(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】二次吸気弁運動およびロストモーションリセットを使用するIEGRのためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
F01L 13/00 20060101AFI20220705BHJP
F01L 1/18 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
F01L13/00 301F
F01L1/18 Z
(21)【出願番号】P 2020551815
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 US2019023979
(87)【国際公開番号】W WO2019191028
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-25
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505413266
【氏名又は名称】ジェイコブス ビークル システムズ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルトラッキー、ジャスティン、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シュウォーラー、ジョン、エイ.
【審査官】菅野 京一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0238324(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0211206(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0069229(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0102121(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0130774(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0307451(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0132298(US,A1)
【文献】国際公開第2003/087544(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/00,13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ以上のエンジン弁のうちの少なくとも1つを作動させて、内
燃エンジン内に排気ガス再循環を提供するためのシステムであって、
少なくとも1つの排気弁に運動を伝達するための排気弁列構成要素と、
吸気弁運動源と、
前記吸気弁運動源から少なくとも1つの吸気弁に運動を伝達するための吸気弁列であって、吸気ロッカーを有する吸気弁列と、
前記吸気弁列内の運動を選択的に吸収するための前記吸
気弁列内のロストモーション構成要素と、
前記ロストモーション構成要素と通信する制御流体回路と、
前記制御流体回路をリセットするためのリセット構成要素を有する前記吸気ロッカーと、
前記リセット構成要素をトリガするためのリセットトリガであって、前記リセットトリガは、前記排気弁列構成要素上に配設され、又は前記吸気ロッカーの運動に対して固定され、また前記リセットトリガは、エンジンサイクル中の適切な時に前記ロストモーション構成要素を折りたたむために前記リセット構成要素と協働するように適合され、それにより前記少なくとも1つの排気弁の主排気イベント運動の開始又は終了付近で前記少なくとも1つの吸気弁の二次リフトイベントを引き起こし、前記内
燃エンジン内の排気ガス再循環を容易にする、リセットトリガと、を備える、システム。
【請求項2】
前記排気弁列構成要素が排気ロッカーであり、前記リセットトリガが、前記排気ロッカーと協働するように関連付けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記リセット構成要素が、少なくとも部分的に前記吸気ロッカー内に配設され、また前記リセットトリガが、前記吸気ロッカーの運動の結果として前記リセット構成要素により係合されるように配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記リセット構成要素が、ポペット弁を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記リセット構成要素が、高流量を有するトリガされたベントを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記リセット構成要素が、前記制御流体回路内の圧力を低減するように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記リセットトリガおよび前記リセット構成要素のうちの少なくとも1つが、特定の弁リフト高さに対応するようにリセットを設定するために調整されるように適合されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ロストモーション構成要素が、前記吸気弁列の前記吸気ロッカーの弁側に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロストモーション構成要素が、前記吸気弁列の前記吸気ロッカーのカム側に配置されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ロストモーション構成要素が、前記吸気弁列の前記吸気ロッカーのボア内に配置されているピストンを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記ロストモーション構成要素が、付勢ばねをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御流体回路が、前記吸気ロッカー内の前記ボアと通信している、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記吸気弁列が、オーバーヘッドカムシステムを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
