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特許7100126半導体デバイス、半導体チップ、及び半導体デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】半導体デバイス、半導体チップ、及び半導体デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20220705BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20220705BHJP
   H01L 29/423 20060101ALI20220705BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220705BHJP
   H01L 29/47 20060101ALI20220705BHJP
   H01L 29/872 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H01L29/80 L
H01L29/58 Z
H01L29/44 P
H01L29/48 D
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020524377
(86)(22)【出願日】2019-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 CN2019084222
(87)【国際公開番号】W WO2019206215
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】201810383833.9
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518335137
【氏名又は名称】ダイナックス セミコンダクター インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】DYNAX SEMICONDUCTOR,INC.
【住所又は居所原語表記】No.18,Chenfeng Road, Yushan Zhen Kunshan, Jiangsu 215300 China
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100209808
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 高志
(72)【発明者】
【氏名】ペイ,イ
(72)【発明者】
【氏名】カン,ゴチュン
(72)【発明者】
【氏名】サン,リンリン
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-039657(JP,A)
【文献】特開2006-156902(JP,A)
【文献】特開2017-085061(JP,A)
【文献】特開2017-188685(JP,A)
【文献】特開平11-087367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
H01L 29/41
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられる半導体層と、
前記半導体層の前記基板と反対側に設けられる複数のゲート電極、複数のドレーン電極、複数のソース電極と、を備え、半導体デバイスであって、
前記ゲート電極が前記ソース電極と前記ドレーン電極との間に位置付けられ、前記ゲート電極、ソース電極、ドレーン電極が前記半導体デバイスの活性領域に位置づけられており、
任意の2つの隣接するゲート電極の間には一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には、少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、各ゲート間距離のうち、最大のゲート間距離が、当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイスのゲート電極の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にあ
前記第1のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L)であり、前記最大のゲート間距離L max は、下記条件を満たし、
【数1】
前記各ゲート間距離のうち、最小のゲート間距離は、当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイスのゲート電極の総数とに基づいて決められた第2のプリセット範囲内にあり、当該第2のプリセット範囲は(L/(n-1) 、L/(n-1))であり、前記最小のゲート間距離L min は、下記条件を満たし、
【数2】
ここで、Lが当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離であり、nが当該半導体デバイスのゲート電極の総数であり、nが2より大きい整数であることを特徴とする半導体デバイス。
【請求項2】
前記最大のゲート間距離は、前記ソース電極の両側の隣接するゲート電極の間に位置付けられ、前記最小のゲート間距離は、前記ドレーン電極の両側の隣接するゲート電極の間に位置づけられる、
ことを特徴とする請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記最大のゲート間距離は、前記活性領域の中心位置に位置づけられており、その他のゲート間距離は、前記活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向に順次並んでおり、いずれも前記最小のゲート間距離である、
ことを特徴とする請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、前記ソース電極の両側の隣接するゲート電極の間の各距離は、第1の固定値または第1の変数で順次小さくなり、前記ドレーン電極の両側の隣接するゲート電極の間の各距離は、第2の固定値または第2の変数で順次小さくなる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
