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特許7100389溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法
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  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図1
  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図2
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  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図8
  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図9
  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図10
  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図11
  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図12
  • 特許-溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
G01N17/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020215252
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100951
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-04-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000107583
【氏名又は名称】スガ試験機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】須賀 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】松本 恒夫
(72)【発明者】
【氏名】金原 英司
(72)【発明者】
【氏名】須賀 啓介
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-090510(JP,A)
【文献】特開平09-239360(JP,A)
【文献】中国実用新案第211919541(CN,U)
【文献】特開平06-178942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
B65D 43/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋付きの溶液タンクと、
外周を規定する筐体と、
を含む環境試験機であって、
液タンクは、
タンク本体部と、
第1蓋部と、
第2蓋部と、
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出すためのスライド機構と、
を含み、
タンク本体部は、
底部と、
底部の周囲を覆う壁部と、
上方に開口する開口部と、
を含み、
第1蓋部および第2蓋部を組み合すことで開口部を覆うことができ、
第2蓋部は溶液のガイド部を含
溶液タンクは、筐体の内部に配置されている、
環境試験機。
【請求項2】
スライド機構が、
タンク本体部の壁部に設けられた壁部凸部および第2蓋部下面で構成、
タンク本体部の壁部に設けられた壁部段差部および第2蓋部下面で構成、および、
タンク本体部の壁部に設けられた壁部凹部および第2蓋部に設けられた第2蓋部凸部で構成、
される群から選択される一つを含む、
請求項1に記載の環境試験機。
【請求項3】
第2蓋部が、
蓋底部と、
蓋底部の周囲を覆う蓋壁部と、
を含み、
蓋底部には、
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出し、引き出した第2蓋部に溶液を投入した際に、
投入した溶液がタンク本体部に流れるための蓋孔部が形成され、
ガイド部が、蓋底部、蓋壁部および蓋孔部で形成される、
請求項1または2に記載の環境試験機。
【請求項4】
第2蓋部が、
蓋底部と、
蓋底部の周囲を覆う蓋壁部と、
を含み、
蓋壁部の一部には、
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出し、引き出した第2蓋部に溶液を投入した際に、
