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特許7100114車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付けるプロセス及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付けるプロセス及び装置
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/00 20060101AFI20220705BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20220705BHJP
   B60C 5/00 20060101ALN20220705BHJP
【FI】
B29D30/00
G01N21/17 A
B60C5/00 F
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2020503014
(86)(22)【出願日】2018-06-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 IB2018054738
(87)【国際公開番号】W WO2019021080
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-06-14
(31)【優先権主張番号】102017000086952
(32)【優先日】2017-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】598164186
【氏名又は名称】ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ベレンゲル,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ボスカイーノ,イバン ギルド
(72)【発明者】
【氏名】マンチーニ,ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】プッピ,クリスティアーノ
【審査官】岩本 昌大
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-006783(JP,A)
【文献】特開2010-030243(JP,A)
【文献】特開2003-075343(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0067597(US,A1)
【文献】国際公開第2017/082162(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/092659(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/067192(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00-30/72
B60C 1/00-19/12
G01N 21/00-21/01,
21/17-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音低減要素(100)をタイヤ(500)に貼り付けるプロセスであって、各騒音低減要素(100)は、接着剤層(50a)で被覆された固定面(101)を含み、
前記接着剤層(50a)で被覆された前記固定面(101)を基準放射(R1)で照明することと、
前記基準放射(R1)で照明された前記固定面(101)が発した放射線(R2)を検出し、前記発せられた放射線(R2)に応じて、前記接着剤層(50a)で被覆された前記固定面(101)を示すデジタル画像(ImD)を決定することであって、前記デジタル画像(ImD)の各ピクセルは、前記各ピクセルに対応する前記固定面(101)の領域に存在する接着剤の量を表すそれぞれの明度値に対応付けられることと、
前記明度値に応じて、前記固定面(101)上の前記接着剤層(50a)の全体分布を表す少なくとも1つの第1のパラメータ(P)を計算することと、
前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の値(VP)と、前記固定面(101)上の前記接着剤層(50a)の適切な分布を表す少なくとも1つの基準値(Vrif)との間で比較を行うことと、
前記比較に基づいて、1つ又は複数の騒音低減要素(100)をタイヤ(500)の半径方向内側面に貼り付けるか、又は廃棄路に沿って送出することと、
が提供される、プロセス。
【請求項2】
前記照明の作業は、読取窓(30)で行われる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記騒音低減要素の前記固定面(101)が、所定の進行方向(A)に従って移動可能な第1の移送面(10)に載った状態で、前記騒音低減要素(100)を配置することが提供される、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記騒音低減要素(100)を前記第1の移送面(10)から、前記進行方向(A)に従って前記第1の移送面(10)に連続して移動可能な第2の移送面(20)に移送させることが提供される、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記照明の作業は、前記移送の作業中に行われる、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記読取窓(30)は、前記第1の移送面(10)と前記第2の移送面(20)との間に画定される、請求項2に従属する場合の請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記デジタル画像(ImD)は、複数の画像単位(Ui)を含み、前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の前記値(VP)を前記少なくとも1つの基準値(Vrif)と比較する作業は、各画像単位(Ui)毎に行われる、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記デジタル画像(ImD)は、複数の画像単位(Ui)を含み、前記比較は、容認閾値(Th)に応じて行われ、前記容認閾値(Th)は、以下の、
