(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】上半身衣類
(51)【国際特許分類】
A41C 3/12 20060101AFI20220706BHJP
A41C 3/08 20060101ALI20220706BHJP
A41C 3/10 20060101ALI20220706BHJP
A41C 3/14 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A41C3/12 D
A41C3/08
A41C3/10 A
A41C3/14 B
(21)【出願番号】P 2018207675
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】306033379
【氏名又は名称】株式会社ワコール
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【氏名又は名称】安田 亮輔
(72)【発明者】
【氏名】杉原 喜久美
(72)【発明者】
【氏名】石山 麻子
【審査官】津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-037307(JP,U)
【文献】特開平10-292209(JP,A)
【文献】特開平10-251904(JP,A)
【文献】特開2002-138307(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0223525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41C 1/00-5/00
A41B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の胸を覆う前部と、前記着用者の背中の上部を覆う後部と、を有する本体部と、
前記前部の上縁部と前記後部の上縁部とに接続された左右一対の肩ストラップ部であって、左右方向の中心側に位置する第1端縁と前記第1端縁とは反対側に位置する第2端縁とを有し、前記第2端縁が左右一対のアームホールの少なくとも一部を形成する、前記肩ストラップ部と、を備え、
前記肩ストラップ部は、前記前部の前記上縁部に接続され、前記本体部の伸長性よりも低い伸長性を有する前ストラップ部と、前記後部の前記上縁部に接続され、前記本体部の伸長性よりも低い伸長性を有する後ストラップ部と、前記前ストラップ部と前記後ストラップ部との間に形成された頂部と、を有し、
前記後ストラップ部は、前記第1端縁および前記第2端縁に沿うように設けられて上下方向に延在するサポート部を有し、
前記サポート部の下縁部は、前記第1端縁側に位置する第1下端点と、前記第2端縁側に位置する第2下端点とを含み、前記第2下端点は、前記頂部と前記アームホールの下端との間の上下方向における距離を基準として前記頂部から70~100%の領域に位置し、前記第1下端点は前記第2下端点よりも前記頂部に近く位置している、上半身衣類。
【請求項2】
前記サポート部の前記第1下端点は、前記頂部と前記アームホールの下端との間の上下方向における距離を基準として、前記第2下端点から15~35%の領域に位置する、請求項1に記載の上半身衣類。
【請求項3】
前記後ストラップ部は、前記後部の上縁部に接続された後ストラップ本体部を有し、
前記サポート部は、前記後ストラップ本体部の裏面に結合されている、請求項1または2に記載の上半身衣類。
【請求項4】
前記前ストラップ部および前記本体部の前記前部には、前記第1端縁および前記第2端縁に沿うように設けられて上下方向に延在すると共に前記前部の左右の側部に重なり合うように配置された左右一対の第2サポート部が設けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の上半身衣類。
【請求項5】
前記サポート部および前記第2サポート部が、前記後ストラップ部、前記頂部、前記前ストラップ部、および前記前部の前記側部にわたる領域に連続して設けられている、請求項4に記載の上半身衣類。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上半身衣類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されるように、伸縮性を有する生地によって形成されたハーフトップ等の上半身衣類が知られている。この衣類は、着用者のバスト周りの胴部を覆う本体部と、左右一対の肩ストラップ部と、着用者のバストを覆うカップ体とを備えている。肩ストラップ部は、着用時に着用者の両肩にそれぞれ正面から背面にかけて掛け渡され、上半身衣類の装着をサポートする。
【0003】
一方、特許文献2に記載されるように、婦人用のブラジャー等の下着に整容帯が接合された衣類が知られている。この衣類では、下着の上半分のトップに、長さ方向にのみ伸縮可能な整容帯が接合されている。肩ひもには、肩整容帯が接合されている。また、特許文献3に記載されるように、本体布の裏側に、非伸縮性または伸縮性の小さい布が裏打ちされている妊産婦用ブラジャーが知られている。この衣類では、乳房用カップ部からストラップ部を通りバック布の側下辺部に至る部分に、裏打ち布が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/191806号
