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特許7100032手術台、及び手術台内のアクチュエータを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】手術台、及び手術台内のアクチュエータを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/10 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
A61G13/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019527921
(86)(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2017080089
(87)【国際公開番号】W WO2018095979
(87)【国際公開日】2018-05-31
【審査請求日】2020-09-09
(31)【優先権主張番号】102016122939.3
(32)【優先日】2016-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513242656
【氏名又は名称】マッケ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】バモニ,バピオ
(72)【発明者】
【氏名】ブルストナー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】キーファー,セドリック
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0328958(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0334221(US,A1)
【文献】米国特許第08849225(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0226536(US,A1)
【文献】特表2004-538037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0139177(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ(15)で動かす事が出来る少なくとも1つの構成部品(103乃至106)を含む患者支持面(102)を有する手術台(100)であって、
ユーザインタフェース(11及び12)であって、それを通じてユーザがユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)に前記構成部品(103乃至106)を動かす命令を入力する事が出来るユーザインタフェース(11及び12)と、
前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)のデータをクエリし、それを認証し、認証が成功した際に、前記命令に従って前記構成部品(103乃至106)を動かす為に前記アクチュエータ(15)を制御する様に設計された制御装置(13)と、
を含み、
前記制御装置(13)は、第1及び第2のマイクロコントローラ(23及び24)を含み、
前記第1のマイクロコントローラ(23)は、前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)と通信する様に設計され、
前記第2のマイクロコントローラ(24)は、前記第1のマイクロコントローラ(23)と通信する様に設計され、
前記第2のマイクロコントローラ(24)は、前記第1のマイクロコントローラ(23)を通じて前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)に安全クエリ及び要求を送信する様に設計され、
前記第1のマイクロコントローラ(23)は、前記安全クエリに応じた応答を受信し、前記第2のマイクロコントローラ(24)に前記応答を転送する様に設計される
事を特徴とする手術台(100)。
【請求項2】
前記第1のマイクロコントローラ(23)は、前記アクチュエータ(15)に移動命令を送信する様に更に設計され、
前記第2のマイクロコントローラ(24)は、前記アクチュエータ(15)のエネルギ供給を有効にする様に更に設計される
請求項に記載の手術台(100)。
【請求項3】
前記制御装置(13)は、前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)のデータを規定時間間隔でクエリする
請求項1または2に記載の手術台(100)。
【請求項4】
前記制御装置(13)と前記ユーザインタフェース(11及び12)との間にバスシステム(20乃至22)が提供され、
前記バスシステム(20乃至22)は、前記制御装置(13)及び前記ユーザインタフェース(11及び12)の全てのエレメントの間のデータ交換を前記バスシステム(20乃至22)上で実行する様に設計される
請求項1乃至の何れか一項に記載の手術台(100)。
【請求項5】
前記制御装置(13)は、前記アクチュエータ(15)のエネルギ供給及び動きを別々に制御する様に設計される
