(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】反転位相モード論理フリップフロップ
(51)【国際特許分類】
H03K 19/195 20060101AFI20220705BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20220705BHJP
G11C 11/44 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
H03K19/195
G06F7/38 610
G11C11/44
(21)【出願番号】P 2021531279
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 US2019058797
(87)【国際公開番号】W WO2020112294
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-05-31
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520128820
【氏名又は名称】ノースロップ グラマン システムズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、アレクサンダー ルイス
【審査官】橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-289529(JP,A)
【文献】特開2007-005959(JP,A)
【文献】特表2014-529216(JP,A)
【文献】米国特許第09543959(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 19/195
G06F 7/38
G11C 11/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反転レシプロカル量子論理(RQL)位相モードフリップフロップであって、
データ入力ライン上のデータ入力信号を正または負の単一磁束量子(SFQ)パルスとして受信し、前記データ入力信号に基づいて当該フリップフロップに流れるDCバイアス電流を反転するように構成された積層ジョセフソン接合と、
論理クロック入力信号を受信し、前記DCバイアス電流の方向と当該フリップフロップの論理出力状態とに基づいて、出力ライン上の前記論理クロック入力信号を、前記データ入力信号を論理反転した当該フリップフロップの出力信号として送信するか、またはその送信を抑制するように構成された比較器と、
を備えた反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項2】
前記出力信号は、前記比較器内における出力ジョセフソン接合の0または2πラジアン超伝導位相に対応する負または正のSFQパルスである、請求項1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項3】
前記論理クロック入力信号は、正および負の単一磁束量子(SFQ)パルスの相互対として供給される、請求項1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項4】
前記比較器内の出力ジョセフソン接合にDCバイアス電流を供給するように構成されたDCおよびACバイアスネットワークをさらに備え、前記積層ジョセフソン接合は、前記データ入力信号に応答してトリガされることにより前記DCバイアス電流を反転するように構成されている、請求項1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項5】
前記比較器は、前記論理クロック入力信号が供給されるエスケープジョセフソン接合と、前記エスケープジョセフソン接合と回路接地との間に接続された出力ジョセフソン接合とを含む、請求項1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項6】
当該フリップフロップが4つ以下のジョセフソン接合を含む、請求項5に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項7】
前記比較器は、前記論理クロック入力信号として受信したSFQパルスに応答して前記エスケープジョセフソン接合および出力ジョセフソン接合のうちの1つのみがトリガされるように構成されている、請求項5に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項8】
前記比較器は、前記データ入力信号に応答して前記DCバイアス電流を反転する前記積層ジョセフソン接合のトリガにより生じる前記出力ジョセフソン接合の負のバイアス条件に基づいて前記出力信号を生成するべく前記出力ジョセフソン接合が優先的にトリガされるように構成されている、請求項7に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項9】
DCバイアスラインにトランス結合された接地インダクタを含むDCバイアス回路をさらに備え、前記DCバイアス回路は、出力ジョセフソン接合をバイアスする前記DCバイアス電流に寄与する、請求項1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項10】
前記比較器は、前記論理クロック入力信号が供給される抵抗器と、前記抵抗器と回路接地との間に接続された出力ジョセフソン接合とを含み、前記抵抗器は、前記出力ジョセフソン接合をトリガしない論理クロック入力信号パルスを徐々に散逸させるように構成されている、請求項1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項11】
当該フリップフロップが3つ以下のジョセフソン接合を含む、請求項10に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
【請求項12】
方法であって、
反転レシプロカル量子論理(RQL)フリップフロップを論理クロック相互パルス対で初期化して当該フリップフロップを論理「1」の値に対応する位相モードにセットすること、
当該フリップフロップのデータ入力に正の単一磁束量子(SFQ)パルスを供給すること、
当該フリップフロップの積層ジョセフソン接合をトリガして当該フリップフロップの出力ジョセフソン接合を流れるDCバイアス電流の方向を反転すること、
当該フリップフロップの論理クロック入力に追加の相互SFQパルス対を供給すること、
前記反転されたDCバイアス電流に基づいて前記追加のパルス対のうちの負のパルスのみを当該フリップフロップの出力に伝達し、前記追加のパルス対のうちの正のパルスをエスケープジョセフソン接合または散逸抵抗器のいずれかで吸収すること、
当該フリップフロップを論理「0」の値に対応する位相モードにリセットすること、
を備える方法。
【請求項13】
前記出力ジョセフソン接合にACバイアス信号を供給することをさらに備え、前記散逸抵抗器が含まれる場合、論理クロック入力インダクタと、前記散逸抵抗器と、前記出力ジョセフソン接合と、論理クロック入力駆動ジョセフソン接合とを含むループのL/R時定数により、前記ループが、前記供給されたACバイアス信号の1/2サイクル未満で1Φ
