(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】パイナップル切断装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A23N 15/04 20060101AFI20220706BHJP
B26D 3/26 20060101ALI20220706BHJP
B26D 9/00 20060101ALI20220706BHJP
A23N 4/20 20060101ALI20220706BHJP
A23N 7/00 20060101ALI20220706BHJP
B26D 3/28 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A23N15/04
B26D3/26 605A
B26D3/26 605E
B26D9/00
B26D3/26 605H
A23N4/20
A23N7/00 F
B26D3/28
(21)【出願番号】P 2018170058
(22)【出願日】2018-08-27
【審査請求日】2021-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】391004230
【氏名又は名称】株式会社平野製作所
(72)【発明者】
【氏名】平野 里佳
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-202278(JP,A)
【文献】実開昭59-077391(JP,U)
【文献】特開昭63-017680(JP,A)
【文献】特開昭54-151157(JP,A)
【文献】特開2009-101493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23N 15/04
B26D 3/26
B26D 9/00
A23N 4/20
A23N 7/00
B26D 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイナップルが軸方向を鉛直方向として載置される第1の基台と、
前記第1の基台に載置された前記パイナップルを水平方向から押圧する押圧ユニットと、
前記パイナップルが前記押圧ユニットに押圧されて前記パイナップルの上部及び下部をそれぞれ切断する、互いに平行に設置された上部切断刃及び下部切断刃と、
前記上部切断刃と前記下部切断刃により上下部が切断された前記パイナップルが載置される第2の基台と、
前記第2の基台に載置された前記パイナップルを所定の位置に位置決めする位置決めユニットと、
前記第2の基台の所定の位置に位置決めされた前記パイナップルの上方に同心軸線方向に設置された円筒状の外筒刃及び内筒刃を下降させて前記パイナップルを円筒形に切断する円筒状刃物ユニットと、
を備えることを特徴とするパイナップル切断装置。
【請求項8】
第1の基台に軸方向を鉛直方向として載置されたパイナップルを水平方向から押圧する押圧工程と、
前記パイナップルが前記押圧工程で押圧されて前記パイナップルの上部及び下部を互いに平行に設置した上部切断刃及び下部切断刃によりそれぞれ切断する上下切断工程と、
前記上下切断工程により上下部が切断されたパイナップルが第2の基台に載置され、この第2の基台の所定の位置に前記上下部が切断されたパイナップルを位置決めする位置決め工程と、
前記第2の基台の所定の位置に位置決めされた前記パイナップルの上方に同心軸線方向に設置された円筒状の外筒刃及び内筒刃を下降させて前記パイナップルを円筒形に切断する円筒形切断工程と、
を有することを特徴とするパイナップル切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイナップルの上下両端部を切断し、果皮を切断するとともに、芯部をくり抜き円筒状に切断(以下、ホール抜きともいう。)し、可食部と果皮とを分離可能にして排出するパイナップル切断装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイナップル切断装置には、例えば特許文献1に開示された小型のパインホールカット装置がある。このパインホールカット装置は、上下両端部をあらかじめ水平にカットした果皮付きパイナップルから果皮を除去し、円筒形の果肉部分と円柱状の芯部分とに分離加工する装置である。上記果肉部分と上記芯部分は、外筒刃と内筒刃を昇降させることにより、分離している。
【0003】
より具体的には、上記パインホールカット装置は、上記外筒刃と上記内筒刃の昇降と回転とを同時に行って果皮付きパイナップルをパインホールにカット可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した特許文献1の技術では、ホール抜き加工の前処理としてパイナップルの上下両端部を水平にカットする作業が必要である。このカット作業は、あらかじめ人の手で行われているため、作業効率が低いという問題がある。
【0006】
また、特許文献1の技術では、パイナップルの上下両端部をカットする場合、人の手で行われているため、カット幅にばらつきが生じるとともに、上下面が平行にカットされていない場合がある。この場合には、パイン載置台にパイナップルを載置したときに、パイナップルの軸方向が鉛直方向に対して傾斜することになる。そのため、本来果皮を除去し芯部をくり抜く必要があるものの、果肉部分を切断して除去することがあるか、あるいは円筒状にカットするパインホールに芯部が残り、商品価値を著しく低下させるとともに、歩留まりが悪いという問題がある。
