IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セブン キング エナージー カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7100120一体型全固体二次電池{Integral All-Solid State Rechargeable Batteries}
<>
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図1
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図2
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図3
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図4
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図5
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図6
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図7
  • 特許-一体型全固体二次電池{Integral  All-Solid  State  Rechargeable  Batteries} 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】一体型全固体二次電池{Integral All-Solid State Rechargeable Batteries}
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20220705BHJP
   H01M 10/056 20100101ALI20220705BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20220705BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20220705BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20220705BHJP
   H01M 10/054 20100101ALI20220705BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/056
H01M10/0562
H01M10/0565
H01M10/052
H01M10/054
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020517457
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 KR2018011347
(87)【国際公開番号】W WO2019066445
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2017-0125974
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518335975
【氏名又は名称】セブン キング エナージー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEVEN KING ENERGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】(Cheongju university, Naedeok-dong)Miraechangjogwan 50-502ho, 298, Daeseong-ro Cheongwon-gu, Cheongju-si Chungcheongbuk-do 28503 REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】特許業務法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジョンウ
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ジウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョル,ヒョンジ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジェグワン
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0076246(KR,A)
【文献】国際公開第2012/077197(WO,A1)
【文献】特開平11-144767(JP,A)
【文献】特表2009-529762(JP,A)
【文献】特開2016-184496(JP,A)
【文献】特開2016-219411(JP,A)
【文献】特開2013-062228(JP,A)
【文献】特開2017-054792(JP,A)
【文献】特開2016-018606(JP,A)
【文献】特開2016-201310(JP,A)
【文献】特開2016-040767(JP,A)
【文献】特開2016-219130(JP,A)
【文献】特開2016-100077(JP,A)
【文献】特表2002-543554(JP,A)
【文献】特表2010-537387(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0092264(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0056489(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2015-0037397(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01M 10/054
H01M 4/13-4/139
H01M 50/409-50/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性セラミックス物質と、高分子と、溶媒とを含む混合スラリーを電極のうちいずれか一側に塗布する工程と、
乾燥することで前記混合スラリー中の前記溶媒を除去し、前記導電性セラミックス物質と、前記高分子とを含む複合フィルムを形成する工程と、
形成した前記複合フィルムに非水性有機溶媒にリチウム塩またはナトリウム塩を溶解させた液体電解質を吸収させて非水性有機溶媒液体電解質を含む複合フィルムを形成する工程と、
前記非水性有機溶媒液体電解質を含む前記複合フィルムに対して反対の電極を覆う工程と
を備える、一体型全固体二次電池を作製する方法であって、
前記混合スラリー中の前記導電性セラミックス物質の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、60重量%乃至99重量%であり、
前記混合スラリー中の前記高分子の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、1重量%乃至40重量%であり、
前記複合フィルムに吸収される前記非水性有機溶媒液体電解質の量は、前記複合フィルム100重量部に対して1重量部乃至40重量部である、方法。
【請求項2】
導電性セラミックス物質と、高分子と、溶媒とを含む第1の混合スラリーを電極のうちいずれか一側に塗布する工程と、