0相当の電流を散逸できるように前記散逸抵抗器のサイズが設定されている、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記追加のパルス対のうちの正のパルスはエスケープジョセフソン接合で吸収され、前記追加のパルス対のうちの負のパルスは、前記追加のパルス対のうちの負のパルスに応答して前記出力ジョセフソン接合をトリガすることにより前記出力に伝達される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記反転RQLフリップフロップの前記データ入力に負のSFQパルスを供給すること、
前記積層ジョセフソン接合のトリガを解除して、先の前記反転されたDCバイアス電流の方向を復元すること、
当該フリップフロップの前記論理クロック入力に後続の相互SFQパルス対を供給すること、
前記復元されたDCバイアス電流に基づいて前記後続のパルス対のうちの正のパルスのみを当該フリップフロップの前記出力に伝達し、前記後続のパルス対のうちの負のパルスをエスケープジョセフソン接合または抵抗器で吸収すること、
当該フリップフロップを論理「1」の値に対応する位相モードにセットすること、
をさらに備える請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して量子および古典的デジタル超伝導回路に関し、具体的には、反転位相モード論理(PML)Dフリップフロップに関する。本出願は、2019年11月30日に出願された米国特許出願第16/205959号の優先権を主張し、その全体が明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
デジタル論理の分野において、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)技術は高度に開発された周知の技術であり、幅広く使用されている。CMOSが技術として成熟しつつあるため、速度、消費電力計算密度、相互接続帯域幅などの点でより高い性能につながり得る代替技術に関心が向けられている。CMOS技術に代わるものとして、超伝導ジョセフソン接合(JJ)を利用し、20ギガビット/秒(Gb/s)以上の典型的なデータ速度で約4ナノワット(nW)の典型的な信号電力を有し、約4ケルビンの動作温度を有する超伝導体ベースの単一磁束量子回路がある。
【0003】
フリップフロップは双安定マルチバイブレータであって、状態情報を保存し、1つ以上の制御入力に適用される信号によって状態を変更するために使用可能な2安定状態回路である。近年の演算および通信エレクトロニクスにおいて、フリップフロップは、シーケンシャルロジック論理の基本的なストレージ要素である。反転フリップフロップは反転論理状態を供給するものであって、その他の点については非反転フリップフロップから期待されるものとなり、出力はクロック入力を反転したものである。従来のDフリップフロップ(例えば、CMOSで実装されたもの)は、2つのバイナリ入力としてのデータ入力Dおよびクロック入力と、少なくとも1つの出力Qbar(「Qbar」はQの上に直線のバーを付した符号)とを有する。Dフリップフロップは、D入力の値を入力クロックサイクルの特定の部分、例えば、キャプチャタイムとして知られる立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジで取り込む。その取り込み値がQbar出力となる。出力Qbarは、キャプチャタイム(またはその後の幾らかの小伝搬遅延)を除いて変化しない。実際の実装では、データ入力Dは、入力が確実にキャプチャされ反転され出力に伝搬されるために、キャプチャタイム前の或るセットアップタイムとキャプチャタイム後の或るホールドタイムの間は安定している必要がある。
【0004】
位相モード論理は、デジタル値を1つまたは複数のジョセフソン接合の超伝導位相として符号化し得る。例えば、論理「1」は高位相として符号化され、論理「0」は低位相として符号化され得る。例えば、値は、ゼロラジアンの超伝導位相(例えば、論理「0」を意味する)または2πラジアンの超伝導位相(例えば、論理「1」を意味する)として符号化され得る。ACクロックサイクルごとにジョセフソン接合の位相をリセットするための相互パルスを必要としないため、これらの値はRQLのACクロックサイクルにわたって持続する。
【発明の概要】
【0005】
一実施例は、反転レシプロカル量子論理(RQL)位相モードフリップフロップを含む。当該フリップフロップは、データ入力ライン上のデータ入力信号を正または負の単一磁束量子(SFQ)パルスとして受信し、前記データ入力信号に基づいて当該フリップフロップに流れるDCバイアス電流を反転するように構成された積層ジョセフソン接合(stacked Josephson junction)を有している。当該フリップフロップは、論理クロック入力信号を受信し、前記DCバイアス電流の方向と当該フリップフロップの論理出力状態とに基づいて、出力ライン上の前記論理クロック入力信号を、前記データ入力信号を論理反転した当該フリップフロップの出力信号として送信するか、またはその送信を抑制するように構成された比較器をさらに有している。例えば、論理出力状態は、例えば論理「1」に対応する「位相モード1」の状態か、または例えば論理「0」に対応する「位相モード0」の状態であり得る。
【0006】
別の実施例は、反転レシプロカル量子論理(RQL)フリップフロップを動作させる(例えば、論理値を反転RQLに書き込むおよび論理値を反転RQLから読み出す)方法を含む。当該方法は、反転レシプロカル量子論理(RQL)フリップフロップを論理クロック相互パルス対で初期化して当該フリップフロップを論理「1」の値に対応する位相モードにセットすることを含む。当該方法は、当該フリップフロップのデータ入力に正の単一磁束量子(SFQ)パルスを供給すること、および当該フリップフロップの積層ジョセフソン接合をトリガして当該フリップフロップの出力ジョセフソン接合を流れるDCバイアス電流の方向を反転すること、によって継続する。当該方法は、当該フリップフロップの論理クロック入力に追加の相互SFQパルス対を供給すること、によって継続する。当該方法は、前記反転されたDCバイアス電流に基づいて前記追加のパルス対のうちの負のパルスのみを当該フリップフロップの出力に伝達し、前記追加のパルス対のうちの正のパルスをエスケープジョセフソン接合または散逸抵抗器のいずれかで吸収すること、によって継続する。以上の結果、当該フリップフロップは、論理「0」の値に対応する位相モードにリセットされる。当該方法は、前記反転RQLフリップフロップの前記データ入力に負のSFQパルスを供給すること、前記積層ジョセフソン接合のトリガを解除して、先の前記反転されたDCバイアス電流の方向を復元すること、および当該フリップフロップの前記論理クロック入力に後続の相互SFQパルス対を供給すること、によって継続し得る。当該方法は、前記復元されたDCバイアス電流に基づいて前記後続のパルス対のうちの正のパルスのみを当該フリップフロップの前記出力に伝達し、前記後続のパルス対のうちの負のパルスをエスケープジョセフソン接合または抵抗器で吸収すること、によって継続し得る。この結果、当該フリップフロップは、論理「1」の値に対応する位相モードにセットされる。
【0007】
さらに別の実施例は、データ入力信号を単一磁束量子(SFQ)パルスとして受信するように構成されたデータ入力と、論理クロック入力信号を正および負のSFQパルスの相互対として受信するように構成された論理クロック入力とを有する回路を含む。また、当該回路は、前記論理クロック入力と出力との間に接続された、エスケープジョセフソン接合または抵抗器のいずれかを含む。当該回路はさらに、前記出力と回路接地との間に接続された出力ジョセフソン接合と、前記データ入力と前記出力との間に接続された積層ジョセフソン接合とを有している。また、当該回路は、前記出力ジョセフソン接合にDCおよびACバイアスを供給するように構成されたDCおよびACバイアスネットワークを含み、DCバイアスは前記積層ジョセフソン接合のトリガによって反転可能である。当該回路は、論理「1」または論理「0」の値に対応する出力信号を出力から供給するように構成されており、前記出力信号は、前記論理クロック入力信号によってクロッキングされる前記データ入力信号を反転したものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】例示的な反転レシプロカル量子論理(RQL)位相モードDフリップフロップのブロック図である。
