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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】光硬化樹脂用光照射装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 35/08 20060101AFI20220706BHJP
   A45D 29/18 20060101ALI20220706BHJP
   A45D 29/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
B29C35/08
A45D29/18
A45D29/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018171553
(22)【出願日】2018-09-13
(65)【公開番号】P2020039790
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591012738
【氏名又は名称】ヤヨイ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101432
【弁理士】
【氏名又は名称】花村 太
(72)【発明者】
【氏名】二口 真
(72)【発明者】
【氏名】関根 啓次
(72)【発明者】
【氏名】野村 重則
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 光弘
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼谷 美玖
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-089434(JP,A)
【文献】登録実用新案第3172669(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 29/00,29/18
B29C 35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面側に光硬化樹脂を硬化させる光を照射する光源を備えた本体部と、前記本体部を支持する支持手段とを備えた光硬化樹脂用光照射装置において、
前記本体部は、外形が矩形状の筐体であり、
前記支持手段として、前記本体部の矩形の4辺の縁部に前記本体部の下部空間を囲むように立脚される4枚の板状の脚部を備え、
前記板状の脚部が、前記光源からの照射光の全波長領域又は特定波長領域を低減又は遮蔽するものであり、
前記本体部に立脚される4枚の板状の脚部の各々が、前記本体部と2つの支点で折り畳み可能に係止されていることを特徴とする光硬化樹脂用光照射装置。
【請求項2】
前記本体部に立脚される4枚の板状の脚部の各々が、前記本体部に対して着脱可能に係止されていることを特徴とする請求項に記載の光硬化樹脂用光照射装置。
【請求項3】
前記4枚の板状の脚部には、隣接する脚部同士を連結する連結手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化樹脂用光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近紫外線等の光照射を受けて硬化する光硬化樹脂を硬化させるための光硬化樹脂用光照射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネイルアート等においては、紫外線を含む光で硬化する光硬化樹脂を手や足の爪に、塗布した後に、塗布領域にLEDライトから紫外線領域を含む光を照射することにより、爪上に保護膜を硬化形成するためのLEDライト装置が既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来の紫外線硬化樹脂を硬化させる際に使用されている紫外線ライトは、照射範囲が開放的になっており人体に暴露される可能性がある。紫外線は波長の短い高エネルギーの光線であり、紫外線の人体に対する有害性は種々のものがある。
【0004】
