IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOTO株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-浴室システム 図1
  • 特許-浴室システム 図2
  • 特許-浴室システム 図3
  • 特許-浴室システム 図4
  • 特許-浴室システム 図5
  • 特許-浴室システム 図6
  • 特許-浴室システム 図7
  • 特許-浴室システム 図8
  • 特許-浴室システム 図9
  • 特許-浴室システム 図10
  • 特許-浴室システム 図11
  • 特許-浴室システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】浴室システム
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20220706BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A47K4/00
A47K3/00 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018044649
(22)【出願日】2018-03-12
(65)【公開番号】P2019154724
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-01-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】下田 和博
(72)【発明者】
【氏名】福冨 達也
(72)【発明者】
【氏名】加納 廣人
(72)【発明者】
【氏名】奥 航太
【審査官】池谷 香次郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-216068(JP,A)
【文献】特開2009-213875(JP,A)
【文献】特開2008-168002(JP,A)
【文献】特開2009-172079(JP,A)
【文献】米国特許第04383341(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00-4/00
A61K 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を吐水することで浴室の床及び壁の少なくとも一部を洗浄する浴室洗浄機器と、
洗浄水を吐水することで前記浴室内に設けられた浴槽を洗浄する浴槽洗浄機器と、
前記浴室洗浄機器と前記浴槽洗浄機器とを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記浴室洗浄機器の吐水動作と前記浴槽洗浄機器の吐水動作とを連動させる連動モードを有し、
前記連動モードは、前記浴室洗浄機器及び前記浴槽洗浄機器の一方の吐水が行われる時間帯の中で、終了時刻に最も近い時間帯の吐水動作である最後の吐水動作よりも前の吐水動作において、前記浴室洗浄機器及び前記浴槽洗浄機器の一方のみに吐水させ、前記最後の吐水動作において、前記浴室洗浄機器と前記浴槽洗浄機器との両方に吐水させることを特徴とする浴室システム。
【請求項2】
前記連動モードは、前記一方の前記最後の吐水動作に比べて、前記浴室洗浄機器及び前記浴槽洗浄機器の他方の吐水動作を遅く終了させ、
前記連動モードの最後において、前記他方は、除菌作用を有する機能水を吐水することを特徴とする請求項1記載の浴室システム。
【請求項3】
前記連動モードは、前記一方の前記最後の吐水動作が終了する前に、前記他方に前記機能水の吐水を開始させることを特徴とする請求項2記載の浴室システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室には、浴室の床(洗い場の床等)や壁を洗浄する洗浄機器や、浴室内に設けられた浴槽を洗浄する洗浄機器などを有する浴室システムが設けられることがある。例えば、特許文献1には、浴室の洗い場床に洗浄水を吐水して、洗い場近傍の汚れを洗浄する浴室洗浄装置が開示されている。また、特許文献2には、浴槽内に設けられたノズルから洗剤液や湯又は水を噴射することにより浴槽洗浄を行う浴槽自動洗浄システムが開示されている。また、特許文献3には、浴槽と洗い場とに洗剤や水を散布して、浴槽と洗い場とを洗浄する洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4035662号公報
【文献】特開2009-168294号公報
【文献】特開2010-119530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浴室は、洗い場床等に存在する水や浴槽内の水を、外部(下水等)へ排出する排水路を有する。一般に、この排水路には、排水トラップが設けられている。排水トラップは、浴槽の排水口と、洗い場の排水口と、外部に連通する排水管と、に接続されている。洗い場床に存在する水及び浴槽内の水は、排水口から排水トラップに流れ込み、排水トラップから排水管を介して外部へ排出される。排水トラップは、内部に封水を貯留することにより、排水管からの臭気や害虫などが浴室側に向かうことを抑制する。
【0005】
また、入浴後の浴室の床、壁及び浴槽には、人体からの皮脂、垢、髪の毛などの汚れが存在する。そのため、洗浄機器から洗浄水を吐水することにより、床、壁、浴槽等の洗浄を行うと、洗浄水とともに排水トラップに多くの汚れが流れ込む。この場合、排水トラップに流れ込む洗浄水の流量が少ないと、排水トラップに汚れが留まってしまう恐れがある。
【0006】
例えば、特許文献3に記載の洗浄装置においては、洗い場へ吐水される洗浄水の流量、および、浴槽へ吐水される洗浄水の流量は、それぞれ一定であると考えられる。また、洗い場への吐水と、浴槽への吐水とは、同時に行われていない。したがって、洗い場や浴槽のすすぎ中においては、排水トラップには常に一定流量の洗浄水が流入すると考えられる。このような場合には、皮脂、垢、髪の毛等の汚れは、排水トラップ内の封水に浮遊したままとなりやすく、洗浄後において封水に汚れが残ってしまう恐れがある。
また、特許文献3のような構成において、洗い場や浴槽のすすぎ中に、洗い場又は浴槽へ吐水される洗浄水の流量を増やす方法も考えられる。しかしながら、この方法では、洗浄水の量が多くなり、節水の観点からは好ましくない。