投入した溶液がタンク本体部に流れるための切欠部が形成され、
ガイド部が、蓋底部、蓋壁部および切欠部で形成される、
請求項1または2に記載の環境試験機。
【請求項5】
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出した際に、第2蓋部がタンク本体部から離脱することを防止するための係止機構を含む、
請求項1~の何れか一項に記載の環境試験機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願における開示は、溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装置の部品や材料などの試料の腐食試験を行う腐食試験機や、試料の日光等に対する耐候性試験を行う耐候性試験機等の環境試験機が知られている。腐食試験機は、試料に噴霧する塩水やキャス液等を貯蔵する溶液タンクを具備している。また、耐候性試験機は、キセノン等の光源を冷却するための冷却水を貯蔵する溶液タンクを具備している(以下、溶液タンクに貯蔵する塩水、キャス液、冷却水等をまとめる場合は「溶液」と記載することがある。)。
【0003】
環境試験機が具備する溶液タンクには、定期的な溶液の補給が必要である。そのため、特許文献1に記載の環境試験機(塩水噴霧試験装置)では、試験槽を覆う筐体より外側(筐体の横)に溶液タンクを設置し、溶液タンクの蓋を開けて溶液を補給している(特許文献1、図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3261655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の塩水噴霧試験装置は、試験槽の横側に溶液タンクを配置している。そのため、塩水噴霧試験装置および溶液タンクを含めた全体を試験装置としてみた場合、試験装置が大型化するという問題がある。
【0006】
なお、特許文献1の図1に示す塩水噴霧試験装置の例では、試験槽の下側に空間が形成されていることから、試験槽の下側に溶液タンクを配置することも考えられる。
【0007】
ところで、特許文献1に記載の塩水噴霧試験装置に用いる溶液は、濃度やpHを所定範囲にする必要があることから、溶液タンクには水分が蒸発しないように蓋をする必要がある。また、環境試験機の内部には様々な電気配線が組み込まれている。そのため、耐候性試験機の光源の冷却水を貯蔵する溶液タンク、つまり、溶液タンク内の溶液の濃度やpHのコントロールが不要の場合でも、蒸発や飛散による電気配線への影響を少なくするためには、溶液タンクには蓋をすることが望ましい。
【0008】
試験槽の下側の狭い空間に溶液タンクを配置した場合、環境試験機の外側から溶液タンクの蓋を外し且つ溶液を補給することは困難である。そのため、環境試験機の外側に溶液タンクを引き出した上で溶液を補給する必要がある。しかしながら、溶液を入れた溶液タンクは重量があることから、溶液タンクをスライドするためのスライド装置が必要になる等、環境試験機が複雑になる等の問題がある。
【0009】
本出願における開示は、上記問題点を解決するためになされたものであり、鋭意研究を行ったところ、溶液タンクの蓋を第1蓋部と第2蓋部で形成し、第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出すためのスライド機構を設け、第2蓋部に溶液のガイド部を設けることで、溶液タンクを移動することなく、溶液タンクに溶液を補給できることを新たに見出した。
【0010】
すなわち、本出願における開示の目的は、環境試験機の内部に配置した際に溶液の補給がし易い溶液タンク、当該溶液タンクを含む環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願における開示は、以下に記載する溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法に関する。
【0012】
(1)蓋付きの溶液タンクであって、該溶液タンクは、
タンク本体部と、
第1蓋部と、
第2蓋部と、
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出すためのスライド機構と、
を含み、
タンク本体部は、
底部と、
底部の周囲を覆う壁部と、
上方に開口する開口部と、
を含み、
第1蓋部および第2蓋部を組み合すことで開口部を覆うことができ、
第2蓋部は溶液のガイド部を含む、
溶液タンク。
(2)スライド機構が、
タンク本体部の壁部に設けられた壁部凸部および第2蓋部下面で構成、
タンク本体部の壁部に設けられた壁部段差部および第2蓋部下面で構成、および、