【
図2】例示的な反転レシプロカル量子論理(RQL)位相モードDフリップフロップのブロック図である。
【
図3】
図3Aは、例示的な反転RQL位相モードDフリップフロップの回路図であり、
図3B~
図3Rは、
図3Aのフリップフロップの例示的な機能を示す図である。
【
図4】例示的な反転RQL位相モードDフリップフロップの回路図である。
【
図5】例示的な反転RQL位相モードDフリップフロップの回路図である。
【
図6】例示的な反転RQL位相モードDフリップフロップの回路図であり、DCバイアス素子の一例の回路図である。
【
図7A】反転RQL位相モードDフリップフロップを動作させる(例えば、反転RQL位相モードDフリップフロップに値を書き込むおよび値を読み出す)例示的方法のフロー図である。
【
図7B】反転RQL位相モードDフリップフロップを動作させる(例えば、反転RQL位相モードDフリップフロップに値を書き込むおよび値を読み出す)例示的方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、概して量子および古典的デジタル超伝導回路に関し、具体的には、レシプロカル量子論理(RQL)位相モード論理(PML)回路で使用するための反転Dフリップフロップに関する。RQL位相モード反転フリップフロップは、例えば、アドレス指定されたメモリセルの論理状態を記憶するメモリシステム(例えば、量子演算メモリシステム)に実装され得る。本開示は、参照によって本明細書に組み込まれる「RQL Phase-Mode Flip■Flop」(RQL位相モードフリップフロップ)を名称とする米国特許出願第15/810,860号に記載された反転型PMLフリップフロップを提供し、フリップフロップの出力にインバータを単に取り付けるよりも効率的なものである。入力および出力は各々、RQL超伝導回路などのジョセフソン伝送線路(JTL)を介して供給され得る。
【0010】
反転RQL位相モードフリップフロップは、積層ジョセフソン接合と比較器とを含み得る。例えば、このようなフリップフロップは、比較器の一部を形成する出力ジョセフソン接合と直列に積層ジョセフソン接合を含み得る。本明細書で使用される「積層ジョセフソン接合」とは、別のジョセフソン接合とそのバイアスソースとの間にあるジョセフソン接合を意味し、それら2つの接合が直列にバイアスされ、一方の接合をトリガすることによって他方の接合のDCバイアスを変化させることができる。フリップフロップの出力は、例えば、出力信号をRQLシステムの他のゲートまたはRQL回路の他の部分に伝搬するように出力増幅ジョセフソン伝送線路(JTL)に接続され得る。正または負の単一磁束量子(SFQ)パルスとして供給され得るデータ入力により積層ジョセフソン接合をトリガまたはトリガ解除してフリップフロップのバイアス条件を変更、例えば、出力ジョセフソン接合に印加されるDCバイアスを反転することにより、出力ジョセフソン接合を事前準備(priming)して、例えばDCバイアスの方向に基づき論理クロック入力信号から出力にパルスを伝達したりまたはそのようなパルスを抑制したりすることができる。このように、例えば、積層ジョセフソン接合のトリガによって出力ジョセフソン接合が適切にバイアスされていることにより、論理クロックSFQ相互パルス対のうちの一方のパルスによって出力ジョセフソン接合を比較器内のエスケープジョセフソン接合よりも優先的にトリガすることができる場合、比較器への論理クロックSFQ相互パルス対の受信時に、データ入力を反転したものを出力に取り込むことができる。
【0011】
図1は、データ入力Dと、論理クロック入力LCLKと、出力Qbarとを有する反転RQL位相モードフリップフロップ100の例示的なブロック図である。1つまたは複数のバイアスネットワークは、DCおよびACバイアス、またはDCバイアス(のみ)をフリップフロップに供給し得る。フリップフロップ100は、積層ジョセフソン接合102および比較器104を含む。積層ジョセフソン接合102は、データ入力ラインD上のデータ入力信号を正または負のSFQパルスとして受信し、データ入力信号に基づいてフリップフロップに流れるDCバイアス電流を反転するように構成され得る。比較器104は、論理クロック入力ラインLCLKに供給された論理クロック入力信号を受信し、DCバイアスの方向とフリップフロップの論理出力状態とに基づいて、出力ライン上の論理クロック入力信号を、データ入力信号を論理反転したフリップフロップの出力信号として送信するか、またはそのような送信を抑制するように構成され得る。D入力、LCLK入力、およびQbar出力は、従来の反転フリップフロップの命名法に従うものであり、論理クロック入力LCLKは、CMOSフリップフロップのクロックCLKと同等である。論理クロック入力LCLKは、SFQ信号を例えば正および負の相互パルス対として供給し得るものであるが、RQLのACクロックと混同すべきではない。
【0012】
図2は、
図1に示されたフリップフロップ100と同様、他の例示的な反転RQL位相モードフリップフロップ200のブロック図である。同様にフリップフロップ200も、上記のようにデータ入力D、論理クロック入力LCLK、および出力Qbarとともに、1つまたは複数のバイアスネットワークを有している。また、フリップフロップ200は、上記のように機能し得る積層ジョセフソン接合202と、エスケープジョセフソン接合206または小さな散逸抵抗器206のいずれかで構成され得る比較器204と、出力ジョセフソン接合208とを含む。図示されるように、論理クロック信号は、エスケープジョセフソン接合206または散逸抵抗器206を介して供給され得る。出力ジョセフソン接合208は、フリップフロップの出力に接続されている。比較器204は、論理クロック入力LCLKで受信されたSFQパルスに応答してエスケープジョセフソン接合206および出力ジョセフソン接合208のうちの1つのみがトリガされるように構成され得る。特に、比較器204は、データ入力Dに供給されたデータ入力信号に応答してDCバイアス電流を反転する積層ジョセフソン接合202のトリガにより生じる出力ジョセフソン接合208の負のバイアス条件に基づいて出力信号を生成するべく出力ジョセフソン接合208が優先的にトリガされるように構成され得る。反転フリップフロップ200は、出力ジョセフソン接合208へのDCバイアスの方向を反転させる積層ジョセフソン接合202を比較器204と組み合わせて使用することで、反転フリップフロップ200を提供する。
【0013】
例えば、入力Dに到達するSFQパルスは、RQL位相モードデータ符号化と一致する正および負のSFQパルスを交互に繰り返すことで構成され得る。フリップフロップ100,200は各々、例えば、回路の初期化によって、負のデータ入力パルスがデータ入力Dに受信された場合には、論理クロック入力LCLKに受信された次の論理クロック入力信号で、その論理「1」の値が出力Qbarにアサートされ、反対に、正のデータ入力パルスがデータ入力Dに受信された場合には、論理クロック入力LCLKに受信された次の論理クロック入力信号で、その論理「0」の値が出力Qbarにデアサートされるように構成され得る。この例において、他の信号の組み合わせは出力Qbarの論理状態に影響を与えない。したがって、例えば、論理クロック入力LCLKで受信されたパルスは、正であるか負であるかに関係なく、最後に受信されたデータ入力パルスとは極性が異なるデータ入力パルスが入力Dで受信されなければ、出力Qbarの論理状態を変更しない。上記の初期化は、論理クロック入力LCLKへの相互パルス対の供給を含み得る。