内
燃エンジンにおいて排気ガス再循環を提供する方法であって、前記内
燃エンジンが、少なくとも1つの排気弁に運動を伝達するための排気弁列構成要素と、吸気弁運動源と、前記吸気弁運動源から少なくとも1つの吸気弁に運動を伝達するための吸気弁列と、前記吸気弁列の運動を選択的に吸収するための前記吸気弁列のロストモーション構成要素と、前記ロストモーション構成要素と通信する制御流体回路と、吸気ロッカーを有する前記吸気弁列と、前記制御流体回路をリセットするためのリセット構成要素を有する前記吸気ロッカーと、前記排気弁列構成要素上に配設された、又は前記吸気ロッカーの運動に対して固定されたリセットトリガであって、前記リセット構成要素をトリガするために前記リセット構成要素と協働するように適合されたリセットトリガと、を備え、前記方法が、
内
燃エンジン動力サイクルの前記
内燃エンジンの主排気イベント中に前記少なくとも1つの排気弁を開放することと、
前記ロストモーション構成要素を折りたたむために前記内
燃エンジン動力サイクル中の適切な時に前記リセットトリガによって前記リセット構成要素をリセットすることであって、それにより前記少なくとも1つの吸気弁を開放して、前記少なくとも1つの排気弁が開放している間に二次リフトイベントを引き起こし、前記内
燃エンジン内の内部排気ガス再循環を容易にすることと、を含む、方法。
【請求項15】
前記吸気ロッカーの運動に応答して前記リセット構成要素をトリガすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記排気弁列
構成要素が排気ロッカーをさらに有し、前記排気ロッカーの運動によって前記リセット構成要素をトリガすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ポペット弁を用いて前記制御流体回路をリセットすることをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
特定の弁リフト高さに対応するように前記リセット構成要素又は前記リセットトリガのうちの少なくともの1つを調整することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
2つ以上のエンジン弁のうちの少なくとも1つを作動させて、内
燃エンジン内に排気ガス再循環を提供するためのシステムであって、
吸気弁運動源から少なくとも1つの吸気弁に運動を伝達するための吸気弁列であって、吸気ロッカーを有する吸気弁列と、
少なくとも1つの排気弁に運動を伝達するための排気ロッカーと、
前記吸気弁列内の運動を選択的に吸収するための前記吸気ロッカー内のロストモーション構成要素と、
前記ロストモーション構成要素と通信する制御流体回路と、
前記制御流体回路をリセットするためのリセット構成要素を有する前記吸気ロッカーと、
前記排気ロッカーと前記吸気ロッカーの間の相対運動に応答して前記リセット構成要素をトリガするための、前記排気ロッカー上に配設されたリセットトリガであって、吸気弁運動を制御し、前記内
燃エンジンの排気ガス再循環をサポートするために、前記リセット構成要素と協働するリセットトリガと、を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年3月26日に出願された、SYSTEM AND METHOD FOR ADDITIONAL INTAKE OPENING FOR IEGRと題された米国仮出願第62/648,106号の優先権の利益を主張し、その主題は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、燃焼機関エンジンの排出を管理し、排ガス再循環を制御するためのシステムおよび方法に関する。より具体的には、本開示は、吸気マニホールドまたは排気マニホールドから燃焼チャンバへの残留排気ガスの流れを容易にするための1つ以上のエンジン弁を作動させるためのシステムおよび方法を含む、内部排気ガス再循環のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
内燃機関エンジンは、エンジン吸気弁および排気弁を制御するために弁作動システムに依存し、これにより、動作中の燃焼構成要素および生成物の流れの燃焼チャンバへの出入りを制御する。4ストローク動作サイクルにおいて、吸気弁は、シリンダ内で移動するピストンの吸気ストローク中に燃料および空気を拡張燃焼チャンバに入れるために開放される。圧縮ストロークでは、吸気弁が閉鎖され、燃焼構成要素がピストンによって圧縮される。次いで、圧縮された燃焼構成要素が点火され、ピストンの動力ストロークが引き起こされる。排気ストロークでは、排気弁が開かれ、ピストンがシリンダ内で変位すると、燃焼生成物がシリンダから漏出することを可能にする。この動作は、典型的にはエンジンの「正動力」動作と呼ばれ、正動力動作中に弁に適用される運動は、典型的には「主イベント」弁作動運動と呼ばれる。主イベント作動に加えて、エンジン弁作動システムは、エンジンブレーキ(動力吸収)、排気ガス再循環(EGR)などの機能をサポートするための補助弁作動運動を容易にする特徴を含み得る。このような弁運動は、エンジン弁のうちの1つ以上に付与された「補助」イベントを使用して達成され得る。
