(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-04
(45)【発行日】2022-07-12
(54)【発明の名称】ラーメン構造用ゴム制振ダンパー
(51)【国際特許分類】
E04H 9/02 20060101AFI20220705BHJP
F16F 15/02 20060101ALI20220705BHJP
【FI】
E04H9/02 321B
F16F15/02 S
(21)【出願番号】P 2022010334
(22)【出願日】2022-01-26
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】202110627168.5
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521029944
【氏名又は名称】崔 海元
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】崔 海元
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-247733(JP,A)
【文献】特開2016-118050(JP,A)
【文献】特開2014-001514(JP,A)
【文献】特開2005-188277(JP,A)
【文献】特開2014-109286(JP,A)
【文献】特開2020-097967(JP,A)
【文献】実開平04-031311(JP,U)
【文献】特開平06-330566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/00 - 9/16
E04B 1/38 - 1/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラーメン構造用ゴム制振ダンパーであって、
上芯材と、
前記上芯材から予め設定された距離をおいて配置された下芯材と、
前記上芯材と下芯材の少なくとも片側に配置された第1制振部と、
カバープレートとを含み、
前記カバープレートは、前記上芯材と下芯材の少なくとも片側に配置され、前記カバープレートと上芯材との間に前記第1制振部の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレートと下芯材との間に前記第1制振部の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレートと第1制振部との間、前記上芯材と第1制振部との間、及び前記下芯材と第1制振部との間に予め設定された圧力を存在させ
、
前記上芯材、下芯材及び第1制振部にはいずれも長孔が形成され、前記長孔の長手方向は、前記上芯材と下芯材との間の隙間の延在方向と同じである、ことを特徴とするラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項2】
ラーメン構造用ゴム制振ダンパーであって、
上芯材と、
前記上芯材から予め設定された距離をおいて配置された下芯材と、
前記上芯材と下芯材の少なくとも片側に配置された第1制振部と、
カバープレートとを含み、
前記カバープレートは、前記上芯材と下芯材の少なくとも片側に配置され、前記カバープレートと上芯材との間に前記第1制振部の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレートと下芯材との間に前記第1制振部の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレートと第1制振部との間、前記上芯材と第1制振部との間、及び前記下芯材と第1制振部との間に予め設定された圧力を存在させ
、
上フィラープレート及び/又は下フィラープレートをさらに含み、前記上フィラープレートと前記上芯材の形状は互いにマッチングし、前記下フィラープレートと前記下芯材の形状は互いにマッチングし、前記上フィラープレートを前記カバープレートと上芯材との間に位置させ、前記下フィラープレートを前記カバープレートと下芯材との間に位置させ、前記第1制振部の一部は、前記上フィラープレートと上芯材との間に位置し、前記第1制振部の一部は、前記下フィラープレートと下芯材との間に位置し、
第2制振部をさらに含み、前記第2制振部の一部は、前記カバープレートと上フィラープレートとの間に位置し、前記第2制振部の一部は、前記カバープレートと下フィラープレートとの間に位置する、ことを特徴とするラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項3】
前記上芯材と下芯材との間の距離は、2mm以上である、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項4】
前記上芯材と下芯材との間の距離は、5mm~30mmである、ことを特徴とする請求項
3に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項5】
前記上芯材と前記下芯材の両側にはいずれも前記第1制振部が配置される、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項6】