【0007】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、小型の装置でパイナップルを円筒状に切断する際に、作業効率を格段に向上させるとともに、円筒状に切断されたパイナップルの商品価値を高めることが可能なパイナップル切断装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のパイナップル切断装置は、パイナップルが軸方向を鉛直方向として載置される第1の基台と、前記第1の基台に載置された前記パイナップルを水平方向から押圧する押圧ユニットと、前記パイナップルが前記押圧ユニットに押圧されて前記パイナップルの上部及び下部をそれぞれ切断する、互いに平行に設置した上部切断刃及び下部切断刃と、前記上部切断刃と前記下部切断刃により上下部が切断された前記パイナップルが載置される第2の基台と、前記第2の基台に載置された前記パイナップルを所定の位置に位置決めする位置決めユニットと、前記第2の基台の所定の位置に位置決めされた前記パイナップルの上方に同心軸線方向に設置された円筒状の外筒刃及び内筒刃を下降させて前記パイナップルを円筒形に切断する円筒状刃物ユニットと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のパイナップル切断方法は、第1の基台に軸方向を鉛直方向として載置されたパイナップルを水平方向から押圧する押圧工程と、前記パイナップルが前記押圧工程で押圧されて前記パイナップルの上部及び下部を互いに平行に設置した上部切断刃及び下部切断刃によりそれぞれ切断する上下切断工程と、前記上下切断工程により上下部が切断されたパイナップルが第2の基台に載置され、この第2の基台の所定の位置に前記上下部が切断されたパイナップルを位置決めする位置決め工程と、前記第2の基台の所定の位置に位置決めされた前記パイナップルの上方に同心軸線方向に設置された円筒状の外筒刃及び内筒刃を下降させて前記パイナップルを円筒形に切断する円筒形切断工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のパイナップル切断装置及び方法によれば、小型の装置でパイナップルを円筒状に切断する際に、作業効率を格段に向上させるとともに、円筒状に切断されたパイナップルの商品価値を高めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】 本発明に係るパイナップル切断装置の一実施形態の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1において上部切断・クラウン掃出しユニット、円筒状刃物ユニットを囲むカバー及びフレームの一部、開閉扉を取り除いた内部構造を示す斜視図である。
【
図3】
図1の第1基台にパイナップルを載置した状態を示す拡大斜視図である。
【
図4】
図1の上部切断・クラウン掃出しユニットを示す拡大斜視図である。
【
図5】
図4の上部切断・クラウン掃出しユニットを反対側から見た内部構造を示す拡大斜視図である。
【
図6】
図2の位置決めユニットの内部構造を示す拡大斜視図である。
【
図7】
図6の位置決めユニットの把持部が移動した状態を示す拡大斜視図である。
【
図8】
図2の円筒状刃物ユニットを示す拡大斜視図である。
【
図9】
図1の第1基台にパイナップルを載置した状態を示す縦断面図である。
【
図10】
図9においてパイナップルを第1基台から第2基台に移動させた状態を示す縦断面図である。
【
図11】
図10において円筒状刃物ユニットでパイナップルを切断している状態を示す縦断面図である。
【
図12】
図11において円筒状刃物ユニットでパイナップルを切断している状態を示す拡大縦断面図である。
【
図13】
図12において切断されたパイナップルを押し出している状態を示す拡大縦断面図である。
【
図14】
図13において押し出されたパイナップルと円筒状刃物ユニットを示す拡大縦断面図である。
【
図15】
図14において押し出されたパイナップルを排出している状態を示す縦断面図である。
【
図16】 本発明に係るパイナップル切断装置の一実施形態の制御系を示すブロック図である。
【
図17】
図16の制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、押圧ユニット、上部切断・クラウン掃出しユニット、位置決めユニット、円筒状刃物ユニット、及び排出ユニットのそれぞれの駆動源にエアシリンダを用いた例について説明する。
【0013】
図1は、本発明に係るパイナップル切断装置の一実施形態の全体構成を示す斜視図である、
図2は、
図1において上部切断・クラウン掃出しユニット、円筒状刃物ユニットを囲むカバー及びフレームの一部、開閉扉を取り除いた内部構造を示す斜視図である。
【0014】
なお、本実施形態のパイナップル切断装置においては、各種スイッチが設置されて作業者が対向する側を前側とし、その背面側を後側とするとともに、作業者が前側に向かって右側を右側とし、左側を左側として説明する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のパイナップル切断装置1は、ほぼ立体枠形状に形成された作業台フレーム2を備えている。この作業台フレーム2は、下端四隅にそれぞれ移動用の車輪3が取り付けられている。作業台フレーム2の高さ方向中間には、天板4が設置されており、この天板4には開口部5a,5bが形成されている。これらの開口部5a,5bを通して後述する外筒刃及び果皮切り刃によって切断されたパイナップルPの外周面の果皮の半分がそれぞれ排出される。
【0016】
