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特許7100128ループスの予防または治療のための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ループスの予防または治療のための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/397 20060101AFI20220705BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 31/5375 20060101ALI20220705BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220705BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
A61K31/397
A61K31/495
A61K31/5375
A61K31/5377
A61P13/12
A61P17/00
A61P37/06
A61P29/00
A61P43/00 111
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020528455
(86)(22)【出願日】2018-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-15
(86)【国際出願番号】 KR2018014524
(87)【国際公開番号】W WO2019103524
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0158867
(32)【優先日】2017-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514052597
【氏名又は名称】チョン クン ダン ファーマシューティカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】ハ,ニナ
(72)【発明者】
【氏名】ベ,デクウォン
【審査官】榎本 佳予子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524597(JP,A)
【文献】特表2016-531163(JP,A)
【文献】特表2013-542994(JP,A)
【文献】Molecular Medicine,2011年,Vol.17,No.5-6,p.417-425
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61P 1/00-43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含む、ループスの予防または治療用の医薬組成物。
【化1】

前記式において、
Aは
【化2】

であり、
XaおよびXbは各々独立してCHであり、
およびLは各々独立して水素またはハロゲンであり、
QはC(=O)であり、
Yは
【化3】

であり、
a1およびRa2は各々独立して水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルコール;ベンズヒドリル;N、O、S中の1~3個のヘテロ原子を環員として含む飽和もしくは不飽和の5~7員複素環式化合物で置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル(この時、複素環式化合物は非置換もしくは一つ以上の水素が任意にOH、OCH、CH、CHCHまたはハロゲンで置換されてもよい。);N、O、S中の1~3個のヘテロ原子を環員として含む飽和もしくは不飽和の5~7員複素環式化合物(この時、複素環式化合物は非置換もしくは一つ以上の水素が任意にOH、OCH、CH、CHCHまたはハロゲンで置換されてもよい。);非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-2アルキルまたはヒドロキシで置換されたフェニル;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-2アルキルまたはヒドロキシで置換されたベンジル;-S(=O)CH;ハロゲン;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6アルコキシアルキル;-C(=O)R、ここで、Rは直鎖もしくは分枝鎖のC1-3アルキルまたはC3-10シクロアルキルであり;
【化4】

ここで、RおよびRは各々独立して水素、C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり;
【化5】

であり
は水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲンで置換された-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;-C(=O)CH;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のヒドロキシアルキル;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシアルキル;-CF;ハロゲン;または
【化6】

であり、
およびRは各々独立して水素または-C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり、および
Zは
【化7】

であり、
およびPは各々独立して水素、ハロゲン、-CFまたは-CHFである。
【請求項2】
前記化学式Iで表される化合物は、下記化学式Iaで表される化合物である、請求項1に記載の医薬組成物:
【化8】

前記式において、
およびLは各々独立して水素またはハロゲンであり、
Yは
【化9】

であり、
a1、Ra2およびRは各々独立して請求項1に定義された通りであり、
Zはフェニルまたはピリジニルである(ここで、フェニルまたはピリジニルの一つ以上の水素はハロゲン、CFまたはCHFで置換されてもよい。)。
【請求項3】
前記化学式Iaで表される化合物は、下記表に記載された化合物である、請求項2に記載の医薬組成物:
【表1】
【請求項4】
前記ループスは、全身性紅斑性狼瘡(systemic lupus erythematosus;SLE)、全身性ループス(systemic lupus)、円板状ループス、薬剤誘発性ループス、新生児ループスおよび慢性腎炎からなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記慢性腎炎は、ループス腎炎または糸球体腎炎である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記医薬組成物は、血清内抗-dsDNA抗体濃度を減少させる、請求項1に記載の医
薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物は、タンパク尿の生成を抑制する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物は、炎症反応においてTNFαの生成を抑制する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
ループス治療用医薬の製造における、請求項1に記載の化学式1で表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学式Iで表される化合物、その光学異性体、薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むループスの予防または治療用の医薬組成物、前記化合物を用いた治療方法およびループスを治療するための薬剤の製造における前記化合物の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ループスは、結合組織を攻撃する抗体と関連した自己免疫疾患であって、循環性免疫複合体である抗核抗体の生成と補体システムの活性化と関連している。この疾患は、全身性として全ての器官システムにおいて発生しうるし、重症の組織損傷を誘発しうる。ループス患者は、抗-DNA、抗-Roおよび抗-血小板特異性を有した自己抗体を生成したりもし、糸球体腎炎、関節炎、漿膜炎、新生児の完全心ブロックまたは血液学的異常のような疾患の発生を引き起こしたりもする。
【0003】
ループスを治療しなければ、皮膚と関節攻撃から内部臓器、例えば、肺、心臓および腎臓攻撃に進むので致命的であり、その中でも最も腎臓疾患の恐れがある。尿中のタンパク尿量により測定された腎臓損傷がループスの病原性と関連した急性損傷部位のうちの一つであり、ループス疾患死亡率と発病率の50%以上を占める。
【0004】
現在、ループス患者に対する確実な治癒法はない。実際的な観点から見れば、医師は一般に数多くの免疫抑制剤、例えば、高用量のコルチコステロイド、プレドニゾン、アザチオプリンまたはシクロホスファミドを用いているが、これらの薬物の相当数は治療を受けている患者に潜在的な害になる副作用を示すという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】大韓民国公開特許公報第2014-0128886号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、下記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むループスの予防または治療用の医薬組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、前記化合物を治療学的有効量で投与するステップを含むループスの治療方法を提供することにある。
【0008】
本発明のまた他の目的は、ループスを治療するための薬剤の製造における前記化合物の用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これを具体的に説明すれば次の通りである。一方、本発明に開示された各々の説明および実施形態は、各々に対する他の説明および実施形態にも適用可能である。すなわち、本発明に開示された様々な要素の全ての組み合わせは本発明の範疇に属する。また、下記に記された具体的な記述により本発明の範疇が制限されるものではない。
【0010】
本発明は、下記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を有効成分として含むループスの予防または治療用の医薬組成物を提供する。
【化1】

前記式において、
Aは
【化2】

であり、
XaおよびXbは各々独立してCHまたはNであり、
およびLは各々独立して水素、ハロゲン、-CFまたは-C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり、
QはC(=O)、S(=O)、S(=O)またはC(=NH)であり、
Yは下記グループから選択され
【化3】

MはC、N、O、SまたはS(=O)であり(この時、MがCである場合、lおよびmは1であり、MがNである場合、lは1であり、mは0であり、MがO、SまたはS(=O)である場合、lおよびmは0である。)、
a1およびRa2は各々独立して水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上のハロゲンで置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルコール;ベンズヒドリル;N、O、S中の1~3個のヘテロ原子を環員として含む飽和もしくは不飽和の5~7員複素環式化合物で置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル(この時、複素環式化合物は非置換もしくは一つ以上の水素が任意にOH、OCH、CH、CHCHまたはハロゲンで置換されてもよい。);N、O、S中の1~3個のヘテロ原子を環員として含む飽和もしくは不飽和の5~7員複素環式化合物(この時、複素環式化合物は非置換もしくは一つ以上の水素が任意にOH、OCH、CH、CHCHまたはハロゲンで置換されてもよい。);非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-2アルキルまたはヒドロキシで置換されたフェニル;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲン、C1-4アルコキシ、C1-
アルキルまたはヒドロキシで置換されたベンジル;-S(=O)CH;ハロゲン;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6アルコキシアルキル;-C(=O)R、ここで、Rは直鎖もしくは分枝鎖のC1-3アルキルまたはC3-10シクロアルキルであり;
【化4】

ここで、RおよびRは各々独立して水素、C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり;
【化5】

であり、
nは0、1または2の整数であり、
は水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲンで置換された-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;-C(=O)CH;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のヒドロキシアルキル;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシアルキル;-CF;ハロゲン;または
【化6】

であり、
およびRは各々独立して水素または-C1-3直鎖もしくは分枝鎖のアルキルであり、および
Zは下記グループから選択され
【化7】

およびPは各々独立して
【化8】

水素;ヒドロキシ;非置換もしくは一つ以上の水素がハロゲンで置換された-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のアルキル;ハロゲン;-CF;-OCF;-CN;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6直鎖もしくは分枝鎖のアルキルアルコキシ;-CHF;または-C1-3アルコールであり、
ここで、
【化9】

