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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】客室モジュール
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/00 20060101AFI20220705BHJP
【FI】
B64D11/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020542142
(86)(22)【出願日】2018-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 IB2018050775
(87)【国際公開番号】W WO2019155255
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】520283211
【氏名又は名称】ドバイ アビエーション エンジニアリング プロジェクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ブスタニ, ルチディ
(72)【発明者】
【氏名】フランシス, サジ
(72)【発明者】
【氏名】ポール, スビマル
(72)【発明者】
【氏名】カール, セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ペイカ, シャヒーム
【審査官】金田 直之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0250559(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0361932(US,A1)
【文献】特開2002-154489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/00 -11/06
E04B 1/343- 1/346
B60P 3/34 - 3/355
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある車両の内部の少なくとも一部を形成するように、前記車両の内部に展開することができる客室モジュールであって、前記客室モジュールは、
本体と、
複数の外壁であって、前記複数の外壁の1つ又は複数が前記本体に対して移動可能である、複数の外壁と、
前記モジュールが閉鎖配置にあるときの収納位置と、前記モジュールが開放配置にあるときの展開位置とを有する備品であって、ここで前記備品が、前記外壁の1つ又は複数の移動に応答して、前記収納位置と前記展開位置との間で、備品ガイドレールを使用して、又はローラ若しくは車輪上で移動可能であるとともに、前記備品が折り畳み式であり、前記外壁の1つ又は複数の移動に応答して、前記収納位置と前記展開位置との間で可逆的に折り畳まれたり、展開されたりすることができる、備品と
を備え、
ここで
前記モジュールは、前記車両の外側で収納のための前記閉鎖配置を有し、ここで前記複数の外壁は、前記モジュールの第1のフォームファクタの少なくとも一部を画定しており、
前記モジュールは、前記車両内で動作展開するための前記開放配置を有し、ここで前記複数の外壁は、前記モジュールの第2のフォームファクタの少なくとも一部を画定しており、
前記客室モジュールは、前記1つ又は複数の外壁を移動させることにより、前記閉鎖配置と前記開放配置との間で可逆的に変化可能であり、また、
前記第1のフォームファクタは前記第2のフォームファクタとは異なっている、
客室モジュール。
【請求項2】
前記第1のフォームファクタが第1の容積を画定し、
前記第2のフォームファクタが第2の容積を画定し、
前記第2の容積は前記第1の容積よりも大きい、
請求項1に記載の客室モジュール。
【請求項3】
前記第1の容積が略閉鎖された容積であり、前記第2の容積が略開放された容積である、請求項2に記載の客室モジュール。
【請求項4】
前記開放配置にある前記客室モジュールの設置面積は、前記閉鎖配置にある前記客室モジュールの設置面積よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載の客室モジュール。
【請求項5】
前記複数の外壁が、前記本体に対して移動することができる、移動可能な略平面状の壁を含み、
前記閉鎖配置では、前記略平面状の壁が第1の位置に配置され、また
前記開放配置では、前記略平面状の壁が第2の位置に配置され、これによって前記モジュールの床の少なくとも一部を形成している、
請求項1から4のいずれか一項に記載の客室モジュール。
【請求項6】
前記略平面状の壁が、前記略平面状の壁の縁部を中心に前記本体に対して枢動可能である、請求項5に記載の客室モジュール。
【請求項7】
前記備品が、前記外壁の1つ又は複数の移動に応答して、前記収納位置と前記展開位置との間で前記モジュールに対してスライド可能である、請求項1に記載の客室モジュール。
【請求項8】
ロック位置とロック解除位置とを有するロック機構を備え、前記ロック機構が、前記ロック位置と前記ロック解除位置との間で移動可能であり、また、前記ロック機構が、前記ロック機構が前記ロック位置にあるとき、前記モジュールを前記開放配置に保持できるように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の客室モジュール。
【請求項9】
前記ロック機構が前記ロック解除位置にあるとき、前記外壁の1つ又は複数が前記閉鎖配置と前記開放配置との間で移動することができる、請求項8に記載の客室モジュール。
【請求項10】
前記ロック機構が、前記ロック機構が前記ロック位置にあるとき、前記モジュールを前記閉鎖配置に保持できるように構成されている、請求項8又は請求項9に記載の客室モジュール。
【請求項11】
前記モジュールを前記開放配置に保持できるように、前記ロック機構が前記車両の少なくとも一部と協働することができる、請求項8から10のいずれか一項に記載の客室モジュール。
【請求項12】
前記客室モジュールが、1人又は複数の乗客とやり取りするための乗客用客室モジュールであり、また
前記客室モジュールが、
ジム、
スパ、
バー、
ゲームエリア、
座席エリア、及び
就寝エリアのうちの1つ又は複数として構成されている、
請求項1から11のいずれか一項に記載の客室モジュール。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の客室モジュールを備える車両。
【請求項14】
前記車両が航空機である、請求項1から13のいずれか一項に記載の車両又は客室モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、客室モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
航空業界は急速に進化しており、航空機メーカーは、顧客体験を向上させ、航空機において追加機能をもたらすような新たな方法を常に考案し続けている。近年では、モジュールを使用して航空機の内部を再構成することができるプロジェクトが提案されている。たとえば、その航空機の望ましい形態に応じて、航空機の内外でモジュールを入れ替えることにより、スパ、カフェ又はジムなどの様々な利用体験をもたらすことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ただし、これらの提案では、モジュールの外部フォームファクタは航空機の内部フォームファクタに略対応しており、たとえば、航空機の客室内部と同一の外部曲率を有する。この点において、モジュールを使用することが想定される航空機の標準的なサイズというものがあるため、これに対して当該モジュールが大きく場所をとる可能性があり、モジュールの地上取扱いで問題が発生する恐れがある。