【0004】
弁の移動は、典型的には、運動源として1つ以上の回転カムによって制御される。弁列を形成し得るカムフォロア、プッシュロッド、ロッカーアーム、および他の要素は、カム表面から弁への直接的な動きの伝達を提供する。補助イベントについては、補助イベント弁の移動を容易にするために、「ロストモーション」デバイスまたは可変長アクチュエータが弁列に利用され得る。ロストモーションデバイスは、それぞれのカム表面単独による作動の結果として生じるであろう運動と比較して弁運動が修正される技術的解決策のクラスを指す。ロストモーションデバイスは、弁の主イベント動作に加えて、またはその代替として補助イベントの選択的な発生を容易にするために、長さ、剛性、または圧縮性が変化し、制御されるデバイスを含み得る。
【0005】
EGRシステムは、典型的に、正動力動作中にエンジン燃焼チャンバに戻るために排気ガスの一部を提供する。燃焼中の燃焼チャンバ内の残留排気ガスの存在は、典型的には、エンジン排出量全体における窒素酸化物(NOx)の濃度を低減し、エンジン動作において他の利点をもたらし得る。外部EGR(EEGR)システムは、排気マニホールドまたは排気システムの他の部分と通信する1つ以上の外部通路を介して、排気ガスを燃焼チャンバに送り返し得る。内部EGRシステム(iEGR)は、典型的には、例えば、エンジンサイクル中の適切な時間に1つ以上のエンジン弁に適切な運動を提供することによって、外部導管を使用せずに、排気ガスを燃焼チャンバに導入することを提供する。このようなシステムは、4ストロークエンジンサイクルの排気イベント中の吸気弁の二次開口部および/または4ストロークエンジンサイクルの吸気部分中の排気弁の二次開口部を使用して、排気ガスの再循環を提供し得る。
【0006】
SAE技術論文98010、1998年、Edwards、S.、Frankle、G.、Wirbeleit、F.およびRaab、A.、(「Edwardsら」)による「The Potential of a Combined Miller Cycle and Internal EGR Engine of Future Heavy Duty Truck Applications」に記載されているとおり、排気ガスの残存率は、二次排気弁のリフトイベントと二次吸気弁のリフトイベントで制御することができる。この刊行物は、クランクシャフト角度の関数として、エンジン動作サイクルにおけるシリンダ内およびポート圧力の変動を説明し、図式的に例示する。エンジン動作サイクルの3つの潜在的な段階は、iEGRの機会を提示するものとして識別される。本刊行物は、残留排気ガスパーセンテージに関する二次排気弁リフトプロファイルおよび二次吸気弁リフトプロファイルの従来技術の結果をさらに説明する。これらの結果から、排気弁開放の開始付近にタイミングを合わせた追加の吸気イベントは、吸気中に排気開放イベントを使用するのと同等のEGRレベルパーセンテージを提供することができることが知られている。
【0007】
したがって、iEGRのための2つの実行可能な方法は、排気弁主イベント運動中の二次吸気弁「バンプ」、および吸気弁主イベント運動中の二次排気弁「バンプ」を含む。それらは、同様のiEGRパーセンテージ(残留ガス比)を提供する。排気弁主イベント中の吸気弁のバンプは、燃焼したガスの吸気マニホールドへの逆流を生成し、吸気ガスと混合し、その後の主吸気ストローク中にエンジンシリンダに戻る。吸気弁主イベント中の排気弁バンプは、排気マニホールドからエンジンシリンダへの燃焼ガスの逆流を生成する。
【0008】
既知のiEGRシステムおよび方法は、弁の動作を提供するために専用の機器を必要とし、したがってコストを増加させる。したがって、前述の欠点および先行技術における他の欠点に対処するシステムを提供することが有利であろう。
【発明の概要】
【0009】
前述の課題に対応して、本開示は、エンジン動作サイクルの適切な時間に開閉を含む弁の二次運動を促進して上記の利点を達成することによってiEGRを実装するために使用することができる弁作動システムの様々な実施形態を提供する。
【0010】
ある態様によれば、本開示は、iEGRを達成するために、ロストモーション弁作動システムにおける排気弁主イベントの間またはそれに一時的に近接する二次吸気弁リフトイベントのオン/オフ制御を提供するためのシステムを説明する。二次吸気弁のリフトイベントは、排気弁の主イベントの開始時または終了時に発生する可能性がある。好ましい吸気弁リフトプロファイルは、吸気弁列内のロストモーションカムプロファイルおよびロストモーション構成要素を、リセット構成要素と組み合わせて使用することによって得られる。ロストモーションカムプロファイルは、従来のカムと実質的に同じ主イベントリフトプロファイル、および従来のカムのベースサークルの下の二次リフトプロファイルを有し得る。ロストモーション構成要素が折りたたまれると、ロストモーションカムプロファイルは、主イベント運動のみを吸気弁に送る。ロストモーション構成要素が拡張されると、ロストモーションカムプロファイルは、エンジン動作サイクルの適切な時間に、吸気弁のための二次リフトイベントの少なくとも開口部分を提供し得る。ロストモーション構成要素に対して油圧リセットを実施し得るリセット構成要素は、上述の所望の二次吸気リフトプロファイルならびに通常の吸気主イベント閉鎖プロファイルを達成するために、エンジンサイクル中にロストモーション構成要素を適切な時間折りたたむ。リセット構成要素は、例えば、排気ロッカー上のリセットパッドなどのトリガ構成要素によって、排気弁列からの運動を使用してトリガされてもよい。リセット構成要素はまた、吸気ロッカーアーム位置に基づいてトリガされてもよく、この場合、固定リセットパッドが使用されてもよい。