前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の前記値(VP)が、前記少なくとも1つの基準値(Vrif)に適合しない画像単位(Ui)の所定の数量(N1)によって規定される絶対的容認パラメータ(Th-1)、
前記デジタル画像(ImD)の画像単位(Ui)の全数(N_tot)に対する、前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の前記値(VP)が、前記少なくとも1つの基準値(Vrif)に適合しない画像単位(Ui)の所定の割合(P1)によって規定される相対的容認パラメータ(Th_2)、
前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の前記値(VP)が、前記少なくとも1つの基準値(Vrif)に適合しない画像単位(Ui)であって、隣接する画像単位(Ui)の所定の量(Q1)によって規定される集合的容認パラメータ(Th_3)、
の中からの少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
デジタル画像(ImD)を決定する作業は、各騒音低減要素(100)の移送時に、それぞれ前記固定面(101)の一部分を示す複数のフレーム(Fi)を生成することで実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
デジタル画像(ImD)を決定する作業は、前記読取窓(30)の前記進行方向(A)の長手寸法(D1)に対する、前記進行方向(A)に沿った前記騒音低減要素の移送速度(V1)の比率に応じて規定される頻度(f)で繰り返される、請求項2及び3に従属する場合の、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記読取窓(30)に隣接して配置されたスクリーン(111)は、前記基準放射(R1)によって照明された場合にバックグラウンド放射線(R3)を発し、前記バックグラウンド放射線(R3)を収集したものは、前記固定面(101)が発した前記放射線(R2)に対して区別可能である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項12】
前記スクリーン(111)が発した前記バックグラウンド放射線(R3)を前記固定面(101)が発した前記放射線(R2)と共に検出し、前記デジタル画像(ImD)において、前記固定面(101)を示す第1の部分(A1)と前記スクリーン(111)を示す第2の部分(A2)とを区別する作業をさらに含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の前記値(VP)が、前記少なくとも1つの基準値(Vrif)に適合しない画像単位(Ui)の量を検出する際に、前記スクリーン(111)を示す前記第2の部分(A2)の前記画像単位(Ui)を排除する作業を含む、請求項12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記騒音低減要素(100)の前縁部(100a)と前記読取窓(30)の後縁部(30b)とのアライメントを検出し、前記検出したアライメントに応じて、デジタル画像(ImD)を決定する前記作業を前記騒音低減要素(100)の前記移送と同期させる作業をさらに含む、請求項2に従属する場合の請求項4に記載のプロセス。
【請求項15】
騒音低減要素(100)をタイヤ(500)に貼り付ける装置(1)であって、各騒音低減要素(100)は、接着剤層(50a)で被覆された固定面(101)を含み、
前記装置は、
前記固定面(101)を基準放射(R1)で照明するように構成された照明装置(80)と、
前記基準放射(R1)で照明された前記固定面(101)が発した放射線(R2)を検出し、前記発せられた放射線(R2)に応じて、前記接着剤層(50a)で被覆された前記固定面(101)を示すデジタル画像(ImD)を決定するように構成された検出装置(90)であって、前記デジタル画像(ImD)の各ピクセルは、前記各ピクセルに対応する前記固定面(101)の領域に存在する接着剤の量を表すそれぞれの明度値に対応付けられる、検出装置(90)と、
前記明度値に応じて、前記固定面(101)上の前記接着剤層(50a)の全体分布を表す少なくとも1つの第1のパラメータ(P)を計算し、
前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の値(VP)と、前記固定面(101)上の前記接着剤層(50a)の適切な分布を表す少なくとも1つの基準値(Vrif)との間で比較を行い、前記比較に基づいて、
タイヤ(500)の半径方向内側面に1つ又は複数の騒音低減要素(100)を貼り付ける貼付装置(180)の動作を制御するか、或いは、
1つ又は複数の騒音低減要素(100)の、廃棄路に沿った送出を制御する、
ように構成された処理ユニット(200)と、
を含む、装置(1)。
【請求項16】
前記照明装置は、読取窓(30)において機能する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
連続して配置された少なくとも1つの第1の移送面(10)及び1つの第2の移送面(20)を含む、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
それぞれ前記騒音低減要素自体の固定面(101)が前記第1の移送面(10)に載った状態で、前記騒音低減要素(100)を順次連続して配置するように構成された配置グループ(2)を含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
進行方向(A)に従って、各騒音低減要素(100)を前記第1の移送面(10)から前記第2の移送面(20)に移送するように構成された移動装置を含む、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記読取窓(30)は、前記第1の移送面(10)と前記第2の移送面(20)との間に画定される、請求項16に従属する場合の請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記照明装置(80)は、前記読取窓(30)において、前記第1の移送面(10)及び第2の移送面(20)に対して下にある位置から前記固定面(101)を照明するように構成される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記読取窓(30)は、前記進行方向(A)において、各騒音低減要素(100)の長手寸法(D2)よりも短い長手寸法(D1)を有する、請求項16に従属する場合の請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記検出装置(90)は、それぞれ前記固定面(101)の一部分を示す複数のフレーム(Fi)を生成し、前記移動装置による各騒音低減要素(100)の移送時に、前記デジタル画像(ImD)を決定するように構成される、請求項19又は22に記載の装置。
