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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/04 20060101AFI20220706BHJP
   B65D 51/24 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
B65D47/04 100
B65D51/24
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018077484
(22)【出願日】2018-04-13
(65)【公開番号】P2019182511
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森中 直紀
(72)【発明者】
【氏名】幸野 勝巳
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-076817(JP,A)
【文献】特開2017-001707(JP,A)
【文献】実開平02-079249(JP,U)
【文献】特開昭53-077771(JP,A)
【文献】特開2015-067342(JP,A)
【文献】実公昭47-030935(JP,Y1)
【文献】特開2016-185814(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/04
B65D 51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顆粒体が充填される容器の口部に装着されるキャップであって、
該キャップは、前記口部に装着される胴部と、該胴部と一体的に接続され、該胴部の上端開口を閉塞する天面部と、
該天面部に設けられ、前記容器内と連通して容器内の顆粒体を振り出す振出し口と、を有し、
前記天面部であって、前記振出し口周辺の上面に凹凸部が設けられ
該凹凸部において、隣接する凸部間の間隔は、0より大きく300μm以下に設定されることを特徴とするキャップ。
【請求項2】
顆粒体が充填される容器の口部に装着されるキャップであって、
該キャップは、前記口部に装着される胴部と、該胴部と一体的に接続され、該胴部の上端開口を閉塞する天面部と、
該天面部に設けられ、前記容器内と連通して容器内の顆粒体を振り出す振出し口と、を有し、
前記天面部であって、前記振出し口周辺の上面に凹凸部が設けられ、
該凹凸部において、隣接する凸部間の間隔S/前記顆粒体の外径Dは、0より大きく1.0以下に設定されることを特徴とするキャップ。
【請求項3】
前記振出し口の内壁面にその下端から連続して、前記胴部の軸方向に対して、上方に向かって開口面積が次第に小さくなる傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のキャップ。
【請求項4】
前記キャップは、シリコーン系表面改質剤を被覆または混練した合成樹脂製にて成形されることを特徴とする請求項1乃至いずれかに記載のキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味料等の粉粒体の内容物が充填される容器の口部に装着されるキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】

従来のキャップとして、特許文献1の発明に係る容器口栓は、合成樹脂製からなり、顆粒状または粉末状の調味料等が充填される容器の口部に装着され、天面部に注出口を有する栓本体と、該栓本体にヒンジを介して連結され、該栓本体に被冠される蓋体と、を備えている。そして、容器内の内容物を使用する際には、蓋体を開いて、容器を栓本体の注出口が下方を向くように傾けて、内容物を容器口栓の注出口から振り出すようにして使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-76817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】