【0011】
一態様によれば、本開示は、内燃機関エンジンにおいて排気ガス再循環を提供するために2つ以上のエンジン弁のうちの少なくとも1つを作動させるためのシステムであって、排気弁運動源と、排気弁運動源から少なくとも1つの排気弁に運動を伝達するための排気弁列と、吸気弁運動源と、吸気弁運動源から少なくとも1つの吸気弁に運動を伝達するための吸気弁列と、吸気弁列の運動を選択的に吸収するための吸気弁列のロストモーション構成要素と、ロストモーション構成要素と通信する制御流体回路と、制御流体回路をリセットするためのリセット構成要素と、リセット構成要素をトリガするためのリセットトリガと、を備える、システムを記載している。リセットは、吸気ロッカーまたは吸気弁の角度または位置によってトリガされ得る。
【0012】
ある態様によれば、本開示は、2つ以上のエンジン弁のうちの少なくとも1つを動作させるための方法を説明する。内燃機関エンジンにおいて、排気弁運動源から少なくとも1つの排気弁に運動を伝達するための排気弁列と、吸気弁運動源と、吸気弁運動源から少なくとも1つの吸気弁に運動を伝達するための吸気弁列と、吸気弁列の運動を選択的に吸収するための吸気弁列のロストモーション構成要素と、ロストモーション構成要素と通信する制御流体回路と、制御流体回路をリセットするためのリセット構成要素と、リセット構成要素をトリガするためのリセットトリガと、を備え、本開示による方法は、エンジンの主イベント動力サイクル中に排気弁を開放することと、吸気弁を開放して、排気弁が開放している間に二次リフトイベントを引き起こすことと、リセットトリガを動作させて、排気弁の主イベントを開放している間に二次吸気弁のリフトを制御することと、を含む。
【0013】
本開示の他の態様および利点は、以下の詳細な説明から当業者に明らかであり、上記の態様は網羅的または限定的とみなされるべきではない。前述の概要および以下の詳細な説明は、本開示の発明の態様の例を提供することが意図され、決して、添付の特許請求の範囲に定義される範囲を制限または限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の上記および他の付随する利点および特徴は、以下の詳細な説明から、添付の図面とともに明らかとなり、これらの図面では同様の参照番号は、全体を通して同様の要素を表す。説明および実施形態は、本開示の態様による例示的実施例として意図され、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定することが意図されないことを理解されたい。
【0015】
【
図1】本開示の態様に従って達成され得るような排気および吸気弁の主イベントリフトプロファイル、ならびに排気弁の主イベント運動の終わり近くのiEGR二次吸気弁リフトプロファイルを示すクランク角度の関数としての弁リフトの図式的表現である。これらのプロファイルは、許容誤差が緩やかで高主イベントの吸気リフトで発生する高さベースのリセットの特性であり、弁対ピストンのクリアランスを大きくする必要がある場合がある。
【0016】
【
図2】本開示の態様に従って達成され得るような排気および吸気弁の主イベントリフトプロファイル、ならびに排気弁の主イベント運動の始まりでのiEGR二次吸気弁リフトプロファイルを示すクランク角度の関数としての弁リフトの図式的表現である。これらのプロファイルは、許容誤差が緩やかで高主イベントの吸気リフトで発生する高さベースのリセットの特性であり、弁対ピストンのクリアランスを大きくする必要がある場合がある。
【0017】
【
図3】本開示の態様による排気弁列の運動を利用して吸気ロッカーロストモーション構成要素のリセットをトリガするiEGRシステムの例示的な実施形態の概略図である。
【0018】
【
図4】
図3の例示的な実施形態の特徴である二次吸気弁リフトイベントを示すクランク角度の関数としての弁リフトの図式的表現である。
【0019】
【
図5】本開示の態様による、吸気ロッカー角度に基づく吸気ロッカーロストモーション構成要素のリセットをトリガするために固定要素を利用するiEGRシステムの実施形態例の概略図である。
【0020】
【
図6】
図5の例示的な実施形態の特徴である二次吸気弁リフトイベントを示すクランク角度の関数としての弁リフトの図式的表現である。これらのプロファイルは、リフトが低く、厳しい許容差が必要な高さベースのリセットの特徴であり得る。
【0021】
【
図7】
図5の例示的な実施形態の特徴であり、流出ポート開放イベントを示す二次吸気弁リフトイベントを示すクランク角度の関数としての弁リフトの図式的表現である。
【0022】
【
図8】エンジン環境中のエンジンブレーキを有する、ロストモーション構成要素を有する吸気ロッカー、リセット構成要素、および排気ロッカーを含み、排気ロッカーに関連付けられたロストモーション構成要素リセットリガを含むiEGRシステムの等角図である。
【0023】
【
図9】
図8に描写される吸気ロッカーの等角的詳細図である。
【0024】
【
図10】
図8の吸気ロッカーの断面であり、その中のロストモーション構成要素への制御流体供給通路を示す。
【0025】
【
図11】リセット構成要素へのリセット制御流体通路を示す、
図8の吸気ロッカーの断面である。
【0026】
【
図12】リセット構成要素の詳細を示す
図8の吸気ロッカーの断面である。
【0027】
【
図13】リセット構成要素が押下または作動する主イベントピークリセット位置における
図8のiEGRシステムの等角図である。
【
図13.1】
図13の吸気ロッカー内のリセット構成要素の詳細な断面図である。
【0028】
【
図14】ラッシュ設定構成の
図8のiEGRシステムの等角図である。
【0029】
【
図15】リセット構成要素が吸気ロッカーの弁側に配置される代替実施形態によるiEGRシステムの等角図である。