はフェニル、ピリジン、ピリミジン、チアゾール、インドール、インダゾール、ピペラジン、キノリン、フラン、テトラヒドロピリジン、ピペリジンまたは下記グループから選択された環であり
【化10】

x、yおよびzは各々独立して0または1の整数であり、
g1、Rg2およびRg3は各々独立して水素;ヒドロキシ;-C1-3アルキル;-CF;-C1-6直鎖もしくは分枝鎖のアルコキシ;-C2-6直鎖もしくは分枝鎖のアルキルアルコキシ;-C(=O)CH;-C1-4直鎖もしくは分枝鎖のヒドロキシアルキル;-N(CH;ハロゲン;フェニル;-S((=O))CH;または下記グループから選択される
【化11】
【0011】
本発明の化学式Iで表される化合物は、下記化学式Iaで表される化合物でであってもよい。
【化12】

前記式において、
およびLは各々独立して水素またはハロゲンであり、
Yは
【化13】

であり、
Zはフェニルまたはピリジニルである(ここで、フェニルまたはピリジニルの一つ以上の水素はハロゲン、CFまたはCFHで置換されてもよい。)。
【0012】
本発明の具体例によれば、前記化学式Iaで表される化合物は、下記表に記載された化合物である。
【0013】
【表1】
【0014】
本発明において、前記化学式Iで表される化合物は、大韓民国公開特許公報第2014-0128886号に開示された方法により製造できるが、これに制限されるものではない。
【0015】
本発明において、薬学的に許容可能な塩は、医薬業界で通常用いられる塩を意味し、例えば、カルシウム、カリウム、ナトリウムおよびマグネシウムなどから製造された無機イオン塩、塩酸、硝酸、リン酸、臭素酸、ヨウ素酸、過塩素酸および硫酸などから製造された無機酸塩、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、シュウ酸、安息香酸、酒石酸、フマル酸、マンデル酸、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、グルコン酸、ガラクツロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グルクロン酸、アルパラギン酸、アスコルビン酸、カルボン酸、バニリン酸、ヨウ化水素酸などから製造された有機酸塩、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホ
ン酸およびナフタレンスルホン酸などから製造されたスルホン酸塩、グリシン、アルギニン、リジンなどから製造されたアミノ酸塩、およびトリメチルアミン、トリエチルアミン、アンモニア、ピリジン、ピコリンなどから製造されたアミン塩などが挙げられるが、列挙されたこれらの塩により、本発明で意味する塩の種類が限定されるものではない。
【0016】
本発明で用いられる用語「ループス」は、結合組織を攻撃する抗体関連の自己免疫疾患であって、自己抗体、発疹、口腔潰瘍、漿膜炎、神経疾患、低血球数、関節痛および腫れの存在を特徴とする慢性炎症性自己免疫疾患を含む。特に他の言及がなければ、本発明における用語「ループス」は、本発明が属する技術分野で通常用いられる意味を有する。本発明において、ループスは、例えば、全身性紅斑性狼瘡(systemic lupus
erythematosus;SLE)、全身性ループス、円板状ループス、薬剤誘発性ループスまたは新生児ループスなどを含むが、これらに制限されない様々な追加形態のループスをさらに含むことができる。また、ループス腎炎または糸球体腎炎のような慢性腎炎がループスにより引き起こされうる。
【0017】
本発明における用語「全身性紅斑性狼瘡(SLE)」は、本発明が属する技術分野で通常用いられる意味を有する。SLEは、多系統自己免疫疾患であって、anti-dsDNA抗体を含む抗核抗体が発生し、抗原-抗体免疫複合体が生成されて小血管に位置することによって、皮膚や腎臓の基底膜を含む様々な臓器に炎症および損傷を誘発する疾患である。
【0018】
本発明の実施例において、化学式Iaで表される化合物255、280、374、416、461、476、500、530または532は、in vitroでTNFαなどの炎症性分子の産生を抑制し(図1)、反応T細胞の増殖を抑制し(図2)、調節T細胞の機能を向上させる効果(図3)に優れることが確認された。
【0019】
また、本発明の化合物374の場合、SLE疾患マウスの生存率を向上させ(図5)、タンパク尿発生率(図6)とanti-dsDNA抗体濃度(図8)、腎臓内IgGおよびC3浸潤レベルを減少させ(図12)、血清内サイトカインのうちIL-10、IL-12、IL-15、IL-17A、TNFαおよびIL-22レベルを減少させ(図13)、CXCL10およびCCL2レベルを減少させ(図14)、TGF-βレベルを上昇させ(図13)、CD4-CD8-double negative T細胞の比率、CD4-CD8+細胞レベルに対するCD4+CD8-細胞レベルの比率(図15)、CD4+T-bet+/CD4+GATA3+の比率(図16)、CD4+細胞レベルに対するCD4+CD25+細胞レベルの比率(図17)、およびCD138+細胞レベル(図19)を減少させたことを確認した。
【0020】
本発明の医薬組成物は、投与のために、前記化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩の他に、薬学的に許容可能な担体を1種以上さらに含むことができる。薬学的に許容可能な担体は、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノールおよびこれらの成分のうちの1成分以上を混合して用いることができ、必要により、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤などの他の通常の添加剤を添加することができる。また、希釈剤、分散剤、界面活性剤、結合剤および潤滑剤を付加的に添加して水溶液、懸濁液、乳濁液などのような注射用剤形、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化することができる。したがって、本発明の組成物は、パッチ剤、液剤、丸薬、カプセル、顆粒、錠剤、坐剤などであってもよい。これらの製剤は、各疾患に応じておよび/または成分に応じて、本発明が属する技術分野で製剤化に用いられる通常の方法またはRemington’s Pharmaceutical Science(最近版)、Mack Publishing Company、Easton PAに開示された方法により製剤化できる。
【0021】
本発明の医薬組成物を用いた経口投与用製剤の非制限的な例としては、錠剤、トローチ剤(troches)、ロゼンジ(lozenge)、水溶性懸濁液、油性懸濁液、調製粉末、顆粒、エマルション、ハードカプセル、ソフトカプセル、シロップまたはエリキシル剤などが挙げられる。本発明の医薬組成物を経口投与用に製剤化するために、ラクトース、サッカロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロースまたはゼラチンなどのような結合剤;ジカルシウムホスフェートなどのような賦形剤;トウモコロシデンプンまたはサツマイモデンプンなどのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウムまたはポリエチレングリコールワックスなどのような潤滑油などを用いることができ、甘味剤、芳香剤、シロップ剤なども用いることができる。さらに、カプセル剤の場合は、上記で言及した物質の他に、脂肪油のような液体担体などをさらに用いることができる。
【0022】
本発明の医薬組成物を用いた非経口用製剤の非制限的な例としては、注射液、坐剤、呼吸器吸入用粉末、スプレー用エアロゾル剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、クリームなどが挙げられる。本発明の医薬組成物を非経口投与用に製剤化するために、滅菌水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、外用剤などを用いることができ、前記非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性オイル、エチルオレエートのような注射可能なエステルなどを用いることができる。
【0023】
本発明の医薬組成物を注射液に製剤化する場合、本発明の医薬組成物を安定剤または緩衝剤と共に水において混合して溶液または懸濁液に製造し、それをアンプル(ampoule)またはバイアル(vial)の単位投与用に製剤化することができる。
【0024】
本発明の医薬組成物をエアロゾル剤に製剤化する場合、水分散した濃縮物または湿潤粉末が分散するように推進剤などを添加剤と共に配合することができる。
【0025】
本発明の医薬組成物を軟膏、クリーム、塗布用パウダー、オイル、皮膚外用剤などに製剤化する場合には、動物性オイル、植物性オイル、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などを担体として用いて製剤化することができる。
【0026】
本発明の化学式Iで表される化合物、その光学異性体、薬学的に許容可能な塩の1日投与量は、例えば、約0.1~10,000mg/kgの範囲、約1~8,000mg/kgの範囲、約5~6,000mg/kgの範囲、または約10~4,000mg/kgの範囲であってもよく、好ましくは、約50~2,000mg/kgの範囲であってもよいが、これらに制限されず、1日に1回~数回に分けて投与できる。
【0027】
本発明の医薬組成物の薬学的有効量、有効投与量は、医薬組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間および/または投与経路などに応じて様々であり、薬学組成物の投与により達成しようとする反応の種類と程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食餌、排泄、該個体に同時または異時に共に用いられる薬物その他の組成物の成分などをはじめとする様々な因子および医薬分野で周知の類似因子に応じて様々であり、当該技術分野における通常の知識を有した者であれば、目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定し処方することができる。
【0028】
本発明の医薬組成物の投与は、1日に1回投与されてもよく、数回に分けて投与されてもよい。本発明の医薬組成物は、個別治療剤として投与するか、または他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与されてもよい。前記要
素を全て考慮して副作用なしに最小限の量で最大の効果を得ることができる量をもって投与することができ、これは本発明が属する技術分野における通常の技術者により容易に決定できる。
【0029】
本発明の医薬組成物は、単独で用いても優れた効果を発揮することができるが、治療効率を増加させるためにさらにホルモン治療、薬物治療などの様々な方法と併用して用いることができる。
【0030】
また、本発明は、前記化学式Iで表される化合物、その異性体またはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要とする個体に治療学的に有効な量で投与するステップを含むループス治療方法を提供する。
【0031】
本発明で用いられる用語「治療学的に有効な量」とは、ループスの治療に有効な前記化学式Iで表される化合物の量を示す。
【0032】