たとえば空港のレイアウトによって航空機駐機場のスペースに制限がある可能性があるため、これによって空港の航空機駐機場でモジュールを取扱う際に困難が生じる恐れがある。その上、これらのモジュールのサイズを考慮すると、これらが航空機に搭載されていない場合は、その収納及び搬送が困難になる恐れがある。標準的な空港には収納専用のスペースがそれほどない可能性があるため、こうしたモジュールを採用して効率的に取り扱うためには、空港を大幅に再構築する必要が生じ得る。
【0004】
また、このようなモジュールは、エアバスA330-220F、ボーイング737-700C、ボーイング777フレイターなどの「貨物」型航空機、又は艤装を施していない標準的な航空機での使用に限定される可能性がある。貨物型航空機には通常、周辺/側部及び/又は天井の艤装品又は区画などの内部艤装が、ほとんど又は全く施されていない場合がある。その上、このような航空機には通常窓がない。また、それらをモジュールと共に使用する状況では、モジュールの断面積に対応する貨物ドアが通常必要になり得る。提案されているモジュールは一般にプレハブ式であり、航空機のサイズに対応しているため、ドアは大きくなり、しかも既存の航空機に後付けするにはコストがかかる恐れがある。その上、全ての機能及び艤装を概ねモジュールによってもたらす必要があるため、これにより柔軟性が制限される可能性があり、また、窓がないために快適な搭乗体験が得られなくなる恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の例は、上記の課題に対処するか、又は少なくとも緩和しようとするものである。
【0006】
第1の態様では、ある車両の内部の少なくとも一部を形成するように、この車両の内部に展開することができる客室モジュールであって、本客室モジュールは、本体と、複数の外壁であって、これら複数の外壁の1つ又は複数がこの本体に対して移動可能である、複数の外壁とを備え、ここで本モジュールは、車両の外側で収納のための閉鎖配置を有し、ここで複数の外壁は、本モジュールの第1のフォームファクタの少なくとも一部を画定しており、本モジュールは、車両内で動作展開するための開放配置を有し、ここで複数の外壁は、本モジュールの第2のフォームファクタの少なくとも一部を画定しており、本客室モジュールは、これら1つ又は複数の外壁を移動させることにより、閉鎖配置と開放配置との間で可逆的に変化可能であり、また、第1のフォームファクタは第2のフォームファクタとは異なっている、客室モジュールを提供する。
【0007】
第2の態様では、第1の態様の客室モジュールを備える車両を提供する。他の態様及び特徴は、添付の特許請求の範囲において定義されている。
【0008】
たとえば、本客室モジュールの外部フォームファクタを閉鎖配置と開放配置との間で変化させて、たとえば本客室モジュールを、閉鎖配置にある地上側から、開放配置に展開され得る車両(航空機など)へと移動させてもよい。たとえば、開放配置のフォームファクタは、閉鎖配置の場合とは異なっている。このことは、本客室モジュールの移動及び収納をより容易に行えるようにするのに役立ち得る。
【0009】
さらに、たとえば本客室モジュールは、車両への搭載若しくはこれからの取外しの間、又は閉鎖配置で収納若しくは搬送を行うために、地上で取り扱われ得る。たとえば、本客室モジュールが車両で動作展開される開放配置にある場合、これにより本モジュールを使用して、レストラン、遊び場、ジム、座席、寝具、又は他の機能などの所望の様々な機能をもたらすことができる。したがって、たとえばそのとき車両に望まれ得る内容に応じて、一例として各行程に対して適切な客室モジュールを搭載するか、又は取り外すことにより、車両を容易に再構成することができる。したがって、航空機などの車両には、ターンアラウンド時間が短く、しかも客室モジュールの取扱いがより容易かつ便利となる、より柔軟なレイアウトがもたらされ得る。
【0010】
次に本開示の例について、同様の参照番号が同様の部分を指している添付の図面を参照しながら、例示としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の例による、航空機の内部平面の概略図である。
図2A】本開示の例による、閉鎖配置と開放配置との間での客室モジュールの展開を概略的に示した図である。
図2B】本開示の例による、閉鎖配置と開放配置との間での客室モジュールの展開を概略的に示した図である。
図2C】本開示の例による、閉鎖配置と開放配置との間での客室モジュールの展開を概略的に示した図である。
図2D】本開示の例による、閉鎖配置と開放配置との間での客室モジュールの展開を概略的に示した図である。
図3】本開示の例による、本客室モジュールを展開することができる航空機の内部の概略図である。
図4】本開示の例による、本客室モジュールを閉鎖配置にある状態で示した、航空機の内部の概略図である。
図5】本開示の例による、閉鎖配置にある複数の多目的客室モジュールの概略図である。
図6】本開示の例による、本客室モジュールの就寝用途の配置構成に対応する開放配置にある、多目的客室モジュールの概略図である。
図7】本開示の例による、本客室モジュールのオフィスデスクへの着席を用途とした配置構成に対応する開放配置にある、多目的客室モジュールの概略図である。
図8A】本開示の例による、他の客室モジュールの内部に展開することができる複数の客室モジュールを概略的に示した図である。
図8B】本開示の例による、他の客室モジュールの内部に展開することができる複数の客室モジュールを概略的に示した図である。
図8C】本開示の例による、他の客室モジュールの内部に展開することができる複数の客室モジュールを概略的に示した図である。
図9A】本開示の例による、スパ施設として配置構成された客室モジュールの展開を概略的に示した図である。
図9B】本開示の例による、スパ施設として配置構成された客室モジュールの展開を概略的に示した図である。
図9C】本開示の例による、スパ施設として配置構成された客室モジュールの展開を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
客室モジュール及び車両の例を開示している。以下の説明では、本開示の例についての完全な理解をもたらすために、いくつかの特定の詳細を示している。ただし、本開示の例を実践するためにこれらの特定の詳細を使用する必要がないことは、当業者には明らかである。反対に、当業者に知られている特定の詳細を、これらの例を示すにあたり、明確さを期すために省略している。
【0013】
図1は、本開示の例による、航空機の内部平面の概略図である。具体的には、図1は航空機10を示している。いくつかの例では、当該航空機は、航空機10の内部の少なくとも一部を形成するように当該航空機の内部に展開することができる、1つ又は複数の客室モジュールと協働できるように構成されている。
【0014】
いくつかの例では、航空機10の内部はいくつかのゾーンに分割され、各ゾーンは航空機の内部機能と関連付けられている。図1に示す例では、航空機10は、ファーストクラスの設備が配置され得るファーストクラスゾーン12(列01及び列02)と、ビジネスクラスの座席などのビジネスクラスの設備が見られるビジネスクラスゾーン14(列06及び列07)と、1つ又は複数の客室モジュールをその内部に適切に配置することにより、様々な設備又は機能をもたらすことができるように構成され得る構成可能ゾーン16(列08~列29)と、プレミアムエコノミークラスの座席が見られるプレミアムエコノミーゾーン18(列30~列31)と、エコノミークラスの座席が見られるエコノミーゾーン19(列33~列46)とを備える。図1に示す例では、ボックス番号1、ボックス番号2、及びボックス番号3は、構成可能ゾーン16内で客室モジュールが配置され得る位置を示す。
【0015】
いくつかの例では、この構成可能ゾーン16は、たとえば座席、休憩所、レストラン、バー、スパ、又は遊び場のうちの1つ又は複数などの機能をもたらす1つ又は複数の客室モジュールを含んでもよいが、ここでこれらの客室モジュールが他の機能をもたらし得ることは言うまでもない。構成可能ゾーン16は、たとえば設計要件に応じて、航空機10内部の客室空間の全体又は一部を包囲してもよい。