【0030】
【
図16】
図15のシステムに示される吸気ロッカーの等角図である。
【0031】
【
図17】
図15のシステムに示される排気ロッカーの等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、本開示の態様に従って、吸気弁高さベースのリセットによって達成され得るような排気弁主イベント運動の終わり付近の排気および吸気主イベントリフトプロファイルならびにiEGR二次吸気弁リフトプロファイルを示す。これは、ブリッジブレーキ構成など、吸気弁の弁高さに基づくリセットを利用するロストモーションシステムで実装することができ、その例は、Jacobs Vehicle Systems、Inc.に譲渡された米国特許第8,578,901号(Ruggieroら)に記載されている。グラフは、代表的な弁対ピストンのクリアランスのための許容なエンジンバルブリフトを示す、排気弁の主イベントプロファイル110、吸気弁の主イベントプロファイル120、およびエンジンのピストン変位プロファイル130を描写している。クランクシャフト角度の関数としてのこれらの要素の位置(リフト)は、それらのそれぞれのプロファイルを定義する。ロストモーションカムプロファイルは、概して122で参照されるサブベースサークル特徴を含み、上記のように、Edwardsらによって識別されるものなどの遅延吸気iEGRリフトプロファイルを提供し得る。この曲線は、吸気弁列のロストモーション構成要素が無効化されると失われるカムリフトを表す(「iEGRオフ」)。本開示の一態様によれば、iEGRシステムは、吸気弁列内(すなわち、吸気ロッカー内)のロストモーション構成要素に関連付けられた制御流体回路内で、150で表される流出ポートの開放によって、弁の高さに基づくリセットを提供し得る。プロファイルは、リフトイベント142部分から吸気弁主イベントプロファイル120に延在する遷移部分144を含んでもよい。144から主イベント120への遷移は、制御流体回路からの油圧流体の流出に起因し、ロストモーション要素のリセットをもたらす。ピストン変位プロファイル130との遷移部分144の重複は、ピストン内で機械加工されたポケットで対処され得、弁からピストンのクリアランスを維持するために、吸気弁位置と一致する。認識されるように、この構成では、吸気弁運動のリセットは、iEGRリフトイベント部分142のちょうど上方から開始され得、特定の高さに制御され得る。認識されるように、この構成は、完全なリセットを達成するために比較的高い吸気弁リフトを必要とする場合がある。例えば、完全なリセットを達成するために、ロストモーションピークリフトの約2倍の吸気弁リフトが必要とされ得る。
【0033】
図2は、本開示の態様に従った吸気弁高さベースのリセットで達成され得る、排気弁主イベント運動の開始時の排気および吸気主イベントリフトプロファイルならびにiEGR二次吸気弁リフトプロファイルを示す。ロストモーションカムプロファイルは、iEGRバンプを提供するために一般に222で参照されるサブベースサークル特徴を含み得る。この曲線は、吸気弁列のロストモーション構成要素が無効化されると失われるカムリフトを表す(「iEGRオフ」)。この例では、弁の高さに基づくリセットは、上記のようにEdwardsらによって識別された早期吸気iEGRリフトプロファイルの領域で吸気iEGRイベントを提供し得る。
図1と同様に、これは、ブリッジブレーキ構成などの吸気弁上の弁の高さに基づくリセットを利用するロストモーションシステムにおいて実装され得る。本開示の一態様によれば、iEGRシステムは、吸気弁列内(すなわち、吸気ロッカー内)のロストモーション構成要素に関連付けられた制御流体回路内で、250で表される流出ポートの開放によって、弁の高さに基づくリセットを提供し得る。認識されるように、このシステムは、異なるロストモーションカムプロファイルが使用され得ることを除いて、
図1に描写されるものと同様である。グラフは、排気弁主イベントプロファイル210、吸気弁主イベントプロファイル220、およびピストン変位プロファイル230を描写する。クランクシャフト角度の関数としてのこれらの要素の位置(リフト)は、それらのそれぞれのプロファイルを定義する。iEGRシステムは、iEGR吸気弁二次リフトイベント242部分を含み得る、一般に240によって参照されるiEGR吸気弁二次リフトプロファイルによって特徴付けられる弁高さベースのリセットを提供し得る。プロファイルは、リフトイベント242部分から吸気弁主イベントプロファイル220に延在する遷移部分244を含んでもよい。
図1の構成と同様に、ピストン変位プロファイル230との遷移部分244の重複は、ピストン内で機械加工されたポケットで対処されてもよく、弁からピストンクリアランスを維持するために、吸気弁位置と一致することが提供されてもよい。この構成は、排気主イベントリフトの開始時に二次吸気イベントを伴うことで、吸気弁のリフト高さが低いときのEGR流量を改善することができる。しかし、早期開放のため、吸気主イベントリフトの開始時にも流量の戻りが発生する可能性がある。エンジンシリンダから吸気ポートへの逆流は、開放が早期かその後かにかかわらず、iEGRシステムの典型であることに留意されたい。さらに、
図2に示されるように、ピストンクリアランス間の弁は、上部死点(TDC)における吸気弁の約2mm高い開口部を収容する必要があり得る。
【0034】
図3は、本開示の態様による排気運動を利用して吸気ロッカーロストモーション構成要素のリセットをトリガするiEGRシステムの例示的な実施形態の概略図である。吸気ロッカー300および排気ロッカー350は、ロッカーシャフト380上に枢動可能に取り付けられ得る。排気ロッカー350は、吸気ロッカー300によって