【請求項24】
前記読取窓(30)に隣接し、前記基準放射(R1)が到達したときに、前記固定面(101)が発した前記放射線(R2)の検出とは区別可能なバックグラウンド放射線(R3)を発するように構成されたスクリーン(111)をさらに含む、請求項16に記載の装置。
【請求項25】
前記読取窓(30)は、前記スクリーン(111)と前記照明装置(80)との間に置かれる、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記スクリーン(111)は、前記読取窓(30)を通り抜けた前記基準放射(R1)を受けるように構成される、請求項24又は25に記載の装置。
【請求項27】
前記スクリーン(111)は、前記基準放射(R1)によって照明されたときに、前記固定面(101)が発した前記放射線(R2)の検出とは区別可能なバックグラウンド放射線(R3)を発するように構成される、請求項24~26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記処理ユニット(200)は、前記少なくとも1つの第1のパラメータ(P)の前記値(VP)が前記少なくとも1つの基準値(Vrif)に適合しない画像単位(Ui)の量を検出する際に、前記スクリーン(111)を示す部分の前記画像単位(Ui)を除外するように構成される、請求項24~27のいずれか一項に記載の装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付けるプロセス及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「騒音低減要素」という表現は、車両ホイール用のタイヤに結合した場合に、使用中にタイヤによって生じる騒音を減衰させる能力を有する要素を示すために使用される。そのような能力は、前述の要素が作製される材料のタイプに基づいて、前述の騒音低減要素に付与されるのが好ましい。そのような用途に適した材料には、例えば、連続気泡ポリウレタン発泡体などの吸音材料がある。
【0003】
車両ホイール用のタイヤは、通常、エラストマー材料からなるマトリクスに強化コードを組み込むことで形成された少なくとも1つのカーカスプライを含むカーカス構造体を含む。カーカスプライは、それぞれ環状固定構造体と係合する端部フラップを有する。環状固定構造体は、通常「ビード部」という用語で特定されるタイヤの領域に位置し、それぞれは通常、少なくとも1つの充填材挿入物が半径方向外側位置に付加された実質的に円周の環状挿入体で形成される。そのような環状挿入体は、通常「ビードコア」として公知であり、ホイールのリムに適切に設けられた固定座にタイヤが確実に固定された状態を維持し、ひいては、使用時に、タイヤの半径方向内側の端部フラップがそのような座から外れるのを防止する役目を果たす。
【0004】
タイヤへのトルク伝達を改善する機能を有する特定の強化構造体をビード部に設けることができる。
【0005】
クラウン構造体は、カーカス構造体に対して半径方向外側位置に取り付けられる。
【0006】
クラウン構造体は、ベルト構造体と、ベルト構造体に対して半径方向外側位置にある、エラストマー材料でできたトレッドバンドとを含む。
【0007】
ベルト構造体は、互いに対して半径方向に重ねて配置された1つ又は複数のベルト層を含み、ベルト層は、タイヤの円周伸長方向に交差する配向の、及び/又はタイヤの円周伸長方向に実質的に平行な配向の織物又は金属補強コードを有する。
【0008】
「アンダーベルト」と呼ばれるエラストマー材料の層は、カーカス構造体とベルト構造体との間に設けることができ、その後のベルト構造体の貼付けのために、カーカス構造体の半径方向外側面を可能な限り均一にする機能を有する。
【0009】
ベルト構造体へのトレッドバンドの安定した結合を保証するのに適した特性を有するエラストマー材料でできた、いわゆる「下層」は、ベルト構造体とトレッドバンドとの間に置くことができる。
【0010】
それぞれがトレッドバンドの横縁部の1つからビード部のそれぞれの固定環状構造体まで延びるカーカス構造体の横面には、エラストマー材料からなるそれぞれのサイドウオールが付加される。
【0011】
「進行方向」という表現は、送り又は接着用のコンベアベルトの長手方向に平行な方向を示すために使用される。したがって、送り方向は、送り又は接着用の前述のコンベアベルトの進行方向に一致する。
【0012】
「低い」、「~の下」、「下側の」、又は「下側部」、及び「高い」、「~の上」、「上側の」、又は「上側部」という表現は、送り又は接着用の前述のコンベアベルトに対する相対位置を示すために使用される。
【0013】
「下流」又は「先頭」、及び「上流」又は「末尾」という表現は、前述の進行方向に関して使用される。したがって、例えば、進行方向が左から右と仮定すると、任意の1つの基準要素に対する「下流」又は「先頭」位置とは、前記基準要素の右の位置を示し、「上流」又は「末尾」位置とは、前記基準要素の左の位置を示す。
【0014】
「画像」又は同義語で「デジタル画像」とは、通常コンピュータファイルに含まれるデータセットを一般的に示し、データセットでは、(通常それぞれがピクセルに対応する)空間座標の有限セット(通常は2次元マトリクスである、すなわち、N行xM列である)の各座標(通常は2次元)は、(様々なタイプの大きさを表すことができる)対応する数値セットに対応付けられる。例えば、モノクロ画像(グレースケールを用いた画像など)では、そのような値セットは、(通常256個のレベル又は色調を有する)有限階調の単一値であり、そのような値は、例えば、表示した場合に、それぞれの空間座標の明度レベル(又は強度)を表し、一方、カラー画像では、値セットは、複数のカラー又はチャネル、通常は原色(例えば、RGBコードでは、レッド、グリーン、及びブルー、一方、CMYKコードでは、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラック)の明度レベルを表す。「画像」という用語は、必ずしも画像の実際の表示を含まない。
