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  • 特許-ユーザ分析システムおよび方法 図1
  • 特許-ユーザ分析システムおよび方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ユーザ分析システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/5375 20140101AFI20220705BHJP
   A63F 13/45 20140101ALI20220705BHJP
   A63F 13/69 20140101ALI20220705BHJP
【FI】
A63F13/5375
A63F13/45
A63F13/69 500
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019536152
(86)(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 GB2018050023
(87)【国際公開番号】W WO2018127704
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-10-21
(31)【優先権主張番号】1700320.3
(32)【優先日】2017-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1710056.1
(32)【優先日】2017-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】パンサー、プリトパル シン
(72)【発明者】
【氏名】ヌスラト、モハメッド マンソール
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ニコラス アンソニー エドワード
(72)【発明者】
【氏名】スペンサー、ヒュー アレクサンダー ディンズデール
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0276992(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0255881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビデオゲーム内の現ユーザを支援するためのユーザ分析方法であって、
前記ビデオゲーム内のシナリオにヒントが必要であるという指示を取得するステップと、
もしヒントが必要であるなら、前記シナリオにおける成功した行動に関するヒントを前記現ユーザに提供するステップとを含み、
前記ヒントを提供するステップは、
前記ビデオゲーム内の前記シナリオに対する1つまたは複数の行動指標を取得するステップと、
前記1つまたは複数の取得された行動指標と、前記シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザのサブセットから以前に生成された測定された行動指標のコーパスから導出された対応するデータと、の間のそれぞれの差を検出する差異検出ステップと、
前記現ユーザと、前記シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザの前記サブセットとの間の前記1つまたは複数の測定された行動指標のそれぞれの差を減らす1つまたは複数の行動の変化を示すヒントを前記現ユーザに提供する提供ステップとを含
前記ビデオゲーム内の前記シナリオについての1つまたは複数の行動指標を取得するステップは、
i.前記現ユーザによってプレイされた前記ビデオゲーム内の前記シナリオについての1つまたは複数の行動指標を測定する測定ステップ、および
ii.前記シナリオについて他のユーザの所定のサブセットから以前に生成された測定された行動指標の前記コーパスから前記1つまたは複数の行動指標を取得するステップ
からなるリストから選択された1つを含む、
ユーザ分析方法。
【請求項2】
前記ヒントが必要であるという指示を取得するステップは、ヒントが求められているシナリオを示すユーザ入力を受け取るステップを含み、
評価するステップは、指示されたシナリオに関して他のユーザから以前に生成された測定された行動指標のコーパスをフィルタリングするステップを含む、請求項1に記載のユーザ分析方法。
【請求項3】
前記現ユーザによってプレイされた前記ビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の成功の指標を測定するステップをさらに含み、
前記ヒントが必要であるという指示を得るステップは、前記1つまたは複数の測定された成功の指標が評価しきい値を下回るかどうかを検出するステップを含む、請求項1に記載のユーザ分析方法。
【請求項4】
前記シナリオについて他のユーザについて以前に生成された測定された成功の指標のコーパスから導出されたデータに関して、前記1つまたは複数の取得された成功の指標を評価するステップをさらに含み、
前記評価しきい値は、前記シナリオの他のユーザに対して以前に生成された測定された成功の指標の前記コーパスから導出された前記データに基づく、請求項3に記載のユーザ分析方法。
【請求項5】
前記評価しきい値は、
i.他のユーザの前記サブセットの平均的成功、
ii.他のユーザの前記サブセットの平均的成功をM%(Mは所定の数である)下回る値、および
iii.他のユーザの前記サブセットの平均的成功をP番目(Pは所定の数である)の標準偏差だけ下回る値
からなるリストから選択された1つである、請求項4に記載のユーザ分析方法。
【請求項6】
少なくとも1つの差を検出するステップは、前記現ユーザを前記シナリオについての他のユーザのサブセットと比較するステップを含み、
前記サブセットは、
i.すべてのユーザ、
ii.平均値から所定数の標準偏差の範囲外のユーザを除くすべてのユーザ、
iii.平均値を上回るユーザ、および
iv.測定された成功の指標のそれぞれの評価によって決定される、ユーザのうちの最も成功したN%(Nは所定の数)
からなるリストから選択される、請求項1に記載のユーザ分析方法。
【請求項7】
少なくとも1つの差を検出するステップは、前記現ユーザを前記シナリオについての他のユーザのサブセットと比較するステップを含み、
前記サブセットは、
i.共通の地理的地域内のユーザ、
ii.共通の人口統計学的グループ内のユーザ、
iii.前記ゲーム内の自己識別されたグループ内のユーザ、
iv.同じゲーム内ロケーション内のユーザ、および
v.同じゲーム内クエストをフォローしているユーザ
からなるリストから選択される、請求項1に記載のユーザ分析方法。
【請求項8】
前記提供するステップは、
前記現ユーザの1つまたは複数の測定された行動指標と、前記シナリオで所定のレベルの成功を有することが検出された他のユーザの前記サブセットの指標との間のそれぞれの差を計算するステップと、
i.ヒントの主題としての最大のそれぞれの差、および
ii.前記最大のそれぞれの差以外の差
からなるリストから選択された1つに対応する行動を選択するステップとを含む、請求項1に記載のユーザ分析方法。
【請求項9】
前記提供するステップは、
i.前記ビデオゲームとは別のアプリケーション、および
ii.前記ビデオゲームをホストしている装置とは異なる装置によってホストされているアプリケーション