しかしながら、特許文献1の発明では、内容物を使用する際、容器口栓が、鍋等の上方で、湯気が立ち上がっている場所に位置する場合が多く、この場合、容器口栓の栓本体が湯気に晒されているために、栓本体の天面部が水分で濡れ、振り出した内容物の一部が注出口付近の水分に付着する現象が起こり、見た目や衛生上も好ましくない。しかも、栓本体に内容物が付着した状態で、蓋体を栓本体に被せてしまうと、栓本体の天面部の上面と、蓋体の下面との間に、付着した内容物が挟み付けられて、その部位に空間が生じ、容器口栓による密閉性が損なわれる虞がある。しかも、その後時間の経過に伴って、栓本体の天面部の上面と蓋体の下面との間に挟み付けられた内容物が乾燥することから、内容物が注出口周辺に固化してこびり付くなどの不都合が発生する虞がある。
【0005】
また、特許文献1の発明では、内容物を注出口から振り出す際、外部に注出されなかった内容物が注出口の内壁面に付着してしまい、この状態で当該注出口に蓋体に設けたスタッドを嵌合すると、注出口の内壁面に付着した内容物により密閉性が損なわれる虞がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、内容物を使用する際、振出し口の内壁面を含む振出し口周辺への内容物の付着を抑制するキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、顆粒体が充填される容器の口部に装着されるキャップであって、該キャップは、前記口部に装着される胴部と、該胴部と一体的に接続され、該胴部の上端開口を閉塞する天面部と、該天面部に設けられ、前記容器内と連通して容器内の顆粒体を振り出す振出し口と、を有し、前記天面部であって、前記振出し口周辺の上面に凹凸部が設けられ該凹凸部において、隣接する凸部間の間隔は、0より大きく300μm以下に設定されることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載した発明は、顆粒体が充填される容器の口部に装着されるキャップであって、該キャップは、前記口部に装着される胴部と、該胴部と一体的に接続され、該胴部の上端開口を閉塞する天面部と、該天面部に設けられ、前記容器内と連通して容器内の顆粒体を振り出す振出し口と、を有し、前記天面部であって、前記振出し口周辺の上面に凹凸部が設けられ、該凹凸部において、隣接する凸部間の間隔S/前記顆粒体の外径Dは、0より大きく1.0以下に設定されることを特徴とするものである。
請求項1及び2の発明では、顆粒体を振出し口から振り出す際、凹凸部においては、顆粒体が水分(湯気)に付着し難くなるので、振出し口周辺への顆粒体の付着を抑制することができる。また、隣接する凸部間の間隔Sは、凹部内への顆粒体全体の侵入を抑制するように設定することで、凹部内に水分が入り込み、一方、顆粒体は凹部内に入り込めないので、顆粒体が水分に付着し難くなり、ひいては顆粒体が、振出し口周辺の凹凸部に付着し難くなる。
【0008】
請求項に記載した発明は、請求項1または2に記載した発明において、前記振出し口の内壁面にその下端から連続して、前記胴部の軸方向に対して、上方に向かって開口面積が次第に小さくなる傾斜面が形成されることを特徴とするものである。
請求項の発明では、顆粒体を振出し口から振り出す際、外部に振り出せなかった顆粒体は、振出し口の内壁面に設けた傾斜面から容器内に落下し易くなる。
【0011】
請求項に記載した発明は、請求項1乃至いずれかに記載した発明において、前記キャップは、シリコーン系表面改質剤を被覆または混練した合成樹脂製にて成形されることを特徴とするものである。
請求項の発明では、水分がキャップの表面に付着し難くなる。ひいては顆粒体が振出し口周辺に付着し難くなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のキャップによれば、内容物を使用する際、振出し口の内壁面を含む振出し口周辺への内容物の付着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係るキャップが容器の口部に螺合結合された状態の断面図であって、第1蓋体及び第2蓋体が共に開いた状態の断面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係るキャップの平面図であって、第1蓋体及び第2蓋体が共に開いた状態の平面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るキャップの第1蓋体側の側面図であって、第1蓋体及び第2蓋体が共に開いた状態の側面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るキャップの第2蓋体側の側面図であって、第1蓋体及び第2蓋体が共に開いた状態の側面図である。