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、排水トラップ内の汚れを抑制することができる浴室システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、洗浄水を吐水することで浴室の床及び壁の少なくとも一部を洗浄する浴室洗浄機器と、洗浄水を吐水することで前記浴室内に設けられた浴槽を洗浄する浴槽洗浄機器と、前記浴室洗浄機器と前記浴槽洗浄機器とを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記浴室洗浄機器の吐水動作と前記浴槽洗浄機器の吐水動作とを連動させる連動モードを有し、前記連動モードは、前記浴室洗浄機器及び前記浴槽洗浄機器の一方の最後の吐水動作において、前記浴室洗浄機器と前記浴槽洗浄機器との両方に吐水させることを特徴とする浴室システムである。
【0009】
この浴室システムによれば、連動モードにおいて、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の一方の最後の吐水動作の時間帯において、大流量の洗浄水が排水トラップに流れ込む。これにより、排水トラップ内の汚れ(例えば排水トラップ内の封水に浮いた皮脂、垢、髪の毛等の汚れ)を、下流側に流すことが出来る。すなわち、連動モードにおける洗浄によって排水トラップ内に流入した汚れが、排水トラップ内に留まってしまうことを抑制できる。したがって、浴室及び浴槽の洗浄を行った後も排水トラップ内の汚れを抑制し、排水トラップをきれいに保つことが出来る。
また、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の一方の最後の吐水動作の時間帯において、排水トラップには、浴室の洗い場側と、浴槽側と、の2方向から同時に洗浄水が流れ込む。これにより、排水トラップ内の封水が撹拌され、封水に浮いた汚れを効果的に排出することができる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、前記連動モードは、前記一方の前記最後の吐水動作に比べて、前記浴室洗浄機器及び前記浴槽洗浄機器の他方の吐水動作を遅く終了させ、前記連動モードの最後において、前記他方は、除菌作用を有する機能水を吐水することを特徴とする浴室システムである。
【0011】
この浴室システムによれば、連動モードの最後に機能水が吐水されることにより、浴室及び浴槽の洗浄終了時には、排水トラップ内に機能水が流入する。これにより、これにより、排水トラップ内を除菌することができ、浴室洗浄及び浴槽洗浄を行った後も排水トラップ内の汚れをより抑制することができる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記連動モードは、前記一方の前記最後の吐水動作が終了する前に、前記他方に前記機能水の吐水を開始させることを特徴とする浴室システムである。
【0013】
この浴室システムによれば、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の一方の最後の吐水動作の時間帯において、排水トラップには、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の一方からの洗浄水と、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の他方からの機能水と、が流れ込む。これにより、排水トラップにおける流量を増大させて排水トラップ内の汚れを排出しつつ、機能水によって排水トラップ内を除菌することができる。したがって、排水トラップ内の汚れをより抑制し、排水トラップをきれいに保つことができる。
また、例えば、機能水は、電解槽によって水道水等を電気分解することによって得られる。この場合、大量の機能水を生成すると、電解槽の電極が消耗し、電極の寿命が短くなってしまう。そのため、電極の寿命の観点からは、機能水の量は、できるだけ少ないことが望ましい。これに対し、この浴室システムによれば、排水トラップに、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の一方からの洗浄水と、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の他方からの機能水と、が流れ込むため、機能水を含んだ大流量の水でトラップ内を撹拌することができ、機能水が少量であっても、トラップ内の封水をきれいな水に置換する作用を向上させることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、排水トラップ内の汚れを抑制することができる浴室システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る浴室システムを有する浴室を例示する斜視図である。
図2】実施形態に係る浴室システムを例示するブロック図である。
図3図3(a)~図3(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図4図4(a)~図4(d)は、浴室に設けられる排水トラップを例示する断面図である。
図5図5(a)~図5(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図6図6(a)~図6(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図7図7(a)~図7(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図8】浴室に設けられる排水トラップを例示する断面図である。
図9】実施形態に係る浴室システムの浴室洗浄機器を例示する模式図である。
図10】実施形態に係る浴室システムの浴槽洗浄機器を例示する模式図である。
図11】実施形態に係る浴室システムの操作部を例示する斜視図である。
図12図12(a)~図12(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、実施形態に係る浴室システムを有する浴室を例示する斜視図である。