前記上芯材と前記下芯材の両側にはいずれも前記カバープレートが配置される、ことを特徴とする請求項
5に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項7】
上フィラープレート及び/又は下フィラープレートをさらに含み、前記上フィラープレートと前記上芯材の形状は互いにマッチングし、前記下フィラープレートと前記下芯材の形状は互いにマッチングし、前記上フィラープレートを前記カバープレートと上芯材との間に位置させ、前記下フィラープレートを前記カバープレートと下芯材との間に位置させ、前記第1制振部の一部は、前記上フィラープレートと上芯材との間に位置し、前記第1制振部の一部は、前記下フィラープレートと下芯材との間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項8】
第2制振部をさらに含み、前記第2制振部の一部は、前記カバープレートと上フィラープレートとの間に位置し、前記第2制振部の一部は、前記カバープレートと下フィラープレートとの間に位置する、ことを特徴とする請求項
7に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項9】
前記第1制振部と前記第2制振部の構造は同じである、ことを特徴とする請求項
2又は8に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項10】
前記カバープレートには丸孔が設けられ、ボルトが前記カバープレート、第1制振部及び上芯材を貫通して、前記カバープレートと上芯材を固定し、ボルトが前記カバープレート、第1制振部及び下芯材を貫通して、前記カバープレートと下芯材を固定する、ことを特徴とする請求項
1に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項11】
前記上芯材、下芯材、第1制振部、上フィラープレート、下フィラープレート及び第2制振部にはいずれも長孔が形成され、前記長孔の長手方向は、前記上芯材と下芯材との間の隙間の延在方向と同じである、ことを特徴とする請求項
2又は8に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項12】
前記カバープレートには丸孔が設けられ、ボルトが前記カバープレート、第2制振部、上フィラープレート、第1制振部及び上芯材を貫通して、前記カバープレートと上芯材を固定し、ボルトが前記カバープレート、第2制振部、下フィラープレート、第1制振部及び下芯材を貫通して、前記カバープレートと下芯材を固定する、ことを特徴とする請求項11に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項13】
前記上芯材と下芯材の両方は鋼板である、ことを特徴とする請求項1
又は2に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項14】
前記第1制振部及び/又は第2制振部は、ゴム板である、ことを特徴とする請求項1
、2、8のいずれか一項に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項15】
前記上フィラープレート、下フィラープレート及び/又はカバープレートはいずれも鋼板である、ことを特徴とする請求項
2又は7に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【請求項16】
前記ボルトは高強度ボルトである、ことを特徴とする請求項10又は12に記載のラーメン構造用ゴム制振ダンパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラーメン(Rahmen)構造用ゴム制振ダンパーに関し、建物制振技術の分野に属している。
【背景技術】
【0002】
地震は、人類に多くの災難をもたらし、人々がどこにいても、地震が発生し、人々の生命が危険にさらされる可能性がある。建築技術者は、建物への地震被害を軽減するために、建物に対して耐震構造、免震構造、及び制振構造の3つの構造を提案している。
【0003】
(1)耐震構造:耐震構造は、建物の耐力により地震による慣性力を抵抗し、建物の安全性を確保する構造である。耐震構造の欠点は、大地震時の激しい揺れによって一部の建物が損壊したり倒壊したりすることがあり、安全性や地震後のメンテナンスも課題になっている。
【0004】
(2)免震構造:免震構造は、免震措置や免震設備を利用して地震の作用を弱め、削減するため、構造が受けた地震の作用を大幅に低下させる。免震構造の欠点は、免震層を追加する必要があるため、その分、建築コストの大幅増加につながる。
【0005】
(3)制振構造:建築制振(構造のエネルギー散逸による制振技術)は、構造物の特定の場所(例えば、ブレース)などにエネルギー吸収装置を配置し、摩擦力及び変形によって地震により構造に発生するエネルギーを吸収し、本体構造に発生する地震力エネルギーを低減させる構造である。それによって構造の破壊や倒壊を回避し、制振制御の目的を達成する。既存の制振装置は、主に1)制振用油圧ダンパー、2)アンボンドブレース(アンボンド材を用いた制振引張ブレース)、3)ボルト間接加圧制振ダンパー(片持ち式加圧方法)などがある。
