(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】医療機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20220705BHJP
F16C 29/04 20060101ALI20220705BHJP
F16C 33/40 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61B17/32 510
F16C29/04
F16C33/40
(21)【出願番号】P 2018549930
(86)(22)【出願日】2017-03-23
(86)【国際出願番号】 EP2017056903
(87)【国際公開番号】W WO2017162786
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】102016105431.3
(32)【優先日】2016-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン マヒル
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0204255(US,A1)
【文献】特開平05-060131(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0219184(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102009021135(DE,A1)
【文献】特開平03-239811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/32
F16C 29/04
F16C 33/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線形運動可能であるように装着される機械要素(20)と、少なくとも1つの玉軸受(40)を含むとともに長手方向軸(34)を規定して前記機械要素(20)の高振動数での前後への線形振動運動を前記長手方向軸(34)に対して平行に案内するための少なくとも1つの線形ガイド(38)とを備えた医療機器(10)であって、
前記少なくとも1つの玉軸受(40)が、対応する玉ホルダ(44)内で運動可能に保持されるとともに前記機械要素(20)を案内する複数の玉(42)を含む、医療機器において、
前記複数の玉ホルダ(44)が、長尺穴(48)の形態に構築されること、
前記複数の長尺穴(48)が、該長尺穴の各々内に運動可能に配置される前記玉(42)用の運動の自由長(74)を有すること、
前記運動の自由長(74)が、前記線形ガイド(38)に対する前記機械要素(20)の行程(76)の少なくとも半分に対応すること、
前記長尺穴(48)が各々、長尺穴長手方向軸(72)を規定すること、
前記長尺穴長手方向軸(72)が、前記長手方向軸(34)に対して交差方向に延びること、及び
前記長尺穴長手方向軸(72)が、前記長手方向軸(34)との0°~90°の範囲内の角度(98)を包含すること
を特徴とする医療機器。
【請求項2】
請求項1に記載の医療機器であって、前記機械要素(20)が、前記少なくとも1つの線形ガイド(38)内を案内される少なくとも1つの回転対称な機械要素区域(32)を含み、特に、前記回転対称な機械要素区域(32)が、円形断面を有することを特徴とする医療機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の医療機器であって、前記機械要素(20)が、ラム(30)又はピストンの形態に構築されることを特徴とする医療機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の医療機器であって、
前記少なくとも1つの玉軸受(40)が、軸受保持器(46)を含むこと、及び
前記複数の玉ホルダ(44)が、前記軸受保持器(46)内に形成されること
を特徴とする医療機器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の医療機器であって、
前記長尺穴長手方向軸(72)が、前記長手方向軸(34)との0°~約30°の範囲内のねじれ角(98)を包含すること
を特徴とする医療機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の医療機器であって、前記長尺穴(48)が、前記行程(76)の半分の少なくとも10%を超える、特に前記行程(76)の半分の少なくとも30%を超える運動の自由長(74)を有すること、を特徴とする医療機器。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の医療機器であって、
前記少なくとも1つの玉軸受(40)が軸受保持器(46)を含む、医療機器において、
a)前記軸受保持器(46)が、前記長手方向軸(34)の周りで回転するように前記線形ガイド(38)上に配置されること、
及び/又は