複数の前記ゲート電極は、当該半導体デバイスの不活性領域にあるゲート電極パッドにより相互接続され、複数の前記ドレーン電極は、当該不活性領域にあるドレーン電極パッドにより相互接続され、複数の前記ソース電極はそれぞれ、前記基板と前記半導体層を貫通する複数のビアを通じて前記基板の前記半導体層と反対側にあるグランド電極と接続される、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記各ゲート間距離に含まれる少なくとも2つのゲート間距離は前記最大のゲート間距離である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記最大のゲート間距離は前記活性領域の中心位置に位置づけられており、且つ、前記活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向で、最大のゲート間距離と最小のゲート間距離との2つの距離が一つ置きに並んでいる、
ことを特徴とする請求項に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項に記載のような複数の半導体デバイスを備え、前記複数の半導体デバイスが並列に接続している、
ことを特徴とする半導体チップ。
【請求項9】
任意の2つの隣接する半導体デバイスの縁部ゲート電極の間には一つのデバイス間ゲート間距離が形成され、前記半導体チップの活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、各デバイス間ゲート間距離は第3の固定値または第3の変数で順次小さくなる、
ことを特徴とする請求項に記載の半導体チップ。
【請求項10】
前記第3の固定値または第3の変数は、前記半導体チップの前記半導体デバイスの内部における最大のゲート間距離の2倍以下である、
ことを特徴とする請求項に記載の半導体チップ。
【請求項11】
複数の前記半導体デバイスは、活性領域中心に位置する中心デバイス、及び前記活性領域中心から離れる縁部デバイスを備え、前記縁部デバイスの中心ゲート間距離は、前記中心デバイスの縁部ゲート間距離と異なっており、
ここで、前記縁部デバイスの中心ゲート間距離が当該縁部デバイス中心にある2つの隣接するゲート電極による形成されたゲート間距離であり、前記中心デバイスの縁部ゲート間距離が当該中心デバイス中心から離れる任意の2つの隣接するゲート電極により形成されたゲート間距離である、
ことを特徴とする請求項に記載の半導体チップ。
【請求項12】
前記中心デバイスの中心ゲート間距離は、前記縁部デバイスの中心ゲート間距離と異なっている、
ことを特徴とする請求項11に記載の半導体チップ。
【請求項13】
複数の半導体デバイスを備え、複数の半導体デバイスが並列に接続している半導体チップであって、各半導体デバイスがそれぞれ、複数のゲート電極、複数のドレーン電極、及び複数のソース電極を備え、前記ゲート電極が前記ソース電極と前記ドレーン電極との間に位置づけられており、
ここで、前記半導体チップにおいて、任意の2つの隣接するゲート電極の間には、一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、各ゲート間距離のうち、最大のゲート間距離が、当該半導体チップの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体チップのゲート電極の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にあ
前記複数の半導体デバイスには、少なくとも一つの半導体デバイス内部における前記ソース電極の両側のゲート電極の間の距離がd1であり、前記少なくとも一つの半導体デバイス内部におけるドレーン電極の両側のゲート電極の間の距離がd2であり、且つ、d2≦d1≦2d2、である
ことを特徴とする半導体チップ。
【請求項14】
複数の前記半導体デバイスには、少なくとも一つの半導体デバイスにおける全てのゲート間距離が等しい、
ことを特徴とする請求項13に記載の半導体チップ。
【請求項15】
複数の隣接する半導体デバイスの間の縁部ゲート間距離は等しいか、活性領域中心から両端部へ小さくなる、
ことを特徴とする請求項13に記載の半導体チップ。
【請求項16】
基板を用意し、
前記基板の一側に半導体層を形成させ、
前記半導体層の前記基板と反対側に複数のゲート電極、複数のドレーン電極、及び複数のソース電極を設け、
各ゲート電極がそれぞれ一つの前記ソース電極と一つの前記ドレーン電極との間に位置付けられ、前記ゲート電極、ソース電極、ドレーン電極が半導体デバイスの活性領域に位置づけられており、
任意の2つの隣接するゲート電極の間には、一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には、少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、そのうち、各ゲート間距離中の最大のゲート間距離が、当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイスのゲート電極の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にあ
前記第1のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L)であり、前記最大のゲート間距離L max は、下記条件を満たし、
【数3】
前記各ゲート間距離中の最小のゲート間距離は、当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイスのゲート電極の総数とに基づいて決められた第2のプリセット範囲内にあり、当該第2のプリセット範囲は、(L/(n-1) 、L/(n-1))であり、前記最小のゲート間距離L min は、下記条件を満たし、
【数4】
ここで、Lが当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離であり、nが当該半導体デバイスのゲート電極の総数であり、nが2より大きい整数である
ことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロエレクトロニクス技術分野に関し、具体的には、半導体デバイス、半導体チップ、及び半導体デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウム高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor、HEMT)は、バンドギャップが大きく、移動度が高いなどの優れた特徴を有し、高温、高周波、高圧、そしてハイパワーデバイスの製造に適しており、RF・マイクロウェーブ分野と電力電子分野で幅広く応用されることができ、現時点では、半導体デバイス分野における研究ホットスポットの一つである。しかしながら、半導体デバイスの使用にあたり、デバイスにおける温度分布の不均一によりデバイスの発熱が高く、信頼性も低くて、デバイスの出力パワーなどにも影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記に鑑みて、本発明は、上記課題を効果的に解決できる半導体デバイス、半導体チップ、及び半導体デバイスの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の好ましい一実施例は半導体デバイスを提供する。当該半導体デバイスは、
基板と、
前記基板に設けられる半導体層と、
前記半導体層の前記基板と反対側に設けられる複数のゲート電極、複数のドレーン電極、及び複数のソース電極と、を備え、
前記ゲート電極が前記ソース電極と前記ドレーン電極との間に位置付けられ、前記ゲート電極、ソース電極、ドレーン電極が前記半導体デバイスの活性領域に位置付けられており、
任意の2つの隣接するゲート電極の間には一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には、少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、各ゲート間距離のうち、最大のゲート間距離が、当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイスのゲート電極の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にある。
【0005】
更には、前記第1のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L)であり、ここで、Lが当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離であり、nが当該半導体デバイスのゲート電極の総数である。
【0006】
更には、前記各ゲート間距離のうち、最小のゲート間距離は、当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイスのゲート電極の総数とに基づいて決められた第2のプリセット範囲内にある。当該第2のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L/(n-1))である。ここで、Lが当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離であり、nが当該半導体デバイスのゲート電極の総数である。
【0007】
更には、前記最大のゲート間距離は、前記ソース電極の両側の隣接するゲート電極の間に位置付けられ、前記最小のゲート間距離は、前記ドレーン電極の両側の隣接するゲート電極の間に位置付けられる。
【0008】
更には、前記最大のゲート間距離は、前記活性領域の中心位置に位置付けられており、その他のゲート間距離は、前記活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向に順次並んでおり、いずれも前記最小のゲート間距離である。
【0009】
更には、前記活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、前記ソース電極の両側の隣接するゲート電極の間の各距離は第1の固定値または第1の変数で順次小さくなり、前記ドレーン電極の両側の隣接するゲート電極の間の各距離は第2の固定値または第2の変数で順次小さくなる。
【0010】
更には、複数の前記ゲート電極は、当該半導体デバイスの不活性領域にあるゲート電極パッドにより相互接続され、複数の前記ドレーン電極は、当該不活性領域にあるドレーン電極パッドにより相互接続され、複数の前記ソース電極はそれぞれ、前記基板と前記半導体層を貫通する複数のビアを通じて前記基板の前記半導体層と反対側にあるグランド電極と接続される。
【0011】
更には、前記各ゲート間距離に含まれる少なくとも2つのゲート間距離は前記最大のゲート間距離である。
【0012】
更には、前記最大のゲート間距離は、前記活性領域の中心位置に位置づけられており、且つ、前記活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向で、最大のゲート間距離と最小のゲート間距離との2つのゲート間距離が一つ置きに並んでいる。
【0013】
本発明の別の好ましい実施例は半導体チップを提供する。前記半導体チップは、複数の上記半導体デバイスを備え、複数の半導体デバイスが並列に接続している。
【0014】
更には、任意の2つの隣接する半導体デバイスの縁部ゲート電極の間には一つのデバイス間ゲート間距離が形成され、前記半導体チップの活性領域の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、各デバイス間ゲート間距離は第3の固定値または第3の変数で順次小さくなる。
【0015】
更には、前記第3の固定値または第3の変数は、前記半導体チップの前記半導体デバイスの内部における最大のゲート間距離の2倍以下である。
【0016】
更には、複数の前記半導体デバイスは、前記活性領域中心に位置する中心デバイス、及び前記活性領域中心から離れる縁部デバイスを備え、前記縁部デバイスの中心ゲート間距離は、前記中心デバイスの縁部ゲート間距離と異なっており、
ここで、前記縁部デバイスの中心ゲート間距離が当該縁部デバイス中心にある2つの隣接するゲート電極により形成されたゲート間距離であり、前記中心デバイスの縁部ゲート間距離が当該中心デバイス中心から離れる任意の2つの隣接するゲート電極により形成されたゲート間距離である。
【0017】
更には、前記中心デバイスの中心ゲート間距離は、前記縁部デバイスの中心ゲート間距離と異なっている。
【0018】
更には、前記中心デバイスから当該中心デバイスを離れる方向では、各前記縁部デバイスの中心ゲート間距離は、変数または固定値で順次小さくなる。
【0019】
本発明の別の好ましい実施例は半導体チップを提供する。当該半導体チップは、複数の半導体デバイスを備え、複数の半導体デバイスが並列に接続しており、各半導体デバイスがそれぞれ、複数のゲート電極、複数のドレーン電極、及び複数のソース電極を備え、前記ゲート電極が前記ソース電極と前記ドレーン電極との間に位置づけられており、