【0016】
いくつかの例では、本客室モジュールの外部フォームファクタを閉鎖配置と開放配置との間で変化させて、たとえば本客室モジュールを、閉鎖配置にある地上側から、開放配置に展開され得る当該航空機内へと移動させてもよく、ここで、たとえば開放配置のフォームファクタの大きさは、閉鎖配置にあるときよりも大きい。このことは、本客室モジュールの移動及び収納をより容易に行えるようにするのに役立ち得る。すなわち、この閉鎖配置を、たとえば「使用中でない」配置と考えてもよく、またこの開放配置を「使用中の」配置と考えてもよい。
【0017】
次に、この機能について、図2A図2Dを参照しながらより詳述する。図2A図2Dは、本開示の例による、閉鎖配置から開放配置への客室モジュールの展開を概略的に示している。具体的には、図2A図2Dは客室モジュール20の例を示している。いくつかの例では、客室モジュール20は、航空機10などの車両の内部の少なくとも一部を形成するように、この車両の内部に展開することができる。図2A図2Dに示す例では、図面をより容易に理解できるように、椅子、ベッド、テーブル、又は本モジュールの所望の機能と関連付けられ得る他の構成部品若しくは備品などの機構のない、スケルトン形式で客室モジュール20を示している。ただし、より一般的には、たとえば本開示の例による客室モジュールは、ジム、スパ、バー、ゲームエリア、座席エリア、及び就寝エリアのうちの1つ若しくは複数、又はそれらの1つ若しくは複数の部分として構成され得るが、他の構成又は配置もまた想定可能である。
【0018】
図2Aは、閉鎖配置にある客室モジュール20を概略的に示している。いくつかの例では、この閉鎖配置は、客室モジュール20を航空機10の外側、たとえば空港又はオフサイト設備に設置された適切な収納場所に収納できるような形態であってもよい。いくつかの例では、客室モジュール20は、本体22と、第1の外壁24及び第2の外壁26などの複数の外壁とを備える。いくつかの例では、モジュール20は図2Aに示すような閉鎖配置を有し、ここでは複数の外壁が、モジュール20の第1のフォームファクタの少なくとも一部を画定している。いくつかの例では、客室モジュール20は、天井部28及び床部30を備える。いくつかの例では、本体22は天井部28及び床部30を含むが、これら天井部若しくは床部のいずれか又は両方が省略されるか、或いは必要に応じて異なって配置されてもよいことが理解される。いくつかの例では、本体22は、天井部28を支持するように天井部28を床部30へと機械的に連結させるように配置された、一対の支持柱29を含む。
【0019】
いくつかの例では、外壁は、たとえば第1のフォームファクタに対応する閉鎖配置にある客室モジュール20の外部が略立方体状となるように、一例として、互いに対して略直線状に配置されている。ただし、外壁の他の配置構成も想定可能であり、これらの外壁が湾曲しているか、又は他の適切な形状であり得ることが理解される。いくつかの例では、これら複数の外壁は、本体22に対して移動可能な可動壁を含む。いくつかの例では、第1の外壁24は、本体22に対して移動可能な可動壁であるが、他の外壁のうちの1つ又は複数が、同様に又はその代わりに移動可能であってもよいことが理解される。すなわち、いくつかの例では、複数の外壁の1つ又は複数が、本体22に対して移動可能であるということになる。いくつかの例では、天井部28及び床部30のうちの1つ又は複数も移動可能であってもよく、したがって、これらを同様に外壁であると見なしてもよい。すなわち、一例として外壁という用語は、たとえば本客室モジュールが閉鎖配置にあるとき、その外部を形成している本客室モジュールの壁、天井、床、底部その他などの本客室モジュールの一部を含むと見なすことができる。
【0020】
いくつかの例では、モジュール20は、航空機10などの車両内で動作展開するための開放配置を有する。この開放配置を、図2Dに示す例において概略的に例示している。図2B及び図2Cは、たとえば本モジュールが閉鎖配置と開放配置との間で移行しているときの、外壁の中間配置の例を示している。いくつかの例の開放配置では、複数の外壁は、本モジュールの第2のフォームファクタの少なくとも一部を画定している。いくつかの例では、第1の外壁24は、閉鎖配置と開放配置との間で可逆的に移動可能である。いくつかの例では、第1のフォームファクタは第2のフォームファクタとは異なっている。より一般的には、いくつかの例では客室モジュール20は、1つ又は複数の外壁を移動させることにより、閉鎖配置と開放配置との間で可逆的に変化可能である。
【0021】
したがって、たとえば本客室モジュール20の閉鎖配置により、一例として空港で本客室モジュールをより容易に搬送かつ収納してから、航空機10にこれを展開して開放配置にすることができ、これによって航空機10に所望の機能がもたらされることになる。
【0022】
本開示の例にあっては、フォームファクタという用語は、一例として本客室モジュールの外壁によって画定されているエンベロープに対応する、たとえば本客室モジュールの形状及び/又はサイズを意味する。ただし、たとえば本客室モジュールのフォームファクタは、本客室モジュールの形状、サイズ、構成、及びレイアウトのうちの1つ又は複数に概して関連していることが理解される。
【0023】
いくつかの例では、本客室モジュールは、第1のスライド可能部32と第2のスライド可能部34とを備える。いくつかの例では、第1のスライド可能部32は第1の外壁24を含み、第2のスライド可能部34は第3の外壁(図示せず)を含む。いくつかの例では、第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部34は、本体22に対してスライドさせることにより、本体22に対して移動させることができる。
【0024】
いくつかの例では、第1のスライド可能部32は、天井部28と協働して天井部28内でスライドし、天井部28によってこれを案内することができるように配置された、第1のスライド連結部36を含む。
【0025】
いくつかの例では、第2のスライド可能部34は、天井部28と協働して天井部28内でスライドし、天井部28によってこれを案内することができるように配置された、第2のスライド連結部38を含む。
【0026】
いくつかの例では、この航空機は、たとえば航空機の客室の床に凹部として形成されたガイドレール40を備える。いくつかの例では、第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部34は、このガイドレール40と協働して、スライド時にガイドレール40に沿って案内され得るように配置されている。ただし、他の適切な配置構成も使用できることが理解される。
【0027】
図2A及び図2Bを参照すると、いくつかの例では、第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部34は、本体22に対して、閉鎖配置に対応する第1の位置(図2Aに示す)と、開放配置にあるそれらの位置に対応する第2の位置(図2Bに示す)との間で可逆的に移動できるように配置されている。いくつかの例では、客室モジュール20は、本体22に対して第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部34を移動させることができるように動作可能な、1つ又は複数のリニアアクチュエータを備える。いくつかの例では、これらのリニアアクチュエータは天井部28内に格納されているが、設計要件に応じて、他の配置構成も想定可能であることが理解される。いくつかの例では、これらのリニアアクチュエータは電気機械的に操作されるが、空気圧操作、油圧操作、又は他の適切な構成も使用できることが理解される。
【0028】