【文献】特開平10-292209号公報
【文献】実開平6-37307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1に記載の衣類では、たとえば着用者のバストのサイズが大きい場合に、バストの重みで肩ストラップ部に力がかかり、生地が伸びてしまってバストを適切に引き上げられない可能性がある。その場合、着用者のバストシルエットを美しくすることができない。特許文献2,3に記載の衣類では、バストアップ効果等が考慮されているが、肩の部分に整容帯または布が取り付けられた構成が開示されるに過ぎず、着用者にとっての着心地が十分に考慮されているとは言えない。
【0006】
本発明は、バストの重みを適切に支えることができると共に、着心地の良さを得ることのできる上半身衣類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る上半身衣類は、着用者の胸を覆う前部と、着用者の背中の上部を覆う後部と、を有する本体部と、前部の上縁部と後部の上縁部とに接続された左右一対の肩ストラップ部であって、左右方向の中心側に位置する第1端縁と第1端縁とは反対側に位置する第2端縁とを有し、第2端縁が左右一対のアームホールの少なくとも一部を形成する、肩ストラップ部と、を備え、肩ストラップ部は、前部の上縁部に接続され、本体部の伸長性よりも低い伸長性を有する前ストラップ部と、後部の上縁部に接続され、本体部の伸長性よりも低い伸長性を有する後ストラップ部と、前ストラップ部と後ストラップ部との間に形成された頂部と、を有し、後ストラップ部は、第1端縁および第2端縁に沿うように設けられて上下方向に延在するサポート部を有し、サポート部の下縁部は、第1端縁側に位置する第1下端点と、第2端縁側に位置する第2下端点とを含み、第2下端点は、頂部とアームホールの下端との間の上下方向における距離を基準として頂部から70~100%の領域に位置し、第1下端点は第2下端点よりも頂部に近く位置している。
【0008】
この上半身衣類によれば、前ストラップ部と後ストラップ部において、本体部よりも伸長性が低くなっている。前ストラップ部と後ストラップ部の伸長性が低いことで、バストの重みで肩ストラップ部に力がかかった場合でも、生地が伸びてしまうことを防ぐことができる。よって、肩ストラップ部と本体部の前部との協働により、バストの重みを適切に支えることができる。ここで、後ストラップ部のサポート部は、上下方向に延びており、第2端縁側に位置する第2下端点は、頂部とアームホールの下端との間の上下方向における距離を基準として、頂部から70~100%の領域に位置する。サポート部の下縁部(第2下端点)を、アームホールの下端に相当する位置または当該位置よりも少し上に位置させることで、アームホールの周縁部に力がかかり易くなり、上半身衣類が着用者の体により密着する。一方で、サポート部の下縁部がアームホールの下端までに終わっており、当該下端より下には延在しないので、本体部の後部にまでサポート部の影響は及ばない。そして、左右方向の中心側すなわち第1端縁側に位置する第1下端点が、第2下端点よりも頂部に近く位置していることで、着用された際、着用者の背中の中心部分の伸びが抑制されない。以上の作用によって、着心地の良さを得ることができる。
【0009】
サポート部の第1下端点は、頂部とアームホールの下端との間の上下方向における距離を基準として、第2下端点から15~35%の領域に位置してもよい。この構成によれば、サポート部による支持効果を得つつも、上記した背中に対する力がより好適に低減される。
【0010】
後ストラップ部は、後部の上縁部に接続された後ストラップ本体部を有し、サポート部は、後ストラップ本体部の裏面に結合されてもよい。この構成によれば、サポート部は、後ストラップ本体部とは別体なので、後ストラップ部における伸長性の調整が容易である。
【0011】
前ストラップ部および本体部の前部には、第1端縁および第2端縁に沿うように設けられて上下方向に延在すると共に前部の左右の側部に重なり合うように配置された左右一対の第2サポート部が設けられてもよい。この構成によれば、前ストラップ部および本体部の左右の側部に第2サポート部が設けられるので、着用者のバストを側方から支え、バストが脇へ流れてしまうことを防ぐことができる。
【0012】
サポート部および第2サポート部が、後ストラップ部、頂部、前ストラップ部、および前部の側部にわたる領域に連続して設けられてもよい。この構成によれば、前ストラップ部および本体部の左右の側部に設けられた第2サポート部と、後ストラップ部に設けられたサポート部とが連動する。これらのサポート部および第2サポート部の協働により、バストの引き上げ効果が高められる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、バストの重みを適切に支えることができ、さらには着心地の良さを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る上半身衣類を示す正面図である。
【
図3】
図1に示した上半身衣類を裏返して示す正面図である。
【
図4】
図1に示した上半身衣類を裏返して示す背面図である。
【