ここで、前記半導体チップにおいて、任意の2つの隣接するゲート電極の間には、一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、各ゲート間距離のうち、最大のゲート間距離が、当該半導体チップの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体チップのゲート電極の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にある。
【0020】
更には、複数の前記半導体デバイスには、少なくとも一つの半導体デバイスにおける全てのゲート間距離が等しい。
【0021】
更には、複数の隣接する半導体デバイスの間の縁部ゲート間距離が等しいか、活性領域中心から両端部へ小さくなる。
【0022】
本発明の別の好ましい実施例は半導体デバイスの製造方法を提供する。当該半導体デバイスの製造方法は、
基板を用意し、
前記基板の一側に半導体層を形成させ、
前記半導体層の前記基板と反対側に複数のゲート電極、複数のドレーン電極、及び複数のソース電極を設け、
各ゲート電極がそれぞれ一つの前記ソース電極と一つの前記ドレーン電極との間に位置付けられ、前記ゲート電極、ソース電極、ドレーン電極が前記半導体デバイスの活性領域に位置づけられており、
任意の2つの隣接するゲート電極の間には、一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には、少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、そのうち、各ゲート間距離中の最大のゲート間距離が、当該半導体デバイスの一番外側の両端部にある2つのゲート電極のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイスのゲート電極の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にある。
【発明の効果】
【0023】
従来技術と比べると、本発明は、半導体デバイスの体積が増えることなく、半導体デバイスにおける隣接するゲート電極間のゲート間距離を調節して、半導体デバイスの使用中の温度分布をより均一にし、デバイスの熱による損耗を低下させ、その出力パワーを向上させる半導体デバイス、半導体チップ、及び半導体デバイスの製造方法を提供する。それとともに、本発明は、実施例の構成が簡単で、生産しやすいものであるので、幅広く普及できる。
【0024】
本発明の上記目的、特徴、及びメリットをより明確にし、そしてよりわかりやすくするために、以下は、図面に基づいて好ましい実施例を挙げて詳しく説明する。
【0025】
本発明の実施例に係る構成をより明確に説明するために、以下、実施例において使用される図面を簡単に紹介する。無論、後述の図面は本発明の一部の実施例を示したものに過ぎず、限定的なものではないことは理解できるであろう。当業者であれば、創造的な活動をせずに、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1による半導体デバイスの平面図である。
図2】本発明の実施例1による半導体デバイスにおけるゲート間距離の変化を示す模式図である。
図3】本発明の実施例1による半導体デバイスにおけるゲート間距離の変化を示す模式図である。
図4】本発明の実施例2による半導体デバイスの平面図である。
図5】本発明の実施例3による半導体チップの平面図である。
図6】本発明の実施例4による半導体チップの平面図である。
図7】本発明の実施例5による半導体チップの平面図である。
図8】本発明の実施例5による半導体チップにおけるゲート間距離の変化を示す模式図である。
図9】本発明の実施例5による半導体チップにおけるゲート間距離の変化を示す模式図である。
図10】従来技術による半導体チップに対して温度シミュレーションが行われた後のシミュレーション結果を示す模式図である。
図11】本発明の実施例による半導体チップに対して温度シミュレーションが行われた後のシミュレーション結果を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明実施例の目的、構成、及びメリットをより明確にするために、本発明の実施例における添付図面を参照して、本発明の実施例の構成を明確且つ完全に説明する。勿論、説明される実施例は、本発明の一部の実施例であり、全部の実施例ではない。一般的には、この図面において説明され、図示された本発明の実施例の構成要素は、様々な異なる構成で配置及び設計されても構わない。
【0028】
従って、図面により与えられた本発明の実施例に対する以下の詳しい説明は、保護を請求する本発明の範囲を限定するためのものではなく、あくまでも本発明の選択された実施例を示すものに過ぎない。本発明の実施例に基づいて、創造的労働を払わずに当業者によって得られた他の実施例は、全て本発明の保護範囲内とされる。
【0029】
なお、以下の図面において、類似の符号とアルファベットは、類似のアイテムを示すもので、ある図面で定義されると、それ以降の図面で当該アイテムをさらに定義して説明する必要がない。本発明の説明において、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等の用語は、単に区別して説明するためのものであり、相対的な重要性を意味又は示唆するものではない。
【0030】
本発明の説明において、明確な説明か限定がない限り、用語の「設置」、「つながる」、「接続」は、広義的に理解されるべきである。例えば、固定的な接続であっても良いが、着脱可能な接続であってもよく、または一体的に接続されても良い。また、機械的な接続であっても良く、電気的に接続されても良い。そして、直接につながっていても良いが、中間媒体によって間接的につながっていても良く、2つの素子内部の繋がりであっても良い。当業者であれば、具体的な状況に基づいて上記のような用語の本発明における具体的な意味を理解できるであろう。
【0031】
従来では、通常の半導体デバイスにおいては、主に下記3つの方法によって半導体デバイス使用中の放熱の問題を解決する。
【0032】
(1)熱伝導率のより高い基板材料で半導体デバイスを製造、例えば、炭化ケイ素基板を研磨により除去して、化学気相堆積(Chemical Vapor Deposition、CVD)、スパッタリングやボンディングなどでエピタキシャル層の背面に金剛石膜かダイヤモンドライクカーボン膜を形成させる。しかしながら、当該方法は、作製工程が複雑になり、コストも高くなるというデメリットがある。
【0033】