開口部5a,5bの直下には、例えば図示しないベルトコンベアが設置され、このベルトコンベアを駆動させることで、上記円筒刃及び果皮切り刃によって切断された外周面の半分の果皮をそれぞれ図示しない集積箱に搬送させるようにしてもよい。同様に、上部切断刃により切断されたパイナップルPの上部残渣(以下、クラウンともいう。)と、下部切断刃により切断された蔕部分を含む下部残渣も上記ベルトコンベアによって集積箱に搬送されることが望ましい。
【0017】
作業台フレーム2の左側には、空気圧部品箱6が設置されている。この空気圧部品箱6内には、各シリンダに圧縮空気を供給するための図示しない各種の空気圧部品が装備されている。空気圧部品箱6の上方には、各種電気系統を装備した配電盤7が設置されている。空気圧部品箱6内に装備された各種の空気圧部品を配電盤7内の図示しない駆動回路から例えばシーケンス制御することにより、パイナップルPの一連の切断動作が行われる。
【0018】
また、パイナップル切断装置1の作業者側には、図示しない発光器及び受光器を有する光電スイッチ8が設置されている。この光電スイッチ8の発光器と受光器との間を作業者の手等の身体で遮ると、パイナップル切断装置1を起動する起動スイッチ9が作動しないように構成されている。すなわち、光電スイッチ8の発光器と受光器との間を作業者の手等の身体で遮ると、パイナップル切断装置1の装置自体が動作しないように構成されている。
【0019】
起動スイッチ9の近傍には、非常時にパイナップル切断装置1の駆動を緊急停止するために用いる非常停止スイッチ10が並んで設置されている。作業台フレーム2の右側にも非常停止スイッチ10と略同様の高さで非常停止スイッチ11が設置されている。このように非常停止スイッチ10と離間した位置に非常停止スイッチ11を配置したことにより、何らかの不具合が発生したときに、非常停止スイッチ10,11のいずれかを操作することで、パイナップル切断装置1が駆動するのを即座に停止させることができる。
【0020】
後述するように、パイナップルPを水平方向から押圧して切断する押圧シリンダの往復動作が終了すると、光電スイッチ8の発光器と受光器との間の光を遮ったとしても、その後の工程である円筒状刃物ユニットの切断動作及び排出ユニットの排出動作は行われる。すなわち、これらの工程の間に次に切断するパイナップルPを第1の基台に載置することができるので、パイナップルPの切断作業を連続して行うことが可能になる。
【0021】
図1に示すように、上記円筒状刃物ユニットは、開閉可能な開閉扉12と、カバー13に囲まれている。このように円筒状刃物ユニットを囲むことで、昇降可能な円筒状刃物に作業者の身体の一部やその他の物品が入るのを未然に防止している。ここで、開閉扉12には、図示しない磁気センサが設けられている。この開閉扉12を切断動作中に開けた場合には、上記磁気センサが作動して全体の切断動作が停止するように構成されている。これにより、作業者の安全性を確保している。
【0022】
本実施形態のパイナップル切断装置1は、第1の基台15、押圧ユニット20、上部切断・クラウン掃出しユニット25、位置決めユニット40、第2の基台41、円筒状刃物ユニット50、及び排出ユニット75を備える。
【0023】
まず、第1の基台15の構成及び機能を
図3に基づいて説明する。
図3は、
図1の第1基台にパイナップルを載置した状態を示す拡大斜視図である。
図3に示すように、第1の基台15には、上下両端部が切断されていないパイナップルPが軸方向を鉛直方向として載置される。具体的には、第1の基台15には、クラウンと蔕を備えたパイナップルPが載置される。
【0024】
第1の基台15は、
図3に示すように支持板16を備えている。第1の基台15の下部には、上下位置調整機構14(
図9に示す)が設置されている。この上下位置調整機構14によって第1の基台15の鉛直方向に対する上下位置を調節することで、後述する上部切断刃及び下部切断刃に対する相対高さが変化する。上下位置調整機構14は、例えば支持板16に対するねじのねじ込み具合を調節することで、上下位置が変化するように構成されている。このようにして上部切断刃及び下部切断刃に対する相対高さを上下に移動させることで、パイナップルPの上部切断幅及び下部切断幅を調整することができる。その結果、パイナップルPの軸方向長さに合わせた切断加工が可能になる。
【0025】
支持板16には、長手方向両端に一定間隔をおいて3個の支持用突起17が2列、合計6個固定されている。2列の支持用突起17は、互いに対向する位置に配置されている。2列の支持用突起17には、それぞれ1枚のL字状板18の幅広の面が当接する。これにより、各L字状板18は水平に設置される。
【0026】
これらのL字状板18は、2列の支持用突起17に対応してそれぞれ長手方向に一定間隔をおいて3個所に長孔18aが形成されている。これらの長孔18aは、L字状板18の長手方向に対して直交する方向に長く形成されている。これらの長孔18aを通して図示しないボルトを2列の支持用突起17に固定することで、2枚のL字状板18は、その間に所定の間隔の長溝19を形成して固定される。
【0027】
したがって、L字状板18の図示しないボルトの固定位置に対して長孔18aの位置を変えることにより、2枚のL字状板18がその幅方向に移動する。これにより、長溝19の幅を変えることができる。この長溝19の幅を所定の幅に設定することで、パイナップルPの底部の蔕が入り込むようになる。そのため、パイナップルPの蔕を切断して除去することなく、パイナップルPを載置することが可能となる。その結果、長溝14の幅を調整することにより、パイナップルPの蔕の大小や有無に係わらず、蔕の付いたパイナップルPの切断作業が可能となる。
【0028】
次に、押圧ユニット20の構成及び機能を
図9に基づいて説明する。
【0029】
押圧ユニット20は、