図7】肩ストラップ部に沿って上半身衣類を切断した断面図である。
【
図8】
図8(a)は上半身衣類の着用状態を斜め上方から見て示す図であり、
図8(b)は上半身衣類の着用状態を斜め後方から見て示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の説明では、便宜上、上半身衣類の着用状態を想定して「上」「下」等の用語を使用する。
【0016】
まず、
図1および
図2を参照して、上半身衣類1の基本構成について説明する。上半身衣類1は、たとえばハーフトップとして構成されている。ハーフトップは、タンクトップと比較して丈が短く、着用者の腹部および腰部が露出するようになっている。上半身衣類1は、着用者のバスト周りの胴部を覆うように構成された本体部2と、左右一対の肩ストラップ部3,3と、着用者のバスト(胸)を覆う一体パッド4とを備えている。本明細書において、「胸」は、着用者の上半身における前側の上部の広い範囲を意味し、「バスト」は、胸のうち、着用者の乳房の部分を意味する。
【0017】
本体部2は、伸縮性を有する生地であればよく、たとえば端始末不要の生地によって形成されている。このような生地としては、緯編地や経編地が用いられ、たとえばスムース、フライス、天竺、トリコット、ラッセルなどが挙げられる。本体部2は、着用者の胸を覆う前部5と、着用者の背中の上部を覆う後部6とを有する。前部5は、上半身衣類1を平置きした場合に前面に位置する部分であり、後部6は、上半身衣類1を平置きした場合に後面に位置する部分である。前部5と後部6とは、本体部2の両脇で連続し、着用者の胸周りを包囲するように筒状をなしている。
図1および2に示されるように、本実施形態では、前部5の大部分をなす生地M1の横方向の端部M1a,M1aと、と後部6の大部分をなす生地M2の横方向の端部M2a,M2aとが、重なり合って接着されている。これらの接着部は、たとえば後部6側に形成されるが、本体部2は、このような構成に限られない。本体部2は、2箇所ではなく1箇所のみの接着部を有してもよいし、接着部を有さずに筒状の連続した生地から構成されてもよい。接着部に替えて縫着部が形成されてもよい。
【0018】
前部5の上縁部5aおよび後部6の上縁部6aは、上半身衣類1の襟刳りに相当し、いずれも下方に向かって緩やかな凹状をなしている。前部5の下縁部5bおよび後部6の下縁部6bは、上半身衣類1の裾に相当する。前部5の下縁部5bは、横方向に延びる直線状となっており、後部6の下縁部6bは、前部5の下縁部5bよりもやや上方の位置で横方向に延びるように湾曲している。なお、前部5の下縁部5bが横方向に延びるように湾曲していてもよく、後部6の下縁部6bが、横方向に延びる直線状であってもよい。また、下縁部5b、6bの直線状部、湾曲部が波型となっていてもよい。
【0019】
前部5は、左右の側部15,15と、これらの側部15,15の間に配置された前中心部17とを含む。後部6は、左右の側部16,16を含む。前部5の側部15の側上部15a,15aおよび後部6の側部16の側上部16a,16aは、上半身衣類1の袖刳りに相当し、いずれも中心側に向かって緩やかな凹状をなしている。前部5の側部15の側下部15b,15bおよび後部6の側部16の側下部16b,16bは、上半身衣類1の脇裾に相当し、下方に向かって本体部2の身幅が小さくなるように垂下する直線状をなしている。
【0020】
肩ストラップ部3は、前部5の上縁部5aと後部6の上縁部6aとを繋ぐように帯状に設けられている。肩ストラップ部3は、たとえば本体部2と同じ端始末不要の伸縮性を有する生地によって、本体部2と一体に形成されている。肩ストラップ部3は、着用時に着用者の両肩にそれぞれ正面から背面にかけて掛け渡され、上半身衣類1の装着をサポートする。
【0021】
肩ストラップ部3は、前部5の上縁部5aに接続された前ストラップ部21と、後部6の上縁部6aに接続された後ストラップ部22と、前ストラップ部21と後ストラップ部22との間に形成された頂部26とを有する。前ストラップ部21は、本体部2の前部5と一体に形成され、前部5から頂部26に向けて徐々に狭くなる幅を有する前ストラップ本体部23を含む。後ストラップ部22は、本体部2の後部6と一体に形成され、後部6から頂部26に向けて徐々に狭くなるが頂部26付近では一定となる幅を有する後ストラップ本体部25を含む。前ストラップ本体部23の上端部と後ストラップ本体部25の上端部とが重なり合って接着または縫着によって結合されてもよい。その結合部が頂部26を形成してもよい。前ストラップ本体部23と後ストラップ本体部25とは、一体の生地からなり、頂部26を介して切れ目なく連続していてもよい。
【0022】
前ストラップ部21は、左右方向の中心側に位置する前内端縁(第1端縁)21aと、前内端縁21aとは反対側に位置する前外端縁(第2端縁)21bとを含む。後ストラップ部22は、左右方向の中心側に位置する後内端縁(第1端縁)22aと、後内端縁22aとは反対側に位置する後外端縁(第2端縁)22bとを含む。前外端縁21b、後外端縁22b、前部5の側上部15a、および後部6の側上部16aによって、左右一対のアームホールHが形成されている。すなわち、前ストラップ部21の前外端縁21bと後ストラップ部22の後外端縁22bとが、左右一対のアームホールHの少なくとも一部を形成する。
【0023】