図3の視野から部分的に隠されている。吸気ロッカー300は、吸気弁列の一部であってもよく、吸気ロッカー300の運動源側内に配置される、それと関連付けられたプッシュロッド付勢アセンブリ392を有するプッシュロッド390、および付勢スプリング312を有する調整可能な付勢ねじアセンブリ310を含み得る。プッシュロッド390および吸気弁列の他の構成要素は、カム394などの吸気運動源によってそこに付与される運動を受け得る。カム394は、iEGRローブ398を含むロストモーションカムプロファイルを有し得る。主イベントの前にドウェルを備えた吸気弁を早期に開き、排気ベースのリセットを提供するフロントポーチサブベースサークル機能を備えたロストモーションカムプロファイルは、上記のようにEdwardsらによって識別された早期吸気IEGRリフトプロファイルの領域に吸気IEGRプロファイルを提供することができる。ロストモーション構成要素320は、吸気ロッカー300の運動受容構成要素側に配置されてもよく、吸気弁プッシュロッドまたは吸気弁ステム396などの運動受容構成要素に運動を付与してよい。
【0035】
吸気ロッカー300は、ロストモーション構成要素320を制御するための制御流体(油圧)回路330の一部を含んでもよい。油圧回路330は、ロッカーシャフト内に制御流体源通路382を含んでもよく、これは、ロストモーション構成要素320の状態を制御するために、吸気ロッカー300の内部内にロストモーション制御流体ボア322に延在するロッカー制御通路384と流体連通する。一実施形態では、ロストモーション構成要素320は、ボア322内に摺動可能に配置されたピストン324と、付勢ばね326とをさらに備える。ボア322が油圧流体で満たされていないとき(すなわち、加圧された油圧流体が制御流体源通路382を介してロッカー制御通路384に提供されていないとき)、ピストン324は、ボア322内に後退することができ、これにより、弁列全体の長さが短縮され、主イベント運動以外の運動の伝達が防止される。一方、ボア322に油圧流体が充填されると、以下でさらに詳細に説明するように、リセットが発生する時間まで、カム394によって提供されるすべての運動(主イベントおよび補助イベント)がロッカーアーム300によってエンジン弁396に伝達されるように、ピストン324は、ボア322から延在する。
【0036】
本開示の態様によれば、リセット構成要素340は、上記で考察されるiEGR運動に従って吸気弁運動のリセットを達成するために、ロストモーション構成要素320のリセットを容易にするように、油圧回路330と通信して提供される。リセット構成要素340は、吸気ロッカー300内に形成され、ポペットまたはテーパー弁344によって占有されるレリーフまたは流出ポート342を含み得る。ポペット弁は、対応する形状の弁座348内に座るテーパヘッド部分346を含むことができる。ポペット弁344のステム347は、流出ポート342内に延在し、リセット動作中に制御流体の漏出を可能にするために、それと共に環状通路を形成する。ステム347は、ロッカーアームから延在し、ポペット弁を閉鎖位置に付勢するためのコイルばね341およびCクリップ343などの付勢アセンブリを有し得る。したがって、弁ステム347の端部は、ロッカーアーム350から突出し、それによって、それが排気ロッカー350上のリセットトリガ構成要素360によって係合され得るように延在するリセットアクチュエータとして機能する。ロッカー制御通路384内の逆止弁386は、制御流体の逆流を防止し、制御流体がリセット動作中にリセット構成要素340を介して漏出することを保証する。
【0037】
排気ロッカー350は、排気弁列の一部であってよく、それらの残りの構成要素は、
図3において明確にするために、この図では省略される。排気弁列は、カム(
図3には示されない)を含み得る排気運動源によってそこに付与される運動を受けてもよい。本開示の態様によれば、調整可能なリセットトリガ構成要素360は、排気ロッカー運動および吸気ロッカー運動がリセットトリガ360をリセットアクチュエータと接触させるとき、吸気ロッカー上のリセット構成要素340のリセットアクチュエータを係合およびトリガするために、排気弁ロッカー350に固定され得る。リセットトリガ360は、リセットパッド354と協働する止めねじ362を含んでもよく、リセットパッドは、運動の排気ロッカー面に直交する方向(すなわち、
図3のページから外側)に排気ロッカー350から延在する。止めねじ362は、好ましくは、止めねじ362が排気ロッカーと共に移動する(すなわち、往復運動する)につれて、リセットの作動を確実にするために、リセット構成要素340上のリセットアクチュエータと整列される。
【0038】
動作中、ボア322が油圧流体で充填され、リセットがトリガされると、ロストモーション構成要素320のピストン324は、エンジン弁396上の弁ばね(図示せず)によって装填され、したがって、制御流体ボア322内に圧力を生成する。したがって、リセット構成要素340がトリガされると、制御流体は、ボア322および油圧回路330からポート342を介して、ロッカーの外部に、または制御された流れ通路を介して供給源に戻るように通気する。認識されるように、理想的なリセット動作のために、リセット構成要素340の適切な流れ特性が選択され得る。さらに、適切なカムドウェルは、吸気弁主イベントが発生する前にリセット構成要素が再充填されないことを保証するために提供され得る。ボア322から油圧流体を排出すると、ピストン324は、エンジン弁ばねの負荷下でボア322内に素早く後退し、それによって、ロストモーション構成要素320の拡張によって拾われたであろう任意の運動を効果的に失う。
【0039】
図4は、