乾燥することで前記第1の混合スラリー中の前記溶媒を除去し、前記導電性セラミックス物質と、前記高分子とを含む第1の複合フィルムを形成する工程と、
導電性セラミックス物質と、高分子と、溶媒とを含、前記第1の混合スラリーとは含まれる材料の少なくとも1つ以上が異なる第2の混合スラリーを前記第1の複合フィルム上に塗布する工程と、
乾燥することで前記第2の混合スラリー中の前記溶媒を除去することにより、前記第1の複合フィルムの上に、第2の複合フィルムが積層された多層複合フィルムを形成工程と、
形成した前記多層複合フィルムに非水性有機溶媒にリチウム塩またはナトリウム塩を溶解させた液体電解質を吸収させて非水性有機溶媒液体電解質を含む多層複合フィルムを形成する工程と、
前記非水性有機溶媒液体電解質を含む前記多層複合フィルムに対して反対の電極を覆う工程と
を備える、一体型全固体二次電池を作製する方法であって、
前記第1の混合スラリーおよび前記第2の混合スラリー中の前記導電性セラミックス物質の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、60重量%乃至99重量%であり、
前記第1の混合スラリーおよび前記第2の混合スラリー中の前記高分子の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、1重量%乃至40重量%であり、
前記多層複合フィルムに吸収される前記非水性有機溶媒液体電解質の量は、前記多層複合フィルム100重量部に対して1重量部乃至40重量部である、方法。
【請求項3】
導電性セラミックス物質と、高分子と、溶媒とを含む第1の混合スラリーを陽極に塗布する工程と、
乾燥することで前記第1の混合スラリー中の前記溶媒を除去し、前記導電性セラミックス物質と、前記高分子とを含む第1の複合フィルムを形成する工程と、
形成された前記第1の複合フィルムに非水性有機溶媒にリチウム塩またはナトリウム塩を溶解させた非水性有機溶媒液体電解質を吸収させて前記陽極と第1の固体電解質が一体化された陽極ユニットを作製する工程と、
導電性セラミックス物質と、高分子と、溶媒とを含、前記第1の混合スラリーとは含まれる材料の少なくとも1つ以上が異なる第2の混合スラリーを陰極に塗布する工程と、
乾燥することで前記第2の混合スラリー中の前記溶媒を除去し、前記導電性セラミックス物質と、前記高分子とを含む第2の複合フィルムを形成する工程と、
形成された前記第2の複合フィルムに非水性有機溶媒にリチウム塩またはナトリウム塩を溶解させた非水性有機溶媒液体電解質を吸収させて前記陰極と第2の固体電解質が一体化された陰極ユニットを作製する工程と、
前記陽極ユニットと前記陰極ユニットとを付ける工程と
を備える、一体型全固体二次電池を作製する方法であって、
前記陰極ユニットの作製は、前記陽極ユニットの作製と同時にまたは連続して行われ、
前記第1の混合スラリー中の前記導電性セラミックス物質の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、60重量%乃至99重量%であり、
前記第1の混合スラリー中の前記高分子の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、1重量%乃至40重量%であり、
前記第1の複合フィルムに吸収される前記非水性有機溶媒液体電解質の量は、前記第1の複合フィルム100重量部に対して1重量部乃至40重量部であり、
前記第2の混合スラリー中の前記導電性セラミックス物質の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、60重量%乃至99重量%であり、
前記第2の混合スラリー中の前記高分子の量は、前記導電性セラミックス物質と前記高分子の合計を100重量%としたとき、1重量%乃至40重量%であり、
前記第2の複合フィルムに吸収される前記非水性有機溶媒液体電解質の量は、前記第2の複合フィルム100重量部に対して1重量部乃至40重量部である、方法。
【請求項4】
前記多層複合フィルムが前記第1の複合フィルムと前記第2の複合フィルムとは含まれる材料の少なくとも1つ以上が異なる第3の複合フィルムをさらに含むものであり、
前記第3の複合フィルムは、導電性セラミックス物質と、高分子とを含む、請求項2に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項5】
前記陽極ユニットと前記陰極ユニットのいずれか一つまたは両方が前記第1の複合フィルムと前記第2の複合フィルムとは含まれる材料の少なくとも1つ以上が異なる第3の複合フィルムをさらに含むものであり、
前記第3の複合フィルムは、導電性セラミックス物質と、高分子とを含む、請求項3に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項6】
前記混合スラリーに使用される前記溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)系またはその誘導体、アセトン系またはその誘導体、アルコール系またはその誘導体、メタノール系またはその誘導体、ジメチルアセトアミド(DMAc)系またはその誘導体、テトラヒドロフラン(THF)系またはその誘導体、ジメチルホルムアミド(DMF)系またはその誘導体、蒸留水、またはこれらの混合物である、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項7】
前記非水性有機溶媒は、炭酸系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、非プロトン性溶媒、またはこれらの組み合わせである、請求項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項8】
前記リチウム塩は、LiClO、LiPF、CFSONLiSOCF(LiTFSI)、Li[N(SOF)](LiFSI)、Li[B(C](LiBOB)、LiAsF、リチウムフルオロスルホニル-トリフルオロメタンスルホニルイミド(LiFTFSI)またはこれらの組み合わせである、請求項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項9】
前記ナトリウム塩はNaClO、NaPF、NaPF、NaAsF、NaTFSI、Na[(CPF](NaFAP)、Na[B(C](NaBOB)、Na[N(SOF)](NaFSI)、NaBeti(NaN[SO)、またはこれらの組み合わせである、請求項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項10】
前記導電性セラミックス物質は、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、リチウムリン酸系、アモルファスイオン伝導度の物質、ナシコン(NASICON)、ナトリウム硫化物系、またはナトリウム酸化物系である、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項11】
前記リチウム酸化物系の前記導電性セラミックス物質は、Li-Al、Li-β-Al、Li-TiO、Li-BaTiO、Li-SiO、(La、Li)TiO(LLTO)((La、Li)=La、またはLi)、LiLaTa12、LiLaCaTa12、LiSiOLiBO2.50.5、LiSiAlO、LiLaANb12(A=CaまたはSr)、LiNdTeSbO12、LiLaZr12(LLZO)、LiLaTa12 たはLiSiAlOである、請求項10に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項12】
