(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 51/32 20060101AFI20220706BHJP
B29C 51/26 20060101ALI20220706BHJP
B29C 51/08 20060101ALI20220706BHJP
B29C 51/38 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
B29C51/32
B29C51/26
B29C51/08
B29C51/38
(21)【出願番号】P 2018109287
(22)【出願日】2018-06-07
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】518201991
【氏名又は名称】株式会社KAZUM
(73)【特許権者】
【識別番号】520226182
【氏名又は名称】秋月 建記
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 一徳
(72)【発明者】
【氏名】秋月 建記
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-019108(JP,A)
【文献】米国特許第04600376(US,A)
【文献】特開平06-087153(JP,A)
【文献】米国特許第06943678(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 51/00-51/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の樹脂製シートを絞り成形して容器を得る成形装置において、
前記シートを送るシート送り部と、
前記シートを加熱するシート加熱部と、
前記シートの上に配置され、前記容器の外面を成形する成形用凹部が下方に開放するように形成された上金型と、
前記シートの下に配置され、前記成形用凹部に挿入されるプラグを有する下金型と、
前記上金型及び前記下金型を互いに接離する方向に駆動する型駆動装置と、
前記上金型及び前記下金型の少なくとも一方の金型に設けられ、前記上金型及び前記下金型が互いに接近する方向に駆動されて型が閉じた状態となったときに他方の金型と共に前記シートにおける前記容器の周縁部となる部分を切断するカット刃と
、
前記上金型及び前記下金型よりも前記シートの送り方向下流側に設けられ、前記シートの下に配置されて前記容器が載置される容器載置部材と、
前記容器載置部材を上下方向に移動させて下位置と上位置とに切り替える載置部材駆動装置と、
前記容器載置部材に載置されている前記容器から上方に離れて配置され、前記容器を吸着して搬送する吸着部とを備え
、
前記載置部材駆動装置は、前記容器載置部材を、前記容器が載置される前に下位置にしておき、前記容器が載置された後に上位置に切り替えるように構成されていることを特徴とする成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の成形装置において、
前記型駆動装置は、前記上金型を上下方向に駆動する上金型駆動装置と、前記下金型を上下方向に駆動する下金型駆動装置とを含んでおり、
前記上金型駆動装置により前記上金型を上方へ移動させ、前記下金型駆動装置により前記下金型を下方へ移動させて型を開いた状態と、前記上金型駆動装置により前記上金型を下方へ移動させ、前記下金型駆動装置により前記下金型を上方へ移動させて型を閉じた状態とに切り替えるように構成されていることを特徴とする成形装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の成形装置において、
前記プラグを前記下金型の上面から突出した成形位置と、前記下金型に収容された収容位置とに切り替えるプラグ駆動装置を備え、
前記プラグ駆動装置は、前記プラグを、成形時に成形位置とする一方、前記シートを送るときには収容位置とするように構成されていることを特徴とする成形装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか1つに記載の成形装置において、
前記型駆動装置は、前記シートを送るときに、前記下金型を、前記容器の成形時に比べて下げるように構成されていることを特徴とする成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製シートを絞り成形して容器を得る成形装置に関し、特に、絞り成形と同工程で容器をシートから切り離すことが可能な構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、特許文献1~3に開示されているように、ロール状に巻かれた樹脂製の長尺シートから複数の容器を得るように構成された成形装置がある。これら特許文献に開示されている成形装置では、シートを下方に窪むように絞り成形することにより、上方に開放した容器を得るようにしている。
【0003】
具体的には、特許文献1、2の成形装置は下金型とプラグとを備えており、下金型には上面に開口する凹部が形成され、この凹部の内面によって容器の外面が成形される。一方、プラグは、下金型の上面よりも上方の上方位置から凹部の内方へ向けて挿入される下方位置まで移動するように構成されており、プラグの外面によって容器の内面が成形される。成形時には、プラグを上方位置まで上昇させた後、そのプラグと下金型の上面との間に熱せられた樹脂製シートを配置してからプラグを下方位置まで降下させる。これにより、樹脂製シートがプラグによって下金型の凹部内へ向けて伸ばされて凹部の内面によって成形されるとともに、プラグの外面によって成形されて上方に開放した容器が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平1-156039号公報