b)前記少なくとも1つの玉軸受(40)が、前記玉(42)が径方向において前記長手方向軸(34)から離れる方へ運動するのを限定するために、前記軸受保持器(46)を包囲する軸受スリーブ(58)を含むこと
を特徴とする医療機器。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の医療機器であって、
a)前記複数の長尺穴(48)が、それぞれの長尺穴長手方向軸(72)に対して交差方向に長尺穴幅(68)を有すること、及び、前記長尺穴幅(68)が、径方向において前記長手方向軸(34)に向かって減少すること、
及び/又は
b)前記複数の長尺穴(48)の互いを向く側方画定面(88)が、互いに対して円錐角(90)にて傾斜し、特に、前記円錐角(90)が、前記長手方向軸(34)から離れる方を向いて開放していること
を特徴とする医療機器。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか1項に記載の医療機器であって、
前記少なくとも1つの玉軸受(40)が軸受保持器(46)を含む、医療機器において、
a)前記軸受保持器(46)の壁厚(52)が、前記複数の玉(42)の直径(50)よりも小さく、特に、前記壁厚(52)が、最大で前記複数の玉の直径(50)の半分に対応すること、
及び/又は
b)前記軸受保持器(46)が、該軸受保持器(46)の長手方向軸(34)に関して互いから軸方向に離間する少なくとも2列の穴(80、82)を含み、各々が、前記長手方向軸(34)に関して周方向において配置される幾つかの長尺穴(48)を含み、特に、穴(80、82)の隣接する列の長尺穴(48)が、互いに整列して又は互いからずらして配置されること
を特徴とする医療機器。
【請求項10】
請求項4~9のいずれか1項に記載の医療機器であって、
前記線形ガイド(38)が、各々少なくとも1つの軸受保持器(46)でもって互いから分離している2つ以上の玉軸受(40)を含むこと、及び
各軸受保持器(46)は、該軸受保持器(46)の長手方向軸(34)に関して周方向において配置される幾つかの長尺穴(48)を備えた少なくとも1列の穴(80、82)を有すること
を特徴とする医療機器。
【請求項11】
請求項4~10のいずれか1項に記載の医療機器であって、前記少なくとも1つの玉軸受(40)が軸受保持器(46)を含む、医療機器において、前記軸受保持器(46)が、前記長手方向軸(34)から離れる方向において及び/又は前記長手方向軸(34)に向かう方向において、前記玉(42)がそれぞれの玉ホルダ(44)から退出しないようにするための径方向固着装置(86)を含むことを特徴とする医療機器。
【請求項12】
請求項11に記載の医療機器であって、
a)前記径方向固着装置(86)が、前記玉ホルダ(44)の屈曲縁部(94)を含むこと、
及び/又は
b)その内径が、前記軸受保持器(46)の外径に対応するカバースリーブを前記径方向固着装置(86)が含むこと、及び、前記カバースリーブが、その幅が玉直径(50)よりも小さい長尺穴様の複数のカバー貫通穴を含み、特に、前記少なくとも1つの玉軸受(40)が、前記玉(42)が径方向において前記長手方向軸(34)から離れる方へ運動するのを限定するために、前記軸受保持器(46)を包囲する軸受スリーブ(58)を含み、前記軸受スリーブ(58)が、前記カバースリーブを包囲するように配置されること
を特徴とする医療機器。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の医療機器であって、
a)前記少なくとも1つの玉軸受(40)が、金属から形成されること、
及び/又は
b)前記少なくとも1つの玉軸受(40)が軸受保持器(46)を含み、前記軸受保持器(46)が、金属から形成されること
を特徴とする医療機器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の医療機器であって、前記機械要素(20)が、道具要素(24)に解放可能に接続するための連結装置(22)を含むことを特徴とする医療機器。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の医療機器であって、鋸(12)、フライス盤、又はボール盤の形態に構築されることを特徴とする医療機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線形運動可能であるように装着される機械要素と、少なくとも1つの玉軸受を含むとともに長手方向軸を規定して機械要素の線形運動を長手方向軸に対して平行に案内するための少なくとも1つの線形ガイドとを備えた医療機器であって、少なくとも1つの玉軸受が、対応する玉ホルダ内で運動可能に保持されるとともに機械要素を案内する複数の玉を含む、医療機器に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載した種類の医療機器用の市場で利用可能な線形ガイドが、普通、以下で単に軸受保持器とも称される軸受保持器又は玉保持器の穴の形態の対応する玉ホルダ内に玉が組み込まれるように構築される。このような医療機器では、特に機械要素を高振動数にて前後に運動させることが問題となる。