一方、一体パッド4は、バストの整形や着用者の乳頭が透けてしまうことの防止などを目的として前部5に配置されている。一体パッド4は、左右一対のパッド11,11と、パッド11,11を前中心側で連結する連結部12とを有している。パッド11,11および連結部12は、たとえばウレタンなどの弾性材料を用いたモールド成型による一体成型品となっている。一体パッド4、パッド11は、一体カップ、カップと称してもよい。前部5は、各パッド11の中央部分(もとも突出した部分)において、バストトップ部5cを有する。このバストトップ部5cは、着用者のバストトップに対応する位置に形成され、着用者のバストトップを覆う。
【0024】
パッド11は、全体として着用者のバスト形状に対応する椀形状をなしており、正面視においては円に近い形状を有している。連結部12は、左右のパッド11,11に対して上下にくびれた形状をなしている。一体パッド4のパッド11,11および連結部12の形状は、一体パッド4が着用者のバストにフィットするように、適宜に決定されている。なお、一体パッド4は、一体成型品である構成に限られない。連結部12が省略され、独立した2つのパッド11,11が用いられてもよい。
【0025】
続いて、
図1および
図3を参照して、上半身衣類1が前部5の裏面側に備える構成について詳細に説明する。
図3は、上半身衣類1を裏返して示す正面図である。
図3に示されるように、上半身衣類1は、前部5の裏側に配置されたパッド受け布13を備える。パッド受け布13は、前部5の裏面に結合されている。このパッド受け布13の結合により、前部5の裏側には、一体パッド4を収容する空間であるパッド収容部Sが形成されている。すなわち、本体部2の前部5とパッド受け布13との間に、パッド収容部Sが形成されている。パッド収容部Sの形成にあたり、パッド受け布13との結合後に前部5およびパッド受け布13への熱成型加工が施されてもよい。これにより、前部5において生地の立体感を造形でき、着用者のバスト形状および一体パッド4の膨らみに対応したパッド収容部Sを構成できる。この場合、前部5およびパッド受け布13の伸縮性、伸長回復性などの素材特性により、前部5およびパッド受け布13のそれぞれに熱成型加工を施すか否かを選定することが好ましい。これにより、前部5の着圧が適切に調整され、バストの安定感が高められる。
【0026】
パッド受け布13は、たとえば本体部2と同じ端始末不要の伸縮性を有する生地によって形成されている。パッド受け布13の上縁部13aは、前部5の上縁部5aの湾曲形状に沿うように、下方に向かって緩やかな凹状をなしている。パッド受け布13の上縁部13aの両脇部分には、肩ストラップ部3の前ストラップ本体部23と同程度の幅をもって上方に張り出す延長部14がそれぞれ設けられている。延長部14は、前ストラップ本体部23の裏側に配置され、肩ストラップ部3の頂部26に達している。延長部14は、肩ストラップ部3の前ストラップ本体部23に重ね合され、前ストラップ本体部23の伸びが過剰になることを抑制する。すなわち、延長部14は、前ストラップ本体部23の伸長性を低減させる。パッド受け布13の下縁部13bは、前部5の下縁部5bの形状に対応した直線形状をなしている。なお、パッド受け布13の下縁部13bは、一体パッド4の下縁部分の形状に対応した湾曲形状をなしてもよい。
【0027】
上記の構成により、前ストラップ部21は、本体部2よりも低い伸長性を有する。伸長性は、ある生地に対してある方向に所定の荷重をかけた際に、元の長さに対してその方向に生地が伸びる割合、すなわち伸長率によって測定され得る。たとえば、衣類のある部分が他の部分よりも低い伸長性を有するということは、上記のように測定された、ある部分の伸長率が他の部分の伸長率よりも小さいことを意味する。
【0028】
パッド受け布13は、本体部2の前部5の外形に略等しい外形を有する。パッド受け布13の大きさは、本体部2を平置きした場合の前部5の大きさと略同じか、前部5の大きさよりも僅かに小さい。
【0029】
パッド受け布13は、左右の側部18,18と、これらの側部18,18の間に配置された中央部19と、上記の延長部14,14とを含む。パッド受け布13の側部18の側上部18a,18aは、前部5の左右の側上部15a,15aの湾曲形状に沿った湾曲形状をなしている。また、パッド受け布13の側部18の側下部18b,18bは、前部5の左右の側下部15b,15bに沿った略直線状をなしている。
【0030】
本実施形態では、パッド受け布13は、本体部2の前部5の裏面に接着されている。パッド受け布13の延長部14は、前ストラップ本体部23の裏面に接着されている。より詳細には、パッド受け布13の表面13e側における周縁部に接着剤ADが塗布され、パッド受け布13の表面13eが前部5の裏面に貼り合わされている。これにより、
図3に示されるように、前部5とパッド受け布13との間には、パッド収容部Sの周囲の領域において接着部Aが形成されている。接着部Aは、パッド収容部Sよりも上(すなわち上縁部13a側)に形成された上接着領域Aaと、パッド収容部Sよりも下(すなわち下縁部13b側)に形成された下接着領域Abと、パッド収容部Sの左右の両側に形成された一対の側接着領域Ac,Acと、上接着領域Aaおよび側接着領域Ac,Acに連続するように延長部14の部分に形成された左右一対の延長接着領域Adとを含む。接着部Aは、所望のパッド収容部Sの大きさ、形状、および位置に対応して、パッド収容部Sを除く領域に形成される。
