の散乱によって照らす、ステップd)を含み、
- ステップc)は、ステップd)が実施されたときに実施され、
- ステップc)の間、ステップd)の間に照らすゾーンの画像を撮影するために、ビデオカメラが使用される。
- この方法には、
- 前記ステップc)の間に前記ビデオカメラによって取り込まれた画像をユーザに表示するステップe)と、
- ユーザが、表示された画像に基づいて、対象の皮膚と接触する装置の配置を調整する、さらなるステップf)とを含む。
【0030】
本発明は、本発明の目的を限定することなく、添付の図面に対応して、そして例示的な例として与えられる以下の説明に基づいて、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による装置の斜視分解図である。
【
図2】
図2は、
図1の装置のより小さなスケールでの斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2の平面IIIに沿った拡大した切断図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2の実施形態による装置の、
図1と同様の斜視分解図である。
【
図6】
図6は、
図1の装置のより小さなスケールでの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6の平面VIIに沿った拡大した切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
いくつかの実施形態の詳細な説明
図1~
図3に示された装置2は、
図4に概略的に示されたシステムに属するプローブを構成する。
【0033】
図1~3は装置2の構造を示し、
図4はこの装置の機能表現を含む。
【0034】
装置2は、プラスチックABSまたはナイロン(登録商標)のような合成材料で作られた硬い本体20を含む。この本体20は、長手方向軸線X2の中心にあり、前端22と後端24との間に延びている。
【0035】
前端22に隣接して、本体20は、シリコン、ポリエステル、ポリ(メチル)メタクリレートまたはPMMAのようなエラストマー材料で作られた可撓性膜28によって塞がれた、開口したキャビティ26を画定する。膜28は、可視領域において光学的に透明である。
【0036】
膜28は、本体20の前方部分20Aの周りに取り付けられた保持リング30であって、この前方部分の外側半径方向表面S20の周りで膜28を締め付ける保持リング30によって、本体20の前端22の所定の位置に保持される。
【0037】
3つの圧電セラミックトランスデューサ32が、膜28と軸X2とに向きに向けられたアクティブ面322を有する、本体20の前方部分20A内に取り付けられる。トランスデューサ32は、軸X2の周りに規則的に分布している。これら3つのトランスデューサ32は、それぞれ3つの超音波源に由来する超音波が集束され、トランスデューサ32に対して膜28を越えて軸X2上に位置する共通の焦点Pに収束するように、設計され本体20に取り付けられる。トランスデューサ32によって形成された超音波源も、点Pにおいて共焦点であると言える。
【0038】
トランスデューサ32は、0.1~10MHz、好ましくは500kHz~3MHz、より好ましくは約1.6MHzの周波数で作動する。その都度、トランスデューサ32が5秒から20秒の間作動される。
【0039】
膜28はまた、トランスデューサ32の周波数作動領域において音響的に透明である。
【0040】
本体20に装着されると、リング30は、前方部分20Aの終端縁202と同一平面の端面302を有する。したがって、縁202および端面302は共に、軸X2に垂直な装置2の端面S2を画定する。焦点Pは、トランスデューサ32によって形成された3つの超音波源に対して面S2を超える。
【0041】
各トランスデューサ32のアクティブ面322は、この焦点に中心がある球の一部の形状内にある。実際には、キャビティ26を画定する本体20の壁は、この焦点Pを中心とする球の一部の形状内にあってもよく、これにより、装置2の組立が容易になる。しかし、このキャビティには別の形状も可能である。各トランスデューサ32は、前方部分20Aを通って延びる孔206によって形成されたハウジング内に取り付けられている。トランスデューサ32がそれぞれのハウジング206内に装着されると、そのアクティブ面322は、前方部分20Aおよび膜28の内面と共にキャビティ26を画定する。