軸受保持器は、機械要素と共に往復運動とも称される振動運動でもって前後に運動させられる。振動運動の反転点では、慣性質量のおかげで、玉のそれぞれの走行パートナー上に、例えば機械要素自体の上に、玉の摺動又は押圧が生じ得る。結果として、玉は望ましくないやり方で摩滅し得るのであり、これによって線形誘導の質が著しく損なわれ、機器の寿命が低減され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明の目的は、冒頭に記載した前記種類の医療機器における前記機械要素の前記誘導を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は本発明によれば、前記冒頭に記載した前記種類の医療機器において、前記複数の玉ホルダが長尺穴の形態に構築されるという点で成就される。
【0005】
本発明により提案される解決策により、特に前記玉ホルダ内での前記玉の運動を、前記玉ホルダの運動から切り離すことができる。前記玉が軸受保持器の穴内に配置される従来の線形ガイドとは異なり、前記玉は前記長尺穴形の玉ホルダ内で前後に運動することができ、従って、摺動パートナーの一方又は両方の上で、例えば前記案内される機械要素上で、転動することができる。従ってより具体的には、前記機械要素が前記長手方向軸に対して平行に運動するにもかかわらず、前記玉ホルダが対応する大きさであり、特に、前記長尺穴が対応する長さであれば、前記玉ホルダを含む軸受保持器は、実質運動しないまま留まることができる。このようにして、前記線形ガイドの摩滅を最小にすることができ、それ故に、線形ガイドの寿命及び前記医療機器の寿命を増加することができる。従って、前記長尺穴により、特に運動させられるべき前記質量を低減することが可能になる。このことは、前記軸受保持器が鋼からではなく、より軽量の材料、例えばプラスチック材料又はセラミック材料から構築されることにより達成することもできよう。一方、特にプラスチック材料の場合は摩滅が比較的大きく、セラミック材料は、この目的に対しては高程度の出費でしか製造できず高価なものになる。これに応じて、本発明により、特に鋼製である従来の軸受保持器を、これらを運動させる必要なしに使用することが可能になる。従って、前記機械要素の振動運動及びその線形誘導にとって、前記軸受保持器の質量は実際には重要ではない。ここで長尺穴というものは、特に第1方向において、前記第1方向に対して交差方向である第2方向においてよりも大きい程度を有する貫通穴として理解すべきであり、前記長尺穴内に装着された前記玉は、実質、前記第1方向に対して平行にのみ運動させることができ、即ち前後にのみ転動することができる。更に長尺穴の前記形態に構築される玉ホルダ内に前記玉を配置することにより、前記医療機器の洗浄がより容易になる。洗浄液を、前記玉と軸受保持器の前記玉ホルダとの間に、はるかに良好に入れることができる。
【0006】
前記機械要素が、前記少なくとも1つの線形ガイド内を案内される少なくとも1つの回転対称な機械要素区域を含むことが好都合である。必要であるべき場合、前記回転対称な機械要素区域により、特に前記線形ガイドに対する回転も可能になる。更にこの機械要素区域を包囲する玉軸受の構築を、容易に実施することができる。
【0007】
前記回転対称な機械要素区域は、特に円形断面を有する場合、作製が容易である。
【0008】
特別な種類の医療機器について言えば、前記機械要素がラム又はピストンの前記形態に構築されることが好都合なことがある。従って、例えば細帯鋸の前記形態の振動鋸を容易に構築することができる。
【0009】
前記少なくとも1つの玉軸受が軸受保持器を含み、前記複数の玉ホルダが前記軸受保持器内に形成されることにより、前記医療機器の前記構築を更に簡素化することができる。その際、前記軸受保持器の構成のおかげで前記玉を所望のやり方で配置することができ、前記振動式に運動させられる機械要素を、前記所望のやり方で案内することができる。
【0010】
前記長尺穴が各々、長尺穴長手方向軸を規定し、前記長尺穴長手方向軸が前記長手方向軸に対して平行に又は交差方向に延びることが有利である。特に、前記軸受保持器の前記長手方向軸の周りでの回転が所望されない場合には、前記長尺穴は、その長尺穴長手方向軸が前記長手方向軸に対して平行に整列することが有利である。一方、前記玉ホルダの前記長尺穴長手方向軸が前記長手方向軸に対して交差方向に延びることにより、前記玉が前記機械要素に対して前記所望の転動運動ではなく摺動運動をすることが原因の、前記機械要素上での玉のいわゆるランニング・イン、即ち研磨痕の形成は、防止することができる。ここで交差方向というのは、特に、垂直ではないこと、即ち0°~90°の間の角度のことであり、好ましくは90°よりも著しく小さい、特に50°よりも小さい角度のことである。
【0011】
前記軸受保持器の前記長手方向軸の周りでの規定の回転を実行するために、前記長尺穴長手方向軸が、前記長手方向軸との0°~約30°の範囲内のねじれ角を包含することが有利である。このような構成により、特に前記機械要素の振動運動でもって、前記玉が前記長尺穴様の玉ホルダ内で運動することによって前記軸受保持器を前記長手方向軸の周りで回転することも可能になる。
