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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】温水ユニット
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
F24H9/02 301A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018102286
(22)【出願日】2018-05-29
(65)【公開番号】P2019207070
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】釼菱 壮司
(72)【発明者】
【氏名】岩本 淳
【審査官】長尾 裕貴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-66747(JP,A)
【文献】特開2005-92761(JP,A)
【文献】実開昭59-164261(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水生成機能または温水貯留機能を有する温水関連機器を内部に収容する外装ケースと、
この外装ケースのいずれかのケース壁部に断続的に設けられた複数のスリットを介して、前記ケース壁部の他の領域であるベース領域とは区画された状態に設けられ、かつ前記複数のスリットの相互間に位置する接続部を介して前記ベース領域に繋がっている切除可能領域と、
を備えている、温水ユニットであって、
前記接続部は、前記ベース領域側の第1の端部が、前記切除可能領域側の第2の端部よりも幅が狭い構成とされていることを特徴とする、温水ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の温水ユニットであって、
前記接続部の両側縁部または一側縁部は、前記第1および第2の端部の対向方向に対して傾斜しており、前記接続部の幅は、前記第2の端部から前記第1の端部に向けて進むにしたがって漸次減少する構成とされている、温水ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水ユニットであって、
前記接続部のうち、前記第1の端部には、この第1の端部の幅を部分的に狭くする切欠き凹部が形成されている、温水ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載の温水ユニットであって、
前記切欠き凹部は、前記第1の端部に加えて、前記ベース領域の一部をも切欠くように設けられている、温水ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の温水ユニットであって、
前記外装ケースは、配管部材または電気配線部材を通すための開口部、およびこの開口部を塞ぐためのカバー部材を備えており、
このカバー部材が、前記切除可能領域および前記ベース領域を備えている前記ケース壁部である、温水ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水関連機器が外装ケース内に収容されてユニット化された給湯器ユニットなどの温水ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
温水ユニットの一例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の温水ユニットにおいては、給湯器などの温水関連機器を内部に収容した外装ケースに、配管引き出し用の開口部が設けられており、かつこの開口部は、ケース壁部としてのカバー部材によって塞がれている。ただし、前記カバー部材には、複数のスリットが断続的に並んだ配列で設けられており、これら複数のスリットよりも下側の領域は、切除可能領域とされている。この切除可能領域は、複数のスリットの相互間に位置する接続部を介して複数のスリットよりも上側のベース領域に繋がっており、前記接続部を切断することによって、前記ベース領域から切除可能である。この切除可能領域を切除することにより、前記開口部の一部を開口させることができ、この部分を介して湯水流通用の配管部材を外装ケースの内側から外側に引き出すことが可能である。
このような構成によれば、前記開口部の全体を塞いだ状態と、その一部を開口させた状態とのいずれかを容易に選択することが可能である。したがって、いわゆるノックダウン方式(現地組み立て方式)で温水ユニットの設置作業を行なう場合に、融通性に優れたものとすることが可能である。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、前記カバー部材から切除可能領域を切除する場合には、ニッパなどの切断工具を用いて、接続部を切断する。このため、切除可能領域をカバー部材のベース領域から切除した状態においては、接続部の切断面が、ベース領域の縁部の端面に生じることとなる。この切断面には、バリが生じ易い。