いくつかの例では、第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部34は、互いに略同時にかつ同一の速度で本体22に対してスライドできるように配置されている。すなわち、いくつかの例では、第1のスライド可能部32と第2のスライド可能部34とは、本体22に対して略対称となるように展開されてもよい。ただし、第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部34を第1の位置と第2の位置との間で移動させるとき、互いに異なる時間に、かつ異なる速度でこれらを移動させることができることが理解される。また、たとえば第1のスライド可能部32、第2のスライド可能部34、又はその両方を省略し、またこれらを、一例として固定された外壁と置き換えてもよい。
【0029】
いくつかの例では、本客室モジュールは、ヒンジ式メインフロアパネル42などの複数のヒンジ式メインフロアパネルを備える。いくつかの例では、ヒンジ式メインフロアパネル42は略平面状であり、縁部44を中心に床部30に対して枢動できるように、縁部44で床部30に枢動可能に連結されている。いくつかの例では、ヒンジ式メインフロアパネル42は縁部44でヒンジによって床部30に枢動可能に連結されているが、弾性カップリングなどの他の構成も使用できることが理解される。
【0030】
たとえば、図2B及び図2Cを参照すると、閉鎖配置では、ヒンジ式メインフロアパネル42は第1のメインフロアパネル位置にあるように配置されている。いくつかの例では、第1のメインフロアパネル位置は略垂直な位置(図2Bに示すように)であるが、他の適切な位置又は向きも使用できることが理解される。いくつかの例では、第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部34が第1の位置(図2Aに示す)から第2の位置(図2Bに示す)へと移動した後、ヒンジ式メインフロアパネル42は、たとえば本客室モジュールが開放配置にあるとき本客室モジュールの床の一部を形成するように、第1のメインフロアパネル位置から第2のメインフロアパネル位置へと移動できるように配置されている。いくつかの例では、第2のメインフロアパネル位置は略水平な位置(図2Cに示す)であるが、他の位置又は向きも使用できることが理解される。すなわち、ヒンジ式メインフロアパネル42は、たとえば本客室モジュールが開放配置にあるとき、略水平に配置されてもよい。
【0031】
いくつかの例では、縁部44から離隔配置されているヒンジ式メインフロアパネル42の外縁部46は、本客室モジュールが開放配置にあり、またメインフロアパネルが水平位置にあるとき、第1のスライド可能部32(又は必要に応じて第2のスライド可能部34)と係合できるように配置されている。いくつかの例では、客室モジュール20は、客室モジュール20が開放配置にあるとき、外縁部46を第1のスライド可能部32へとロックするように動作可能な、メインフロアパネルロック機構を備える。このことは、本客室モジュールに剛性をもたらすとともに、たとえば航空機10の移動中などに、偶発的な動きに対するさらなるレベルの安全性を提供するのに役立ち得る。
【0032】
いくつかの例では、客室モジュール20は、床部30に対してメインフロアパネル(メインフロアパネル42など)を移動させることができるように配置された、メインフロアパネル駆動機構を備える。いくつかの例では、このメインフロアパネル駆動機構は、床部30に対してメインフロアパネルを枢動させることができるように配置された、空気圧アクチュエータ、電気機械アクチュエータ又は油圧アクチュエータなどの1つ又は複数のアクチュエータを含む。いくつかの例では、このメインフロアパネル駆動機構は、メインフロアパネルが水平位置などの第2のメインフロアパネル位置にあるとき、これらのメインフロアパネルと平らになるように、メインフロアパネルの隣接縁部間に配置されている。ただし、他の適切な配置構成も使用できることが理解される。
【0033】
いくつかの例では、外壁26は、本体22に対して移動することができる、移動可能な略平面状の壁である。図2A及び図2Bを参照すると、いくつかの例では、客室モジュール20が閉鎖配置にあるとき、略平面状の壁(外壁26)は、略垂直な位置などの第1の平面状の壁位置にあるように配置されるが、他の位置又は向きも想定可能である。いくつかの例では、開放配置においてこの略平面状の壁は、たとえば図2Dに示すように本モジュールの床を形成するように、略水平な位置などの第2の平面状の壁位置に配置されているが、他の適切な位置又は向きも使用できることが理解される。図2Cは、たとえば閉鎖配置から開放配置へ、又はその逆への移動中における、外壁26の中間配置の例を概略的に示している。
【0034】
いくつかの例では、外壁26は本体22に対し、外壁26の第1の縁部48を中心に枢動可能(回転可能)である。具体的には、いくつかの例では、外壁26は、第1の縁部48で床部30へと枢動可能に連結されている。いくつかの例では、客室モジュール20は、外壁26が床部30に対してこれを中心に枢動できるように配置された、縁部48に位置するヒンジを備える。すなわち、たとえば外壁の1つ又は複数を、本体22に対して折り畳み可能であり得る。メインフロアパネル42を展開する際に使用されるものと同様の駆動機構を使用して、外壁26を移動させてもよいが、これは設計要件によって異なり得ることが理解される。
【0035】
いくつかの例では、客室モジュール20は、第1のサイドフロアパネル52及び第2のサイドフロアパネル54などの複数のサイドフロアパネルを備える。いくつかの例では、これらのサイドフロアパネルは略平面状である。いくつかの例では、第1のサイドフロアパネル52は、第1のサイドフロアパネル52と外壁26との間に位置する第1のサイドフロアパネル52の縁部56で、外壁26へと枢動回可能に連結され、これによって縁部56を中心に枢動又は枢着することができる。いくつかの例では、客室モジュール20が閉鎖配置にあるとき、第1のサイドフロアパネル52は、第2のサイドフロアパネル54と略同一平面になるように配置されている。
【0036】
いくつかの例では、第2のサイドフロアパネル54は、第2のサイドフロアパネル54と第1のサイドフロアパネル52との間に位置する第2のサイドフロアパネル54の縁部58で、第1のサイドフロアパネル52に枢動可能に連結され、これによって縁部58を中心に枢動又は枢着することができる。このような配置構成にすることは、たとえば外壁26を垂直位置と水平位置との間で移動させるときに、サイドフロアパネルが屋根部28に引っ掛かるか、又は接触する可能性を低減するのに役立ち得る。
【0037】
いくつかの例では、これらのサイドフロアパネルは、客室モジュール20が閉鎖配置にあるとき、略垂直な向きを有するような第1のサイドフロアパネル位置にあり、また、たとえば本客室モジュールが開放配置にある場合に床を形成できるように、客室モジュール20が開放配置にあるときは、略水平な向きを有するような第2のサイドフロアパネル位置にある。メインフロアパネル42を展開するか、又は移動させる際に使用されるものと同様の駆動機構を使用して、これらのサイドフロアパネルを移動させてもよいが、駆動機構は異なり得ることが理解される。いくつかの例では、外壁26及びこれに対応するサイドフロアパネルと同様の配置構成を、客室モジュール20において外壁26の反対側にある外壁50に使用してもよい。さらに、いくつかの例では、外壁26及び外壁50に対するサイドフロアパネルの配置構成は、客室モジュール20の各角部について略同一であるが、これは設計要件によって異なり得ることが理解される。
【0038】
次に、図2A図2Dを参照しながら、客室モジュール20を閉鎖配置から開放配置へと展開するための展開シーケンスについて説明する。
【0039】
上記のように、図2Aは、閉鎖配置にある客室モジュール20の例を示している。いくつかの例では、客室モジュール20は、たとえば、客室モジュールの底部において外壁の周辺部によって画定されている面積に対応する、第1の設置面積を有する。
【0040】