【0006】
現在、中国で比較的に広く使用される制振装置は油圧制振ダンパーであり、油圧制振ダンパーの欠点は価格が比較的高いため、建築コストが高くなる可能性がある、日本等の国ではアンボンドブレースの使用が多く、その欠点は震災後に鋼製芯材が塑性変形することにより、弾性が失われる。よって鋼製芯材を交換しなければならない。これは震災後、メンテナンス費用の大幅の増加につながる。この他、アンボンドブレース自体の価格も比較的高いので建築コストも問題となっている。また、ボルト間接加圧制振ダンパーの欠点は、ボルトが鋼板片持ちばりを介して間接加圧するため、発生できる摩擦力が比較的小さく、一般的に超小型の建物に適用されるが、中大型の建物への適用には疑問がある。
【0007】
特に、従来技術におけるゴム制振ダンパーは、コンクリート構造及び木製構造に適していない。
【発明の概要】
【0008】
上記の技術的問題の1つを解決するために、本発明は、ラーメン構造用ゴム制振ダンパーを提供する。
【0009】
本発明の一態様によれば、提供されるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、
上芯材と、
前記上芯材から予め設定された距離をおいて配置された下芯材と、
前記上芯材と下芯材の少なくとも片側に配置された第1制振部と、
カバープレートとを含み、前記カバープレートは、前記上芯材と下芯材の少なくとも片側に配置され、前記カバープレートと上芯材との間に第1制振部の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレートと下芯材との間に第1制振部の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレートと第1制振部との間、前記上芯材と第1制振部との間、及び下芯材と第1制振部との間に予め設定された圧力を存在させる。
【0010】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記上芯材と下芯材との間の距離が2mm以上である。
【0011】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記上芯材と下芯材との間の距離が5mm~30mmである。
【0012】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記上芯材と前記下芯材の両側にいずれも第1制振部が配置される。
【0013】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記上芯材と前記下芯材の両側にいずれもカバープレートが配置される。
【0014】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、上フィラープレート及び/又は下フィラープレートをさらに含み、前記上フィラープレートと前記上芯材の形状は互いにマッチングし、前記下フィラープレートと前記下芯材の形状は互いにマッチングし、前記上フィラープレートを前記カバープレートと上芯材との間に位置させ、前記下フィラープレートを前記カバープレートと下芯材との間に位置させ、前記第1制振部の一部は、前記上フィラープレートと上芯材との間に位置し、前記第1制振部の一部は、前記下フィラープレートと下芯材との間に位置する。
【0015】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、第2制振部をさらに含み、前記第2制振部の一部は、前記カバープレートと上フィラープレートとの間に位置し、前記第2制振部の一部は、前記カバープレートと下フィラープレートとの間に位置する。
【0016】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記第1制振部と第2制振部の構造は同じである。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記上芯材、下芯材及び第1制振部に長孔が形成され、前記長孔の長手方向は、前記上芯材と下芯材との間の隙間の延在方向と同じである。
【0018】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記カバープレートに丸孔が設けられ、ボルトが前記カバープレート、第1制振部及び上芯材を貫通して、前記カバープレートと上芯材を固定し、ボルトが前記カバープレート、第1制振部及び下芯材を貫通して、前記カバープレートと下芯材を固定する。
【0019】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記上芯材、下芯材、第1制振部フィラープレート、下フィラープレート及び第2制振部にいずれも長孔が形成され、前記長孔の長手方向は前記上芯材と下芯材との間の隙間の延在方向と同じである。