図9に示すように押圧シリンダ21を備えている。この押圧シリンダ21のシンンダロッド21aの先端には、押圧部22が固定されている。この押圧部22は、平面形状がV字状に形成されている。本実施形態では、押圧部22を平面V字状に形成したことにより、パイナップルPの外周面を抱え易くすることができる。
【0030】
したがって、本実施形態では、押圧シリンダ21を駆動させることで、シリンダロッド21aが第1の基台15に載置されたパイナップルPを水平方向から押圧する。この場合、押圧部22を平面V字状に形成したことで、パイナップルPの外周面を抱え易くし、確実に押圧することができる。この押圧されたパイナップルPの移動範囲内には、後述する上部切断・クラウン掃出しユニット25の上部切断刃26と、この上部切断刃26の下方に平行に配置された下部切断刃23とが設置されている。すなわち、上部切断刃26及び下部切断刃23は、それぞれ水平に設置されて互いに平行に配置されている。そのため、上部切断刃26及び下部切断刃23は、パイナップルPを水平かつ平行に切断することで、その上下の切断面が互いに水平かつ平行に形成することができる。
【0031】
そして、後述するように上部切断刃26と、下部切断刃23とで上下両端部が切断されたパイナップルPは、第2の基台41に移送される。この第2の基台41の近傍には、排出側にストッパ72が出没自在に設置されている。そのため、押圧シリンダ21のシリンダロッド21aによって押圧されたパイナップルPを第2の基台41を越えて移送されないように、ストッパ72によって阻止している。
【0032】
次に、上部切断・クラウン掃出しユニット25の構成及び機能を
図4及び
図5に基づいて説明する。
【0033】
図4は、
図1の上部切断・クラウン掃出しユニットを示す拡大斜視図である。
図5は、
図4の上部切断・クラウン掃出しユニットを反対側から見た内部構造を示す拡大斜視図である。
【0034】
図4及び
図5に示すように、上部切断・クラウン掃出しユニット25は、大略的に上部切断刃26と、掃出し機構27と、昇降機構34とを備える。上部切断・クラウン掃出しユニット25は、上部切断刃26によってパイナップルPのクラウンを切断し、そのクラウンを装置外に掃き出すものである。
【0035】
掃出し機構27は、クラウン載置板28と、クラウンシュータ29と、クラウン掃出し板30と、回動軸31と、掃出しシリンダ32とを有している。クラウン載置板28の前側には、上部切断刃26が設置されている。上部切断刃26の下方には、
図9に示す下部切断刃23が互いら水平かつ平行に配置されている。クラウン載置板28上には、上部切断刃26によって切断されたパイナップルPの上部、すなわちクラウンが載置される。このクラウン載置板28には、クラウンシュータ29が一体に設けられ、このクラウンシュータ29を経て切断されたパイナップルPのクラウンが滑って装置外に落下する。下部切断刃23によって切断されたパイナップルPの蔕を含む下部残渣は、
図9に示す開口部24を経て排出される。
【0036】
掃出しシリンダ32は、シリンダロッド33を有し、このシリンダロッド33の先端には、クラウン掃出し板30が取り付けられている。このクラウン掃出し板30の一端は、回動軸31に回動可能に取り付けられている。クラウン掃出し板30の他端は、クラウン載置板28側に略20度の角度で折れ曲がって形成されている。
【0037】
したがって、本実施形態では、掃出しシリンダ32を駆動させることで、シリンダロッド33が伸びてクラウン掃出し板30が回動軸31を中心としてクラウン載置板28上を回動させる。これにより、上部切断刃26によって切断されてクラウン載置板28上に載置されたパイナップルPのクラウンは、クラウン掃出し板30によってクラウン載置板28から掃き出され、クラウンシュータ29を滑って装置外に落下する。
【0038】
昇降機構34は、
図5に示すように昇降ハンドル35と、2本のボールねじ36a,36bと、2本のガイドロッド37a,37bと、プーリ38a,38bと、タイミングベルト39とを備える。ボールねじ36aとガイドロッド37a、ボールねじ36bとガイドロッド37bは、それぞれ対をなし、これらは上部切断刃26の長さ以上に離間して設置されている。プーリ38a,38bは、ボールねじ36a,36bにおいて同一の高さに設置されている。
【0039】
ボールねじ36aの上端には、昇降ハンドル35が固定されている。この昇降ハンドル35のやや下方には、プーリ38aが固定されている。同様に、ボールねじ36bの上端には、プーリ38bが固定されている。プーリ38aとプーリ38bとの間には、タイミングベルト39が巻き掛けられている。タイミングベルト39は、テンションプーリ38cの接触程度によって所定のテンションとなるようにしている。
【0040】
したがって、昇降機構34は、昇降ハンドル35を回転させることにより、ボールねじ36aが回転する。すると、プーリ38aも回転することで、タイミングベルト39を介してプーリ38bが回転し、ボールねじ36bが回転する。ボールねじ36aとボールねじ36bが回転することにより、これらボールねじ36a,36bに設けられたクラウン載置板28がガイドロッド37a,37bにガイドされて上下方向に移動(昇降)する。そのため、クラウン載置板28の前側に固定された上部切断刃26も上下に移動する。このようにして上部切断刃26を上下に移動させることで、パイナップルPの上部切断幅を調整することができる。その結果、パイナップルPの軸方向長さに合わせた切断加工が可能になる。
【0041】
また、本実施形態では、上部切断刃26及び下部切断刃23を互いに水平かつ平行に設置しているので、上部及び下部が切断されたパイナップルPは、第2の基台41に移送されたとき、第2の基台41上において軸方向を鉛直方向として載置される。
【0042】