タンク本体部の壁部に設けられた壁部凹部および第2蓋部に設けられた第2蓋部凸部で構成、
される群から選択される一つを含む、
上記(1)に記載の溶液タンク。
(3)第2蓋部が、
蓋底部と、
蓋底部の周囲を覆う蓋壁部と、
を含み、
蓋底部には、
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出し、引き出した第2蓋部に溶液を投入した際に、
投入した溶液がタンク本体部に流れるための蓋孔部が形成され、
ガイド部が、蓋底部、蓋壁部および蓋孔部で形成される、
上記(1)または(2)に記載の溶液タンク。
(4)第2蓋部が、
蓋底部と、
蓋底部の周囲を覆う蓋壁部と、
を含み、
蓋壁部の一部には、
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出し、引き出した第2蓋部に溶液を投入した際に、
投入した溶液がタンク本体部に流れるための切欠部が形成され、
ガイド部が、蓋底部、蓋壁部および切欠部で形成される、
上記(1)または(2)に記載の溶液タンク。
(5)第2蓋部の蓋底部および蓋壁部で規定される空間に収納可能なサイズであり、且つ、
第1部材、第2部材および第3部材を有する補助部材、
を含む、
上記(3)または(4)に記載の溶液タンク。
(6)第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出した際に、第2蓋部がタンク本体部から離脱することを防止するための係止機構を含む、
上記(1)~(5)の何れか一つに記載の溶液タンク。
(7)上記(1)~(6)の何れか一つに記載の溶液タンクを含む環境試験機であって、
環境試験機は外周を規定する筐体を含み、
溶液タンクは、筐体の内部に配置されている、
環境試験機。
(8)環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法であって、
溶液タンクは、
環境試験機の外周を規定する筐体の内部に配置され、且つ、
タンク本体部と、
第1蓋部と、
第2蓋部と、
第2蓋部の一部をタンク本体部の外側に引き出すためのスライド機構と、
を含み、
タンク本体部は、
底部と、
底部の周囲を覆う壁部と、
上方に開口する開口部と、
を含み、
第1蓋部および第2蓋部を組み合すことで開口部を覆うことができ、
第2蓋部は溶液のガイド部を含み、
溶液タンクに溶液を補給する方法は、
第1蓋部を配置していた方向に、第2蓋部の少なくとも一部が筐体の外側に出るようにスライドする第2蓋部スライド工程と、
第2蓋部のガイド部を介してタンク本体部に溶液を補給する溶液補給工程と、
を含む、溶液タンクに溶液を補給する方法。
【発明の効果】
【0013】
本出願で開示する溶液タンクを用いると、環境試験機の内部に溶液タンクを配置しても溶液の補給の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は溶液タンク1aの概略を示す斜視図である。
図2図2Aは溶液タンク1aを図1に示すZ方向(上方)から見た概略図、図2B図1のA-A’断面図、図2C図1のB-B’断面図である。
図3図3A乃至図3Cは、溶液タンク1のスライド機構Sの変形例1を説明するための図である。図3Aは溶液タンク1を図1に示すZ方向(上方)から見た概略図、図3B図1のA-A’断面図、図3C図1のD-D’断面図である。
図4図4は、溶液タンク1のスライド機構Sの変形例2を説明するための図である。
図5図5A乃至図5Cは、第2蓋部4のガイド部Mの実施形態を説明するための図である。図5A図1に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図5B図5Aのa-a’断面図、図5C図5Aのb-b’断面図である。
図6図6A乃至図6Cは、第2蓋部4のガイド部Mの変形例1を説明するための図である。図6A図1に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図6B図6Aのa-a’断面図、図6C図6Aのb-b’断面図である。
図7図7A乃至図7Cは、第2蓋部4のガイド部Mの変形例2について説明するための図である。図7A図1に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図7B図7Aのa-a’断面図、図7C図7Aのb-b’断面図である。
図8図8は、補助部材8の概略を示す斜視図である。
図9図9A乃至図9Cは、係止機構Nの一例を説明するための図である。図9A図6に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図9B図9Aのa-a’断面図、図9C図9Aのb-b’断面図である。