前記リチウム硫化物系の前記導電性セラミックス物質は、Li10GeP12、Li11、Li3.25Ge0.250.75(LGPS)、LiS-Si、LiS-Ga-GeS、LiS-Sb-GeS、LiS-P、LiS-P-LiSiO、またはLi3.25-Ge0.25-P0.75(Thio-LISICON)である、請求項10に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項13】
前記リチウムリン酸系の前記導電性セラミックス物質は、LAGP(Li1+xAlGe2-x(PO)(O<x<2)、LTAP(Li1+xTi2-xAl(PO)(0<x<2)、Li1+xTi2-xAlSi(PO3-y(0<x<2、0<y<3)、LiAlZr2-x(PO(0<x<2)、またはLiTiZr2-x(PO(0<x<2)である、請求項10に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項14】
前記アモルファスイオン伝導度の物質はリン系ガラス(phosphorous-based glass)、酸化物系ガラス(oxide-based glass)、または酸化物-硫化物系ガラス(oxide-sulfide based glass)である、請求項10に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項15】
前記ナトリウム酸化物系の前記導電性セラミックス物質は、NaZrSiPO12である、請求項10に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項16】
前記高分子は、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)系、またはその共重合体、ポリ[(フッ化ビニリデン-コ-トリフルオロエチレン]系またはその共重合体、ポリエチレングリコール(PEO)系またはその共重合体、ポリアクリロニトリル(PAN)系またはその共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)系またはその共重合体、ポリビニルクロライド系またはその共重合体、ポリビニルピロリドン(PVP)系またはその共重合体、ポリイミド(PI)系またはその共重合体、ポリエチレン(PE)系またはその共重合体、ポリウレタン(PU)系またはその共重合体、ポリプロピレン(PP)系またはその共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)系またはその共重合体、ポリ(エチレンイミン)(PEI)系またはその共重合体、ポリ(エチレンスルフィド)(PES)系またはその共重合体、ポリ(ビニルアセトテイト)(PVAc)系またはその共重合体、ポリ(エチレンサクシネート)(PESc)系またはその共重合体、ポリエステル系またはその共重合体、ポリアミン系またはその共重合体、ポリサルファイド系またはその共重合体、シロキサン(Siloxane)系またはその共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)系またはその共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)系またはその共重合体、またはこれらの誘導体、またはこれらの組み合わせである、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【請求項17】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の方法により作製された一体型全固体二次電池を圧着してパッキングする工程を備える、パッキングされた一体型全固体二次電池を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む混合スラリーを電極上に塗布し、溶媒を乾燥した後、液体電解質を吸収させて作った、電極と固体電解質が一体化された一体型全固体二次電池とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、電極、電解質、分離膜などの二次電池に必要なユニットをそれぞれ別々に製作した後、一つに積層して二次電池を作製した。全固体二次電池も、従来の方式と同様に、固相電解質を独立した工程で製作した後、電極と積層する方法で作製した。従来の方式は、電極と固体状電解質を別に製作した後、積層するため、電極と固体状電解質との間の界面抵抗が大きくなる問題点があった。したがって、電極と固体状電解質との間の界面抵抗を低減するために、高分子と導電性セラミックス物質を含むバッファ層のような追加のユニットと工程が必要であった。また、従来の固相電解質は、常温でイオン伝導度が低く、電極との界面抵抗が高く、電池の特性が低くなる問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来の全固体二次電池の製造工程上の問題点を解決して全固体二次電池の製造工程を簡素化するためのものである。本発明によれば、全固体二次電池の製造コストを低減することができる。本発明は、また、全固体二次電池の特性を向上させることができる。
【0004】
本発明は、また、従来の固体状電解質の問題を解決した新しい固体電解質を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来の二次電池は、電池の入るそれぞれのユニット(電極、電解質、分離膜など)を、それぞれ別々に製作した後、積層させて作った。全固体二次電池も、従来の工程とのように、固相電解質を独立した工程で製作した後、電極と積層して合体する方法で作った。これらの工程は複雑である。また、固体状電解質が空気中の水分にさらされる時間が長い。また、電極と固体状電解質を別に製作した後、機械的に積層するため、界面抵抗が大きくなる。だから界面抵抗を低減させるための追加的な工程が必要である。
【0006】
本発明は、導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む混合スラリーを電極上に塗布した後、溶媒を蒸発させることにより、全固体二次電池の制作工程を簡略化することができている。また、電解質の役割をする構成材料が空気中の水分にさらされる時間を減らすことによって、二次電池での副反応を減少させることができる。本発明は、上記溶媒を蒸発させたセラミックス物質と高分子を含む複合フィルムに液体電解質を吸収させて固相電解質を作る。本発明によれば、バッファ層の形成とのような追加の工程がなくても、電極と電解質との間の界面抵抗を効果的に減少させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、全固体二次電池の製造工程を簡素化してコストを削減することができている。本発明は、また、二次電池の界面抵抗などの特性を向上させることができている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一体型全固体二次電池の製造工程の概略図である。
図2図2は、陽極上に導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む混合スラリーを塗布し、乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む複合フィルムに液体電解質を吸収させて、陰極を覆って製作した一体型全固体二次電池の概略図である。