このため、前記切断面に温水ユニットの設置作業者やユーザの手が触れた場合に、怪我をする虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭58-66747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、切除可能領域を切除した場合に、その切断面にバリが発生することを適切に抑制することが可能な温水ユニットを提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される温水ユニットは、温水生成機能または温水貯留機能を有する温水関連機器を内部に収容する外装ケースと、この外装ケースのいずれかのケース壁部に断続的に設けられた複数のスリットを介して、前記ケース壁部の他の領域であるベース領域とは区画された状態に設けられ、かつ前記複数のスリットの相互間に位置する接続部を介して前記ベース領域に繋がっている切除可能領域と、を備えている、温水ユニットであっ
て、前記接続部は、前記ベース領域側の第1の端部が、前記切除可能領域側の第2の端部よりも幅が狭い構成とされていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ケース壁部の切除可能領域とベース領域とを繋ぐ接続部を、切断工具を用いて切断する場合、この接続部のうち、ベース領域側の第1の端部において切断すると、その切断面の面積を小さくすることができる。このため、切断面に大きなバリを生じ難くすることが可能である。また、接続部の第1の端部の幅が狭くされていれば、この部分を切断し易くなるため、このことによっても切断面に大きなバリを生じ難くする効果が期待できる。その結果、本発明によれば、ベース領域に形成される切断面のバリに起因して怪我を負うことを適切に抑制することが可能となる。
一方、接続部の第2の端部の幅は、第1の端部の幅よりも広いために、接続部を、その全長にわたって幅が狭くされた構成と比較すると、接続部の強度を高くすることができる。したがって、ベース領域から切除可能領域が切除されていない状態においては、これらベース領域と切除可能領域とを強固に繋げておくことも可能である。
【0010】
本発明において、好ましくは、前記接続部の両側縁部または一側縁部は、前記第1および第2の端部の対向方向に対して傾斜しており、前記接続部の幅は、前記第2の端部から前記第1の端部に向けて進むにしたがって漸次減少する構成とされている。
【0011】
このような構成によれば、ニッパなどの切断工具を用いて接続部を切断する場合において、切断工具の刃先が接続部の傾斜した側縁部に当接した際に、この側縁部が切断工具の刃先を接続部の第1の端部側にガイドする作用が期待できる。したがって、接続部の第1の端部を切断することが円滑かつ自然に実行され易くなり、切断面に大きなバリが生じることを抑制する上で、より好ましいものとなる。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記接続部のうち、前記第1の端部には、この第1の端部の幅を部分的に狭くする切欠き凹部が形成されている。
【0013】
このような構成によれば、前記切欠き凹部の位置で接続部を切断することにより、その切断面を小さくし、バリを生じ難くすることが可能となる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記切欠き凹部は、前記第1の端部に加えて、前記ベース領域の一部をも切欠くように設けられている。
【0015】
このような構成によれば、前記切欠き凹部の位置で接続部を切断すると、ベース領域に形成される切断面の横に切欠き凹部の一部が存在することとなる。このことにより、ベース領域の切断面にバリをより生じ難くすることができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記外装ケースは、配管部材または電気配線部材を通すための開口部、およびこの開口部を塞ぐためのカバー部材を備えており、このカバー部材が、前記切除可能領域および前記ベース領域を備えている前記ケース壁部である。
【0017】
このような構成によれば、配管部材または電気配線部材を外装ケースの内側から外側に引き出すための開口部を、カバー部材によって塞いだ状態と、開口させた状態とのいずれかを選択的に設定することが可能となる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】(a)は、本発明に係る温水ユニットの一例を示す背面斜視図であり、(b)は、その正面斜視図である。
図2図1(a)のII-II断面図である。
図3図1に示す温水ユニットの仕様変更を行なった状態の一例を示す背面斜視図である。
図4図3のIV-IV断面図である。
図5】(a)は、図1に示す温水ユニットの外装ケースのカバー部材の正面図であり、(b)は、(a)のVb-Vb断面図であり、(c)は、(a)のVc部の拡大正面図である。
図6】(a)は、図5に示すカバー部材の切除可能領域を切除した状態を示す正面図である。
図7】本発明の他の例を示す背面斜視図である。
図8】(a)は、本発明の他の例を示す要部正面図であり、(b)は、(a)に示す構成の接続部を切断した状態の要部正面図である。