【0012】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記複数の長尺穴が、これらの長尺穴の各々内に運動可能に配置される前記玉用の運動の自由長を有し、前記運動の自由長が、前記線形ガイドに対する前記機械要素の行程の少なくとも半分に対応することを実現することができる。前記機械要素の行程長とも称される行程は、前記長手方向軸に対する平行な運動のおかげで前記機械要素がそれに沿って前後に振動する距離に対応する。前記提案される運動の自由長が、前記機械要素の行程の少なくとも半分であることにより、前記玉は、それらの軸受パートナーの両方の上、即ち、特に前記機械要素上で転動する際に、前記玉ホルダの前記長尺穴の互いを向く内端面に接触させられないことが確実になる。従って、前記長尺穴の長さを最小にすることができるのであり、それでもやはり所望の効果、つまり特に、前記軸受保持器自体の運動を回避するとともに前記玉軸受の洗浄可能性を改良するという効果を達成することができる。
【0013】
前記線形ガイドの摩滅を更に最小にするために、前記長尺穴が、前記行程の半分の少なくとも10%を超える運動の自由長を有することが好都合である。特に前記運動の自由長は、前記行程の半分の少なくとも30%を超えることができる。従って、前記玉が前記玉ホルダの前記長尺穴の内端面に接触することは、実質、確実に回避することができる。
【0014】
前記軸受保持器は、好ましくは前記長手方向軸の周りで回転するように前記線形ガイド上に配置される。従って、前記玉が前後に振動運動するおかげで、前記機械要素上に走行痕が形成するのを防止することができる。
【0015】
更に、前記玉が前記径方向において前記長手方向軸から離れる方へ運動するのを限定するために、前記少なくとも1つの玉軸受が、前記軸受保持器を包囲する軸受スリーブを含むことが有利なことがある。前記軸受スリーブは、特に前記玉用の軸受パートナーを形成することができる。軸受パートナーの上で玉が転動できる。従って更に、前記玉軸受は、容易に作製し、医療機器上の所望の開口内に、例えば前記軸受スリーブ用に設けられる凹部内に、挿入することができる。従って前記玉は、例えば一方で前記機械要素上で及び他方で前記軸受スリーブ上で転動することができ、その結果、前記機械要素と前記軸受スリーブとは、互いに対して行程長にわたって運動することができるが、前記玉は、前記機械要素及び前記軸受スリーブに対して前記運動の自由長にわたってのみ運動するのであり、前記運動の長さは、前記行程長の半分に、それ故に前記線形ガイドに対する前記機械要素の前記行程の半分に対応する。
【0016】
前記複数の長尺穴が、そのそれぞれの長尺穴長手方向軸に対して交差方向に長尺穴幅を有し、前記長尺穴幅が前記径方向において前記長手方向軸に向かって減少することが有利である。換言すれば、前記長手方向穴は、その幅が前記長手方向軸に向かう前記方向において先細になっている。結果として長尺穴は、前記玉が、前記長手方向軸に向かう方向において前記長尺穴から落下できないように構築することができる。前記軸受保持器が例えば前記軸受スリーブにより包囲される場合、前記玉は前記軸受保持器から落下しないように、より具体的には、内方では前記長手方向軸に向かう前記方向において前記長尺穴幅の前記減少により及び外方では前記長手方向軸から離れる前記方向において前記軸受スリーブにより、容易に固着することができる。
【0017】
前記玉は、前記複数の長尺穴の互いを向く側方画定面が、互いに対して円錐角にて傾斜することにより、前記長手方向軸に向かう前記方向において落下しないように、前記玉ホルダ内で容易に固着することができる。
【0018】
前記円錐角が、前記長手方向軸から離れる方を向いて開放していることが好都合である。従って前記玉は、前記長手方向軸に向かう前記方向において落下しないように、前記長尺穴内で容易に固着することができる。
【0019】
前記医療機器上で前記機械要素を最適に誘導できるようにするために、前記軸受保持器の壁厚が前記複数の玉の直径よりも少ないことが好都合である。特に前記壁厚は、多くても前記複数の玉の直径の半分に対応することができる。このようにして、前記玉が例えば、一方で前記機械要素上で及び他方で前記軸受スリーブ上で、転動できるようにするために、玉が、前記長手方向軸に向かう前記方向において及び前記長手方向軸から離れる前記方向においての両方で、前記軸受保持器から突出できることが確実になる。
【0020】
前記機械要素の極力良好な誘導を達成できるようにするために、前記軸受保持器が、その長手方向軸に関して周方向において互いから軸方向に離間する少なくとも2つの穴列を含み、各々が幾つかの長尺穴を含むことが有利である。従って前記穴列は、前記長手方向軸を包囲するリングを形成する。互いから分離している2つの軸受保持器が設けられる場合、各軸受保持器は、唯一つのこのような穴リングを含むこともでき又はこのような穴列を含むこともできる。
【0021】