いくつかの例では、閉鎖配置にあった第1のスライド可能部32及び第2のスライド可能部を、本体22に対して第1の位置から第2の位置へと(たとえば図2Bに示すように)スライドさせてもよい。メインフロアパネル42などのメインフロアパネルを、次いで床部30に対して垂直位置(図2Bに示す)から水平位置(図2Cに示す)へと移動させて、開放配置にある本客室モジュールの床の一部を形成させてもよい。図2Bから図2Cを経て図2Dへと進むと、いくつかの例では、外壁26及び外壁50を床部30に対して枢動させ、これによって垂直位置(図2A及び図2Bに示す)から水平位置(図2Dに示す)へと移動させてもよい。いくつかの例では、外壁26が水平位置に位置し、たとえば開放配置にある客室モジュール20の床の一部を形成すると、サイドフロアパネルを水平位置へと移動させることができる。
【0041】
たとえば図2Dを参照した場合、外壁26が水平位置にあると(図2Dに示すように)、第1のサイドフロアパネル52及び第2のサイドフロアパネル54を、これらの両方が水平位置に位置するまで、第1のサイドフロアパネル52の縁部56を中心に、外壁26に対して90度枢動させることになる。いくつかの例では、第2のサイドフロアパネル54を、次いで縁部58を中心にサイドフロアパネル52に対して180度枢動させることにより、第2のサイドフロアパネル54が第1のサイドフロアパネル52及び外壁26に隣接するようにしている。他のサイドフロアパネルを展開する場合も、同様の手順を実行することができる。
【0042】
いくつかの例では、上記の展開シーケンスを逆転させることにより、本客室モジュールを開放配置から閉鎖配置へと移動(収納)させてもよいが、このシーケンスの動作を他の適切な順序で実行してもよいことが理解される。
【0043】
いくつかの例では、これらの外壁26及び50の移動及び展開は、メインフロアパネル42などのメインフロアパネルの移動と略同時に起こってもよい。ただし、これは異なる時間に、たとえば連続して起こり得ることが理解される。また、スライド可能部、外壁、メインフロアパネル、及びサイドフロアパネルなどの客室モジュール20の可動機構を、閉鎖配置から開放配置へと、又は開放配置から閉鎖配置へと、任意の適切な順序で移動又は展開できることが理解される。すなわち、いくつかの例ではより一般的に、本客室モジュールの1つ又は複数の構成要素は、客室モジュール20のフォームファクタが閉鎖配置と開放配置との間で変化できるように、互いに対して移動可能である、かつ/又は折り畳み可能であってもよい。
【0044】
いくつかの例では、客室モジュール20は、開放配置における第2の設置面積を有する。いくつかの例では、この第2の設置面積は、たとえば本客室モジュールが配置される際に接触する、航空機の客室の床などの面を例とする、サイドフロアパネル、スライド可能部、外壁、メインフロアパネルに相当するような、本客室モジュールの底部の周辺部によって画定される面積に対応している。すなわち、いくつかの例では、たとえば図2A図2Dとを比較することにより示すように、開放配置にある本客室モジュールの設置面積は、閉鎖配置にある本客室モジュールの設置面積よりも大きい。
【0045】
いくつかの例では、第1のフォームファクタは第1の容積を画定し、第2のフォームファクタは第2の容積を画定している。たとえば、図2Aを参照すると、外壁、天井部28及び床部30は第1のフォームファクタに対応しており、また、たとえば客室の容積などの第1の容積を、客室モジュール20の外面に基づくものとして画定している。いくつかの例では、第2の容積は第1の容積よりも大きい。いくつかの例では、第1の容積は略閉鎖された容積であり、第2の容積は略開放された容積である。一例として、開放容積は、たとえば本客室モジュールの内部に接近できることを意味するように解釈されてもよいが、その一方で閉鎖容積は、一例として本客室モジュールの内部が、たとえば入口から内部へと外面又は外壁によってもたらされる本客室モジュールの外部によって保護され得るか、又は遮蔽され得る状態など、たとえば閉鎖配置に関連していてもよい。
【0046】
次に、客室モジュール20などの客室モジュールを航空機10に展開する例について、図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、本開示の例による、本客室モジュールを展開することができる航空機の内部の概略図であり、図4は、本開示の例による、本客室モジュールを閉鎖配置にある状態で示した、航空機の内部の概略図である。いくつかの例では、上記のガイドレール40と同様のものなど、複数の凹型ガイドレール40a~40fが航空機10の床に形成されている。
【0047】
航空機10に1つ又は複数の客室モジュールを搭載するために、貨物コンテナの取扱い時に使用されるような手動又は自動化されたプロセスを使用してもよい。取扱いを容易にしやすくするために、本客室モジュールを閉鎖配置にある状態で移動させてもよい。このことは、悪天候で発生する水汚れなどの環境災害から本客室モジュールの内部を保護するのにも役立ち得る。また、いくつかの例では、閉鎖配置におけるフォームファクタは開放配置におけるフォームファクタよりも小さいので、本客室モジュールの取扱い及び操作がより簡単になり得る。さらに、たとえば本モジュールの航空機への搭載又はこれからの取外しに必要となる貨物ドアなどのドアを、より小さくかつより簡素なものにすることができる。窓や側部の頭上ロッカーなどの一部の既存艤装品もまた、既存の航空機(たとえば、いわゆるワイドボディ航空機)を本開示の例による1つ又は複数の客室モジュールで動作できるように改造することになった場合に、保持できる可能性が高くなる。いくつかの例では、客室モジュールの搭載及び取外しに対応するために、たとえば設計要件によって、1つ又は複数の貨物ドアを既存の航空機に後付けしたり、必要に応じて改修したりしてもよい。
【0048】
いくつかの例では、客室モジュール20は、客室モジュール20を閉鎖配置に固定できるように構成された、安全ロック機構を備える。より一般的には、いくつかの例では客室モジュール20は、ロック位置とロック解除位置とを有するロック機構を備え、このロック機構は、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能である。いくつかの例では、ロック機構は、このロック機構がロック位置にあるとき、本モジュールを閉鎖配置に保持できるように構成されている。ロック機構(安全ロック機構)は、たとえば客室モジュール20が航空機に搭載されている最中に、外壁の偶発的な展開又は移動を防止するのに役立ち得る。いくつかの例では、ロック機構がロック解除位置にあるとき、外壁の1つ又は複数は閉鎖配置と開放配置との間で移動することができる。
【0049】
いくつかの例では、ロック機構は、このロック機構がロック位置にあるとき、客室モジュール20を開放配置に保持できるように構成されている。いくつかの例では、本客室モジュールを開放配置に保持できるように、このロック機構は航空機の少なくとも一部と協働することができる。たとえば、外壁又はスライド可能部を、ロック機構によってガイドレールにロックしてもよい。
【0050】
いくつかの例では、客室モジュール20は、客室モジュール20が、たとえば航空機に対して又は地上にあるときに、動き回ることができるように、複数の車輪又はローラを備える。いくつかの例では、1つ又は複数の客室モジュールを、たとえば図2A図2Dを参照しながら上述した展開シーケンスに従って、それらが閉鎖配置から開放配置へと展開され得る所望の位置に移動させる。
【0051】
いくつかの例では、客室モジュール20は位置センサなどの複数の客室モジュールセンサを備え、これにより、本客室モジュールの構成要素の相対位置を検出できるようになっている。いくつかの例では、客室モジュール20は、これらの客室モジュールセンサと通信するように動作可能な制御ユニットを備える。たとえば、この制御ユニットは、客室モジュールセンサからの情報に基づいて、本客室モジュールが閉鎖配置、開放配置、又は中間配置にあるかどうかを判定するように動作可能である。さらに、いくつかの例では、制御ユニットは、閉鎖配置と開放配置との間での本客室モジュールの移動を制御するように動作可能である。
【0052】