図10図10Aおよび図10Bは係止機構Nの変形例を示す図で、図9Cと同位置の断面図である。
図11図11は溶液タンク1のその他の実施形態を示す図で、図2Cと同位置の断面図である。
図12図12Aは環境試験機10の概略を示す正面図、図12Bは環境試験機10の概略を示す断面図である。
図13図13A乃至図13Dは、図9に示す溶液タンク1fを用いた場合の溶液タンク1に溶液を補給する方法の手順を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、溶液タンク、環境試験機、および、環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法の各実施形態について詳しく説明する。なお、本明細書において、同種の機能を有する部材には、同一または類似の符号が付されている。そして、同一または類似の符号の付された部材について、繰り返しとなる説明が省略される場合がある。
【0016】
また、図面において示す各構成の位置、大きさ、範囲などは、理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、本出願における開示は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0017】
(溶液タンクの実施形態)
図1および図2を参照して、実施形態に係る溶液タンク1の概略について説明する。図1は溶液タンク1aの概略を示す斜視図である。図2Aは溶液タンク1aを図1に示すZ方向(上方)から見た概略図(ただし、タンク本体部2の理解を容易にするため、第1蓋部3および第2蓋部4の記載は省略してある。)、図2B図1のA-A’断面図、図2C図1のB-B’断面図である。なお、図1のC-C’断面図は、図2Cと略同一になることから記載は省略する。また、図1および図2では、理解を容易とするため、第1蓋部3は浮かした状態で記載されている。
【0018】
溶液タンク1は、タンク本体部2、第1蓋部3、第2蓋部4、および、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出すためのスライド機構S、を少なくとも含んでいる。また、第2蓋部4には溶液をガイドするガイド部Mが形成されている。
【0019】
図1および図2には、底部21、および、底部21の周囲を覆う壁部22で形成された略直方体状のタンク本体部2の例が示されている。そして、タンク本体部2の上方には、開口部23が形成されている。なお、タンク本体部2は、溶液を貯蔵することができ、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出せる構造であれば形状に制限はない。溶液は、開口部23からタンク本体部2に補給できる。第1蓋部3および第2蓋部4を組み合わせた際の大きさは、開口部23と略同一になることが望ましい。第1蓋部3および第2蓋部4で開口部23を覆うことで、溶液タンク1内の溶液が蒸発することを低減できる。
【0020】
第1蓋部3は、開口部23に配置できれば特に制限はない。例えば、板状の部材で形成すればよい。なお、図2Cに示す例では、第1蓋部3と第2蓋部4とが当接する部分は略平面である。代替的に、図示は省略するが、第1蓋部3と第2蓋部4とが当接する部分に段差を形成し、第1蓋部3の段差と第2蓋部4の段差を係合することで、溶液タンク1内の溶液の蒸発をより低減できるようにしてもよい。
【0021】
環境試験機として腐食試験機を用いる場合、溶液タンク1には例えば塩水が貯蔵される。腐食試験機に用いる塩水の濃度やpHは所定範囲にする必要がある。そのため、溶液タンク1内の塩水は定期的にサンプリング、或いは、塩水にセンサーを挿入し、塩水の濃度やpHを確認する必要がある。第1蓋部3は、作業者が塩水の濃度やpHを確認する際に用いられる。したがって、第1蓋部3は確認作業が実施できる大きさであれば特に制限はない。
【0022】
一方、環境試験機の内部に配置した溶液タンク1に溶液を補給する際には、第2蓋部4の少なくとも一部が環境試験機の筐体の外側に出るようにスライドする。そして、第2蓋部4が有するガイド部Mを介してタンク本体部2に溶液を補給する。したがって、第2蓋部4が大きいほど、筐体の外側に引き出せる第2蓋部4も大きくなるので、溶液を補給する際の利便性が向上する。
【0023】
図2に示す例では、壁部22は4つの壁部22a~22dで形成されている。第2蓋部4を移動する方向の壁部を壁部22a、壁部22aと対向する壁部22cと規定し、開口部23の長さ(壁部22aと壁部22cの内壁の長さ)をLと規定し、第1蓋部3の長さをL1、第2蓋部4の長さをL2と規定する。上記のとおり、溶液タンク1から蒸発を低減するためには、L=L1+L2とすることが望ましい。
【0024】