【0042】
図3に示すように、リング30は、端面302に隣接して、径が外径面S20の直径に調整された縮小された内径面S30を備えているので、膜28が面S30と面S20との間に効率的に締め付けられる。リング30はまた、リング30が本体20の周囲に取り付けられたときにリング30が本体20の環状外側カラー20Dを支持するように選択された、軸X2に沿って測定して軸方向長さを有するスカート306を含む。この構成では、面302は、上述したように、縁202と同一平面にある。
【0043】
実際、カラー20Dは、本体20の前方部分20Aと後方部分20Bとを分離している。
【0044】
スカート306は、面20の僅かな半径方向距離に延在しており、リングが本体20に取り付けられたときにリング30を無理に押し込む危険性を回避する。
【0045】
図1において、膜28は、リング30の左側、すなわちその前方に示されている。実際には、それが本体20に取り付けられたとき、膜28は軸X2に沿って面302に水平に、半径方向は面S20とS30との間に配置され、そこで締め付けられる。したがって、それが本体20に取り付けられたとき、膜28は端面S2に属する。
【0046】
キャビティ26は、トランスデューサ32から生じる超音波がキャビティ26内を伝搬することを可能にするカップリング媒体、より具体的にはカップリング流体で満たされている。カップリング流体は、トランスデューサ32から来る超音波を減衰させないように、またはできるだけ減衰させないように選択される。例えば、それはガスを除去した水から作ることができる。あるいは、カップリング媒体はゲルから作ることができる。
【0047】
このカップリング媒体は、膜28上の超音波の反射および屈折を最小にし、この膜を通る超音波の透過を最大にするように選択される。このカップリング媒体は、
図3および
図4に参照番号34で示されている。それは、少なくとも可視領域において、光学的に透明である。ここで、Z
1は、システム4で処置される組織の音響インピーダンスを示し、c
1は、この組織内の超音波速度を示す。同様に、Z
34およびc
34は、媒体34の音響インピーダンスおよび超音波速度を示す。装置2が人体の静脈瘤を処置するために使用されるケースを考慮し、Z
34がZ
1とc
34がc
1とに等しいときに伝送が最適であることを考慮すると、施術者は音響インピーダンスが1.35と1.65×10
6.kg・s
-1・m
-2との間、より好ましくは約1.54×10
6.kg・s
-1・m
-2のカップリング媒体を選択する。このように、カップリング媒体34は、トランスデューサ32によって放射される超音波、すなわちトランスデューサ32の周波数作動領域において音響的に透明である。
【0048】
さらに、トランスデューサ32から来る音波を変化させないために、膜28は、少なくとも軸X2に垂直なその部分において、主表面に平行に選択される。換言すれば、軸線X2に垂直なその主表面は互いに平行である。その厚さは、100マイクロメートル(μm)未満、好ましくは50μm未満、より好ましくは約35μmに等しい。膜28の材料は、超音波に対して透明であることが好ましい。
【0049】
いくつかのLED40によって形成された一連の光源が、リング30内に取り付けられている。実際には、リング30には20個の貫通孔304が設けられ、各貫通孔内には1個のLED40が設置されている。リング30が本体20に取り付けられると、貫通孔304が軸X2の周りに規則的に分布される。貫通孔はそれぞれ軸A304に整列され、全ての軸A304は軸X2に属する点Qに収束する。
図3に示すように、点Qは、焦点Pよりも膜28および表面S2からさらに離れている。
【0050】
点PおよびQを含み、軸X2を中心とする標的ゾーンΖ
1が定義される。トランスデューサ32およびLED40は、標的ゾーンΖ
1に向けられている。標的ゾーンΖ
1は、
図3および
図4にハッチングで示されている。その実際の形状は、トランスデューサ32およびLED40の構造および制御に依存する。