請求項1乃至の何れか一項に記載の手術台(100)。
【請求項6】
前記制御装置(13)は、第1及び第2の通信路を通じて前記アクチュエータ(15)の制御装置(14)に接続され、
前記第1の通信路を通じて前記アクチュエータ(15)のエネルギ供給が有効にされ、
前記第2の通信路を通じて前記アクチュエータ(15)に移動命令が送信される
請求項1乃至の何れか一項に記載の手術台(100)。
【請求項7】
前記ユーザインタフェース(11及び12)は、操作エレメント(16及び17)に接続され、
前記操作エレメント(16及び17)は、前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)へのエネルギ供給を有効にする第1の信号を生成し、前記命令に対応する第2の信号を生成する様に設計される
請求項1乃至の何れか一項に記載の手術台(100)。
【請求項8】
前記操作エレメント(16及び17)は、前記ユーザインタフェース(11及び12)と通信し、
前記ユーザインタフェース(11及び12)は、前記操作エレメント(16及び17)の信号を評価し、それらから前記第1及び第2の信号を生成する
請求項に記載の手術台(100)。
【請求項9】
手術台(100)の患者支持面(102)の少なくとも1つの構成部品(103乃至106)を動かすアクチュエータ(15)を制御する方法であって、
ユーザインタフェース(11及び12)を通じてユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)への前記構成部品(103乃至106)を動かす命令を受信するステップ(S1及びS4)と、
制御装置(13)で前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)のデータをクエリするステップ(S5及びS6)と、
前記制御装置(13)で前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)のデータを認証するステップ(S7乃至S15)と、
前記制御装置(13)で前記認証が成功した場合に、前記命令に従って前記アクチュエータ(15)を制御するステップ(S22及びS23)と、
を含み、
前記認証するステップは、
前記制御装置(13)の第1のマイクロコントローラ(23)を通じて前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)に前記制御装置(13)の第2のマイクロコントローラ(24)からの安全クエリ及び要求を送信するステップ(S9)と、
前記第1のマイクロコントローラ(23)に前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)からの前記安全クエリに応じた応答を送信するステップ(S13)と、
前記第1のマイクロコントローラ(23)から前記第2のマイクロコントローラ(24)に前記応答を送信するステップ(S14)と、
移動命令を認証する為に前記第2のマイクロコントローラ(24)で前記応答を検査するステップ(S15)と、
を含む
事を特徴とする方法。
【請求項10】
前記応答は、前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)から前記第1のマイクロコントローラ(23)に前記移動命令と共に送信される
請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記制御するステップは、
前記第1のマイクロコントローラ(23)で前記アクチュエータ(15)に前記移動命令を送信するステップ(S23)と、
前記第2のマイクロコントローラ(24)で前記アクチュエータ(15)のエネルギ供給を有効にするステップ(S22)と、
を含む
請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記制御装置(13)は、前記ユーザインタフェースマイクロコントローラ(18)のデータを規定時間間隔でクエリする
請求項乃至11の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータで動かす事が出来る少なくとも1つの構成部品を有する手術台、及び手術台内のアクチュエータを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、シーリングマウント又は手術台の様な医療機器では、ユーザがデータ入力インタフェースで機能命令を生じさせると直ちにアクチュエータで動かす事が出来る機構部品が慣習的に存在する。然し乍ら、これらの構成部品の誤った動きは、医療機器の患者又はユーザに対する高安全危険度を意味する。従って、アクチュエータの制御は、更なる安全及び制御機構を実現する事が出来る様に、大抵は冗長に設計される。
【0003】
制御システムは電子的に実現され、機能命令を処理する1つ以上のマイクロコントローラを一般に含む。アクチュエータの制御が第1の誤りを伴わずに行われる様に、手段が危険度の観察から採用される。第1の誤りに対する安全は、システムのハードウェア冗長性で典型的に実現される。然し乍ら、構成部品及び通信路(バス)が冗長性を理由に複数利用可能にされ、試験され、構築され、及び検査されなければならないので、これは医療機器の複雑性及び製造費を増加させる。