(スライド機構Sの実施形態)
次に、図2を参照して、溶液タンク1が有するスライド機構Sの実施形態について説明する。スライド機構Sは、第1蓋部3の配置方向に第2蓋部4をスライドでき、更に、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出すことができれば特に制限はない。図2には、タンク本体部2の壁部22に設けられた壁部凸部5aおよび第2蓋部下面4bでスライド機構Sを形成する例が示されている。より具体的には、図2に示す例では、壁部22は4つの壁部22a~22dで形成され、相対する壁部22bおよび壁部22dに、壁部凸部5aが対となるように形成されている。
【0025】
図2に示す例では、壁部凸部5aは底部21と略平行となる方向に、壁部22bおよび壁部22dに細長状に形成されている。壁部凸部5aに第2蓋部4を載置し、第1蓋部3を取り外した後、第2蓋部4の壁部22a側を持ち上げるように壁部22a側にスライドすることで、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出すことができる。図示は省略するが、操作の利便性向上のため、第1蓋部3および第2蓋部4の任意の箇所に、取手を設けてもよい。
【0026】
なお、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出すようにスライドする際に、第2蓋部下面4bが第1蓋部3に干渉しないように、第1蓋部3および第2蓋部4を設計してもよい。その場合、第1蓋部3を開口部23に載置した状態で第2蓋部4をスライドできる。
【0027】
図2に示す例では、任意付加的に、第1蓋部3を開口部23に載置した際に、第1蓋部3がタンク本体部2に落下することを防止するための第1蓋部保持凸部6が形成されている。また、第2蓋部4を開口部23に配置した際に、第2蓋部4がタンク本体部2に落下することを防止するための第2蓋部保持凸部7が形成されている。壁部凸部5aは、第2蓋部4のスライド機構Sとして機能すると共に、第1蓋部保持凸部6と共同して第1蓋部3の保持部として機能し、第2蓋部保持凸部7と共同して第2蓋部4の保持部としても機能する。第1蓋部保持凸部6および第2蓋部保持凸部7は、壁部凸部5aと同様、壁部22aおよび壁部22cから突出する凸部として形成すればよい。
【0028】
なお、図示は省略するが、例えば、図2Aに示す壁部凸部5aを壁部22aおよび壁部22cに十分近い位置まで形成する、換言すれば、第1蓋部3および第2蓋部4を開口部23に配置した際に、第1蓋部3および第2蓋部4がタンク本体部2に落下しないように壁部凸部5aが支えることが可能な長さであれば、第1蓋部保持凸部6および第2蓋部保持凸部7は不要である。また、図示は省略するが、壁部凸部5a、第1蓋部保持凸部6および第2蓋部保持凸部7が接続する、換言すると、上面視で略ロ字状となるように形成してもよい。その場合、第1蓋部3および第2蓋部4の下面の外周部分が、壁部凸部5a、第1蓋部保持凸部6および第2蓋部保持凸部7と接触することから、溶液タンク1からの溶液の蒸発をより低減できる。
【0029】
(スライド機構Sの変形例1)
次に、図3を参照してスライド機構Sの変形例1を説明する。図3Aは溶液タンク1を図1に示すZ方向(上方)から見た概略図(ただし、タンク本体部2の理解を容易にするため、第1蓋部3および第2蓋部4の記載は省略してある。)、図3B図1のA-A’断面図、図3C図1のD-D’断面図である。なお、図1のE-E’断面図は、図3Cと略同一になることから記載は省略する。
【0030】
図3には、タンク本体部2の壁部22に設けられた壁部凹部5bおよび第2蓋部4の側面に形成した第2蓋部凸部4aでスライド機構Sを形成する例が示されている。より具体的には、図3に示す例では、壁部22の相対する壁部22bおよび壁部22dに、壁部凹部5bが対となるように形成されている。
【0031】
図3に示す例では、壁部凹部5bの壁部22c側は底部21と略平行となる方向に、壁部22bおよび壁部22dに細長状に形成されている。一方、壁部凹部5bの壁部22a側の端部は、上方に開口する壁部凹部開口部5b1を形成している。つまり、壁部凹部5bには、壁部22c側に略直線部分5b2が形成され、壁部22a側に略傾斜部分5b3が形成される。したがって、第2蓋部4をタンク本体部2に載置する時には、壁部凹部開口部5b1から第2蓋部凸部4aを挿入すればよい。そして、溶液を補給する際には、第2蓋部4を壁部22aの方向にスライドすることで、第2蓋部4の壁部22a側の端部が引き上がった状態で、タンク本体部2の外側に引き出すことができる。
【0032】