本発明の治療方法において、前記化学式Iで表される化合物、その異性体またはその薬学的に許容可能な塩の好適な総1日使用量は正しい医学的な判断範囲内で処置医によって決定され、例えば、約0.1~10,000mg/kgの範囲、約1~8,000mg/kgの範囲、約5~6,000mg/kgの範囲、または約10~4,000mg/kgの範囲であってもよく、好ましくは、約50~2,000mg/kg範囲の量を1日に1回~数回に分けて投与することができる。しかし、本発明の目的上、特定の患者に対する具体的な治療的有効量は、達成しようとする反応の種類と程度、場合によっては他の製剤が用いられるか否かをはじめとする具体的な組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および食餌、投与時間、投与経路および組成物の分泌率、治療期間、具体的な組成物と共に用いられるかまたは同時に用いられる薬物をはじめとする様々な因子と医薬分野で周知の類似因子に応じて異に適用することが好ましい。
【0033】
本発明のループス治療方法は、前記化学式Iで表される化合物を投与することによって、兆候の発現前に疾病そのものを取り扱うだけでなく、その兆候を阻害するか避けることもまた含む。疾患の管理において、特定の活性成分の予防的または治療学的な用量は、疾病または状態の特性と深刻度、そして活性成分が投与される経路に応じて様々である。用量および用量の頻度は、個別患者の年齢、体重および反応に応じて様々である。好適な用量用法は、このような因子を当然に考慮する本分野の通常の知識を有した者により容易に選択できる。また、本発明のループス治療方法は、前記化学式Iで表される化合物と共に疾患の治療に有用な追加の活性製剤の治療学的に有効な量の投与をさらに含むことができ、追加の活性製剤は、前記化学式Iの化合物と共にシナジー効果または相加効果を示すことができる。
【0034】
また、本発明は、ループスを治療するための薬剤の製造において、前記化学式Iで表される化合物、その異性体またはその薬学的に許容可能な塩の用途を提供しようとする。薬剤を製造するための前記化学式Iで表される化合物は、薬学的に許容される補助剤、希釈剤、担体などを混合することができ、その他の活性製剤と共に複合製剤に製造されて相乗作用を有することができる。
【0035】
本発明の医薬組成物、治療方法および用途において言及された事項は、互いに矛盾しない限り同様に適用される。
【発明の効果】
【0036】
本発明の化学式Iで表される化合物、その光学異性体またはその薬学的に許容可能な塩を含有する医薬組成物は、優れたループス治療効果を示し、ループスの予防または治療用
として広く活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の医薬組成物のTNFα分泌抑制効果を確認した結果を示す。
図2】本発明の医薬組成物の反応T細胞増殖抑制効果を確認した結果を示す。
図3】本発明の医薬組成物の調節T細胞機能調節効果を確認した結果を示す。
図4】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の体重減少症状の回復効果を示す。
図5】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の生存率向上効果を示す。
図6】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物のタンパク尿発生率減少効果を示す。
図7】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物のUP/C数値減少効果を示す。
図8】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の血清内anti-dsDNA抗体濃度減少効果を示す。
図9】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の血清内BUNおよびクレアチン濃度減少効果を示す。
図10】疾患動物モデルにおける腎臓の組織染色写真を示す。
図11】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の腎臓組織学的変化に及ぼす影響を示す。
図12】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の腎臓内IgGおよびC3沈着減少効果を示す。
図13】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物による血清内サイトカインパターン変化を示す。
図14】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の血清内CXCL10およびCCL2濃度減少効果を示す。
図15】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物のCD4およびCD8 T細胞発現比率に及ぼす影響を示す。
図16】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物がCD4+CD25+T細胞に及ぼす影響を示す。
図17】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物がCD4+CD25+T細胞に及ぼす影響を示す。
図18】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物のTreg、Th17、Th1、Th2細胞およびmaster regulator発現に及ぼす影響を示す。
図19】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物のCD138+細胞に及ぼす影響を示す。
図20】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の骨髄内PreBおよびProB細胞に及ぼす影響を示す。
図21】疾患動物モデルにおける本発明の医薬組成物の免疫グロブリンisotypeレベルに及ぼす影響を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下では、本発明について製造例および実施例を通じてより詳しく説明する。但し、これらの製造例および実施例は本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらの製造例および実施例に限定されるものではない。
【0039】
本発明の化合物255、280、374、416、461、476、500、530または532は大韓民国公開特許公報第2014-0128886号に記載された方法を利用して製造し、具体的な製造例は以下に記述する。各々の製造例において新たに命名された化学式は専ら該当製造例内においてのみ言及され、2以上の製造例において言及される
化学式は各々の製造例において独立に使われる。
【0040】
製造例1.化合物255 {N-(3-ブロモフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((N-(3-ブロモフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【化14】
【0041】
メチル4-(((3-ブロモフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(1.5g、3.09mmol)をアセトニトリル(50ml)に溶かした後、炭酸カリウム(1.28g、9.3mmol)とモルホリン(0.40ml、4.64mmol)を徐々に添加した。その後、温度を徐々に上げた後、80℃で3時間攪拌した。温度を室温にまで下げた後、ジメチルホルムアミド(50ml)をさらに添加し、再び温度を上げて80℃で5時間攪拌した。反応を終了させ、有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~50%)により精製して表題化合物(0.45g、33.6%)を透明オイルの形態で得た。
【0042】
[ステップ2]N-(3-ブロモフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化15】
【0043】
メチル4-((N-(3-ブロモフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.05g、0.12mmol)をメタノール(2ml)に溶かした後、ヒドロキシルアミン塩酸(0.040g、0.58mmol)を徐々に添加した。その後、水酸化カリウム(0.065g、1.15mmol)を入れ、室温で10分間攪拌した後、ヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、0.14ml、2.31mmol)を入れた。1日間室温で攪拌した後、減圧下で有機溶媒を濃縮させ、2N塩酸を入れて中和した後、有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過した後に濾過液を減圧濃縮させ、濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~80%)により精製して表題化合物(0.036g、72%)を白色固体の形態で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3-d6) δ 7.63 (d, 2 H, J = 7.8 Hz), 7.27 - 7.20 (m, 4 H),
7.13 (t, 1 H, J = 7.8 Hz), 6.96 (d, 1 H, J = 7.1 Hz), 4.83 (s, 2 H), 3.49 (brs,
4 H), 3.23 (brs, 4 H); MS (ESI) m/z 436 (M+ + H).
【0044】
製造例2.化合物280 {N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((ピリジン-2-イルアミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【化16】
【0045】
ピリジン-2-アミン(0.2g、2.13mmol)をメタノール(10ml)に溶かした後、メチル4-ホルミルベンゾエート(0.35g、2.13mmol)を添加した。室温で20分間攪拌した後、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.13g、2.13mmol)と酢酸(0.12ml、2.13mmol)を徐々に添加し、室温で5時間攪拌した。飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~30%)により精製して表題化合物(0.10g、19%)を透明オイルの形態で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.17 (d, 1 H, J = 5.8 Hz), 8.06 (d, 2 H, J = 8.4 Hz), 7.66 (t, 1 H, J = 7.8 Hz), 7.44 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 6.76 (t, 1 H, J = 6.7 Hz), 6.58 (d, 1 H, J = 8.6 Hz), 4.67 (d, 2 H, J = 6.0 Hz), 3.92 (s, 3 H)
【0046】
[ステップ2]メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【化17】