隣接する穴列の前記長尺穴が、互いに整列して又は互いからずらして配置されることが有利である。特に隣接する穴列を、特に互いからずらして配置することができ、第2穴列の長尺穴は、隣接する第1穴列の前記長尺穴から円周角だけずらして配置される。前記円周角は、前記第1及び/又は第2穴列の、隣接する長尺穴間の前記長手方向軸に関する角度間隔の半分に対応する。これによって、特にコンパクトな低摩滅玉軸受を構築することができる。
【0022】
本発明の更なる好適な実施形態によれば、前記線形ガイドが、各々少なくとも1つの軸受保持器でもって互いから分離している2つ以上の玉軸受を含み、各軸受保持器は、その長手方向軸に関して前記周方向において配置される幾つかの長尺穴を備えた少なくとも1つの穴列を有することを実現することができる。前記線形ガイドのこの構成により、前記機械要素は、特に或る長さを超える際に、特に材料節約的なやり方で装着することが可能になる。その際、例えば1つ以上の穴列を備えた玉軸受が、前記機械要素の端部エリアにおいてのみ設けられることが可能である。前記玉軸受同士の配置が互いから遠くなればなるほど、前記機械要素の軸方向誘導が安定する。
【0023】
前記長手方向軸から離れる方向において又は前記長手方向軸に向かう方向において、前記玉が前記それぞれの玉ホルダから退出しないようにするための径方向固着装置を前記軸受保持器が含むことが有利である。前記径方向固着装置により、特に前記玉軸受を、全体として、例えば前記医療機器上でのその組立てのために取扱うことが可能になり、前記玉軸受の前記玉が前記玉ホルダから退出することはできない。前記径方向固着装置は、特に、例えば前記機械要素と及び/又は前記軸受スリーブと接触させられ得る前記玉が前記玉ホルダから落下できず前記玉ホルダから十分遠くに突出できるように、及び、前記軸受保持器が前記機械要素に又は前記軸受スリーブに触れることなく玉が機械要素上及び前記軸受スリーブ上で転動し得るように、構築することができる。
【0024】
前記径方向固着装置は、前記玉ホルダの屈曲縁部を含む場合、単純な仕方で構築することができる。前記縁部を屈曲するということは、特に玉が落下できないよう、前記玉ホルダの最小幅が前記玉の直径よりも小さくなるようにこれらの縁部が再形成されることを意味すると理解すべきである。特に前記玉ホルダの前記縁部を屈曲することは、前記玉がまず、縁部の屈曲されていない前記玉ホルダ内に挿入された後に行うことができる。その後、前記縁部の前記屈曲は、例えば前記玉軸受の組立中に行われる。
【0025】
その内径が前記軸受保持器の外径に対応するカバースリーブを前記径方向固着装置が含み、その前記幅が玉直径よりも小さい長尺穴様の複数のカバー貫通穴を前記カバースリーブが含む場合、前記玉は前記玉ホルダ内に単純な仕方で固着することができる。このようなカバースリーブは、実質、前記玉ホルダの屈曲縁部と同じ目的を果たす。前記カバースリーブの前記カバー貫通穴は、大きさの点からいうと、前記玉ホルダ内に位置する前記玉が前記カバー貫通穴を通過できないように構成される。更に任意で、前記軸受スリーブ及び/又は前記カバースリーブを軸方向で前記軸受保持器上に固着することを実現することもできる。この目的で例えば、前記玉保持器内で前記玉を組立てた後、前記軸受スリーブを前記行程方向において、即ち、前記長手方向軸に対して平行な方向において固着することができ、その結果、例えば周り中に又は少なくともその区域において内方に、即ち前記長手方向軸に向かう前記方向にフランジをつけることにより、前記軸受スリーブの少なくとも第1端部が再形成される。前記軸受スリーブの第2端部も同様に再形成することができよう。又は別法として、この第2端部が止めとしての堅い鍔を既に有することもできよう。前記カバースリーブは、同様の仕方で軸方向で前記軸受保持器に固着することができる。前記軸受スリーブ及び/又は前記カバースリーブが、前記2つの端部のうちの少なくとも1つにて再形成されるおかげで、前記軸受スリーブ及び/又は前記カバースリーブの直径が低減される結果、前記玉の取り付けられた前記軸受保持器を前記長手方向軸に対して平行に除去することが防止される。前記このように形成されたユニット、つまり前記玉を備えた前記玉保持器、及び前記軸受スリーブ、及び/又は前記カバースリーブを、部品群として容易に取扱うことができ、必要な場合、前記医療機器を保守点検する際に交換することができる。別法として、前記軸受スリーブ及び/又は前記カバースリーブに蓋をすることを、より具体的には追加部品の前記形態の1つ又は2つの蓋を用いて蓋をすることを、実現することもできる。追加部品の前記形態の1つ又は2つの蓋は、前記長手方向軸の前記方向を向く前記軸受スリーブ及び/又は前記カバースリーブの開口を閉鎖し、従って、前記玉保持器の除去を防止する。
【0026】
前記軸受スリーブが、前記カバースリーブを包囲するように配置される場合、前記線形ガイドは、単純な仕方で構築することができる。従って例えば、前記カバースリーブを前記軸受スリーブへと押し付けることにより、前記玉を軸受ホルダ内に挿入し、前記軸受ホルダ内で保持することができる。
【0027】
前記少なくとも1つの玉軸受が金属から形成される場合、線形ガイドを、単純かつ費用効果的なやり方で構築することができる。特に、前記軸受保持器を金属から形成することができる。前記金属は特に計器用鋼とすることができ、計器用鋼は、好ましくは防錆である。