【0014】
これらの構成により、フリップフロップ100,200はいずれも第2の信号反転段を省略しているため、構成要素の数の点で非常に効率的とすることができるとともに、出力伝搬速度の点で非常に高速とすることができる。例として、これらのフリップフロップは3つまたは4つのジョセフソン接合のみで構成することができ、バイアスネットワークによって供給される1つのACサイクル内で出力を供給することができる。いくつかの例では、本明細書において説明される反転フリップフロップは、論理クロック入力LCLKにパルスを印加してから新たな出力が生成されるまでの遅延は10ピコ秒未満であり、すべての可能な遷移を評価するためにLCLKに適用される相互対がACサイクルの約半サイクル分離れている場合に新たな出力を完全に評価するのに、ACサイクルの半分強しかかからない。
【0015】
フリップフロップ100またはフリップフロップ200の論理値は、例えば、ジョセフソン接合の超伝導位相として記憶され得る。例えば、フリップフロップ200の論理値は、出力ジョセフソン接合208の位相として記憶され得る。例として、出力ジョセフソン接合208の0ラジアン超伝導位相は論理「0」値を符号化し、出力ジョセフソン接合208の2πラジアン超伝導位相は論理「1」値を符号化し得るが、周囲の論理に依存して他の組み合わせも同様に機能し得る。
【0016】
図3Aは、フリップフロップ100またはフリップフロップ200のいずれかに対応し得る例示的なRQL位相モード反転Dフリップフロップ回路300の回路概略図である。フリップフロップ300は、2つの論理入力DI,LCLKIと1つの出力QNOとを有し、各々、SFQパルスを入力または出力として受信または送信するように構成されている。正および負のSFQパルスで構成されるデータ信号は、データ入力インダクタL6bを介してデータ入力DIに供給され、相互SFQパルス対で構成される論理クロック信号は、論理クロック入力インダクタL6aを介して論理クロック入力LCLKIに供給され得る。
【0017】
bias_1と表記されたACおよびDCバイアスは、ACおよびDCバイアスインダクタL2を介して回路に供給され得る。また、DCバイアスは、接地インダクタL8を結合するトランスを介して印加され得る。例として、ACおよびDCバイアスbias_1は、Φ0/2相当の直流電流とAC波形信号(例えば、正弦波信号)とを供給し、インダクタL8を介して供給されるDCバイアスは、Φ0/2相当の直流電流を供給し得る。本明細書において使用されるΦ0は、約2.07mA-pHに等しい単一の磁束量子である。論理クロック入力LCLKIに相互パルス対が印加されると、出力QNOは、データ入力DIに最後に印加されたデータ入力信号の反転値を取る。フリップフロップ300は、4つのジョセフソン接合J2,J3,J4,J5と、5つのインダクタL2,L6a,L6b,L7,L8を含み得る。これらのうち後者はトランス結合インダクタである。本明細書において説明される代替例は、1つ少ない数でインダクタを含む(インダクタL8を省略する)ことができる、および/または抵抗器を含めることによって1つのジョセフソン接合を省略することができる。
【0018】
反転Dフリップフロップ300は、フリップフロップ300の論理値が出力ジョセフソン接合J4の超伝導位相として0または2πラジアンのいずれかとして記憶される限り「位相モード」フリップフロップであり、ここで、ジョセフソン接合の超伝導位相は、すべてのノードでの電圧の時間積分として定義される。「位相モード」フリップフロップであるフリップフロップ300によれば、論理クロックLCLKIに供給される任意の単一の相互パルス対について、最大で単一のパルスのみが反転出力QNOで観察される。回路300の動作マージンを改善するために、データ入力ジョセフソン接合J2は、データ入力インダクタL6bおよびインダクタL7とともに、データ入力DIを駆動するJTL(図示略)と論理演算を実行する回路300の残りの部分(図示されるもの)との間に幾らかの絶縁をもたらす。そのため、いくつかの例では、データ入力インダクタL6b、データ入力ジョセフソン接合J2、およびインダクタL7は、回路300の一部ではなく上記したデータ入力駆動JTLの一部と見なすことができる。したがって、Dフリップフロップ300は、入力信号の競合状態回避フェーズに使用されるデバイスを除いて、特に別個の専用の信号反転回路段を必要とすることなく、3つまたは4つのみのジョセフソン接合と3つ~5つのみのインダクタとを必要とするものであり、デバイスの使用の点で非常に効率的である。
【0019】
図4および
図6に関して以下で説明するように、DCおよびACバイアスbias_1によって供給されるDCおよびACミックスを適切に調整できる場合、いくつかの実装では、DCトランスおよびそれに関連する接地インダクタL8を省略することができる。典型的なRQL回路は、接地バイアスインダクタにトランス結合を介して特定のDCおよびACバイアスミックスを供給するDCおよびACバイアスラインを備えて設計される。フリップフロップ300は、RQL回路で通常見られるものとは異なるミックスを使用するため、インダクタL8を含むDCバイアストランスを含めることは、DCおよびACバイアスソースbias_1からのより容易に利用可能なバイアスを利用しながら、異なるミックスを供給する上で有利である。
【0020】
以下に回路機能のより詳細な説明を行うが、反転フリップフロップ300の機能の要約は以下のとおりである。例えば、
図3L~
図3Qに示されるように、フリップフロップ300の積層ジョセフソン接合J3をトリガすると、2つのバイアスネットワークに、すなわちインダクタL2,L8を介して1Φ
0相当の電流がすべての方向に駆動され、この電流のリターンパスは接地よりも上に出力ジョセフソン接合J4を介して存在する。したがって、例えば、DCおよびACバイアスbias_1とDCバイアスインダクタL8がともに、インダクタL2とジョセフソン接合J3,J4とを介して回路300の底の接地に向けて回路300内を下方に流れるΦ
0/2の正のDCバイアス電流を供給する場合、ジョセフソン接合J3がトリガされて、ループ全体を反転させる反対方向にΦ
0の電流が流れ、-Φ
0/2相当のバイアス電流が出力ジョセフソン接合J4に見られるようになる。
【0021】
回路300内のエスケープジョセフソン接合J5と出力ジョセフソン接合J4とはともに比較器を形成し、出力ジョセフソン接合J4を介したDCバイアスの方向に依存して、論理クロック入力LCLKIに相互パルス対が導入されたときに、エスケープジョセフソン接合J5はその論理クロックパルスにおける正のパルスを拒否して負のパルスを出力QNOに伝達することができる(逆も同様である)。ただし、パルスは、出力QNOがそのようなパルスによって示唆される状態になっていない場合に限り、出力QNOに伝達される。出力QNOが、伝達されたパルスによって示唆される状態にすでにある場合、エスケープジョセフソン接合J5は、論理クロックの相互パルス対の両方のパルスを拒否する。ジョセフソン接合J3が出力ジョセフソン接合J4に積層されており、かつ出力ジョセフソン接合J4から見たバイアス電流を反転するようにトリガされるため、データ入力DIは、出力ジョセフソン接合J4に反対のバイアスを効果的に適用し、データ入力DIに印加された正のパルスによって積層ジョセフソン接合J3が正にトリガされ、出力ジョセフソン接合J4が負にバイアスされる。したがって、DIにおける正の入力により、負のパルスを論理クロック入力LCLKIから出力QNOに遷移させることができる。