【0047】
メチル4-((ピリジン-2-イルアミノ)メチル)ベンゾエート(0.040g、0.16mmol)をジメチルホルムアミド(3ml)に溶かした後、炭酸カリウム(0.046g、0.33mmol)を徐々に添加した。その後、4-ニトロフェニルクロロホルメート(0.037g、0.18mmol)を添加し、温度を徐々に上げて50℃で2日間攪拌した。反応終了後、エチルアセテート層を飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~50%)により精製して表題化合物(0.048g、71%)を黄色オイルの形態で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.49 - 8.48 (m, 1 H), 8.24 (dd, 2 H, J = 7.0, 2.2 Hz), 8.17 (dd, 2 H, J = 7.2, 2.0 Hz), 8.00 (d, 2 H, J = 8.4 Hz), 7.78 (t, 1 H, J = 3.8 Hz), 7.44 (d, 2 H, J = 8.0 Hz), 6.91 (dd, 2 H, J = 7.3, 2.1 Hz), 5.39 (brs, 2 H), 3.92 (s, 3 H); MS (ESI) m/z 408 (M+ + H)
【0048】
[ステップ3]メチル4-((N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido))メチル)ベンゾエートの合成
【化18】
【0049】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.040g、0.098mmol)をジメチルホルムアミド(5ml)に溶かした後、炭酸カリウム(0.040g、0.30mmol)とモルホリン(0.013ml、0.15mmol)を徐々に添加した。その後、温度を徐々に上げた後、80℃で3時間攪拌した。反応を終了させ、飽和塩化アンモニウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥、濾過した後に濾過液を減圧濃縮した。濃縮液をカラムクロマトグラフィー法(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=0~50%)により精製して表題化合物(0.022g、63%)を淡い黄色固体の形態で得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.37 - 8.35 (m, 1 H), 7.95 (d, 2 H, J = 8.4 Hz), 7.60 - 7.58 (m, 1 H), 7.47 (d, 2 H, J = 8.4 Hz), 6.94 - 6.89 (m, 2 H), 5.13 (s, 2 H), 3.89 (s, 3 H), 3.53 - 3.51 (m, 4 H), 3.31 - 3.29 (m, 4 H)
【0050】
[ステップ4]N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化19】
【0051】
メチル4-((N-(ピリジン-2-イル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido))メチル)ベンゾエート(0.022g、0.062mmol)をMeOH(2ml)に溶かした後、ヒドロキシルアミン塩酸(0.022g、0.31mmol)を徐々に添加した。その後、水酸化カリウム(0.035g、0.62mmol)を入れ、室温で10分程度攪拌した後、ヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、0.082mL、1.24mmol)を入れた。1日間室温で攪拌した後、減圧下で有機溶媒を濃縮させ、2N HClを入れて中和した後、飽和塩化ナトリウム水溶液で3回洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過して表題化合物(0.007g、32%)を白色固体の形態で得た。
1H NMR (400 MHz, MeOD-d3) δ 8.32 (d, 1 H, J = 3.6 Hz), 7.72 (t, 1 H, J = 6.6 Hz), 7.67 (d, 2 H, J = 8.2 Hz), 7.48 (d, 2 H, J = 8.2 Hz), 7.08-7.01 (m, 2 H), 5.08 (s, 2 H), 3.52 (t, 4 H, J = 4.8 Hz), 3.29 (t, 4 H, J = 4.8 Hz); MS (ESI) m/z
357 (M++ H).
【0052】
製造例3.化合物374 {N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((3-(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチル)ベンゾエート)の合成
【化20】
【0053】
3-(トリフルオロメチル)ベンゼンアミン(0.30g、1.84mmol)と炭酸カリウム(0.76g、5.53mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(5mL)に溶かした後、メチル4-(ブロモメチル)ベンゾエート(0.42g、1.84mmol)を入れた。常温で1日間反応し、エチルアセテートで薄めた。反応物を水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して表題化合物(0.37g、65%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.93 (d, 2 H, J = 8.3 Hz), 7.49 (d, 2 H, J = 8.3 Hz), 7.24 (t, 1 H, J = 7.9 Hz), 6.88-6.78 (m, 4 H), 4.42 (d, 2 H, J = 6.1 Hz), 3.83 (s, 3H), MS (ESI) m/z 310 (M+ + H).
【0054】
[ステップ2]メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【化21】
【0055】
メチル4-((3-(トリフルオロメチル)フェニルアミノ)メチル)ベンゾエート(0.26g、0.82mmol)と4-ニトロフェニルカルボノクロリダート(0.33g、1.65mmol)をアセトニトリル(10ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.34g、2.47mmol)を入れた。常温で1日間反応し、エチルアセテートで薄めた。反応物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して無色オイル形態の表題化合物(0.35g、89%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.20 (d, 2 H, J = 10.2 Hz), 8.01 (d, 2 H, J = 7.8 Hz), 7.56-7.46 (m, 3H), 7.35 (d, 3 H, J = 8.0 Hz), 7.26 (d, 2 H, J = 8.1 Hz), 5.01 (bs, 2H), 3.90 (s, 3H).
【0056】
[ステップ3]メチル4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【化22】
【0057】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.29g、0.60mmol)をジメチルホルムアミド(10ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.25g、1.81mmol)とモルホリン(0.05ml、0.60mmol)を入れた。60℃で2日間反応させた後、飽和塩化アンモニウム溶液で薄めた。エチルアセテートで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=50%)により精製して表題化合物(0.15g、60%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.97 (d, 2 H, J = 8.2 Hz), 7.43-7.32 (m, 5H), 7.20 (d, 1 H, J = 8.0 Hz), 4.94 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.50 (t, 4 H, J = 4.8 Hz), 3.25 (t, 4 H, J = 4.8 Hz); MS (ESI) m/z 423 (M+ + H).
【0058】
[ステップ4]N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化23】
【0059】
メチル4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.15g、0.36mmol)をメタノール(5ml)に溶かし、ヒドロキシルアミン水溶液(50wt%、1mL)と水酸化カリウム(0.10g、1.81mmol)を入れて一晩攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧蒸留して除去し、エチルアセテートと水を用いて抽出(work up)した。無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルにおいて攪拌して固体生成物を作り、濾過した後に乾燥して白色固体形態の表題化合物(0.082g、54%)を得た。
1HNMR (400 MHz, MeOD-d3) δ 11.14 (brs, 1 H), 8.99 (brs, 1 H), 7.85 (d, 2 H, J
=8.0 Hz), 7.66-7.27 (m, 6 H), 4.94 (s, 2 H), 3.41 (s, 2 H), 3.15 (s, 2 H). MS (ESI) m/z 424 (M+ + H).
【0060】
製造例4.化合物416 {N-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((N-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【化24】
【0061】
メチル4-(((2,4-ジフルオロフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.50g、1.13mmol)と1-メチルピペラジン(0.126ml、1.13mmol)をジメチルホルムアミド(10ml)に溶かし、60℃で2日間加熱攪拌を行った。ジメチルホルムアミドを減圧除去し、反応混合物に水を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;メタノール/ジクロロメタン=5%)および濃縮して表題化合物(0.46g、101%)を黄色オイルの形態で得た。
【0062】
[ステップ2]N-(2,4-ジフルオロフェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化25】
【0063】