【0004】
米国特許出願公開第2013/0069778号明細書は、患者を支持及び監視する安全機能を有する透析機器を説明する。
【0005】
米国特許出願公開第2011/0166512号明細書は、薬を注入する手動機器に関連する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの課題は、手術台の複雑性及び製造費を減少させ乍ら、手術台のアクチュエータの確実な制御を保証する事である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題は、請求項1に記載の手術台、及び請求項11に記載の方法で解決される。然し乍ら、本発明は、例えば、手術室のシーリングマウントの様な別の医療機器と共に使用する事が出来る。
【0008】
例えば、手術台又はシーリングマウントの様な医療機器は、アクチュエータで動かす事が出来る少なくとも1つの構成部品を含む。更に、医療機器は、ユーザがユーザインタフェースマイクロコントローラに構成部品を動かす命令を入力する事が出来るユーザインタフェースを含み、ユーザインタフェースマイクロコントローラのデータをクエリする様に設計された制御装置を含む。従って、ユーザインタフェースマイクロコントローラは、絶えず有効ではないが、寧ろ、ユーザインタフェースマイクロコントローラが有効か否か、及びユーザインタフェースマイクロコントローラがユーザから命令を受けたか否かを制御装置がポーリング法で知る事が出来る間は、ユーザが命令を入力する際に連動する事が出来る。更に、制御装置は、ユーザインタフェースマイクロコントローラから受信されたデータを認証し、認証が成功した際は、ユーザの命令に従って構成部品を動かす為にアクチュエータを制御する様に設計される。従って、制御装置及びユーザインタフェースマイクロコントローラが誤りを伴わずに機能している事が検査された時にだけアクチュエータを動かす事が保証される。
【0009】
幾つかの実施の形態によれば、制御装置は、第1及び第2のマイクロコントローラを含む事が出来ると共に、第1のマイクロコントローラは、ユーザインタフェースマイクロコントローラと通信する様に設計され、第2のマイクロコントローラは、第1のマイクロコントローラと通信する様に設計される。従って、第2のマイクロコントローラは、ユーザインタフェースマイクロコントローラに対する自身との通信路を必要としないが、寧ろ、ユーザインタフェースと制御装置との間の通信は、通信路上で生じる衝突又は競合、及び制御装置とユーザインタフェースとの間に必要とされる第2の通信路を伴わずに、第1のマイクロコントローラで制御する事が出来る。
【0010】
第2のマイクロコントローラは、第1のマイクロコントローラを通じてユーザインタフェースマイクロコントローラに安全クエリを送信する様に設計する事が出来ると共に、第1のマイクロコントローラは、安全クエリに応じた応答を受信し、応答を第2のマイクロコントローラに転送する様に設計される。従って、第2のマイクロコントローラとユーザインタフェースマイクロコントローラとの間の既存の直接通信路を伴わずに、第2のマイクロコントローラとユーザインタフェースマイクロコントローラとの間で要求応答処理を行う事が出来る。第1のマイクロコントローラは、要求及び応答を、それらの変更又は評価を伴わずに単に転送する。例えば、移動命令の様な、ユーザインタフェースマイクロコントローラからの別のデータは、ユーザインタフェースマイクロコントローラから第1のマイクロコントローラに、応答と共に送信する事も出来るし、又は要求応答法を通じて認証と無関係に別々に送信する事も出来る。
【0011】
幾つかの実施の形態によれば、第1のマイクロコントローラは、アクチュエータに移動コマンドを送信する様に設計される。更に、第2のマイクロコントローラは、アクチュエータのエネルギ供給を有効にする様に設計される。従って、アクチュエータによる医療機器の構成部品の動きは、ユーザインタフェースマイクロコントローラから受信されたデータを第1及び第2のマイクロコントローラが有効な移動命令として識別した場合にだけ行われる。
【0012】
幾つかの実施の形態によれば、制御装置は、規定時間間隔でユーザインタフェースマイクロコントローラからのデータをクエリする事が出来る。結果的に、ユーザインタフェースマイクロコントローラは、積極的に任意のデータを送信する事は出来ないが、寧ろ、ユーザインタフェースマイクロコントローラ内の制御装置の間の通信路は、制御装置で制御及び操作する事が出来る。
【0013】
幾つかの実施の形態によれば、バスシステムは、制御装置とユーザインタフェースとの間に提供され、制御装置とユーザインタフェースの全てのエレメントの間のデータ交換をバスシステム上で実行する様な方式で設計される。従って、1つのデータラインのみが制御装置とユーザインタフェースとの間に必要とされる。これは、特に、制御装置がユーザインタフェースから遠い空間距離に配置される場合に医療機器の構造を簡素化する。
【0014】