(2)パッケージ技術を改善、例えば、放熱効果のより優れたパッケージ構成を使えることなど。しかしながら、当該方法は、半導体デバイス内部の温度を効果的、均一的、及びタイムリーにパッケージを通じて放出することができなくて、デバイス中心部の温度が相変わらず最高で、デバイス内部における温度分布も相変わらず不均一であるというデメリットがある。
【0034】
(3)ゲート電極間距離を調整、例えば、隣接するゲート電極間の距離を増やし、またはゲート電極の長さを減少させるとともに、ゲート電極を増加させることにより、同じ純活性領域面積を実現する。ただし、当該方法により、チップ中心から生じた熱がもっと広い範囲内で拡散してしまう。特に、複数の半導体デバイスからなる半導体チップにおいては、半導体チップの面積が大きくなり、ウェハー毎のチップ数が減ってしまう。
【0035】
以上より、従来の3つの放熱方法は、半導体デバイスの放熱という問題を解決する時に、いずれもある程度制約がある。これに対して、発明者は研究により、従来の半導体デバイスの熱は、主にデバイスの活性領域、特にゲート電極の部位から生じることが分かり、そして、半導体デバイスの活性領域における中心部位において、ゲート長方向でのソース電極オーミックとドレーン電極オーミックの長さを高めることにより、隣接するゲートフィンガー間の距離を増やして、隣接する温度のピーク値の間の距離を減ることにより、温度勾配を改善して、半導体デバイスの中心位置における放熱の問題を解決することができると、発明者が発見した。具体的には、以下、いくつかの実施例をもって詳細に説明する。
【0036】
実施例1
図1は本発明の実施例1による半導体デバイス10の平面図である。前記半導体デバイス10は、基板、半導体層11、複数のゲート電極12、複数のドレーン電極14、複数のソース電極13を備える。前記半導体層11は、前記基板の一側に位置し、前記複数のゲート電極12、複数のドレーン電極14、及び複数のソース電極13は、前記半導体層11の前記基板と反対側に位置し、前記ゲート電極12は、前記ドレーン電極14と前記ソース電極13との間に位置し、前記複数のゲート電極12、複数のドレーン電極14、及び複数のソース電極13は前記半導体デバイス10の活性領域30に位置する。選択的に、前記ゲート電極12がストライプ状のゲートであっても良いが、これに限らない。
【0037】
更には、前記半導体デバイス10の使用にあたり、ゲート電極12が位置する部位は、ソース・ドレーン電極間電流と電場が集中される領域であるとともに、当該半導体デバイス10における熱が生じる中心領域であるので、ゲート電極12の部位の温度がその付近部位より高くなる。それとともに、前記半導体デバイス10の活性領域30の中心位置に位置するゲート電極12領域においては、生じた熱をタイムリーにデバイスの外部に放熱することが更に困難になるので、半導体デバイス10においては、中心位置の温度が最高になる。なお、中心の温度が高すぎると、デバイスの熱による損耗が大幅に上げられ、デバイスの出力パワーも低下してしまう。これに対して、本実施例1による半導体デバイス10においては、任意の2つの隣接するゲート電極12間に一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には、少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、各ゲート間距離のうち、最大のゲート間距離が、当該半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイス10のゲート電極12の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にある。本実施例1は、半導体デバイス10を上記のように設計することにより、当該半導体デバイス10における温度分布をより均一にし、デバイスの中心温度が高すぎることによる半導体デバイス10の不良を避けることができる。そして、本発明の実施例は、半導体デバイス10における各ゲート間距離に対する調整により、半導体デバイス10の熱による損耗を効果的に低下させ、その信頼性と出力パワーを向上させる。
【0038】
選択的に、一実施例においては、前記第1のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L)であり、すなわち、前記各ゲート間距離のうちの最大のゲート間距離Lmaxは、
【数1】
の条件を満たす。ここで、Lが当該半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離であり、nが当該半導体デバイス10のゲート電極12の総数であり、また、nが2より大きい整数である。
【0039】
詳しくは、図2に示すように、仮に半導体デバイス10がn個のゲート電極12を含み、それぞれT、T、T、T、T、……、Tn-2、Tn-1、Tとすると、各隣接するゲート電極12間に形成されるゲート間距離をD、D、D、D、D、……、Dn-2、Dn-1、Dとし、半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極TとTのゲート長方向における距離をLとし、各ゲート間距離のうちの最大のゲート間距離をDとすると、最大のゲート間距離D
【数2】
を満たす。好ましくは、デバイスの活性領域30の実際の面積利用率を考えて、前記最大のゲート間距離は
【数3】
を満たす。
【0040】
更には、再び図2を参照して、前記各ゲート間距離のうちの最小のゲート間距離が、当該半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイス10のゲート電極12の総数とに基づいて決められた第2のプリセット範囲内にある。当該第2のプリセット範囲が(L/(n-1)、L/(n-1))であり、即ち、最小のゲート間距離Lminは、
【数4】
を満たす。ここで、Lが当該半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離であり、nが当該半導体デバイス10におけるゲート電極12の総数である。好ましくは、最高の温度と最低の温度との差を減少させ、デバイス全体の熱分布をより均一にするためには、最小のゲート間距離LminはL/2(n-1)以上である。詳しくは、仮に図2に示すような各ゲート間距離のうちの最小のゲート間距離がDとすると、最小のゲート間距離Dは、
【数5】
を満たす。
【0041】
もう一つの実施例において、デバイスの内部構成に関するニーズと平面的なレイアウトをさらに両立させるためには、前記最大のゲート間距離Lmaxは、前記ソース電極13両側の隣接するゲート電極12の間にあり、前記最小のゲート間距離Lminは前記ドレーン電極14両側の隣接するゲート電極12の間にある。半導体デバイス10の熱による損耗の低下と、その信頼性及び出力パワーの向上を確保できる前提では、上記半導体デバイス10におけるゲート間距離に対する設定に基づいて、各前記ゲート間距離の設定方法は複数ある。