図1は、実施形態に係る浴室システム100(図2を参照)が設置される浴室の一例を示している。
図1に示すように、浴室500は、概ね直方体の4つの側面に相当する配置の第1壁541、第2壁542、第3壁543、第4壁544を有する。第2壁542は、第1壁541と対向しており、第4壁544は、第3壁543と対向している。第1壁541と第2壁542とは、それぞれ、第3壁543及び第4壁544と接続されている。
【0017】
説明の便宜上、本明細書において、第2壁542(図1の奥側の壁)から第1壁541(図1の手前側の壁)へ向かう方向を「前方」とし、これと反対の方向を「後方」とする。また、前後方向および上下方向に対して垂直な方向を横方向とする。
【0018】
第4壁544の側に浴槽510が設けられており、当該浴槽510と第3壁543との間に洗い場床520(浴室洗い場床)が設けられている。すなわち、浴槽510と洗い場床520とは、共に前後方向に延びて、横方向に並んでいる。洗い場床520は、第3壁543に加えて、第1壁541の一部及び第2壁542の一部にも接している。
【0019】
洗い場床520には、排水口521が設けられている。排水口521は、洗い場床520の前後方向における中央付近であって、洗い場床520の横方向における浴槽510側の端に設けられている。洗い場床520には、排水口521へ向かう緩やかな(例えば1~5°程度の)排水勾配(傾斜)が設けられている。また、洗い場床520の表面は、親水コーティングされている。
【0020】
そして、洗い場床520が接している第2壁542の一部に(浴室500の後方側に)、カウンタ530が設けられている。浴室500の第2壁542には、鏡、給水栓、シャワーホースなどが適宜設けられている。
【0021】
図2は、実施形態に係る浴室システムを例示するブロック図である。
図2に示すように、浴室システム100は、浴室洗浄機器70と、浴槽洗浄機器80と、制御部30と、を有する。
【0022】
浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80は、浴室500内に設けられる(図1を参照)。図2に示すように、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80のそれぞれには、給水源50(水道管など)から洗浄水が供給される。給水源50の下流側の流路は、浴室洗浄機器70(吐水口71)に洗浄水を導く流路75と、浴槽洗浄機器80(吐水口81)に洗浄水を供給する流路85と、に分岐している。
【0023】
浴室洗浄機器70は、洗浄水を吐水する吐水口71と、制御弁73と、を有する。制御弁73は、例えば、流路75の流量を調整する流量調整弁である。流量調整弁は、流路の面積(流路の開度、又は流路の絞り)を調整することで、当該流路の流量を調整する。制御弁73は、流路75を開閉する電磁弁でもよい。制御弁73によって、吐水口71に供給される洗浄水の流量、すなわち吐水口71から吐水される洗浄水の流量を制御することができる。浴室洗浄機器70は、給水源50から供給された洗浄水を、浴室500の洗い場床520、及び壁(第1~第4壁541~544)の少なくとも一部に吐水する。これにより、浴室洗浄機器70は、浴室500の洗い場床520、及び壁の少なくとも一部を洗浄する。なお、図1に示した例では、浴室洗浄機器70は、カウンタ530に設けられ、洗い場床520を洗浄する洗浄機器(床洗浄装置)である。
【0024】
浴槽洗浄機器80は、洗浄水を吐水する吐水口81と、制御弁83と、を有する。制御弁83は、例えば、流路85の流量を調整する流量調整弁である。制御弁83は、流路85を開閉する電磁弁でもよい。制御弁83によって、吐水口81に供給される洗浄水の流量、すなわち吐水口81から吐水される洗浄水の流量を制御することができる。浴槽洗浄機器80は、給水源50から供給された洗浄水を、浴槽510内の少なくとも一部に吐水する。これにより、浴槽洗浄機器80は、浴槽510を洗浄する。
【0025】
制御部30は、例えばマイコンなどを有する電気回路である。制御部30は、浴室洗浄機器70の制御弁73、及び浴槽洗浄機器80の制御弁83のそれぞれと接続されている。制御部30と浴室洗浄機器70との接続、制御部30と浴槽洗浄機器80との接続は、有線接続であっても無線接続であってもよい。浴室洗浄機器(制御弁73)及び浴槽洗浄機器80(制御弁83)のそれぞれは、制御部30から送信された信号(指令)に基づいて動作する。図1に示した例では、制御部30は、浴室500の天井545に設置されている。ただし、制御部30の配置は任意である。また、制御部30は、複数の基板などに適宜分割されて配置されてもよい。例えば、制御部30の一部が浴室洗浄機器70に配置されたり、浴槽洗浄機器80に配置されたりしてもよい。
【0026】
また、浴室システム100は、使用者が浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の動作を操作するための操作部35(リモコン)を有していてもよい(図1参照)。操作部35は、浴室500内、又は浴室500外(例えば浴室500に隣接する脱衣所など)に設けられる。操作部35は、制御部30と有線又は無線により接続されている。使用者は、操作部35に設けられたボタン(スイッチ)を操作することにより、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の動作を開始/停止させたり、動作の設定を変更したりすることができる。具体的には、使用者が操作部35を操作すると、その操作に応じた信号が制御部30に送信される。制御部30は、操作部35からの信号に基づいて、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80のそれぞれに信号(指令)を送信する。
【0027】
制御部30は、浴室洗浄機器70の吐水動作と、浴槽洗浄機器80の吐水動作と、を連動させる連動モードを有する。例えば、連動モードは、浴室洗浄機器70による洗浄動作と、浴槽洗浄機器80による洗浄動作とを連動させる掃除連動モードである。
【0028】
図3(a)~図3(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