幾つかの実施の形態によれば、制御装置は、2つの別々の通信路を通じてアクチュエータの制御装置に接続され、アクチュエータに対するエネルギ供給は、第1の通信路を通じて有効にされ、移動命令は、第2の通信路を通じてアクチュエータに送信される。従って、モジュールでは、医療機器の各モジュールに少なくとも1つのアクチュエータが提供され、少なくとも1つのアクチュエータに自身の制御装置が提供され、制御装置は、2つの通信路を通じて医療機器の中央制御装置に接続される。代替的に、制御装置は、エネルギ供給及びアクチュエータの動きを直接制御する様に設計される。
【0015】
幾つかの実施の形態によれば、ユーザインタフェースは、操作エレメントに接続され、操作エレメントは、ユーザインタフェースマイクロコントローラに対するエネルギ供給を有効にする第1の信号を生成し、医療機器の構成部品を動かす為にユーザによって入力された命令に対応する第2の信号を生成する様に設計される。従って、ユーザインタフェースマイクロコントローラは、操作エレメントがユーザによって実際に有効にされた場合に有効にされ、有効なユーザ入力は、第1の信号を生成する付加的な容量性センサによって操作エレメントで認識される。
【0016】
操作エレメントがユーザインタフェースと通信し、ユーザインタフェースが操作エレメントの信号を評価すると共にそれらから第1及び第2の信号を生成する事が提供される。この事例では、例えば、ユーザインタフェースマイクロコントローラに対するエネルギ供給を有効にする第1の信号がこれから生成され、続いて、有効にされたユーザインタフェースマイクロコントローラによって移動命令として評価される第2の信号が生成される様に、ユーザのキーの1回の押圧でさえユーザインタフェースで評価される。
【0017】
別の態様によれば、方法は、医療機器の少なくとも1つの構成部品を動かすアクチュエータを制御する為に使用する事が出来ると共に、方法は、ユーザインタフェースマイクロコントローラに対する、ユーザインタフェースを通じて構成部品を動かす命令を受信する事を含み、制御装置でユーザインタフェースマイクロコントローラのデータをクエリする事を含む。ユーザインタフェースマイクロコントローラでクエリされたデータは、制御装置で続いて認証され、制御装置で認証が成功した場合に、アクチュエータが命令に従って制御される。従って、有効な移動制御がユーザによって入力され、ユーザインタフェースマイクロコントローラが誤りを伴わずに機能している事を制御装置が検査した場合にだけ、医療機器の構成部品が動かされる。
【0018】
幾つかの実施の形態によれば、認証ステップは、制御装置の第1のマイクロコントローラを通じて制御装置の第2のマイクロコントローラからユーザインタフェースマイクロコントローラに安全クエリ並びに要求を送信する事、及びユーザインタフェースマイクロコントローラから第1のマイクロコントローラに安全クエリに応じた応答を移動命令と共に送信する事を含む事が出来ると共に、第2のマイクロコントローラに第1のマイクロコントローラからの応答を送信する事を含む事が出来る。応答は、移動命令を認証する為に第2のマイクロコントローラで続いて検査される。従って、制御装置とユーザインタフェースマイクロコントローラとの間の通信は、第1のマイクロコントローラを通じて完全に実行され、要求応答は、それにも拘わらず第2のマイクロコントローラとユーザインタフェースマイクロコントローラとの間で実現され、特定の要求及び応答は、第1のマイクロコントローラが対応するデータを更に処理し、評価し、又は変更する事を伴わずに、第1のマイクロコントローラで転送されるだけである。ユーザインタフェースマイクロコントローラの誤り機能の場合に、第1のマイクロコントローラの応答が偽って第2のマイクロコントローラで認証されない様に、第1のマイクロコントローラは、好ましくは、第2のマイクロコントローラの安全クエリに対する正しい応答を識別しない。
【0019】
アクチュエータを制御するステップは、第1のマイクロコントローラでアクチュエータに対する移動命令を送信する事、及び第2のマイクロコントローラでアクチュエータのエネルギ供給を有効にする事を含む事が出来る。これは、両方のマイクロコントローラがユーザインタフェースマイクロコントローラで受信されたデータの確実性が確認された場合にだけ、医療機器の構成部品が動かされる事を保証する。
【0020】
幾つかの典型的な実施の形態によれば、制御装置は、規定時間間隔でユーザインタフェースマイクロコントローラのデータをクエリし、従って、ポーリング処理を実現する事が出来る。
【0021】
本発明の典型的な実施の形態は、同一の参照番号が同一又は類似のエレメントを示す添付図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】制御可能な構成部品を有する典型的な手術台を示し、この手術台では、本発明の実施の形態に従った医療機器及び方法を使用する事が出来る。
図2】制御可能な構成部品を有する典型的なシーリングマウントを示し、このシーリングマウントでは、本発明の実施の形態に従った医療機器及び方法を使用する事が出来る。
図3】本発明の第1の実施の形態に従った制御装置の概略図を示す。
図4】本発明の第2の実施の形態に従った制御装置の概略図を示す。
図5】本発明の実施の形態に従った制御処理の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の典型的な実施の形態は、図面を参照して以下に説明される。図面は、縮尺が必ずしも正確ではないが、寧ろ、特定の特徴を概略的に図示するだけである。
