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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】ラチェットレンチのトグル部材構造
(51)【国際特許分類】
   B25B 13/46 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
B25B13/46 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020175806
(22)【出願日】2020-10-20
(65)【公開番号】P2021074870
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】108140438
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511314186
【氏名又は名称】優鋼機械股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】謝 智慶
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120571(JP,A)
【文献】登録実用新案第3185713(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029202(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0011372(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 13/00 - 13/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部及び受け溝が設けられており、前記受け溝は前記収容部の後側に設けられ、前記収容部と前記受け溝は連通している、本体と、
中心軸を有し、前記収容部内に枢設され、前記収容部内で前記中心軸を軸に回転可能であり、外周にはラチェット歯部が周設されており、前記ラチェット歯部は前記中心軸の方向に沿って長さを有する、ラチェットと、
前記収容部内に収容されて設置され、その前端面に前記ラチェットのラチェット歯部と噛合可能な係止歯部が設けられている、係止部材と、
前記受け溝内に設置され、且つ前記係止部材の後側に位置し、前端に連結部が前記係止部材の後端と向かい合うように設けられている、切替部材と、
前記切替部材と前記係止部材との間に設置され、前記ラチェットの中心軸の軸方向に沿って長さを有し、前端には前記係止部材の後端と当接する付勢部が設けられており、後端には少なくとも2つの接続部が長手方向に沿って設けられている、長尺状のトグル部材と、
前記連結部と前記接続部の間に前記ラチェットの中心軸の軸方向に沿って設置され、前記トグル部材に前記係止部材を付勢する弾性力を提供する、少なくとも2つの弾性部材と、を含む、ラチェットレンチのトグル部材構造。
【請求項2】
前記トグル部材の前記接続部は凹溝であり、前記弾性部材の一端が前記凹溝内に収容されて設けられる、請求項1に記載のトグル部材構造。
【請求項3】
前記トグル部材の前記接続部は突出ブロックであり、前記弾性部材の一端が前記突出ブロックに環装される、請求項1に記載のトグル部材構造。
【請求項4】
前記切替部材の連結部は少なくとも2つの凹溝であり、前記弾性部材の一端が前記凹溝内に収容されて設けられる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のトグル部材構造。
【請求項5】
前記切替部材の連結部は少なくとも2つの突出ブロックであり、前記弾性部材の一端が前記突出ブロックに環装される、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のトグル部材構造。
【請求項6】
前記切替部材の連結部は長溝により形成され、前記トグル部材の底部と前記弾性部材の一端が前記長溝内に収容されて設けられる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のトグル部材構造。
【請求項7】
前記切替部材の前記ラチェットの中心軸の軸方向に沿った長さは前記トグル部材の長さよりも大きい、請求項1に記載のトグル部材構造。
【請求項8】
前記付勢部は弧形状である、請求項1に記載のトグル部材構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主動工具に関し、特にラチェットレンチのトグル部材構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラチェットレンチはネジ部材(ボルト又はナット)又はソケットを回転させるのによく使用される手動工具であり、ネジ部材を小さな角度で回転させることができる。既知のラチェットレンチは、内部に収容部が設けられた頭部と、ラチェット、係止爪及び切替スイッチを備えたラチェット機構を含む。切替スイッチには弾性部材及びトグルカムが設けられており、係止爪を弾性的に付勢している。ラチェット機構は収容部内に収容されて設けられ、切替スイッチは位置を変換可能であり、切替スイッチの位置が変換されると、トグルカムが係止爪を押動して移動させ、係止爪が違う位置でラチェットと噛み合うようにし、これによりラチェットの回転方向を変換させる。
【0003】