【0020】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、前記カバープレートに丸孔が設けられ、ボルトが前記カバープレート、第2制振部、上フィラープレート、第1制振部及び上芯材を貫通して、前記カバープレートと上芯材を固定し、ボルトが前記カバープレート、第2制振部、下フィラープレート、第1制振部及び下芯材を貫通して、前記カバープレートと下芯材を固定する。
【0021】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーでは、前記上芯材と下芯材の両方は鋼板である。
【0022】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーでは、前記第1制振部はゴム板であり、且つ/又は、前記第2制振部はゴム板である。
【0023】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーでは、前記上フィラープレート、下フィラープレート及び/又はカバープレートはいずれも鋼板である。
【0024】
本発明の少なくとも1つの実施形態によるラーメン構造用ゴム制振ダンパーでは、前記ボルトは高強度ボルトである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を示し、その説明とともに、本発明の原理を説明するために使用される。これらの図面は、本発明の更なる理解を提供するために含まれる。また、添付の図面は、この明細書に含まれ、且つこの明細書の一部を構成している。
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの構造模式図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの断面構造模式図である。
【
図3】本発明の別の実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの断面構造模式図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る第1制振部の構造模式図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る上芯材と下芯材の構造模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る上フィラープレートと下フィラープレートの構造模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るカバープレートの構造模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの使用状態の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、添付の図面及び実施形態を併せて、本発明をさらに詳細に説明する。本明細書に記載されている具体的な実施形態は、関連する内容を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないことが理解されたい。また、説明を簡単にするために、添付の図面に本発明に関連する部分のみが示されていることにも留意されたい。
【0028】
なお、矛盾がない場合、本発明の実施形態及び実施形態における特徴は互いに組み合わせることができる。以下では、添付の図面及び実施形態を参照しながら、本発明の技術的解決策を詳細に説明する。
【0029】
特に断りのない限り、図示される例示的な実施形態/実施例は、本発明の技術的アイデアを実際に実施することができるいくつかの方式の様々な詳細を提供する例示的な特徴として理解されるべきである。従って、特に断りのない限り、本発明の技術的アイデアから逸脱することなく、様々な実施形態/実施例の特徴をさらに組み合わせ、分離し、交換し、及び/又は再配置することができる。
【0030】
添付の図面でのクロスハッチング及び/又はシェーディングの使用は、一般に、隣接する部品間の境界を明確にするために使用される。従って、特に明記しない限り、クロスハッチング又はシェーディングの有無は、部品の具体的な材料、材料の性質、サイズ、比率、示される部品間の共通性、及び/又は部品の任意の他の特性、属性、性質などについての良し悪し又は要件を伝えたり示したりするものではない。また、添付の図面では、明確さ及び/又は説明の目的で、部品のサイズ及び相対的なサイズを誇張することがある。例示的な実施例が異なる方法で行われる場合、具体的なプロセス順序は、説明された順序とは異なる順序で実行され得る。例えば、連続して説明された2つのプロセスは、実質的に同時に、又は説明された順序と逆の順序で実行され得る。さらに、同様な参照番号は同様な部品を示す。
【0031】
ある部品が他の部品「上に位置する」又は「の上に位置する」と呼ばれる場合、他の部品に「接続される」又は「結合される」と呼ばれる場合、その部品は、前記他の部品上に直接位置するか、前記他の部品に直接接続又は直接結合されることができ、あるいは、中間部品が存在することもできる。しかしながら、部品が他の部品「上に直接位置する」、他の部品に「直接接続される」又は「直接結合される」と呼ばれる場合、中間部品はない。そのため、「接続」という用語は、中間部品の有無にかかわらず、物理的接続、電気的接続などを指し得る。