図5図5は、図1に示すキャップに採用された振出し口の他の実施形態を示す平面図である。
図6図6は、図1のA部拡大図である。
図7図7は、図1に示すキャップに採用された凹凸部の一実施形態を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示すキャップに採用された凹凸部の断面形状を示す断面図である。
図9図9は、図1に示すキャップに採用された凹凸部の一実施形態を示す斜視図である。
図10図10は、図1のB部拡大図である。
図11図11は、図1に示すキャップに採用された凹凸部の作用を説明するための図である。
図12図12は、他の実施形態に係るキャップの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図1図12に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係るキャップ1aは、図1に示すように、容器2の口部3に装着されるものであって、シリコーン系表面改質剤を被覆または混練した合成樹脂にて成形されている。本実施形態に係るキャップ1aは、容器2の口部3に装着される胴部6と、該胴部6と一体的に接続され、該胴部6の上端開口を閉塞する天面部7と、該天面部7に設けられ、容器2内と連通して容器2内の内容物を振り出す振出し口8と、を有する。
【0015】
容器2内には、顆粒状または粉末状の調味料等が充填されている。図1図4に示すように、容器2の口部3には、その外周面に雄ねじ部12が形成されている。胴部6は円筒状に形成されている。胴部6の外周面には、平目ローレット加工が施されている。なお、胴部6の外周面で、その上端部及び下端部に平目ローレット加工が施されていない平坦部10A、10Aが形成される。また、胴部6の外周面で、径方向で互いに相反する位置に、上端の平坦部10Aから下方に向かう所定範囲に平坦部10B、10Bがそれぞれ形成される。胴部6の上端の平坦部10Aには、その外周面の一部に、後述する第1蓋体35に設けた第1嵌合壁部36が嵌合される第1嵌合凹部15が周方向に沿って形成される。一方、胴部6の上端の平坦部10Aには、その外周面の一部に、後述する第2蓋体45に設けた第2嵌合壁部46が嵌合される第2嵌合凹部16が周方向に沿って形成される。
【0016】
図3及び図4から解るように、これら第1及び第2嵌合凹部15、16は、胴部6の外周面に設けた平坦部10B、10Bの上方にそれぞれ位置する。第1嵌合凹部15の外周面には、径方向外方に膨出して、周方向に延びる第1係止部18が形成される。一方、第2嵌合凹部16の外周面にも、径方向外方に膨出して、周方向に延びる第2係止部19が形成される。胴部6の下部内周面には、雌ねじ部22が形成されている。胴部6の雌ねじ部22と容器2の口部3の雄ねじ部12とが螺合結合される。
【0017】
図1図4に示すように、天面部7は、板状であって、平面視略円形状に形成される。天面部7には、その上面に第1凹部24と第2凹部25とが隣接するように形成されている。第1凹部24及び第2凹部25は共に、直線部分24A、25Aと円弧部分24B、25Bとが対向する平面視蒲鉾状に形成されている。第2凹部25の底部の面積が第1凹部24の底部の面積よりも大きく形成される。これら第1凹部24と第2凹部25とは、その直線部分24A、25Aが互いに対向するようにして配置されて、その円弧部分24B、25Bが、胴部6の上端の平坦部10Aの外周面に設けた第1及び第2嵌合凹部15、16にそれぞれ連続する。第1及び第2凹部24、25の各円弧部分24B、25Bは、胴部6の外周面と略同心状に形成される。天面部7の下面で胴部6に近接する位置に、胴部6が口部3に螺合結合された際、口部3の上面に密着する環状の密着部27が垂設される。