からなるリストから選択された1つまたは複数に前記ヒントを提供するステップを含む、請求項1に記載のユーザ分析方法。
【請求項10】
前記現ユーザによってプレイされた前記ビデオゲーム内の前記シナリオについての1つまたは複数の行動指標を測定するステップと、
前記現ユーザによってプレイされた前記ビデオゲーム内の前記シナリオについての1つまたは複数の成功の指標を測定するステップと、
前記測定された行動指標と前記シナリオを示す成功メタデータとを関連付けるステップと、
行動と成功の前記測定された指標と関連するメタデータを前記コーパスに追加するステップと、をさらに含む、請求項1に記載のユーザ分析方法。
【請求項11】
コンピュータシステムに対して請求項1から1のいずれか一項に記載の方法を実行させるように適合されたコンピュータ実行可能命令を有するコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
ビデオゲーム内の現ユーザを支援するためのユーザ分析システムであって、
前記ビデオゲーム内のシナリオにヒントが必要であるという指示を取得するように構成されたヒント指示取得プロセッサと、
もしヒントが必要であるなら、前記シナリオにおける成功した行動に関するヒントを前記現ユーザに提供するように構成された提供プロセッサとを含み、
前記提供プロセッサは、前記ビデオゲーム内の前記シナリオに対する1つまたは複数の行動指標を取得するように構成され、
前記提供プロセッサは、前記1つまたは複数の取得された行動指標と、前記シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザのサブセットから以前に生成された測定された行動指標のコーパスから導出された対応するデータと、の間のそれぞれの差を検出するように構成され、
前記提供プロセッサは、前記現ユーザと、前記シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザの前記サブセットとの間の前記1つまたは複数の測定された行動指標のそれぞれの差を減らす1つまたは複数の行動の変化を示すヒントを前記現ユーザに提供するように構成され
前記ビデオゲーム内の前記シナリオについての1つまたは複数の行動指標を取得することは、
i.前記現ユーザによってプレイされた前記ビデオゲーム内の前記シナリオについての1つまたは複数の行動指標を測定すること、および
ii.前記シナリオについて他のユーザの所定のサブセットから以前に生成された測定された行動指標の前記コーパスから前記1つまたは複数の行動指標を取得すること
からなるリストから選択された1つを含む、
ユーザ分析システム。
【請求項13】
前記現ユーザによってプレイされた前記ビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の成功の指標を測定するように構成された測定プロセッサをさらに含み、
前記ヒント指示取得プロセッサは、前記1つまたは複数の測定された成功の指標が評価しきい値を下回るかどうかを検出するように構成される、請求項1に記載のユーザ分析システム。
【請求項14】
前記提供プロセッサは、前記ビデオゲームとは別のアプリケーションに前記ヒントを提供するように構成される、請求項1に記載のユーザ分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ分析システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のゲームは非常に複雑で機能が豊富である。そのようなゲームの例は、いわゆる「オープンワールド」ゲームであり、ユーザは自由に探索して広範囲の非プレイヤーキャラクタと対話することができ、何をするべきかについてのガイダンスが限られていて、通常、(会話の観点から、あるいは遭遇に応じて武器と戦術の観点から)それらがどのように対話するかについての幅広い選択肢がある。
【0003】
邪魔にならない方法でユーザをガイドするのを助けるために、ゲームがロードされている間、開発者がゲームプレイ技術に関する有用なメッセージを表示することが一般的である。時間が経つにつれて、ゲームがロードされている間に読むための興味深い情報をユーザに公開しながら、ゲームに関する有用な情報をユーザに提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、提供できるメッセージの数には制限があり、しばらくするとユーザに対するそれらの価値は減少する。
【0005】
本発明は、この問題を緩和または軽減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様では、ビデオゲーム内の現ユーザを支援するユーザ分析方法が請求項1に従って提供される。
【0007】
別の態様では、ビデオゲーム内の現ユーザを支援するように構成されたユーザ分析システムが請求項13に従って提供される。
【0008】
本発明のさらなるそれぞれの態様および特徴は、添付の特許請求の範囲において定義されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を例として説明する。
【0010】
図1】本発明の一実施形態による娯楽装置の概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、ビデオゲーム内で現ユーザを支援するユーザ分析方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ユーザ分析システムおよび方法が開示されている。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、いくつかの具体的な詳細が提示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細が本発明を実施するために使用される必要がないことは当業者に明らかであろう。逆に、当業者に知られている具体的な詳細は、必要に応じて明確さの目的で省略されている。
【0012】
ゲームをプレイすることができるシステムの例は、Sony(登録商標)PlayStation 4(登録商標)娯楽装置またはコンソールである。
【0013】
図1は、Sony(登録商標)PlayStation 4(登録商標)娯楽装置のシステム全体のアーキテクチャを概略的に示す。システムユニット10には、システムユニットに接続可能な様々な周辺装置が設けられている。
【0014】
システムユニット10は、中央処理装置(CPU)20Aおよびグラフィック処理装置(GPU)20Bを含む単一チップである加速処理装置(APU)20を含む。APU20は、ランダムアクセスメモリ(RAM)ユニット22にアクセスする。
【0015】
APU20は、任意選択でI/Oブリッジ24を介して、バス40と通信し、I/Oブリッジ24は、APU20の別個の構成要素またはその一部であってもよい。
【0016】
バス40に接続されているのは、ハードディスクドライブ37、および互換性のある光ディスク36A上のデータにアクセスするように動作可能なブルーレイ(登録商標)ドライブ36などのデータ記憶構成要素である。さらに、RAMユニット22はバス40と通信することができる。
【0017】