いくつかの例では、制御ユニットは、航空機に対する本客室モジュールの相対位置を検出するように動作可能な、相対位置センサを含む。いくつかの例では、この相対位置センサは無線周波数識別(radio frequency identification:RFID)センサを含むが、無線周波数三角測量、レーザ測位若しくは音波測位、又はコンピュータビジョン及び画像処理センサなどの他の位置センサも使用できることが理解される。これにより、たとえば制御ユニットは、本客室モジュールが所望の位置に配置されているかどうかを判定することができる。
【0053】
これらの客室モジュールが、たとえば制御ユニットによって判定されるような所望の位置にあるとき、これらは航空機からの電源、及び娯楽ネットワークなどの他のシステム、並びに酸素供給源などの安全装置へと接続されていてもよい。いくつかの例では、これは適切な自動化システムを介して自動的に達成されてもよい。他の例では、本客室モジュールを手動で接続することができる。
【0054】
また、いくつかの例では、客室モジュール20によって自身が所望の又は必要な位置にあることが検出される(たとえば図4に示すように)と、制御ユニットは、たとえばガイドレール40と係合する適切なインターロック機構を介して、本客室モジュールに自身をその適切な位置にロックさせるように動作可能となる。
【0055】
いくつかの例では、制御ユニットは、地上処理システムから受信するロック解除信号又は地上勤務員のメンバーなどのユーザによる入力に応答して安全ロック機構を解除することにより、本客室モジュールを閉鎖配置から開放配置へと移動させることができるように動作可能となる。いくつかの例では、制御ユニットは、次いで本客室モジュールを閉鎖配置から開放配置へと展開させてもよい。
【0056】
本客室モジュールが開放配置へと展開されると、いくつかの例では制御ユニットは、たとえば地上処理システムへと送信され、本客室モジュール上で視覚的に表示され得る、使用準備完了信号を生成して出力するように動作可能となる。いくつかの例では、この使用準備完了信号は、客室モジュール20が開放配置で展開されて、使用準備ができていることを示す。
【0057】
いくつかの例では、本客室モジュールの取外しは、たとえば本客室モジュールの可動構成部品を収納することにより、上記のシーケンスを逆転させている。いくつかの例では、客室モジュールセンサは、たとえば他の構成部品に対する1つ又は複数の構成部品の移動に対応して、本客室モジュールの1つ又は複数の構成部品が受ける力負荷を検出するように動作可能である。たとえば、負荷力が閾値負荷を超えていることが検出された場合、その力負荷に関連した客室モジュールの1つ又は複数の構成部品(たとえば外壁、スライド可能部、又はフロアパネルなど)の移動を停止させてもよい。このことは、1つ又は複数の構成部品の損傷を防止するのに役立ち得る。
【0058】
航空機で複数の客室モジュールを使用する場合は、各客室モジュールに同様の手順を使用してもよい。さらに、本客室モジュールを、動作要件に応じて、互いに略同時に、又は異なる時間に展開してもよい。いくつかの例では、制御ユニットは、本客室モジュールの構成要素及び構成部品が展開又は収納される順序及びタイミングを制御するように、動作可能である。ただし、様々な構成部品が展開又は収納される順序もまた、それらの機械的構成によって異なる可能性があることがさらに理解される。
【0059】
上記のように、いくつかの例では、本開示の例による客室モジュールは、異なる機能を有するように構成されてもよい。いくつかの例では、たとえば客室モジュール20などの客室モジュールと協働するように、又は独立型の客室モジュールとして、多目的客室モジュールを使用してもよい。いくつかの例では、多目的客室モジュールは、1つ又は複数の外壁を移動させることにより、閉鎖配置と開放配置との間で可逆的に変化可能に構成されてもよい。いくつかの例では、多目的客室モジュールの開放配置及び閉鎖配置は、上記の客室モジュール20の場合と略同一の方法で画定されている。
【0060】
次に、本開示の例による多目的客室モジュールについて、図5図7を参照しながら説明する。図5は、本開示の例による、閉鎖配置にある複数の多目的客室モジュールの概略図である。図6は、本開示の例による、本客室モジュールの就寝用途の配置構成に対応する開放配置にある、多目的客室モジュールの概略図である。図7は、本開示の例による、本客室モジュールのオフィスデスクへの着席を用途とした配置構成に対応する開放配置にある、多目的客室モジュールの概略図である。
【0061】
具体的には図5は、第1の多目的客室100、第2の多目的客室200、第3の多目的客室300、及び第4の多目的客室400を備える複数の多目的客室を概略的に示している。いくつかの例では、客室モジュール100、客室モジュール200、客室モジュール300及び客室モジュール400は、互いに略同一である。ただし、これらのうちの1つ又は複数が互いに異なり得ることが理解される。
【0062】
いくつかの例では、客室モジュール100は、客室モジュール100と客室モジュール200とが協働して所望の客室機能をもたらすことができるように、客室モジュール200に対して配置されている。いくつかの例では、客室モジュール300及び400は、客室モジュール100及び200と同様の方法で配置されている。いくつかの例では、客室モジュール100は、外壁102及び外壁104などの複数の外壁を備える。いくつかの例では、客室モジュール100の外壁は略平面状であるが、他の形状及び配置構成も使用できることが理解される。
【0063】
いくつかの例では、客室モジュール100は、客室モジュール100の屋根又は天井を形成している天井部106を備える。いくつかの例では、この天井部は、1つ若しくは複数の外壁を介して、又は客室モジュール100の本体を形成している客室モジュール100の内部構造によって、本客室モジュールの底部に連結されている。いくつかの例では、外壁104は、内部構造などの客室モジュール100の本体に対して移動可能である。いくつかの例では、外壁102は固定された外壁である。いくつかの例では、外壁104は、閉鎖配置にあるとき(たとえば図5に示すような)の略垂直な向きから、開放配置にあるとき(たとえば図6に示すような)の略水平な配置へと移動できるように、客室モジュール100の底部を中心に枢動可能である。いくつかの例では、本体に対する外壁104の配置構成は、外壁26を参照しながら上述したものと同様又は略同一であってもよい。
【0064】
いくつかの例では、客室モジュール200は、外壁202、外壁204、及び外壁208などの複数の外壁を備える。いくつかの例では、客室モジュール200の外壁は略平面状であるが、他の形状及び配置構成も使用できることが理解される。
【0065】
いくつかの例では、客室モジュール200は、客室モジュール200の屋根又は天井を形成している天井部206を備える。いくつかの例では、この天井部は、1つ若しくは複数の外壁を介して、又は客室モジュール200の本体を形成している客室モジュール200の内部構造によって、本客室モジュールの底部に連結されている。いくつかの例では、外壁204は、内部構造などの客室モジュール200の本体に対して移動可能である。いくつかの例では、外壁202及び外壁208は固定された外壁である。いくつかの例では、外壁204は、閉鎖配置にあるとき(たとえば図5に示すような)の略垂直な向きから、開放配置にあるとき(たとえば図6に示すような)の略水平な配置へと移動できるように、客室モジュール200の底部を中心に枢動可能である。いくつかの例では、本体に対する外壁204の配置構成は、外壁26を参照しながら上述したものと同様又は略同一であってもよい。
【0066】
すなわち、いくつかの例ではより一般的に、複数の外壁は、本体に対して移動することができる、移動可能な略平面状の壁(外壁104又は外壁204など)を含む。いくつかの例では、閉鎖配置では、この略平面状の壁は略垂直な位置などの第1の位置に配置され、また開放配置では、この略平面状の壁は略水平な位置などの第2の位置に配置され、これによって本モジュールの床の少なくとも一部を形成している。より一般的には、いくつかの例では略平面状の壁は、略平面状の壁の縁部を中心に本体に対して枢動可能である。したがって、たとえば閉鎖配置にある多目的客室モジュールのフォームファクタは、開放配置にある多目的客室モジュールのフォームファクタと異なっていてもよい。