メチル4-((N-(2,4-ジフルオロフェニル)-4-メチルピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.22g、0.545mmol)をメタノール(20ml)に溶かした後、ヒドロキシルアミン塩酸(0.189g、2.73mmol)と水酸化カリウム(0.306g、5.45mmol)を添加し攪拌した後、ヒドロキシルアミン(50wt%水溶液;0.701ml、10.9mmol)を滴加し、その後、3時間室温攪拌を行った。反応終了後、メタノールを減圧除去し、反応混合物に水を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。その後、ジクロロメタンに溶かした後にヘキサンを添加して固体を析出させ、それをフィルタ乾燥して表題化合物(0.154g、70%)を黄色固体の形態で得た。
1HNMR (400 MHz, MeOD-d3) δ 7.65 (d, 2 H, J =8.2 Hz), 7.40 (d, 2 H, J = 8.2 Hz), 7.26 - 7.25 (m, 1 H), 7.04 - 6.96 (m, 2 H), 4.79 (s, 2 H),
3.25 - 3.23 (m, 4 H), 2.24 - 2.21 (m, 7 H); MS (ESI) m/z 405.1 (M+ + H).
【0064】
製造例5.化合物461 {4-エチル-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((4-エチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【化26】
【0065】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.346g、0.73mmol)をジメチルホルムアミド(10ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.30g、2.19mmol)と1-エチルピペラジン(0.09ml、0.73mmol)を入れた。60℃で1日間反応させた後にエチルアセテートで薄め、飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=50%)により精製して表題化合物(0.15g、46%)を得た。
【0066】
[ステップ2]4-エチル-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化27】
【0067】
メチル4-((4-エチル-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.15g、0.33mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、ヒドロキシルアミン(50wt%水溶液、0.20mL)と水酸化カリウム(0.09g、1.67mmol)を入れて一晩攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧蒸留して除去し、エチルアセテートと水を用いて抽出(work up)した。無水硫酸マグネシウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルにおいて攪拌して固体を作り、濾過した後に乾燥して黄色固体形態の表題化合物(0.09g、61%)を得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.1 (brs, 1 H), 7.65 (d, 2 H, J = 8.2 Hz), 7.51 (t, 1 H, J = 7.9 Hz), 7.41-7.36 (m, 5 H), 4.92 (s, 2 H), 3.17-3.14 (m, 4 H), 2.25, 2.22 (ABq, 2 H, J = 12.4, 7.2 Hz), 2.18-2.15 (m, 4 H), 0.92 (t, 3 H, J = 7.2 Hz); MS (ESI) m/z 451.1 (M+ + H).
【0068】
製造例6.化合物476 {3,3-ジフルオロ-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((3,3-ジフルオロ-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【化28】
【0069】
メチル4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.24g、0.51mmol)をジメチルホルムアミド(5ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.21g、1.52mmol)と3,3-ジフルオロアゼチジン塩酸塩(0.13g、1.10mmol)を入れた。60℃で2日間反応させた後、飽和塩化アンモニウム溶液で薄めた。エチルアセテートで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30%)により精製して表題化合物(0.14g、63%)を得た。
【0070】
[ステップ2]3,3-ジフルオロ-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化29】
【0071】
メチル4-((3,3-ジフルオロ-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アゼチジン-1-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.14g、0.32mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、ヒドロキシルアミン水溶液(50wt%、0.2mL)と水酸化カリウム(0.09g、1.60mmol)を入れて一晩攪拌した。反応終了後、メタノールを減圧蒸留して除去し、エチルアセテートと水を用いて抽出(work up)した。無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をジエチルエーテルにおいて攪拌して固体生成物を作り、濾過した後に乾燥して白色固体形態の表題化合物(0.072g、52%)を得た。
【0072】
製造例7.化合物500 {N-(3-(フルオロメチル)フェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((N-(3-(フルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【化30】
【0073】
4-((N-(3-(ヒドロキシメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)安息香酸(1.25g、3.25mmol)をジクロロメタン(20mL)に溶かし、0℃でジエチルアミノ硫黄トリフルオリド(DAST、0.424mL、3.58mmol)を添加し、同じ温度で1時間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30~50%)および濃縮して表題化合物(0.617g、49%)を無色液体の形態で得た。
【0074】
[ステップ2]N-(3-(フルオロメチル)フェニル)-N-(4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化31】
【0075】
メチル4-((N-(3-(フルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.100g、0.259mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、室温でヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、1.11mL、18.1mmol)を添加した。その次に、水酸化カリウム(0.145g、2.59mmol)を添加した後、同じ温度で30分間攪拌した。その後、反応混合物を減圧下で溶媒を除去して得られた濃縮物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物にジクロロメタン(5ml)とヘキサン(30ml)を入れて攪拌した後に析出された固体を濾過し乾燥して表題化合物(0.089g、89%)を白色固体の形態で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.12 (brs, 1 H), 8.98 (brs, 1 H), 7.64 (d, 2 H, J = 8.3 Hz), 7.36 - 7.32 (m, 3 H), 7.20 (s, 1 H), 7.15 (d, 1 H, J = 7.5 Hz), 7.09 (d, 1 H, J = 7.4 Hz), 5.36 (d, 2 H, J = 47.5 Hz), 4.87 (s, 2 H), 3.39 (t, 4 H,
J = 4.6 Hz), 3.13 (t, 4 H, J = 4.6 Hz). MS (ESI) m/z 388 (M+ + H).
【0076】
製造例8.化合物530 {N-(3-フルオロフェニル)-N-(4-ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]メチル4-((3-フルオロフェニルアミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【化32】
【0077】
メチル4-ホルミルベンゾエート(1.47g、8.99mmol)とメタノール(5
0ml)に溶かした後、3-フルオロベンゼンアミン(1.0g、8.99mmol)を入れた。常温で3時間反応し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(NaCNBH)(0.56g、8.99mmol)と酢酸(1.03ml、17.99mmol)を入れた。反応物を常温で1日間反応した後に反応溶媒を減圧して除去し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して表題化合物(1.84g、79%)を得た。
【0078】
[ステップ2]メチル4-(((3-フルオロフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【化33】
【0079】
メチル4-((3-フルオロフェニルアミノ)メチル)ベンゾエート(2.7g、10.4mmol)と4-ニトロフェニルクロロホルメート(4.20g、20.8mmol)をアセトニトリル(100mL)に溶かし、炭酸カリウム(4.32g、31.2mmol)を入れた。常温で1日間反応し、エチルアセテートで薄めた。反応物を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=20%)により精製して無色オイル形態の表題化合物(2.65g、60%)を得た。
【0080】
[ステップ3]メチル4-((N-(3-フルオロフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート)の合成
【化34】
【0081】
メチル4-(((3-フルオロフェニル)((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.32g、0.75mmol)をジメチルホルムアミド(5ml)に溶かし、炭酸カリウム(0.31g、2.24mmol)とモルホリン(0.13mL、1.49mmol)を入れた。60℃で1日間反応させた後、飽和塩化アンモニウム溶液で薄めた。エチルアセテートで抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥濾過し減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30%)により精製して表題化合物(0.13g、45%)を得た。