【0042】
例えば、図2に示すように、各ゲート間距離のうち、ゲート間距離Dが最大になり、即ち、最大のゲート間距離Lmaxは前記ソース電極13両側の隣接するゲート電極12の間にあり、ソース電極13がD内に位置しており、そして、ゲート間距離Dが最小で、ドレーン電極14がD内に位置して、即ち、最小のゲート間距離Lminが前記ドレーン電極14両側の隣接するゲート電極12の間にある。そして、その他のゲート間距離は、D以下、またはD以上であってよく、例えば、前記各ゲート間距離には、前記最大のゲート間距離が少なくとも2つ含まれてもよく、又は前記最小のゲート間距離が少なくとも2つ含まれても良い。好ましくは、前記最大のゲート間距離が前記活性領域30の中心位置にあり、且つ、前記活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、最大のゲート間距離と最小のゲート間距離との2つのゲート間距離が一つ置きに並んでいる。
【0043】
また、例えば、複数の前記ゲート電極12により形成された複数のゲート間距離は、前記活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、変数か固定値で順次小さくなることができ、例えば、任意の隣接する2つのゲート間距離の差が同じ、又は大体同じであってもよいが、任意の値で順次小さくなっても良く、本実施例1は、これについて特に制限しない。また、本実施例1において、前記半導体デバイス10の活性領域30におけるゲート間距離の数が偶数である場合、当該活性領域30の中心位置にある2つのゲート間距離の大きさを同じにし、当該中心位置から離間したその他のゲート間距離が対応して小さくなれば良い。詳しくは、図3に示すように、仮に前記半導体デバイス10に含まれるゲート電極12の総数nが8である場合、活性領域30の中心位置にある2つのゲート電極12がT和Tであり、TとTとの間のゲート間距離Dが当該中心位置から離間した隣接するゲート電極12により形成されたゲート間距離よりも大きい。それに応じて、Dの位置から活性領域30両側の周縁位置へ、ゲート間距離が変数か固定値で順次小さくなることができ、例えば、DとDの差がDとDの差と等しく、DとDの差がDとDの差と等しく、DとDの差がDとDの差と等しいなど。
【0044】
また、例えば、実際に各ゲート間距離を設ける時には、熱分布を効果的に均一にするためには、複数の前記ゲート電極12により形成された複数のゲート間距離が前記活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、その他のゲート間距離は、前記活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向で等間隔で配置されることができる。ここで、当該等間隔は、最小のゲート間距離であっても良いが、最小のゲート間距離より大きく最大のゲート間距離より小さい任意の距離であっても良い。
【0045】
更には、前記基板は、サファイア(sapphire)、炭化ケイ素(SiC)、ケイ素(Si)、ニオブ酸リチウム、シリコンオンインシュレーター(SOI)、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)の1種を採用してもよく、又は、その他のIII族窒化物の成長に適するいかなる材料で形成されても良いが、本発明はこれについて特に制限しない。前記半導体層11の材料は、AlGaN、AlN、又はInAlNなどのIII族窒化物半導体材料などであっても良いが、上記には限らない。
【0046】
その他、前記半導体デバイス10の不活性領域では、ゲート電極パッド15とドレーン電極パッド16が設置され、前記ゲート電極パッド15と前記ドレーン電極パッド16は、それぞれ前記活性領域30の両側に位置づけられる。複数の前記ゲート電極12は、当該半導体デバイス10の不活性領域におけるゲート電極パッド15により相互接続され、複数の前記ドレーン電極14は、当該不活性領域のドレーン電極パッド16により相互接続される。ここで、前記ゲート電極パッド15と前記ドレーン電極パッド16は、金属パッドであっても良いが、これに限らなく、本実施例において制限はしない。
【0047】
選択的に、前記半導体チップ20においては、不活性領域のゲート電極パッド15とドレーン電極パッド16は、いずれも同一の半導体デバイス10に属するものであっても良いが、異なる半導体デバイス10により提供され、共同して本実施例1による半導体デバイス10を構成しても良い。即ち、異なる半導体デバイス10は、共通のゲート電極パッド15又はドレーン電極パッド16を使ってもよく、本実施例1はこれについて特に制限しない。
【0048】
更には、前記半導体デバイス10は、前記基板の前記半導体層11と反対側にあるグランド電極をさらに備える。複数の前記ソース電極13はそれぞれ、前記基板と前記半導体層11を貫通する複数のビアを通じて、前記基板の前記半導体層11と反対側にあるグランド電極と接続される。
【0049】
実施例2
デバイスにおけるインダクタンスと寄生容量を低下させるために、ソース電極13にビアを設置する必要があるので、隣接するソース電極13とドレーン電極14の両側のゲート間距離が同じではない。図4に示すように、ソース電極13両側のゲートフィンガー間距離がd1で、ドレーン電極14両側のゲートフィンガー間距離がd2であり、通常、隣接するソース電極13とドレーン電極14両側のゲート間距離d1、d2は、d2≦d1≦3d2を満たす。デバイスの損耗を低下させ、熱分布を効果的に均一させるために、最大のゲート間距離は前記活性領域30の中心位置にあり、前記活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、前記ソース電極13両側の隣接するゲート電極12間の各ゲート間距離が第1の固定値か第1の変数で順次小さくなり、前記ドレーン電極14両側の隣接するゲート電極12間の各ゲート間距離が第2の固定値か第2の変数で順次小さくなる。好ましくは、前記第1の固定値又は第1の変数は、第2の固定値又は第2の変数と等しくない。
【0050】
実施例3