図9】(a)および(b)は、本発明の他の例を示す要部正面図である。
図10】(a)~(c)は、本発明の他の例を示す要部正面図である。
図11】(a)は、本発明の他の例を示す斜視図であり、(b)は、(a)のXIb-XIb断面図であり、(c)は、(a)の要部拡大平面図である。
図12図11に示すカバー部材の切除可能領域を切除した状態を示す断面図である。
図13】本発明の他の例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
図1に示す温水ユニットUは、カバー部材2を含む外装ケース1を備えており、図2によく表れているように、外装ケース1内には、貯湯タンク3、補助熱源機4、および制御部5が収容されている。
【0022】
貯湯タンク3および補助熱源機4は、本発明でいう温水関連機器の具体例に相当する。この温水ユニットUは、たとえばヒートポンプなどの主熱源機(不図示)と組み合わせて用いられる貯湯式給湯装置に相当し、貯湯タンク3は、主熱源機によって加熱された湯水を貯留するための機器である。補助熱源機4は、貯湯タンク3から出湯する湯水温度が所望の給湯目標温度に満たないなどの場合に、その湯水を加熱するための機器であり、たとえばバーナ40、バーナ40によって発生された燃焼ガスからの熱回収により湯水加熱を行なうための熱交換器41,42、および熱回収後の燃焼ガスを排気口43に導いて外装ケース1の外部に排出するための排気集合筒44などを備えている。制御部5は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されており、温水ユニットUの各部の動作制御やデータ処理制御を実行する。
【0023】
外装ケース1は、たとえば表面に塗装が施されたカラー鋼板などを用いて形成されたパネル状の複数のケース壁部10(10a~10f)を備えた内部空洞状であり、縦長な略直方体の前側下部を窪ませた外観形態である。ただし、外装ケース1の全体形状などはこれに限定されない。複数のケース壁部10としては、具体的には、排気口43が設けられた第1の前壁部10a、その下側後方に位置する第2の前壁部10b、これら第1および第2の前壁部10a,10bに対向する後壁部10c、左右両側壁部10d、上壁部10e、ならびに中間底壁部10fがある。後壁部10cには、後述するように、カバー部材2がビス止めなどの手段を用いて取付けられている。このカバー部材2も、ケース壁部の概念に含まれる。
図面において、符号19は、外装ケース1の前側フレーム下部を示し、符号88はベース部材を示している。
【0024】
この温水ユニットUにおいては、図2に示すように、湯水流通用の複数の配管部材60を、第2の前壁部10bの前方に引き出すことが可能とされている(図1(b)では省略)。複数の配管部材60は、たとえば貯湯タンク3への入水用配管部、補助熱源機4からの出湯用配管部、および主熱源機との接続を図るための配管部材などである。ただし、温水ユニットUの後壁部10cの下部には、配管引き出し用の開口部11が設けられ、かつこの開口部11がカバー部材2によって覆われている。このことにより、後述するように、複数の配管部材60の全部または一部を開口部11から外装ケース1の後方に引き出すことが可能とされている。
【0025】
カバー部材2は、外装ケース1の他のケース壁部10と同様に、たとえばカラー鋼板などの金属板を用いて構成されている。
より具体的には、図5によく表れているように、カバー部材2には、細長状の複数のスリット23が断続的な配列で設けられている。これら複数のスリット23は、たとえば正面視略Π字状である。カバー部材2のうち、複数のスリット23によって囲まれた領域は、切除可能領域21であり、これ以外の領域は、ベース領域20である。ベース領域20には、ビス止め用の孔部28が設けられている。
【0026】
カバー部材2のうち、複数のスリット23の各相互間領域は、接続部24であり、複数の接続部24を介して切除可能領域21とベース領域20とは繋がっている。図5(c)によく表れているように、各接続部24は、正面視台形状であり、ベース領域20側の第1の端部24aの幅Laは、切除可能領域21側の第2の端部24bの幅Lbよりも小さくされている。接続部24の両側縁部24cは、第1および第2の端部24a,24bの対向方向に対し、適当な角度αだけ傾斜している。
このカバー部材2においては、複数の接続部24のそれぞれをニッパなどの切断工具を用いて切断することにより、図6に示すように、切除可能領域21をベース領域20から容易に切除することが可能である。
【0027】
次に、前記した温水ユニットUの作用について説明する。
【0028】
まず、温水ユニットUを設置する場合、種々の事情により、図2に示した複数の配管部材60の施工態様とは異なり、複数の配管部材60の全部または一部を外装ケース1の後方に引き出したい場合がある。この場合には、図6を参照して説明したように、カバー部材2の各接続部24を切断し、カバー部材2を切除可能領域21が切除されたカバー部材2’(ベース領域20のみの状態)に設定する。このカバー部材2’を、図3および図4に示すように、外装ケース1の後壁部10cに取付けることにより、開口部11を適度な開口面積で開口させることが可能となり、この開口部11を介して複数の配管部材60の全部または一部を外装ケース1の後方に引き出すことができる。したがって、配管施工作業の融通性に優れたものとなる。