【0082】
[ステップ4]N-(3-フルオロフェニル)-N-(4-ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化35】
【0083】
メチル4-((N-(3-フルオロフェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.108g、0.290mmol)をメタノール(10mL)に溶かし、室温でヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、1.19mL、19.4mmol)を添加した。その次に、水酸化カリウム(0.156g、2.78mmol)を添加した後、同じ温度で16時間攪拌した。その後、反応混合物を減圧下で溶媒を除去して得られた濃縮物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。析出された固体を濾過し乾燥して表題化合物(0.062g、57%)を白色固体の形態で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.14 (brs, 1 H), 8.99 (brs, 1 H), 7.65 (d, 2 H, J = 7.0 Hz), 7.38-7.30 (m, 3H), 7.05-6.85 (m, 3H), 4.89 (s, 1H), 3.44-3.42 (m, 4H), 3.18-3.15 (m, 4H), 2.08 (s, 3H). MS (ESI) m/z 374 (M+ + H).
【0084】
製造例9.化合物532 {N-(2-フルオロ-4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)}の合成
[ステップ1]3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾニトリルの合成
【化36】
【0085】
3-(トリフルオロメチル)アニリン(0.998mL、8.068mmol)をアセトニトリル(60mL)に溶かし、室温で4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリル(2.072g、9.682mmol)とDIPEA(2.143mL、12.102mmol)を添加し、同じ温度で1日間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、エチルアセテートで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=5~20%)および濃縮して表題化合物(2.380g、64.4%)を黄色液体の形態で得た。
【0086】
[ステップ2]3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)安息香酸の合成
【化37】
【0087】
3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾニトリル(2.310g、7.850mmol)と水酸化リチウム(3.294g、78.505mmol)をメタノール(40mL)/HO(20mL)に混ぜた反応混合物を16時間加熱還流した後に室温に下げ、反応混合物を減圧下で濃縮した。2M塩酸水溶液を入れてpH=1に作り、析出された固体を濾過した後に乾燥して表題化合物(1.700g、69.1%)を白色固体の形態で得た。
【0088】
[ステップ3]メチル3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【化38】
【0089】
3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)安息香酸(1.700g、5.427mmol)、メタノール(4.402mL、108.540mmol)、EDC(2.081g、10.854mmol)、HOBt(1.467g、10.854mmol)、そしてDIPEA(2.883mL、16.281mmol)を室温でテトラヒドロフラン(50mL)に溶かした反応溶液を同じ温度で16時間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=10~40%)および濃縮して表題化合物(1.500g、84.5%)を無色液体の形態で得た。
【0090】
[ステップ4]メチル3-フルオロ-4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエートの合成
【化39】
【0091】
メチル3-フルオロ-4-(((3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチ
ル)ベンゾエート(1.500g、4.583mmol)、4-ニトロフェニルカルボノクロリダート(1.848g、9.167mmol)、そして炭酸カリウム(1.900g、13.750mmol)を室温でアセトニトリル(80mL)に溶かした反応溶液を同じ温度で16時間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=10~40%)および濃縮して表題化合物(0.927g、41.1%)を無色液体の形態で得た。
【0092】
[ステップ5]メチル3-フルオロ-4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエートの合成
【化40】
【0093】
メチル3-フルオロ-4-((((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)(3-(トリフルオロメチル)フェニル)アミノ)メチル)ベンゾエート(0.129g、0.262mmol)、モルホリン(0.046mL、0.524mmol)、そして炭酸カリウム(0.109g、0.786mmol)を60℃でN,N-ジメチルホルムアミド(5mL)に溶かした反応溶液を同じ温度で2日間攪拌した後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで水分を除去した後に減圧下で濃縮した。濃縮物をカラムクロマトグラフィー法により精製(二酸化珪素;エチルアセテート/ヘキサン=30~60%)および濃縮して表題化合物(0.094g、81.5%)を無色液体の形態で得た。
【0094】
[ステップ6]N-(2-フルオロ-4-(ヒドロキシカルバモイル)ベンジル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキサミド(carboxamide)の合成
【化41】
【0095】
メチル3-フルオロ-4-((N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)モルホリン-4-カルボキシアミド(carboxamido)メチル)ベンゾエート(0.094g、0.213mmol)とヒドロキシルアミン(50.0wt%水溶液、0.071g、2.134mmol)をメタノール(5mL)に溶かし、室温で水酸化カリウム(0.060g、1.067mmol)を添加し、同じ温度で2時間攪拌した後、反応混合物を減圧下で濃縮した。濃縮物にジエチルエーテル(10mL)を入れて攪拌した後に析出された固体を濾過し乾燥して化合物532(0.068g、72.2%)を明るい黄色固体の形態で得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 11.2 (brs, 1 H), 9.13 (brs, 1 H), 7.57 - 7.42 (m,
7 H), 4.94 (s, 2 H), 3.44 - 3.34 (m, 4 H), 3.18 - 3.12 (m, 4 H); MS (ESI) m/z 442.1 (M++ H).
【0096】
製造例10.SLEモデルマウスの製造
NZB/W F1雌マウス80匹(4週齢)をJackson Laboratory
and miantainedから購入して、ケージ当たり5匹ずつSPF飼育室で飼育した。24週齢(投与直前)の時に体重および尿タンパクを測定して、激しい尿タンパクを示す個体は除き、尿タンパクおよび体重が均等に分布するように下記表2のように群分離をした。
【0097】
【表2】
【0098】
その次に、マウスに24週齢から42週齢まで約19週間表2に記載されたような投与を毎日実施した。
【0099】
マウスの新鮮尿の採取を投与前および投与後2週間隔で実施し、採血を投与前および投与後4週間隔で実施した。採集された血液は遠心分離して血清を収集した後に-70℃に保管した。
【0100】
実施例1.免疫細胞株におけるTNFα分泌抑制効果の確認(in vitro)
免疫反応において本発明の化合物のTNFα分泌抑制効能を確認するために、LPSで刺激されたヒト単核白血球細胞株(THP-1)における本発明の化合物374、461、500、530、532の処理によるTNFαの生成程度を酵素免疫測定法(ELISA)により定量した。
【0101】
具体的には、THP-1細胞株(ATCC)の培養には10% FBSを含むRPMI-1640培地を用いた。24ウェルプレートに各々のウェル当たり1×10細胞を分株した後、100ng/mL PMA(phorbol 12-myristate 13-acetate)を24時間処理してマクロファージに分化させた。その後、新しい培養培地に交替し、24時間テスト薬物を処理し、10ng/mL LPS(E.Coli、O55:B5)を4時間処理して細胞を刺激した。その後、上澄み液を取って、細胞
から分泌されたTNFaの量をHuman TNFa Instant ELISA kit(eBioscience、BMS223INST)を用いて、製造会社が提供したプロトコルに従って測定した。
【0102】
その結果、全ての実験群において、LPSで炎症反応を誘発した対照群に比べて、TNFα分泌レベルが減少したことが明らかになった。特に、化合物374、461および500は、100nMおよび300nM濃度の全てにおいてLPSで炎症反応を誘発しないレベルにTNFα分泌レベルが顕著に減少した。また、化合物530および532において、100nMから300nMに化合物の処理濃度を増加させる場合、TNFα分泌レベルが急激に減少した(図1)。
【0103】
前記実験結果は、本発明の化合物がループスにおいて代表的に増加する炎症反応因子であるTNFαの分泌を非常に効果的に抑制することにより、ループスに現れる炎症反応を効果的に抑制することを示す。
【0104】
実施例2.反応T細胞増殖抑制効果の確認(in vitro)
本発明の化合物の免疫反応において反応T細胞増殖抑制効能を確認するために、LPSで刺激されたヒト単核白血球細胞株(THP-1)における本発明の化合物255、280、374、416、476を反応T細胞と調節T細胞と共に培養した後の調節T細胞の増殖抑制効能を測定した。
【0105】
具体的には、6週齢のC57BL6雄マウスを中央実験動物(株)から供給を受けて1週間馴化した後に実験に用いた。マウスから脾臓を分離した後、collagenase