図3図3は、陽極上に導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含んでいる第1の混合スラリーを塗布し、乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む第1の複合フィルムに導電性セラミック物質、高分子、溶媒を含んでいる、上記第1の混合スラリーと異なる第2の混合スラリーを塗布し、乾燥して溶媒を除去することにより、第1の複合フィルムの上に、第2の複合フィルムが積層された多層複合フィルムを形成し、上記多層複合フィルムに液体電解質を吸収させ、陰極を覆って製作した一体型全固体二次電池の概略図である。
図4図4は、陽極上に導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含んでいる第1の混合スラリーを塗布し、乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む第1の複合フィルムに液体電解質を吸収させて陽極と第1の固体電解質が一体化された陽極ユニットを作成し、これと同時に、または順次導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含んでいる、上記第1の混合スラリーと異なる第2の混合スラリーを陰極に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む第2の複合フィルムに液体電解質を吸収させて陰極と第2の固体電解質が一体化された陰極ユニットを作成し、陽極ユニットと陰極ユニットを付けて作った一体型全固体二次電池の概略図である。
図5図5は、図2の方法で作製した一体型全固体二次電池の充放電曲線である。
図6図6は、図3の方法で作製した一体型全固体二次電池の充放電曲線である。
図7図7は、図4の方法で作製した一体型全固体二次電池の充放電曲線である。
図8図8は、図2の方法で作製した一体型全固体二次電池と図2と同じ材料を使用して、従来の方法で作製した全固体二次電池のセル抵抗を測定して比較したものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の具体的な形態は、以下の通りである。
【0010】
1.導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む混合スラリーを電極のうちいずれか一側に塗布して乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む複合フィルムに液体電解質を吸収させて、反対の電極を覆って一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0011】
2.導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む第1の混合スラリーを電極のうちいずれか一側に塗布して乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む第1の複合フィルムに導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む、上記第1の混合しスラリーと異なる第2の混合スラリーを塗布し、乾燥して溶媒を除去することにより、第1の複合フィルムの上に、第2の複合フィルムが積層された多層複合フィルムを形成し、上記多層複合フィルムに液体電解質を吸収させて、反対の電極を覆って一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0012】
3.導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む第1の混合スラリーを陽極に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む第1の複合フィルムに液体電解質を吸収させて陽極と第1の固体電解質が一体化された陽極ユニットを作成し、
この同時にまたは連続して導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む、上記第1の混合スラリーと異なる第2の混合スラリーを陰極に塗布し、乾燥して溶媒を除去し、溶媒を除去して形成した導電性セラミックス物質、高分子を含む第2の複合フィルムに液体電解質を吸収させて陰極と第2の固体電解質が一体化された陰極ユニットを作成し、
陽極ユニットと陰極ユニットを付けて一体型全高体二次電池を作製する方法。
【0013】
4.上記多層複合フィルムが第1の複合フィルムと第2の複合フィルムと異なる複合フィルムをさらに含むものである、請求項2に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0014】
5.上記陽極ユニットと陰極ユニットのいずれか一つまたは両方が第1の複合フィルムと第2の複合フィルムと異なる複合フィルムをさらに含むものである、請求項3に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0015】
6.上記混合スラリー中の導電性セラミックス物質の量は、上記導電性セラミックス物質と高分子の合計を100重量%としたとき、40重量%乃至99重量%である、第1項乃至第5項のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0016】
7.上記混合スラリー中の高分子の量は、上記導電性セラミックス物質と高分子の合計を100重量%としたとき、1重量%乃至60重量%である、第1項乃至第5項のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0017】
8.上記複合フィルムに吸収される液体電解質の量は、上記導電性セラミックス物質と高分子を含む複合フィルム100重量部に対して1重量部乃至40重量部である、第1項乃至第7項のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0018】
9.上記導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む混合スラリーに使用される溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)系またはその誘導体、アセトン系またはその誘導体、アルコール系またはその誘導体、メタノール系またはその誘導体、ジメチルアセトアミド(DMAc)系またはその誘導体、テトラヒドロフラン(THF)系またはその誘導体、ジメチルホルムアミド(DMF)系またはその誘導体、蒸留水、またはこれらの混合物である、第1項乃至第8項のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0019】
10.上記液体電解質は、非水性有機溶媒またはイオン性液体溶媒またはこれらの混合物にリチウム塩またはナトリウム塩を溶解させたものである、第1項乃至第9項のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0020】
11.上記非水性有機溶媒は、炭酸系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、非プロトン性溶媒、またはこれらの組み合わせである、第10項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0021】