【0024】
以下に説明された特徴及び構成部品が単一の実施の形態に関連して説明されたか否かと無関係に、それらを相互に組み合わせる事が出来る点に注意すべきである。特定の実施の形態の特徴の組み合わせは、請求された医療機器及び請求された方法の基本設計及び機能を図示するだけの役割を果たす。本発明に従った医療機器の実施の形態と共に説明される特徴は、請求された方法と共に使用する事が出来ると共に、その逆も然りである。
【0025】
図1は、脚部101及び患者支持面102を有する手術台100を概略的に示す。患者支持面102は、例えば、バックプレート、ヘッドプレート、及びレッグプレート等の様な幾つかの構成部品103乃至106を含む。構成部品101及び103乃至106は、患者支持面102を望まれた位置に調整する為にアクチュエータで動かされる。ユーザは、示されない操作ユニットを通じてアクチュエータを制御する命令を入力する事が出来る。
【0026】
図2は、シーリングマウント200を概略的に示し、シーリングマウント200では、医療機器を保持すると共に望まれた位置に動かす事が出来る幾つかのアーム202及び203が中央ユニット201に取り付けられる。アーム202及び203は、アクチュエータで動かされ、ユーザは、例えば、中央ユニット201に取り付け可能な操作ユニットでアーム202及び203の動きを制御する事が出来る。
【0027】
図3は、本発明に従ったデバイス10の第1の実施の形態を示す。デバイス10では、ユーザインタフェース11がユーザインタフェースプレート(UI処理ボード)12に接続され、ユーザインタフェースプレート12の一部が制御プレート13及び制御装置14に接続される。制御装置14は、電圧供給、及び、例えば、手術台100又はシーリングマウント200の様な医療機器の少なくとも1つのアクチュエータ15の為の移動命令を利用可能にする。
【0028】
ここで、ユーザインタフェース11は、例えば、一方では、容量性センサ17を通じて実現される第1の接点を通じて第1の信号を生成し、他方では、例えば、キー又はボタンの様な操作エレメント16を通じてユーザが望まれた機能の為の選択信号を入力する事が出来る1つ以上のメンブレンスイッチを含む事が出来る。実施の形態によれば、容量性センサ17は、接触又は押圧の際に有効にされる切換メンブレンを含む事が出来る。代替的に、容量センサは、別の解除スイッチと類似して、別々に取り付けられて提供される。操作エレメント16がメンブレンキーボードとして設計されている場合に、各キーは、2つの機能を果たす事が出来ると共に、第1の信号は、メンブレンに対する押圧でもたらされ、機能は、対応するキーを通じて選択される。メンブレンキーボードのメンブレン信号は、操作エレメント16が動かされた事だけを示し、何れのキーが動かされたか、即ち、ユーザに選択された機能が何れであるのかを示さない。
【0029】
安全コンセプト:μCがもはや如何なる電流も有さない場合は、それはもはや如何なる誤った命令も送信する事は出来ない。
【0030】
ユーザインタフェースプレート12は、操作エレメント16の入力を受信及び処理するユーザインタフェースマイクロコントローラ(μC)18を含むと共に、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18の為の電圧供給19を含む。電圧供給19は、ユーザが操作エレメント16又は第1の接点17を動かす時にだけ、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18にエネルギを供給する為に、容量性センサ17及び/又は操作エレメント16から入力信号を受信する。
【0031】
ユーザインタフェースプレート12は、データ及びエネルギ供給ライン21でコントロールプレート13に接続される。従って、示された実施の形態では、ユーザインタフェースプレート12とコントロールプレート13との間の適切なインタフェース20及び22を有する単一のバスシステムを通じた1つの接続だけが存在する。図3で参照番号23及び24によって特徴付けられた2つの別のマイクロコントローラμC1及びμC2がコントロールプレート13に提供される。ここで、第1のマイクロコントローラ(μC1)23だけがバスシステム20、21及び22に接続され、第2のマイクロコントローラ(μC2)24は、第1のマイクロコントローラ23を通じてユーザインタフェースプレート12と間接的にだけ通信する。更に、示された実施の形態では、アクチュエータ15で駆動されないエレメントを手動で調整する事を阻止する少なくとも1つのブレーキ25が存在する。
【0032】
図3に示された第1の実施の形態では、制御装置14は、コントロールプレート13と別に提供され、第1の信号ライン26及び第2の電流供給ライン27を通じてコントロールプレート13に接続される。第1のマイクロコントローラ23は、少なくとも1つのアクチュエータ15に信号ライン26を通じて命令を出力する事が出来る。アクチュエータ15の電流供給は、制御装置14のスイッチ28を通じて重ねてオン及びオフにされ、スイッチは、第2のマイクロコントローラ24で制御される。ここで、第2のマイクロコントローラ24は、スイッチ28及びアクチュエータ15の機能を監視し、必要ならば、スイッチ28及び/又はアクチュエータ15に試験信号を送信する。