【文献】国際公開第2014/157400号
【文献】特開2017-218179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、得られた容器をシートから切り離してシートとは別にし、容器のみを集積し、シートは穴のあいた状態で回収したい場合がある。この場合、シートを絞り成形して容器を得た後、容器の周縁部をシートから切り離す工程が別途必要になるので、成形装置にプレス装置を組み込んでトリミングを行うか、成形装置とは別にプレス装置を設置してトリミングを行う必要があり、いずれの構成であっても設備が大掛かりなものになってしまう。
【0006】
また、プレス装置を設置した場合、容器をシートから切り離すことはできたとしても、切り離した後の容器をプレス装置から取り出すのが課題となる。すなわち、特許文献1、2のように、樹脂シートを絞り成形する際には、シートに対してプラグを上方から押し当てて下方に窪むように成形するのが一般的であるので、容器の上端部がシートに対して連なって一体に成形されることになり、この容器の上端部の周縁部をカットすると、容器が自重によってシートの下へ落ちることになる。このとき、仮に、容器を下方から支持していたとしても、カットすると同時に容器の上端部がシートよりも下に位置するような変位が起こりやすく、従って、シートと容器とは上下方向に離れてしまい、シートとは別に容器をピックアップしなければならないので手間がかかるという問題があった。この問題は多数の容器を連続して成形する場合には特に顕著なものとなる。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、樹脂製シートを絞り成形することによって得た容器を当該シートから切り離す場合に、設備が大掛かりなものになるのを回避するとともに、シートから切り離した容器を当該シートと共に装置から容易に出すことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、上金型に成形用凹部を設け、下金型にプラグを設けておき、上金型及び下金型の少なくとも一方の金型に設けたカット刃によってシートにおける容器の周縁部となる部分を切断するようにした。
【0009】
第1の発明は、長尺状の樹脂製シートを絞り成形して容器を得る成形装置において、前記シートを送るシート送り部と、前記シートを加熱するシート加熱部と、前記シートの上に配置され、前記容器の外面を成形する成形用凹部が下方に開放するように形成された上金型と、前記シートの下に配置され、前記成形用凹部に挿入されるプラグを有する下金型と、前記上金型及び前記下金型を互いに接離する方向に駆動する型駆動装置と、前記上金型及び前記下金型の少なくとも一方の金型に設けられ、前記上金型及び前記下金型が互いに接近する方向に駆動されて型が閉じた状態となったときに他方の金型と共に前記シートにおける前記容器の周縁部となる部分を切断するカット刃とを備えていることを特徴とする。このカット刃の形状や構造は特に限定されるものではなく、シートにせん断力を作用させて切断する構成とすることができる。
【0010】
第1の発明によれば、型駆動装置によって上金型及び下金型が互いに接近し、シートの一部に対して下金型のプラグが下方から押し当てられると、シートはシート加熱部によって加熱されているので、シートが伸びて上金型の成形用凹部によって成形され、これにより、容器が得られる。上金型及び下金型が閉じた状態では、カット刃により容器の周縁部が切断されてシートから切り離される。よって、容器をシートから切り離すためのプレス装置は不要になる。
【0011】
その後、型駆動装置により上金型及び下金型を互いに離れる方向に移動させた後、シートをシート送り部によって送る。このとき、容器が自重で落下しようとするが、容器の下には下金型が位置しているので、容器は下金型に載置された状態になり、下金型によって落下が防止される。一方、シートには容器を切り離した跡が穴として残っているので、下方へ変位した容器は、その周壁部がシートの穴の内方に位置することになる。従って、シートを送ると、容器の周壁部が穴の周縁部に引っ掛かった状態になるので、容器がシートと一緒に下流側へ送られることになる。これにより、容器を上金型と下金型との間から容易に取り出すことが可能になる。
【0012】
シートの成形方法としては、真空成形法や圧空成形法、これらを組み合わせた真空圧空成形法を使用することができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、前記型駆動装置は、前記上金型を上下方向に駆動する上金型駆動装置と、前記下金型を上下方向に駆動する下金型駆動装置とを含んでおり、前記上金型駆動装置により前記上金型を上方へ移動させ、前記下金型駆動装置により前記下金型を下方へ移動させて型を開いた状態と、前記上金型駆動装置により前記上金型を下方へ移動させ、前記下金型駆動装置により前記下金型を上方へ移動させて型を閉じた状態とに切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、シート送り部によりシートを送っている最中には、型を開いた状態としておくことで、上金型からシートから上方へ退避し、下金型がシートから下方へ退避することになるので、シートと、上金型及び下金型との干渉が抑制される。
【0015】