12.上記イオン性液体溶媒は、イミダゾールリュム系(imidazolium)、ピリジニュム系(pyridinium)、ピロリジニュム系(pyrrolidinium)、スルホニュム系(sulfonium)、ピラゾールリュム系(pyrazolium)、アンモニウム系(ammonium)、モールポリニュム系(morpholinium)、ホスホニュム系(phosphonium)、ピペリデニュム系(piperidinium)またはこれらの組み合わせである、第10項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0022】
13.上記リチウム塩は、LiClO、LiPF、CFSONLiSOCF(LiTFSI)、Li[N(SOF)](LiFSI)、Li[B(C](LiBOB)、LiAsF、リチウムフルオロスルホニル-トリフルオロメタンスルホニルイミド(LiFTFSI)またはこれらの組み合わせである、第10項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0023】
14.上記ナトリウム塩はNaClO、NaPF、NaPF、NaAsF、NaTFSI、Na[(CPF](NaFAP)、Na[B(C](NaBOB)、Na[N(SOF)](NaFSI)、NaBeti(NaN[SO)、またはこれらの組み合わせである、第10項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0024】
15.上記導電性セラミックス物質は、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、リチウムリン酸系、アモルファスイオン伝導度の物質、ナシコン(NASICON)、ナトリウム硫化物系、またはナトリウム酸化物系である、第1項乃至第5項のうちいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0025】
16.上記リチウム酸化物系導電性セラミックス物質は、Li-Al、Li-β-Al、Li-TiO、Li-BaTiO、Li-SiO、(La、Li)TiO(LLTO)((La、Li)=La、またはLi)、LiLaTa12、LiLaCaTa12、LiSiOLiBO2.50.5、LiSiAlO、LiLaANb12(A=CaまたはSr)、LiNdTeSbO12、LiLaZr12(LLZO)、LiLaTa12、Al、またはLiSiAlOである、第15項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0026】
17.上記リチウム硫化物系導電性セラミックス物質は、Li10GeP12、Li11、Li3.25Ge0.250.75(LGPS)、LiS-Si、LiS-Ga-GeS、LiS-Sb-GeS、LiS-P、LiS-P-LiSiO、またはLi3.25-Ge0.25-P0.75(Thio-LISICON)である、第15項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0027】
18.上記リチウムリン酸系導電性セラミックス物質は、LAGP(Li1+xAlGe2-x(PO)(O<x<2)、LTAP(Li1+xTi2-xAl(PO)(0<x<2)、Li1+xTi2-xAlSi(PO3-y(0<x<2、0<y<3)、LiAlZr2-x(PO(0<x<2)、またはLiTiZr2-x(PO(0<x<2)である、第15項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0028】
19.上記アモルファスイオン伝導度物質はリン系ガラス(phosphorous-based glass)、酸化物系ガラス(oxide-based glass)、または酸化物-硫化物系ガラス(oxide-sulfide based glass)である、第15項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0029】
20.上記ナトリウム酸化物系導電性セラミックス物質は、NaZrSiPO12である、第15項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0030】
21.上記高分子は、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)系、またはその共重合体、ポリ[(フッ化ビニリデン-コ-トリフルオロエチレン]系またはその共重合体、ポリエチレングリコール(PEO)系またはその共重合体、ポリアクリロニトリル(PAN)系またはその共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)系またはその共重合体、ポリビニルクロライド系またはその共重合体、ポリビニルピロリドン(PVP)系またはその共重合体、ポリイミド(PI)系またはその共重合体、ポリエチレン(PE)系またはその共重合体、ポリウレタン(PU)系またはその共重合体、ポリプロピレン(PP)系またはその共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)系またはその共重合体、ポリ(エチレンイミン)(PEI)系またはその共重合体、ポリ(エチレンスルフィド)(PES)系またはその共重合体、ポリ(ビニルアセトテイト)(PVAc)系またはその共重合体、ポリ(エチレンサクシネート)(PESc)系またはその共重合体、ポリエステル系またはその共重合体、ポリアミン系またはその共重合体、ポリサルファイド系またはその共重合体、シロキサン(Siloxane)系またはその共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)系またはその共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)系またはその共重合体、またはこれらの誘導体、またはこれらの組み合わせである、第1項乃至第20項のいずれか一項に記載の一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0031】
22.第1項乃至第21項のいずれか一項の一体型全固体二次電池を圧着してパッキングしてパッキングされた一体型全固体二次電池を作製する方法。
【0032】
23.第1項乃至第22項のいずれか一項の方法により作製した一体型全固体二次電池。
【0033】
24.第1項乃至第23項のいずれか一項の方法により作製した一体型全固体二次電池を圧着してパッキングしたパッキングされた一体型全固体二次電池。
【0034】
25.陽極と陰極との間の固体電解質の厚さは20μm乃至150μmである、第23項に記載の一体型全固体二次電池。
【0035】
26.陽極と陰極との間の固体電解質の厚さは20μm乃至150μmである、第24項に記載の一体型全固体二次電池。
【0036】
本発明のいくつかのより詳細に説明する。
【0037】
上記導電性セラミックス物質と高分子の合計を100重量%としたとき、導電性セラミックス物質は、40重量%乃至99重量%であることがあり、高分子は、1重量%乃至60重量%であることができる。導電性セラミックス物質は、好ましくは60重量%乃至99重量%、より好ましくは70重量%乃至99重量%、より好ましくは80重量%乃至99重量%、より好ましくは90重量%乃至99重量%であることができる。導電性セラミックス物質は、60重量%乃至90重量%であることがより好ましく、70重量%乃至80重量%であることがさらに好ましい。高分子は、1重量%乃至40重量%、または1重量%乃至30重量%、または1重量%乃至20重量%、または1重量%乃至10重量%であることができる。高分子は、10重量%乃至40重量%であることがより好ましく、20重量%乃至30重量%であることがさらに好ましい。