タイミングチャートにおいて、横軸は時間tを表す。図3(a)は、制御部30の連動モードの作動(ON)及び停止(OFF)のタイミングを表す。図3(b)は、浴室洗浄機器70の制御弁73の開(ON)及び閉(OFF)のタイミングを表す。制御弁73がONの状態では、流路75が開き吐水口71から洗浄水が吐水されている。制御弁73がOFFの状態では、流路75が閉じ吐水口71から洗浄水は吐水されない。図3(c)は、浴槽洗浄機器80の制御弁83の開(ON)及び閉(OFF)のタイミングを表す。制御弁83がONの状態では、流路85が開き吐水口81から洗浄水が吐水されている。制御弁83がOFFの状態では、流路85が閉じ吐水口81から洗浄水は吐水されない。
【0029】
なお、この例では、図3(b)が制御弁73のON/OFFのタイミングを表し、図3(c)が制御弁83のON/OFFのタイミングを表すが、逆であってもよい。すなわち、制御弁73が図3(c)に示すタイミングで動作し、制御弁83が図3(b)に示すタイミングで動作してもよい。
【0030】
図3(a)に示すように、時刻T1において、連動モードがONとなる。これに伴い、図3(b)に示すように、浴室洗浄機器70の制御弁73がONとなり、浴室洗浄機器70が吐水動作を行う。この例では、浴室洗浄機器70は、一度の連動モードにおいて、複数回の吐水動作を行う。すなわち、時刻T1と時刻T2との間の吐水動作と、時刻T3と時刻T6との間の吐水動作と、が実行されている。時刻T1においてONとなった制御弁73は、時刻T1の後の時刻T2においてOFFとなる。時刻T2の後に、時刻T3においてONとなった制御弁73は、時刻T3の後の時刻T6においてOFFとなる。
【0031】
図3(c)に示すように、浴槽洗浄機器80は、浴室洗浄機器70の最後の吐水動作が行われる時間帯に、吐水動作を行う。この例では、浴槽洗浄機器80は、時刻T4と時刻T5との間において吐水動作を行っている。すなわち、時刻T3の後の時刻T4においてONとなった制御弁83は、時刻T4の後の時刻T5においてOFFとなる。そして、時刻T5の後の時刻T6において、浴槽洗浄機器80の吐水動作が停止し、連動モードが終了する。
【0032】
このように、実施形態においては、連動モードは、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作において、浴室洗浄機器70と浴槽洗浄機器80との両方に吐水させる。言い換えれば、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作の時間帯の少なくとも一部と、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の他方の吐水動作の時間帯の少なくとも一部とが重なる。図3の例では、浴室洗浄機器70の最後の吐水動作の時間帯(時刻T3~時刻T6)の一部と、浴槽洗浄機器80の最後の吐水動作の時間帯(時刻T4~時刻T5)の一部とが重なる。浴槽洗浄機器80の吐水動作の最後の時刻T5において、浴室洗浄機器70と浴槽洗浄機器80との両方が吐水している。
なお、最後の吐水動作とは、連動モードにおいて、連動モードの終了時刻に最も近い吐水動作のことである。
【0033】
これにより、連動モードにおける合計流量(浴室洗浄機器70が吐水する流量(cc/s)と、浴槽洗浄機器80が吐水する流量(cc/s)と、の合計)が最大となる時間帯は、一方の洗浄機器の最後の吐水動作の時間帯に含まれる。つまり、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作の時間帯において、排水トラップに流れ込む水の流量(瞬間流量)が最大となる。
【0034】
なお、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80のそれぞれにおいて、1度の連動モードにおける吐水動作の回数は、1回であってもよいし、2回以上でもよい。
【0035】
図4(a)~図4(d)は、浴室に設けられる排水トラップを例示する断面図である。 一般に浴室は、洗い場床や浴槽の水を排水する排水路を有し、その排水路には排水トラップが設けられる。例えば、図1に示すように、洗い場床520及び浴槽510の下方(下流側)に排水トラップ400が設けられる。
【0036】
排水トラップ400は、トラップ本体410と、封水筒420と、を有する。トラップ本体410は、例えば、筒状の部材である。トラップ本体410は、開口411と、流出口413と、を有する。開口411は、トラップ本体410の上部に設けられ上方を向いて開いている。流出口413は、開口411より下方であって、トラップ本体410の側部に設けられ側方を向いて開いている。流出口413は、外部の下水等へと続く排水管440と接続されている。
【0037】
封水筒420は、トラップ本体410の開口411に挿入されるように取り付けられている。封水筒420は、筒状部421と、筒状部421の上方に設けられたフランジ422と、を有する。筒状部421は、その上部に形成され上方を向く入水口423と、その下部に形成され下方を向く出水口424と、を有する。
【0038】
洗い場床520から排水された水(洗浄水)、及び、浴槽510から排水された水(洗浄水)は、それぞれ、封水筒420の入水口423に流入する。入水口423に流入した水は、封水筒420の内部を通って出水口424からトラップ本体410の内部に流入する。トラップ本体410の内部に流入した水は、トラップ本体410の流出口413から排水管440を通って外部へ排出される。
【0039】
封水筒420の入水口423は、トラップ本体410の流出口413よりも上方に位置し、封水筒420の出水口424は、トラップ本体410の流出口413よりも下方に位置する。これにより、トラップ本体410は、内部に一時的に水(封水430)を貯留することができる。トラップ本体410の内部に水が流入すると、トラップ本体410内の水位が上昇し、流出口413の下端を超えた水が、流出口413から排水されるようになっている。
【0040】