【0015】
本明細書及び特許請求の範囲では、特定の「デジタル画像」(例えば、騒音低減要素に対して最初に収集した2次元デジタル画像)の各指示対象には、より一般的に、前記特定のデジタル画像の1つ又は複数のデジタル処理(フィルタリング、イコライゼーション、「二値化」、モルフォロジー変換(「オープニング」など)、勾配計算、「スムージング」など)を通じて取得可能な任意の1つのデジタル画像が含まれる。
【0016】
本明細書及び特許請求の範囲では、各デジタル画像は、デジタル画像全体を構成する複数の画像単位、すなわち、自立的な多数の画像要素を含むとされ、そのような画像単位は、それぞれ1つ又は複数のピクセルによって構成することができる。各画像単位は、それぞれの面部分に対応し、面部分は、騒音低減要素に関して、例えば、平方ミリメートル当たりで測定される。
【0017】
国際公開第2016/067192号は、車両ホイール用のタイヤに騒音低減要素を貼り付けるプロセスを示しており、そのプロセスは、a)騒音低減要素を用意することと、b)接着剤を用意することと、c)前記騒音低減要素を所定の方向に従って案内することと、d)前記案内動作時に、前記接着剤を前記騒音低減要素の第1の面に塗布することと、e)前記接着剤が塗布された前記第1の面とは異なる前記騒音低減要素の少なくとも1つの第2の面と相互作用することで、前記騒音低減要素を取り扱うことと、f)前記騒音低減要素を前記タイヤの半径方向内側面の所定の位置に配置することとを含む。
【0018】
欧州特許出願公開第2554617A2号は、ノイズ低減要素を含むタイヤを作製する方法を開示している。方法は、接着剤で前処理された面を形成するために、タイヤのライナの内面にシリコンでできた接着剤を塗布するステップと、接着剤で前処理された面に固体発泡体騒音低減要素を貼り付けるステップと、接着剤を架橋させるステップとを含む。
【0019】
国際公開第2015/092659号は、タイヤを構築するプロセスで、半製品の製造及び送りを制御する方法及び装置を開示しており、前記方法は、半製品を示す少なくとも1つの第1の画像を検出し、前記第1の画像は、それぞれが、それぞれの明度値に対応付けられた複数の第1の部分からなることと、前記明度値用の第1の閾値を規定し、ゼロ明度値に対応する第1の値と、最大明度値に対応する第2の値との間で規定され、前記第1の値と前記第2の値との差の絶対値が範囲を画定する第1のリニアスケールを用意することで、前記第1の閾値は、前記第1の閾値と前記第1の値との間の差の絶対値が、前記第1のスケールの範囲の約5%~約20%の間に含まれるようなものとされることと、前記第1の部分の明度値と前記第1の閾値との間で第1の比較を行うことと、前記第1の比較に応じて、前記第1の閾値よりも小さい明度値に対応する第1の部分が前記第1の画像内で占める全領域を示す第1の処理パラメータを求めることと、前記第1の処理パラメータと第2の閾値との間で第2の比較を行うことと、前記第1の処理パラメータが前記第2の閾値よりも小さい、又は大きい場合に、第1の通知信号を生成することとを含む。国際公開第2015/092659号はまた、タイヤを構築するプロセスで半製品の製造及び送りを制御する装置について記載している。言い換えると、国際公開第2015/092659号は、半製品がリールから繰り出され、前述の半製品を一定の大きさに切断することで作製される要素半製品を構築するステーションに向かって移動する間、断面が扁平の連続した細長い要素といった形状を有する半製品に電磁放射を送出して、画像を検出することを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本出願人は、騒音低減要素に塗布される接着剤が、必ずしも常に均一の態様で分布するわけではなく、分布のそのような不均一性は、接着剤を欠いた、又は接着剤が不十分な、又は接着剤が騒音低減要素の固定面に最適に結合されない騒音低減要素の領域の存在を確定的なものにし得ると気付いた。
【0021】
本出願人は、騒音低減要素の一部の領域での接着剤の欠如又は不足、或いはタイヤへの騒音低減要素の不完全な接着が、そのような騒音低減要素のタイヤからの早期の部分的、又は全体的剥離を確実にし得ると気付いた。
【0022】
したがって、本出願人は、騒音低減要素のタイヤへの接着の適切な均一性を得ることの重要性を認識した。
【0023】
本出願人は、騒音低減要素を付けられるタイヤの製造プロセスにおいて、接着の品質を制御して、接着剤の適切な塗布を確実にするために、適切な検査が行われることが適切と考える。
【0024】
本出願人によれば、タイヤにすでに結合された騒音低減要素の塗布の不完全性の識別は実施が困難であり、その理由は、各騒音低減要素とタイヤとの面間の貼付境界がそれらの間に隠れるからである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本出願人は、このため、騒音低減要素をタイヤに貼り付ける前に、各騒音低減要素を制御することが必要であるので、むしろ、全タイヤ製造プロセス内に障害をもたらすことなく、制御自体の完全な再現性を可能にする手順を用いて、自動的に且つ確実にそのような制御を可能にすることが重要であると気付いた。
【0026】
したがって、本出願人は、電磁放射を使用することが、上記の要求を満たす最適な問題解決策であり得ると認識した。
【0027】
この場合に、本出願人は、特に、(タイヤとの固定面からなる)接着剤を付けられた各騒音低減要素の面の方向での電磁放射の少なくとも1つの放射源の使用と、そのような反射した電磁放射を受けるのに適した少なくとも1つの装置の使用とにより、半径方向内側面に前記騒音低減要素の少なくとも1つを含むタイプのタイヤに設定された製造サイクル時間で、正確であり、再現性があり、適合性のある自動制御が可能になると気付いた。
【0028】
特に、本出願人は、電磁放射を用いた照明システムを用意し、接着剤を付けられた各騒音低減要素上で電磁放射を検出することで、適切な接着を検証するために処理することができる画像を得ることが可能であることを発見した。そのような態様において、本出願人によれば、接着剤が正しく付けられていない騒音低減要素が、タイヤに貼り付けられるのを防止するのに適した予測制御モードを作動させることが可能である。