【0038】
上記液体電解質は、導電性セラミックス物質と高分子を含む複合フィルム100重量部に対して1重量部乃至40重量部、好ましくは10乃至40重量部、より好ましくは10乃至30重量部、より好ましくは10乃至20重量部であることができる。
【0039】
上記導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む混合スラリーに使用される溶媒は、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)系またはその誘導体、アセトン系またはその誘導体、アルコール系またはその誘導体、メタノール系またはその誘導体、ジメチルアセトアミド(DMAc)系またはその誘導体、テトラヒドロフラン(THF)系またはその誘導体、ジメチルホルムアミド(DMF)系またはその誘導体、蒸留水、またはこれらの混合物であることができる。
【0040】
上記導電性セラミックス物質は、Li-Al、Li-β-Al、Li-TiO、Li-BaTiO、Li-SiO、(La、Li)TiO(LLTO)((La、Li)=La、またはLi)、LiLaTa12、LiLaCaTa12、LiSiOLiBO2.50.5、LiSiAlO、LiLaANb12(A=CaまたはSr)、LiNdTeSbO12、LiLaZr12(LLZO)、LiLaTa12、Al、LiSiAlOのように結晶構造に酸素を含むリチウム酸化物系、Li10GeP12、Li11、Li3.25Ge0.250.75(LGPS)、LiS-Si、LiS-Ga-GeS、LiS-Sb-GeS、LiS-P、LiS-P-LiSiO、Li3.25-Ge0.25-P0.75(Thio-LISICON)とのように結晶構造に硫黄を含むリチウム硫化物系、LAGP(Li1+xAlGe2-x(PO)(O<x<2、好ましくはO<x<1)、LTAP(Li1+xTi2-xAl(PO)(0<x<2、好ましくはO<x<1)、Li1+xTi2-xAlSi(PO3-y(0<x<2、0<y<3、好ましくはO<x<1、O<y<1)、LiAlZr2-x(PO(0<x<2、好ましくは、O<x<1)、LiTiZr2-x(PO(0<x<2、好ましくはO<x<1)とのように結晶構造にリンが含まれているリチウムリン酸系、リン系ガラス(phosphorous-based glass)、酸化物系ガラス(oxide-based glass)、酸化物-硫化物系ガラス(oxide-sulfide based glass)とのようにアモルファスイオン伝導度物質、ナシコン(NASICON)、ナトリウム硫化物系、またはNaZrSiPO12とのようにナトリウム酸化物系であることができる。
【0041】
上記高分子は、ポリビニリデンフルオライド(Polyvinylidene fluoride、PVdF)系、またはその共重合体、ポリ[(フッ化ビニリデン-コ-トリフルオロエチレン]系またはその共重合体、ポリエチレングリコール(PEO)系またはその共重合体、ポリアクリロニトリル(PAN)系またはその共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)系またはその共重合体、ポリビニルクロライド系またはその共重合体、ポリビニルピロリドン(PVP)系またはその共重合体、ポリイミド(PI)系またはその共重合体、ポリエチレン(PE)系またはその共重合体、ポリウレタン(PU)系またはその共重合体、ポリプロピレン(PP)系またはその共重合体、ポリ(プロピレンオキサイド)(PPO)系またはその共重合体、ポリ(エチレンイミン)(PEI)系またはその共重合体、ポリ(エチレンスルフィド)(PES)系またはその共重合体、ポリ(ビニルアセテート)(PVAc)系またはその共重合体、ポリ(エチレンサクシネート)(PESc)系またはその共重合体、ポリエステル系またはその共重合体、ポリアミン系またはその共重合体、ポリサルファイド系またはその共重合体、シロキサン(Siloxane)系またはその共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)系またはその共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)系またはその共重合体、またはこれらの誘導体であることができる。上記高分子は、前述の物質の混合物であることができた。
【0042】
上記液体電解質は、非水性有機溶媒またはイオン性液体溶媒またはこれらの混合物にリチウム塩またはナトリウム塩を溶解させたものであることがあるが、これに限定されるものではなく、当該技術分野で一般的に使用されるすべての種類の液体電解質を含むことができている。上記の非水性有機溶媒は、炭酸系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、非プロトン性溶媒、またはこれらの組み合わせであることができる。上記イオン性液体溶媒は、イミダゾールリュム系(imidazolium)、ピリジニュム系(pyridinium)、ピロリジニュム系(pyrrolidinium)、スルホニュム系(sulfonium)、ピラゾールリュム系(pyrazolium)、アンモニウム系(ammonium)、モールポリニュム系(morpholinium)、ホスホニュム系(phosphonium)、ピペリデニュム系(piperidinium)陽イオンの溶媒またはこれらの組み合わせであることができる。イオン性液体カチオンの構造は、次のとおりである。
【化1】
【0043】
上記液体電解質に使用されるリチウム塩はLiClO、LiPF、CFSONLiSOCF(LiTFSI)、Li[N(SOF)](LiFSI)、Li[B(C](LiBOB)、LiAsF、リチウムフルオロスルホニル-トリフルオロメタンスルホニルイミド(LiFTFSI)またはこれらの組み合わせであることができる。
【0044】
上記液体電解質に使用されるナトリウム塩はNaClO、NaPF、NaPF、NaAsF、NaTFSI、Na[(CPF](NaFAP)、Na[B(C](NaBOB)、Na[N(SOF)](NaFSI)、NaBeti(NaN[SO)、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0045】
上記全固体二次電池が多層の複合フィルムを含む場合、陽極に形成される複合フィルムは、比較的陽極での電気的安定性と特性が優れたものを使用して、陰極に形成される複合フィルムは、比較的陰極での電気的安定性と特性が優れたものを使用している。
【0046】
陽極に形成される複合フィルムは、イオン伝導度がよいセラミックス物質を使用することが良い。リチウム酸化物系、リチウムリン酸系、リチウム硫化物系などを使用することができる。イオン伝導度が優れたセラミックス物質を使用するほど、電気化学的特性が増加する。陽極に形成される複合フィルムは、伝導度が10-3S/cm以上であるセラミックス物質を使用することが望ましい。たとえばLTAP(Li1+xTi2-xAl(PO)(0<x<2)、LAGP(Li1+xAlGe2-x(PO)(0<x<2)、LLTO(Li3xLa2/3xTiO)((0<x<2/3)を使用することができている。このほか、LiS-P、LiO-SiO、LiLaZr12(LLZO)、Li-β-Al、Li3.25Ge0.250.75(LGPS)を陽極に形成される複合フィルムのセラミックス物質として使用することもできる。
【0047】