【0051】
LED40は軸X2に向けられ、それぞれの光線B40は45°と60°の間の収束角αでこの軸に向かって前方に収束する。言い換えれば、これらの光ビームB40は、装置2が使用されているとき、患者の皮膚と30~45°の角度をなす。患者の皮膚に対するこの角度も、ビームB40と端面302との間の角度である。
【0052】
LED40は、リング30を介して本体20に取り付けられている。
【0053】
LED40は、装置2が使用されているとき、対象または患者の皮膚を照らすまたは照射するために使用される。実際には、LED40は、サブ表面の散乱を介して、対象の皮膚の外面だけでなく、皮膚の下に位置する組織の一部も照らしまたは照射する。
【0054】
装置2はまた、本体20内に取り付けられたビデオカメラ50を含む。換言すれば、ビデオカメラ50は本体20に埋め込まれている。より正確には、本体20は、ビデオカメラ50を収容するため、軸線X2を中心とする凹部を画定する内側円筒壁20Cを有する。エラストマーガスケット52が壁20C内に取り付けられ、ビデオカメラ50を凹部内に保持する。ビデオカメラは可視領域で動作する。実際には、ビデオカメラ50はマイクロビデオカメラであり、長さが20mm以下、好ましくは15mm以下、直径が25mm以下、好ましくは15mm以下のカメラである。
【0055】
ビデオカメラ50は、そのボアサイトが軸X2と整列するように本体20内に配置されている。カメラ50のボアサイトは、
図3の矢印A50の方向に膜28の方に向けられている。したがって、カメラ50もまた、標的ゾーンΖ
1に向けられている。カメラ50は、透明部分54、より正確には軸X2を中心としたPlexiglas(登録商標)としても知られているポリ(メチル)メタクリレートまたはPMMAで作られた円筒部分によって、キャビティ26から分離されている。この部分54は、カメラ50がキャビティ26および膜28を介して画像を取り込むことを可能にする。
【0056】
膜28の薄い厚さは、トランスデューサ32から来る超音波とビデオカメラ50によって取り込まれた画像とを含む、この膜を通過する波の摂動を回避する。言い換えると、膜28によって、顕著な視覚的干渉または音響減衰は発生しない。
【0057】
装置2はまた、その後方部分20B内に受け入れられ、トランスデューサ32およびカメラ50を制御し、それらをシステム4の他の部分に接続するために使用されるプリント回路基板またはPCB60を含む。
【0058】
本体20もまた、一度物品50および60が本体20に固定されると、後方部分20Bに取り付けられるように適合されたカバー20Eを含む。制御スイッチ70は、カバー20Eに取り付けられ、適切なとき、PCB60を介してトランスデューサ32を作動させるために施術者によって使用される。
【0059】
リアキャップ80は、後端24とカバー20Eの後方部分とに取り付けられている。リアキャップ80は、本体20の残りの部分に対して所定位置にカバー20Eを保持する。カバー20Eとは別に、本体20は一体的である。リアキャップ80には、
図1ないし3には示されていない電線を介して装置2を装置4の他の部分に電気的に接続することを可能とする孔またはコネクタが設けられている。そのような孔が
図3に見える。実際、
図1~
図3では、明確化のため、電気ケーブルは示されていない。
【0060】
図1~
図3に示すように、装置2の一般的な円筒形状は、必要に応じて一方の指をスイッチ70に押しながら片手で保持することを可能にする。
【0061】
本体20は、キャビティ26を画定するその表面に、装置2の使用中に媒体34内に潜在的に形成される気泡を収容するための図示されていない凹部を備える。さらに、キャビティ26をカップリング媒体34で満たすために、本体20を貫通してチャネルが形成され、このチャネルの出口は参照番号38で
図3に示されている。
【0062】
図4に示す使用構成では、PCB60は、点Pに集束される音波を生成するトランスデューサ32を駆動するためにインピーダンスを整合するために使用される。
図4において、矢印S60は、PCB60によるトランスデューサ32の制御を表す。
【0063】
図4の例では、対象の組織Tの静脈瘤Vは、その内皮の破壊のために処置されるべきである。
【0064】