【0022】
図3Aに示されるように、bias_1およびトランス結合インダクタL8から供給されるDCバイアスに関する回路300のデフォルト状態では、DCバイアス電流は、ソースのbias_1から、インダクタL2、積層ジョセフソン接合J3、および出力ジョセフソン接合J4を介して下に流れる正の方向に供給される。
図3Aに示される回路のデフォルト状態であって以下に説明する回路初期化の前には、回路300は、
図3Aに示されるような「位相モードゼロ」にあり、出力QNOに接続されているすべてのジョセフソン接合(J3,J4,J5)は出力側にドットを有しておらず、出力QNOの位相は0ラジアンである。
【0023】
図3B~
図3Rは、
図3Aのデフォルトのバイアス状態から始まる回路300の機能を示している。これらの図において、ジョセフソン接合の隣に配置されたドットは、ジョセフソン接合がトリガされたことを示しており、このドットが配置されている側は、トリガの方向を示している。これらの図において使用される規則において、ジョセフソン接合の両側に配置されたドットは、ジョセフソン接合の連続的なトリガおよびトリガ解除(すなわち、一方向にトリガされた後、反対方向にトリガされること)を示しており、これは、ドットを有していないことと等価である。
【0024】
フリップフロップ回路300の動作は、論理クロック入力LCLKIに初期相互パルス対を含むことにより、回路を初期化し得る。この初期パルス対は、例えば、
図3B~
図3Eに示されるように、正のSFQパルスとそれに続く負のSFQパルスとで構成され得るが、パルス対が負のSFQパルスとそれに続く正のSFQとで構成されている場合にも、回路は同等に機能する。
図3Bでは、正のSFQパルス302が論理クロック入力LCLKIに印加される。この正のクロックパルスは、
図3Cにおいてそれらの接合の隣のドットで示されるように、出力ジョセフソン接合J4を正にトリガし、積層ジョセフソン接合J3を負にトリガする。このトリガは、
図3Cに示される正の出力パルス304を出力QNOに送り、それにより出力をアサートして、論理「ハイ」の状態に初期化する。これは、例えば、メモリなどのより大きなデジタル論理デバイスまたはスキームにおける論理「1」に対応し得る。
【0025】
積層ジョセフソン接合J3の負のトリガは、他のほとんどのRQL回路の場合のように、ジョセフソン接合J4のトリガが、接地およびバイアス間ネットワークループのバイアスを反転させないことを意味する。典型的なRQL回路では、単一のバイアスされたジョセフソン接合は、DCおよびACを適用した結合トランスを介して最終的には接地に到達し、誘導ループを形成する。単一のジョセフソン接合をトリガすると、1Φ
0相当の電流がそのループに流れ込み、単一のジョセフソン接合で見られるバイアスが+Φ
0/2から-Φ
0/2に反転される。回路300の場合、バイアスループ内に2つのジョセフソン接合J3,J4が存在し、J4のトリガ時にJ3がトリガされることは、電流がループ内で反転されないことを意味する。したがって、フリップフロップ300において、出力ジョセフソン接合J4によって見られるDCバイアスはこの時点では、すなわち、
図3Cにおいては反転されず、これは、積層ジョセフソン接合J3が同時にトリガされており、接地およびバイアス間ネットワークループではこれらのジョセフソン接合の両方がトリガされることでバイアス反転効果がキャンセルされるためである。位相に関して示すと、ジョセフソン接合J3,J4間のノードは2πラジアンにあり、これらのジョセフソン接合の反対側のノードは両方とも0ラジアンにある。
【0026】
図3Dでは、論理クロック相互パルス対の負のSFQパルス306が論理クロック入力LCLKIに印加されている。出力ジョセフソン接合J4のDCバイアスは依然として正であり、出力ジョセフソン接合J4での負のトリガを抑制しているため、負のパルス306は出力ジョセフソン接合J4をトリガできず、代わりに、
図3Eにおいてエスケープジョセフソン接合J5の右側のドットで示されるように、エスケープジョセフソン接合J5を負にトリガする。結果として、負のパルス306を導入しても、出力は変化しない。したがって、
図3Eに示されるように、出力QNOからパルスは伝搬されない。言い換えれば、
図3Eは、エスケープジョセフソン接合J5のトリガによって負の論理クロックパルス306が拒否されたことを示している。論理クロック入力LCKLIに供給された初期化パルス302,306の双方から、1つのパルス304のみが出力QNOから伝搬されている。論理クロック入力LCLKIに最初の相互パルス対の両方のパルスを供給することで初期化が完了し、回路300は、
図3Eに示されるような「位相モード1」に配置され、出力QNOに接続されているすべてのジョセフソン接合(J3,J4,J5)は出力側に1つのドットを有し、出力QNOの位相は2πラジアンとなる。
【0027】
図3F~
図3Iに示されるように、データ入力DIに入力パルスが適用されていない場合、論理クロック入力LCKLIに到達する後続の論理クロック相互パルス対は、エスケープジョセフソン接合J5のみをトリガし、出力QNOに影響を与えない。したがって、例えば、
図3Fは、データ入力DIに入力がない場合に、論理クロック入力LCLKIに2番目以降の論理クロックパルス対の正のパルス308が到着することを示している。
図3Gは、エスケープジョセフソン接合J5の両側のドットによって示されるように、パルス308によってエスケープジョセフソン接合J5が反対方向にトリガされる(すなわち、エスケープジョセフソン接合J5がトリガ解除される)ことを示している。エスケープジョセフソン接合J5の両側のドットは、次の
図3Hではともに削除されており、ジョセフソン接合の両側のドットは、ドットが全くないものと同等であるという表記規則と一致している。
【0028】
図3Hでは、データ入力DIに入力がないまま、2番目以降の論理クロックパルス対の負のパルス310が論理クロック入力LCLKIに到達する。
図3Iは、出力ジョセフソン接合J4のDCバイアスが依然として正であるため、このパルス310がエスケープジョセフソン接合J5を負にトリガしており、負のパルス310が出力ジョセフソン接合J4をトリガできないことを示している。したがって、回路300において、2番目以降の負の論理クロックパルス310の到着後の
図3Iの状態は、最初の負の論理クロックパルス306の到着後の
図3Eの場合と同じ状態である。データ入力がDIにない状態で論理クロックが相互パルス対によりクロッキングを継続する限り、回路300は同じ位相モード値を保持し、反転出力QNOから出力パルスを発行しない。
【0029】
図3Jは、正のSFQパルス312がデータ入力DIに印加されていることを示している。
図3Kに示されるように、正のデータ入力パルス312は、入力ジョセフソン接合J2を正にトリガし、パルス314を伝播し、これにより、
図3Lに示されるように、積層ジョセフソン接合J3が正にトリガされる。上記したように、積層ジョセフソン接合J3をトリガすると、1Φ
0相当の電流が2つのバイアスネットワークに(すなわち、インダクタL2を介してDCおよびACソースbias_1に向かって、またL8に向かって)駆動され、これにより、これらのループの両方のリターンパスが出力ジョセフソン接合J4を経由するため、出力ジョセフソン接合J4に見られるDCバイアスが反転する。このように、積層ジョセフソン接合J3のトリガは出力ジョセフソン接合J4に負のバイアスをかけることになり、それによって、回路300の反転効果が得られる。