例えば、眼の角膜に紫外線があたると、角膜の炎症を起こし、強い目の痛み、充血といった症状が出ることがあり、ダメージの蓄積によって、白内障の発症の可能性がある。また、皮膚に紫外線があたると、皮膚の弾性を失わせ老化を促進し、メラニン色素を酸化させて褐色に変化させる。ダメージの蓄積によって、皮膚前がん症、皮膚がん等の発症の可能性も指摘されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3180139号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、紫外線の人体への暴露の影響を低減させるため、紫外線領域でも可視光に近い近紫外線で硬化する光硬化樹脂を用いたり、更には、紫外線領域に近い高エネルギー可視光線で硬化する光硬化樹脂を用いることも検討されつつあり、光硬化樹脂の開発も暫時行われている。
【0007】
しかしながら、より人体への影響の低い近紫外線領域の光や高エネルギー可視光を用いたとしても、人体への暴露については、弱いながらも悪影響があることは言うまでもない。例えば、紫外線よりもエネルギー量が低い高エネルギー可視光線に含まれるブルーライトでも人体への悪影響が問題となっている。
【0008】
本発明は、光硬化樹脂を硬化させる光が人体に暴露されにくい機構を備えた光硬化樹脂用光照射装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明に係る光硬化樹脂用光照射装置は、下面側に光硬化樹脂を硬化させる光を照射する光源を備えた本体部と、前記本体部を支持する支持手段とを備えた光硬化樹脂用光照射装置において、
前記本体部は、外形が矩形状の筐体であり、
前記支持手段として、前記本体部の矩形の4辺の縁部に前記本体部の下部空間を囲むように立脚される4枚の板状の脚部を備え、
前記板状の脚部が、前記光源からの照射光の全波長領域又は特定波長領域を低減又は遮蔽するものであり、
前記本体部に立脚される4枚の板状の脚部の各々が、前記本体部と2つの支点で折り畳み可能に係止されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項に記載された発明に係る光硬化樹脂用光照射装置は、請求項1に記載の本体部に立脚される4枚の板状の脚部の各々が、前記本体部に対して着脱可能に係止されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項に記載された発明に係る光硬化樹脂用光照射装置は、請求項1又は2に記載の4枚の板状の脚部には隣接する脚部同士を連結する連結手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、光硬化樹脂を硬化させる光が人体に暴露されにくい機構を備えた光硬化樹脂用光照射装置を得ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の光硬化樹脂用光照射装置の一実施例の概念図である。
図2図1の装置のより具体的な折り畳み時の構成を示す説明図である。
図3図2の短辺脚部を立脚させた状態を示す説明図である。
図4図2の短辺脚部と長辺脚部とを立脚させた状態を示す説明図である。
図5図2の短辺脚部の構成を示す説明図である。
図6図2の長辺脚部の構成を示す説明図である。
図7図4の短辺脚部を取り外した状態を示す説明図である。
図8図2の本体部の内部の構成を示す説明図である。
図9図8の本体部に4枚の脚部を立脚させた状態を示す説明図である。
図10図2の光硬化樹脂用光照射装置の立脚状態の脚部の構成を示す説明図である。
図11図2の長辺脚部と短辺脚部との嵌合を示す説明図である。
図12図1の制御部で制御されるプログラムによる照射制御工程の2つのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、下面側に光硬化樹脂を硬化させる光を照射する光源を備えた本体部と、本体部を支持する支持手段とを備えた光硬化樹脂用光照射装置において、本体部として外形が矩形状の筐体であり、支持手段として本体部の矩形の4辺の縁部に前記本体部の下部空間を囲むように立脚される4枚の板状の脚部を備え、板状の脚部が光源からの照射光の全波長領域又は特定波長領域を低減又は遮蔽するものである。これにより、光硬化樹脂を硬化させる光が人体に暴露され難い機構を備えた光硬化樹脂用光照射装置を得ることができる。
【0016】