陰極に形成される複合フィルムは、Al、LiLaBaTa12、LLZO(LiLaZr12)とのようなガーネット(garnet)、LiX-Al(XはIまたはNであることができる)とのようなコムパジト(Composite)などのセラミックス物質を使用することができている。陰極に形成される複合フィルムに使用するセラミックス物質は、二次電池に使用された陰極の種類に応じて異なる。例えば、陰極にリチウムを使用すると、Ti、Si、S、Geがあるセラミックは、使用していないことが望ましい。陰極にグラファイト(炭素)やシリコン、ゲルマニウムを使用すると、Ti、Sがあるセラミックは、使用していないことが望ましい。この他にもβ-Al、LiO-SiO、Li3.25Ge0.250.75(LGPS)、LAGP(Li1+xAlGe2-X(PO)(0<x<2)を陰極に形成される複合フィルムのセラミックス物質として使用することができている。
【0048】
陽極に形成される複合フィルムに使用される高分子は、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)系、またはその共重合体、ポリ[(フッ化ビニリデン-コ-トリフルオロエチレン]系またはその共重合体、ポリエチレングリコール(PEO)系またはその共重合体、ポリアクリロニトリル(PAN)系またはその共重合体、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)系またはその共重合体、ポリビニルクロライド系またはその共重合体、ポリビニルピロリドン(PVP)系またはその共重合体、ポリイミド(PI)系またはその共重合体、ポリエチレン(PE)系またはその共重合体、ポリウレタン(PU)系またはその共重合体、ポリプロピレン(PP)系またはその共重合体、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)系またはその共重合体、ポリ(エチレンイミン)(PEI)系またはその共重合体、ポリ(エチレンスルフィド)(PES)系またはその共重合体、ポリ(ビニルアセトテイト)(PVAc)系またはその共重合体、ポリ(エチレンサクシネート)(PESc)系またはその共重合体、ポリエステル系またはその共重合体、ポリアミン系またはその共重合体、ポリサルファイド系またはその共重合体、シロキサン(Siloxane)系またはその共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)系またはその共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)系またはその共重合体、またはこれらの誘導体、またはこれらの組み合わせであることができる。
【0049】
充電電圧を4.4V以上にするときにはフルオライド(PVdF)系、またはその共重合体を使用することが望ましい。この他にも、ポリアクリロニトリル(PAN)系、またはその共重合体を陽極に形成される複合フィルムに使用される高分子として使用することが望ましい。
【0050】
陰極に形成される複合フィルムに使用される高分子は、陽極に形成される複合フィルムに使用された高分子を使用することができている。強度と電気化学的安定性に優れたポリアクリロニトリル(PAN)系、またはその共重合体、ポリウレタン(PU)系またはその共重合体を使用することが望ましい。この他にもスチレンブタジエンゴム(SBR)系またはその共重合体、カルボキシメチルセルロース(CMC)系またはその共重合体が陰極に形成される複合フィルムの高分子として使用することができる。
【0051】
陽極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)系またはその共重合体を使用して、セラミック物質としては、リチウムリン酸系、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、およびこれらの混合物の中から選択されたセラミック物質を使用して、陰極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)系またはその共重合体を使用して、セラミック物質としては、リチウムリン酸系セラミックス物質を使用して多層複合フィルムを製造することができある。
【0052】
陽極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)を使用し、セラミックス物質としては、LTAP(Li1+xTi2-xAl(PO)(0<x<2)、LLZO(LiLaZr12)、LiS-P、およびこれらの混合物の中から選択されたセラミックス物質を使用し、陰極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)を使用し、セラミックス物質としては、LAGP(Li1+xAlGe2-x(PO)(0<x<2)を使用して多層複合フィルムを製造することができる。
【0053】
陽極に形成される複合フィルムの高分子は、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)系またはその共重合体を使用し、セラミック物質としては、リチウムリン酸系、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、およびこれらの混合物の中から選択されたセラミック物質を使用し、陰極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)系またはその共重合体を使用し、セラミック物質としては、リチウム酸化物系セラミックス物質を使用して多層複合フィルムを製造することができある。
【0054】
陽極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、PVdF-TrFE(ポリビニリデンフルオライド-トリフルオロエチレン)、またはこれらの混合物を使用し、セラミックス物質としては、LTAP(Li1+xTi2-xAl(PO)(0<x<2)、LLTO((La、Li)TiO)、LiS-Pおよびこれらの混合物の中から選択されたセラミックス物質を使用し、陰極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)、PVdF-TrFE(ポリビニリデンフルオライド-トリフルオロエチレン)、またはこれらの混合物を使用し、セラミックス物質としては、Al、β-Al、LLZO(LiLaZr12)、及びこれらの混合物の中から選択されたセラミックス物質を使用して多層複合フィルムを製造することができる。
【0055】
陽極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系またはその共重合体を使用し、セラミック物質としては、リチウムリン酸系、リチウム酸化物系、リチウム硫化物系、およびこれらの混合物から選択されたセラミック物質を使用し、陰極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリアクリロニトリル(PAN)系またはその共重合体を使用し、セラミック物質としては、リチウム硫化物系セラミックを使用して多層複合フィルムを製造することができる。
【0056】
陽極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリアクリロニトリル(PAN)を使用し、セラミックス物質としては、LTAP(Li1+xTi2-xAl(PO)(0<x<2)、LLZO(LiLaZr12)、LiS-Pおよびこれらの混合物の中から選択されたセラミックス物質を使用し、陰極に形成される複合フィルムの高分子としては、ポリアクリロニトリル(PAN)を使用し、セラミック物質としては、LGPS(Li3.25Ge0.250.75)、LiO-SiOおよびこれらの混合物から選択されたセラミックス物質を使用して多層複合フィルムを製造することができる。