【0033】
図4は、本発明に従ったデバイス10の第2の実施の形態を示す。図4に示されたデバイス10は、制御装置14がコントロールプレート13に統合される点で図3に示されたデバイスと相違する。ここでまた、少なくとも1つのアクチュエータ15は、第1のマイクロコントローラ23で制御され、アクチュエータ15の電流供給は、第2のマイクロコントローラ24でスイッチ28を通じて有効又は無効にされる。
【0034】
図3及び4に示されたデバイスの機能は、図5を参照して以下に説明される。
【0035】
図5は、実施の形態に従った方法の概略図を示す。図5に示された方法は、以下の4つの態様に分けられる。
A.データ入力
B.処理
C.受信及び変換
D.動き生成
【0036】
これらの態様は、図3及び4に示された制御装置のエレメントを参照して以下に説明される。
【0037】
[A.データ入力]
実施の形態によれば、ユーザの操作は、容量性センサ等でユーザインタフェース内のステップS1で受信される。これは、ユーザによる解除キーの操作又はユーザによるメンブレンキーボードのメンブレンの接触である。次に、ステップS2では、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18に対するエネルギ供給がオンにされる。次に、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18は、ステップS3で、ユーザインタフェースを通じてユーザに入力された移動命令(ステップS4)を読み出す。移動命令は、例えば、特定の動き及び移動方向を選択する、メンブレンキーボードの特定のキーの押下又はスイッチの有効化等である。
【0038】
[B.処理]
ユーザインタフェースマイクロコントローラ18は、処理中に自身から命令を送信しないが、寧ろ、コントロールプレート13の第1のマイクロコントローラ23は、バスシステム20、21及び22を通じて各データ送信を引き起こし、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18からデータを周期的にクエリする(「ポーリング」処理、ステップS5)。ここで、第1のマイクロコントローラ23は、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18がオフにされても、常に有効である。第1のマイクロコントローラ23は、ユーザインタフェースプレート12の個々のクエリの間の時間を決定する。ここで、時間は、ミリ秒程度である。
【0039】
ユーザインタフェースマイクロコントローラ18が有効にされた場合は、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18は、第1のマイクロコントローラ23のポーリングクエリが到着する場合に、ステップS6で第1のマイクロコントローラ23にポーリングクエリに対する応答を送信する。この応答は、ユーザに入力された移動命令を既に含むが、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18の状態表示だけである。
【0040】
[C.受信及び変換]
第1のマイクロコントローラ23でクエリされたユーザ命令の受信及び変換に際して、第2のマイクロコントローラ24によって第2の安全がコントロールプレート13に提供される。図5に示された実施の形態では、要求応答法が使用される。
【0041】
この為に、実施の形態に従ったステップS7で、第1のマイクロコントローラ23が最初に第2のマイクロコントローラ24を有効にし、従って、エネルギが永続的に供給される必要はない。代替的に、第2のマイクロコントローラ24は、永続的に有効にされ、ステップS7で命令を受信する時にだけ要求を生成する。ステップS9では、自身は要求及び関連付けられた適正な応答の何れも認識せず、従って、ステップS10でユーザインタフェースマイクロコントローラ18にだけ要求を転送する第1のマイクロコントローラ23に第2のマイクロコントローラ24が要求を送信する。
【0042】
ステップS11では、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18は、第2のマイクロコントローラ24で生成された安全クエリ及び要求に対する適正な応答を生成し、続いて、第1のマイクロコントローラ23は、ステップS12でポーリング処理を通じてユーザインタフェースマイクロコントローラ18からの応答をクエリする。ステップS13では、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18は、応答自体を検査する事が出来ず、ステップS14でそれを変更せずに第2のマイクロコントローラ24に転送する第1のマイクロコントローラ23に、第1のマイクロコントローラ23のクエリに対する応答を送信する。
【0043】