【0030】
この新たなバイアス状態では、
図3M~
図3Oに示されるように、論理クロック入力LCLKIに相互パルス対が印加されると、
図3Mに示される正の論理クロックパルス316が、
図3Nにおいてエスケープジョセフソン接合J5の隣の追加ドットによって示されるようにエスケープジョセフソン接合J5をトリガするが、出力QNOに変化はない。ただし、
図3Nに示されている後続の負の論理クロックパルス318が、
図3Oに示されるように、出力ジョセフソン接合J4を負にトリガし、これにより負の出力パルス320を伝搬し、出力QNOをデアサートして論理「ロー」状態(「位相モードゼロ」)にリセットする。これは、例えば、メモリなどのより大きなデジタル論理デバイスまたはスキームにおける論理「0」に対応し得る。
図3Oにおける負の出力パルス320は、負の論理クロック入力パルス318によってクロックされるときの
図3Jにおける正のデータ入力パルス312に対応する。正の入力パルス312から負の出力パルス320への変換は、フリップフロップ回路300の反転機能を示している。この反転は、インバータ回路段にパルスを伝達させる必要なしに実現されている。
【0031】
なお、
図3Oは、積層ジョセフソン接合J3上にドットを含み、
図3Nと比較した場合のそのジョセフソン接合の相変化を示したものである。出力ジョセフソン接合J4がトリガされるたびに、積層ジョセフソン接合J3も反対方向にトリガされるので、DCバイアスは反転しない。出力ジョセフソン接合J4が先に正に(すなわち、パルス302の結果として)トリガされた場合、出力ジョセフソン接合J4は上部にドットを受け取り(
図3C参照)、積層ジョセフソン接合J3は同時に負にトリガされて下部にドットを受け取る(同じく
図3C参照)。ここで、
図3Oでは、出力ジョセフソン接合J4が負にトリガされて下部にドットを受け取ると(出力ジョセフソン接合J4の上部における先のドットを効果的にキャンセルすると)、積層ジョセフソン接合J3が正にトリガされて上部にドットを受け取る。
【0032】
図3Pおよび
図3Qは、データ入力DIに印加された後続の負のデータ入力パルス322が、入力ジョセフソン接合J2を負にトリガすることに続いて、積層ジョセフソン接合J3を負にトリガする方法を示している。これは、データ入力DIに対する正のパルス312の影響を取り消し、
図3Rに示されるように、出力ジョセフソン接合J4から見たDCバイアスが初期状態、すなわち、
図3Aに示された状態と同じ状態に戻ることを示しており、出力ジョセフソン接合J4は正にバイアスされ、バイアス電流が回路300の上側および右側のバイアスネットワークから下部のグランドに流れる。したがって、次に受信される論理クロックパルス対は、
図3B~
図3Eに示されるのと同じ方法で回路を「位相モード1」に復元し、
図3Pに示された負のデータ入力パルス322に対応する
図3Cのパルス304のような正のSFQパルスを出力する。
【0033】
正のパルス312をデータ入力DIに導入して(
図3J~
図3Oに示されるように)負の出力パルス320を生成した後、データ入力DIにパルスがない状態で論理クロック入力LCLKIに追加の相互パルス対を供給することによって回路のさらなるクロッキングが行われたとき、回路300に対する位相モード変更は得られず、出力QNOからパルスは発行されない。このような追加のクロッキングの唯一の結果は、エスケープジョセフソン接合J5の追加のトリガおよびトリガ解除(
図3F~
図3Iに示される動作と同様であるが、その逆の動作)である。回路の初期化後、データ入力DIに適切なパルスを供給することによって新たな状態を出力に設定するように回路が指示された場合にのみ出力ジョセフソン接合J4がトリガされる。
【0034】
反転フリップフロップ300は、論理クロック入力に相互パルス対を使用することでその出力へのそのデータ入力を完全に評価する。データ入力が変化すると、次の論理クロックパルス対について、回路の先の論理状態とデータ入力とによって要求される論理状態変化に依存して、一方または他方の論理クロックパルスが出力に伝達できるようになる。他の多くのRZデータ符号化RQL回路の機能とは対照的に、パルス対の2つの論理クロックパルスは、両方がバイアスネットワークbias_1の1つのACサイクル内に入る必要はないが、一般的に言えば、それらを時間的にさらに分離することは回路300の動作をより遅くするだけであるため、相互対の両方のパルスが1つのACサイクル内に来ることは有利である。事実上、論理クロック入力LCLKIに供給されるパルス対の両方のパルスはデータ入力DIに供給されるデータ値をサンプリングするため、データ入力は、有利には、任意の論理クロック相互パルス対の2つのパルス間で変化しないようにDIに供給され得る。データおよび論理クロックパルスの相対的なタイミングは、反転フリップフロップ300の外部の論理によって、すなわち、フリップフロップ300がその一部であるシステムの他の場所で実施され得る。
【0035】
図4は、RQL_PML反転Dフリップフロップ回路の別の例示的な実装400の回路図であり、その構造は回路300と類似しているが、トランス結合接地インダクタL8が排除されている。RQLバイアスは通常、接地インダクタへのトランス結合を介して実装される。したがって、回路300のインダクタL2と比較して回路400のバイアスインダクタL2
REDUCEDのサイズを縮小するとともに、回路300のDCおよびACバイアスbias_1のAC成分と比較して回路400のDCおよびACバイアスbias_1_ac_reducedのAC成分を縮小することによって、このDCおよびACバイアスソースは、DCバイアスソースと並列に効果的に組み合わせることができ、ここでは削除されている接地インダクタL8によってDCバイアスソースが供給される場合と比べて、回路が小さくなる。回路300においてbias_1と表記されたDCおよびACバイアスソースには、直流および交流電流を注入する変圧器の一部である追加のインダクタンスL
SOURCE(図示略)がある。この追加のインダクタンスL
SOURCEは、接地へのインダクタンスである。除去されるインダクタL8も、接地へのインダクタンスである。したがって、L2
REDUCEDのサイズは、式L8||(L2+L
SOURCE)=L2
REDUCED+L
SOURCE、または等価的に、L2
REDUCED=L8||L2+L8||L
SOURCE-L
SOURCEによって設定される。回路300と比較した回路400では、DCおよびACバイアスソースbias_1がΦ
0/2DCおよび低減振幅ACを供給できるように、bias_1_ac_reducedに関連付けられたAC変圧器(図示略)に結合されるAC電力の量が変更されることで、ジョセフソン接合J3,J4に供給される合計ACバイアスレベルが回路400でも回路300と依然として同じとされる。回路400の動作は、それ以外は回路300について上記したものと同じである。したがって、Dフリップフロップ400は、入力信号の競合状態回避フェーズに使用されるデバイスを除いて、特に別個の専用の信号反転回路段を必要とすることなく、3つまたは4つのみのジョセフソン接合と2つ~4つのみのインダクタとを必要とするものであり、デバイスの使用の点で非常に効率的である。
【0036】