【0067】
いくつかの例では、2つ以上の客室モジュールが協働して、所望の機能をもたらしてもよい。たとえば、図6を参照すると、客室モジュール100は客室モジュール200と協働して、第1のベッド500、第2のベッド502、及び第3のベッド504を含む就寝設備をもたらしてもよい。いくつかの例では、開放配置にある間、たとえば適切な内部構成部品を設置することにより、1つ又は複数の客室モジュールを再構成して、異なる機能をもたらしてもよい。図6に示す例では、客室モジュール300は、客室モジュール400と協働して、第4のベッド506、第5のベッド508、快適な椅子510及びいくつかの柔らかいクッション512を含む混合型就寝及び座席設備をもたらしているように示している。いくつかの例では、第1のベッド500は第2のベッド502の下に配置され、第4のベッド506は第6のベッド508の上に配置されてもよい。いくつかの例では、ベッド(ベッド500、502、504、506、及び508など)は、たとえば必要としないときや1つ又は複数の客室モジュールが閉鎖配置にあるときに、それぞれの客室モジュールの本体内に折り畳んで収納することができる、1つ又は複数のマットレス支持構成部品を含む。いくつかの例では、椅子510も同様に、たとえば使用中でないときや客室モジュール300が閉鎖配置にあるときに、客室モジュール300の本体内で折り畳み可能であってもよい。クッション512は、たとえば客室乗務員が手動で収納してもよい。
【0068】
たとえば図7を参照すると、椅子514などの複数のオフィスチェアを第2のベッド502のマットレス支持構成部品に対して配置し、その結果これらのマットレス支持構成部品をテーブルとして使用できるように、第1のベッド500及び第3のベッド504は収納位置にある。図7に示す例では、第4のベッド506及び第5のベッド508のマットレス支持構成部品は、客室モジュール300及び客室モジュール400の本体内に収納され、これにより、それらのモジュールに向かって設置された椅子514に接近できるようにしている。図7の例では、椅子510は収納位置にある。
【0069】
すなわち、いくつかの例では、客室モジュールは、本モジュールが閉鎖配置にあるときの収納位置と、本モジュールが開放配置にあるときの展開位置とを有する備品を備えてもよい。いくつかの例では、この備品は、外壁の1つ又は複数の移動に応答して、収納位置と展開位置との間で移動可能である。たとえば、第1の多目的モジュール100及び第2の多目的モジュール200が閉鎖配置から開放位置へと移動するときに、第1のベッド500を展開させてもよい。より一般的には、いくつかの例ではこの備品は折り畳み式であり、収納位置と展開位置との間で可逆的に折り畳まれたり、展開されたりすることができる。いくつかの例では、この備品は外壁の1つ又は複数の移動に応答して、収納位置と展開位置との間で可逆的に折り畳まれたり、展開されたりすることができるように配置されている。
【0070】
上記のように、いくつかの例では、客室モジュールは1つ若しくは複数の他の客室モジュール内で展開かつ/若しくは収納されてもよく(たとえば、客室内客室の配置構成)、又は独立型のユニットとして、若しくは他の客室モジュールと協働するように使用されてもよい。
【0071】
図8A図8Cは、本開示の例による、他の客室モジュールの内部に展開することができる複数の客室モジュールを概略的に示している。具体的には図8Aは、客室モジュール600、客室モジュール700及び客室モジュール800を備える複数の客室モジュールを示している。図8Aの例では、客室モジュール600、700、800を閉鎖配置にある状態で示している。図8Bに示す例では、客室モジュール600、700、800を、閉鎖配置と開放配置との間の中間配置にある状態で示している。図8Cに示す例では、客室モジュール600、700、800を、開放配置にある状態で示している。
【0072】
いくつかの例では、これらの客室モジュール600、700、800は、開放配置にあるときにゲームゾーン、バー、フィットネスセンター、カフェ、小売店又は自動販売機などの様々な機能として使用できるように、内部で構成されてもよい。図8A図8Cの例では、客室モジュール600は、たとえば映画又はTV番組を視聴するためのオーディオビジュアル娯楽システムとして構成され、客室モジュール700は、たとえばビデオゲームをプレイするためのゲームセンターとして構成され、また客室モジュール800は、バー又はカフェとして構成されている。ただし、本開示の例による客室モジュールは、たとえばユーザ要件又はオペレータ要件に応じて、任意の適切な機能を有し得ることが理解される。
【0073】
たとえば、本開示の例による客室モジュールと共に使用するために航空機を改造するような場合、開放配置にある1つ又は複数の客室モジュールの高さに応じて、中央の頭上ロッカーなどの一部の天井部艤装品が保持されてもよいが、ただし改修、艤装、又は改造の程度が設計要件によって異なり得ることが理解される。
【0074】
いくつかの例では、客室モジュール600は、外壁602及び外壁604などの複数の外壁を備える。いくつかの例では、客室モジュール600の外壁は略平面状であるが、他の形状及び配置構成も使用できることが理解される。
【0075】
いくつかの例では、客室モジュール600は、客室モジュール600の屋根又は天井を形成している天井部606を備える。いくつかの例では、この天井部は、1つ若しくは複数の外壁を介して、又は客室モジュール600の本体を形成している客室モジュール600の内部構造によって、本客室モジュールの底部に連結されている。いくつかの例では、外壁604は、内部構造などの客室モジュール600の本体に対して移動可能である。いくつかの例では、外壁602は固定された外壁である。いくつかの例では、外壁604は、閉鎖配置にあるとき(たとえば図8Aに示すような)の略垂直な向きなどの第1の位置から、開放配置にあるとき(たとえば図8Cに示すような)の略水平な配置などの第2の位置へと移動できるように、客室モジュール600の底部を中心に枢動することができる。たとえば、外壁604を第2の位置(たとえば略水平な位置)に位置され得るように配置して、開放配置にあるモジュール600の床の少なくとも一部を形成させている。いくつかの例では、客室モジュール700は客室モジュール600と略同一の外壁の配置構成を有するが、これは異なっている場合もある。
【0076】
いくつかの例では、客室モジュール800は、外壁802及び外壁804などの複数の外壁を備える。いくつかの例では、客室モジュール600の外壁は略平面状であるが、他の形状及び配置構成も使用できることが理解される。
【0077】
いくつかの例では、客室モジュール800は、客室モジュール800の屋根又は天井を形成している天井部806を備える。いくつかの例では、この天井部は、1つ若しくは複数の外壁を介して、又は客室モジュール800の本体を形成している客室モジュール800の内部構造によって、本客室モジュールの底部に連結されている。いくつかの例では、外壁804は、内部構造などの客室モジュール800の本体に対して移動可能である。いくつかの例では、外壁802は固定された外壁である。いくつかの例では、外壁804は、閉鎖配置にあるとき(たとえば図8Aに示すような)の第1の略垂直な位置などの第1の位置から、開放配置にあるとき(たとえば図8Cに示すような)の第2の略垂直な位置などの第2の位置へと移動できるように、客室モジュール800の垂直縁部808を中心に枢動可能であり、ここで、閉鎖配置にある外壁804の第1の位置は、開放配置にある外壁804の第2の位置とは異なっている。すなわち、たとえば外壁804は、客室モジュール800の例ではドアのように機能してもよい。
【0078】