第2蓋部凸部4aは、壁部22b側および壁部22d側のそれぞれに、2個以上形成されていればよく、タンク本体部2および第2蓋部4のサイズに応じて適宜個数を調整すればよい。また、壁部凹部5bの略直線部分5b2の長さおよび略傾斜部分5b3の傾斜角度も、適宜調整すればよい。なお、変形例1に係るスライド機構Sを用いた場合、第2蓋部4を壁部凹部開口部5b1から引き出した際に、第2蓋部下面4bが第1蓋部3に干渉しないように、壁部凹部5bおよび第1蓋部3のサイズや配置を設計することで、第1蓋部3を載置した状態で第2蓋部4をスライドすることもできる。勿論、第1蓋部3を取り外した後に、第1蓋部3を配置していた方向に第2蓋部4をスライドできるように設計してもよい。
【0033】
更に、図示は省略するが、壁部凹部開口部5b1を図3Cに示す例に替え、壁部22aに形成してもよい。その場合、図3Aに示す第1蓋部保持凸部6を形成せずに、第1蓋部3にも第1蓋部凸部を形成し、壁部凹部5bに挿入してもよい。また、溶液を補給する際の障害とならないように、壁部凹部開口部5b1より上方には壁部22aを形成しなくてよい。後述するとおり、第2蓋部4には、溶液のガイド部Mが形成されている。壁部凹部開口部5b1を壁部22aに形成する場合、補給する溶液をタンク本体部2にガイドし易くするため、壁部凹部開口部5b1が底部21から離れる方向となるように壁部凹部5bを傾斜させてもよい。
【0034】
(スライド機構Sの変形例2)
次に、図4を参照してスライド機構Sの変形例2を説明する。図4図1のA-A’断面図である。図2に示す例では、スライド機構Sとして、壁部22bおよび壁部22dからタンク本体部2の内側に突出する壁部凸部5aを用いていた。図4に示す例では、壁部22bおよび壁部22dの壁厚を底部21側の方が厚くなるように壁部段差部5cを形成する点で図2に示すスライド機構Sと異なり、その他の点では同じである。変形例2は、図2に示すスライド機構Sの例において、「壁部凸部」を「壁部段差部」、「第1蓋部保持凸部」を「第1蓋部保持段差部」、「第2蓋部保持凸部」を「第2蓋部保持段差部」と読み替えればよい。
【0035】
図2に示すスライド機構Sでは、壁部凸部5a、並びに、任意付加的な構成である第1蓋部保持凸部6および第2蓋部保持凸部7は、壁部22から突出する部材である。そのため、タンク本体部2の外周のサイズが同じ場合、図2に示すタンク本体部2の容積は、図4に示すタンク本体部2の容積より大きくできる。一方、図2に示す壁部凸部5a、並びに、第1蓋部保持凸部6および第2蓋部保持凸部7は、壁部22から突出した凸部であることから、第1蓋部3及び/又は第2蓋部4を介して強い負荷がかかった場合は、凸部が破損するおそれがある。一方、図4に示す例では、段差部を形成していることから、凸部と異なり破損するおそれはない。したがって、必要に応じて、スライド機構S(任意付加的な第1蓋部保持凸部6および第2蓋部保持凸部7)を凸部で形成するのか、或いは、段差部で形成するのか、使用環境等を考慮し適宜決定すればよい。勿論、段差部と凸部を組み合わせてもよい。
【0036】
(第2蓋部4のガイド部Mの実施形態)
図5を参照して、第2蓋部4のガイド部Mの実施形態について説明する。図5A図1に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図5B図5Aのa-a’断面図、図5C図5Aのb-b’断面図である。
【0037】
ガイド部Mは、タンク本体部2に溶液を補給する際に、溶液をタンク本体部2の開口部23にガイドできれば特に制限はない。図5に示す例では、第2蓋部上面4cに形成されたガイド溝41でガイド部Mを形成している。図5に示す例では、タンク本体部2の外側に引き出した第2蓋部4部分に溶液を投入すると(図5Cの矢印参照)、補給した溶液は、ガイド溝41を介して開口部23からタンク本体部2内に落下する。図5Bに示す例では、ガイド溝41の断面は略半楕円形状であるが、ガイド溝41の形状に特に制限はない。図示は省略するが、断面がV字状、半円状等、適宜決めればよい。また、図5に示す例では、第2蓋部上面4cの一部にガイド溝41を形成している。代替的に、第2蓋部上面4cを中心に行くほど厚みが薄くなるように傾斜面を付けることで、第2蓋部上面4c全体でガイド溝41を形成してもよい。
【0038】
(第2蓋部4のガイド部Mの変形例1)
図6を参照して、第2蓋部4のガイド部Mの変形例1について説明する。図6A図1に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図6B図6Aのa-a’断面図、図6C図6Aのb-b’断面図である。
【0039】
図6に示す例では、蓋底部42と、蓋底部42の周囲を覆う蓋壁部43と、蓋底部42に形成した蓋孔部44とで、ガイド部Mを形成している。図6に示す例では、タンク本体部2の外側に引き出した第2蓋部4部分に溶液を投入すると(図6Cの矢印参照)、投入した溶液は、蓋底部42および蓋壁部43で規定する空間を流れ、蓋孔部44および開口部23を介してタンク本体部2内に落下する。