【0029】
カバー部材2の接続部24を、切断工具で切断する場合、たとえば図5(c)の仮想線Cを切断線とするように、ベース領域20側の第1の端部24aを切断する。好ましくは、できる限りベース領域20に近い位置を切断する。このことにより、図6に示すように、ベース領域20に形成される切断面25は、寸法Laまたはこれに近い幅狭なものとなり、小サイズとなる。ここで、切断面25が小サイズであれば、この切断面25に発生するバリのサイズも小さくすることが可能となり、切断面25に手が触れた際に怪我を生じ難くすることが可能である。
【0030】
接続部24の側縁部24cは、傾斜しているため、接続部24を切断する際には、ベース領域20側の第1の端部24aを切断し易くする効果も期待できる。すなわち、接続部24の切断作業時において、切断工具の刃先が、たとえば図5(c)の矢印Naで示すように、接続部24の側縁部24cに当接した場合、側縁部24cが傾斜していることに起因し、切断工具の刃先は、矢印Nbで示すように、接続部24の第1の端部24a側に滑り、ガイドされる。その結果、作業者は、接続部24の第1の端部24aをごく自然に切断することとなる。このようなことから、第2の端部24b側を不当に切断して大きなバリが生じることは、より適切に解消される。なお、本実施形態では、接続部24の両側縁部24cを傾斜状に形成しているが、いずれか一方の側縁部24cのみを傾斜状とし、かつ他方を非傾斜状に形成した構成とすることもできる。
【0031】
接続部24の第2の端部24bの幅は比較的大きくされているため、接続部24自体の強度を確保することが可能である。本実施形態とは異なり、仮に、接続部24の全体が、寸法Laの小幅状であると、接続部24全体の強度が低くなる虞があるが、本実施形態によれば、そのような虞を回避することが可能である。なお、接続部24の全体を寸法Lbの大きな幅にした場合には、接続部24の切断面25が大きなサイズとなり、大きなバリが発生し易くなるが、本実施形態によれば、そのような不具合が解消されることは、既に述べたとおりである。
【0032】
図7図13は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0033】
図7に示す温水ユニットUaにおいては、外装ケース1の後壁部10cに、複数のスリット23および接続部24が形成され、切除可能領域21Bが直接設けられている。前記実施形態のカバー部材2は、用いられておらず、後壁部10cのうち、切除可能領域21B以外の領域が、ベース領域20Bである。
【0034】
本実施形態においては、切除可能領域21Bが後壁部10cのベース領域20Bから切除されていない場合には、後壁部10cに開口部が形成されていない状態にある。これに対し、切除可能領域21Bを切除すると、その切除領域が開口部となる。したがって、この開口部に、配管部材60を通すといったことが可能となる。
本実施形態から理解されるように、切除可能領域は、外装ケースに付属して取付けられるカバー部材(ケース壁部)に設けることに代えて、外装ケースの固定状のケース壁部に直接設けた構成とすることもできる。
【0035】
図8(a)に示す実施形態においては、接続部24の両側縁部24cは、第1およひ第2の端部24a,24bの対向方向に対して非傾斜状とされている。ただし、第1の端部24aには、切欠き凹部27が形成されており、このことによって第1の端部24aの幅Laは、第2の端部24bの幅Lbよりも小さくされている。
【0036】
本実施形態において、第1の端部24aを切断した場合には、図8(b)に示すように、その切断面25のサイズを小さくすることができ、前記実施形態と同様に、バリの発生を抑制することが可能である。また、接続部24に切欠き凹部27が形成されていれば、接続部24を切欠き凹部27の位置で切断することを作業者に促す効果も期待でき、第2の端部24b寄りの位置で切断される虞をなくし、または少なくすることも可能である。
本実施形態から理解されるように、本発明においては、接続部の第1の端部の幅を狭くするための手段として、第1の端部に切欠き凹部を設ける手段を採用することもできる。
【0037】
図9(a)に示す実施形態においては、接続部24の第1の端部24aに形成される切
欠き凹部27の一側面27bを傾斜状としている。このような構成によれば、切欠き凹部27内に切断工具の刃先を円滑に進入させ易くなる効果が期待できる。
図9(b)に示す実施形態においては、接続部24の第1の端部24aの幅を狭くするための切欠き凹部27が、ベース領域20の一部をも切欠くように設けられている。このような構成によれば、第1の端部24aを切断した場合に、その切断面の両側が窪んだ形状となる。このことにより、切断面にバリをより生じ難くすることができる。
【0038】