【0029】
特に、第1の態様によれば、本発明は、騒音低減要素をタイヤに貼り付けるプロセスに関し、各騒音低減要素は、接着剤層を被覆された固定面を含む。
【0030】
好ましくは、前記接着剤層を被覆された前記固定面を基準放射で照明することを提供する。
【0031】
好ましくは、基準放射で照明された固定面から発せられた放射線を検出することを提供する。
【0032】
好ましくは、前記発せられた放射線に応じて、前記接着剤層で被覆された固定面を示すデジタル画像を決定することを提供し、デジタル画像の各ピクセルは、前記各ピクセルに対応する前記固定面の領域に存在する接着剤の量を表すそれぞれの明度値に対応付けられる。
【0033】
好ましくは、明度値に応じて、固定面上の前記接着剤層の全体分布を表す少なくとも1つの第1のパラメータを計算することを提供する。
【0034】
好ましくは、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値と、固定面上の前記接着剤層の適切な分布を表す少なくとも1つの基準値との間で比較を行うことを提供する。
【0035】
好ましくは、前記比較に基づいて、1つ又は複数の騒音低減要素をタイヤの半径方向内側面に貼り付けるか、又は廃棄路に沿って送出するもとを提供する。
【0036】
本出願人は、そのような問題解決策によれば、製造廃棄物は、欠陥のある騒音低減要素だけに限定されて、タイヤ全体の廃棄を回避することができると考える。
【0037】
本出願人はまた、廃棄されない低減要素のタイヤへの接着は、こうして常に仕様に準じ、したがって、使用中に応力がかかっているにもかかわらず、使用する回転数が高い場合でさえ、タイヤ自体からの分離が回避されると考える。
【0038】
通常、基準放射で照明された固定面から発せられた前記放射線は反射放射線であるが、散乱放射線でもあり得るし、且つ/又は前述の基準放射の少なくとも一部が吸収された後に再放射され得る。
【0039】
第2の態様では、本発明は、騒音低減要素をタイヤに貼り付ける装置に関し、各騒音低減要素は、接着剤層を被覆された固定面を含む。
【0040】
好ましくは、前記固定面を基準放射で照明するように構成された照明装置が設けられる。
【0041】
好ましくは、基準放射で照明された固定面から発せられた放射線を検出するように構成された検出装置が設けられる。
【0042】
好ましくは、前記発せられた放射に応じて、前記検出装置は、前記接着剤層で被覆された固定面を示すデジタル画像を確定するように構成され、デジタル画像の各ピクセルは、前記各ピクセルに対応する前記固定面の領域に存在する接着剤の量を表すそれぞれの明度値に対応付けられる。
【0043】
好ましくは、明度値に応じて、固定面上の前記接着剤層の全体分布を表す少なくとも1つの第1のパラメータを計算するように構成された処理ユニットが設けられる。
【0044】
好ましくは、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値と、固定面上の前記接着剤層の適切な分布を表す少なくとも1つの基準値との間で比較を行うように構成された処理ユニットが設けられる。
【0045】
好ましくは、前記比較に基づいて、タイヤの半径方向内側面に1つ又は複数の騒音低減要素を貼り付ける貼付装置の動作を制御する、又は1つ又は複数の騒音低減要素の、廃棄路に沿った送出を制御するように構成された処理ユニットが設けられる。
【0046】
前述の態様の1つ又は複数において、本発明は、以下の好ましい特性の1つ又は複数を含むこともできる。
【0047】
好ましくは、前記照明の作業は、読取窓で行われることを提供する。
【0048】
好ましくは、騒音低減要素自体の固定面が、所定の進行方向に従って移動可能な第1の移送面に載った状態で、前記騒音低減要素を配置することを提供する。
【0049】
好ましくは、騒音低減要素を第1の移送面から、前進方向に従って第1の移送面に連続して移動可能な第2の移送面に移送させることを提供する。
【0050】
好ましくは、前記照明の作業は、前記移送の作業中に行われることを提供する。
【0051】
好ましくは、前記読取窓は、第1の移送面と第2の移送面との間に画定されると規定する。
【0052】
好ましくは、前記デジタル画像は、複数の画像単位を含み、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値を前記少なくとも1つの基準値と比較する作業は、各画像単位毎に行われることを提供する。
【0053】
好ましくは、前記デジタル画像は、複数の画像単位を含み、前記比較は、容認閾値に応じて行われることを提供する。
【0054】
好ましくは、前記容認閾値は、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値が、前記少なくとも1つの基準値に適合しない画像単位の所定の数量によって規定される絶対的容認パラメータを含む。
【0055】
好ましくは、前記容認閾値は、前記デジタル画像の画像単位の全数に対する、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値が、前記少なくとも1つの基準値に適合しない画像単位の所定の割合によって規定される相対的容認パラメータを含む。
【0056】
好ましくは、前記容認閾値は、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値が、前記少なくとも1つの基準値に適合しない画像単位であって、隣接する画像単位の所定の量によって規定される集合的容認パラメータを含む。
【0057】
好ましくは、デジタル画像を決定する作業は、各騒音低減要素の移送中に、固定面の一部分をそれぞれが示す複数のフレームを生成することで行われる。
【0058】
好ましくは、デジタル画像を決定する作業は、読取窓の進行方向の長手寸法に対する、進行方向に沿った騒音低減要素の移送速度の比率に応じて規定される頻度で繰り返される。
【0059】
好ましくは、前記読取窓に隣接して配置され、基準放射で照明された場合に、バックグラウンド放射線を発するスクリーンが設けられ、バックグラウンド放射線を収集したものは、固定面が発する放射線に対して区別可能である。
【0060】
好ましくは、前記スクリーンが発したバックグラウンド放射線を固定面が発した放射線と共に検出して、前記デジタル画像において、固定面を示す第1の部分とスクリーンを示す第2の部分とを区別することを提供する。