当業者は、ラチェットレンチのトルクの向上を目標にして努力を続けている。既知のラチェットレンチでは、操作強度を高めるため、ラチェットの直径又は厚さを増やすことによって受圧体積を全体的に増やし、操作時の強度を高めることも方法として可能であるが、ラチェットの直径を増やす方法は、ラチェットレンチの頭部の直径を増加させるため、小さなスペースで使用する場合に、ラチェットレンチの頭部が大きすぎて入れられず、ラチェットレンチの使用が制限されてしまう。従って、ラチェットの厚さを増やすことが方法として可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、厚さを増やすことで全体の強度を向上させたラチェットレンチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明はラチェットレンチのトグル部材構造を提供するが、それは、
収容部及び受け溝が設けられており、受け溝は収容部の後端に設けられ、収容部と受け溝は連通している、本体と、
中心軸を有し、収容部内に枢設され、外周にはラチェット歯部が周設されている、ラチェットと、
収容部内に設置され、その前端面にラチェット歯部と噛合可能な係止歯部が設けられている、係止部材と、
受け溝内に設置され、且つ係止部材の後側に位置し、前端に連結部が係止部材向きに設けられている、切替部材と、
係止部材と切替部材の間に設置され、ラチェットの中心軸の軸方向に沿って長さが形成され、後側に少なくとも2つの接続部が長手方向に沿って設けられている、長尺状のトグル部材と、
連結部と接続部の間にラチェットの中心軸の軸方向に沿って設置され、トグル部材に係止部材を付勢する弾性力を提供する、少なくとも2つの弾性部材と、を含む。
【0006】
好適には、トグル部材の接続部は凹溝であり、弾性部材の一端が凹溝内に収容されて設けられる。
【0007】
好適には、トグル部材の接続部は突出ブロックであり、弾性部材の一端が突出ブロックに環装される。
【0008】
本発明が提供するラチェットレンチのトグル部材構造は、ラチェットの中心軸の軸方向に沿った厚さを増加させることで強度を向上させることができ、さらに長尺状のトグル部材が係止部材に対し、ラチェットの中心軸の軸方向に沿ってかなり全体的な付勢効果を有することができ、ラチェットレンチの操作強度を増加させ、トルクを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
審査官が本発明の目的、特徴及び達成される効果をより理解できるよう、以下では好ましい実施例を3つ挙げ、図面と合わせて詳しく説明する。
図1】本発明の好ましい実施例のラチェットレンチの立体分解図である。
図2図1のラチェットレンチを組み立てた後の縦方向断面図である。
図3図1のラチェットレンチの動作概念図である。
図4図3を別の方向に動かした動作概念図である。
図5】本発明の別の好ましい実施例におけるラチェットレンチの縦方向断面図である。
図6図5の動作概念図である。
図7】本発明の好ましい第3実施例におけるラチェットレンチの縦方向断面図である。
図8図7の動作概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2は、発明の好ましい実施例で提供するラチェットレンチ10である。本明細書における上・下方向の定義は図面を基準とし、前・後方向の定義は図1における方向を基準とし、図1における上部が前端、下部が後端である。ラチェットレンチ10は以下を含む。
【0011】
本体20を含み、その前端には収容部21が凹設されており、収容部21の前側に貫通孔211が形成されて設けられており、収容部21の後側上面には受け溝212がさらに設けられており、収容部21と受け溝212は互いに連通している。
【0012】
ラチェット30を含み、収容部21内の前側の貫通孔211の位置に枢設され、ラチェット30は中心軸Cを有し、外周にラチェット歯部31が周設されており、ラチェット歯部31は中心軸Cの軸方向に沿って長さLが形成されており、ラチェット30は収容部21内で中心軸Cを軸に回転可能である。ラチェット30の中央にはさらにワーク部32が貫通孔211から本体20外へ露出可能に凹設されており、ワーク部32はロッド体又は貫通穴などの形態でもよく、限定されず、主にネジ又はソケットと接続するのに用いられる。
【0013】
係止部材40を含み、収容部21内に収容されて設けられ、ラチェット30の後側に位置し、前端面のラチェット30と向かい合う端面に係止歯部41がラチェット歯部31と噛合するように設けられており、係止歯部41の長さもラチェット30の中心軸Cの軸方向に沿って向かい合うように設置され、係止歯部41が噛合する位置の変化によってラチェット30の回転方向を制御することができ、係止部材40の後端には切替部42が凹設されており、切替部42は弧状溝421として形成されている。
【0014】
切替部材50を含み、受け溝212内に設置され、切替部材50の一端にはレバー51があり、本体20の外側に突出且つ露出しており、切替部材50は係止部材40の後側に位置し、切替部材50の前端には連結部52が切替部42と向かい合うように設けられており、本実施例中、連結部52は2つの凹溝521として形成されており、2つの凹溝521は上下に設けられている。
【0015】