図3に関して上述した例示的な排気運動トリガ実施形態の特徴である二次吸気弁リフトイベントを示すクランク角度の関数として、弁リフトを図式的に表す。排気運動トリガを使用して、二次吸気弁リフトイベントは、二次リフト部分410、ピーク412およびリセットトリガ点414、ならびに遷移部分416を含むプロファイル400を有し得る。リセットトリガ点は、水平ライン420によって表されるように、約6mmの対応する排気弁リフトを有する約180度のクランクシャフト角度で発生し得る。リセットは、クランクシャフトの約300度の回転で終了し得る。認識されるように、吸気口にロストモーション2弁開口ロッカーブレーキを使用し、排気ロッカーリフトを使用してリセットをトリガすることで、吸気弁の早期開放を必要とせずに、排気主イベントの開始時にiEGRバンプを提供することができる。排気中にドウェルを有するカムは、完全に再閉鎖するまでリセットされる。リセットは、吸気リフトと角度とは独立した排気リフトによってトリガされる。認識されるように、排気ロッカー運動で達成される高いリフトは、リセット構成要素成分組成部品における厳密な許容差の必要性を低減する。加えて、排気ロッカー運動の使用は、高流量を達成し、主イベント吸気開放の前に弁運動を迅速にリセットするために、リセット構成要素の十分に高いリフトを保証し得る。
【0040】
図5は、ロッカーアームの角度位置(すなわち、リフト角)に基づいてリセットを提供する、固定位置リセットトリガを利用するiEGRシステムの別の実施形態例の概略図である。本開示の態様によれば、リセット構成要素540は、上記で考察されるiEGR運動に従って吸気弁運動リセットを達成するために、ロストモーション構成要素520のリセットを実現するために、油圧回路530と通信して提供される。一実施形態では、ロストモーション構成要素520は、ボア522および付勢ばね526の中に摺動可能に配置されたピストン524をさらに備える。リセット構成要素540は、吸気ロッカー500内に形成され、ポペットまたはテーパー弁544によって占有されるリリーフポートまたは流出ポート542を含んでよい。ポペット弁は、対応する形状の弁座548内に座るテーパヘッド部分546を含むことができる。ポペット弁544のステム547は、流出ポート542内に延在し、リセット動作中に制御流体の漏出を可能にするために、それと共に環状通路を形成する。ステム547は、ロッカーアームから延在し、ポペット弁を閉鎖位置に付勢するためのコイルばね541およびCクリップ543などの付勢アセンブリを有し得る。したがって、弁ステム547の端部は、ロッカーアーム550から突出し、それによって、エンジンヘッドに対してまたはロッカー運動に対して固定されるリセットパッドであり得る固定リセットトリガ構成要素560によって係合され得るように延在するリセットアクチュエータとして機能する。したがって、吸気ロッカー500の角度位置に基づいてリセットが発生する。ロッカー制御通路584内の逆止弁586は、制御流体の逆流を防止し、制御流体が、リセット動作中にリセット構成要素540を介して漏出することを保証する。プッシュロッド590および吸気弁列の他の構成要素は、カム594などの吸気運動源によってそこに付与される運動を受け得る。カム594は、iEGRローブ598を含むロストモーションカムプロファイルを有し得る。主イベントの前にドウェルを備えた吸気弁を早期に開き、排気ベースのリセットを提供する機能を備えたロストモーションカムプロファイルは、上記のようにEdwardsらによって識別された早期吸気IEGRリフトプロファイルの領域に吸気IEGRプロファイルを提供することができる。ロストモーション構成要素520は、吸気ロッカー500の運動受容構成要素側に配置されてもよく、吸気弁プッシュロッドまたは吸気弁ステム596などの運動受容構成要素に運動を付与してよい。
【0041】
図6は、
図5に関して上述した例示的な排気運動トリガ実施形態の特徴である二次吸気弁リフトイベントを示すクランク角度の関数として、弁リフトを図式的に表す。ロストモーションカムプロファイルは、概して622で参照されるサブベースサークル特徴を含み、上記のように、Edwardsらによって識別されるものなどの早期吸気IEGRリフトプロファイルまたは遅延吸気IEGRリフトプロファイルのいずれかを提供し得る。この曲線は、吸気弁列のロストモーション構成要素が無効化されると失われるカムリフトを表す(「iEGRオフ」)。吸気ロッカーの角度位置に基づいたトリガを使用して、二次吸気弁リフトイベントは、二次リフト部分610、ピーク612、およびリセットトリガ点614を含むプロファイル600を有し得る。水平ライン620によって表されるように、吸気ロッカーが、吸気弁リフトの約2mmに対応する角度位置に回転すると、ロッカーアームの下側のポペット弁リセットアクチュエータは、シリンダヘッド上のリセットパッド560(
図5)と接触し、流出ポートを開放する。カムドウェル中、アクチュエータピストンは後退し、弁が再び閉鎖するまで回路内のオイルをリセットする。リセット位置は、それが機能することを保証し、より高いリフト主イベントが開始するまでリセットが遅延するのを防ぐために厳密に制御され得る。
【0042】
図7は、
図5の例示的な実施形態の特徴であり、流出ポート開放イベントを示す二次吸気弁リフトイベントを示すクランク角度の関数としての弁リフトの図式的表現である。この図は、明確化のためにバックグラウンドプロファイルが排除されたことを除いて、実質的には
図6と同様である。
【0043】
図8~14は、追加の利点を有する、かかる用途に好適なシステムを例示する。
図8は、ロストモーション構成要素820およびリセット構成要素アセンブリ840を有する吸気ロッカーを利用するiEGRのためのシステム810の等角図である。吸気ロッカー800および排気ロッカー850は、ロッカーシャフト880上に配置される。吸気ロッカー800は、リセット構成要素アセンブリ840を収容するためにその中に形成されるリセット構成要素ハウジング810を含む。この配列に関して認識されるように、リセットがトリガされると、アクチュエータピストンがプッシュロッド側にあるため、ロッカーはカムに向かって戻る。この動作は、リセット弁をさらに押し下げ、したがって、より迅速なリセットをもたらす。