また、前記上金型及び前記下金型よりも前記シートの送り方向下流側に設けられ、前記シートの下に配置されて前記容器が載置される容器載置部材と、前記容器載置部材を上下方向に移動させて下位置と上位置とに切り替える載置部材駆動装置と、前記容器載置部材に載置されている前記容器から上方に離れて配置され、前記容器を吸着して搬送する吸着部とをさらに備え、前記載置部材駆動装置は、前記容器載置部材を、前記容器が載置される前に下位置にしておき、前記容器が載置された後に上位置に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、上金型及び下金型により成形された容器がシートの送り方向下流側へ移動していくと、容器載置部材に載置される。このとき、容器載置部材が下位置にあるので、容器が吸着部に吸着されることはなく、容器載置部材に載置する動作が吸着部によって阻害されない。その後、載置部材駆動装置が容器載置部材を上位置にすることで容器が上昇して吸着部に接近する。これにより、容器を吸着部によって吸着して搬送することが可能になる。吸着部は、例えば真空圧を利用したものとすることができる。
【0017】
第3の発明は、第1または2の発明において、前記プラグを前記下金型の上面から突出した成形位置と、前記下金型に収容された収容位置とに切り替えるプラグ駆動装置を備え、前記プラグ駆動装置は、前記プラグを、成形時に成形位置とする一方、前記シートを送るときには収容位置とするように構成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、シートを送るときにはプラグが収容位置となり、下金型に収容されるので、プラグとシートとが干渉し難くなる。
【0019】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、前記型駆動装置は、前記シートを送るときに、前記下金型を、前記容器の成形時に比べて下げるように構成されていることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、シートを送るときには下金型が容器の成形時に比べて下がるので、下金型とシートとが干渉し難くなる。特に、加熱されたシートは撓みやすくなっており、下金型を下方へ逃がすことにより、下金型がシートと接触しないように、また、下金型がシートと接触したとしても僅かな接触で済ませることができる。
【発明の効果】
【0021】
第1の発明によれば、上金型に成形用凹部を設け、下金型にプラグを設けておき、上金型及び下金型の少なくとも一方の金型に設けたカット刃によって容器の周縁部を切断するようにしたので、プレス装置が不要になって設備が大掛かりなものになるのを回避できるとともに、シートから切り離した容器を当該シートの送り動作により成形装置から容易に出すことができる。
【0022】
第2の発明によれば、上金型駆動装置により上金型を上方へ移動させ、下金型駆動装置により下金型を下方へ移動させて型を開いた状態にすることができるので、シートと、上金型及び下金型との干渉を抑制することができる。
【0023】
また、容器載置部材を下位置にした状態で容器を載置し、その後、容器載置部材を上位置にするようにしたので、容器載置部材に容器を載置する際にその動作が吸着部によって阻害されないようにしながら、容器を吸着部によって吸着して搬送することができる。
【0024】
第3の発明によれば、シートを送るときにプラグを下金型に収容することができるので、プラグとシートとが干渉し難くなる。
【0025】
第4の発明によれば、シートを送るときに下金型を下げることができるので、下金型とシートとが干渉し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施形態に係る成形装置の側面図である。
【
図2】型駆動装置、上金型及び下金型の側面図であり、型が閉じた状態を示す。
【
図4】上金型及び下金型の断面図であり、型が開いた状態を示す。
【
図6】プラグが成形位置にある状態を示す
図4相当図である。
【
図7】シートを空気圧で上金型の内面に密着させた状態を示す
図4相当図である。
【
図8】容器の成形後、型が開いた状態を示す
図4相当図である。
【
図9】容器を容器載置部材に載置した状態を示す
図4相当図である。
【
図10】容器が載置された容器載置部材を上位置に切り替えた状態を示す
図4相当図である。
【
図11】容器載置部材に載置されている容器を吸着部により吸着して搬送する状態を示す
図4相当図である。
【
図12】変形例に係る搬出部の構成を示す図である。
【
図13】変形例に係る容器載置部材を上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る成形装置1の側面図である。成形装置1は、長尺状の樹脂製シートSを絞り成形して容器100を得ることができる装置である。容器100は例えばカップ、碗、箱等のように、使用状態とされたときに上端部が開口した各種容器を挙げることができる。容器100の大きさは特に限定されないが、例えば深さが5cm~15cm程度、径が5cm~10cm程度の容器100を成形することができ、このような深さを有する容器100は、いわゆるシートSを絞り成形、深絞り成形することで得ることができる。シートSは、従来から絞り成形に使用されているシートであればよく、ポリプロピレン等からなるシートや、複数種の樹脂が積層されたシート等を使用することができる。このようなシートSは、数十m以上の長さを有しており、コイル状に巻かれた状態で成形装置1に供給することができる。
【0029】
シートSは、
図1の左側から右側へ向かって送られるようになっている。
図1の左側に、コイル状に巻かれたシートSを仮想線で示している。
図1の右側には、容器100の成形が終わったシートSが巻き取られた状態(回収された状態)を仮想線で示している。この実施形態の説明では、成形装置1の方向を定義する際に、シートSの送り方向を基準として上流側及び下流側と定義する。上流側は
図1の左側になり、下流側が
図1の右側になる。また、成形装置1をシートSの送り方向上流側から見たとき、左側となる側を成形装置1の左といい、右側となる側を成形装置1の右というものとする。成形装置1の左右方向は成形装置1の幅方向である。
【0030】
(成形装置1の全体構成)