【0032】
説明の目的で、本発明では、図面に示される1つの部品と別の(他の)部品との関係を説明するように、「……の下」、「……の下方」、「……下」、「下」、「……の上方」、「上」、「……の上、「比較的高い」及び「側(例えば、「側壁」のように)」などの空間的に相対的な用語を使用することができる。図面に示される方向位置に加えて、空間的に相対的な用語は、使用中、操作中、及び/又は製造中のデバイスの様々な方向位置を含むことも意図されている。例えば、図面中のデバイスが裏返された場合、他の部品又は特徴の「下方」又は「下」に位置すると記述されている部品は、前記他の部品又は特徴の「上方」に位置する。従って、「……の下方」という例示的な用語は、「上方」と「下方」の両方の方向位置を含むことができる。また、デバイスを別途配置する(例えば、90度回転させるか、又は他の方向位置に配置する)ことができる。このように、本明細書で使用される空間的に相対的な用語は解釈される。
【0033】
本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、文脈が明らかに他のことを示さない限り、単数形「1個(種、人)」及び「前記(該)」はまた、複数形を含むことを意図している。また、「包含」及び/又は「含む」という用語及びそれらの変形が本明細書で使用される場合、記載された特徴、全体、ステップ、操作、部品、構成要素及び/又はそれらのグループの存在が示されるが、1つ又は複数の他の特徴、全体、ステップ、操作、部品、構成要素及び/又はそれらのグループの存在又は追加が排除されるわけではない。さらに、本明細書で使用されるように、「実質的に」、「ほぼ」及び他の類似した用語は、程度の用語としてではなく、近似の用語として使用されるため、当業者が測定値、計算値、及び/又は提供された値に固有の偏差として認識するものを説明するために使用される。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの構造模式図である。
図2は、本発明の一実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの断面構造模式図である。
図3は、本発明の別の実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの断面構造模式図である。
【0035】
図1~
図3に示すように、本発明によって提供されるラーメン構造用ゴム制振ダンパー10は、上芯材11と、前記上芯材11から予め設定された距離をおいて配置された下芯材12と、前記上芯材11と下芯材12の少なくとも片側に配置された第1制振部13と、カバープレート14と、を含み、前記カバープレート14は、前記上芯材11と下芯材12の少なくとも片側に配置され、前記カバープレート14と上芯材11との間に第1制振部13の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレート14と下芯材12との間に第1制振部13の少なくとも一部を存在させ、前記カバープレート14と第1制振部13との間、前記上芯材11と第1制振部13との間、及び下芯材12と第1制振部13との間に予め設定された圧力を存在させる。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係る第1制振部の構造模式図である。
本発明では、
図4に示すように、前記上芯材11と下芯材12の同じ側に位置する第1制振部13は、一体として形成される。
【0037】
本発明では、好ましくは、前記上芯材11と下芯材12との間の隙間の距離は2mm以上、例えば、2mm~60mm、好ましくは5mm~30mmである。さらに好ましくは、前記上芯材11と下芯材12との間の隙間の距離は10mm~20mmである。
【0038】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、
図2に示すように、前記上芯材11と前記下芯材12の両側にはいずれも第1制振部13が配置される。
【0039】
当然のことながら、前記上芯材11と下芯材12の片側のみに前記第1制振部13が配置されてもよい。このとき、前記第1制振部13は、前記上芯材11と下芯材12の同じ側に位置する。
【0040】
本発明では、前記第1制振部13の数は、前記カバープレート14の数と同じである。つまり、上芯材11と下芯材12の片側に前記第1制振部13が配置されている場合、当該第1制振部13の外側に前記カバープレート14が配置されている。このとき、前記カバープレート14も、前記上芯材11と下芯材12の片側のみに配置される。
【0041】
一方、前記上芯材11と下芯材12の両側にいずれも前記第1制振部13が配置されているとき、前記上芯材11と前記下芯材12の両側にはいずれもカバープレート14が配置されている。
【0042】
図5は、本発明の一実施形態に係る上芯材と下芯材の構造模式図である。
図6は、本発明の一実施形態に係る上フィラープレートと下フィラープレートの構造模式図である。
図7は、本発明の一実施形態に係るカバープレートの構造模式図である。
【0043】
本発明では、更に好ましくは、