図4(a)及び図4(b)は、参考例の浴室システムにおける排水を例示している。この参考例は、上述の連動モードを有さない。すなわち、この参考例では、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器は、互いに異なる時間帯に別々に洗浄動作(吐水動作)を行う。そのため、浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器のいずれかの洗浄動作において、排水トラップ400には、図4(a)の矢印A1のように、一方の洗浄機器から吐水された水のみが、例えば一定の流量で流入する。
【0041】
浴室洗浄機器及び浴槽洗浄機器の洗浄動作(吐水動作)時において、排水トラップ400内に流入する水には、汚れD(皮脂、垢、髪の毛等)が含まれている。参考例のように比較的少量の水が略一定の流量で排水トラップ400に流入する場合には、浴室洗浄機器又は浴槽洗浄機器の洗浄後、排水トラップ400の封水に多くの汚れDが留まりやすい(図4(b))。比較的少量の水が略一定の流量で排水トラップ400に流入する場合には、汚れDは、封水に浮いた状態となり、流出口413から排出されにくい。
【0042】
一方、図4(c)及び図4(d)は、実施形態に係る浴室システムにおける排水を例示している。実施形態においては、上述の通り、制御部30は、連動モードを有している。そのため、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作において、排水トラップ400には、図4(c)の矢印A2、A3のように、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の両方から洗浄水が流入する。そのため、排水トラップ400に流入する洗浄水の流量が一時的に増大し、排水トラップ400内の水(封水及び洗浄水)が撹拌される。これにより、排水トラップ400内に流入した汚れDを水と共に外部へ排出することができる。また、洗浄動作の最後においては、排水トラップ400に流入する洗浄水に含まれる汚れDは比較的少ない。そのため、洗浄動作の最後において流量を増大させることで、比較的きれいな水で封水を置換することができる(図4(d))。
【0043】
以上説明したように、制御部30は、連動モードによって、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作の時間帯に、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の両方に吐水させる。これにより、大流量の洗浄水が排水トラップ400に流れ込み、排水トラップ400内の汚れ(例えば排水トラップ内の封水に浮いた皮脂、垢、髪の毛等の汚れ)を、下流側に流すことが出来る。これにより、連動モードにおける洗浄によって排水トラップ400内に流入した汚れが、排水トラップ400内に留まってしまうことを抑制できる。従って、浴室500及び浴槽510の洗浄を行った後も排水トラップ400内の汚れを抑制し、排水トラップ400をきれいに保つことが出来る。
【0044】
また、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作の時間帯において、排水トラップ400には、浴室500の洗い場床520側と、浴槽510側と、の2方向から同時に洗浄水が流れ込む。これにより、排水トラップ400内の封水が撹拌され、封水に浮いた汚れを効果的に排出することができる。
【0045】
図5(a)~図5(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図5(a)は、制御部30の連動モードのON/OFFのタイミングを表す。図5(b)は、浴室洗浄機器70の制御弁73のON/OFFのタイミングを表す。図5(c)は、浴槽洗浄機器80の制御弁83のON/OFFのタイミングを表す。
なお、制御弁73が図5(c)に示すタイミングで動作し、制御弁83が図5(b)に示すタイミングで動作してもよい。
【0046】
図5(a)に示すように、時刻T7において、連動モードがONとなる。これに伴い、図5(b)に示すように、浴室洗浄機器70の制御弁73がONとなり、浴室洗浄機器70が吐水動作を行う。時刻T7においてONとなった制御弁73は、時刻T7の後の時刻T8においてOFFとなる。時刻T8の後に、時刻T9においてONとなった制御弁73は、時刻T9の後の時刻T11においてOFFとなる。
【0047】
図5(c)に示すように、浴槽洗浄機器80は、浴室洗浄機器70の最後の吐水動作が行われる時間帯に、吐水動作を行う。すなわち、浴槽洗浄機器80の制御弁83は、時刻T9と時刻T11との間の時刻T10において、ONとなる。そして、時刻T11の後の時刻T12において、浴槽洗浄機器80の制御弁83がOFFとなり、連動モードが終了する。
【0048】
このように、この例では、連動モードは、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作に比べて、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の他方の吐水動作を遅く終了させる。すなわち、浴槽洗浄機器80の吐水動作が終了する時刻T12は、浴室洗浄機器70の最後の吐水動作の終了が終了する時刻T11よりも遅い。
【0049】
また、この例においても、浴室洗浄機器70の最後の吐水動作の時間帯(時刻T9~時刻T11)の一部と、浴槽洗浄機器80の吐水動作の時間帯(時刻T10~時刻T12)の一部とが重なる。これにより、排水トラップ400に流入する洗浄水の流量を一時的に増大させることで、排水トラップ400内の汚れを下流側に流すことができる。したがって、浴室500及び浴槽510の洗浄を行った後も排水トラップ400内の汚れを抑制し、排水トラップ400をきれいに保つことが出来る。なお、浴室洗浄機器70の吐水動作の終了と、浴槽洗浄機器80の吐水動作の終了とは、同時であってもよい。
【0050】
図6(a)~図6(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図6(a)~図6(c)は、それぞれ、図5(a)~図5(c)と同様に、制御部30の連動モード、浴室洗浄機器70の制御弁73、浴槽洗浄機器80の制御弁83のON/OFFのタイミングを表す。これらのON/OFFのタイミングは、図5(a)~図5(c)に関する説明と同様である。
【0051】