図5は、RQL_PML反転Dフリップフロップ回路の別の例示的な実装500の回路図であり、その構造は回路300と類似しているが、エスケープジョセフソン接合J5の代わりに抵抗器R1を使用している。回路300では、動作マージンは、回路内の他の構成要素のサイズの変動よりも、エスケープジョセフソン接合J5のサイズの変動によって大きな影響を受ける。したがって、回路500では、エスケープジョセフソン接合J5が小さな受動抵抗器R1に置き換えられている。回路500の動作は、以下の点を除いては、回路300について上述したものと実質的に同じである。回路300では、出力ジョセフソン接合J4のトリガに失敗した論理クロック入力パルスは、例えば、
図3E、
図3G、および
図3Iに示される(それぞれ消費パルス306,308,310に対応する)ように、エスケープジョセフソン接合J5をトリガすることによって消費される。対照的に、回路500では、そのようなパルスは抵抗器R1内で徐々に(例えば、熱に)散逸される。抵抗器R1のサイズは、論理クロック入力インダクタL6aと、散逸抵抗器R1と、出力ジョセフソン接合J4と、論理クロック入力駆動ジョセフソン接合(図示されていないが、
図5においてLCLKIと接地との間に配置される)とを含むループのL/R時定数により、このループが、DCおよびACバイアスbias_1によって供給されるACサイクルの1/2周期未満で1Φ
0相当の電流を散逸できるように設定されており、これにより、散逸されるパルスが次の論理クロックパルスの到着に干渉しないようにされている。例えば、抵抗器R1の値は、約1オーム~約10オームの間、例えば、約2オーム~約5オームの間であり得る。回路300と同様に、回路500では、ACおよびDCバイアスソースbias_1はΦ
0/2相当の直流電流とAC波形信号(例えば、正弦波信号)とを供給し得る一方、インダクタL8を介して供給されるDCバイアスはΦ
0/2相当の直流電流を供給し得る。したがって、Dフリップフロップ500は、入力信号の競合状態回避フェーズに使用されるデバイスを除いて、特に別個の専用の信号反転回路段を必要とすることなく、2つまたは3つのみのジョセフソン接合と、1つの抵抗器と、3つ~5つのみのインダクタとを必要とするものであり、デバイスの使用の点で非常に効率的である。
【0037】
図6は、RQL_PML反転Dフリップフロップ回路の別の例示的な実装600の回路図であり、その構造は回路300と類似しているが、回路400のようにトランス結合接地インダクタL8が排除されるとともに、回路500のようにエスケープジョセフソン接合J5が抵抗器R1に置き換えられている。したがって、回路400に関して上述したように、バイアスインダクタL2のサイズは、回路300と比較して回路600では低減され、ACおよびDCバイアスbias_1のAC成分は、回路300と比較して回路600では減少する。回路600の動作は、それ以外は回路300について上述したものと同じである。したがって、Dフリップフロップ600は、入力信号の競合状態回避フェーズに使用されるデバイスを除いて、特に別個の専用の信号反転回路段を必要とすることなく、2つまたは3つのみのジョセフソン接合と、1つの抵抗器と、2つ~4つのみのインダクタとを必要とするものであり、デバイスの使用の点で非常に効率的である。
【0038】
図7Aは、反転RQL位相モードDフリップフロップを動作させる(例えば、論理値を読み書きする)方法700を示すフローチャートである。フリップフロップは、
図1、
図2、
図3A、
図4、
図5、または
図6を参照して説明したものと同様とすることができる。反転RQLフリップフロップは、論理クロック相互パルス対により初期化(702)されてフリップフロップ(すなわち、その出力)を論理「1」の値に対応する位相モードにセットする。次に、正のSFQパルスが反転RQLフリップフロップのデータ入力に供給(704)される。フリップフロップ内の積層ジョセフソン接合がトリガ(706)されてフリップフロップ内の出力ジョセフソン接合に流れるDCバイアス電流の方向が反転される。次に、別の相互SFQパルス対がフリップフロップの論理クロック入力に供給(708)される。論理クロックパルス対の負のパルスのみが反転DCバイアスに基づいてフリップフロップ出力に伝達(710)される。論理クロックパルス対の正のパルスは、そのパルスを吸収するためのエスケープジョセフソン接合または抵抗器のいずれかを使用して吸収(710)される。したがって、フリップフロップは、論理「0」の値に対応する位相モードにリセット(712)される。この方法は、例えば、
図3B~
図3Eおよび
図3J~
図3Oに示される機能に対応し得る。
【0039】
図7Bは、反転RQL位相モードDフリップフロップを動作させる(例えば、論理値を読み書きする)方法714を示すフローチャートであり、
図7Aの方法700から継続し得る。負のSFQパルスが反転RQLフリップフロップのデータ入力に供給(716)され得る。これにより、フリップフロップの積層ジョセフソン接合がトリガ解除(718)されてフリップフロップの出力ジョセフソン接合に流れるDCバイアス電流の(例えば、先に反転された)方向が復元される。次に、さらに別の相互SFQパルス対がフリップフロップの論理クロック入力に供給(720)され得る。ここでは、相互パルス対の正のパルスのみが、復元されたDCバイアスに基づいてフリップフロップ出力に伝達(722)され、パルス対の負のパルスは、エスケープジョセフソン接合または抵抗器のいずれかで吸収(722)される。これにより、フリップフロップは、論理「1」の値に対応する位相モードにセット(724)される。この方法は、例えば、
図3P~
図3Rおよび
図3B~
図3Eに示されている機能に対応し得る。
【0040】
本開示は、別個のインバータの必要性を削減することによって設計効率を改善する反転出力を備えたフリップフロップを供給する。本明細書において説明される反転フリップフロップは、フリップフロップとインバータとを組み合わせた実装よりも(実装に必要な部品数とチップ面積の点で)小さく、また(信号伝搬時間の点で)高速である。これらの効率の改善により、ダイ面積が小さくなり、ダイ当たりのコストが低くなる。
【0041】
以上の説明は本発明の例示である。本発明を説明する目的のために構成要素または方法のあらゆる考えられる組み合わせを記載することは勿論不可能であるが、当業者は本発明のさらなる多くの組み合わせおよび置換が可能であることを認識し得る。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲を含む本出願の範囲内に含まれるすべてのそのような代替、変形、および変更を包含することが意図される。また、本開示または請求項が「1つの」、「第1の」、または「別の」という要素を列挙するかまたはそれらの同等物を列挙する場合には、1つまたは2つ以上のそのような要素を含むと解釈されるべきであり、2つ以上のそのような要素を必須とするものでも、2つ以上のそのような要素を除外するものでもない。本明細書で使用される「含む」という用語は、含むがそれに限定されないことを意味する。「に基づく」という用語は、少なくとも部分的に基づくことを意味する。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
反転レシプロカル量子論理(RQL)位相モードフリップフロップであって、
データ入力ライン上のデータ入力信号を正または負の単一磁束量子(SFQ)パルスとして受信し、前記データ入力信号に基づいて当該フリップフロップに流れるDCバイアス電流を反転するように構成された積層ジョセフソン接合と、
論理クロック入力信号を受信し、前記DCバイアス電流の方向と当該フリップフロップの論理出力状態とに基づいて、出力ライン上の前記論理クロック入力信号を、前記データ入力信号を論理反転した当該フリップフロップの出力信号として送信するか、またはその送信を抑制するように構成された比較器と、