任意選択でバス40には補助プロセッサ38も接続されている。補助プロセッサ38は、オペレーティングシステムを実行またはサポートするために提供されてもよい。
【0018】
システムユニット10は、オーディオ/ビジュアル入力ポート31、イーサネット(登録商標)ポート32、ブルートゥース(登録商標)無線リンク33、Wi-Fi(登録商標)無線リンク34、あるいは1つまたは複数のユニバーサルシリアルバス(USB)ポート35を介して周辺装置と適宜通信する。オーディオおよびビデオは、HDMI(登録商標)ポートなどのAV出力39を介して出力されてもよい。
【0019】
周辺装置は、PlayStation Eye(登録商標)などの単眼または立体ビデオカメラ41、PlayStation Move(登録商標)などのワンドスタイルのビデオゲームコントローラ42およびDualShock4(登録商標)などの従来のハンドヘルドビデオゲームコントローラ43、PlayStation Portable(登録商標)およびPlayStation Vita(登録商標)などの携帯娯楽装置44、キーボード45および/またはマウス46、例えばリモコンの形態のメディアコントローラ47、ならびにヘッドセット48を含んでもよい。プリンタ、または3Dプリンタ(図示せず)などの他の周辺装置も同様に考慮することができる。
【0020】
GPU20Bは、任意選択でCPU20Aと連携して、AV出力39を介して出力するためのビデオ画像およびオーディオを生成する。任意選択で、オーディオは、オーディオプロセッサ(図示せず)と共に、または代わりにそれによって生成されてもよい。
【0021】
ビデオおよび任意選択的にオーディオはテレビ51に提示されてもよい。テレビによってサポートされている場合、ビデオは立体的であってもよい。オーディオは、ステレオ、5.1サラウンドサウンドまたは7.1サラウンドサウンドなどのいくつかのフォーマットのうちの1つでホームシネマシステム52に提示されてもよい。ビデオおよびオーディオも同様に、ユーザ60が装着しているヘッドマウントディスプレイユニット53に提示されてもよい。
【0022】
動作中、娯楽装置はデフォルトでFreeBSD 9.0の変種などのオペレーティングシステムになる。オペレーティングシステムは、CPU20A、補助プロセッサ38、またはこれら2つの混合物上で動作することができる。オペレーティングシステムは、PlayStation Dynamic Menuなどのグラフィカルユーザインターフェースをユーザに提供する。このメニューにより、ユーザはオペレーティングシステムの機能にアクセスし、ゲームや任意選択的に他のコンテンツを選択することができる。
【0023】
本発明の一実施形態では、適切なソフトウェア命令の下で動作する娯楽装置は、ユーザに合わせたヒントおよびアドバイスを提供する方法を実装することによってユーザ分析システムとして機能することができる。
【0024】
本発明の一実施形態では、本方法は、ユーザによるゲームプレイの1つまたは複数の態様に関する1つまたは複数の統計を維持するステップを含む。例示的な統計は、成功または失敗の様々な尺度に関連することができ、通常、これらは様々なゲーム内行動に関連する尺度と正に相関するであろう。これらの尺度は、例えば、個々の遭遇または遭遇の種類、オブジェクトもしくはキャラクタの能力の所有もしくは使用、および/または特定の探求、特定のレベルもしくは領域内での成功の全体的な尺度に特有なもの、あるいは全体としてゲームに関連するものであってもよい。いくつかの非限定的な例は、本明細書において後で提供される。
【0025】
当然のことながら、ビデオゲームは通常、何万または何十万ものユーザによって再生され、累積的に何百万ものユーザによって再生することができる。その結果、スクリプト化されたヒントを作成する必要なしに現ユーザにアドバイスを提供するために(もちろん、これらは必要に応じて提供することができるが)、成功、失敗および行動に関するそれぞれの記録された統計を照合および分析して、どの行動が成功と相関するかを決定することができる。
【0026】
説明の目的のために、この方式の非限定的な例は、現ユーザのゲーム内のモンスターとの遭遇を参照して説明することができる。そのモンスターは特定の武器に対して脆弱であり、3メートルの範囲内で強力な攻撃を有するが、水中では素早く動くことができない。
【0027】
この例示的な例では、ユーザはこのモンスターを倒すことが困難である。遭遇は、ユーザが完了することに失敗した一回限りのイベントであり得るか、またはこのモンスターは、定期的に遭遇するがユーザがモンスターを打つのが比較的困難であるタイプのものであり得る。
【0028】
この困難は、例えば、最初にモンスターと交戦してからそれを倒すまでにかかる時間を測定すること、および/またはモンスターに対する武器攻撃の数を測定すること、および/またはモンスターとの戦いの間にユーザのキャラクタが受けた健康上のダメージの量を測定すること、および/またはユーザがモンスターとの戦いで死亡した回数によって自動的に検出することができる。これらの測定値は、モンスターとの戦いにおけるユーザの相対的な成功または失敗の代理と見なすことができる。他の測定は当業者に明らかであり、そして上記のように異なる測定は異なるシナリオに適している可能性がある。
【0029】
ユーザがモンスターとの遭遇を見つけるのがどれほど困難であるかを示す尺度の任意の適切な組み合わせは、他の複数のユーザから照合され分析された尺度と比較することができる。この比較は、リモートサーバ上で行われてもよく、または分析された結果は、(例えば、任意のパッチまたはDLCを用いて、または定期的なバックグラウンドアクティビティとして)局所的な比較のために娯楽装置に定期的に送信されてもよい。また、他のユーザのサブセット、例えば、ゲームプレイに影響を及ぼしたり現在の選択肢を制限したりする可能性がある同様のゲーム内スキルレベル、キャラクタクラス、武器コレクションなどを有するユーザのみに基づいて比較を行うこともできる。そのようなユーザのサブセットは、「ピア」ユーザと呼ばれることがある。ピアグループは、あるいはまたはさらに、地理的基準または人口統計学的基準に従って選択することができ、あるいは特定のサーバ上のユーザ、またはゲーム内の特定の「氏族」または同様の自己識別グループに限定することができる。このような改良は、現ユーザとサンプル母集団との比較をより関連性のあるものにするのに役立つ。例えば、同じ氏族内のそれらのユーザに比較を制限することは、本明細書で後に見られるように、独特の「氏族スタイル」のプレイへの収束をもたらし得る。
【0030】
他のユーザの間では、様々なレベルの成功と失敗がある。現ユーザの成功は、平均的な成功レベル(例えば、平均的な戦闘時間、平均的なヒット数、そして敗北したモンスターとの遭遇が成功した時に受けた平均的なダメージの適切な組み合わせ)と比較される。また、ユーザの成功率がサンプル母集団の平均を下回っている場合には、これはモンスターとの戦いに関するアドバイスが必要であることを示していると検出され得る。
【0031】
当然のことながら、アドバイスの必要性を判断することは、任意の適切な成功または失敗(すなわち、成功の欠如)の尺度、および他のユーザから導出されたその尺度の平均からの任意の適切な偏差に基づくことができる。
【0032】