長尺状のトグル部材60を含み、長さSを有し、ラチェット30の軸方向に沿って設置され、長さSは係止部材40の厚さHに概ね相当し、トグル部材60の前端には、切替部42の弧状溝421と当接する、当接面が弧形状の付勢部61が設けられており、トグル部材60の後端には、2つの接続部62が連結部52の2つの凹溝521と向かい合うように設けられており、本実施例中、2つの接続部62は2つの凹溝621であり、トグル部材60内にラチェット30の軸方向に沿って上下両側に配置されている。さらに、切替部材50のラチェット30の中心軸の軸方向に沿った長さはトグル部材60の長さSよりも大きく、トグル部材60が切替部材50から良好な支えを得られるようにしている。
【0016】
2つの弾性部材70を含み、ラチェット30の軸方向に沿って上下に設置され、且つ切替部材50の連結部52の2つの凹溝521とトグル部材60の2つの接続部62の2つの凹溝621との間に収容されて設けられ、トグル部材60に係止部材40を付勢する弾性力を提供する。
【0017】
操作においては、図2、3及び4を参照して、ラチェット30の付勢方向を変えたい場合、切替部材50のレバー51を切り替えることにより、切替部材50前端の連結部52の方向を変換させ、連結部52の方向変換に伴い、連結部52の2つの凹溝521内に収容されて設けられた2つの弾性部材70の方向が変わり、同時に、2つの弾性部材70の作動に伴って2つの弾性部材70上のトグル部材60にも揺動が生じ、トグル部材60が係止部材40の切替部42における位置を変え、これにより係止部材40を移動させ、且つ係止歯部41に別の方向でラチェット30のラチェット歯部31と噛合させるが、ここで、ラチェット30の係止及び切り替えの構造は既知の操作と同じであり、説明を省略する。
【0018】
ラチェットレンチ10の全体的な強度を高めるために、本発明における本体20、ラチェット30及び係止部材40のラチェット30の中心軸Cの軸方向に沿った厚さはいずれも増やされており、比較的大きな厚みによってラチェットレンチの全体的な強度を高め、これによりレンチの全体的な強度及び加力可能なトルク値を相対的に向上させることができる。同時に、本発明はトグル部材60の長さSを増やし、その長さを係止部材40の切替部42の厚さHに相当可能としており、さらに、ラチェット30のラチェット歯部31の長さL及び係止部材40の係止歯部41の長さ(中心軸Cの軸方向沿い)をいずれも高めて、ラチェット30と係止部材40の噛合強度及びレンチのトルクを向上させている。また、トグル部材60の接続部62(2つの凹溝621)は、トグル部材60の長手方向に沿って間隔を空けて設けており、係止部材40がトグル部材60の付勢を均一に受けられるようにしている。さらに、2つの弾性部材70は上下に間隔を空けてトグル部材60に設置することができ、トグル部材60の両端の弾性力が均一に分布できるようにさせて、トグル部材60の上下両端が係止部材40を平均的に弾性付勢することができ、ある部分に集中してトグル部材60に傾きが生じないようにさせている。従って、本発明のトグル部材60は、係止部材40に対して最適な付勢効果を付与し、係止部材40にラチェット30との最適な噛合接続を維持させることができる。
【0019】
図5及び図6は、本発明が提供する別の好ましい実施例のラチェットレンチであり、その主な構造は好ましい第1実施例と同様であり、同じ構造には同じ符号をそのまま用いているため、説明を省略する。
【0020】
そのうち、切替部材50の2つの連結部52は2つの突出ブロック522であり、トグル部材60の接続部62は2つの突出ブロック622により構成される。2つの弾性部材70の両端はそれぞれ2つの連結部52の突出ブロック522と接続部62の2つの突出ブロック622に環装して接続される。2つの連結部52の凹溝521又は突出ブロック522と、接続部62の凹溝621又は突出ブロック622は、互いに組み合わせて使用することができ、限定されず、その主な作用は2つの弾性部材70を接続することである。
【0021】
図7及び図8は、本発明が提供する好ましい第3実施例のラチェットレンチであり、その主な構造は好ましい第1実施例と同様であり、同じ構造には同じ符号をそのまま用いているため、説明を省略する。
【0022】
切替部材50の連結部52には長溝523が形成され、トグル部材60の後端が2つの弾性部材70と共に長溝523内に直接収容されて設置される。2つの弾性部材70の両端はそれぞれ切替部材50及び接続部62の2つの凹溝621と当接する。
【0023】
本発明が提供するラチェットレンチは、ラチェット、係止部材がいずれもラチェットの中心軸の軸方向に沿って増やされた厚さを有しており、厚さを増やすことでその強度及びトルク値を相対的に向上させることができ、さらに、トグル部材がラチェットの中心軸の軸方向に沿って形成された構造長さを有することにより、既知のトグル部材と比べて、本発明のトグル部材は幅が比較的厚いラチェット及び係止部材に対して良好な支持効果を有することができ、且つトグル部材の上下両側に2つの弾性部材が設置されていることにより、トグル部材が均一な弾性力を生み出せるようにさせて、トグル部材が係止部材を確実に支持できるようにすることができる。
【符号の説明】
【0024】
10 ラチェットレンチ
20 本体
21 収容部
211 貫通孔
212 受け溝
30 ラチェット
31 ラチェット歯部
32 ワーク部
C 中心軸
L 長さ
40 係止部材
41 係止歯部
42 切替部
421 弧状溝
H 厚さ
50 切替部材
51 レバー
52 連結部
521 凹溝
522 突出ブロック
523 長溝
60 トグル部材
61 付勢部
62 接続部
621 凹溝
622 突出ブロック
S 長さ
70 弾性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8