【0040】
図6Aに示す例では、蓋孔部44は上面視で略長方形状であるが、投入した溶液をタンク本体部2に落下できれば蓋孔部44の形状に特に制限はない。ところで、第2蓋部4から投入した溶液が溢れ出る恐れを少なくするためには、蓋孔部44は比較的大きく形成した方がよい。その一方、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した後でも、蓋孔部44は開口部23の上方に配置する必要がある。環境試験機の内部に溶液タンク1を配置した際の操作の利便性を考慮すると、タンク本体部2の外側に引き出すことができる第2蓋部4部分が大きい方が好ましい。図6Aに示すように、第2蓋部4のタンク本体部2の壁部22a側の蓋壁部43を蓋壁部43a、タンク本体部2の壁部22c側の蓋壁部43を蓋壁部43cと規定し、蓋壁部43aおよび蓋壁部43cの内側の長さをL3と規定する。タンク本体部2の外側に引き出すことができる第2蓋部4部分を大きくするためには、蓋孔部44は、蓋壁部43cからL3の1/3以内、1/4以内、1/5以内、1/6以内の範囲に設けることが望ましい。なお、蓋壁部43の蓋底面42からの高さは、タンク本体部2の容積および一度に補給する溶液の量等から適宜設定すればよい。
【0041】
また、蓋壁部43cをタンク本体部2の壁部22cに当接した際に、蓋孔部44が第2蓋部保持凸部7で塞ぐことができるように、蓋孔部44と第2蓋部保持凸部7の大きさと配置を調整してもよい。当該大きさと配置に調整することで、溶液タンク1からの溶液の蒸発を低減できる。
【0042】
変形例1に示すガイド部Mは、蓋底部42および蓋壁部43で規定する空間に溶液を一時的に貯蔵することができる。したがって、ガイド部Mをガイド溝41で形成する例と比較して、溶液補給時に第2蓋部4から溶液が溢れるおそれが少なくなるとの効果を奏する。
【0043】
(第2蓋部4のガイド部Mの変形例2)
図7を参照して、第2蓋部4のガイド部Mの変形例2について説明する。図7A図1に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図7B図7Aのa-a’断面図、図7C図7Aのb-b’断面図である。
【0044】
図7に示す例では、蓋底部42と、蓋底部42の周囲を覆う蓋壁部43と、蓋壁部43の一部(図7に示す例では蓋壁部43c)に形成した切欠部45とで、ガイド部Mを形成している。図7に示す例では、タンク本体部2の外側に引き出した第2蓋部4部分に溶液を投入すると(図7Cの矢印参照)、投入した溶液は、蓋底部42および蓋壁部43で規定する空間を流れ、切欠部45および開口部23を介してタンク本体部2内に落下する。
【0045】
図7に示す例では、切欠部45は投入した溶液を開口部23に流すことができれば特に制限はないが、第2蓋部4に投入した溶液が残らないようにすることが好ましい。したがって、図7Bに示すように、切欠部45は、第2蓋部4の蓋底部42と同一の高さ、或いは、蓋底部42を更に切り欠くように形成することが好ましい。
【0046】
蓋壁部43cをタンク本体部2の壁部22cに当接することで、溶液タンク1からの溶液の蒸発を防ぐことができる。更に、第2蓋部保持凸部7を形成すると、切欠部45を形成する蓋壁部43cの下面と第2蓋部保持凸部7が当接することから、溶液タンク1からの溶液の蒸発をより低減できる。
【0047】
変形例2に示すガイド部Mは、変形例1に示すガイド部Mが奏する効果に加え、タンク本体部2の外側に引き出す第2蓋部4部分をより大きくできるという効果を奏する。なお、図7Cに示すとおり、変形例2に示すガイド部Mに投入した溶液が第2蓋部4から飛び出す方向は、蓋底部42の傾斜方向に一致する。したがって、勢いよく溶液を補給し且つ切欠部45とタンク本体部2の壁部22cとの距離が短い場合は、溶液が壁部22cに当り、溶液が飛散するおそれがある。一方、変形例1に示すガイド部Mの場合、溶液は蓋孔部44から重力方向に落下する。したがって、タンク本体部2の容積および一度に補給する溶液の量、環境試験機の内部に配置した溶液タンク1から引き出す必要がある第2蓋部4の長さ等を考慮し、図5乃至図7に示すガイド部M、変形例1および変形例2の何れを採用するのか、適宜選択すればよい。
【0048】
なお、図5乃至図7から明らかなとおり、第2蓋部4をタンク本体部2から外側に引き出した際に、第2蓋部4の蓋壁部43c側が下側となるように傾斜していると、投入した溶液がタンク本体部2に落下しやすくなる。したがって、スライド機構Sを構成する壁部凸部5a、壁部凹部5bおよび壁部段差部5cは、壁部22aの上端より低い位置に配置することが好ましい。