即ち、本発明においては、LEDランプ等の光硬化樹脂を硬化させる光を照射する光源からの光が不用意に人体に暴露されないように、照射範囲である本体部の下方部を照射光の全波長領域又は特定波長領域を低減又は遮蔽する板状の脚部で覆い、照射光の漏出を防ぐ設計とするものである。
【0017】
尚、本発明における光硬化樹脂を硬化させる光としては、光硬化樹脂を硬化させる波長の光を含む光であればよい。照射される光硬化樹脂の種類に応じて選択されればよい。具体的には、紫外線領域、紫外線領域でも可視光に近い近紫外線、更には、ブルーライトのような紫外線領域に近い高エネルギー可視光を指す。
【0018】
光硬化樹脂を硬化させる光は、光源として蛍光管による光のように幅広い波長を含む光、更には、幅広い波長を含む光から特定の波長領域を遮断するフィルターを通した光でもよいが、特定のピーク波長を照射するLEDを光源として用いる方が安価に製造することができる。また、硬化させる光硬化樹脂の種類や硬化状況を変更させるために、好ましくは、ピーク波長の相違する2種以上のLED光源を用いてもよい。
【0019】
特に、短波長光の照射では、反応が早く、初めから照射することで硬化後に収縮しやすく、長波長光の照射では、反応が遅く、光硬化樹脂表面の酸素による硬化阻害の影響の為に表面がべたつくこともあった。このため、ピーク波長の相違する2種以上のLED光源を制御部で、予め記憶された2種以上の制御工程から選択された照射制御工程に沿って長波長光の照射量と短波長光の照射量とを制御することで光硬化樹脂の硬化後の収縮、酸素阻害による表面のべたつき、硬化後のひずみ、端部のひび割れを解消することができる。
【0020】
本発明の板状の脚部としては、光硬化樹脂を硬化させる波長の光を含む光自体を遮蔽するもの、又は、人体に有害であるとされる波長領域の光成分を低減又は遮蔽するものであればよい。更には、4枚の板状の脚部の一部を人体に有害であるとされる波長領域の光成分を低減又は遮蔽する透明板としたり、4枚の板状の脚部の全部又は一部の板状の脚部に内部を観察可能な小窓を開けて、この小窓に人体に有害であるとされる波長領域の光成分を低減又は遮蔽する透明板を装着してもよい。
【0021】
尚、4枚の板状の脚部の内壁面については、好ましくは、本体部の光源から照射される光の内で光硬化樹脂を硬化させる波長領域の光を反射させる素材を用いたり、内壁面の上面にコートしてもよい。これにより直接照射される光と反射光とを利用でき、光硬化樹脂の硬化を少ない光量でも効率的に行うことができる。
【0022】
加えて、本発明の板状の脚部は、使用時には本体部から下方に立脚させて、本体部の下方部の周囲を覆う構成であるが、不使用時には、個々の脚部を折り畳み可能な構成とすることで省スペース化を達成することができる。詳しくは、4つの板状の脚部の各々が、本体部と2つの支点で係止されることで本体部の下方に4枚の板状の脚部を折り畳むことができる。具体的な実施例では、脚部の立脚時には、装置全体の厚みを4.7cmの高さが、折り畳み時には1.9cmの高さとなる。
【0023】
更に、好ましくは、これら4枚の板状の脚部の各々は、硬化させる対象物に合わせて取り外すことが可能である。具体的な脱着構造としては、前述の板状の脚部の本体部に係止される2つの支点が本体部から着脱される機構であればよい。尚、照射装置の本体部を支持させるためには、少なくとも対向する2つの板状の脚部が立脚されていればよい。従って、4枚の板状の脚部は、同時には1枚又は対向する2枚を取り外すことができる。
【0024】
また、本発明の隣接する板状の脚部同士缶については、その間隙から光硬化樹脂を硬化させる光が漏れることがないように間隙を無くすような工夫を行う。例えば、隣接する板状の脚部の端縁部同士が互いに嵌まり合うように突起部とこれが嵌まる溝部とを形成してもよく、更に好ましくは、隣接する板状の脚部同士を連結する連結手段を備える。より具体的には、隣接する板状の脚部の一方の板状の脚部に他方の板状の脚部が乗り越え可能な突起部を形成し、開脚時にこの突起部を乗り越えた際に隣接する他方の板状の脚部の端縁部同士が嵌合する突起部と溝部とを形成しておけばよい。
【0025】
本発明の板状の脚部については、4枚の板状の脚部が折り畳まれた際にこの状態を維持するように、外側に重なる板状の脚部と本体部とをロックする折り畳み掛止手段を備えてもよい。具体的には、折り畳んだ際に外側となる脚部に本体部側に伸ばした突起部と、折り畳まれた際にこの突起部が嵌まり込む嵌合孔とを備えればよい。