図3~
図7に示すように、前記ラーメン構造用ゴム制振ダンパー10は、上フィラープレート15及び/又は下フィラープレート16をさらに含み、前記上フィラープレート15と前記上芯材11の形状は互いにマッチングし、前記下フィラープレート16と前記下芯材12の形状は互いにマッチングする。前記上フィラープレート15を前記カバープレート14と上芯材11との間に位置させ、前記下フィラープレート16を前記カバープレート14と下芯材12との間に位置させ、前記第1制振部13の一部は、前記上フィラープレート15と上芯材11との間に位置し、前記第1制振部13の一部は、前記下フィラープレート16と下芯材12との間に位置する。
【0044】
さらに好ましくは、前記ラーメン構造用ゴム制振ダンパー10は、第2制振部17をさらに含み、前記第2制振部17の一部は、前記カバープレート14と上フィラープレート15との間に位置し、前記第2制振部17の一部は、前記カバープレート14と下フィラープレート16との間に位置する。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、前記第1制振部13と第2制振部17の構造は同じである。
【0046】
本発明では、前記上芯材11、下芯材12及び第1制振部13には長孔が形成され、前記長孔の長手方向は、前記上芯材11と下芯材12との間の隙間の延在方向と同じである。
【0047】
本発明では、好ましくは、前記カバープレート14には丸孔が設けられ、ボルト18は前記カバープレート14、第1制振部13及び上芯材11を貫通して、前記カバープレート14と上芯材11を固定する。ボルト18は前記カバープレート14、第1制振部13及び下芯材12を貫通して、前記カバープレート14と下芯材12を固定する。ボルト18による直接加圧により、前記上芯材11と第1制振部13との間、及び前記第1制振部13とカバープレート14との間に圧力が存在する。且つ、前記下芯材12と第1制振部13との間、及び前記第1制振部13とカバープレート14との間に圧力が存在する。
【0048】
一方では、前記上芯材11、下芯材12、第1制振部13、上フィラープレート15、下フィラープレート16及び第2制振部17にはいずれも長孔が形成され、前記長孔の長手方向は、前記上芯材11と下芯材12との間の隙間の延在方向と同じである。
【0049】
このとき、前記カバープレート14には丸孔が設けられ、ボルト18は前記カバープレート14、第2制振部17、上フィラープレート15、第1制振部13及び上芯材11を貫通して、前記カバープレート14と上芯材11を固定する。ボルト18は前記カバープレート14、第2制振部17、下フィラープレート16、第1制振部13及び下芯材12を貫通して、前記カバープレート14と下芯材12を固定する。ボルト18による直接加圧により、前記上芯材11と第1制振部13との間、前記第1制振部13と上フィラープレート15との間、前記上フィラープレート15と第2制振部17との間、及び前記第2制振部17と前記カバープレート14との間に圧力が存在する。且つ、前記下芯材12と第1制振部13との間、前記第1制振部13和と下フィラープレート16との間、前記下フィラープレート16と第2制振部17との間、及び前記第2制振部17と前記カバープレート14との間に圧力が存在する。
【0050】
本発明では、好ましくは、前記上芯材11と下芯材12の両方は鋼板とすることができる。
【0051】
本発明では、好ましくは、前記第1制振部13はゴム板とすることができ、且つ/又は、前記第2制振部17はゴム板とすることができる。ここで、前記ゴム板は、天然ゴム板、又はスチレンブタジエンゴム板とすることができる。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、前記上フィラープレート15、下フィラープレート16及び/又はカバープレート14はいずれも鋼板とすることができる。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、前記上芯材11及び/又は下芯材12には補強プレート19が配置されてもよい。前記補強プレート19の配置により、前記上芯材11及び/又は下芯材12の強度が向上する。
【0054】
さらに好ましくは、前記ボルト18は高強度ボルトとすることができる。
【0055】
本発明では、前記ラーメン構造用ゴム制振ダンパーが第2制振部17、上フィラープレート15及び下フィラープレート16を含まない場合、ラーメン構造用ゴム制振ダンパーの製造コストを低減することができる。
【0056】
一方、前記ラーメン構造用ゴム制振ダンパーが第2制振部17、上フィラープレート15及び下フィラープレート16を含む場合、より良好な制振ダンパー効果が得られる。
【0057】
図8は、本発明の一実施形態に係るラーメン構造用ゴム制振ダンパーの使用状態の構造模式図である。
【0058】