実施例1による半導体デバイス10に対する設計と説明に基づいて、図5に示すように、本発明の実施例3は、半導体チップ20を提供する。当該半導体チップ20は、複数の半導体デバイス10を備え、複数の半導体デバイス10が並列に接続している。当該半導体チップ20における任意2つの隣接する半導体デバイス10の縁部ゲート電極12の間には一つのデバイス間ゲート間距離が形成され、前記デバイス間ゲート間距離は、前記半導体チップ20の活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向で、第3の固定値か第3の変数で順次小さくなる。このように、半導体チップ20における半導体デバイス10間のゲート間距離を設定することにより、デバイスの縁部同士間の発熱を効果的に緩和でき、チップ全体における熱分布を均一することができる。本実施例による半導体デバイス10は、実施例1による半導体デバイス10と同じ構成特徴を有するので、ここで再び説明はしない。
【0051】
選択的に、良好なチップレイアウトが得られるとともに、熱分布を改善するために、一実施例において、前記第3の固定値又は第3の変数は前記半導体チップ20における半導体デバイス10内部の最大のゲート間距離の2倍以下である。選択的に、複数の前記半導体デバイス10が前記活性領域30中心にある中心デバイス40及び前記活性領域30中心から離間した縁部デバイス50を含む場合、前記縁部デバイス50の中心ゲート間距離を当該縁部デバイス50中心の2つの隣接するゲート電極12により形成されたゲート間距離と定義し、前記中心デバイス40の縁部ゲート間距離を当該中心デバイス40中心を離間した任意の2つの隣接するゲート電極12により形成されたゲート間距離と定義する。そして、前記縁部デバイス50の中心ゲート間距離は、前記中心デバイス40の縁部ゲート間距離と異なっており、例えば、前記縁部デバイス50の中心ゲート間距離は、前記中心デバイス40の縁部ゲート間距離より大きくなっても、又は小さくなっても良い。又は、前記中心デバイス40の中心ゲート間距離は、前記縁部デバイス50の中心ゲート間距離と異なっており、例えば、前記中心デバイス40の中心ゲート間距離は、前記縁部デバイス50の中心ゲート間距離よりも大きくなる。又は、各縁部デバイス50の中心ゲート間距離は変数か固定値で順次小さくなるなど。
【0052】
実施例4
図6に示すように、本発明の実施例4は、半導体チップ20を提供する。当該半導体チップ20は、複数の半導体デバイス10を備え、複数の半導体デバイス10が並列に接続している。当該半導体チップ20の任意の2つの隣接する半導体デバイス10における縁部ゲート電極12間に形成された一つのデバイス間ゲート間距離がLである。前記複数の半導体デバイス10内部におけるゲート間距離が同じく、選択的に、前記半導体デバイス10内部のソース電極13両側のゲート電極12間の距離が同じくd1であり、前記半導体デバイス10内部のドレーン電極14両側のゲート電極12間の距離が同じくd2であるとともに、各半導体デバイス10d内部においては、2≦d1≦2d2。当該半導体チップ20の活性領域30中心の2つの隣接する半導体デバイス10の縁部ゲート電極12間の距離Lが最大で、前記デバイス間ゲート間距離は前記半導体チップ20の活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向で次第に小さくなるとともに、ΔL≦2d1。実際に使用する時には、チップのサイズにより活性領域30の中心損耗を調節し、そして選択的に、半導体チップ20における活性領域30の中心位置付近で少なくとも2つの同じデバイス間ゲート間距離を設置することができる。
【0053】
実施例5
図7は本発明の実施例5による半導体チップ20の平面図である。当該半導体チップ20は、複数の半導体デバイス10を備え、複数の半導体デバイス10が並列に接続している。各半導体デバイス10は、複数のゲート電極12、複数のドレーン電極14、及び複数のソース電極13を備え、前記ゲート電極12が前記ソース電極13と前記ドレーン電極14との間に位置する。ここで、前記半導体チップ20において、任意の2つの隣接するゲート電極12同士の間には、一つのゲート間距離が形成され、形成された各ゲート間距離には、少なくとも2つの等しくないゲート間距離が含まれ、各ゲート間距離のうち、最大のゲート間距離が、当該半導体チップ20における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離と、当該半導体チップ20のゲート電極12の総数とに基づいて決まられた第1のプリセット範囲内にある。
【0054】
詳しくは、図8に示すように、前記半導体チップ20における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離をLとし、半導体チップ20におけるゲート電極12の総数をnとすれば、前記第1のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L)を満たし、即ち、前記半導体チップ20における最大のゲート間距離Lmaxは、
【数6】
を満たす。また、選択的に、実際に使用する時には、前記各ゲート間距離における最小のゲート間距離Lminは、
【数7】
を満たす。このように、前記半導体チップ20におけるゲート間距離に対する設定により、チップ全体のサイズ及び出力パワーを維持するとともに、半導体チップ20の放熱性能を効果的に改善できる。
【0055】
上記実施例3と比べると、本実施例5は、本実施例による半導体チップ20における複数の半導体デバイス10のうち、少なくとも一つの半導体デバイス10における全てのゲート間距離が等しい、という点で相違している。例えば、図9に示すように、前記半導体チップ20は、一つの中心デバイス40と、当該中心デバイス40両側にある2つの縁部デバイス50との、3つの半導体デバイス10を備えるとすれば、各前記縁部デバイス50における全てのゲート間距離が等しくても良く、例えば、D=D=D、D=D10=D11など。また、その他、本実施例において、上記半導体チップ20における各半導体デバイス10の構成は、上記実施例1の半導体デバイス10における各ゲート間距離に対する説明を参照してもよく、例えば、複数の前記ゲート電極12により形成された複数のゲート間距離のうち、前記半導体チップ20の活性領域30の中心位置から当該中心位置を離れる方向では、各ゲート間距離は、固定値か変数で順次小さくなるなど、具体的なことは本実施例で再び説明しない。
【0056】