【0028】
前記医療機器を医療用工作機械として使用できるようにするために、前記機械要素が、道具要素に解放可能に接続するための連結装置を含むことが好都合である。従って前記機械要素には、道具要素、例えば鋸刃又はフライスヘッドを単純な仕方で連結することができる。前記道具要素が摩耗又は損傷した場合、この道具要素を再度前記機械要素から単純な仕方で分離させ、機能的な道具要素に置き換えることができる。
【0029】
前記医療機器は好都合なことに、鋸、フライス盤、又はボール盤の前記形態に構築される。このような機械は、特に外科用の目的で使用することができる。
【0030】
本発明の好適な実施形態の以下の記載は、図面と合わせると、更に説明するように働くことになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図3】
図1の機器の線形ガイドのエリアにおける部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1に、細帯鋸12の形態の全体として参照符号10で表す医療機器の実施形態を、概略的に示す。
【0033】
機器10はハンドルとして働くハウジング14を含み、ハウジング14の中に電気モータの形態のドライブ16が配置される。この電気モータには電気エネルギーを、電源から独立して、図示しないバッテリによって、特に再充電可能なバッテリによって、又は電源に依存して、ドライブ16に導電接続される電源ケーブルによって、選択的に供給することができる。
【0034】
電気モータの代わりに、圧縮空気モータ又は別の滅菌可能なドライブを使用することができる。
【0035】
例えばドライブ16の図示しないドライブシャフトの回転を線形の振動運動に変換するために、ドライブ16に任意で歯車装置18を連結することができる。
【0036】
歯車装置18には、特に機械要素20を連結することができるのであり、機械要素20は、歯車装置18から離れる方を向くその端部に、機械要素20を道具要素24に解放可能に接続するための連結装置22を含む。
【0037】
任意で機械要素20は、ドライブ16に直接連結することもできる。回転する屈曲可能なシャフトに、機械要素20を連結することを実現することもできよう。
【0038】
図1に例として示す医療機器10において、道具要素24は、複数の歯を含む歯列28を備えた鋸刃26の形態に構築される。連結装置22は、鋸刃が摩耗する際又は鋸刃が異なる形状の歯を備えた別の鋸刃に置き換えられるべき際に、例えば鋸刃26の迅速な交換が可能になるように、特にクイックカップリングの形態に構築することができる。
【0039】
機械要素20は、ラム30の形態に構築され、回転対称な機械要素区域32を有する。その断面は円形である。機械要素区域32は、長手方向軸34を規定する。
【0040】
機械要素20は、歯車装置18に関連して振動式に、かつ長手方向軸34に対して平行に、ドライブ16により前後に運動させられる。
【0041】
ハウジング14の前部から部分的に突出する機械要素20を、長手方向軸34と同軸上に形成されるとともに機械要素がそれを通過する貫通穴36と接触できないよう、規定のやり方で案内するために、ハウジング14内に、より具体的には長手方向軸34と同軸上に、線形ガイド38が配置される。
【0042】
線形ガイド38は、特に運動可能に保持され又は玉ホルダ44内に装着されてその玉中心点の周りで回転することのできる複数の玉42を備えた玉軸受40を含む。
【0043】
玉軸受40は、更に玉ホルダ44を含む玉保持器又は軸受保持器46を含む。玉ホルダ44は、長尺穴48の形態に構築される。これらの長尺穴を、以下でより詳細に記載することにする。
【0044】
玉42は、長尺スリーブ56の形態に構築される軸受保持器46の壁54の厚さ52の約2倍の大きさである直径50を有する。
【0045】
玉軸受40は、更に長手方向軸34と同軸に配置されて軸受保持器46を包囲する軸受スリーブ58を含む。軸受スリーブ58の内径60は、軸受保持器46の外径62よりも幾分大きい。内径60と外径62とは、玉ホルダ44内で運動可能に保持される玉42が軸受スリーブ58の内壁面64上で転動できるような仕方で互いと連動する。
【0046】
玉軸受40は、これに対応して構築されるハウジング14の前部にある玉軸受リテーナ66内に挿入される。
【0047】
長尺穴48は、長手方向軸34に関して周方向に幅68を有し、長手方向軸34に対して平行な方向に長さ70を有する。従って長尺穴48は各々、軸34に対して平行に延びる長尺穴長手方向軸72を規定する。
【0048】
長さ70は直径50より長いのであり、好ましくは、運動の自由長74が機械要素20の行程長76の少なくともほぼ半分に対応するように選択される。運動の自由長74は玉42用の長尺穴48により予め決まっている。運動の自由長74とは、長さ70と直径50との間の差である。
【0049】
行程長76は、機械要素20が長手方向軸34に対して平行に前後に運動させられる距離に対応する。運動の自由長74と行程長76との間の記載した関係は、玉42が転動する理由で、一方で内壁面64上で及び他方で機械要素20上で生じる。
【0050】