次に、位置決めユニット40の構成及び機能
図6及び
図7に基づいて説明する。
【0043】
図6は、
図2の位置決め部の内部構造を示す拡大斜視図である。
図7は、
図6の位置決め部の把持部が移動した状態を示す拡大斜視図である。
【0044】
位置決めユニット40は、上部切断・クラウン掃出しユニット25の上部切断刃26と、この上部切断刃26の下方に配置された下部切断刃24とによってパイナップルPのクラウンと蔕を含む下部が切断され、その切断されたパイナップルPを
図9に示す第2の基台41の中央であって、円筒状刃物ユニット50の中心真下(所定の位置)に位置決めするものである。すなわち、パイナップルPの上方には、円筒状刃物ユニット50が同心軸線方向に設置されることとなる。
【0045】
図6及び
図7に示すように、位置決めユニット40は、取付板42と、連結板43a,43bと、ガイドロッド44と、ラックギヤ45a,45bと、ピニオンギヤ46と、駆動板47と、把持シリンダ48と、シリンダロッド48aと、把持部49a,49bと、を備える。
【0046】
取付板42は、長方形の板状に形成され、その長さ方向に沿ってガイドロッド44が水平に固定されている。このガイドロッド44には、連結板43a,43bが移動可能に設けられている。これらの連結板43a,43bには、ラックギヤ45a,45bがそれぞれ上下に設けられている。これらのラックギヤ45a,45bは、互いに歯列部分が対向するように設置され、ピニオンギヤ46と噛み合っている。ピニオンギヤ46は、取付板42に回転可能に固着されている。
【0047】
すなわち、ラックギヤ45aは、歯列が上面側となるように設置される一方、ラックギヤ45bは、歯列が下面側となるように設置されている。ピニオンギヤ46は、ラックギヤ45aの上面の歯列と噛み合うとともに、ラックギヤ45bの下面の歯列と噛み合っている。
【0048】
連結板43aには、駆動板47が固定され、この駆動板47に把持シリンダ48のシリンダロッド48aの先端部が固定されている。連結板43a,43bには、それぞれ把持部49a,49bが取り付けられている。
【0049】
したがって、
図6に示す状態の位置決めユニット40は、把持シリンダ48のシリンダロッド48aの先端部が最も伸びた状態にあり、把持部49a,49bの間隔が最も離れた位置にある。そして、把持シリンダ48を駆動させると、
図7に示すようにシリンダロッド48aの先端部が最も縮む。この場合、シリンダロッド48aの先端に固定された駆動板47、連結板43aを介してラックギヤ45aが図中右方向に移動すると同時に、把持部49aが右方向に移動する。
【0050】
同時に、ピニオンギヤ46が反時計方向に回転する。これによりラックギヤ45bが左方向に移動することで、連結板43bを介して把持部49bが左方向に移動する。このようにして把持部49a,49bが互いに接近して移送されてきた上下部が切断されたパイナップルPを位置決めする。したがって、上下部が切断されたパイナップルPを位置決めすることで、第2の基台41の所定の位置、第2の基台41の中央であって、円筒状刃物ユニット50の中心真下に位置決めすることができる。
【0051】
ここで、把持部49a,49bは、平面形状がU字状に形成されているので、パイナップルPの外周面を抱え易くすることができ、円筒状刃物ユニット50の真下に確実に位置決めすることができる。
【0052】
次に、円筒状刃物ユニット50の構成及び機能を
図8~
図14に基づいて説明する。
【0053】
図8は、
図2の円筒状刃物ユニットを示す拡大斜視図である。
図9は、
図1の第1基台にパイナップルを載置した状態を示す縦断面図である。
図10は、
図9においてパイナップルを第1基台から第2基台に移動させた状態を示す縦断面図である。
図11は、
図10において円筒状刃物ユニットでパイナップルを切断している状態を示す縦断面図である。
【0054】
図12は、
図11において円筒状刃物ユニットでパイナップルを切断している状態を示す拡大縦断面図である。
図13は、
図12において切断されたパイナップルを押し出している状態を示す拡大縦断面図である。
図14は、
図13において押し出されたパイナップルと円筒状刃物ユニットを示す拡大縦断面図である。
【0055】
図8及び
図9に示すように、円筒状刃物ユニット50は、位置決めユニット40によって第2の基台41における円筒状刃物ユニット50の中心真下に位置決めされた上下部が切断されたパイナップルPを円筒形に切断する。円筒状刃物ユニット50の上方には、刃物シリンダ51が設置されている。この刃物シリンダ51のシリンダロッド52の先端は、円筒状刃物ユニット50の連結部53を介して角形の連結板54に連結されている。この連結板54は、4本の連結棒55を介して案内板56に連結されている。
【0056】
連結板54には、2本のガイドロッド57が鉛直方向に貫通し、これらのガイドロッド57の下端は移動板58に固定されている。これら連結板54と移動板58との間のガイドロッド57には、それぞれコイルばね59が巻回されている。
【0057】
移動板58の底面には、周方向に配置された4本の外周ロッド60の各一端が固定されており、これら4本の外周ロッド60の各他端は、円環状に形成されたホール抜き押圧板61(
図12~
図14に示す)に固定されている。移動板58の底面において、4本の外周ロッド60の中心部分には、中心ロッド62の一端が固定され、この中心ロッド62の他端が芯抜き押圧板63(
図12~
図14に示す)が固定されている。これら4本の外周ロッド60及び中心ロッド62は、案内ブロック64に挿通している。この案内ブロック64は、案内板56の上面に固定され、4本の外周ロッド60及び中心ロッド62の上下動を案内している。