【0026】
更に、本発明の板状の脚部については、個々の板状の脚部が立脚された場合に立脚状態を維持するように、個々の脚部と本体部とをロックする立脚掛止手段を備えてもよい。具体的には、板状の脚部が立脚した際に本体部に当接する板状の脚部の支点側の端面に設けられた突設部と、立脚時に本体部にこの突設部が嵌まり込む嵌合孔とを備えればよい。
【実施例
【0027】
1.装置構造
図1は本発明の光硬化樹脂用光照射装置の一実施例の概念図である。図2は本発明の光硬化樹脂用光照射装置の一実施例の折り畳み時の構成を示す説明図であり、a図は平面図、b図は斜視図、c図は裏面図、d図は本体部のみの裏面図である。図3図2の短辺脚部を立脚させた状態を示す説明図であり、a図は平面図、b図は斜視図である。図4図2の短辺脚部と長辺脚部とを立脚させた状態を示す説明図であり、a図は平面図、b図は斜視図である。
【0028】
図5図2の短辺脚部の構成を示す説明図であり、a図は平面図、b図は斜視図、c図は正面図、d図は側面図である。図6図2の長辺脚部の構成を示す説明図であり、a図は平面図、b図は斜視図、c図は正面図、d図は側面図である。図7図4の短辺脚部を取り外した状態を示す説明図であり、a図は平面図、b図は斜視図である。
【0029】
図8図2の本体部の内部の構成を示す説明図であり、a図は平面図と要部の拡大図であり、b図は斜視図と要部の拡大図である。図9図8の本体部に4枚の脚部を立脚させた状態を示す説明図であり、a図は平面図と要部の拡大図であり、b図は斜視図と要部の拡大図である。図10図2の光硬化樹脂用光照射装置の立脚状態の脚部の構成を示す説明図であり、a図は底面図、b図はa図のA-A断面図、c図は要部の拡大図である。図11図2の長辺脚部と短辺脚部との掛合を示す平面図と要部の拡大図及び係止状態の要部の拡大図である。
【0030】
図1及び図2に示す通り、本実施例の光硬化樹脂用光照射装置10は、矩形状の本体部11と、本体部11を支持する支持手段として、矩形の短辺の内縁部に配される一対の板状の短辺脚部41と矩形の長辺の内縁部に配される一対の板状の長辺脚部51との4枚の板状の脚部41、51とを備える。本体部11の上面には照射制御工程のプログラムの呼び出しとプログラムのスタート等を操作する操作スイッチ12と表示部13とを備え、本体部11の下面には10個のLEDライト14が備わっている。
【0031】
LEDライト14は、1種だけでなく、長波長光が360nm~440nmにピーク波長を有するLEDライトと、短波長光が300nm~400nmにピーク波長を有するLEDライトとを分散させて配置し、各々のLEDライト14を本体部11内に配置された制御部15で駆動制御する。尚、1つのLEDライト14で長波長光と短波長光とが選択可能なLEDライトを用いて、制御部15で長波長光と短波長光とを切り換えて使用してもよい。
【0032】
また、制御部15には、種々の安全装置を備えてもよい。例えば、LEDランプ14の近傍に温度センサを配置しておき、例えば、80℃以上となった場合に、強制的に照射を中止するような安全装置を備えてもよい。また、制御部15にスピーカー等を敷設しておき、記憶部16に記憶された照射制御工程に沿って駆動が終了した際に終了チャイムを発するようにしてもよい。
【0033】
図3及び図4に示す通り、4枚の板状の脚部41、51は折り畳み状態から立脚状態へ移行することができる。具体的には、対向位置に配置される各々の板状の脚部41、51は、本体部11の矩形の4辺の内縁部に2つの支点42、52で回動可能に掛止されている。折り畳み状態では、本体部11の矩形の長辺の内縁部に配置される一対の板状の脚部51が内側で、本体部11の矩形の短辺の内縁部に配置される一対の板状の脚部41が外側に配置される。一対の板状の脚部41の支点42の反対側の端部に配置された掛止突起部43が一対突設され、本体部11の折り畳み時の対向位置に穿設された掛止孔19に掛止突起部43が挿入されて掛止されることで折り畳み状態を維持することができる。
【0034】
また、支点42、52で回動して折り畳み状態と立脚状態とを開閉自在に動作する4枚の板状の脚部41、51は、本体部11に対して着脱自在である。より詳しくは、4枚の板状の脚部41、51の支点42、52が、本体部11の対応する支点支持部21、26から着脱自在となっている。
【0035】