D(Roche、11088866001)を処理してsplenocyteに分離した。CD4+CD25+regulatory T cell isolation kit(Miltenyi Biotec、130-091-041)を用いてTreg(CD4+CD25-)とTeff(CD4+CD25+)を製造会社が提供したプロトコルに従って分離し出した。eFluor670(Cell proliferation Dye eFluor670、eBioscience)で37℃で10分間Teff細胞を培養して細胞膜を染色した。96ウェルプレートにTeffとTregを2:1の比率で分株し、anti-CD3εとanti-CD28 mAb magnetic bead(T cell activation/expansion kit、Miltenyi Biotec、130-093627)を用いて3日間T細胞を活性化させてTreg suppression assayを行った。テスト薬物は、assayが行われる3日間同時処理された。Teff細胞膜にlabelingされたeFluor670の分割された量を測定してT細胞の増殖度を評価した。eFluor670-dilution plotは、フローサイトメーター(FACS LSR Fortessa、BD bioscience)を用いて測定した(FACS LSR Fortessa、BD bioscience)。T細胞増殖抑制能は、次のような数式によって計算した。
【0106】
【数1】
【0107】
その結果、全ての実験群において、反応T細胞増殖が抑制されることが明らかになった。実験に用いられた本発明の化合物は、200nMの処理時に最大2倍を越える反応T細胞増殖抑制率(suppression ratio)を示し、500nMの処理時に最大4倍に達する顕著なT細胞増殖抑制効果を示した(図2)。
【0108】
前記実験結果は、本発明の化合物がループスにおいて過度に活性化した反応T細胞の分化を効果的に抑制することを示す。
【0109】
実施例3.調節T細胞機能調節効果の確認(in vitro)
本発明の化合物が免疫反応において調節T細胞の機能を調節するかを確認するために、化合物255、280、374、416、476の処理後、調節T細胞において免疫チェックポイント受容体CTLA4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)の発現レベルをフローサイトメトリーにより測定した。
【0110】
具体的には、6週齢のC57BL6雄マウスを中央実験動物から供給を受けて1週間馴化した後に実験に用いた。マウスから脾臓を分離した後、collagenase D(Roche、11088866001)を処理してsplenocyteに分離した。CD4+CD25+regulatory T cell isolation kit(Miltenyi Biotec、130-091-041)を用いてCD4+CD25-T細胞を分離し、5×10cells/wellのCD4+CD25-T細胞を6日間anti-CD3ε/anti-CD28 mAb bead(T cell activation/expansion kit、Miltenyi Biotec、130-093627)とマウス組み換えTGF-β2を6日間処理してiTregに分化させた。テスト薬物は、iTregに分化する6日間同時処理された。その後、anti-CD4/anti-CD25 mAb(eBioscience、25-0042-82、17-0251-82)を用いて4℃で20分間incubationしてlabelingした。細胞質内染色のために、Fix/permeabilization buffer(eBioscience、00-5523-00)を用いてpermeabilizationし、anti-FOXP3-Alexafluor488(eBioscience、53-5773-82)とanti-CTLA4-PE(eBioscience、12-1522-82)を用いてlabelingした後、FACS LSR
Fortessa(BD bioscience)を用いてフローサイトメトリーを行った。
【0111】
その結果、本発明の化合物の処理後、T細胞のCTLA4発現レベルが増加したことを確認した。特に化合物255、374および476化合物の場合、500nM以上の濃度において40%以上のT細胞がCTLA4発現が増加したことが明らかになった。化合物255は、1000nMの処理時、細胞毒性が激しくてデータ分析を進めることができなかった(図3)。
【0112】
前記実験結果は、本発明の化合物が調節T細胞の機能を向上させることによって、ループスに現れる反応T細胞の過度な活性が効果的に調節できることを示す。
【0113】
実施例4.動物モデルでの体重回復効果
マウスの体重変化を確認した結果、初めての4週間は投与後に体重が全体的に減少する様相を示したが(エタノール+Kolliphor+salineからなる溶媒による作用であると考えられる)、36週齢以後には、陰性対照群より陽性対照群の方が明らかな体重回復効果を示した。実験群の場合、10mg/kg用量投与群は40週付近から陽性対照群と同じレベルに体重が回復し、30および50mg/kg用量投与群は陽性対照群よりも優れた体重回復効果を示した(図4)。
【0114】
実施例5.動物モデルでの生存率改善効果
NZB/W F1雌マウスは、ヒトSLE疾患モデルとして用いられ、何の治療もしな
ければ、免疫複合体性糸球体腎炎によって12ヶ月頃(約52週齢)にいずれも死亡することが知られている。
【0115】
本発明の医薬組成物がSLE動物モデルにおいて生存率改善効果を発揮するかを確認するために、24週齢から42週齢まで毎日NZB/W F1雌マウスの生存率を測定した。
【0116】
その結果、約32週齢以前までは全ての群において生存率に変化がなく、何の薬物処理もしていない陰性対照群の場合、35週齢以後からマウス生存率が急激に減少して、42週齢に達しては15匹のうち7匹のマウスが死亡した(生存率が約53.3%)。その反面、陽性対照群と実験群は、いずれも陰性対照群より優れた生存率回復様相を示した。特に、42週齢において、10mg/kg用量投与群は15匹のうち4匹(生存率が約73.3%)だけが死亡し、30mg/kgおよび50mg/kg用量投与群は驚くべきことに1匹(生存率が約93.3%)のみが死亡しており、本発明の医薬組成物がSLE動物モデルにおいて顕著に優れた生存率改善効果を発揮することを確認した(図5)。
【0117】
実施例6.動物モデルでのタンパク尿減少効果
SLE疾患の代表的な症状であるタンパク尿の生成に本発明の医薬組成物が治療的効果を発揮するかを確認するために、2週間隔でマウスの尿を採取してCBB(Commassie brilliant blue)方法によりUP/C(尿タンパク:クレアチン比率)を測定した。尿クレアチニン濃度は、尿を100倍薄めて、血清化学分析機器(Dri-CHEM 3000 colorimetric analyzer、Fujifilm)により測定した後に希釈倍数を補正して求めた。
【0118】
その結果、陰性対照群の場合は24週齢から42週齢まで300mg/dl以上の激しいタンパク尿発生率を示す比率が急激に増加したのに対し、実験群の場合はこのような激しいタンパク尿発生率が顕著に改善されたことを確認した。特に42週齢において300mg/dl以上の激しいタンパク尿発生率は、陰性対照群は80%であるのに対し、陽性対照群は20%であり、10、30および50mg/kgの投与群は各々60%、6.7%および0%として顕著に優れたタンパク尿減少効果を示した(図6)。
【0119】
一方、36週齢のマウスにおけるUP/Cは全ての実験群において顕著に減少し、42週齢のマウスの場合も10mg/kg投与群を除いた全ての実験群において陰性対照群よりUP/C数値が減少したことを確認した(図7)。
【0120】
実施例7.動物モデルでの血清内anti-dsDNA抗体濃度減少効果
本発明の医薬組成物がSLEモデル動物に現れる増加したanti-dsDNA抗体濃度を減少できるかを確認するために、マウスanti-dsDNA ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)kit(Shibayagi)を用いて、マウス血清内anti-dsDNA抗体濃度を測定した。
【0121】
その結果、全ての実験群において約28週齢以後に血清内anti-dsDNA抗体濃度が陰性対照群より減少する傾向を示し、特に50mg/kg投与群の場合、血清内anti-dsDNA抗体濃度が陰性対照群より最大2倍以上顕著に減少することを確認した(図8)。
【0122】
実施例8.動物モデルでのBUNおよび血清クレアチニン濃度減少効果
SLEモデルマウスでの腎臓機能を評価するために、1ヶ月間隔で採取されたマウス血清(24、28、32、36、40週齢および剖検時)におけるBUNおよびクレアチン濃度をDri-CHEM 3000 colorimetric analyzer(F
uji film)を用いて測定した。
【0123】
その結果、実験群はBUNおよび血清クレアチン濃度が対照群に比べて向上したことを確認し、特に40週齢において顕著に優れたBUNおよび血清クレアチン濃度減少効果を確認した(図9)。
【0124】
実施例9.動物モデルでの腎臓組織学的変化
SLE疾患モデルでの本発明の医薬組成物が腎臓に及ぼす影響を調査するために、組織病理学的評価を行った。
【0125】
先ず、剖検時に収集したマウス左側腎臓の1/2は10% neutral buffered formalinに固定し、パラフィンブロックに作製した。その次に、ヘマトキシリンおよびエオシン染色(H&E、BBC Biochemical、Mount
Vernon、WA、USA)、periodic acid-schiff染色(PAS、BBC Biochemical)、およびMasson’s trichrome染色(BBC Biochemical)を実施して組織病理学的評価を行った。
【0126】
その結果、陰性対照群は多くの炎症細胞浸潤とmesangial proliferation所見が観察され、PAS染色時、拡張されたtubuleとtubule内castが多く観察され、Massion trichrome染色時、fibrosisパターンが顕著に観察された(図10)。
【0127】
次に、炎症細胞浸潤程度に応じて0~4まで点数を付けた時(0:no infiltration、4:severe infiltration)、実験群マウスの腎臓の場合、炎症細胞浸潤程度が減少し、特に30および50mg/kg投与群の場合、顕著に優れた炎症細胞浸潤減少効果を確認した(図11)。
【0128】
実施例10.動物モデルでの腎臓内IgGおよびC3沈着減少効果の確認
SLE疾患モデルでの腎臓に対する本発明の医薬組成物の治療的効果を確認するために、糸球体内IgGおよびC3の沈着程度を測定した。
【0129】
実施例9で行われた剖検時に収集した左側腎臓の残りの1/2に対し、OCT compoundを用いて、frozen sectionのための凍結組織ブロックを準備し、本発明が属する技術分野で公知の方法によりIgGとC3蛍光免疫染色を実施した。
【0130】
具体的には、凍結組織を4μmの厚さにセクションして、冷たいアセトンに5分間固定させた後、PBS(phosphate buffered saline)で5分間2回洗浄した。非特異的反応を無くすために1%牛血清アルブミンと0.05%のtween-20が添加されたPBS溶液で30分間ブロッキングした後、FITC-コンジュゲートしたヤギanti-マウスIgG抗体(1:200、AP308F、Merck Millipore)またはFITC-コンジュゲートしたヤギanti-マウスC3抗体(1:100、Cappel 55500、MP Bio)を用いて常温で1時間反応させた。その次に、PBSで5分間3回洗浄した後、DAPIを含むmounting mediumでカバーガラスを覆い、共焦点レーザー走査型顕微鏡(LSM 700、ZEISS)を用いて観察した。