【0061】
好ましくは、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値が、前記少なくとも1つの基準値に適合しない画像単位の量を検出する際に、スクリーンを示す第2の部分の画像単位を除外する作業を行う。
【0062】
好ましくは、騒音低減要素の前縁部と読取窓の後縁部との間のアライメントを検出することを提供する。
【0063】
好ましくは、検出したアライメントに応じて、デジタル画像を決定する前記作業を騒音低減要素の移送と同期させることを提供する。
【0064】
好ましくは、前記照明装置は、読取窓において機能する。
【0065】
好ましくは、連続して配置された少なくとも1つの第1の移送面及び1つの第2の移送面が設けられる。
【0066】
好ましくは、それぞれ騒音低減要素自体の固定面が前記第1の移送面に載った状態で、前記騒音低減要素を順次連続して配置するように構成された配置グループが設けられる。
【0067】
好ましくは、進行方向に従って、各騒音低減要素を第1の移送面から第2の移送面に移送させるように構成された移動装置が設けられる。
【0068】
好ましくは、前記照明装置は、読取窓において、前記第1の移送面及び第2の移送面に対して下にある位置から前記固定面を照明するように構成される。
【0069】
好ましくは、進行方向において、読取窓は、各騒音低減要素の長手寸法よりも短い長手寸法を有する。
【0070】
好ましくは、前記検出装置は、それぞれ固定面の一部分を示す複数のフレームを生成して、移動装置による各騒音低減要素の移送時に、前記デジタル画像を決定するように構成される。
【0071】
好ましくは、スクリーンは、読取窓に隣接して設けられ、そのようなスクリーンは、基準放射が到達したときに、固定面が発した放射線の検出とは区別可能なバックグラウンド放射線を発するように構成される。
【0072】
好ましくは、読取窓は、前記スクリーンと前記照明装置との間に置かれる。
【0073】
好ましくは、前記スクリーンは、読取窓を通り抜けた基準放射を受けるように構成される。
【0074】
好ましくは、前記スクリーンは、基準放射で照明されたときに、固定面が発した放射線の検出とは区別可能なバックグラウンド放射線を発するように構成される。
【0075】
好ましくは、前記処理ユニットは、前記少なくとも1つの第1のパラメータの値が、前記少なくとも1つの基準値に適合しない画像単位の量を検出する際に、スクリーンを示す部分の画像単位を除外するように構成される。
【0076】
好ましくは、基準放射は、約850nm~約1050nmの波長を有する赤外線である。
【0077】
さらなる特徴及び利点が、本発明の好ましく、非排他的な実施形態についての詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0078】
そのような説明は、同封図面に関連して下記に提示され、また、単に例示目的であり、したがって、限定目的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1】本発明による装置が組み込まれた、タイヤを製造するプラントの一部を概略的に示している。
図2図1の装置の一部の細部を側面図で概略的に示している。
図3】上から見た図2の細部を概略的に示している。
図4】本発明による装置及び方法で使用される例示的画像を概略的に示している。
図5】騒音低減要素を設けられたタイヤを破断斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0080】
同封図面を参照すると、参照番号1は、騒音低減要素を車両ホイール用のタイヤに貼り付ける装置を全体として示している。
【0081】
装置は、騒音低減要素100を貼り付けるために使用される。
【0082】
特に、図1に示すように、騒音低減要素100は、接着剤層50aで被覆された固定面101を有する平行六面体の形態のブロックを含む。
【0083】
騒音低減要素100は、スポンジ材料でできており、ポリウレタン発泡体でできているのが好ましい。
【0084】
固定面101に接着剤層50aがあることで、接着剤層50aのない残りの面とは異なる光学特性(例えば、反射性及び/又は屈折性)が固定面101に付与される。
【0085】
装置1は、配置グループ2を含み、騒音低減要素100は、適切なタンク(tank)から、又は別の供給ユニットから取り出されて、下記により適切に説明するように、配置グループ2を通じて、前記接着剤層50aを固定面101に受け入れ、それぞれ騒音低減要素100自体の固定面101が第1の移送面10に載った状態で順次連続して運ばれる。
【0086】
好ましくは、固定面101及び第1の移送面10は、それぞれ下向き及び上向きに向けられる。
【0087】
好ましい実施形態では、第1の移送面10は、第1のコンベアベルト110の上側セクション上に画定される。
【0088】
装置1はまた、第1の移送面10に連続し、好ましくは、第1の移送面と同一平面上で整列する少なくとも1つの第2の移送面20を含む。
【0089】
第2の移送面20は、第1のコンベアベルト110に対して連続し、好ましくは、整列する第2のコンベアベルト120の上側セクション上に画定されるのが好ましい。
【0090】
第1の移送面10及び第2の移送面20は、所定の進行方向Aに従って、好ましくは同じ所定の直線速度で移動可能である。
【0091】
第1のコンベアベルト110及び第2のコンベアベルト120からなるアセンブリは、各騒音低減要素100を進行方向Aに従って、第1の移送面10から第2の移送面20に移送するように構成された移動装置を画定する。
【0092】
図示した例では、配置グループ2は、第1のコンベアベルト110より上流に位置する接着ベルト140によって制御される供給ベルト130に割り当てられたロボットアーム40を含む。
【0093】
例えば、高架タイプのロボットアーム40は、騒音低減要素100を供給ベルト130に載せるために、騒音低減要素100を連続的に取り上げるのに適した把持部材42を担持する。供給ベルト130は、騒音低減要素100を接着ベルト140に移送する。接着剤被覆50aが配置された、連続するストリップ状の支持体50は、供給リール51から取り出され、接着ベルト140の上面を通過すると収集リール52に巻き付けられる。したがって、接着ベルト140に移送された各騒音低減要素100は、接着ベルト140自体の上面で、連続するストリップ状支持体50から剥がれたそれぞれの接着剤層50aを受け取る。加圧要素60は、接着ベルト140の方向で騒音低減要素100に作用する加圧動作により、接着剤50aの転移を容易にするために使用することができる。