したがって、例えば、ユーザが平均を下回るかどうかを単に判断する代わりに、ユーザが平均を下回る0.5、1、もしくは1.5標準偏差、または1つまたは複数の照合された成功の尺度に基づいて決定されるように、比較した上位10%のプレイヤーのみについての平均を下回る1標準偏差であると判断することができる。それゆえ、前者の例は(ユーザがこのモンスターに関して最悪の全体的なプレイヤーのうちの1人であるために)改善ガイダンスを提供することができる一方で、後者の例は(ユーザがまだ最善ほど良くないので)上昇志向ガイダンスを提供することができる。当然のことながら、ゲーム全体に対して、または具体的には提供されるヒントのレベルに対して、例えばユーザが選択した難易度に応じて、異なる尺度を使用することができる。
【0033】
あるいは、失敗の検出は、同じモンスターと戦う時にユーザが死亡するかもしれない所定のしきい値回数を設定することによって決定されてもよい。このしきい値は、予め設定された数であってもよく、または例えばユーザのキャラクタとモンスターのゲーム内の「レベル」間の差の関数としてアルゴリズム的に導出されてもよい。したがって、モンスターがユーザのキャラクタよりも高いレベルにある場合、ユーザが苦労していると見なされる前に、より多くの死亡が予想され得る。所定の時間内にチェックポイントに到達しないこと、または必要なオブジェクト、属性/才能またはスキルレベルを所有せずにアクションを実行しようとすることなど、同様に予測可能な失敗の尺度を自動的に検出することができる。しかしながら、これらの場合、失敗は予測可能であり得るが、失敗の理由は予測可能ではないかもしれず、それは分析から恩恵を受けるであろう。当然のことながら、そのような失敗の尺度は成功の欠如の尺度と同等である。
【0034】
いずれにしても、ユーザがモンスターと戦う際にアドバイスから利益を得ることが検出されれば、そのアドバイスを提供することが望ましいようになる。
【0035】
本発明の一実施形態では、モンスターに関するアドバイスは、ゲーム開発者によって既に準備されているが、まだユーザは見ていないか、またはユーザがかなり前に見たので、それについて忘れている(これは、ゲームのロード中に選択できるヒントが数百種類ある場合に発生する可能性がある)。したがって、モンスターに関するアドバイスは、ヒント選択アルゴリズム内で高い優先度を与えられ、その結果、開発者のアドバイスは、ユーザの成功率が向上するまでより際立ってまたは頻繁に提示される。
【0036】
あるいはまたはさらに、この特定のモンスターに関するアドバイスがない場合もあり、より一般的には、所与のシナリオで成功するためにユーザの特定の行動を修正する方法に関するアドバイスがない場合もある。
【0037】
したがって、本発明の一実施形態では、現ユーザとユーザの関連するサンプル母集団との間の遭遇について測定された統計の比較を行うことができる。例えば、モンスターに対するユーザのパフォーマンスが比較的低い改善例では、成功が平均を上回っているプレイヤーに関する統計が使用されるが、一方、ユーザが優れているがさらに優秀になる可能性があるという上昇志向の例では、プレイヤーのトップ10%に関する統計が使用されてもよい。
【0038】
モンスターとの遭遇の例に関連して、以下の統計を見いだすことができる。
-現ユーザは武器Aで戦う。
-現ユーザは通常20ヒットを管理する。
-現ユーザはモンスターから平均して2mの所に立つ。
-現ユーザは、時間の70%では地形タイプi(地上)で、時間の30%では地形タイプii(水上)でモンスターと戦う。
-現ユーザは平均してモンスターとの遭遇の70%の間に死亡する。
【0039】
一方、平均を上回るプレイヤーの統計は以下の通りである。
-これらのプレイヤーは、時間の30%では武器Aで、時間の70%では武器Bで戦う。
-これらのプレイヤーは通常30ヒットを管理する。
-これらのプレイヤーはモンスターから平均して2.5mの所に立つ。
-これらのプレイヤーは、時間の50%では陸上で、時間の50%では水上でモンスターと戦う。
-これらのプレイヤーは、平均してモンスターとの遭遇の25%の間に死亡する。
【0040】
さらに、最高のプレイヤーについての統計は以下の通りである。
-これらのプレイヤーは、時間の10%では武器Aで、時間の90%では武器Bで戦う。
-これらのプレイヤーは通常35ヒットを管理する。
-これらのプレイヤーはモンスターから平均して3.5mの所に立つ。
-これらのプレイヤーは、時間の25%では陸上で、時間の75%では水上でモンスターと戦う。
-これらのプレイヤーは、平均してモンスターとの遭遇の5%の間に死亡する。
【0041】
これらの統計のうち、武器の選択、モンスターからの距離、地形の選択はすべて、優秀なプレイヤーがモンスターと戦うことをどのように選択したか(つまり、彼らの行動)に関連する。一方でヒット数、およびその生存率はそれらの相対的成功に関係する。上記のように、成功に関連する統計は、(例えば、これらの測定値の平均値との比較によって)ユーザが助けを必要としているかどうかを判断するために最初に使用することができ、ここでそれらは、ゲーム内の行動に対して現ユーザ自身の行動を比較できる(より)成功したユーザのサブセットを決定するために使用することができる。
【0042】
したがって、ユーザの行動統計と成功したプレイヤーの行動統計との間の最大の違いを探すヒントジェネレータを提供することができる。
【0043】
改善策の場合、ユーザの統計と平均的なプレイヤーの統計を比較すると、最大の違いは武器の選択であり、現プレイヤーは30%の少数派グループに属している。
【0044】
その結果、ジェネレータは、このモンスターと戦うために武器Bを選ぶことがより良いことを示す入手可能なデータに基づいてヒントを作成することができる。明らかに、「経験豊富な騎士が、[武器B]が[モンスター]に対して特に効果的であったことを報告する」などの、ゲームに適した言葉を使用することができる。例えばメンターからのジャーナルエントリなど、このアドバイスを自然な方法で提供するために、任意の適切なフィクションを提供することができる。
【0045】
あるいは、行動の欠如が連続的な変数(タイミング、距離、スピードなど、例えばレーストラックでのコーナリングなど)によって特徴付けることができる行動に関連する場合、修正メッセージは、ユーザの測定された動作と成功したピアのそれとの間の数値的なギャップを減らすために必要な動作の変更を示すことができる。例えば、「トップドライバーはヘアピンベンドでは時速60マイルまで減速する」、または「[プレイヤーの現在の車]のドライバーはヘアピンベンドではより早くブレーキをかける必要があると報告する」などである。
【0046】
例に戻ると、現ユーザの武器の選択が不適切であることに対処して、現ユーザが武器Bで戦うようにすると、パフォーマンスが向上することができ、さらに向上する可能性がある。
【0047】
したがって、上昇志向の場合には、現ユーザの最新の統計と優秀なプレイヤーの統計を比較すると、最大の違いは、地形の選択またはモンスターからの平均距離のいずれかになり得る。
【0048】
したがって、当然のことながら、状況によっては、最も異なる行動に関して明確な全体的な「勝者」が存在せず、または行動の違いはそれほど大きくない。
【0049】