【0058】
案内板56の底面には、複数本の連結バー65の各一端が固定され、これらの連結バー65の各他端が中間板66の上面に固定されている。この中間板66は、逆円錐状に形成されている。具体的には、中間板66の周面は、上下方向に45度程度のテーパに形成されている。
【0059】
中間板66内には、外筒刃67が設置されている。この外筒刃67の外周面には、互いに対向する位置に果皮切り刃68が固定され、これらの果皮切り刃68は、外径方向に延びるように形成されている。外筒刃67の内周側には、内筒刃(芯抜き刃)69が同心状に設置されている。これら外筒刃67、果皮切り刃68、及び内筒刃69は、それぞれ下端が同一位置になるように配置されている。
【0060】
案内板56の両側には、図示しないエア供給源から供給される空気接続口70が設置されている。この空気接続口70には、空気ホース71が接続されており、その先端が中間板66の周面まで延びている。
【0061】
なお、本実施形態では、円筒状刃物ユニット50の外筒刃67及び内筒刃69は、それぞれ上端にフランジを設け、そのフランジにねじ止めする等の周知の着脱機構によって着脱可能に構成されている。これにより、異なる径の外筒刃67及び内筒刃69と交換可能になる。異なる径の外筒刃67を取り付けるには、中間板66の外径を大径のパイナップルPに対応して大きくし、かつ上述したように加工時に果皮が退避するように逆円錐状に形成している。
【0062】
次に、上記のように構成された円筒状刃物ユニット50の作用について説明する。
【0063】
まず、
図10に示すように、上下部が切断されたパイナップルPは、位置決めユニット40によって第2の基台41の中心位置であって、円筒状刃物ユニット50の中心真下に位置決めされる。このようにして位置決めされたパイナップルPの上方には、円筒状の外筒刃67及び内筒刃69が同心軸線上に設置されている。
【0064】
そして、位置決めユニット40の把持部49a,49bによるパイナップルPの把持が解放されると、刃物シリンダ51が駆動する。すると、
図11に示すようにシリンダロッド52の先端が下降して円筒状刃物ユニット50全体を下降させる。
【0065】
この場合、
図11及び
図12に示すように、パイナップルPの上面から外筒刃67、果皮切り刃68、及び内筒刃69が押し込まれる。これにより、パイナップルPの外皮が果皮切り刃68で2分割され、果肉から分離して開口部5aと開口部5bにそれぞれ別々に落下する。同時に、果肉は外筒刃67内に挿入され、芯部は内筒刃69内に挿入され、ホール抜き加工と芯抜き加工とが同時に行われる。
【0066】
また、外筒刃67及び内筒刃69の内部に設置されたホール抜き押圧板61及び芯抜き押圧板63は、パイナップルPの上面に当接している。そのため、4本の外周ロッド60及び中心ロッド62と、移動板58を介して2本のガイドロッド57にそれぞれ巻回されたコイルばね59がその弾性力に抗して圧縮される。
【0067】
その後、刃物シリンダ51のシリンダロッド52の先端が上昇すると、円筒状刃物ユニット50全体を上昇させる。このとき、外筒刃67及び内筒刃69も上昇する。同時に、
図13及び
図14に示すように圧縮されたコイルばね59が弾性力によって移動板58、4本の外周ロッド60及び中心ロッド62を介してホール抜き押圧板61及び芯抜き押圧板63を押し戻してパイナップルPの上面を押圧し、パイナップルPを第2の基台41に密着させている。そのため、第2の基台41の上面にホール抜きかつ芯抜きされたパイナップルPが残る。
【0068】
これにより、ホール抜きされたパイナップルPとその芯部がそれぞれ外筒刃67内及び内筒刃69内に挿入されたままの状態で上昇するのを回避することができる。その結果、ホール抜きされたパイナップルPとその芯部が上昇した位置から落下してその衝撃によってパイナップルPが破損するのを未然に防止することができる。
【0069】
そして、ホール抜き押圧板61及び芯抜き押圧板63がパイナップルPから離間したとき、ホール抜き押圧板61及び芯抜き押圧板63は、外筒刃67、果皮切り刃68、及び内筒刃69とそれぞれ下端が同一位置になる。
【0070】
なお、本実施形態では、果皮切り刃68でパイナップルPの外皮を2分割する際、外筒刃67の上方の中間板66に形成したテーパ部分により、外皮を外筒刃67から分離し易くしている。また、同様に果皮切り刃68でパイナップルPの外皮を2分割する際、中間板66の周面まで延びた空気ホース71の先端から外筒刃67と果皮との間に圧縮空気を噴射することで、外皮を外筒刃67から一段と確実かつ容易に分離することができるようにしている。
【0071】
次に、排出ユニット75の構成及び機能を
図15に基づいて説明する。
【0072】
図15は、
図14において押し出されたパイナップルを排出している状態を示す縦断面図である。
【0073】
図15に示すように、排出ユニット75は、円筒状刃物ユニット50の外筒刃67及び内筒刃69によってホール抜きされてその内部に芯部が分離可能とされたパイナップルPを装置外に排出する。排出ユニット75は、排出シリンダ76と、この排出シリンダ76のシリンダロッド77と、排出シュータ78とを備えている。
【0074】
排出シリンダ76を駆動させると、そのシリンダロッド77の先端が伸びて、第2の基台41上に載置されているホール抜きされてその内部に芯部が分離可能とされて残ったパイナップルPを水平方向に押圧する。この場合、第2の基台41の排出側に出没自在に設置されたストッパ72は、第2の基台41の上面よりも下方に位置している。これにより、パイナップルPの排出作業に支障がなくなる。つまり、ストッパ72は、排出シリンダ76の駆動と同時か、あるいはその前に駆動して下方に退避した位置にある。