【0094】
接着ベルト140と第1のコンベアベルト110との間を、選択的に移動可能な切断要素70は、接着剤50aを切断し、第1のコンベアベルト110に向かって通過する騒音低減要素100どうしの分離を容易にするように構成することができる。
【0095】
特に図1~3を参照すると、装置1は、好ましくは、第1の移送面10と第2の移送面20との間に画定される読取窓30を含む。
【0096】
図3を参照すると、進行方向Aにおいて、読取窓30は、前縁部30aと後縁部30bとの間に範囲を定められた長手寸法D1を有する。前縁部30a及び後縁部30bは、それぞれ第1のコンベアベルト110及び第2のコンベアベルト120の互いに対向する端部によって画定することができる。
【0097】
好ましくは、長手寸法D1は、各騒音低減要素100の長手寸法D2よりも短い。
【0098】
本発明の一実施形態では、読取窓は、約30mm~約50mmの、好ましくは約40mmの長手寸法D1を有し、騒音低減要素100の長手寸法D2は、約40mm~約250mmである。
【0099】
読取窓30によって範囲を定められる、制御される領域サイズは、騒音低減要素100による窓30の占有に応じて変わる。
【0100】
より詳細には、領域を限定される読取窓30は、一定の長手寸法D1と、特定の作業バッチに属する騒音低減要素100が示す幅によって変わる騒音低減要素100の横寸法D3とに応じて変わる。
【0101】
装置1は、読取窓30を通じて機能し、第1の移送面10から第2の移送面20に移動する各騒音低減要素100の固定面101を基準放射R1で照明するように構成された少なくとも1つの照明装置80を含む。
【0102】
第1の移送面10から第2の移送面20への移送時に、読取窓30を通じて、接着剤層50aで被覆された固定面101を基準放射R1で照明することが提供される。
【0103】
一実施形態では、照明装置80は、読取窓30を通じて、第1の移送面10及び第2の移送面20に対して下にある位置から固定面101を照明するように構成されている。
【0104】
好ましくは、照明装置80は、赤外線放射を有する少なくとも1つのランプを含む。
【0105】
好ましくは、基準放射は、約850nm~約1050nmの波長を有する赤外線である。
【0106】
騒音低減要素100への接着剤層の被覆は、固定面の光学特性の変化を伴うので、固定面101の照明に続いて騒音低減要素100が発した放射線を検出することで、接着剤層が適切に塗布されたかどうかを判断することが可能である。
【0107】
特に図2を参照すると、装置1は、基準放射R1で照明された固定面101が発した放射線R2を検出するように構成された検出装置90を含む。
【0108】
特に図4を参照すると、検出装置90はまた、発せられた放射線R2に応じて、デジタル画像ImDを確定するように構成され、デジタル画像ImDは、接着剤層50aで被覆された固定面101を示し、デジタル画像ImDの各ピクセルは、前記各ピクセルに対応する前記固定面の領域に存在する接着剤の量を表すそれぞれの明度値に対応付けられる。
【0109】
好ましくは、デジタル画像ImDは、それぞれ、好ましくは平方ミリメートル当たりで測定した、固定面101の領域に対応する1つ又は複数のピクセルを示す複数の画像単位Uiを含む。
【0110】
特に図3を参照すると、検出装置90は、騒音低減要素100の前縁部100aと読取窓30の後縁部30bとの間のアライメントを検出するように構成されている。
【0111】
検出装置90はまた、前記アライメントに応じて、デジタル画像ImDの決定と、騒音低減要素100の移送とを同期させるように構成されている。
【0112】
より詳細には、特に図3を参照して、検出装置90は、移動装置による各騒音低減要素100の移送時にデジタル画像ImDを決定し、それぞれ固定面101の一部分を示す複数のフレームFi(図4ではF1、F2、F3、及びF4)を生成するように構成されている。
【0113】
好ましくは、デジタル画像ImDの画像単位Uiの総数Ntotが、単一フレームFi内の固定面101を示す画像単位Uiの合計に一致する。
【0114】
検出装置90は、騒音低減要素100の長手寸法D2に応じて、各騒音低減要素100に対して生成するフレームFiの数量を前もって定めるように構成されている。
【0115】
特に、各騒音低減要素100に対して生成するフレームFiの数量は、次の整数に切り上げられた、読取窓30の進行方向Aの長手寸法D1に対する騒音低減要素100の長手寸法D2の比率に対応する。
【0116】
検出装置90はまた、読取窓30の進行方向Aの長手寸法D1に対する、移動装置の動作時に騒音低減要素100に課される進行方向Aに沿った移送速度V1の比率に応じて規定される頻度fで、デジタル画像ImDを決定するように構成されている。
【0117】
検出装置90は、基準放射R1で照明された固定面101が発した放射線R2を検出した後、前記発せられた放射線R2に応じて、前記接着剤層50aで被覆された固定面101を示す前記デジタル画像ImDを決定する。
【0118】
発せられた放射線R2は、固定面101上に分布する接着剤層50aの実際の接着性に応じて変わる。
【0119】
処理ユニット200(図1及び図2)は、明度値に応じて、固定面101上の前記接着剤層50aの全体分布を表す少なくとも1つの第1のパラメータPを計算するように構成されている。次に、処理ユニット200は、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPと、固定面101上の前記接着剤層50aの適切な分布を表す少なくとも1つの基準値Vrifとの間で比較を行う。
【0120】
こうして、各ピクセル又は画像単位Ui毎に行われる、前記少なくとも1つのパラメータPの値VPと、少なくとも1つの基準値Vrifとの間の比較は、接着剤層50aが適切に接着されていない固定面101の領域の存在を明確にすることを可能にする。
【0121】
特に図1を参照して、処理ユニット200はまた、前記タイヤ500の半径方向内側面に1つ又は複数の騒音低減要素100を貼り付けるために、前記比較に基づいて、読取窓30より下流で動作する貼付装置180の動作を制御するように構成されている。
【0122】