【0031】
このように、接着部Aは、パッド受け布13の周縁部に形成されている。前部5にパッド受け布13を結合させることにより、パッド収容部Sを形成するとともに、接着部Aが前部5の伸長性を低減させている。言い換えれば、前部5の強度を高めている。
【0032】
接着部Aの下接着領域Abとパッド収容部Sとの間には、左右の2箇所において下方に膨れるように湾曲するバージスライン(登録商標)Lが形成されている。各バージスラインLは、パッド11の下縁部に対応する湾曲形状をなしている。なお、バージスラインとは、一般的に、着用者のバストの膨らみの下部境界ラインを意味する。本明細書においては、バージスラインは、そのバストの膨らみの下部境界ラインに対応する、上半身衣類の位置(線状の部分)を意味する。なお、バージスラインは、サイズ毎に様々な着用者に適合し易い形状を設定している。
【0033】
パッド受け布13の中央部19には、一体パッド4におけるパッド11、11の連結方向(すなわち、上半身衣類1を正面から見た場合の左右方向)に延びる開口部20が形成されている。開口部20は、パッド収容部Sに対して一体パッド4を着脱するための部分である。開口部20は、たとえばパッド受け布13に直線状の切り込みを入れることによりスリット状に形成されている。パッド受け布13に伸縮性を有する生地を用いている場合には、直線状の切り込みを入れることで、上下端が尖った略楕円形状の開口部20が形成される。
【0034】
開口部20は、接着部Aには重ならない領域に形成される。開口部20は、パッド収容部S内に配置された一体パッド4における連結部12の縁部と重ならない位置に設けられている。開口部20は、たとえば、前中心部分において一体パッド4の連結部12の上縁部よりも上方に位置している。したがって、開口部20からはパッド収容部S内の一体パッド4自体が露出せず、前部5の裏側の生地のみが開口部20を通して視認し得る状態となっている。なお、開口部20の位置、形状、大きさは、適宜に変更されてもよい。たとえば、一体パッド4が別個の2つのパッド11,11を有する場合には、これらのパッド11,11を着脱するための2つの開口部が形成されてもよい。
【0035】
続いて、
図3および
図5を参照して、上半身衣類1が前部5の裏面側に備える構成について、更に詳細に説明する。
図5は、
図1のV-V線に沿った断面図である。
図3および
図5に示されるように、パッド受け布13の裏面13fには、左右一対の脇サポート部(第2サポート部)30,30が縫着されている。たとえば、脇サポート部30,30の周縁部が全体にわたって縫着されている。脇サポート部30,30の周縁部の一部分(一部の辺等)は縫着されておらず、周縁部の他の部分(他の辺等)が縫着されていてもよい。脇サポート部30は、たとえば本体部2と同じ端始末不要の伸縮性を有する生地(布)によって形成されている。脇サポート部30を形成する生地は、本体部2と同様であってもよく、本体部2を形成する生地と異なってもよい。脇サポート部30を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)は、本体部2を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)と同じであってもよいし、本体部2を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)より低くてもよい。各脇サポート部30は、パッド受け布13の側部18を覆うように設けられている。より詳細には、各脇サポート部30は、パッド受け布13の側部18と延長部14とに重なり合うように設けられている。
【0036】
脇サポート部30は、パッド受け布13の側部18に重なり合う脇サポート本体部31と、パッド受け布13の延長部14に重なり合う脇サポート延長部32とを有する。各脇サポート本体部31は、パッド受け布13の下縁部13bに略一致する直線状の下辺31eと、パッド受け布13の側下部18bに略一致する直線状の下側辺31fと、パッド受け布13の側上部18aに略一致する湾曲形状の上側辺31gとを含む。脇サポート本体部31に連続して一体に形成された脇サポート延長部32は、前内端縁21aおよび前外端縁21bに沿うように設けられており、所定の幅を有する。脇サポート延長部32は、上下方向に延在しており、その上端部は肩ストラップ部3の頂部26に達している。脇サポート延長部32は、延長部14の幅に略一致する幅を有する。なお、パッド受け布の各部に略一致する脇サポート部の各辺は、パッド受け布の各辺のやや内側であることが好ましい。
【0037】
各脇サポート部30は、本体部2の前部5の各側部15に重なり合うように配置されている。各脇サポート部30は、パッド収容部Sに相当する領域と、側接着領域Acに相当する領域との両方に設けられている。これにより、脇サポート部30は、着用者のバストの外側部を覆うように構成されている。すなわち、前ストラップ部21および本体部2の前部5には、前内端縁21aおよび前外端縁21bに沿うように設けられて上下方向に延在し、さらに前部5の左右の側部15に重なり合うように配置された左右一対の脇サポート部30が設けられている。本明細書において、「重なり合う」とは、生地と生地とが対面して直接接触することができる状態と、生地と生地とが、他の別の1又は複数の生地および/または部材を介して対面する状態(したがってこれらの生地は接触しない)と、の両方を含む意である。言い換えれば、「重なり合う」とは、生地の厚み方向から見て(たとえば前部5に対しては正面視において)、同じ領域に設けられていることを意味する。