図5に示す通り、本体部11の矩形の短辺の内縁部に配置される短辺脚部41は、上縁部の内側に2つの支点42が突設して形成されている。取付けに際しては、図8及び図9に示す通り、本体部11の対応する支点支持部21に装入され、2つの支点42が支点支持部21の挿入口22から同時に差し入れられ、斜めに傾斜されたスライダー部23に沿って内側から外側に向かって同時に押圧されることにより、2つの支点42が同時に支持位置24に乗り上げられて回動可能にロックされる。
【0036】
取外しに際しては、2つの支点42が支持位置24で回動されている状態から、脚部41を本体部11の中心側へ移動させることにより、2つの支点42が同時に支持位置24の乗り上げ状態からスライダー部23へ移動される。この状態から2つの支点42を挿入口22へ移動させ、短辺脚部41を取り外す。
【0037】
同じく図6に示す通り、本体部11の矩形の長辺の内縁部に配置される長辺脚部51についても、上縁部の内側に2つの支点52が突設して形成され、本体部11の対応する支点支持部26に装入され、図8及び図9に示す通り、2つの支点52が支点支持部26の挿入口27から同時に差し入れられ、斜めに傾斜されたスライダー部28を内側から外側に向かって同時に押圧されることにより、2つの支点52が同時に支持位置29に乗り上げられて回動可能にロックされる。
【0038】
取外しに際しても、2つの支点52が支持位置29で回動可能に支持されている状態から、脚部51を本体部11の中心側へ移動させることにより、2つの支点52が同時に支持位置29の乗り上げ状態からスライダー部28へ移動される。この状態から2つの支点52を挿入口27へ移動させ、長辺脚部51を取り外す。
【0039】
これらの機構により、4枚の板状の脚部41、51は何れの脚部も取り外すことが可能となる。この場合、光硬化樹脂用光照射装置10の本体部11を立脚させるためには、少なくとも対向する2つの板状の脚部が立脚されていればよい。従って、4枚の板状の脚部は、同時には1枚又は対向する2枚を取り外すことができる。例えば、図7に示す通り、4枚の板状の脚部41、51の内、短辺脚部41を取り外した例を示している。
【0040】
また、4枚の板状の脚部41、51には、各々の支点42、52に対して、支点支持部21、26の支持位置29で回動され、閉脚状態から立脚状態となる際に、ぐらつかないように固定される。詳しくは、図10の拡大図に示す通り、本体部11の矩形の短辺の内縁部に配置される板状の脚部41の上端縁が本体部11の2つの支点支持部21の内側近傍に開口縁に形成された乗り上げ突起20が形成されている。これら乗り上げ突起20を乗り越えることで脚部41、51が立脚状態で固定される。尚、本体部11の矩形の長辺の内縁部に配置される板状の脚部51についても、同様の乗り上げ突起25が形成されている。
【0041】
更に、個々の4枚の板状の脚部41、51同士については、隣接する板状の脚部41、51の端縁部同士が互いに嵌まり合うように突起部とこれが嵌まる溝部とを形成される。詳しくは、本実施例では、短辺脚部41の両側部は、長辺脚部51に向かって対向するように曲折されており、外周面部が長辺脚部51に向かって突設され、内周面部は凹設され、断面がL字状となっている。長辺脚部51は短辺脚部41のL字状の断面に合致するように、外周面部が凹設され、内周面部が突設されている。
【0042】
短辺脚部41の支点42の反対側の端部には、掛止突起部43が突設されているため、長辺脚部51の突設された内周面部がこの係止突起部43を乗り越えて短辺脚部41の凹設された内周面部に嵌まり込むことで連結される。即ち、図11に示す通り、長辺脚部51の突設された内周面部は、立脚状態の短辺脚部41を更に広げることにより、脚部41の撓みで係止突起部43を乗り越えて短辺脚部の凹設された内周面部に嵌まり込む。
【0043】
4枚の脚部41、51同士は短辺脚部41の係止突起部43を乗り越えて長辺脚部51の凸説された内周面部が嵌まり込むことでその間隙から光硬化樹脂を硬化させる光が漏れることがないように間隙を無くすことができる。尚、脚部の折り畳み時から4枚の脚部41、51を展開させる際に、指を入れやすいように、短辺脚部41には下端部の中央となる箇所にくぼみ44が、長辺脚部51には中央に穴54が開いている。
【0044】
2.制御部