成形装置1は、シート送り部2と、シート加熱部3と、成形部4と、搬出部5と、吸着部6と、制御盤7とを備えている。シート送り部2により送られたシートSがシート加熱部3により加熱される。加熱されたシートSが成形部4に送られると、成形部4によって容器100が成形され、成形された容器100は、後述するように、シートSの送り動作によって搬出部5へ自動的に搬出される。搬出部5へ搬出された容器100は、吸着部6により吸着されて別の場所に搬送される。吸着部6により搬送された容器100は、所定場所に積み重ねられて集積される。
【0031】
成形装置1のシート送り部2よりも上流側には、コイル状に巻かれたシートSを繰り出し可能に支持する上流側支持台8が設けられている。成形装置1の搬出部5よりも下流側には、容器100の成形が終わったシートSを巻き取った状態で支持する下流側支持台9が設けられている。上流側支持台8及び下流側支持台9も成形装置1を構成する部材である。
【0032】
(シート送り部2の構成)
成形装置1は、例えば工場の床面200等に固定された基台10を備えている。シート送り部2は、成形装置1の上流側に配設されており、この実施形態では、上流側支持台8とシート加熱部3との間に位置している。基台10の上部にシート送り部2が固定されており、シート送り部2は上流側支持台8よりも高い所に配置される。従って、シートSは、上流側支持台8から下流側へ向かってシート送り部2まで上へ延びるように該シート送り部2にセットされることになる。
【0033】
シート送り部2は、シートSを下流側へ向けて送るための送り装置によって構成されている。例えば、水平軸回りに回転駆動されるローラ等をシートSに押し付け、ローラの外周面とシートSの表面との摩擦力を利用して送る送り装置等があるが、これに限られるものではなく、各種送り装置を使用することができる。シート送り部2は制御盤7に接続されており、この制御盤7によって制御され、シートSの送り開始、停止、送り速度の調整が行われる。図示しないが、シートSの幅方向(成形装置1の左右方向)両端部を水平方向に案内する案内部材が成形装置1には設けられており、シートSは、
図2に仮想線で示すように、略水平方向に延びる姿勢で上流側から下流側へ送られるようになっている。
【0034】
尚、シート送り部2は、成形装置1の上流側に配設されていなくてもよく、例えば成形装置1のシートSの送り方向中間部や下流側に配設されていてもよい。
【0035】
(シート加熱部3の構成)
シート加熱部3は、シート送り部2の下流側に配設されており、この実施形態では、シート送り部2と成形部4との間に位置している。基台10の上部においてシート送り部2の下流側にシート加熱部3が固定されており、シート加熱部3は上流側支持台8よりも高い所に配置される。
【0036】
シート加熱部3は、ヒータ支持部材3aと、上側ヒータ3bと、下側ヒータ3cと、ヒータ昇降装置3dとを備えている。ヒータ支持部材3aは、基台10の上部から上方へ突出するように構成されている。ヒータ支持部材3aの上部にヒータ昇降装置3dが設けられている。ヒータ昇降装置3dは、ワイヤ3eと、ワイヤ3eが巻き掛けられるプーリ3fと、プーリ3fを正逆回転させるモータ(図示せず)とを備えている。
【0037】
ワイヤ3eの一端部には、上側ヒータ3bが固定されている。上側ヒータ3bは、シートSの上面に対向するように配置され、該シートSを上方から加熱する電気式ヒータである。一方、ワイヤ3eの他端部には、下側ヒータ3cが固定されている。下側ヒータ3cは、シートSの下面に対向するように配置され、該シートSを下方から加熱する電気式ヒータである。プーリ3fを回転させると、ワイヤ3eが送られ、ワイヤ3eが送られることで上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cを昇降させることができるようになっている。
【0038】
図1に実線で示すように、上側ヒータ3bを上昇端位置にすると、下側ヒータ3cが下降端位置になり、これにより、上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cがシートSから離れて退避状態になる。プーリ3fを回転させ、
図1に仮想線で示すように、上側ヒータ3bを下降端位置にすると、下側ヒータ3cが上昇端位置になり、これにより、上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cがシートSに接近した状態になる。この実施形態では、上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cを昇降させることによってシートSに接近した状態とシートSから退避した状態とに切り替えることができるので、成形装置1の幅方向にヒータを移動させる場合に比べて成形装置1の幅が広くなってしまうのを抑制することができる。
【0039】
シート加熱部3の上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cと、プーリ3fを回転させるためのモータとは、制御盤7に接続されており、この制御盤7によって制御される。例えば、シートSが成形に適した温度となるように、上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cの出力を調整することや、加熱が不要な時に上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cをシートSから退避した状態にし、加熱が必要な時に上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cをシートSに接近した状態にすることができる。
【0040】
尚、シート加熱部3は、加熱効率を高めるために、閉空間とすることができる。