【0131】
その結果、実験群はIgGおよびC3沈着レベルが減少し、特に50mg/kg投与群は顕著な沈着減少レベルが確認された(図12)。
【0132】
実施例11.動物モデルでの血清サイトカイン濃度
SLE疾患マウスでの、本発明の医薬組成物が血清内サイトカインレベルの変化に及ぼす影響を分析するために、Mouse cytokine Milliplex MAP
kit(Merck Millipore)を用いて、血清内GM-CSF、IFN-γ、IL-1α、IL-1β、IL-10、IL-12(p70)、IL-15、IL-17a、IL-2、IL-4、IL-6、TNF-α、TGF-β、IL-22、IL-23レベルを測定した。その結果を表3に示す。
【0133】
【表3】
【0134】
群から得られたデータは、クラスカル・ウォリス検定(p<0.05)、P<0.05対Cグループ(マン・ホイットニーのU検定)を使用して比較した。
【0135】
表3を参照すれば、陽性対照群は陰性対照群に比べてIL-10、IL-12、IL-15、IL-17およびTNF-αが減少する傾向を示し、実験群マウスにおいて血清内IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、TNF-αおよびIL-22濃度が減少した反面、TGF-βレベルは上昇したことを確認した。特に、対照群に比べて、50mg/kgの用量投与実験群はIL-10、IL-15、IL-17A、TNF-αおよびIL-22が有意に低く、TGF-βが有意に高いことを確認した(図13)。
【0136】
これと関連し、SLE患者の場合、健康な人よりIL-6、IL-10、IL-17、IL-23およびIFN-γの血清濃度が有意に高く、TGF-βの血清濃度は有意に低いことが報告されている(文献[Zickert A et al.、2015])。
【0137】
一方、36週齢の血清においてCXCL10(IFN-inducible protein 10、IP-10)とCCL2(MCP-1)レベルを測定した時、血清内CXCL10レベルは全ての実験群において減少し、CCL2レベルは50mg/kg用量投与群において減少したことを確認した(図14)。
【0138】
実施例12.動物モデルでの脾臓内T細胞発現様相
SLE疾患マウスでの脾臓内免疫T細胞の発現様相を評価するために、CD3、CD4、CD8a、CTLA4発現比率およびTreg proportion/Th1、Th2、Th17、Treg master regulator(T-bet、GATA-3、ROR-γt、Foxp3)発現様相を測定した。
【0139】
このために、先ず、マウス剖検時に得た脾臓に対して70μm cell strainer(BD)を用いて脾臓細胞を得て、赤血球をEL bufferを用いて溶血させた後、FACS緩衝液(5% BSA/PBS)で洗浄した。その次に、PerCP-cy5.5-コンジュゲートしたanti-マウスCD3(ebioscience、Sandiego、CA、USA)、PE-Cyanine7-コンジュゲートしたanti
-マウスCD8a(ebioscience)、FITC-コンジュゲートしたanti-CD4(BD)、APC-コンジュゲートしたanti-マウスCD25(BD)、PE-コンジュゲートしたanti-マウスFoxP3(BD)、PE-コンジュゲートしたanti-マウスRORγt(ebioscience)、PE-コンジュゲートしたanti-マウスT-bet(ebioscience)、PE-コンジュゲートしたanti-マウスGATA3(ebioscience)、PE-コンジュゲートしたanti-マウスCTLA4(ebioscience)抗体を用いて製造会社が推薦する濃度で染色した。
【0140】
脾臓細胞とcell surface marker抗体は直ちに反応させ、FoxP3、RORγt、T-bet、GATA3抗体を反応させる前にはFoxP3/Transcription Factor staining buffer setを用いて、脾臓細胞を固定し、permeabilizationさせた後に抗体と反応させた。CD3細胞中のCD4:CD8比率およびCD4+CD8-細胞、CD4-CD8+細胞、CD4+CD8+細胞、double negative T細胞の比率を測定して群間比較をし、Treg、Th17、Th1、Th2のmaster regulatorであるFoxP3、RORγt、T-bet、GATA3比率を調査するために、CD4+CD25+FoxP3+細胞、CD4+CD25+RORγt+細胞、CD4+CD25+T-bet+細胞、CD4+CD25+GATA3+細胞の比率を測定した。
【0141】
CD4、CD8発現パターンの分析
SLE患者の末梢血液単核球においてCD4-CD8-double negative T細胞の比率が増加しており、この細胞が炎症性サイトカインであるIL-17とIFN-γを産生することによって、SLE患者の腎損傷の病因論に寄与することが報告されている(文献[Shivakumar S et al.、1989];文献[Crispin JC et al.、2008])。
【0142】
CD3+cellsをgatingしてCD4とCD8の発現を測定した結果、CD4-CD+T細胞の比率は実験群において増加し、CD4-CD8-T細胞の比率はその逆に減少した。CD4+CD8-:CD4-CD8+T細胞の比率は、実験群において投与用量が増加するほど減少する傾向を示した(図15)。
【0143】
Treg、Th17、Th1およびTh2 master regulator発現パターンの分析
Treg、Th17、Th1、Th2 master regulatorのFoxp3、ROR-γt、T-bet、GATA-3の発現程度を調査するために、脾臓においてCD4+CD25+Foxp3+、CD4+CD25+RORγt+、CD4+CD25+T-bet+、CD4+CD25+GATA-3+細胞の比率を比較分析した時、群間有意性は見られなかった(図16)。
【0144】
一方、CD25+細胞比率は50mg/kg投与用量の実験群において対照群より有意に低く、CD4+CD25+細胞/CD4+細胞比率も有意に低かった(図17)。
【0145】
CD4+細胞にgatingして、T-bet、GATA-3、Foxp3、RORγtの発現を調査した結果、T-bet発現は、50mg/kg投与用量の実験群において対照群より有意に低かった。また、CD4+T-bet+/CD4+GATA-3+比率(CD4細胞でのTh1/Th2 master regulatorの発現比率)も30mg/kgおよび50mg/kg投与用量の実験群において対照群より有意に減少したことを確認した(図18)。
【0146】
CD138発現パターンの分析
CD138+細胞の比率は、陰性対照群に比べて陽性対照群は16.3%減少した反面、10mg/kg用量では21.2%、30mg/kg用量では25.2%、そして50mg/kg用量では31.6%減少したことを確認した(図19)。
【0147】
実施例13.動物モデルでの骨髄内PreBおよびProB細胞比率
マウス骨髄細胞においてpro B(B220+、CD43+)およびpre B(B220+、CD43-)細胞の比率をFACSを用いて測定した。このために、先ず、Femurを5% BSAを含有したPBSでflushingして、骨髄細胞を得た。その次に、赤血球をEL bufferを用いて溶血させ、FACS buffer(5%
BSA/PBS)で洗浄して、FITC-コンジュゲートしたanti-mouse CD43抗体(ebioscience)とPE-コンジュゲートしたanti-マウスCD220抗体(ebioscience)で染色して、Pre B(B220+CD43-)とPro B(B220+CD43+)細胞の比率を測定した。
【0148】
その結果、対照群に比べて、実験群はpre Bとpro B細胞の有意な比率変化は観察されなかった(図20)。
【0149】
実施例14.動物モデルでの血清内免疫グロブリンアイソタイプの変化
マウス剖検時に得た血清において免疫グロブリンアイソタイプ(IgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM)濃度をマウスアイソタイプ用Luminex assay kitを用いて測定した(R&D systems、Minneapolis、MN)。
【0150】
その結果、50mg/kg用量投与群においてIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM濃度は陰性対照群に比べて減少し、特にIgMの濃度は顕著に減少したことを確認した(図21)。
【0151】
実施例15.動物モデルでの血清化学の変化
SLE動物モデルでの長期間の薬物投与に応じた血清化学的な変化有無を確認するために、剖検時に得た血清においてALT、AST、ALP、総タンパク質、アルブミン、総コレステロール、TG、CPK、総ビリルビンおよびCa濃度をDri-CHEM 3000 colorimetric analyzer(Fujifilm)を用いて測定した。その結果は表4に示す。
【0152】
【表4】
【0153】
群から得られたデータは、クラスカル・ウォリス検定(†p<0.05)、*P<0.05対Cグループ(マン・ホイットニーのU検定)を使用して比較した,(ALT:al
anine aminotransferase、AST:aspartate aminotransferase、ALP:alkaline phosphatase、TBIL:total bilirubin、TCHOL:total cholesterol、TG:triglyceride、TP:total protein、CPK:creatine phosphokinase)
【0154】
以上、実施例において調べてみた通り、本発明の医薬組成物は、SLE疾患マウスの生存率を向上させ(図5)、タンパク尿発生率(図6)とanti-dsDNA抗体濃度(図8)、腎臓内IgGおよびC3浸潤レベルを減少させ(図12)、血清内サイトカインのうちIL-10、IL-12、IL-15、IL-17A、TNFαおよびIL-22レベル(図13)とCXCL10およびCCL2レベル(図14)を減少させ、TGF-βレベルを上昇させ(図13)、CD4-CD8-double negative T細胞の比率、CD4-CD8+細胞レベルに対するCD4+CD8-細胞レベルの比率(図15)、CD4+T-bet+/CD4+GATA3+の比率(図16)、CD4+細胞レベルに対するCD4+CD25+細胞レベルの比率(図17)、およびCD138+細胞レベル(図19)を減少させたことを確認したところ、前記結果から、本発明の医薬組成物は、SLEを含むループスの治療に顕著に優れた効果があることが分かる。
【0155】
以上で本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当該技術分野における通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好ましい実現例に過ぎず、これに本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。よって、本発明の実質的な範囲は添付の請求の範囲とその等価物により定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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