【0038】
図3および
図5に示されるように、各脇サポート本体部31は、パッド収容部Sに重なり合うパッド重なり部31aと、パッド重なり部31aの左右の外側に配置されて側接着領域Acに重なり合う側端部31bとを含む。脇サポート部30は、パッド収容部S上で上下方向に延在する(上縁部13aと下縁部13bの間に延在する)左右一対の前中心側端部31cを含む。
図3に示されるように、脇サポート本体部31の下側辺31fおよび上側辺31gとは反対側の端部である前中心側端部31cは、左右の外方に向かって緩やかな凹状をなしている。前中心側端部31cは、上記したバージスラインLの左右の下端部Laにそれぞれ交差している。ここで、バージスラインLの下端部Laとは、バージスラインLの中でもっとも下に位置する点のみを意味すると解されるべきではなく、その点を含む半径1cm程度の領域を意味すると解されるべきである。
【0039】
図3および
図5に示されるように、脇サポート部30の前中心側端部31cは、前部5のバストトップ部5cよりも外側を通っている。
【0040】
続いて、
図2、
図4、
図6および
図7を参照して、上半身衣類1が肩ストラップ部3の裏面側に備える構成について説明する。
図2は、
図1に示した上半身衣類の背面図である。
図4は、
図1に示した上半身衣類を裏返して示す背面図である。
図6は、
図4の一部拡大図である。
図7は、肩ストラップ部に沿って上半身衣類を切断した断面図である。
図2および
図4に示されるように、後ストラップ本体部25の裏面には、後内端縁22aおよび後外端縁22bに沿うように設けられて所定の幅を有する引上げサポート部(サポート部)24が接着されている。引上げサポート部24は、上下方向に延在しており、その上縁部24aは肩ストラップ部3の頂部26に達している。引上げサポート部24の下縁部24bは、後ストラップ本体部25の下端部すなわち後部6の上縁部6a付近に位置している。引上げサポート部24は、肩ストラップ部3の後ストラップ本体部25に重ね合され、後ストラップ本体部25の伸びが過剰になることを抑制する。すなわち、引上げサポート部24は、後ストラップ本体部25の伸長性を低減させる。
【0041】
上記の構成により、後ストラップ部22は、本体部2よりも低い伸長性を有する。引上げサポート部24は、たとえば本体部2と同じ端始末不要の伸縮性を有する生地(布)によって形成されている。引上げサポート部24を形成する生地は、本体部2と同様であってもよく、本体部2を形成する生地と異なってもよい。引上げサポート部24を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)は、本体部2を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)と同じであってもよいし、本体部2を形成する生地の伸縮性(又は伸長性)より低くてもよい。引上げサポート部24についてより詳細に説明する。
図6に示されるように、引上げサポート部24は、後内端縁22aに沿って延びる直線状の内側縁(第1側縁)24cと、後外端縁22bに沿って延びる直線状の外側縁(第2側縁)24dとを含む。引上げサポート部24は、上縁部24a、下縁部24b、内側縁24c、および外側縁24dによって囲まれた所定の面積を有する。引上げサポート部24の面積は、たとえば、後ストラップ本体部25の面積よりも小さい。内側縁24cが後内端縁22aに重なってもよく、外側縁24dが後外端縁22bに重なってもよいが、内側縁24cおよび外側縁24dは、後内端縁22aおよび後外端縁22bから、それぞれ僅かに離れていてもよい。内側縁24cは後内端縁22aに平行に延びてもよく、外側縁24dは後外端縁22bに平行に延びてもよい。また、外側縁24dが、後外端縁22bに平行に延び、さらにその下端においてアームホールHに沿って湾曲または折曲してもよい。
【0042】
引上げサポート部24の下縁部24bは、後内端縁22a側に位置する内側下端点(第1下端点)24eと、後外端縁22b側に位置する外側下端点(第2下端点)24fと、これらの内側下端点24eおよび外側下端点24fを接続して下方に僅かに膨れるように湾曲する湾曲部24gとを含む。引上げサポート部24の下縁部24bは、アームホールHの下端Hbよりも上方に位置してもよいし、上下方向においてアームホールHの下端Hbに揃うように位置してもよい。より詳細には、外側下端点24fは、頂部26とアームホールHの下端Hbとの間の上下方向における距離Dtを基準として、頂部26から70~100%の領域に位置している。すなわち、頂部26と外側下端点24fとの間の上下方向における距離D2は、距離Dtの70~100%の範囲内に設定されている。距離D2は、距離Dtの75~100%の範囲内であってもよく、80~100%の範囲内であってもよい。距離D2は、距離Dtの70~95%の範囲内であってもよく、70~90%の範囲内であってもよい。距離D2は、距離Dtの80~90%の範囲内であってもよい。外側下端点24fの位置(高さ)は、引上げサポート部24に求められるアームホールH周りのパワーによって、適宜に決定され得る。なお、距離Dtおよび距離D2は、頂部26を起点として定義されるが、当該起点は、上半身衣類1を平置きした状態における頂部26上の任意の点であってよい。たとえば、