これに対処するために、任意選択で、システムは、勝利または十分に大きな行動の違いが現れるまで、ますます成功しているプレイヤーを調べることができる。したがって、例えば、システムは最初にユーザの行動を上位50%のプレイヤーと比較することができ(現ユーザが最初は平均を下回っていると想定する)、明確なガイダンスが検出されない場合は、勝者の行動のセットが出現するかどうかを判断するために、上位25%、上位10%、上位5%、上位1%のプレイヤーに連続して進む。当然のことながら、使用される特定の百分率は、純粋に例示的かつ非限定的なものである。
【0050】
あるいはまたはさらに、任意選択的に行動の任意の比較のために、システムはそのような統計の異なる順列に関する成功の尺度を調べることができ、例えば、地上である距離に立っている人と水中の近くに立っている人の死亡率を比較して、次にどの行動の変化がヒントになるかを選ぶ。
【0051】
あるいはまたはさらに、他のユーザの全体的な母集団が特定のデータのサブセットについて統計的に有意な結果を提供するのに十分大きい場合、任意選択で、システムは、一般的にユーザと同様の方法でモンスターと戦うことを選ぶことを統計が示すプレイヤーについての統計を分析することができるが、ある場合にはさらなる距離からそれを行い、また別の場合には異なる地形でそれを行う。これらのそれぞれの行動の変化の関数として死亡率の変化を比較することによって、行動の最も有利な変化を識別し、次に示唆するように選択することができる。したがって、より一般的にはサンプル母集団が許容する場合、それぞれの行動の変化(率またはその絶対値)の関数としての成功の変化(率またはその絶対値)を分析して、どの変化行動が成功に最大の変化をもたらすかを決定することができる。
【0052】
あるいは、現ユーザの統計と比較対象の母集団の統計との2番目に大きい差を、次にヒントとして選択することもできる。
【0053】
いずれにせよ、任意選択で、システムは、最大の差異以外の差異に関するヒントを構築または促進することを選択することができる。例えば、ユーザが最大の異なるM回に関するヒントを既に受け取っている場合には(Mはゲーム設計者によって選択された所定の数である)、プレイヤーの行動の別の違いに関するヒントを選択することができる。あるいはまたはさらに、他の差異に関するヒントは、単に多様性のためにランダムまたはランク付けされた頻度に基づいて提供されてもよい。
【0054】
このプロセスは、比較される母集団内でユーザが所定のレベルの成功(例えば平均的な成功またはNが所定の数である場合には上位Nパーセント)を達成するまで継続することができ、あるいは、所与のシナリオに関して、所定の最大数のヒントが表示されてもよく、あるいは、そのようなヒントは、ゲーム内の所定の期間だけ優先されてもよい。ヒントがシナリオ特有であり、シナリオが終了した場合は、そのヒントを再度表示する必要はない(例えば、敗北したモンスターがボスの戦闘などで1回限りだった場合、または完了したクエストに関連する場合)。
【0055】
したがって、より一般的には、ゲームプレイ中の現ユーザの成功の尺度は、選択されたユーザの集団内の成功の尺度と比較され、現ユーザの相対的な成功を判断し、この成功がしきい値を下回る場合、ヒントを提供することができる。
【0056】
前述のように、このヒントは開発者によって既に準備されている可能性があるが、優先順位が付け直される。
【0057】
あるいは、前述のように、サンプル母集団と比較したユーザの行動の明らかな欠如に応じてヒントを構成することができる。これは、現ユーザの測定行動と選択したユーザ母集団の成功したサブセットの行動統計とを比較し、成功したサブセットの行動(または、本明細書で前述したように、潜在的に他の何らかの寄与行動)との差が最も大きい行動を特定することによって行われる。
【0058】
この差を減らすような行動の変化を示すヒントが自動的に構築される。
【0059】
このようにして、開発者が事前にそのようなヒントを徹底的に予測し準備する必要なしに、現ユーザの個々の行動に関連するヒントを構築することができる。さらに、所与のシナリオで現ユーザの行動を現ユーザよりも成功している選択されたユーザの母集団と比較することによって、ユーザのパフォーマンスを段階的に向上させる特注のヒントが、ユーザがどのレベルの熟練度であっても自動的に生成され得る。
【0060】
関連するヒントを選択または生成するという基本概念に対する変形もまた想定することができる。例えば、任意選択の実施形態では、システムは、ヒントを選択または生成するためにどの統計が使用されたかを記録することができる(前のモンスターとの戦いの例では、これらはユーザの武器の選択か、環境のどこで戦うかの選択であった)。その後に、ユーザが統計にプラスの影響を与えるような方法で(例えば、より良いプレイヤーのコーパスのそれに合うように彼らの武器の選択や戦いの場所を変更することによって)行動を変更し、そして(例えば、モンスターを無事に倒したり、死亡せずにそうすることによって)成功基準を改善した場合には、関連する行動への変化についてユーザを祝福する、正当なフィードバックを提供する「ヒント」を生成することができる。
【0061】
したがって、より一般的には、ヒントが最初に提示された時にシステムはユーザの統計を記録し、ヒントによって示される提案された1つまたは複数の行動の変化と一致するユーザ行動の1つまたは複数の変化を検出する。検出されると、システムは、任意選択で、祝辞的な「ヒント」(すなわち、以前のヒントと同じ方法で提供されるメッセージ)を提供する。あるいはまたはさらに、システムは、最初の動作が修正されたことに基づいて、異なるユーザ行動を変更するための新しいヒントを提供することができ、したがってさらなる行動を改善して性能をさらに向上させることができる。前述のように、多くの場合、第1のヒントはユーザと成功したコーパスとの間の行動の最大の違いに基づいているため、次のヒントは行動の2番目に大きい違いに関連する可能性がある。あるいは、次のヒントは、より達成度の高いユーザのより限定的なコーパスを使用して生成することができ、これまでは、「改善」と「上昇志向」のヒントがあり得ることが示唆されていたが、したがって、ユーザは改善のヒントに応答して彼らの行動を変更し、これが検出され、次いで、達成度の高いユーザのより選択的なコーパスに基づくヒントを、次の上昇志向のヒントとして生成することができる。より一般的には、次のヒントは、以前は示唆されていなかった、または洗練された参照コーパスから生成された動作の変更に関連する。
【0062】
オープンワールドゲームでは、ユーザは数十のクエストを並行して開くことができる。任意選択で、ヒントシステムは、最新かつ関連性のあるヒントを提供するために最新のプレイセッションに応答することができ、および/または、その1つもしくは複数のクエスト中に発生するユーザの行動に関するヒントを提供するために、その時点でアクティブであった1つもしくは複数のクエストにそれを関連付けるメタデータでユーザの行動を記録することができる。(当然のことながら、このメタデータを他のプレイヤーからのデータのコーパス内で使用して、アクティブクエストの関数としてコーパスデータの適切なサブセットを選択することができる)。
【0063】