【0075】
そして、シリンダロッド77の先端で押圧されたパイナップルPは、排出シュータ78を滑って装置外に排出される。この場合、パイナップルPは、ホール抜きされてその内部に芯部が分離可能とされて残っているので、1個のブロック状となり、落下した衝撃で潰れて果汁が出るのを防止するとともに、ホール抜きされたパイナップルPが変形するのを未然に防止することができる。
【0076】
なお、本実施形態においては、芯抜き押圧板63及び中心ロッド62を省略することで、内筒刃69内に芯部を残してホール抜きされたパイナップルPだけを取り出すことができる。この場合、内筒刃69は、上方に延ばして形成されている。したがって、パイナップルPを内筒刃69で切断するごとに内筒刃69に芯部が蓄積され、その芯部は、徐々に上方に押し出され、その上端から外部に排出される。
【0077】
次に、本実施形態のパイナップル切断装置の制御系の構成及び機能を
図16及び
図17に基づいて説明する。
【0078】
図16は、本発明に係るパイナップル切断装置の一実施形態の制御系を示すブロック図である。
図17は、
図16の制御部の動作を示すフローチャートである。
【0079】
図16に示すように、起動スイッチ9、非常停止スイッチ10,11、押圧シリンダ21、光電スイッチ8、掃出しシリンダ32、把持シリンダ48、刃物シリンダ51、及び排出シリンダ76は、制御部80によって制御される。
【0080】
制御部80は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェース(I/F)等を備えて構成されている。制御部80は、周知のマイクロコンピュータ(マイコン)を中心に構成され、上記ROMに格納されているプログラムに基づいて上記CPUにより各種処理が実行される。上記ROMは、一過性のコンピュータ読取可能な記録媒体に相当する。記録媒体には、ROM以外に例えば、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、ハードディスク等のコンピュータ読み取り可能な電子媒体を含む。
【0081】
次に、制御部80の動作を
図17に基づいて説明する。
【0082】
まず、上記CPUは、起動スイッチ9がONとなり、光電スイッチ8がOFFになったかを判定する(ステップS1,S2)。起動スイッチ9がOFFの場合(ステップS1;No)には、ONになるまで待機する。同様に、光電スイッチ8がONの場合(ステップS2;No)には、OFFになるまで待機する。スイッチ9がONとなり、光電スイッチ8がOFFになった場合には、ステップS3に移行する。
【0083】
ステップS3では、押圧シリンダ21を駆動する。より具体的には、押圧シリンダ21を駆動させることで、シンンダロッド21aが第1の基台15に載置された上下両端部が切断されていないパイナップルPを水平方向から押圧する。この押圧されたパイナップルPの移動範囲内には、上部切断・クラウン掃出しユニット25の上部切断刃26と、この上部切断刃26の下方に配置された下部切断刃24とが設置されているため、上部切断刃26によってパイナップルPのクラウンが切断されるとともに、下部切断刃24によってパイナップルPの蔕を含む下部が切断された後、第2の基台41の上面まで押圧される。
【0084】
次いで、ステップS4Aでは、掃出しシリンダ32を駆動させて、上部切断刃26によって切断されたパイナップルPのクラウンを装置外に掃き出す。
【0085】
具体的には、ステップS4Aでは、掃出しシリンダ32を駆動すると、シリンダロッド33が伸びてクラウン掃出し板30が回動軸31を中心としてクラウン載置板28上を回動させる。これにより、上部切断刃26によって切断されてクラウン載置板28上に載置されたパイナップルPのクラウンは、クラウン掃出し板30によってクラウン載置板28から押し出され、クラウンシュータ29を滑って装置外に落下する。
【0086】
ステップS4Aと同時にステップS4が実行される。上述したようにステップS3で押圧シリンダ21を駆動することで、押圧部22によって上下部が切断されたパイナップルPが第1の基台15から第2の基台41に移送されている。そして、ステップS4では、把持シリンダ48を駆動させると、把持部49a,49bが互いに接近して上下部が切断されたパイナップルPを位置決めする。これにより、第2の基台41の中央であって、円筒状刃物ユニット50の中心真下に位置決めする。その後、ステップS5に移行する。
【0087】
ステップS5では、刃物シリンダ51を駆動させると、
図11に示すようにシリンダロッド52の先端が下降して円筒状刃物ユニット50全体を下降させ、パイナップルPの上面から外筒刃67、果皮切り刃68、及び内筒刃69が押し込まれる。これにより、パイナップルPの外皮が果皮切り刃68で2分割され、果肉から分離、脱落するとともに、果肉は外筒刃67内に挿入され、芯部は内筒刃69内に挿入される。
【0088】
その後、刃物シリンダ51のシリンダロッド52の先端が上昇すると、円筒状刃物ユニット50全体を上昇させる。このとき、外筒刃67及び内筒刃69も上昇する。同時に、
図13及び
図14に示すように圧縮されたコイルばね59が弾性力によって移動板58、4本の外周ロッド60及び中心ロッド62を介してホール抜き押圧板61及び芯抜き押圧板63を押し戻してパイナップルPの上面を押圧し、パイナップルPを第2の基台41に密着させている。そして、ホール抜き押圧板61及び芯抜き押圧板63がパイナップルPから離間させる。その後、ステップS6に移行する。
【0089】