【0018】
第1凹部24の底部で、その中央部分に上下方向に貫通する振出し口8が形成される。振出し口8は平面視円形状に形成される。振出し口8は容器2内に連通している。この振出し口8が内容物を振り出す際の振出し口8として作用する。なお、本実施形態では、振出し口8は、一つ形成されているが、複数形成してもよい。また、本実施形態では、振出し口8は平面視略円形状に形成されているが、図5(a)に示す略楕円状、図5(b)に示す略矩形状、図5(c)に示す略半円状、図5(d)に示す一対のアーチ状孔壁を有するものなどで形成してもよい。要するに、振出し口8の平面視形状及び数量は特に限定されることはない。図1及び図6に示すように、振出し口8の内壁面にはその下端から連続して、胴部6の軸方向に対して、上方に向かって次第に縮径される、言い換えればその開口面積が上方に向かって次第に小さくなる傾斜面30が形成される。この傾斜面30は、胴部6の軸方向に対して傾斜角度αで形成されている。なお、傾斜角度αは、5°~15°の範囲内で設定される。本実施形態では、傾斜角度αは10°に設定される。図6から解るように、この振出し口8の内壁面は、その上端の一部範囲が軸方向に沿って延びている。また、図2に示すように、第1凹部24の底面で、振出し口8周辺の一部の範囲Rに凹凸部32が形成される。凹凸部32は、本実施形態のように、振出し口8周辺の一部の範囲Rに形成されてもよいし、第1凹部24の底面全域に形成してもよい。
【0019】
凹凸部32は、第1凹部24の底面に複数の凹部32Bを凹設することで形成してもよく、第1凹部24の底面に複数の凸部32Aを突設することで形成してもよい。凹凸部32は、図7に示すように、凸部32Aと凹部32Bとが、一方向に沿って交互に形成される構成でもよい。この実施形態の場合、凸部32Aの断面形状は、図8(a)に示す略三角形状、図8(b)に示す略矩形状、図8(c)に示す半円形状や図8(d)に示す逆U字状等に形成されてもよい。その他、凹凸部32は、図9に示すように、凸部32Aと凹部32Bとが、互いに直交する二方向に沿って交互に形成される構成でもよい。この実施形態の場合、凸部32Aは、四角錐状(図9に示す)、正四角柱や半球状等に形成されてよい。また、図示は省略するが、凹凸部32の断面形状が、波状に形成されてもよい。要するに、凹凸部32の形状は具体的に限定されることなく、凸部32Aと凹部32Bとが交互に形成される構成を採用すればよい。
【0020】
凹凸部32の、隣接する凸部32A、32A間の間隔S(図8参照)は特に限定されないが、内容物、例えば顆粒体50(図11参照)の大きさ、すなわち顆粒体50の最大外径D(図11参照)に基づいて適宜設定したほうがよい。具体的には、隣接する凸部32A、32A間の間隔Sは、顆粒体50の最大外径Dよりも小さく設定して、凹部32B内への顆粒体50の侵入を抑制するようにしたほうがよい。例えば、隣接する凸部32A、32A間の間隔Sは、図11に示すように、凹部32B内への顆粒体50全体の侵入を抑制するように設定したほうがよいが、顆粒体50の一部が凹部32B内に侵入する程度、言い換えれば、顆粒体50が凹部32B内に傾いて侵入できる程度の間隔Sに設定してもよい。さらに具体的には、隣接する凸部32A、32A間の間隔Sは、標準的な顆粒体50の外径Dに対して、0より大きく300μm以下、好ましくは、0より大きく200μm以下、より好ましくは、0より大きく100μm以下に設定したほうがよい。言い換えれば、標準的な顆粒体50の外径Dに対する、隣接する凸部32A、32A間の間隔S(間隔S/外径D)は、0より大きく1.0以下に設定した方が好ましいが、1.0~3.0に設定してもよい。
【0021】
また、凹凸部32における、隣接する凸部32A、32A間の凹部32Bの深さH(図8参照)は、隣接する凸部32A、32Aが製造時や使用時等に折れるなど破損しない程度で、より深く形成したほうがよい。例えば、凹部32Bの深さHは、20μm以上、好ましくは、20~100μmに設定したほうがよい。なお、上述した凹凸部32は、いわゆる梨地処理を含むものである。