を備えた反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記2)
前記出力信号は、前記比較器内における出力ジョセフソン接合の0または2πラジアン超伝導位相に対応する負または正のSFQパルスである、付記1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記3)
前記論理クロック入力信号は、正および負の単一磁束量子(SFQ)パルスの相互対として供給される、付記1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記4)
前記比較器内の出力ジョセフソン接合にDCバイアス電流を供給するように構成されたDCおよびACバイアスネットワークをさらに備え、前記積層ジョセフソン接合は、前記データ入力信号に応答してトリガされることにより前記DCバイアス電流を反転するように構成されている、付記1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記5)
前記比較器は、前記論理クロック入力信号が供給されるエスケープジョセフソン接合と、前記エスケープジョセフソン接合と回路接地との間に接続された出力ジョセフソン接合とを含む、付記1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記6)
当該フリップフロップが4つ以下のジョセフソン接合を含む、付記5に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記7)
前記比較器は、前記論理クロック入力信号として受信したSFQパルスに応答して前記エスケープジョセフソン接合および出力ジョセフソン接合のうちの1つのみがトリガされるように構成されている、付記5に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記8)
前記比較器は、前記データ入力信号に応答して前記DCバイアス電流を反転する前記積層ジョセフソン接合のトリガにより生じる前記出力ジョセフソン接合の負のバイアス条件に基づいて前記出力信号を生成するべく前記出力ジョセフソン接合が優先的にトリガされるように構成されている、付記7に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記9)
DCバイアスラインにトランス結合された接地インダクタを含むDCバイアス回路をさらに備え、前記DCバイアス回路は、出力ジョセフソン接合をバイアスする前記DCバイアス電流に寄与する、付記1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記10)
前記比較器は、前記論理クロック入力信号が供給される抵抗器と、前記抵抗器と回路接地との間に接続された出力ジョセフソン接合とを含み、前記抵抗器は、前記出力ジョセフソン接合をトリガしない論理クロック入力信号パルスを徐々に散逸させるように構成されている、付記1に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記11)
当該フリップフロップが3つ以下のジョセフソン接合を含む、付記10に記載の反転RQL位相モードフリップフロップ。
(付記12)
方法であって、
反転レシプロカル量子論理(RQL)フリップフロップを論理クロック相互パルス対で初期化して当該フリップフロップを論理「1」の値に対応する位相モードにセットすること、
当該フリップフロップのデータ入力に正の単一磁束量子(SFQ)パルスを供給すること、
当該フリップフロップの積層ジョセフソン接合をトリガして当該フリップフロップの出力ジョセフソン接合を流れるDCバイアス電流の方向を反転すること、
当該フリップフロップの論理クロック入力に追加の相互SFQパルス対を供給すること、
前記反転されたDCバイアス電流に基づいて前記追加のパルス対のうちの負のパルスのみを当該フリップフロップの出力に伝達し、前記追加のパルス対のうちの正のパルスをエスケープジョセフソン接合または散逸抵抗器のいずれかで吸収すること、
当該フリップフロップを論理「0」の値に対応する位相モードにリセットすること、
を備える方法。
(付記13)
前記出力ジョセフソン接合にACバイアス信号を供給することをさらに備え、前記散逸抵抗器が含まれる場合、論理クロック入力インダクタと、前記散逸抵抗器と、前記出力ジョセフソン接合と、論理クロック入力駆動ジョセフソン接合とを含むループのL/R時定数により、前記ループが、前記供給されたACバイアス信号の1/2サイクル未満で1Φ
0
相当の電流を散逸できるように前記散逸抵抗器のサイズが設定されている、付記12に記載の方法。
(付記14)
前記追加のパルス対のうちの正のパルスはエスケープジョセフソン接合で吸収され、前記追加のパルス対のうちの負のパルスは、前記追加のパルス対のうちの負のパルスに応答して前記出力ジョセフソン接合をトリガすることにより前記出力に伝達される、付記12に記載の方法。
(付記15)
前記反転RQLフリップフロップの前記データ入力に負のSFQパルスを供給すること、
前記積層ジョセフソン接合のトリガを解除して、先の前記反転されたDCバイアス電流の方向を復元すること、
当該フリップフロップの前記論理クロック入力に後続の相互SFQパルス対を供給すること、
前記復元されたDCバイアス電流に基づいて前記後続のパルス対のうちの正のパルスのみを当該フリップフロップの前記出力に伝達し、前記後続のパルス対のうちの負のパルスをエスケープジョセフソン接合または抵抗器で吸収すること、
当該フリップフロップを論理「1」の値に対応する位相モードにセットすること、
をさらに備える付記12に記載の方法。
(付記16)
前記後続のパルス対のうちの負のパルスはエスケープジョセフソン接合で吸収され、前記後続のパルス対のうちの正のパルスは、前記後続のパルス対のうちの正のパルスに応答して前記出力ジョセフソン接合をトリガすることにより前記出力に伝達される、付記15に記載の方法。
(付記17)
回路であって、
データ入力信号を単一磁束量子(SFQ)パルスとして受信するように構成されたデータ入力と、
論理クロック入力信号を正および負のSFQパルスの相互対として受信するように構成された論理クロック入力と、
前記論理クロック入力と出力との間に接続された、エスケープジョセフソン接合または抵抗器のいずれかと、
前記出力と回路接地との間に接続された出力ジョセフソン接合と、
前記データ入力と前記出力との間に接続された積層ジョセフソン接合と、
前記出力ジョセフソン接合にDCおよびACバイアスを供給するように構成されたDCおよびACバイアスネットワークと、を備え、
前記積層ジョセフソン接合のトリガによってDCバイアスが反転可能であり、
当該回路は、論理「1」または論理「0」の値に対応する出力信号を前記出力から供給するように構成されており、前記出力信号は、前記論理クロック入力信号によってクロッキングされる前記データ入力信号を反転したものである、回路。
(付記18)
DCバイアスラインにトランス結合された接地インダクタを含むDCバイアス回路をさらに備え、前記DCバイアス回路は、前記出力ジョセフソン接合をバイアスするDCバイアス電流に寄与する、付記17に記載の回路。
(付記19)
当該回路は、当該回路内のエスケープジョセフソン接合を除いて、3つ以下のジョセフソン接合を含む、付記17に記載の回路。
(付記20)
前記出力ジョセフソン接合は、前記データ入力信号に応答してDCバイアス電流を反転する前記積層ジョセフソン接合のトリガにより生じる前記出力ジョセフソン接合の負のバイアス条件に基づいて前記出力信号を生成するべく優先的にトリガされるように構成されている、付記17に記載の回路。