【0041】
(成形部4の構成)
成形部4は、シート加熱部3の下流側に設けられており、上金型40と、下金型41と、型駆動装置42とを備えている。上金型40は、シートSの上に配置されている。
図4に示すように、上金型40には、容器100の外面を成形するための成形用凹部40aが下方に開放するように形成されている。尚、
図4では、成形部4の一部のみ示している。
【0042】
成形用凹部40aの内面には、複数の吸着孔(図示せず)が形成されている。これら吸着孔には真空引き配管4aが接続されている。真空引き配管4aを介して吸着孔に負圧が作用するようになっており、負圧によってシートSが成形用凹部40aの内面に密着するように変形して成形される。これにより真空成形が可能になる。上金型40の下面には、上側カット刃40bが成形用凹部40aの下端開口を囲むように連続して形成されている。
【0043】
下金型41は、プラグ41bを有するとともに、上金型40の真下、即ち、シートSの下に配置されている。下金型41には、プラグ41bを収容するプラグ収容凹部41aが下方に窪むように形成されている。プラグ収容凹部41aは上方に開放しており、このプラグ収容凹部41aの上端開口と、上金型40の成形用凹部40aの下端開口とは略一致するようになっている。プラグ収容凹部41aの内面には、図示しない空気吐出孔が形成されている。空気吐出孔には、圧縮空気を導入するための導入配管4bが接続されている。導入配管4b及び空気吐出孔を介してプラグ収容凹部41aに圧縮空気を導入することができるようになっており、圧縮空気によってシートSが上金型40の成形用凹部40aの内面に密着するように変形して成形される。これにより、圧空成形が可能になる。この実施形態に係る成形装置1は、上金型40の真空と、下金型の圧縮空気とを利用して成形することが可能な真空圧空成形機である。尚、上金型40の真空と、下金型の圧縮空気との一方のみを利用して成形するようにしてもよい。
【0044】
下金型41の上面には、下側カット刃41cがプラグ収容凹部41aの上端開口を囲むように連続して形成されている。例えば、
図5に示すように型が閉じた状態では、下側カット刃41cと上側カット刃40bとによってシートSに対してせん断力を作用させ、このせん断力によってシートSにおける容器100の周縁部となる部分を切断することができるようになっている。つまり、上金型40及び下金型41が互いに接近する方向に駆動されて型が閉じた状態となったときに、一方の金型のカット刃が他方の金型のカット刃と共にシートSにおける容器100の周縁部となる部分を切断するように構成されている。尚、シートSに対して切断可能なせん断力を作用させることができればよいので、下側カット刃41cと上側カット刃40bの一方のみを設けて、そのカット刃と、金型のエッジ部分とで容器100の周縁部を切断するようにしてもよい。カット刃の構造及び形状は特に限定されるものではない。
【0045】
下金型41の下方には、プラグ41bを上下方向に駆動するプラグ駆動装置43が設けられている。プラグ駆動装置43は、例えば流体圧シリンダや送りネジ装置等で構成することができ、制御盤7に接続され、この制御盤7によって制御される。プラグ駆動装置43の上部にプラグ41bの下部が固定されている。プラグ41bは円柱に近い形状とされている。プラグ41bの上面は、上方へ突出するように湾曲形成されている。プラグ41bの形状は図示した形状に限られるものではなく、容器100の形状等に応じて適宜変更することができる。
【0046】
プラグ駆動装置43は、プラグ41bを、下金型41の上面から突出した成形位置(
図6に示す)と、下金型41のプラグ収容凹部41aに収容した収容位置(
図4や
図5等に示す)とに切り替えるためのものである。プラグ駆動装置43は、プラグ41bを、容器100の成形時には成形位置とする一方、シートSを送るときには収容位置とするように構成されている。成形位置にあるプラグ41bの上面がシートSに対して下方から押し当てられることにより、シートSが上方へ伸ばされて上金型40の成形用凹部40aの内面に接近するようになっている。シートSを送るときにはプラグ41bが収容されるように、プラグ41bの動きを制御することができる。この実施形態の成形装置1は、シートSに押し付けられるプラグ41bを備えているのでプラグアシスト型の成形装置である。
【0047】
型駆動装置42は、上金型40及び下金型41を互いに接離する方向に駆動するための装置であり、制御盤7に接続され、この制御盤7によって制御される。型駆動装置42は、上金型40を上下方向に駆動する上金型駆動装置44と、下金型41を上下方向に駆動する下金型駆動装置45とを含んでいる。そして、上金型駆動装置44により上金型40を上方へ移動させ、下金型駆動装置45により下金型41を下方へ移動させて型を開いた状態と、上金型駆動装置44により上金型40を下方へ移動させ、下金型駆動装置45により下金型41を上方へ移動させて型を閉じた状態とに切り替えるように構成されている。上金型駆動装置44と下金型駆動装置45とは、制御盤7によって制御され、同期するようになっている。
【0048】
すなわち、上金型駆動装置44は、例えば流体圧シリンダや送りネジ装置等、またはこれらの組み合わせで構成されており、基台10に対して支持部材等(図示せず)を介して動かないように固定されている。上金型駆動装置44の下部に、上金型40が連結されており、上金型駆動装置44が伸長動作を行うことによって上金型40が下降し(
図5に示す)、一方、上金型駆動装置44が縮む動作を行うことによって上金型40が上昇する(
図4に示す)。制御盤7からの信号によって上金型駆動装置44の動作開始タイミング及び動作量が決定される。
【0049】
図2及び