第2のマイクロコントローラ24は、ステップS15で、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18が生成した応答を検査する。適正な応答に際して、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18がオンにされて機能している事が保証される。従って、ステップS16で、応答が有効であると決定された場合に、ステップS17で、第2のマイクロコントローラ24は、要求応答処理が成功裡に終了した事、及びユーザインタフェースマイクロコントローラ18が認証された事を第1のマイクロコントローラ23に通知する事が出来る。ステップS16で、応答が有効でないと決定された場合に、ステップS18で、処理が中止され、例えば、新しいユーザ入力(ステップS1)で再開される。
【0044】
第2のマイクロコントローラ24による応答の検査と並行して、例えば、ステップS5の第1のクエリ又はステップS12の応答のクエリの為の移動命令を第1のマイクロコントローラ23が未だ受信していない場合に、第1のマイクロコントローラ23は、ステップS19でユーザインタフェースマイクロコントローラ18からの移動命令をクエリする事が出来る。この場合には、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18は、ステップS20で第1のマイクロコントローラ23の対応するクエリに移動命令を送信する。次に、第1のマイクロコントローラ23は、例えば、妥当性、衝突状態等の為に移動命令を検査する事が出来ると共に、ステップS21では、有効な移動命令が存在する事を第2のマイクロコントローラ24に通知する事が出来る。
【0045】
前述の方法で、ユーザがもはや操作エレメントのボタンを押していなくても、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18が常に有効な状況、俗に言うオーバランが生じ得る。この場合には、要求応答処理は、常に適正な応答をもたらすが、第1のマイクロコントローラ23は、有効な移動命令を受信しない。従って、ステップS17及びS21の第1及び第2のマイクロコントローラ23及び24の相互の情報交換中に、有効な移動命令が存在する場合に、動きが生成される事が保証され、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18が認証される事が保証される。ここで、示された実施の形態では、有効な応答の存在は、例えば、アクチュエータのエネルギ供給が有効にされた事実を直接示さず、有効な移動命令の存在は、有効な移動命令の存在がアクチュエータに送信された事実を直接示さない。従って、オーバラン中にアクチュエータにエネルギが誤って供給されていない事、又は、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18が常に有効であるが、ユーザがもはや更なる命令を入力していない場合に、もはや現在の移動命令によって移動されない事が保証される。
【0046】
[D.動き生成]
最後に、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18が認証されると共に移動命令が検査された後に、アクチュエータの動きをもたらす為に、第2のマイクロコントローラ24は、ステップS22でアクチュエータ又はアクチュエータのエネルギ供給を有効にし、第1のマイクロコントローラ23は、ステップS23で移動命令をコントロールプレート13に転送し、コントロールプレート13でアクチュエータ15が制御される。
【0047】
先立って説明された方法では、単一のユーザインタフェースマイクロコントローラ18だけが使用される。然し乍ら、独立したユーザインタフェースとして設計され、別の関連付けられたユーザインタフェースマイクロコントローラ18を夫々含む幾つかの異なる入力デバイスを提供する事が出来る。前述の概念は、ユーザがそれを操作している間にだけ、個々のユーザインタフェースプレートが夫々有効なので、幾つかのユーザインタフェースプレート12がコントロールプレート13のデータバスに接続される様な適用の為に基準化する事が出来る。第1のマイクロコントローラ23を通じた第2のマイクロコントローラ24とユーザインタフェースマイクロコントローラ18との間の間接的なデータ伝送は、同一ラインを通じて通信する別のプロセッサを伴わずに、第1のマイクロコントローラ23でバス20、21及び22を制御及び達成する事が出来るという利点を有する。これは、競合又は衝突が生じないので、データ転送の同期及び時間的調節を簡素化する。
【0048】
従って、本発明の前述の実施の形態は、完全に冗長である様に設計しなければならない、アクチュエータを制御する事に関係するハードウェア構成部品を伴わずに、医療機器のアクチュエータを確実に制御する事を保証する。特に、先立って説明された実施の形態によれば、ユーザインタフェースマイクロコントローラ18、及び第2のマイクロコントローラ24を有するコントロールプレート13の第1のマイクロコントローラ23が誤りなく機能する事を検査する為に、単一のデータ接続で要求応答処理を実現する事が出来るので、冗長な通信ラインにユーザインタフェースと制御装置との間の適切な冗長なバスシステムを提供する事は要求されない。従って、ユーザによる命令の入力、及び第1のマイクロコントローラ23による移動命令の出力が誤りを伴わずに行われる事が保証される。
図1
図2
図3
図4
図5