図6に示される例では、その起点は、上半身衣類1を平置きした状態における頂部26上の左右方向の中央に位置する。しかし、その起点が、上半身衣類1を平置きした状態における頂部26上の左端(後中心側端)または右端(アームホール側端)に位置してもよい。なお、上半身衣類1を平置きした状態で、頂部26が左右方向線に一致する場合(高さ一定の場合)は、頂部26上のどの点を採っても、距離Dtおよび距離D2は変化しない。
【0043】
さらに、引上げサポート部24では、内側下端点24eは、外側下端点24fよりも頂部26に近く位置している。すなわち、内側下端点24eは、外側下端点24fよりも上方に位置している。内側下端点24eは、上記距離Dtを基準として、外側下端点24fから15~35%の領域に位置している。すなわち、内側下端点24eと外側下端点24fとの間の上下方向における距離D3は、距離Dtの15~35%の範囲内に設定されている。距離D3は、距離Dtの20~35%の範囲内であってもよく、25~35%の範囲内であってもよい。距離D3は、距離Dtの15~30%の範囲内であってもよく、15~25%の範囲内であってもよい。距離D2は、距離Dtの20~30%の範囲内であってもよい。内側下端点24eの位置(高さ)は、引上げサポート部24に求められる後部6側のパワーによって、適宜に決定され得る。
【0044】
図7に示されるように、パッド受け布13の延長部14および脇サポート部30の脇サポート延長部32と、引上げサポート部24とは、頂部26において重ね合わされ、前ストラップ本体部23および後ストラップ本体部25に対して一体に縫合されている。これにより、頂部26では、生地が5重に重なった構造が形成されている(
図7参照)。そして、上半身衣類1では、引上げサポート部24および脇サポート部30が、後ストラップ部22、頂部26、前ストラップ部21、および前部5の側部15にわたる領域に連続して設けられている。
【0045】
続いて、上半身衣類1の製造方法について説明する。まず、パッド受け布13上の左右の側部18の位置に、左右一対の脇サポート部30を配置し、パッド受け布13に脇サポート部30を縫着する(縫着工程)。次に、脇サポート部30が縫着されたパッド受け布13の周縁部に、接着剤を塗布する(塗布工程)。この際、パッド受け布13の表面に、接着剤を塗布する。接着剤としては、たとえば、熱可塑性の接着剤等が用いられ得る。ただし、接着剤の種類は特に限定されない。接着剤は、接着部Aに対応する領域、すなわちパッド収容部Sが予定される領域を除く領域に塗布される。一方、引上げサポート部24を用意し、引上げサポート部24の表面に、パッド受け布13の場合と同様にして接着剤を塗布する。
【0046】
次に、前部5の大部分をなす生地M1(前ストラップ本体部23を含む)の裏面にパッド受け布13を接着し、後部6の大部分をなす生地M2の後ストラップ本体部25の裏面に引上げサポート部24を接着する(接着工程)。この接着工程では、接着剤の種類や生地M1,M2の種類等に応じて、公知の方法から適切な方法が選択され得る。
【0047】
そして、接着工程の後、前部5の大部分をなす生地M1の横方向の端部M1a,M1aと、後部6の大部分をなす生地M2の横方向の端部M2a,M2aとを重ねて接着する。その後、パッド受け布13の延長部14および脇サポート部30の脇サポート延長部32と、引上げサポート部24とを、頂部26において重ね合せ、前ストラップ本体部23および後ストラップ本体部25に対して一体に縫着する(本体部形成工程)。そして、一体パッド4を、開口部20を通じてパッド収容部Sに収容し(パッド収容工程)、本体部2を表向きに戻す。これら一連の工程を行った結果、後ストラップ部22に引上げサポート部24が結合され、前ストラップ部21および前部5にパッド受け布13および脇サポート部30が結合された構成を備える上半身衣類1を得る。
【0048】
本実施形態の上半身衣類1によれば、前ストラップ部21と後ストラップ部22において、本体部2よりも伸長性が低くなっている。前ストラップ部21と後ストラップ部22の伸長性が低いことで、バストの重みで肩ストラップ部3に力がかかった場合でも、生地が伸びてしまうことを防ぐことができる。
図8(a)に示されるように、前ストラップ部21および後ストラップ部22の伸びが抑制されている。なお、
図8(a)および
図8(b)において、矢印の長さは、伸長性の高さ即ち伸び易さを表している。すなわち、矢印が長いほど、その部分の伸長性は高い。矢印が長いほど、その部分が伸び易い。
図8(a)および