【0057】
上記全固体電解質でリチウムまたはナトリウムイオンは、次のような3つの経路を介して移動する。このうち(1)が主な移動経路である。
(1)接触しているセラミックを介して移動(ポンピング移動)
(2)液体電解質を介して移動
(3)セラミック物質と液体電解質を横切る移動
【0058】
具体的な実施例
本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。具体的な実施例は、本発明の例示として提示されるものだけで、これにより本発明が制限されるのはない。本発明の範囲は、後述する請求項により決まるだけである。
【0059】
本発明は、電極に導電性セラミックス物質、高分子、溶媒を含む混合スラリーを塗布し、溶媒を蒸発させて、液体電解質を吸収させた後、反対の電極を覆って、従来の方法より、もっと簡単に一体型全固体二次電池を製作する。
【0060】
液体電解質を吸収させる方法には、含浸、ドゥリピン、注ぎなどがあり、これに限定されるものではない。
【0061】
電極に混合スラリーを塗布する方法には、プリンティング法、ドクターブレード法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法などがある。
【0062】
75重量%以上の導電性セラミックス物質と25重量%以下の高分子を溶媒N-メチル-2-ピロリドン(NMP)に混合して混合スラリーを作る。このスラリーをプリンティング法、ドクターブレード法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法などで電極上に平らに塗布した後、乾燥させて溶媒を完全に除去する。溶媒が除去された複合フィルムに液体電解質を20重量%吸収させる。陽極としてLiNi0.6Co0.2Mn0.2を、陰極として黒鉛を使用して一体型全固体二次電池を作製する。
【0063】
図1は、本発明のある実施例に従った一体型全固体二次電池の製造工程の概略図である。
【0064】
図2は、陽極と全固体電解質が一体化されたユニットを作った後、陰極を覆って一体型全固体二次電池を作製する工程の概略図である。リチウム伝導性セラミックス物質Li1.3Al0.3Ge1.7(PO(LAGP)75重量%と高分子ポリビニリデンフルオライド(PVdF)25重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に混合して作った混合スラリーを陽極に塗布し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒を熱処理して蒸発させて、液体電解質EC/DMC(エチレンカーボネット/ジメチルカーボネート、1:1vol)中1MLiPFをLAGPとPVdFの複合フィルムに対して20重量%の量で吸収させる。その後、陰極を覆って一体型全固体二次電池を完成する。電極間の複合フィルムの厚さは30μmである。
【0065】
図3は、陽極と多層全固体電解質が一体化されたユニットを作った後、陰極を覆って一体型全固体二次電池を作製する工程の概略図である。リチウム伝導性セラミックス物質Li1.3Al0.3Ti1.7(PO(LATP)75重量%と高分子ポリビニリデンフルオライド(PVdF)25重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に混合して作った混合スラリーを陽極に塗布し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒を熱処理して蒸発させ、その上に再びリチウム導電性セラミックス物質Al75重量%と高分子ポリビニリデンフルオライド(PVdF)25重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に混合して作った混合スラリーを塗布した後、再度熱処理して溶媒N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒を熱処理して蒸発させて、液体電解質EC/DMC(エチレンカーボネット/ジメチルカーボネート、1:1vol)中1MLiPFをLTAPとPVdFの第1の複合フィルムとAlとPVdFの第2の複合フィルムが積層された多層複合フィルムに対して20重量%の量で吸収させる。その後、陰極を覆って一体型全固体二次電池を完成する。ここで使用される複合スラリの高分子と溶媒は、同じか異なることができるが、導電性セラミックス物質は、陽極には、陽極に適したもの、陰極には陰極に適したもののように異なるものを使用する。電極間二複合フィルムの厚さの合計は80μmである。
【0066】
図4は、陽極と全固体電解質が一体化されたユニットを作製し、陰極と全固体電解質が一体化されたユニットを作製し、この二つのユニットを付けて一体型全固体二次電池を作製する工程の概略図である。リチウム伝導性セラミックス物質Li1.3Al0.3Ti1.7(PO(LATP)75重量%と高分子ポリビニリデンフルオライド(PVdF)25重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に混合して作った混合スラリーを陽極に塗布し、乾燥して溶媒を完全に蒸発させる。リチウム伝導性セラミックス物質Al75重量%と高分子ポリビニリデンフルオライド(PVdF)25重量%をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に混合して作った混合スラリーを陰極に塗布し、乾燥して溶媒を完全に蒸発させる。陽極と陰極に付いているそれぞれの複合フィルムに液体電解質EC/DMC(エチレンカーボネット/ジメチルカーボネート、1:1vol)中1MLiPFをそれぞれの複合フィルムに対して20重量%の量で吸収させる。その後、陽極ユニットと陰極ユニットを付けて一体型全固体二次電池を完成する。ここで使用される複合スラリの高分子と溶媒は、同じか異なることができるが、導電性セラミックス物質は、陽極には、陽極に適したもの、陰極には陰極に適したもののように異なるものを使用する。電極間二複合フィルムの厚さの合計は80μmである。
【0067】
図5は、図2の方法で作製した一体型全固体二次電池の充放電曲線である。陽極としてLiNi0.6Co0.2Mn0.2を、陰極として黒鉛を使用した。130mAh/g以上の放電容量を継続的に維持している。
【0068】
図6は、図3の方法で作製した一体型全固体二次電池の充放電曲線である。陽極としてLiNi0.6Co0.2Mn0.2を、陰極として黒鉛を使用した。140mAh/g以上の放電容量を継続的に維持している。
【0069】
図7は、図4の方法で作製した一体型全固体二次電池の充放電曲線である。陽極としてLiNi0.6Co0.2Mn0.2を、陰極として黒鉛を使用した。140mAh/g以上の放電容量を継続的に維持している。
【0070】
図8は、図2の方法で作製した一体型全固体二次電池と陽極、陰極、固体状電解質を別個に作製した後、積層する従来の方法で作製した二次電池(使用した物質と含量、そして固体状電解質の厚さは、図2で製作した条件と同じ)のセル抵抗を測定した結果である。図8から分かるように、一体型全固体二次電池が従来の二次電池より、もっと低い抵抗を有する。
【0071】
本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、様々な他の形態で実施されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8