図10(a),(b)に示す実施形態においては、接続部24の両側縁部24cまたはそのいずれか一方が傾斜状に形成された上で、接続部24には、図8および図9に示したのと同様な切欠き凹部27が設けられている。このような構成によれば、接続部24が第1の端部24aで切断されることを、より確実化し得るといった効果が得られる。
図10(c)に示す実施形態においては、接続部24には切欠き凹部が形成されておらず、ベース領域20のうち、第1の端部24aの両側に切欠き凹部27aが形成されている。本発明においては、このような構成を採用することも可能であり、切欠き凹部27aの存在により、接続部24の切断面にバリが生じることをより防止する効果が期待できる。
【0039】
図11に示す実施形態においては、カバー部材2Aが、ベース領域20と切除可能領域21との間に段差を生じた段押し状のプレート材として構成されており、ベース領域20と切除可能領域21とは、ベース領域20からカバー部材2Aの前方に突出するように屈曲した段差壁部22を介して繋がっている。この段差壁部22に、複数のスリット23、および接続部24が形成されている。
【0040】
本実施形態においては、図12に示すように、切除可能領域21をベース領域20から切除すべく接続部24を切断した場合、その切断面25は、ベース領域20の一側面20b、またはこの一側面20bから前方に突出する突出部22cの先端に位置することとなる。したがって、作業者の手が切断面25に触れ難くなり、手に怪我をする虞をより確実に防止することが可能となる。また、ベース領域20の端面20aは、滑らかな面とすることが可能であり、この端面20aに手が触れた場合であっても、怪我を生じないようにすることができる。
このように、本発明においては、ベース領域20と切除可能領域21とに段差を生じさせた構成とすることもできる。
【0041】
図13に示す実施形態においては、複数のスリット23および接続部24が、カバー部材2Cの左右横幅方向の一端部から他端部にわたって略水平状に並んで設けられている。カバー部材2Cのうち、複数のスリット23および接続部24の上側領域の全体がベース領域20であり、下側領域の全体が切除可能領域21である。
本発明においては、複数のスリットおよび接続部の配列は、先に述べた正面視略Π字状に代えて、本実施形態のように、直線状としてもよく、その具体的な形状は限定されない。複数のスリットおよび接続部は、正面視円形状、矩形状、あるいはその他の形状のループ状とすることも可能である。
【0042】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る温水ユニットの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0043】
複数のスリットは、ベース領域と切除可能領域とを区画するように断続的に設けられていればよく、その具体的な形状、サイズ、配列ピッチなどは限定されない。スリットは、一般的には細幅な孔部を意味するが、本発明においては、幅が比較的広い孔部も、スリットの概念に含まれる。
複数のスリットの相互間に形成される接続部は、ベース領域側の第1の端部の幅が、切
除可能領域側の第2の端部よりも幅が狭い形態とされていればよく、そのための構成としては、上述の実施形態で例示されたものとは異なる構成とすることも可能である。
【0044】
上述の実施形態では、外装ケース1の後壁部10cに取付けられるカバー部材2,2A,2C、または後壁部10cに、切除可能領域21,21Bが設けられているが、本発明はこれに限定されず、外装ケース1の他の壁部10にも適用することが可能である。具体例を挙げると、たとえば外装ケース1の中間底壁部10fに、複数のスリット23および接続部24を形成して切除可能領域を設けておき、この切除可能領域を切除した場合には、このことによって中間底壁部10fに開口部が形成されるようにしてもよい。この場合、この開口部には、制御部5に接続された電気配線部材(ハーネス)を通すといったことが可能である。
本発明でいう外装ケースのケース壁部は、外装ケースの本体部を構成する壁部に限らず、外装ケースの本体部に付属して設けられる壁部(外装ケースのカバー部材など)も含む概念である。
【0045】
本発明でいう温水関連機器とは、温水生成機能または温水貯留機能を有する機器を意味するが、その具体的な種類や数は問わない。温水関連機器には、貯湯タンクや瞬間式の給湯器などの他に、たとえばヒートホンプやコージェネレーションシステム機器なども該当する。したがって、本発明に係る温水ユニットは、たとえば貯湯タンクユニット、給湯器ユニット、ヒートポンプユニット、コージェネレーションシステムなどとして構成することができる。
【符号の説明】
【0046】
U,Ua 温水ユニット
1 外装ケース
10c 後壁部(ケース壁部)
11 開口部
2,2A,2C カバー部材(ケース壁部)
20 ベース領域
21 切除可能領域
23 スリット
24 接続部
24a,24b 第1および第2の端部(接続部の)
24c 側縁部(接続部の)
25 切断面
3 貯湯タンク(温水関連機器)
4 補助熱源機(温水関連機器)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13