図12図1の制御部で制御されるプログラムによる照射制御工程の2つのフロー図である。本実施例では、光源としての2種類のLEDライト14は制御部15によってON-OFF駆動を制御される。光硬化樹脂を硬化させる光としては、光硬化樹脂を硬化させる波長領域の内で長い波長領域にピーク波長を有する長波長光と長波長光に対して短い波長領域にピーク波長を有する短波長光とを備える、制御部15が、予め記憶された2種以上の制御工程から選択された照射制御工程に沿って光源による長波長光の照射量と短波長光の照射量とを制御する。即ち、制御部15による制御は、記憶部16に予め記憶された2種以上のプログラムによる照射制御工程に沿って行われる。
【0045】
好ましくは、硬化初期では長波用光の照射量に対して短波用光の照射量を少なく制御するものであり、硬化後期に短波用光の照射量を初期よりも増加させればよい。より詳しくは、制御部15で記憶部16に予め記憶されたプログラムによる照射制御工程の1つとしては、例えば、長波長光のみを30~90秒照射した後、長波長光と短波長光とを30~360秒照射させるものである場合に、制御部15で、この照射制御工程に沿った場合に、光硬化樹脂の硬化後の収縮、酸素阻害による表面のべたつき、硬化後のひずみ、端部のひび割れを解消することができる。
【0046】
より具体的には、照射制御工程の1つとしては、硬化開始時には長波長光のみを照射して光硬化樹脂の全体をゆっくりと硬化させた後、長波長光に加えて短波長光を照射して光硬化樹脂の表面のベタつきを解消する制御を行う。より具体的には、光硬化樹脂の硬化後の収縮、酸素阻害による表面のべたつき、硬化後のひずみ、端部のひび割れを解消するために、例えば、図12のa図のフロー図に示す通り、長波長光のみを30秒照射した後、長波長光と短波長光とを60秒照射させる照射制御工程01を行う。これら長波長光のみの照射時間と長波長光と短波長光との照射時間を表示部13及び操作スイッチ12を用いたり、別体の表示・操作パネルを接続等して変更可能として記憶部16に追加記憶させてもよい。
【0047】
尚、照射制御工程01において、短波長光の照射中は長波長光の照射を止める制御を行ってもよい。この場合、長波長光のみの照射時間を長くし、短波長光のみの照射時間についても調整してもよい。また、短波長光のみの照射の後に、再度、長波長光のみの照射を行ってもよい。これにより、駆動時間が長くなるが、装置の最大消費電力を小さくして発熱も小さくなる。
【0048】
また、他の照射制御工程として、継続的な長波長光と間欠的な短波長光とを照射することによっても硬化初期の短波長光の照射量が長波長光の照射量よりも小さくすることができ、硬化後期にかけて短波長光の間欠間隔を短くして、光硬化樹脂の硬化後の収縮、酸素阻害による表面のべたつき、硬化後のひずみ、端部のひび割れを解消することができる。例えば、図12のb図のフロー図に示す通り、長波長光のみを5秒照射した後、長波長光と短波長光とを5秒照射し、短波長光を5秒停止する操作を10回繰り返す照射制御工程02を行う。
【0049】
尚、照射制御工程02の短波長光の間欠的な照射については、硬化初期段階と硬化後期段階とで間隔を相違させても光硬化樹脂の硬化後の収縮、酸素阻害による表面のべたつき、硬化後のひずみ、端部のひび割れを解消することができる。例えば。長波長光のみを3秒照射した後、長波長光と短波長光とを3秒照射し、短波長光を3秒停止する操作を5回繰り返した後、長波長光と短波長光とを10秒照射し、短波長光を10秒停止する操作を5回繰り返す別の照射制御工程を行ってもよい。以上のように、本実施例の光硬化樹脂用光照射装置はネイルアートは元より、光硬化樹脂を用いたアクセサリーの作製等の工作に使用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10…光硬化樹脂用光照射装置、
11…本体部、
12…操作スイッチ、
13…表示部、
14…LEDライト、
15…制御部、
16…記憶部、
19…掛止孔、
20…乗り上げ突起、
21…支点支持部、
22…挿入口、
23…スライダー部、
24…支持位置、
25…乗り上げ突起、
26…支点支持部、
27…挿入口、
28…スライダー部、
29…支持位置、
41…脚部(短辺脚部)、
42…支点、
43…掛止突起部、
44…くぼみ、
51…脚部(長辺脚部)、
52…支点、
54…穴、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12