この例では、連動モードの最後において、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の他方は、機能水を吐水する。すなわち、例えば図6(c)に示すように、浴槽洗浄機器80は、連動モードが終了する時刻T12において機能水を吐水している。より具体的には、浴槽洗浄機器80は、時刻T13から時刻T12までの間において、機能水を吐水している。なお、時刻T13は、時刻T11と時刻T12との間である。また、機能水とは、例えば除菌作用を有する洗浄水である。機能水の生成や具体例については後述する。
【0052】
連動モードの最後に機能水が吐水されることにより、浴室500及び浴槽510の洗浄終了時には、排水トラップ400内に機能水が流入する。これにより、排水トラップ400内を除菌することができ、浴室洗浄及び浴槽洗浄を行った後も排水トラップ400内の汚れをより抑制することができる。
【0053】
図7(a)~図7(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図7(a)~図7(c)は、それぞれ、図5(a)~図5(c)と同様に、制御部30の連動モード、浴室洗浄機器70の制御弁73、浴槽洗浄機器80の制御弁83のON/OFFのタイミングを表す。これらのON/OFFのタイミングは、図5(a)~図5(c)に関する説明と同様である。
【0054】
この例では、連動モードは、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作が終了する前に、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の他方に機能水の吐水を開始させる。すなわち、例えば、図7(b)及び図7(c)に示すように、浴室洗浄機器70の最後の吐水動作が終了する時刻T11よりも前の時刻T14において、浴槽洗浄機器80は、機能水の吐水を開始している。より具体的には、浴槽洗浄機器80は、時刻T14から時刻T12までの間において、機能水を吐水している。なお、時刻T14は、時刻T10と時刻T11との間である。
【0055】
このような構成によれば、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方の最後の吐水動作の時間帯において、排水トラップ400には、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方からの洗浄水と、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の他方からの機能水と、が流れ込む。これにより、排水トラップ400における流量を増大させて排水トラップ400内の汚れを排出しつつ、機能水によって排水トラップ400内を除菌することができる。したがって、排水トラップ400内の汚れをより抑制し、排水トラップ400をきれいに保つことができる。
また、例えば、機能水は、電解槽によって水道水等を電気分解することによって得られる。この場合、大量の機能水を生成すると、電解槽の電極が消耗し、電極の寿命が短くなってしまう。そのため、電極の寿命の観点からは、機能水の量は、できるだけ少ないことが望ましい。これに対し、この浴室システム100によれば、排水トラップ400に、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の一方からの洗浄水と、浴室洗浄機器70及び浴槽洗浄機器80の他方からの機能水と、が流れ込むため、機能水を含んだ大流量の水で排水トラップ400内を撹拌することができ、機能水が少量であっても、トラップ内の封水をきれいな水に置換する作用を向上させることができる。
【0056】
図8は、浴室に設けられる排水トラップを例示する断面図である。
図8は、排水トラップ400の別の例を表している。
この例では、排水トラップ400のトラップ本体410は、流入口415をさらに有する。流入口415は、トラップ本体410の側部に設けられ側方を向いている。流入口415は、流出口413よりも下方に設けられている。
【0057】
流入口415は、配管445などを介して、浴槽510の底に設けられた排水口512と接続されている。浴槽510内の水は、排水口512、配管445などを通って流入口415から、トラップ本体410内に流入する。
【0058】
排水トラップ400の入水口423は、洗い場床520の排水口521の下方に位置し、排水口521と接続されている。洗い場床520上の水は、排水口521及び入水口423を通って、トラップ本体410内に流入する。
【0059】
トラップ本体410内に水が流入すると、トラップ本体410内の水位が上昇する。そして、トラップ本体410の流出口413の下端を超えた水が、流出口413及び排水管440を通って、外部に排出される。
【0060】
このように、浴槽510内の水及び洗い場床520上の水の少なくとも一方が、排水トラップの側方(この例では流入口415)から、排水トラップ400内に流入してもよい。
【0061】
図9を参照して、浴室洗浄機器70の一例について説明する。
図9は、実施形態に係る浴室システムの浴室洗浄機器を例示する模式図である。
図9は、浴室500のカウンタ530の近傍を側方から見た様子を示している。
浴室洗浄機器70は、カウンタ530の下部に突出するノズル部10aを有する。ノズル部10aは、カウンタ530の下部に、洗い場床520から離間した位置に配置されている。例えば、ノズル部10aは、洗い場床520の横方向における中央付近に設置されている。
【0062】
浴室500の外部(例えば第2壁542の後方)には、給水管51が設けられている。給水管51は、図示しない水道管と接続されている。これにより、給水管51から水道水が浴室洗浄機器70に供給される。
【0063】
カウンタ530の内部(天板531と下カバー532との間)には、第1ストレーナ53aと、制御弁73(第1電磁弁54a、第2電磁弁54b)と、調圧弁55と、バキュームブレーカ57と、逆止弁56と、機能水生成部20と、第2ストレーナ53bと、電動モータ17と、が設けられている。第1ストレーナ53aは、給水管51と接続されており、第1ストレーナ53aの下流において、水道水の流路は2つに分岐している。
【0064】
第1ストレーナ53aの下流側の一方の流路は、第1電磁弁54aを介して、水道水(洗浄水の一例である)を直接的にノズル部10aに供給する。第1電磁弁54aを開くことで、水道水がノズル部10aに供給される。