実施例3と比べると、本実施例においては、半導体チップ20における複数の隣接する半導体デバイス10間の縁部ゲート間距離が等しいか、活性領域30の中心から両端部へ小さくなる。好ましくは、半導体チップ20における複数の半導体デバイス10のゲート間距離が等間隔で配置されながら、隣接する半導体デバイス10間の縁部ゲート間距離は、半導体デバイス10におけるゲート間距離と等しくない。複数の半導体デバイス10におけるゲート間距離が最小のゲート間距離Lminで、隣接する半導体デバイス10間の縁部ゲート間距離が最大の距離Lmaxであるとともに、複数の隣接する半導体デバイス10間の縁部ゲート間距離が等しいか、活性領域30の中心から両側へ小さくなる。
【0057】
更には、上記半導体デバイス10及び半導体チップ20に対する設定と説明に基づいて、本発明は、図5に示すような半導体チップ20を例として当該半導体チップ20に対して熱シミュレーションテストを行って、図10図11に示すように、前記半導体チップ20の最外側の2つのゲート電極12の位置を固定しながら、各ゲート電極12間のゲート間距離を調整することにより、半導体チップ20の最高温度Tmaxと最低温度Tminもこれに伴って変化することを表すテスト結果が出た。ここで、各隣接するゲート電極12間のゲート間距離が等しい場合(ゲート間距離が等しい半導体チップ20が従来技術による半導体チップ20の構成である)、図10に示すように、デバイスの最高温度Tmaxと最低温度Tminが大きく異なっており、デバイスの温度分布が均一ではなく、ΔT値が大きい。しかしながら、図11に示すように、本発明の実施例は、ゲート間距離の調節により、最低のΔT値が得られ、従来技術における等しいゲート間距離による半導体デバイス10のRF性能の低下を効果的に解決できる。
【0058】
実施例6
本発明の実施例6は、半導体デバイス10の製造方法を提供する。以下は、具体的なステップを組み合わせて当該半導体デバイス10の製造方法を説明する。
【0059】
ステップS100は、基板を用意する。
ここで、前記基板の材料は上記と同じで、ここで再び説明しない。前記基板の形成方法は、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相成長)、VPE(Vapour Phase Epitaxy、気相エピタキシー)、MOCVD(Metal-organic Chemical Vapor Deposition、有機金属気相成長)、LPCVD(Low Pressure Chemical Vapor Deposition、減圧化学気相成長)、PECVD(Plasma Enhanced Chemical Vapor Deposition、プラズムCVD)、PLD(Pulsed Laser Deposition、パルスレーザー堆積)、原子層エピタキシー、MBE(Molecular Beam Epitaxy、分子線エピタキシー)、スパッタリング、PVDなどが挙げられ、本実施例は具体的に制限しない。
【0060】
ステップS200は、前記基板の一側に半導体層11を形成させる。
前記基板に半導体層11を形成させる方法は、前記基板の形成方法と同じ方法であっても良いが、これに限らない。言い換えると、前記半導体層11の形成方法は、前記基板の形成方法と同じであっても良いが、異なっても良い。
【0061】
ステップS300は、前記半導体層11の前記基板と反対側に複数のゲート電極12、複数のドレーン電極14、及び複数のソース電極13を設け、各ゲート電極12がそれぞれ一つの前記ソース電極13と一つの前記ドレーン電極14との間に位置し、前記ゲート電極12、ソース電極13、及びドレーン電極14が前記半導体デバイス10の活性領域30に位置する。ここで、任意の2つの隣接するゲート電極12間には一つのゲート間距離が形成され、各ゲート間距離のうち、最大のゲート間距離が、当該半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイス10のゲート電極12の総数とに基づいて決められた第1のプリセット範囲内にある。
【0062】
また、前記第1のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L)である。前記各ゲート間距離のうち、最小のゲート間距離が、当該半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離と、当該半導体デバイス10のゲート電極12の総数とに基づいて決められた第2のプリセット範囲内にあり、当該第2のプリセット範囲は、(L/(n-1)、L/(n-1))である。ここで、Lが当該半導体デバイス10における一番外側の両端部にある2つのゲート電極12のゲート長方向における距離で、nが当該半導体デバイス10のゲート電極12の総数である。
【0063】
上記より、本発明は、半導体デバイス10の体積が増えることなく、半導体デバイス10における隣接するゲート電極12間のゲート間距離を調節して、半導体デバイス10の使用中の温度分布をより均一にし、デバイスの熱による損耗を低下させ、その出力パワーを向上させる、半導体デバイス10、半導体チップ20、及び半導体デバイス10の製造方法を提供する。それとともに、本発明は、実施例の構成が簡単で、生産しやすいものであるので、幅広く普及できる。
【0064】
また、上記本発明の実施例による機能は、汎用するコンピューティングデバイスで実現することができ、単一のコンピューティングデバイスに集中されても良いし、複数のコンピューティングデバイスからなるネットワークに分布されても良い。選択的に、コンピューティングデバイスで実行可能な従来のプログラム又はアルゴリズムで実現することができ、従って、記憶装置で記憶してコンピューティングデバイスにより実行することができる。又は、それぞれ集積回路のモジュールに作製するか、そのうちの複数のモジュール又はステップを単一の集積回路モジュールに作製することにより実現することもできる。このように、本発明の機能の実現方法は、いかなる特定のハードウェア又はソフトウェアの組み合わせには限らない。これは、当業者であればわかっているはずである。
【0065】
上記は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、当業者にとって、本発明は、種々の変形や変更が可能である。本発明の趣旨及び範囲内でなされたいかなる修正、均等な置換、改善などは、いずれも本発明の範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0066】
10 半導体デバイス
11 半導体層
12 ゲート電極
13 ソース電極
14 ドレーン電極
15 ゲート電極パッド
16 ドレーン電極パッド
20 半導体チップ
30 活性領域
40 中心デバイス
50 縁部デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11