【0044】
ロストモーション吸気ロッカー800は、リセットラッシュ設定ねじ機能を有するリセット構成要素アセンブリ840を含んでもよい。
図10および11は、制御流体または油圧回路の一部を構成する吸気ロッカー内の内部制御流体通路を示す。制御流体通路884(
図10)は、ロッカーシャフトジャーナルから、ロストモーション構成要素制御流体ボア822に延在する。逆流を防止するために、逆止弁886が制御流体通路内に配置され得る。潤滑通路830は、潤滑流体がロストモーションを提供せず、往復運動しているときに、ロストモーション構成要素ピストン823に潤滑流体を提供し得る。
【0045】
図11は、ロストモーション構成要素制御流体ボア822からリセット構成要素アセンブリ840までリセット構成要素ハウジング810内に延在するリセット通路824を示す部分断面図である。
図12をさらに参照すると、リセット構成要素アセンブリ840は、その端部に画定された出口ポート842および内部ハウジングボア843を有する概ね円筒形のハウジング841を含み得る。ハウジングボア843は、リセット通路824と流体連通しており、弁座847に対してばね846によって付勢される、ポペット845を有するポペット弁844を含有する。ねじ付きばね保持装置848は、出口ポート842と反対側の端部でハウジング841内に調節可能に固定されて、ポペット弁844上の付勢力を調節することができる。
【0046】
図13および13.1は、リセット構成要素840のトリガまたはリセット押下位置を示す。
図13において、排気ロッカー850の排気主イベントピーク位置の間、吸気ロッカーに向かって排気ロッカー850から離れて延在するリセットパッド854は、ポペット弁844の端部に接触し得る。
図13.1にさらに詳細に記載されるように、この接触は、ポペット845を弁座847から持ち上げ、それによって制御流体がリセット構成要素から流れることを可能にし、したがって、ロストモーション構成要素820をリセットさせる。
【0047】
図14は、ラッシュセットを有するリセット構成要素を有するベースサークル上の吸気ロッカー800を示す。ラッシュは、ハウジングの外面とねじ込み可能に係合され得るねじ式ロックナット860を使用して設定され得る。ラッシュは、ポペット弁844の端部とリセットパッド854との間に設定され得る。リセット構成要素840は、ねじ付きハウジング841にしっかりと固定されることを意図したねじ付きばねストップ848内の内部六角によって上下に調整することができる。ハウジング841を上下に移動させることによって、正確な高さ、したがってリセットがトリガされる角度を、iEGR弁の所望の閉鎖を達成するように設定することができる。iEGR閉鎖のバラツキは、NOxの理想的な制御に必要なパラメータ以外のiEGR流量バラツキを引き起こす可能性がある。アセンブリの所望の高さを設定した後、ジャムまたはロックナット860を締めて、構成要素を所定の位置にロックする。
【0048】
上記の
図8~14の実施形態で達成される吸気リフトプロファイルは、
図4に描写されているものと同じである。
【0049】
図15~17は、本開示の態様に従ってiEGRを達成するための別の例示的なシステムを示す。この実施形態において、吸気ロッカー1500は、吸気ロッカーの弁側にリセット構成要素ハウジング1510を含んでもよい。
図16は、リセット構成要素ハウジング1510およびそこから延在するリセットピンまたはトリガの配向をさらに示す。
図15および17において見ることができるように、リセットアーム1554は、ねじ付き止め具によって排気ロッカー1550に固定されてもよい。ロックナット1558を有する止めねじ1556は、リセットのタイミングおよびリフト制御のために必要に応じてラッシュ設定を可能にするために提供され得る。このバージョンでは、アクチュエータピストンも弁側にある。認識されるように、リセットがトリップされると、ロッカーは、カムに向かって後ろに回転しないため、リセットのストロークは、排気主イベント運動によってのみ駆動される。これは、ロッカー角度がリセット中に一定に保持される高さベースのリセットシステムに適する。
【0050】
前述の開示から認識されるように、排気弁主イベントの開始付近の追加の吸気開放イベントは、35%の範囲のEGR率を達成するための実行可能な方法である。
【0051】
認識されるように、上述のシステムは、iEGRを実施する方法に従って動作し得る。本開示の態様による方法は、内燃機関エンジンにおいて排気ガス再循環を提供するステップを含み得、内燃機関エンジンは、排気弁運動源から少なくとも1つの排気弁に運動を伝達するための排気弁列と、吸気弁運動源と、吸気弁運動源から少なくとも1つの吸気弁に運動を伝達するための吸気弁列と、吸気弁列の運動を選択的に吸収するための吸気弁列のロストモーション構成要素と、ロストモーション構成要素と通信する制御流体回路と、制御流体回路をリセットするためのリセット構成要素と、リセット構成要素をトリガするためのリセットトリガと、を備え、方法は、下記を含み、方法は、エンジンの主イベントの動力サイクル中に排気弁を開放することと、吸気弁を開放して、排気弁が開放している間に二次リフトイベントを引き起こすことと、リセットトリガを動作させて、排気弁の主イベントを開放している間に二次吸気弁のリフトを制御することと、を含む。
【0052】
本実施態様は、特定の例示的実施形態を参照して説明されてきたが、特許請求の範囲に記載される本発明のより広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正および変更が行われ得ることは明らかであろう。したがって、明細書および図面は、制限的な意味よりもむしろ例示的な意味に考慮されるべきである。