【0022】
図1図4に示すように、天面部7には、振出し口8を塞ぐ第1蓋体35が一体的に接続されている。第1蓋体35は、板状であって、天面部7に設けた第1凹部24に嵌合するようにその外形が平面視蒲鉾状に形成される。すなわち、第1蓋体35は、直線部分35Aと円弧部分35Bとが対向する平面視蒲鉾状に形成される。第1蓋体35の直線部分35Aと、第1凹部24の直線部分24Aとが一体的に接続されている。第1蓋体35は、この接続部位を支点に回動自在となる。第1蓋体35の円弧部分35Bには、その全域から第1嵌合壁部36が垂設されている。第1嵌合壁部36の外周面で、その周方向中央部位には第1ツバ部37が径方向外方に突設されている。第1蓋体35の下面でその中央部位には、天面部7の振出し口8内に嵌合する円筒状の第1密閉部38が垂設されている。
【0023】
天面部7に設けた第2凹部25の底部に、上下方向に貫通する開口部40が形成されている。開口部40は、平面視略半円状に形成される。該開口部40は容器2内に連通する。開口部40の直線部分40Aが径方向中心寄りに位置して、その円弧部分40Bが胴部6の外周面に近接して胴部6の外周面と同心状に形成される。この開口部40は、第1凹部24に設けた振出し口8よりもその開口面積が大きい。図10に示すように、開口部40の内壁面にはその下端から連続して、胴部6の軸方向に対して、上方に向かって次第にその開口面積が小さくなるような傾斜面42が形成される。この傾斜面42は、胴部6の軸方向に対して傾斜角度βで形成されている。なお、傾斜角度βは、1°~5°の範囲内で設定される。本実施形態では、傾斜角度βは3°に設定される。この開口部40の傾斜面42の傾斜角度βは、振出し口8の傾斜面30の傾斜角度αよりも小さい。
【0024】
図1図4に示すように、天面部7には、開口部40を塞ぐ第2蓋体45が一体的に接続されている。第2蓋体45は、板状であって、天面部7に設けた第2凹部25に嵌合するようにその外形が平面視蒲鉾状に形成される。すなわち、第2蓋体45は、直線部分45Aと円弧部分45Bとが対向する平面視蒲鉾状に形成される。第2蓋体45の直線部分45Aと、第2凹部25の直線部分25Aとが一体的に接続されている。第2蓋体45は、この接続部位を支点に回動自在となる。第2蓋体45の円弧部分45Bには、その全域から第2嵌合壁部46が垂設されている。第2嵌合壁部46の外周面で、その周方向中央部位には第2ツバ部47が径方向外方に突設されている。第2蓋体45の下面には、天面部7の開口部40内に嵌合する半円筒状の第2密閉部48が垂設されている。
【0025】
そして、本実施形態に係るキャップ1aにて、容器2内の内容物を振出し口8から振り出す際には、まず、使用者が、第1蓋体35の第1ツバ部37に指を引っ掛けて、第1蓋体35をその天面部7との接続部位を支点に立ち上げるようにして回動させることで、振出し口8から第1蓋体35の第1密閉部38を引き抜き、振出し口8を開放すると共に外部に露出させる。続いて、例えば、鍋等の上方で湯気が立ち上がっている場所にて、振出し口8が下方を向くように容器2を傾斜させ、容器2を数回振るようにすれば、容器2内の内容物が適宜量振出し口8から鍋内に振り出される。
【0026】
このように、振出し口8から内容物を振り出す際、振出し口8周辺に内容物が飛び散っても、図11に示すように、湯気(水分)51は凹凸部32における凹部32B内に入り込み、一方、内容物、例えば顆粒体50は凹部32B内に入り込み難いので、顆粒体50の水分51への付着が抑制される。これにより、天面部7の、振出し口8周辺の上面への顆粒体50の付着が抑制される。また、振出し口8の内壁面にはその下端から連続して、胴部6の軸方向に対して、上方に向かって次第に縮径される傾斜面30が形成されているので、使用後、容器2を元の姿勢に戻すと、外部に振り出されず、振出し口8の内壁面に残った内容物は、その内壁面の上部に沿って流下しつつ傾斜面30に至るところで容器2内に落下する。
【0027】
使用後は、第1蓋体35をその天面部7との接続部位を支点に天面部7側に回動させて、第1蓋体35の第1嵌合壁部36を胴部6の第1嵌合凹部15に嵌合させる。すると、第1蓋体35の第1密閉部38が振出し口8内に嵌合されつつ、第1嵌合壁部36の内周面が第1係止部18に押圧されるようにして位置決め、係止されて、振出し口8が密閉される。