一方長尺穴48は、好ましくは、行程長76の半分の少なくとも10%を超える運動の自由長74を規定する。長尺穴48の互いを向く端面78に玉42が衝突できないことを確実にするために、運動の自由長74が、行程長76の半分の少なくとも30%を超えるように選ばれることが好都合である。
【0051】
玉42が、長尺穴長手方向軸42に対して平行に、理想的には端面78に衝突せずに又はこれらの端面で静止せずに長尺穴48内を自由に運動できるおかげで、機械要素20が前後に振動する際、軸受保持器46は、長手方向軸34に対して平行に運動させられるのではない。衝突又は静止したのであればそのことにより、玉が機械要素20上及び軸受スリーブ58上で転動するのでなく機械要素及び軸受スリーブに沿って摺動するという不用な結果になるであろう。玉42が長尺穴内で自由に運動できるおかげで、機械要素20の振動運動中に軸受保持器46を同様に運動させる必要がない。このことは、線形ガイド38の摩滅を増加することなく、軸受保持器46を、重量のある材料、例えば防錆の計器用鋼からも製造することができるという利点を有する。軸受保持器46を運動させる必要がないおかげで、機械要素20の振動運動にとって必要となるエネルギーが少なくなる。従って、軸受保持器46の質量を極力低く保つことはもはや問題ではない。
【0052】
技術の現状において知られているように、玉ホルダ44が穴の形態に構築される場合、玉42は機械要素20上で転動する一方で、機械要素20の振動運動と事実上同時に、軸受保持器46を玉と共に運動させる。結果として、玉42が玉ホルダ44内で貼り付くことになることを排除することはできず、玉42が、特に機械要素20に対して及び場合によって軸受スリーブ58に対しても不必要に摺動運動するのであり、実際に所望されるように転動運動するのではない。一方、このような摺動運動の望ましくない効果として、機械要素20内に及び場合によって軸受スリーブ58内にも、陥没が形成され得るということがある。長尺穴の形状の玉ホルダ44を構築することにより、機械要素20のこのような望ましくない変形のリスク及び場合によって軸受スリーブ58の変形のリスクも、実際には除かれる。
【0053】
図1~
図4に示すように、玉軸受40は特に各々が幾つかの玉ホルダ44を含む幾つかの穴列80及び82を含むことができる。幾つかの穴列80及び82は、軸受保持器46上で、長手方向軸34に関して周方向に形成される。
【0054】
図1~
図4に示す機器10の実施形態は、合計で10の穴列をより具体的には5つの穴列80及び5つの穴列82を含む。穴列80及び82の長尺穴48は各々、円周にわたって一様に分布するように構築される。穴列80及び82の各々は、同数の玉ホルダ44を有する。
【0055】
穴列80及び82は、穴列80の長尺穴48の長手方向軸が、穴列82の長尺穴48の長尺穴長手方向軸72に対して円周角84の半分だけずらして配置されるように構築される。円周角は、2つの穴列80又は82のうちの1つの長尺穴48の長尺穴長手方向軸72同士間の角度間隔により規定される。
【0056】
別法として、隣接する穴列80及び82の長尺穴48は互いと整列するように、即ち、隣接する穴列80及び82の長尺穴48の長尺穴長手方向軸72が一致するように、配置することができる。
【0057】
線形ガイド38は、更に玉42が長手方向軸34に向かう方向においてそれぞれの玉ホルダ44から退出しないようにするための径方向固着装置86を含む。径方向固着装置86は、長尺穴48の幅68を規定するとともに長手方向軸34から離れる方を向いて円錐角90にて互いに傾斜する側方画定面88を含む。円錐角90は、特に0°~約45°の間の範囲内に在ることができる。
【0058】
画定面88が互いに傾斜するおかげで、幅68は、長尺穴長手方向軸72に対して交差方向で長手方向軸34に向かう径方向において減少する。それ故に、玉ホルダ44は、長手方向軸34に向かう方向において狭窄になり、軸受保持器46の壁54を通過すると直径50よりも小さい最小長尺穴幅92を有する。これによって、玉42が長手方向軸34に向かう方向において玉ホルダ44から落下できないことが確実になる。
【0059】
更に軸受スリーブ58は、上述のように、長手方向軸34から離れる方への玉42の運動も制限されるように軸受保持器46を包囲することから、径方向固着装置86の一部をも形成する。従って軸受スリーブ58は、玉42が、長手方向軸34から離れる方向において玉ホルダ44から退出しないようにする。
【0060】
互いに対して傾斜する画定面の追加として又は別法としても、最小長尺穴幅92が、幾分、より具体的には少なくとも直径50よりも小さくなるような程度まで低減されるように、画定面88と内壁面64とをつなぐ縁部94を屈曲することができる。即ち、幾分軸受保持器46の貫通開口に向かう方向においてである。貫通開口は長尺穴48により規定される。このようにしても、玉42が長手方向軸34に向かう方向においてすっかり落下しないようにすることができる。
【0061】
図5に、軸受保持器46の更なる実施形態を概略的に示す。この実施形態も、長尺スリーブ56の形態に構築されるのであり、僅か2つの穴列80及び82を含む。これらの穴列のそれぞれの長尺穴48は、