貼付装置180は、構造上ロボットアーム40と同様とすることができ、騒音低減要素100のデジタル画像ImDにおいて、容認閾値Thに応じた、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPと少なくとも1つの基準値Vrifとの間の比較が肯定である、すなわち、接着剤層50aが、固定面101上に適切に分布している場合に騒音低減要素100を選択的に貼り付ける。
【0123】
前記容認閾値Thに応じた、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPと少なくとも1つの基準値Vrifとの間の比較が否定である場合に、すなわち、接着剤層50aが不足している、又は固定面101上に適切に分布していない場合に、処理ユニット200は、読取窓30より下流で、廃棄路に沿った騒音低減要素100の送出を制御するように構成されている。
【0124】
図示した例では、廃棄路は、収集容器300に至り、そのような場合に、騒音低減要素100は、貼付装置180によって取り上げられることなく、第2のコンベアベルト120の末端部を越えて進む。
【0125】
前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPと少なくとも1つの基準値Vrifとの間の比較は、画像の各ピクセル又は単位Ui毎に実施される。
【0126】
第1の実施形態では、容認閾値Thは、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPが前記少なくとも1つの基準値Vrifに適合しない画像単位Uiの所定の数量N1によって規定される、絶対的容認パラメータTh1を含む。
【0127】
絶対的容認パラメータTh1は、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPが各単一フレームFi内で、又は代替としてデジタル画像ImDを構成するフレーム全体内で前記少なくとも1つの基準値Vrifに適合しない画像単位Uiの合計に対応すると規定することができる。
【0128】
第2の実施形態では、容認閾値Thは、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPが前記少なくとも1つの基準値Vrifに適合しない画像単位Uiの、前記デジタル画像ImDの画像単位Uiの総数N_totに対する所定の割合P1によって規定される、相対的容認パラメータTh2を含む。
【0129】
相対的容認パラメータTh2は、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPが各単一フレームFi内で、前記少なくとも1つの基準値Vrifに適合しない画像単位Uiの合計の、デジタル画像ImDの画像単位Uiの総数N totに対する割合に対応すると規定することができる。
【0130】
第3の実施形態では、容認閾値Thは、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPが前記少なくとも1つの基準値Vrifに適合しない画像単位Uiであって、隣接する画像単位Uiの所定の量Q1によって規定される、集合的容認パラメータTh3を含む。
【0131】
好ましくは、隣接する画像単位Uiの、第3の容認閾値Th3を規定する所定の量Q1は、第1の容認閾値Th1を規定する画像単位Uiの所定の数量N1よりも小さい。
【0132】
言い換えると、より少ないが集中する検出欠陥数は、より厳しい容認閾値として参照できると言える。
【0133】
集合的容認パラメータTh3は、2つ以上のそれぞれ連続するフレーム内で、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPが前記少なくとも1つの基準値Vrifに適合しない画像単位Uiであって、隣接する画像単位Uiの合計に対応すると規定することができる。
【0134】
特に、図1及び図2を参照すると、装置は、読取窓30に隣接するスクリーン111を含む。
【0135】
特に、読取窓30は、スクリーン111と照明装置80との間に置かれるのが好ましい。
【0136】
スクリーン111は、読取窓30を通り抜けた基準放射R1を受けるように構成されている。
【0137】
スクリーン111に基準放射R1が到達したときに、スクリーン111は、バックグラウンド放射線R3を発し、バックグラウンド放射線R3を収集したものは、固定面101が発した放射線R2と区別することができる。
【0138】
特に図4を参照すると、検出装置90は、スクリーン111が発したバックグラウンド放射線R3を固定面101が発した放射線R2と共に検出し、デジタル画像ImDにおいて、固定面101を示す第1の部分A1と、スクリーン111を示す第2の部分A2とを区別するように構成されている。
【0139】
特に図4を参照すると、処理ユニット200は、前記少なくとも1つの第1のパラメータPの値VPが前記少なくとも1つの基準値Vrifに適合しない画像単位Uiの量を検出する際に、スクリーン111を示す第2の部分A2の画像単位Uiを除外するように構成されている。
【0140】
本発明によるプロセスの一実施形態では、以下のことが考慮された。
-ピクセル明度値は、騒音低減要素上に接着剤が完全にない場合に0であり、接着剤が十分に存在する場合に50~255であること(すなわち、Vrif≧50)。
-騒音低減要素の固定面のうちの接着剤が適切に分布していない部分に対応する、すなわち、固定面の対応するピクセルが50未満の明度値を有するような部分に対応する領域は100mm(騒音低減要素自体の容認性に対する閾値(閾値Th))未満であること。
【0141】
前述の実施形態によれば、寸法が120mm×220mmであり、接着剤層50aが塗布されたそれ自体の固定面101を有する騒音低減要素100を進行方向Aに従って第1の移送面10から第2の移送面20に移送した。
【0142】
約900nmの波長を有する放射線R1で照明し、説明したプロセスに従って得たデジタル画像ImDは、固定面で特定された、接着剤の分布が少ない、又はない、すなわち、対応するピクセルの明度値(Vrifと比較する度に第1のパラメータPを生成する)が50未満である、それぞれ約49.7mm及び約29.7mmの2つの面部分、全体で79.4mmの対応する面部分を示した。
【0143】
したがって、騒音低減要素は許容範囲にあるとみなされ、タイヤの内部に貼り付けられた。
図1
図2
図3
図4
図5