【0065】
第1ストレーナ53aの下流側の他方の流路には、上流側から順に、第2電磁弁54b、調圧弁55、バキュームブレーカ57、逆止弁56、機能水生成部20、第2ストレーナ53bが接続されており、機能水(洗浄水の一例である)をノズル部10aに供給する。
【0066】
第1電磁弁54a及び第2電磁弁54bは、それぞれ、水道水の流路を開く動作、及び、水道水の流路を閉じる動作、を行う。調圧弁55は、供給される水道水の圧力を制御する。これにより、後述する機能水生成部20に供給される水道水の流量を所望に調整することができる。機能水生成部20に供給される水道水の流量を調整することで、ノズル部10aに供給される機能水の流量が調整される。第2電磁弁54bを用いて水道水の流量を調整してもよい。
【0067】
機能水は、例えば除菌(又は殺菌)の機能を有する除菌水である。機能水は、例えば、次亜塩素酸を含む。この例では、機能水生成部20は、陽極と陰極とを有する電解室(電解槽)である。機能水生成部20は、陽極と陰極との間に電圧を印加して、それら電極の間を流れる水道水を電気分解することで、低濃度の次亜塩素酸を生成する。水道水は、塩化物イオンを含んでいるため、その塩化物イオンを電気分解することによって、次亜塩素酸が生成される。
【0068】
なお、機能水は、次亜塩素酸を含むものには限定されない。例えば、機能水は、銀イオン、銅イオン、または亜鉛イオンなどの金属イオンを含む溶液、電解塩素やオゾンなどを含む溶液、酸性水、または、アルカリ水などでもよい。機能水生成部20は電解槽に限らず、除菌水を生成可能な任意の構成でよい。
【0069】
ストレーナ53a、53b、電磁弁54a、54b、調圧弁55、バキュームブレーカ57、逆止弁56、機能水生成部20及び電動モータ17の少なくとも一部が、カウンタ530の外部や浴室500の外部に設けられることも可能である。
【0070】
第1電磁弁54a、第2電磁弁54b、調圧弁55、及び機能水生成部20は、制御部30によって適宜に制御される。これにより、ノズル部10aからの水道水の散水と、ノズル部10aからの機能水の散水と、を互いに独立に制御できる。
【0071】
具体的には、第1電磁弁54a及び第2電磁弁54bは、制御部30からの信号に基づいて、水道水の流路の開閉を行う。これにより、下流側に供給される水道水の流量が制御される。また、機能水生成部20は、制御部30からの信号に基づいて、電解室のON/OFF等を切り替える。このようにして制御部30は、機能水における各種構成成分の濃度、吐水される洗浄水の流量(単位時間当たりの流量)、吐水される洗浄水の総水量、を制御することができる。
【0072】
また、ノズル部10aには、吐水口71(開口)が設けられている。ノズル部10aは、上流から供給された洗浄水(水道水や機能水)を、水圧によって吐水口71から浴室500の洗い場床520上へ吐水する。これにより、洗い場床520上の汚れ(例えば、人体からの皮脂、垢、髪の毛など)を排水口521へ洗い流したり、洗い場床520上を除菌することができる。ノズル部10aから吐水される洗浄水は、例えば霧状である。
【0073】
ノズル部10aの位置姿勢は、洗浄水が吐水される洗い場床520上の領域を変えるよう、変動することができる。具体的には、ノズル部10aは、電動モータ17によって回転駆動される。電動モータ17は、例えばステッピングモータからなる。
【0074】
電動モータ17は、制御部30によって制御される。制御部30からの信号に基づいて電動モータ17が制御されることにより、ノズル部10aの回転角度や回転速度が変化する。
【0075】
図10を参照して、浴槽洗浄機器80の一例について説明する。
図10は、実施形態に係る浴室システムの浴槽洗浄機器を例示する模式図である。
浴槽洗浄機器80は、流量検知装置604、水量制御装置605、制御弁83(電磁弁606)、洗浄ノズル601、給水路608、排水栓駆動用モータ624など、を有する。
【0076】
洗浄ノズル601は、給水路608を介して、給水管51と接続されている。これにより、給水管51から、給水路608を通った水道水が洗浄ノズル601に供給される。
【0077】
給水路608には、上流側から順に、流量検知装置604、水量制御装置605、電磁弁606が設けられている。電磁弁606は、給水路608を開く動作、及び、給水路608を閉じる動作を行う。電磁弁606が開くことで、水道水が洗浄ノズル601に供給され、電磁弁606が閉じることで、洗浄ノズル601への給水が停止する。
【0078】
洗浄ノズル601は、浴槽510に設けられている。洗浄ノズル601の吐水口81は、例えば、浴槽510の内壁に露出している。洗浄ノズル601は、上流から供給された洗浄水(水道水)を、水圧によって吐水口81から浴槽510内へ吐水する。これにより、浴槽510内の汚れを、浴槽510の排水口512へ洗い流すことができる。洗浄ノズル601から吐水される洗浄水は、例えば霧状である。
【0079】
排水栓駆動用モータ624は、ワイヤーケーブル621を介して、スラストロック機構部623を作動させることができる。スラストロック機構部623が作動することで、排水栓622を上下に動かすことができ、排水口512を開閉することができる。なお、使用者は、浴槽510のリムなどに設けられた手動スイッチ620を操作することによっても、スラストロック機構部623を作動させ、排水口512を開閉することができる。
【0080】
流量検知装置604、水量制御装置605、電磁弁606、排水栓駆動用モータ624は、制御部30と有線又は無線により接続されており、制御部30によって適宜に制御される。すなわち、電磁弁606は、制御部30からの信号に基づいて、給水路608の開閉を行う。これにより、洗浄ノズル601の吐水と止水とが切り替えられる。また、排水栓駆動用モータ624は、制御部30からの信号に基づいて、排水口512の開閉を行う。
【0081】
浴槽洗浄機器80による浴槽510の洗浄動作において、制御部30は、まず、排水栓駆動用モータ624によって排水口512を開く。これにより、浴槽510内に残っている水(湯)が排水される。排水口512が開いてから所定時間が経過し、排水が行われた後に、制御部30は、電磁弁606を開く。これにより、洗浄ノズル601から浴槽510内に洗浄水が吐水され、浴槽510内を洗浄することができる。