図1~
図4に示す軸受保持器46の実施形態におけるように、互いに対して円周角84の半分を通して、ずらして構築される。
【0062】
例えば、軸受保持器46を使用して、機械要素区域32の互いから離間する区域においてのみ機械要素20を装着することができる。このようにして、2つよりも著しく多い穴列80及び82を含む軸受保持器46を無しで済ますことができる。これによって、機器10の作製に伴う出費及び費用を低減することができる。
【0063】
図6に概略的に示す軸受保持器46の実施形態におけるように、隣接する穴列80及び82の互いからの間隔96が著しく増加される場合、特に良好な誘導が達成可能である。特に間隔96は、長さ70の倍数とすることができる。このようにして、軸受保持器46の作製を簡素化し、玉42の数を低減することができる。
【0064】
図7に、軸受保持器46の更なる実施形態を概略的に示す。この実施形態は、幾つかの長尺穴48を含む唯1つの穴列80を含む。上述した玉保持器46の実施形態全てにおけるように、長尺穴48は、軸受保持器46の長手方向軸34に対して平行なその長尺穴長手方向軸72と整列する。
【0065】
例えば、
図7に示す軸受保持器46を2つ使用して、
図1~
図4に示す機械要素20を装着することができる。その際、
図1~
図4に示す軸受保持器46において互いから最も遠くに離間する穴列80及び82がほぼ位置決めされる位置にて機械要素20を、それらの穴列80が包囲するように、これらの軸受保持器は、実質位置決めされる。これによって軸受保持器46の作製のための著しい費用を、従って線形ガイド38のための著しい費用も、節約することができる。
【0066】
図8に、軸受保持器46の更なる実施形態を概略的に示す。ここでも、この実施形態は、幾つかの長尺穴48を含む穴列80を有するスリーブ56を含む。長尺穴48は、
図7に示す軸受保持器46の実施形態における長尺穴と、構築において略同一である。ただし、これらの長尺穴48は、その長尺穴長手方向軸72が長手方向軸34に対してねじれ角98を通して傾斜する。このねじれ角は、好ましくは0°~約30°の間の範囲内に在る。長尺穴48が、長手方向軸34に対してこのように交差方向に又は長手方向軸に対して傾斜して延びることは、機械要素20が長手方向軸34に対して平行に前後に運動する結果として、軸受保持器46が、玉42の運動により周方向において前後に運動させられるという好ましい効果を有する。このことにより、全体として軸受保持器46が長手方向軸34の周りで回転運動することができ又は軸受保持器46が長手方向軸34の周りで振動式に回転運動することができる。これによって、比較的高程度の信頼度でもって、機械要素20上で及び場合によって長手方向軸34に対して平行な軸受スリーブ58上でも、摩擦痕又は研磨痕が形成しないようにすることができる。一方、玉42の機械要素20に対する摩擦運動及び場合によって軸受スリーブ58に対する摩擦運動も生じるべきである場合、これらの摩擦運動は、常に同一位置にあるのでなく、機械要素20の周囲にわたって及び場合によって軸受スリーブ58の周囲にわたっても分布する。
【0067】
特に、上述の
図1~
図7のその他の実施形態においても、より具体的には、専ら又は部分的にのみのいずれかで、長尺穴長手方向軸72が長手方向軸34に対して傾斜している状態で延びる長尺穴48を、穴列80及び82が2つの又はそれよりも更に多い軸受保持器46内に、それぞれ設けることもできる。
【0068】
機械要素20の案内に最適に適合する線形ガイド38を常に実現できるように、上述した軸受保持器46の実施形態及び長尺穴48の形状を、基本的に任意の仕方で組み合わせることができる。従って、特に機械要素20の案内に使用される玉42の数及び玉軸受40の数は、長手方向軸34に対して平行な機械要素20の又は機械要素区域32の長さに依存することができ、機械要素20の振動数にも依存することができる。
【0069】
特に上に記載した軸受保持器46は全て、これらの軸受保持器内に装着された玉42の摺動運動が、軸受保持器46の長手方向軸34に対する平行な運動をもたらさないという共通点を有する。それ故に、上述のように軸受保持器は、高質量密度の材料から、例えば防錆の計器用鋼から製造することもできる。当然ながら、軸受保持器はプラスチック材料又はセラミック材料から形成することもできる。
【符号の説明】
【0070】
10 医療機器
12 細帯鋸
14 ハウジング
16 ドライブ
18 歯車装置
20 機械要素
22 連結装置
24 道具要素
26 鋸刃
28 歯列
30 ラム
32 機械要素区域
34 長手方向軸
36 貫通穴
38 線形ガイド
40 玉軸受
42 玉
44 玉ホルダ
46 軸受保持器
48 長尺穴
50 直径
52 厚さ
54 壁
56 スリーブ
58 軸受スリーブ
60 内径
62 外径
64 内壁面
66 玉軸受リテーナ
68 幅
70 長さ
72 長尺穴長手方向軸
74 運動の自由長
76 行程長
78 端面
80 穴列
82 穴列
84 円周角
86 径方向固着装置
88 画定面
90 円錐角
92 長尺穴幅
94 縁部
96 間隔
98 ねじれ角