図3に示すように、下金型駆動装置45は、電動モータ45aと、減速機45bと、駆動レバー45cと、駆動リンク45dと、第1従動レバー45eと、第2従動レバー45fと、コンロッド45hとを備えている。電動モータ45aは、制御盤7に接続され、この制御盤7によって制御される。電動モータ45aの出力は減速機45bに入力される。駆動レバー45cは減速機45bの出力軸(成形装置1の幅方向且つ水平方向に延びる軸)に固定されており、該出力軸の回転力によって水平軸回りに回動するようになっている。駆動レバー45cの先端部には、駆動リンク45dの一端部が水平軸回りに回転可能に連結されている。
【0050】
一方、第1従動レバー45eと、第2従動レバー45fとは相対的に回転しないように、軸45gを介して一体化されている。軸45gは、水平方向に延びるとともに、基台10に対して回転可能に支持されている。よって、第1従動レバー45eと第2従動レバー45fは、水平軸回りに一緒に回転することになる。第1従動レバー45eの先端部に、駆動リンク45dの他端部が水平軸回りに回転可能に連結されている。
【0051】
第2従動レバー45fの先端部には、コンロッド45hの一端部が水平軸回りに回転可能に連結されている。コンロッド45hの他端部は、下金型41とコンロッド45hとを連結するための連結部材41eに対して水平軸回りに回転可能に連結されている。下金型41と、プラグ41bと、プラグ駆動装置43とは、一体化されて一緒に昇降するようになっている。
【0052】
電動モータ45aが回転すると、駆動レバー45cが回動し、駆動リンク45dが
図1の左右方向に移動する。駆動リンク45dの移動力は第1従動レバー45eに伝達されて第1従動レバー45e及び第2従動レバー45fが水平軸回りに回動する。第2従動レバー45fが回動すると、コンロッド45hが上下方向に移動することになり、これにより、コンロッド45hが連結部材41eを介して連結された下金型41が昇降動作する。電動モータ45aの回転方向によって下金型41を上昇させたり、下降させることができる。制御盤7からの信号によって電動モータ45aの回転方向、回転速度、回転開始及び停止を制御することができるようになっており、これにより、下金型41の動作開始タイミング及び動作量が決定される。
図2に示す状態は、下金型41が上昇端に位置した状態であり、
図3に示す状態は、下金型41が下降端に位置した状態である。
【0053】
上述した下金型駆動装置45の構成は一例であり、上述した構成に限られるものではない。例えば流体圧シリンダ等で下金型駆動装置45を構成することもできる。
【0054】
また、型駆動装置42は、シート送り部2がシートSを送るときに、下金型41を、容器100の成形時に比べて下げるように構成されている。すなわち、
図4に示すように、シート送り部2がシートSを送るときには、下金型41の上面がシートSの軌跡(仮想線で示す)よりも下に位置するように、下金型駆動装置45を作動させる。これにより、下金型41の上面とシートSの下面との間に所定の隙間が形成される。尚、下金型41の上面とシートSの下面との間には所定の隙間が形成されなくてもよく、この場合も下金型41の上面が下がっている分、シートSの下面との干渉の程度を低くすることができる。その後、シートSの送り動作が停止すると、
図5~
図7に示すように容器100の成形時に、下金型41の上面がシートSの下面に接触するように、下金型駆動装置45を作動させる。
【0055】
シート送り部2によるシートSの送り動作が停止すると、型駆動装置42の下金型駆動装置45は、下金型41を、シートSの送り時に比べて上昇させる(
図5に示す)。このときの下金型41の上面は、シートSの軌跡上、即ちシートSの下面に接触する位置になる。
【0056】
尚、上金型40及び下金型41は、シートSの送り方向に複数並べて設けてもよいし、成形装置1の左右方向に複数並べて設けてもよい。また、1つの上金型40に成形用凹部40aを複数形成してもよいし、1つの下金型41にプラグ収容凹部41aを複数形成してもよい。
【0057】
(搬出部5の構成)
図1に示すように、搬出部5は、成形部4の下流側に設けられており、支持台50と、容器載置部材51と、載置部材駆動装置52とを備えている。支持台50は、床面200に固定されている。支持台50の上面には、載置部材駆動装置52が固定されている。この載置部材駆動装置52には、容器載置部材51が固定されている。容器載置部材51は、上金型40及び下金型41よりもシートSの送り方向下流側に設けられ、シートSの下に配置される。容器載置部材51と、上金型40及び下金型41とは接近しており、容器載置部材51と、上金型40及び下金型41との間に容器100が落下しないようになっている。
【0058】
容器載置部材51には、成形された直後の容器100が、上金型40及び下金型41の間からシートSとともに下流側へ送られた際に載置されるようになっている。容器載置部材51は、例えば水平方向に延びる板材等で構成することができる。容器載置部材51の下流側の端部は、下方へ屈曲ないし傾斜させることができる。これにより、容器載置部材51の上面に載置されている容器100が容器載置部材51の上面から下流側へ移動しやすくなる。
【0059】
載置部材駆動装置52は、容器載置部材51を上下方向に移動させて下位置と上位置とに切り替えるための装置であり、例えば流体圧シリンダや送りネジ装置等で構成することができる。載置部材駆動装置52は、制御盤7に接続され、この制御盤7によって制御される。載置部材駆動装置52は、容器載置部材51を、容器100が載置される前に下位置(
図8、
図9及び
図11に示す)にしておき、容器100が載置された後に上位置(
図10に示す)に切り替えるように構成されている。
【0060】
容器載置部材51が下位置にあるときには、容器載置部材51の上面がシートSの軌跡よりも下に位置することになる。これにより、容器100が上金型40及び下金型41の間からシートSとともに下流側へ送られた際に容器載置部材51に引っ掛かるようになることはなく、容器載置部材51に確実に載置される。