カメラ50は、この点Pが静脈瘤Vまたは類似の不整と一致するように、組織T、より具体的にはその皮膚Sに対して装置2を効率的に配置または「位置」するために使用される。システム4を使用する場合、施術者は、処置すべき静脈Vが位置する可能性のある患者の皮膚Sの主要ゾーンに装置2を接触させることによって、
図8に示す第1のステップa)で開始する。この一次ゾーンの識別は肉眼で行うことができる。
【0065】
この方法はまた、上述のように患者の体内にキャビテーション気泡を発生させるために、トランスデューサ32が作動されるステップb)を含む。
【0066】
ステップc)も実行され、組織の画像フィードバックがカメラ50を介して得られる。
【0067】
ステップb)およびc)を効率的に実現するために、LED40が作動されるステップd)が実施される。ステップb)の間に、ダイオード40から来る光ビームB40は、膜28に直接隣接する組織Tの部分および装置2の前端面S2を照らし、カメラ50が視認ゾーンを表す円錐C
50内の画像を取り込むことを可能にする。言い換えれば、
図4の灰色で識別される組織TのゾーンZ
2は、ビームB40による光の拡散を介して標的とされるか、または照らされる。このゾーンZ
2は、皮膚Sの円盤と、この円盤の下の組織Tの層とを含む。これにより、比較的簡単で安価な装置であるビデオカメラ50が、静脈Vを可視化することができる画像を効率的に取り込むことを可能にする。
【0068】
LED40によるゾーンZ2の照明は、カメラ50が画像を取り込む限り生じる。言い換えれば、ステップc)は、ステップd)が実施されたときのみ生じる。
【0069】
有利には、ステップb)も、ステップd)が実施されたときのみ生じる。
【0070】
システム4はまた、接続ラインL6を介してビデオカメラ50に接続されたスクリーン6を含み、ビデオカメラ50によって取り込まれた静脈Vの画像V’が方法のさらなるステップe)で示され得る。したがって、装置2を手持ちし、スクリーン6を見るシステム4のユーザは、組織Tのこの部分にビームB40を集束させることによって静脈Vを効率的に処置するために、さらなるステップf)において、組織Tに関して装置2の位置を適合させることができる。換言すれば、ステップf)は、患者の皮膚Sおよび組織Tに対する装置2の配置を適合させるために器具2を使用して施術者によって実施される。ステップe)およびf)の間、ステップb)、c)およびd)はまだ実施されている。特に、ユーザは、組織T内のその経路に沿ってこの静脈を処置するために、点Pをいくつかの位置で静脈Vと一致させるように、静脈Vに沿って装置2を移動させることができる。
【0071】
周囲照明の可能な変化およびLED40によって放射される光に対する組織Tの応答の起こりうる変化を考慮に入れるために、ビデオカメラ50は自動利得制御を有することが好ましい。これは、画像のコントラストを最適化することが、静脈または不整をスクリーン6上に表示することを可能にする。
【0072】
システム4はまた、信号カプラ8と、信号カプラ8から出力される信号S8を取得して処置する電子制御ユニット10と、制御信号S10を介してユニット10によって制御される信号発生器12と、カプラ8に増幅された信号S14を送る増幅器14とを含む。
【0073】
本発明の有利な態様によれば、組織T内の超音波を監視することによってキャビテーションを制御するためにトランスデューサ32も使用され得る。このような場合、散乱された超音波のレベルを表す信号に対応する、各トランスデューサ32の出力信号S32は、それを信号カプラ8および電子制御ユニット10に供給するPCB60に送られる。ラウドスピーカ16のような出力装置は、組織T内のキャビテーションレベルの効率を施術者またはシステム4のユーザに知らせるために使用される。例えば、スピーカ16によって放射される音のレベルおよび/または周波数は、トランスデューサ32の出力信号S32に基づくことができ、こうして散乱された超音波のレベルが表される。
【0074】
あるいは、ラウドスピーカ16の代わりに、専用スクリーン、スクリーン6のサブスクリーン、またはキャビテーションが発生したときに点滅する施術者が可視可能なLEDまたはランプなど、検出された超音波について施術者に知らせるための他の手段が使用され得る。