【0082】
なお、浴槽洗浄機器80は、水道水だけでなく、浴室洗浄機器70と同様の構成により機能水を吐水してもよい。また、浴槽洗浄機器80は、内部に洗剤タンクやポンプを有し、洗浄ノズル601から浴槽510内に洗剤を散布してもよい。
【0083】
図11は、実施形態に係る浴室システムの操作部を例示する斜視図である。
操作部35は、掃除連動スイッチ35a、浴槽洗浄スイッチ35b、及び床洗浄スイッチ35cなどの複数のスイッチ(ボタン)を有する。
【0084】
使用者が、浴槽洗浄スイッチ35bを操作すると、制御部30は、その操作に応じた信号を受信し、浴槽洗浄機器80に洗浄動作(吐水動作)を実行させる。また、使用者が、床洗浄スイッチ35cを操作すると、制御部30は、その操作に応じた信号を受信し、浴室洗浄機器70に洗浄動作(吐水動作)を実行させる。
【0085】
浴槽洗浄スイッチ35bによる浴槽洗浄機器80の洗浄動作と、床洗浄スイッチ35cによる浴室洗浄機器70の洗浄動作とは、例えば独立しており、別々に実行される。
【0086】
使用者が、掃除連動スイッチ35aを操作すると、制御部30は、その操作に応じた信号を受信し、浴室洗浄機器70の洗浄動作と、浴槽洗浄機器80の洗浄動作と、を連動させる掃除連動モードを実行する。
【0087】
図12を参照して、掃除連動モードの一例について説明する。
図12(a)~図12(c)は、実施形態に係る浴室システムの動作を例示するタイミングチャートである。
図12(a)は、使用者が操作部35の掃除連動スイッチ35aを操作したタイミングを表す。図12(b)は、浴室洗浄機器70による洗浄動作を表す。図12(b)において、ONは浴室洗浄機器70が吐水していることを示し、OFFは浴室洗浄機器70が吐水をしていないことを示す。図12(c)は、浴槽洗浄機器80による洗浄動作を表す。図12(c)において、ONは浴槽洗浄機器80が吐水していることを示し、OFFは浴槽洗浄機器80が吐水していないことを示す。
【0088】
図12(a)に示すように、時刻T21において、使用者が操作部35の掃除連動スイッチを操作する。すると、制御部30は、掃除連動モードを開始する。具体的には、制御部30は、図12(b)に示すように、時刻T21において、浴室洗浄機器70に第1洗浄(第1の吐水動作)を実行させる。同時に、制御部30は、図12(c)に示すように、排水栓駆動用モータ624を作動させ、浴槽510に残っている水を排水する。
【0089】
時刻T21の後の時刻T22において、浴室洗浄機器70の第1洗浄が終了する。また、時刻T22においては、浴槽510の排水は終了しているため、制御部30は、浴槽洗浄機器80に浴槽510の洗浄(吐水動作)を開始させる。
【0090】
時刻T22から時刻T23までの間、浴室洗浄機器70は、吐水動作を行わずに待機している。この間に、第1洗浄によって洗い場床520上に吐水された洗浄水が排水される。時刻T23において、浴室洗浄機器70は、第2洗浄(第2の吐水動作)を開始する。例えば、第2洗浄においては、浴室洗浄機器70は、機能水を吐水する。待機時間を設けることにより、第1洗浄において吐水された水道水によって機能水が薄められることを抑制し、機能水の濃度の低下を抑制できる。
【0091】
時刻T23の後の時刻T24において、浴槽洗浄機器80による浴槽洗浄が終了する。そして、時刻T24の時刻T25において、浴室洗浄機器70の第2洗浄が終了し、掃除連動モードが終了する。
【0092】
このように、浴室洗浄機器70による洗浄動作(第1洗浄、待機、及び第2洗浄)と、浴槽洗浄機器80(浴槽排水及び浴槽洗浄)による洗浄動作とを同時に実行することで、全体の洗浄時間を短縮することができる。また、使用者は、浴槽洗浄スイッチ35b及び床洗浄スイッチ35cを別々に操作しなくても、掃除連動スイッチ35aを操作することで浴室全体の洗浄を行うことができるため、使い勝手がよい。
【0093】
また、この例においても、浴室洗浄機器70の最後の吐水動作において、浴室洗浄機器70と浴槽洗浄機器80との両方が吐水を行う。浴室洗浄機器70の最後の吐水動作の時間帯(時刻T23~時刻T25)の一部と、浴槽洗浄機器80の最後の吐水動作の時間帯(時刻T22~時刻T24)の一部とが重なる。これにより、排水トラップ400に流入する洗浄水の流量を一時的に増大させることで、排水トラップ400内の汚れを下流側に流すことができる。したがって、浴室500及び浴槽510の洗浄を行った後も排水トラップ400内の汚れを抑制し、排水トラップ400をきれいに保つことが出来る。
【0094】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、浴室システムが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0095】
10a ノズル部、 17 電動モータ、 20 機能水生成部、 30 制御部、 35 操作部、 35a 掃除連動スイッチ、 35b 浴槽洗浄スイッチ、 35c 床洗浄スイッチ、 50 給水源、 51 給水管、 53a 第1ストレーナ、 53b 第2ストレーナ、 54a 第1電磁弁、 54b 第2電磁弁、 55 調圧弁、 56 逆止弁、 57 バキュームブレーカ、 70 浴室洗浄機器、 71 吐水口、 73 制御弁、 75 流路、 80 浴槽洗浄機器、 81 吐水口、 83 制御弁、 85 流路、 100 浴室システム、 400 排水トラップ、 410 トラップ本体、 411 開口、 413 流出口、 415 流入口、 420 封水筒、 421 筒状部、 422 フランジ、 423 入水口、 424 出水口、 440 排水管、 445 配管、 500 浴室、 510 浴槽、 512 排水口、 520 洗い場床、 521 排水口、 530 カウンタ、 541 第1壁、 542 第2壁、 543 第3壁、 544 第4壁、 545 天井、 601 洗浄ノズル、 604 流量検知装置、 605 水量制御装置、 606 電磁弁、 608 給水路、 620 手動スイッチ、 621 ワイヤーケーブル、 622 排水栓、 623 スラストロック機構部、 624 排水栓駆動用モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12