【0028】
なお、図示しない計量スプーン等を用いて、内容物を使用する際には、第2蓋体45の第2ツバ部47に指を引っ掛けて、第2蓋体45をその天面部7との接続部位を支点に立ち上げるようにして回動させることで、開口部40から第2蓋体45の第2密閉部48を引き抜き、開口部40を開放すると共に外部に露出させる。続いて、開口部40から計量スプーンを挿入して、該計量スプーンにて容器2内の内容物をすくった後、開口部40の直線部分40Aに計量スプーンを、その上端が接触するようにスライドさせる。これにより、計量スプーン内の過度な内容物が容器2内に落下して、その計量スプーンにより計量された内容物を鍋等に入れる。
【0029】
使用後は、第2蓋体45をその天面部7との接続部位を支点に天面部7側に回動させて、第2蓋体45の第2嵌合壁部46を胴部6の第2嵌合凹部16に嵌合させる。すると、第2蓋体45の第2密閉部48が開口部40内に嵌合されつつ、第2嵌合壁部46の内周面が第2係止部19に押圧されるようにして位置決め、係止されて、開口部40が密閉される。
【0030】
以上説明したように、本発明の実施形態に係るキャップ1aでは、天面部7であって、振出し口8周辺の上面に凹凸部32が形成されているので、内容物(例えば顆粒体50)を振出し口8から振り出す際、振出し口8周辺に内容物が飛び散っても、凹凸部32においては、内容物の湯気(水分)51への付着が抑制される。これにより、天面部7の、振出し口8周辺の上面への内容物の付着が抑制される。
【0031】
また、本発明の実施形態に係るキャップ1aでは、振出し口8の内壁面にその下端から連続して、胴部6の軸方向に対して、上方に向かって開口面積が次第に小さくなる傾斜面30が形成されるので、内容物を振出し口8から振り出す際、外部に振り出せなかった内容物の、容器2内への落下を促進することができる。
【0032】
さらに、本発明の実施形態に係るキャップ1aでは、天面部7に設けた凹凸部32の隣接する凸部32A、32Aの間隔Sは、凹部32B内への内容物(例えば顆粒体50)の侵入を抑制する間隔Sに設定されるので、振出し口8から内容物が振り出されて、振出し口8周辺に内容物が飛び散っても、湯気(水分)51は凹凸部32における凹部32B内に入り込み、一方、内容物(例えば顆粒体50)は凹部32B内に入り込み難いので、内容物の水分51への付着がさらに抑制される。これにより、天面部7の、振出し口8周辺の上面への内容物の付着がさらに抑制される。
【0033】
さらにまた、本発明の実施形態に係るキャップ1aは、シリコーン系表面改質剤を被覆または混練した合成樹脂製にて成形され、その表面が撥水性を有するので、特に、振出し口8周辺の凹凸部32への水分51の付着を抑制することができる。これにより、天面部7の、振出し口8周辺の上面への内容物の付着がさらに抑制される。なお、本キャップ1aは、シリコーン系表面改質剤を被覆または混練した合成樹脂製にて成形されており、その表面の濡れ性の程度を定量化する接触角としてその角度がより大きいほうが好ましいが、例えば、接触角90°前後、あるいは接触角90°以上となるように、シリコーン系表面改質剤及びその配合率を適宜選択、設定したほうがよい。
【0034】
なお、他の実施形態に係るキャップ1bとして、図12に示すように、容器2の口部3に装着される胴部6を有し、天面部7に振出し口8を有するキャップ本体52と、該キャップ本体52にヒンジ53を介して連結されており、該キャップ本体52に被冠された際、振出し口8を閉塞する蓋体54と、を備え、このキャップ1bにおいて、天面部7であって、振出し口8周辺の上面に凹凸部32を形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1a、1b キャップ,2 容器,3 口部,6 胴部,7 天面部,8 振出し口,32 凹凸部,32A 凸部,32B 凹部,50 顆粒体(内容物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12