【0075】
本発明の別の実施形態によれば、トランスデューサ32とは異なるセンサが、組織T内のキャビテーションレベルに関して電子制御ユニット10に情報を提供するために使用され得る。
【0076】
実用的な観点から、可視領域にあるLED40によって放射される光の波長は、サブ表面散乱またはSSSを含むゾーンZ2の効率的な照明を可能にする、586ナノメートル(nm)から605ナノメートル(nm)の間、特に黄色および/または橙色スペクトルで選択され得る。
【0077】
図3に示すように、本体20の後方部分20BAには、PCB60を適所に保持するためのスライド20Fが設けられている。これらのスライドはまた、キャビティ26にカップリング媒体34を供給するための1つまたは複数のチューブを収容するために使用され得る。そのような場合、これらのチューブは、
図3の参照符号38で示された出口を有するチャネルに接続される。
【0078】
リング30は、端面302に向かって収束する斜面303を有する。これは、装置2の使用中に装置2と皮膚Sとの間の境界を画定する面302が、LED40がこのリング内に収容されるため、縮小させることができないリング30の外径D30よりも実質的に小さい直径D302を有することを可能にする。これは、対象または患者の皮膚S上の摩擦面を円盤の直径D302に縮小することを可能にする。実際には、斜面303は、面302と面303との間の角度βが30°と45°との間になるように寸法がとられ、向けられる。
【0079】
装置2は、上述したようなスクリーン6を見ることができる施術者によって、片手で、容易に操作できる。デバイス2は人間工学に合った大きなペンまたはプローブとして使用される。実際には、組織Tに対する装置2の配置および変位が、あるユーザと他のユーザとで異なるため、施術者の習慣に応じて、彼または彼女は異なる指で本体20を握るかもしれない。このことを考慮するために、本発明の図示しない態様によれば、本体20内のビデオカメラ50の位置および/または向きは調整可能である。
【0080】
施術者が装置2の使用を開始し、照明手段が起動されて皮膚Sを支持するとき、患者の皮膚Sと接触するリング30内にLED40が取り付けられているので、LED40から照射ゾーンZ2に伝達される光量は最大になる。これにより、ビデオカメラ50によって取り込まれた画像の品質が改善される。
【0081】
図5~
図7に表された本発明の第2の実施形態では、第1の実施形態のものと同様の第2の実施形態のデバイス2の部分が同じ参照番号を有する。この第2のデバイスまたはプローブ2は、
図4のシステムの一部として使用することもでき、第1の実施形態のデバイス2として実質的に機能する。ここでは、第1の実施形態との相違点のみを説明する。
【0082】
リアキャップ80は、弾性舌部80Cと対応する凹部80Dとによって互いに締め付けられた2つの半部分80Aおよび80Bから形成されている。この実施形態では、LED40は、軸X2を中心にして均等に分配された貫通孔204内に受け入れられ、カラー20D内に設けられる。
【0083】
図7は、キャビティ26に接続された出口38を有するチャネル20Gに整列された本体20の1つのスライド20Fを示す。チャネル20Gおよびキャビティ26に供給するために、スライド20F内には、図示されていないチューブが設置され得る。このキャビティは、3つのリング、即ち内側リング31、中間リング33および外側リング35で囲まれた本体20の前方部分20A内に作られている。保持部材53は、リング33とリング35との間の界面に設けられている。リング35は、LED40によって構成された光源を有して、軸X2に平行な方向に沿って整列され、これらのLEDによって放射された光のための導波管を装置2の端面S2に向けて形成する。
【0084】