ステップS6では、排出シリンダ76を駆動させ、そのシリンダロッド77の先端を伸ばし、第2の基台41上に載置されているホール抜きされてその内部に芯部が分離可能とされて残ったパイナップルPを水平方向に押圧して、排出シュータ78を経て装置外に排出する。これら一連の工程を繰り返して実行することで、上下両端部が切断されていないクラウンと蔕の付いたパイナップルPを短時間で多数ホール抜きすることができる。
【0090】
このように本実施形態によれば、パイナップルPが押圧ユニット20に押圧されてパイナップルPの上部及び下部を互いに平行に設置した上部切断刃26及び下部切断刃23によりそれぞれ切断し、この上下部が切断されたパイナップルPを位置決めユニット40により所定の位置に位置決めし、所定の位置に位置決めされたパイナップルPの上方に同心軸線方向に設置された円筒状刃物ユニット50の外筒刃67及び内筒刃69を下降させてパイナップルPを円筒形に切断することにより、小型の装置でパイナップルPを円筒状に切断する際に、作業効率を格段に向上させるとともに、円筒状に切断されたパイナップルPの商品価値を高めることが可能になる。
【0091】
すなわち、上下部が切断されたパイナップルPを位置決めユニット40により所定の位置に位置決めし、パイナップルPの上方に同心軸線方向に設置された円筒状刃物ユニット50の外筒刃67及び内筒刃69を下降させてパイナップルPを円筒形に切断することで、パイナップルPの果皮と果肉、果肉と芯部とをそれぞれ正確に分離するように切断することが可能となる。
【0092】
また、本実施形態によれば、第2の基台41上で円筒状刃物ユニット50により円筒状に切断されたパイナップルPを装置外に排出する排出ユニット75をさらに設置したことにより、第1の基台15上にパイナップルPを設置すれば、パイナップルPを一連の切断作業を行った後に自動的に排出することができる。
【0093】
さらに、本実施形態によれば、第1の基台15は、鉛直方向に対して昇降可能に構成されたことにより、上部切断刃26及び下部切断刃23に対する相対高さが変化するため、パイナップルPの長さに対応して切断加工を確実に行うことができる。
【0094】
本実施形態によれば、第1の基台15は、パイナップルPの押圧方向に延びる長溝19が形成され、この長溝19の幅が調整可能に構成されたことにより、パイナップルPの蔕が長溝19内に入り込むため、パイナップルPを鉛直方向に安定して載置することが可能である。
【0095】
また、本実施形態によれば、上部切断刃26は、押圧ユニット20に対向して設置され、かつ昇降可能に構成されたことにより、パイナップルPのクラウンの切断長さを調整することが可能となる。
【0096】
さらに、本実施形態によれば、円筒状刃物ユニット50は、外筒刃67の上方に連続して設置され、上方にいくに従って拡開する逆円錐形に形成された中間板66をさらに備えていることにより、パイナップルPの果皮を容易に分離することができる。
【0097】
本実施形態によれば、円筒状刃物ユニット50の外筒刃67でパイナップルPを円筒形に切断するとき、外筒刃67とパイナップルPの果皮との間に圧縮空気を噴射する空気ホース71をさらに備えていることにより、パイナップルPの果皮を一段と容易に分離することができる。
【0098】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、押圧ユニット20、上部切断・クラウン掃出しユニット25、位置決めユニット40、円筒状刃物ユニット50、及び排出ユニット75のそれぞれの駆動源にエアシリンダを用いた例について説明したが、これに限定することなく、例えば電動モータによるボールねじの駆動で各ユニットを動作させるようにしてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、シーケンス制御を用いて一連の切断動作を行う例について説明したが、これに限定することなく、例えばローラレバーを用いて一連の動作を実行させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…パイナップル切断装置、2…作業台フレーム、3…車輪、4…天板、5a,5b…開口部、6…空気圧部品箱、7…配電盤、8…光電スイッチ、9…起動スイッチ、10…非常停止スイッチ、11…非常停止スイッチ、12…開閉扉、13…カバー、14…上下位置調整機構、15…第1の基台、16…支持板、17…支持用突起、18…L字状板、18a…長孔、19…長溝、20…押圧ユニット、21…押圧シリンダ、21a…シンンダロッド、22…押圧部、23…下部切断刃、24…開口部、25…上部切断・クラウン掃出しユニット、26…上部切断刃、27…掃出し機構、28…クラウン載置板、29…クラウンシュータ、30…クラウン掃出し板、31…回動軸、32…掃出しシリンダ、33…シリンダロッド、34…昇降機構、35…昇降ハンドル、36a,36b…ボールねじ、37a,37b…ガイドロッド、38a,38b…プーリ、38c…テンションプーリ、39…タイミングベルト、40…位置決めユニット、41…第2の基台、42…取付板、43a,43b…連結板、44…ガイドロッド、45a,45b…ラックギヤ、46…ピニオンギヤ、47…駆動板、48…把持シリンダ、48a…シリンダロッド、49a,49b…把持部、50…円筒状刃物ユニット、51…刃物シリンダ、52…シリンダロッド、53…連結部、54…連結板、55…連結棒、56…案内板、57…ガイドロッド、58…移動板、59…コイルばね、60…外周ロッド、61…ホール抜き押圧板、62…中心ロッド、63…芯抜き押圧板、64…案内ブロック、65…連結バー、66…中間板、67…外筒刃、68…果皮切り刃、69…内筒刃、70…空気接続口、71…空気ホース、72…ストッパ、75…排出ユニット、76…排出シリンダ、77…シリンダロッド、78…排出シュータ、80…制御部、P…パイナップル