図8に示すように、本発明のラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、梁と柱とが接合されるラーメン構造における使用時には、上芯材11と下芯材12をそれぞれ建物の梁に連結する。それにより、建物で発生した地震力が、上側の大梁を介して上芯材11に伝達される。次に、上芯材11によって摩擦力の形で第1制振部13及び上フィラープレート15に伝達され、第2制振部17を介して摩擦力がカバープレート14に伝達され、その後、カバープレート14によって第2制振部17、下フィラープレート16及び第1制振部13を介して、摩擦力が下芯材12に伝達される。最後に、下芯材12によって下側の大梁に伝達される。ボルト18で直接加圧する方式を採用することで、摩擦力を発生させるために必要な強い圧力が保証され、さらに、ゴムの柔軟性が十分に発揮されるので、制振の目的が達成される。
【0059】
その結果、本発明のラーメン構造用ゴム制振ダンパーは以下の有益な効果を有する。
1、本発明は、ボルトで直接加圧する方式を採用することで、摩擦力を発生させるために必要な強い圧力を保証する。それ以外に、上芯材、上フィラープレート、下芯材及び下フィラープレートなどの構造には長孔が採用されているため、地震により建物が変形したときに、部品に摩擦力以外の力が発生せず、第1制振部と第2制振部の柔軟性が十分に発揮されやすくなる。それにより、建物の震度をある程度まで下げることができる。よって地震による建物の破壊を効果的に回避し、最終的に人の生命と財産の安全を守るという目的を達成することができる。
【0060】
2、本発明は、復元能力が高く、地震後に各部品が迅速に元の状態に復元し、部品を交換する必要がないため、メンテナンス費用を大幅に節約することができる。
【0061】
3、本発明は、低コストで、施工及びメンテナンスが便利であるなどの特徴があり、広く普及及び適用されやすい。
【0062】
4、本発明は、ボルトで直接加圧する方式を採用することで、非常に大きな摩擦力を発生することができ、このダンパーは大、中、小の各型の建物に適用することができる。
【0063】
5、本発明は、製造が簡単で、梁と柱を持つすべてのラーメン構造(鉄骨構造、鉄筋コンクリート構造、木造構造などを含む)に適している。
【0064】
6、本発明は、資格のある任意の工場で製造することができるので、適用するのがより便利である。
【0065】
本明細書の説明において、「1つの実施例/方式」、「幾つかの実施例/方式」、「例」、「具体的な例」、又は「幾つかの例」などの用語を参照する説明は、該実施例/方式又は例と併せて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例/方式又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語の例示的な表現は、必ずしも同じ実施例/方式を指すとは限らない。また、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例/方式で適切な方式で組み合わせることができる。さらに、互いに矛盾することがない場合、当業者は、本明細書に記載されている様々な実施形態/方式又は例と、様々な実施形態/方式又は例の特徴とを結合して組み合わせることができる。
【0066】
それ以外に、「第1」、「第2」という技術用語は、説明の目的でのみ使用され、相対的な重要性を指示したり示唆したり、あるいは示される技術的特徴の数を暗黙的に示したりするものとして理解することができない。それにより、「第1」及び「第2」により限定される特徴は、明示的に又は暗黙的に、少なくとも1つの特徴を含むことができる。本願の説明において、「複数」とは、他に特に定義されない限り、少なくとも2つ、例えば2つ、3つなどを意味する。
【0067】
当業者は、上記の実施形態が本発明の原理及び効果を明確に説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことを理解すべきである。当業者であれば、上記の開示に基づいて他の変更、修正又は変形を行うことができ、これらの変更、修正、変形は、依然として本発明の範囲内である。本発明に開示されている技術的思想またはアイデアから逸脱することなく行われるすべての同等の修正及び変更は、依然として本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0068】
10 ラーメン構造用ゴム制振ダンパー
11 上芯材
12 下芯材
13 第1制振部
14 カバープレート
15 上フィラープレート
16 下フィラープレート
17 第2制振部
18 ボルト
19 補強プレート
【要約】 (修正有)
【課題】低コストで中大型の建物への適用が可能なラーメン構造用ゴム制振ダンパーを提供する。
【解決手段】ラーメン構造用ゴム制振ダンパーは、上芯材11と、上芯材11から予め設定された距離をおいて配置された下芯材12と、上芯材11と下芯材12の少なくとも片側に配置された第1制振部13と、カバープレート14とを含む。カバープレート14は、上芯材11と下芯材12の少なくとも片側に配置され、カバープレート14と上芯材11との間に第1制振部13の少なくとも一部を存在させ、カバープレート14と下芯材12との間に第1制振部13の少なくとも一部を存在させ、カバープレート14と第1制振部13との間に、上芯材11と第1制振部13との間に、及び下芯材12と第1制振部13との間に予め設定された圧力を存在させる。
【選択図】
図2