この第2の実施形態は、焦点Pと膜28との間に画定された軸方向距離の調節に適合するように設計されており、施術者が組織Tへのキャビテーションの浸透の深さを調整することを可能にする。その目的のために、リング31は、リング33に設けられた雌ねじと嵌合する雄ねじを有するように設計されている。このリング33にはまた、図示しないOリングが挿入された円周溝51が設けられている。リング31は、本体20の前方部分20Aに密封結合されている。リング33はリング31にねじ止めされ、膜28は保持部材53によってリング33に締め付けられるか、または保持部材53に直接接着される。このアセンブリは、カップリング液で満たされ、溝51内に配置されたOリングのおかげで、軸X2に沿ったリング33の位置に関わらず、密閉が保たれる。リング35は、PMMAまたは他の透明なプラスチックのような透明な材料で作られている。それはリング33に挿入され、LED40によって放射された光の伝導を保証する。
【0085】
外側リング35の前縁352は、軸X2に向かって後方に傾斜し、膜28はリング35と33との間に締め付けられる。
【0086】
リング37は、後方部分20Bおよび本体20のカラー20Dの周りに取り付けられ、LED40およびその配線を使用者との接触から保護する。第1の実施形態と同様に、超音波源を形成するトランスデューサ32、LED40およびビデオカメラ50が本体20に取り付けられる。この場合、LED40は、本体20に形成された孔204内に直接取り付けられているが、第1の実施例ではLED40は、この本体に固定されたリング30を介して本体20に取り付けられている。
【0087】
この第2の実施形態では、トランスデューサ32、LED40およびカメラ50もまた、トランスデューサ32の焦点PおよびLED40の収束点Qを含む、
図6で視認可能な標的ゾーンZ
1に向けられている。
【0088】
この第2の実施形態の装置2は、
図8の方法を実施するために使用され得る。
【0089】
両方の実施形態では、照明手段としてのLEDの使用は、寿命の点で、および患者の皮膚の焼灼を避ける白熱電球と比較して、ダイオードが比較的低い温度であるために有利である。また、LEDの点灯電力は容易に調整され得る。
【0090】
両方の実施形態において、ビデオカメラ50のボアサイトが中心軸X2上に整列されるという事実は、装置2が使用されているとき、このボアサイトが患者の皮膚5に対して全体的に垂直になることを導く。これにより、より直観的に使用できる。
【0091】
両方の実施形態では、LED40がトランスデューサ32の周りに配置されているので、光ビームB40はキャビティ26を横切る必要はない。これは、カップリング媒体34を横切る光ビームB40に対する反射問題を回避するが、そのような反射は、ビデオカメラ50によって取り込まれた画像の品質を変える可能性がある。
【0092】
本発明は、装置2がトランスデューサ32によって形成された3つの超音波源を含む場合について、上記で説明された。しかし、それはまた、2つのそのような源または4つ以上のそのような源を有する単一の超音波源で動作することができる。単一のトランスデューサを超音波源として使用すると、気泡は放射力によって押しのけられることがある。このため、そのような場合には、高度に焦点化された超音波源が好ましい。いくつかの超音波源を使用することの関心は、キャビテーション気泡が閉じ込められうる焦点ゾーンに干渉のネットワークを作り出すことである。このアプローチの別の関心は、処置空間分解能を改善するために焦点体積のサイズを縮小することである。
【0093】
本発明は、ビデオカメラが可視領域内で動作する場合について、上記で説明された。あるいは、赤外線(IR)ビデオカメラを使用することもできる。そのような場合、膜28およびカップリング媒体34はIR範囲で光学的に透明であり、ゾーンZ2を照らすために使用される光が適合される。
【0094】
別のアプローチによれば、異なる波長の照明光、例えば、紫外線が特定の標的を強調表示するために、使用されてもよい。これは、蛍光剤の注入と組み合わせることができる。
【0095】
本発明は、静脈瘤の処置のために使用される場合について、上記で説明された。それはまた、座瘡、しわ、蜂巣炎、入れ墨、メラノーマおよび/または子宮内膜の処置に使用することができる。また、人間や動物の体内で超音波を発生させるためにも使用できる。
【0096】
本発明の代表的でない代替の実施形態によれば、キャビティ26を満たすカップリング媒体は固体であってもよい。そのような場合、膜28は省略することができる。
【0097】
本明細書で上述した実施形態および代替実施形態は、本発明の新しい実施形態を生成するために組み合わせることができる。