【0061】
容器載置部材51が上位置にあるときには、容器載置部材51の上面がシートSの軌跡と略同じか、シートSの軌跡よりも上に位置することになる。これにより、容器100の上端部が吸着部6に接近することになり、容器100が吸着部6によって吸着されやすくなる。
【0062】
(吸着部6の構成)
吸着部6は、容器載置部材51に載置されている容器100の上端部から上方に離れて配置され、容器100を吸着して搬送するための装置である。吸着部6には、真空引き配管6aが接続されており、吸着部6の下端部には負圧が作用するようになっている。また、吸着部6は、例えば搬送装置(図示せず)に固定されるアーム6bを有しており、このアーム6bが搬送装置に固定された状態で搬送装置によって容器100を任意の場所に搬送することができるようになっている。搬送装置は、例えばロボット等であってもよい。
【0063】
(制御盤7の構成)
制御盤7は、シート送り部2、シート加熱部3、成形部4、搬出部5及び吸着部6を制御する制御装置であり、例えば、従来から周知のマイクロコンピュータやシーケンサ等で構成することができる。制御盤7には、シート送り部2、シート加熱部3、成形部4、搬出部5及び吸着部6の動作タイミングや動作速度、動作順等をプログラムとして記憶させることができるようになっている。制御盤7は、記憶されているプログラムに従い、シート送り部2、シート加熱部3、成形部4、搬出部5及び吸着部6を後述するように動作させる。
【0064】
(製造方法)
次に、上記のように構成された成形装置1を使用して容器100を成形する方法について説明する。以下に説明する方法は、制御盤7に記憶されているプログラムによって実現することができるが、作業者がそれぞれ行うようにしてもよい。
【0065】
まず、シートSをシート送り部2にセットする。これは作業者が行う。そして、作業者が制御盤7を操作すると、シート送り部2がシートSを所定位置まで送る。また、シート加熱部3の上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cをONにして通電を開始して予熱が完了した後、上側ヒータ3bを下降端位置にし、下側ヒータ3cを上昇端位置にする。これにより、上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cがシートSに接近して、シートSを成形に適した所定温度となるまで加熱する。シートSは、上側ヒータ3b及び下側ヒータ3cにより加熱されることで柔らかくなり、撓むように変形することがある。
【0066】
また、成形部4は、
図4に示すように型駆動装置42によって型が開いた状態としておく。このとき、上金型駆動装置44によって上金型40を上方へ移動させるとともに、下金型駆動装置45によって下金型41を下方へ移動させて、シートSの上面及び下面に上金型40及び下金型41が当たらないようにする。これにより、シートSを送る際にシートSと上金型40及び下金型41とが干渉しないようにすることができる。
【0067】
シート送り部2によるシートSの送りを停止させた後、
図5に示すように、上金型駆動装置44によって上金型40を下方へ移動させるとともに、下金型駆動装置45によって下金型41を上方へ移動させて型を閉じた状態にする。下側カット刃41cと上側カット刃40bとによってシートSに対してせん断力を作用させ、このせん断力によってシートSにおける容器100の周縁部となる部分が完全に切断される。このとき、容器100の周縁部となる部分は、上金型40の成形用凹部40aの周縁部と、下金型41のプラグ収容凹部41aの周縁部とによって厚み方向に挟持しておくことができる。シートSを切断するタイミングは、型が開くまでであればよく、容器100の成形が完了するまでは切断せずに、容器100の成形が完了した後に、上金型40を下に移動させるか、下金型41を上に移動させることによってシートSに対してせん断力を作用させて切断するようにしてもよい。
【0068】
その後、
図6に示すように、プラグ駆動装置43によりプラグ41bを上昇させて下金型41の上面から突出した成形位置とする。これにより、プラグ41bの上面によってシートSが上方へ伸ばされて上金型40の成形用凹部40aの内面に接近する。
【0069】
このとき、真空引き配管4aを介して上金型40の成形用凹部40a内に負圧が作用しているとともに、導入配管4bを介して下金型41のプラグ収容凹部41aに圧縮空気が導入されているので、
図7に示すように、シートSが上金型40の成形用凹部40aの内面に密着して該内面によって成形されて容器100となる。以上のようにして容器100の成形が完了する。
【0070】
次いで、
図8に示すように、上金型駆動装置44によって上金型40を上方へ移動させるとともに、下金型駆動装置45によって下金型41を下方へ移動させて型を開いた状態にする。この間に容器100が次第に冷却されていき、容器100を構成する樹脂が硬化する。型を開くとき、図示しないが、従来から周知のように上金型40に設けた脱型ピン等により、容器100を下方へ押して上金型40から離型する。上金型40から離型した容器100は、容器100の自重により、容器100の下端部(容器100の使用時には上端部となる)が下金型41の上面に載置された状態になり、下金型41によって容器100が下方から支持されて容器100の落下を抑制することができる。下金型41は、上述したように、下金型41の上面がシートSよりも下に位置するように、下金型駆動装置45によって下降しているので、容器100の下端部はシートSの下面よりも下に位置することになる。
【0071】
また、