図8(b)に示されるように、前ストラップ部21および後ストラップ部22の延在方向の各伸長性は、後ストラップ部22の下方における後部6の上下方向の伸長性よりも低い。よって、肩ストラップ部3と本体部2の前部5との協働により、バストの重みを適切に支えることができる。後ストラップ部22の引上げサポート部24は、上下方向に延びており、後外端縁22b側に位置する外側下端点24fは、頂部26とアームホールHの下端Hbとの間の上下方向における距離Dtを基準として、頂部26から70~100%の領域に位置する。引上げサポート部24の下縁部24b(外側下端点24f)を、アームホールHの下端Hbに相当する位置または当該位置よりも少し上に位置させることで、
図8(b)に示されるように、アームホールHの周縁部に力がかかり易くなり、上半身衣類1が着用者の体により密着する。一方で、引上げサポート部24の下縁部24bがアームホールHの下端Hbまでに終わっており、当該下端Hbより下には延在しないので、本体部2の後部6にまで引上げサポート部24の影響は及ばない。そして、左右方向の中心側すなわち後内端縁22a側に位置する内側下端点24eが、外側下端点24fよりも頂部26に近く位置していることで、着用された際、着用者の背中の中心部分の伸びが抑制されない(
図8(b)の左右方向の矢印参照)。以上の作用によって、着心地の良さを得ることができる。さらに上半身衣類1では、引上げサポート部24において、アームホールH側とネック側とにおいて形状および長さを変化させることで、伸び止め効果がグラデーションになり、パワー分散が実現され、着装感における違和感が緩和されている。
【0049】
内側下端点24eが、距離Dtを基準として、外側下端点24fから15~35%の領域に位置しているので、引上げサポート部24による支持効果を得つつも、上記した背中に対する力がより好適に低減される。
【0050】
引上げサポート部24が、後ストラップ本体部25の裏面に結合されており、引上げサポート部24が、後ストラップ本体部25とは別体なので、後ストラップ部22における伸長性の調整が容易である。
【0051】
前ストラップ部21および本体部2の左右の側部15に脇サポート部30が設けられるので、着用者のバストを側方から支え、バストが脇へ流れてしまうことを防ぐことができる。
【0052】
前ストラップ部21および本体部2の左右の側部15に設けられた脇サポート部30と、後ストラップ部22に設けられた引上げサポート部24とが連動する。これらの引上げサポート部24および脇サポート部30の協働により、バストの引き上げ効果が高められる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られない。たとえば、引上げサポート部24は、接着に限られず、縫着により後ストラップ本体部25に結合されてもよい。脇サポート部30(脇サポート本体部31および脇サポート延長部32)は、縫着に限られず、接着により前部5またはパッド受け布13に結合されてもよい。引上げサポート部24および脇サポート部30は、何らかの方法で本体部に結合されていればよい。
【0054】
引上げサポート部24の側辺である内側縁24cおよび外側縁24dは、直線状に限られない。引上げサポート部24の内側縁24cおよび外側縁24dは、たとえば波線状であってもよい。内側縁24cおよび外側縁24dのいずれか一方が直線状であり、いずれか他方が波線状であってもよい。内側縁24cが、後内端縁22aに平行でなくてもよい。外側縁24dが、後外端縁22bに平行でなくてもよい。内側縁24cおよび/または外側縁24dが、上下方向のいずれかの位置に、1つ又は複数の凹部を有してもよい。内側下端点24eおよび外側下端点24fを接続する部分(引上げサポート部24の底辺部)は、上記実施形態のような湾曲部24gに限られず、直線状であってもよいし、凹状であってもよいし、波線状であってもよい。
【0055】
引上げサポート部24および/または脇サポート部30が、本体部に対する編構造の切替え(パワー切替え)によって形成されてもよい。すなわち、引上げサポート部24および/または脇サポート部30は、本体部と別体である場合に限られず、本体部内に形成されてもよい。引上げサポート部24および/または脇サポート部30が、本体部に対する抜蝕加工または樹脂プリントによって形成されてもよい。
【0056】
肩ストラップ部3の構成も上記実施形態に限られない。例えば襟刳りの端始末をパイピングとし、袖刳りの端始末をパイピングとして、肩ストラップ部3を構成してもよい。上半身衣類1の裾に相当する前部5の下縁部5b及び後部6の下縁部6bは、湾曲状や波線状であってもよい。また、袖刳り及び襟刳りは、波線状であってもよい。
【0057】
脇サポート部30が省略されてもよい。前ストラップ部21が、強度の高い1枚の生地から形成されてもよい。パッド受け布13が省略されてもよく、一体パッド4が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…上半身衣類、2…本体部、3…肩ストラップ部、4…一体パッド、5…前部、6…後部、11…パッド、13…パッド受け布、15…(前部の)側部、16…(後部の)側部、18…(パッド受け布の)側部、21…前ストラップ部、22…後ストラップ部、23…前ストラップ本体部、24…引上げサポート部(サポート部)、24a…上縁部、24b…下縁部、24e…内側下端点(第1下端点)、24f…外側下端点(第2下端点)、25…後ストラップ本体部、30…脇サポート部(第2サポート部)、31…脇サポート本体部、31c…前中心側端部、32…脇サポート延長部、H…アームホール、Hb…下端。