しかしながら、特定のトピックに関するヒントを要求することによって、ユーザはヒント処理に対するより多くの制御を任意選択的に提供されてもよい。当然のことながら、1つのモンスターを打つこと、または1つの障害を克服することが困難であるユーザは、ゲーム内の他の対戦相手またはパズルでも問題を抱えている可能性がある。さらに、上記のように、ユーザは、利用可能ないくつかの異なるクエストを有することができる。ユーザがあるクエストの進行状況にイライラした時、彼らはプレイを続けるために別のクエストに切り替えるであろうが、実際には他のクエストの進め方についてのヒントが欲しいのである。したがって、このような状況では、ユーザの現在のプレイやクエストの選択が、ユーザが最も支援を必要とするゲームの地域を必ずしも反映していないため、どのヒントがユーザのゲームの楽しさに最も役立つかを見分けることは困難な場合がある。
【0064】
したがって、本発明の任意選択の実施形態では、ユーザは特定の問題に関するヒントを要求することができる。アクセス可能なユーザインターフェースを提供するために、これは、ユーザがどの利用可能なクエストをヒントにしたいかを識別することによって簡単に行われ、そのクエストに関連するユーザの行動がヒント生成のために優先され得る。あるいはまたはさらに、ユーザは、興味のある分野を示すためにキーワードを入力または選択することを許可されてもよく、それは、例えば、彼らがより効果的に戦うことを望んでいるモンスターの名前、または彼らがしつこく困難に遭遇しているか、または入り口または重要なものなどを見つけることができないゲーム内の場所の名前である。
【0065】
また、クエストと同様に、潜在的にはアクティブなクエストの名前と同様に、敗北した敵および/または特定の場所を指定するメタデータにユーザの行動を関連付けることができる。
【0066】
その結果、ユーザがクエストCの間に場所BのモンスターAを倒す方法を尋ねると、これらのメタデータをフィルタリングすることによって、成功したユーザの関連コーパスを作成することができ、また、関連するヒントを生成して、例えば、ユーザによるクエリの定式化に応じた即時の返信としてユーザに提供することもできる。
【0067】
さらに、当然のことながら、潜在的にユーザは、ユーザ自身がまだ自分自身の記録された行動データの有用なセットを得るほど十分に遭遇していない、またはプレイしていないというシナリオについてのヒントを求めることができる。例えば、ユーザは、何らかの理由で(例えば、実世界の時間的プレッシャーのために)最小限の手間で特定のクエストを完了することを単に望むかもしれない。この場合、ヒントシステムは、存在しないかまたは不十分なユーザの行動統計を、コーパス内の1人または複数の平均的なユーザからの行動統計と置き換え、彼らが平均的なプレイヤーであるかのようにユーザに対するヒントを生成するために、本明細書で前述したのと同様の方法でコーパス内のより成功したユーザと彼らを比較することができる。当然のことながら、ユーザは、ゲーム内の成功の以前の測定値に基づいてランク付けされてもよく、現ユーザに最も近似し、それゆえ適切なアドバイスを生成するために、コーパス内の類似のランクのユーザから代替ユーザまたは複数のユーザを選択することができる。
【0068】
先に述べたように、専用のヒント要求に応じた上記の即時応答とは対照的に、そのようなヒントは画面のロード中または入力がない時にトリガされる「アイドル」モードの一部として提供されることが通常想定され、これは入力が所定の時間検出されなかった時にトリガされ得る。
【0069】
しかしながら、あるいはまたはさらに、本発明の任意選択の実施形態では、「試合後分析」の形態として、ゲームプレイが完了した後に1つまたは複数のヒントがユーザに提供される。これは、(例えば、娯楽装置上でのゲームの強調表示に関連する説明文の修正として)ゲームと同じプラットフォーム上で提供されてもよいし、またはゲームとは別のプラットフォームで提供されてもよく、例えば、ユーザは、携帯電話番号をゲーム開発者もしくは発行者、または娯楽装置によってアクセス可能なネットワークの管理者に登録することができ、ゲームがテキストでその携帯電話に送信するためのヒントテキストを出力することができる。あるいはまたはさらに、携帯電話はアプリをダウンロードしてもよく、そのようなヒントテキストをデータとしてアプリにルーティングすることができるように、ユーザはそれらを識別するログイン認証情報をゲーム開発者または発行者またはネットワーク管理者に提供してもよい。当然のことながら、ヒントが携帯電話などの異なるプラットフォームに送信される場合、ゲームプレイが進行している間に潜在的に(また)送信されてもよい。
【0070】
このようにして、ユーザは、ユーザにとって都合の良い時に反映を可能にする便利な方法で彼らのゲームプレイを改善するのに役立つヒントを受け取ることができ、そのようなメッセージを保存するテキストスレッドやアプリの場合には、ユーザは一連のヒントを振り返って、まだ実用化されていない有用な情報を思い出すか、これらのヒントの結果としてどのように進歩したかを振り返ることができる。
【0071】
当然のことながら、ゲームが新たに開始された時、公衆から入手可能なユーザ統計の既存のコーパスは存在しないであろう。しかしながら、そのような統計は、ゲームの品質保証テスト段階、またはゲームのいわゆる早期アクセスまたはベータテストから収集されて、初期のユーザ統計のセットを提供することができる。
【0072】
さらに、本発明の一実施形態では、ゲームは、より広いコーパスに組み込むために現ユーザの統計を中央サーバにアップロードする。通常、これは匿名化されるが、代わりに、統計の少なくとも一部は、例えばゲームのマルチプレイヤーコンポーネントの場合は、ランク付け方式の一部を形成することもある。
【0073】
成功の尺度の非限定的な例には、以下が含まれる。
-全体的または戦闘後の平均的な健康レベル。
-全体的または取引後の平均金額。
-所定のオブジェクトの取得。
-探索された利用可能な地形の量、ならびに
-ユーザのキャラクタのゲーム内能力(例えば、ゲームで一般的に見られる強さ、才能、スキルなどの段階的な向上)。
【0074】
これらの成功の尺度は、ゲーム全体、ゲームの地域、キャラクタレベル、および/または特定のクエスト内で絶対的なもの、あるいはゲーム全体の中での経過時間、ゲームの地域、キャラクタレベル、および/または特定のクエストに相対的なものであってもよい。
【0075】
測定することができ、そのためにヒントを提供することができる行動の非限定的な例には、以下が含まれる。
【0076】
i.タイミング:
-いつ対戦相手を攻撃またはブロックするか(通常、特定のクラスに関して、または個々の対戦相手に関して)。
-昼夜を問わず、ゲームキャラクタ内で別の人と対話するかどうか(ここでもまた、特定のクラスに関して、または個々の対戦相手に関して)。
-他のいくつかのタスクを実行した後に別のキャラクタと対話するかどうか、および
-同様に、レース場でいつ加速したりブレーキをかけたりするか。
【0077】
ii.武器/装備:
-敵に対する武器の特定の選択(例えば特定のクラスに関連してまたは個々の対戦相手に関連して)
-敵に対する装甲の特定の選択(例えば、特定のクラスに関連して、または個々の対戦相手に関連して)。
-敵に対する呪文の特定の選択(例えば、特定のクラスに関連して、または個々の対戦相手に関連して)、ならびに
-同様に、特定のレースのための車両/タイヤ/燃料積込みなどの特定の選択。
【0078】
iii.戦術:
-敵に対して何を使用して動くか(例えば特定のクラスに関して、または個々の対戦相手に関して)。
-どこで敵と戦うか(例えば、特定のクラスに関連して、または個々の対戦相手に関連して)。
-敵と戦うために誰を使用するか(例えば特定のクラスに関して、または個々の対戦相手に関して)、ならびに