図8に示すように、シートSには、容器100が切断された跡に穴S1が形成されることになる。容器100の下端部がシートSの下面よりも下に位置しているので、穴S1の高さは、容器100の下端部よりも上、即ち容器100の周壁部(側面部)に対応する高さとなる。従って、その後、シート送り部2によりシートSを送ると、容器100の周壁部がシートSの穴S1の周縁部に引っ掛かった状態になって係合するので、容器100がシートSと一緒に下流側へ送られることになる。これにより、容器100を取り出す専用の部材や装置を設けることなく、シートSを利用して当該容器100を上金型40と下金型41との間から容易に取り出すことが可能になる。以上のように、型が開いた時の下金型41の高さを設定しているので、容器100の周壁部とシートSの穴S1の周縁部とを確実に係合させることができる。
【0072】
シート送り部2の動作によって上金型40と下金型41との間から取り出された容器100は、
図9に示すように容器載置部材51の上面に載置される。このとき、容器載置部材51は下位置とされており、容器100の上端部(容器100の使用時には下端部となる)と、吸着部6の下端部とは所定距離離れている。この所定距離は、容器100の重量や吸着部6が発揮する吸着力等によって設定することができる距離であり、容器100が吸着部6に吸着されない距離以上離しておくのが好ましい。具体的には、容器100の重量が重ければ、軽い場合に比べて短くすることができ、また、吸着部6が発揮する吸着力が大きければ、小さい場合に比べて長くすることができる。
【0073】
容器載置部材51の上面に容器100を載置した後、
図10に示すように、載置部材駆動装置52は、容器載置部材51を上位置に切り替える。これにより、容器100の上端部と、吸着部6の下端部との距離が所定距離未満になるので、容器100が吸着部6に吸着される。上位置にしたときの容器100の上端部と吸着部6の下端部との距離は、容器100の上端部が確実に吸着されるように設定する。
【0074】
その後、
図11に示すように、載置部材駆動装置52は、吸着部6を動かすことなく、容器載置部材51を下位置に切り替える。容器100の上端部が吸着部6に吸着されているので容器100は容器載置部材51の上面から離れた状態になる。そして、搬送装置によって容器100を任意の場所に搬送して集積する。容器100は下に開口した状態で成形されるので、上下反転させることなく、そのままの状態で積み重ねてストックすることができる。
【0075】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態に係る成形装置1によれば、上金型40及び下金型41によって容器100を得ることができ、しかも、下側カット刃41cと上側カット刃40bとにより容器100の周縁部となる部分を切断してシートSから切り離すことができる。よって、容器100をシートSから切り離すためのプレス装置は不要になるので、設備が大掛かりなものになるのを回避することができる。
【0076】
シートSには容器100を切り離した跡が穴S1として残っているので、シートSをシート送り部2によって送る際に、容器100の周壁部が穴S1の周縁部に引っ掛かった状態になり、容器100をシートSと一緒に下流側へ送ることができる。これにより、容器100を上金型40と下金型41との間から容易に取り出すことができる。
【0077】
また、シートSを送るときにプラグ41bを下金型41のプラグ収容凹部41aに収容することができるので、プラグ41bとシートSとが干渉し難くなる。さらに、シートSを送るときに下金型41を下げることができるので、下金型41とシートSとが干渉し難くなる。
【0078】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0079】
図12及び
図13は、実施形態の変形例に係るものである。この変形例では、容器載置部材51に、上流側から下流側へ延びるスリット51aが幅方向に互いに間隔をあけて複数設けられている。各スリット51aの真上に、下流側へ送られた容器100が下向きに配置されるようになっている。この例では、容器100が容器載置部材51の幅方向に複数並び、かつ、上流側と下流側とに2列並んで成形されるように、成形部4は、上金型40及び下金型41を複数有している。
【0080】
図12に示すように、搬出部5は、容器載置部材51の他に、固定された昇降シリンダ55と、押し上げプレート56と、ロッド57とを有している。押し上げプレート56は、昇降シリンダ55に取り付けられており、昇降シリンダ55の動作によって上下動するようになっている。ロッド57は、容器載置部材51に配置される容器100の数と同じ数だけ設けられており、押し上げプレート56の上面から上方へ突出している。ロッド57は、容器載置部材51の各スリット51aの下方に位置するように配置されている。昇降シリンダ55によって押し上げプレート56が押し上げられると、ロッド57の上側が容器載置部材51の各スリット51aから上方へ突出する。この状態でロッド57の上側が容器100内に挿入されて容器100を押し上げることができるようになっている。これにより、シートSが加熱によってうねった状態になっていたとしても、容器100を確実に押し上げて吸着部6に吸着させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上説明したように、本発明に係る成形装置は、例えば、コップ等を成形する場合に使用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 成形装置
2 シート送り部
3 シート加熱部
6 吸着部
40 上金型
40a 成形用凹部
40b 上側カット刃
41 下金型
41a プラグ収容凹部
41b プラグ
41c 下側カット刃
42 型駆動装置
44 上金型駆動装置
45 下金型駆動装置
51 容器載置部材
52 載置部材駆動装置
100 容器
S シート