いくつかの例ではより一般的に、閉鎖配置にあるときの客室モジュール600、700、800のフォームファクタは、開放配置にあるときの客室モジュール600、700、800のそれぞれのフォームファクタとは異なっている。
【0079】
いくつかの例では、本客室モジュールはバーカウンター810を備える。図8Bに示す例では、このバーカウンター801を、本客室モジュールが閉鎖配置にあるときの自身の位置に対応する、客室モジュール800内の収納位置にある状態で示している。図8Cの例では、バーカウンター810を、開放配置に対応する展開位置にある状態で示している。いくつかの例では、バーカウンター810は、たとえば機械的リンク機構を介して、又は外壁804が開放配置に対応する第2の垂直位置にあるときに制御ユニットによって生成される展開駆動信号に応答して、外壁804の移動に応答して、収納位置から展開位置へと移動可能である。いくつかの例では、バーカウンター810は、たとえば適切な備品ガイドレールを使用して、又はたとえばローラ若しくは車輪上で、収納位置から展開位置へとスライドできるように配置されてもよい。より一般的には、いくつかの例では本客室モジュールは、外壁の1つ又は複数の移動に応答して、収納位置と展開位置との間で本モジュールに対してスライド可能に配置された備品を備える。いくつかの例では、備品はテーブル、椅子、スツール、ソファ、シート、ジム用器具、バー用備品、ベッド、デスク、オーディオ機器、オーディオビジュアル機器、又はコンピュータ機器などのうちの1つ又は複数を含んでもよいが、任意の適切な備品を使用できることが理解される。
【0080】
いくつかの例では、客室モジュール600、700、及び800のうちの1つ又は複数を、客室モジュール20などの別の客室モジュール内に、又は客室モジュール100、200、300、及び400などの1つ若しくは複数の他の客室モジュールと協働するように展開してもよい。ただし、図8A図8Cの例による客室モジュールは、たとえば設計要件に応じて、独立型ユニットとしても使用できることが理解される。いくつかの例では、航空機10などの車両内部にある客室モジュール100、200、300、400、600、700、800のうちの1つ又は複数の展開及び収納は、たとえば図4及び図5を参照しながら上記で説明したのと同様の方法で行ってもよいが、他の適切な技法も使用できることが理解される。さらに、いくつかの例では、備品、外壁、又は他の可動構成部品など、客室モジュール100、200、300、400、600、700、800のうちの1つ又は複数の構成部品の展開及び収納を、図2A図2D及び客室モジュール20を参照しながら上述したものなどの1つ又は複数の駆動機構を使用して行ってもよい。
【0081】
図9A図9Cは、本開示の例による、スパ施設として配置構成された客室モジュールの展開を概略的に示している。具体的には図9A図9Cは、スパ又はウェルネス施設として配置構成された、客室モジュール20の例を概略的に示している。
【0082】
いくつかの例では、閉鎖配置は、上の図2Aに関して上述した配置に略対応している。図9A及び図9Bは、閉鎖配置と開放配置との間における、客室モジュール20の中間配置の例を概略的に示している。図9Cは、開放配置の例を概略的に示している。
【0083】
図9A図9Cの例では、客室モジュール20は、たとえばスパ又はウェルネスセンターで典型的に見られるものに相当する複数の備品用品などの備品を備える。いくつかの例では、閉鎖配置にあるとき、備品は客室モジュール20のフォームファクタ内の収納位置に位置している。客室モジュール20を閉鎖配置から開放配置へと展開すると、備品を収納位置から1つ又は複数の展開位置へと移動させることができる。いくつかの例では、この備品は、外壁24又は外壁26などの外壁の1つ又は複数の移動に応答して、収納位置から展開位置へと移動してもよい。
【0084】
いくつかの例では、客室モジュール20は、椅子902及び椅子904などの複数の椅子を備える。いくつかの例では、椅子902及び椅子904は、外壁26と共に移動可能なように、外壁26に取り付けられている。すなわち、たとえば椅子902及び904は、外壁26が略垂直となる収納位置から、外壁26が略水平となる展開位置(たとえば図9Cに示すような)へと外壁26と共に移動して、客室モジュール20の床の一部を形成してもよい。他の例では、椅子902は、収納位置にあるときに床部30上に載置され、また、たとえば1つ又は複数の外壁の移動に応答して、本客室モジュールが開放配置に展開されるときに展開位置に移動又はスライドしてもよい。
【0085】
いくつかの例では、客室モジュール20は、第1のスパキャビネット906及び第2のスパキャビネット908などの1つ又は複数のスパキャビネットを備える。いくつかの例では、本客室モジュールが閉鎖配置にあるときのスパキャビネット906及び908(たとえば図9Bに示すような)の収納位置は、それらがたとえば安全ロック機構によって保持された状態で、床部30上に載置されるようになっている。いくつかの例では、スパキャビネット906及び908は、外壁26などの外壁の1つ又は複数の移動に応答して、収納位置と展開位置(たとえば図9Cに示すような)との間で客室モジュール20に対してスライド可能である。いくつかの例では、これらのスパキャビネットを、たとえば地上勤務員又は客室乗務員によって、収納位置と展開位置との間で手動で移動させてもよい。ただし、他の例では、開放配置にあるときにフロアパネル42、外壁26、床部30、スライドフロアパネル52及びスライドフロアパネル54のうちの1つ又は複数など、本客室モジュールの床に形成される適切な多機能ガイドレールに沿うような、適切な駆動手段を使用して、これらのスパキャビネットを収納位置と展開位置との間で自動的に移動させてもよい。
【0086】
図9A図9Cの例に示す客室モジュールをスパとして配置構成されるものと説明しているが、所望通りの適切な備品及び機能性を備えた任意の適切な機能として、本客室モジュールを配置構成できることが理解される。
【0087】
上記の例では、本客室モジュールを航空機に言及しながら説明しているが、本開示の例による1つ又は複数の客室モジュールは、たとえば列車、バス、ボート、宇宙船若しくは宇宙探査機、ヘリコプター、ドローン、又は他の車両などの他のタイプの車両又は輸送船でも同様に使用できることが理解される。いくつかの例では、本明細書に記載している客室モジュールは、たとえば1人又は複数の車両の乗客が使用するための、乗客用客室モジュールである。ただし、これらの客室モジュールを、必要に応じて変更を加えた貨物モジュールとして構成できることが理解される。いくつかの例では、閉鎖配置にある客室モジュールのフォームファクタは、たとえば容易に積み重ねて収納できるように、矩形立方体や箱形などの略矩形のプリズムであってもよいが、設計要件に応じて、他の任意の適切な形状も使用できることが理解される。
【0088】
上記のいくつかの例は、外壁などの機構の水平方向性及び垂直方向性に関して記載している。ただしこれらは、たとえば1つ若しくは複数の客室モジュールの回転又はこれら1つ若しくは複数のモジュールにおける全ての異なる向きに関して、同一の相対位置関係をそれらの機構間に適用できるような、相対的な用語として解釈できることが理解される。さらに、たとえば水平及び垂直という用語で定義される相対位置は、たとえば設計要件に応じて互いに異なり得るものであり、また、垂直又は水平の位置若しくは向きを有するものとして記載している構成部品間の相対位置関係は、たとえば互いに他の適切な角度関係又は相対位置関係を有してもよいことが理解される。
【0089】
本明細書には様々な例を記載しているが、これらを例示としてのみ提供するものであり、そのような例に対する多くの変形例及び修正例が当業者には明らかとなり、またこれらの変形例及び修正例は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれるものである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C