-同様に、レース中にターボチャージャまたは他の限られた資源をいつ使うか。
【0079】
iv.商取引:
-誰と商品を売買するか(個人またはアイテム、あるいは人々またはアイテムのクラス)。
-いつ商品を売買するか(例えば、季節的であるかまたは供給/需要に従うか)
-商品をどのように売買するか(例えば、チャームポーションを飲んだ後により良い価格が得られるのか)、ならびに
-同様に、所与の現在の設定でエンジン、タイヤ、スポイラー、その他の自動車部品をアップグレードするかどうか。
【0080】
v.探索:
-所与の環境または特定の場所で特定の道具(トーチ、つるはし、コンパスなど)をいつ使用するか。
-所与の環境または特定の場所で追加の探索を実行するかどうか(例えば、ある地域で平均以下の宝が見つかったか)。
-特定のキャラクタと会話するか、特定のオブジェクトと対話するかどうか(例えば、クエストの経過時間またはゲームのチェックポイント間の経過時間が予想を超える場合は、重要な情報が欠落している可能性がある。そのような状況では、ユーザの非プレイヤーキャラクタまたはオブジェクトとの対話を、成功したプレイヤーの対話と比較して、どれが最も人気があるかを検討する)、ならびに
-同様に、レーストラックのどこかでショートカットを探すかどうか。
【0081】
vi.スキルと才能:
-スキルツリー内でどのスキルまたは才能のロックを解除するか(例えば、所望の能力、場所、またはオブジェクトにアクセスするために)。
-スキルツリー内でどのスキルまたは才能を向上させるか(例えば、所望の能力、場所、またはオブジェクトにアクセスするために)。ならびに
-ある状況においてどのようなスキルまたは才能を可能にするか(例えば、一度に使用できるのはスキルまたは才能のサブセットのみの場合)。
【0082】
他の例は当業者に明らかであろう。
【0083】
ここで図2を見ると、本発明の要約的実施形態において、ビデオゲーム内の現ユーザを支援するためのユーザ分析方法は、以下を含む。
【0084】
第1のステップs110において、ビデオゲーム内のシナリオにヒントが必要であるという指示を取得する。
【0085】
第2のステップs120において、シナリオにおける成功した行動に関するヒントを現ユーザに提供する。本明細書で前述したように、ヒントは、サンプル母集団と比較したユーザの行動の明らかな欠如に応じて、あるいは、ユーザがまだプレイしていないシナリオについてのヒントを要求した場合に想定されるプレイヤーのパフォーマンスに応じて、構成または選択することができ、要約的実施形態では、これは以下のサブステップによって行われる。
【0086】
第1のサブステップs122において、本明細書で前述したように、ビデオゲーム内のシナリオに対する1つまたは複数の行動指標を取得する。
【0087】
第2のサブステップs124において、本明細書で前述したように、1つまたは複数の取得された行動指標と、シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザのサブセットから以前に生成された測定された行動指標のコーパスから導出された対応するデータと、の間のそれぞれの差を検出する。
【0088】
そして第3のサブステップs126において、本明細書で前述したように、現ユーザと、シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザのサブセットとの間の1つまたは複数の測定された行動指標のそれぞれの差を減らす1つまたは複数の行動の変化を示すヒントを現ユーザに提供する。
【0089】
要約的実施形態の一例では、ヒントが必要であるという指示を取得するステップは、本明細書で前述したように、ヒントが求められているシナリオを示すユーザ入力を受け取るステップを含み、評価するステップは、指示されたシナリオに関して他のユーザから以前に生成された測定された行動指標のコーパスをフィルタリングするステップを含む。
【0090】
要約的実施形態の一例では、本方法は、現ユーザによってプレイされるようなビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の成功の指標を測定するステップを含み、ヒントが必要であるという指示を得るステップは、1つまたは複数の測定された成功の指標が評価しきい値を下回るかどうかを検出するステップを含む。本明細書で前述したように、成功の指標は、成功、失敗、またはその両方の組み合わせの尺度に基づいてもよく、任意選択的に、ゲーム設計者によって決定された重要度に従って重み付けされてもよい。
【0091】
要約的実施形態の一例では、本方法は、シナリオについて他のユーザについて以前に生成された測定された成功の指標のコーパスから導出されたデータに関して、1つまたは複数の測定された成功の指標を評価するステップも含み、評価しきい値は、シナリオの他のユーザに対して以前に生成された測定された成功の指標のコーパスから導出されたデータに基づく。前述したように、これは現ユーザの成功を、所定の成功のしきい値(もちろんこれらはまだ使用できるが)を使用する代わりに、自分のピアの成功に対して評価することができることを意味する。
【0092】
この場合、本明細書で前述したように、評価しきい値は、例えば、他のユーザのサブセットの平均的成功、他のユーザのサブセットの平均的成功をM%(Mは所定の数である)下回る値、他のユーザのサブセットの平均的成功をP番目(Pは所定の数である)の標準偏差だけ下回る値からなるリストから選択されたものである。
【0093】
要約的実施形態の一例では、ビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の行動指標を取得するステップは、以下からなるリストから選択されたものを含む。
i.現ユーザによってプレイされたビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の行動指標を測定するステップを含む測定するステップ、ならびに
ii.シナリオについて他のユーザの所定のサブセットから以前に生成された測定された行動指標のコーパスから1つまたは複数の行動指標を取得するステップ。
【0094】
本明細書で前述したように、選択肢iは、現ユーザと他のユーザのサンプルの平均的な行動(または任意選択で、サンプル平均に近い得点、またはコーパスの選択されたサブセット内から単純に選択された個々のユーザの行動)との行動の違いの比較を可能にする。選択肢iはユーザが関連するシナリオをプレイしたと仮定するが、選択肢iiは、ユーザがまだプレイしていないシナリオを指定することを可能にし、したがって、コーパスからの行動指標(例えば、ユーザの平均、または平均的なユーザからの)をヒントシステムの現ユーザの代わりに選択することができ、これにより、ユーザが実際にシナリオをプレイしていない場合でも、ヒントシステムは透過的に動作することができる。
【0095】
要約的実施形態の一例では、少なくとも1つの評価差異検出ステップは、現ユーザをシナリオについての他のユーザのサブセットと比較するステップを含み、サブセットは以下からなるリストから選択される。すべてのユーザ、平均値から所定数の標準偏差の範囲外のユーザを除くすべてのユーザ、平均を上回るユーザ、およびユーザのうちの最も成功したN%(Nは所定の数)であり、測定された成功の指標のそれぞれの評価によって決定される。
【0096】
要約的実施形態の一例では、少なくとも1つの差異検出ステップは、現ユーザをシナリオについての他のユーザのサブセットと比較するステップを含み、サブセットは以下からなるリストから選択される。共通の地理的地域(例えば、町、郡、国または大陸)内のユーザ、共通の人口統計学的グループ(例えば、年齢層、性別、国籍および/または言語)内のユーザ、ゲーム内の自己識別されたグループ内のユーザ(例えば、氏族)、同じゲーム内ロケーション内のユーザ、および同じゲーム内クエストをフォローしているユーザ。氏族の場合には、当然のことながら、貧しいプレイヤーは、氏族内で最も優秀なプレイヤーのプレイスタイルを反映したヒントを受け取ることになる。これは、氏族リーダーの影響を受けて、氏族スタイルに収束する可能性がある。いくつかの大規模多人数参加型オンラインゲームでは、これは新しい戦術と行動を出現させるかもしれない。
【0097】
要約的実施形態の一例では、提供するステップは、現ユーザの1つまたは複数の測定された行動指標と、シナリオで所定のレベルの成功を有することが検出された他のユーザのサブセットの指標との間のそれぞれの差を計算して、以下からなるリストから選択されたものに対応する行動を選択するステップを含む。本明細書で前述したように、ヒントの主題としての最大のそれぞれの差、および最大のそれぞれの差以外の差。
【0098】
要約的実施形態の一例では、提供するステップは、以下からなるリストから選択された1つまたは複数にヒントを提供するステップを含む。ビデオゲームとは別のアプリケーション(ホスト装置上のOSなど)、アプリケーションは、ビデオゲームをホストしている装置とは異なる装置によってホストされている(携帯電話のアプリなど。この場合、ヒントは、ホストデバイス上のOSを介して、および/または必要に応じてサーバもしくは他の介在プログラムおよびインフラストラクチャを介してアプリに提供されてもよい)。
【0099】
要約的実施形態の一例では、本方法は、現ユーザによってプレイされたビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の行動指標を測定するステップと、現ユーザによってプレイされるようなビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の成功の指標を測定するステップと、測定された行動指標とシナリオを示す成功メタデータとを関連付けるステップと、行動と成功の測定された指標と関連するメタデータをコーパスに追加するステップと、を含む。
【0100】
このようにして、ユーザ自身のプレイから収集された情報が、ビデオゲームのユーザから生成された行動および成功の測定された指標のコーパスに追加される。
【0101】
当然のことながら、上記の方法および技術は、ソフトウェア命令によって、または専用ハードウェアの包含または置換によって適用可能として適切に適合された従来のハードウェア上で実行することができる。
【0102】
したがって、従来の同等の装置の既存の部分への必要な適応は、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、ハードディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、またはこれらもしくは他の記憶媒体の任意の組み合わせなどの非一時的機械可読媒体に格納されたプロセッサ実装可能命令を含むコンピュータプログラム製品の形で実装されてもよく、あるいは、ASIC(特定用途向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)または従来の同等の装置を適合させるのに使用するのに適した他の構成可能な回路としてハードウェアで実現されてもよい。別に、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、またはこれらもしくは他のネットワークの任意の組み合わせなどのネットワーク上のデータ信号を介して送信されてもよい。
【0103】
前述のように、適切なハードウェアは、適切なソフトウェアの指示の下で動作するSony(登録商標)PlayStation 4(登録商標)娯楽装置またはコンソールである。
【0104】
したがって、本発明の要約的な実施形態では、ビデオゲーム内の現ユーザを支援するためのユーザ分析システム(例えば、娯楽装置10)は、ヒントがビデオゲーム内のシナリオに必要であるという指示を取得するように適合されたヒント指示取得プロセッサ(例えば、適切なソフトウェア命令の下で動作するCPU20A)を含む。ヒント指示取得プロセッサは、現ユーザによってプレイされるように、ビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の成功の指標を測定するように適合された測定プロセッサ(例えば、適切なソフトウェア命令の下で動作するCPU20A)、またはヒントが求められるシナリオを示すユーザ入力を受信するように動作可能なヒント要求プロセッサを含む。システムはまた、シナリオで成功した行動に関するヒントを現ユーザに提供するように適合された提供プロセッサ(例えば、適切なソフトウェア命令の下で動作するCPU20A)を含む。提供プロセッサはまた、ビデオゲーム内のシナリオに関する1つまたは複数の行動指標を取得するように適合され、かつ、1つまたは複数の取得された行動指標と、シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザのサブセットから以前に生成された行動の指標のコーパスから導出された対応するデータと、の間のそれぞれの差を検出するように適合されており、本明細書で前述したように、現ユーザと、シナリオで所定の成功レベルを有することが検出された他のユーザのサブセットとの間の1つまたは複数の測定された行動指標のそれぞれの差を減らす1つまたは複数の行動の変化を示すヒントを現ユーザに提供する。
【0105】
当然のことながら、原則として、提供プロセッサは、局所的に得られたヒント指示、および任意選択で現在のプレイヤーによってプレイされるようなビデオゲーム内のシナリオについての行動の1つまたは複数の測定された行動指標を、差異データを送り返す前、またはヒント自体を提供プロセッサ(または携帯電話などの別の装置)に送り返す前に、コーパスの少なくとも一部に関して差異検出を実行するリモートサーバに送信するための送信器/受信器を含むことができる。したがって、システムは、ゲームをホストしている娯楽装置とバックエンドサーバとの間に分散されてもよい。
【0106】
この要約的実施形態の例では、ユーザ分析システムは、現ユーザによってプレイされるようなビデオゲーム内のシナリオについての1つまたは複数の成功の指標を測定するように適合された測定プロセッサを含み、ヒント指示取得プロセッサは、1つまたは複数の測定された成功の指標が評価しきい値を下回るかどうかを検出するように適合された検出プロセッサを含む。
【0107】
この要約的実施形態の例では、上述のように提供プロセッサは、ビデオゲームとは別のアプリケーションにヒントを提供するように適合されている。
【0108】
当然のことながら、上述のように、ユーザ分析システムは、適切なソフトウェア命令によってそれを行うように適合されている場合、本明細書に開示されている他の任意の方法および技法を任意選択で実装することができる。
図1
図2