【0049】
(補助部材8)
ガイド部Mが図6に示す変形例1および図7に示す変形例2の場合、溶液タンク1は、任意付加的に、第2蓋部4の蓋底部42および蓋壁部43で規定される空間(以下、単に「空間」と記載することがある。)に収納可能なサイズである補助部材8を更に含んでもよい。図6および図8を参照し、補助部材8について説明する。図8は、補助部材8の概略を示す斜視図である。
【0050】
補助部材8は、第1部材8a、第2部材8b、および、第3部材8cを有する。そして、図8に示す例では、第2部材8bおよび第3部材8cは、第1部材8aに対して、略垂直に配置されており、a-a’断面(図示は省略する)が略コ字状となっている。補助部材8は、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出し、溶液を投入する際に、第2蓋部4の蓋底部42に起立するように配置する。補助部材8を第2蓋部4に起立するように配置することで、溶液を第2蓋部4に投入した際に、蓋底部42で跳ね返った溶液が環境試験機に飛散することを防止する水撥ね防止部材として機能する。
【0051】
補助部材8は、空間に収納可能なサイズであれば、形状等の制限は特にないが、環境試験機への溶液の跳ね返りを防止するとの観点では、空間と同じサイズとすることができる。例えば、図6Aに示すように蓋壁部43aおよび蓋壁部43cの内側の長さをL3、L3と直交する方向の長さをL4と規定する。その場合、図8に示す第2部材8bおよび第3部材8cの長さH3は、L3と同じ長さとすればよい。また、第2部材8bと第3部材8cの外面の長さH4は、L4と同じ長さとすればよい。
【0052】
なお、H4とL4の長さが同じ場合、補助部材8を第2蓋部4の蓋底部42に起立すると、投入した溶液が蓋孔部44に流れることを補助部材8が遮ることになる。したがって、H4の長さに応じて、補助部材8は溶液通過孔81を含んでもよい。図8には、H3方向の第1部材8aの長さを、第2部材8bおよび第3部材8cより短くすることで、溶液通過孔81を形成する例が示されているが、溶液通過孔81は図8に示す例に限定はされない。
【0053】
また、補助部材8を第2蓋部4に配置した際に、第1部材8aが蓋孔部44を覆う形状の場合は、第2蓋部保持凸部7が蓋孔部44を覆う必要はない。したがって、補助部材8に蓋孔部44を覆う機能を持たせる場合は、第2蓋部保持凸部7の設計の自由度(第2保持部凸部の省略も含む)が向上する。同様に、補助部材8の第2部材8bまたは第3部材8cを、蓋壁部43cの切欠部45を覆うように当接できる場合も、第2蓋部保持凸部7の設計の自由度(第2保持部凸部の省略も含む)が向上する。
【0054】
一方、補助部材8を空間と全く同じ大きさにすると、第2蓋部4から補助部材8を取り出し難くなる可能性もある。したがって、補助部材8のサイズ(H3、H4、および高さH5)は、溶液の跳ね返り防止機能、蓋孔部44および切欠部45の蓋機能、および、取り扱い性を考慮しながら、適宜設計すればよい。
【0055】
(係止機構Nの実施形態)
溶液タンク1は、第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際に、第2蓋部4がタンク本体部2から離脱することを防止するための係止機構Nを任意付加的に含んでもよい。図9を参照して、係止機構Nの一例を説明する。図9A図6に示す溶液タンク1の第2蓋部4の一部をタンク本体部2の外側に引き出した際の概略上面図、図9B図9Aのa-a’断面図、図9C図9Aのb-b’断面図である。
【0056】
図9に示す例では、係止機構Nは、第2蓋部4の蓋壁部43c側に形成したフック部46、および、第1蓋部保持凸部6で形成されている。図9に示すフック部46は、第2蓋部4の蓋壁部43c側に接続するフック第1部分46a、および、フック第1部分46aに接続するフック第2部分46bで略L字状に形成されている。図9Cに示すように、第2蓋部4の一部をタンク本体部2から引き出すように壁部22a方向にスライドすると、フック部46が第1蓋部保持凸部6に係止することで、第2蓋部4がタンク本体部2から離脱することを防止できる。なお、投入した溶液が蓋孔部44を介してタンク本体部2の外部に漏れることを防止するため、フック第2部分の先端46b1は、蓋孔部44より蓋壁部43a側まで延伸することが望ましい。
【0057】
(係止機構Nの変形例)
図9に示す例は、係止機構Nの一例に過ぎず、第2蓋部4の離脱を係止できればその他の実施形態であってもよい。図10Aおよび図10Bは係止機構Nの変形例を示す図で、図9Cと同位置の断面図である。例えば、図9Cに示す実施形態に替え、図10Aに示すように、蓋孔部44より蓋壁部43a側に直線状のフック部46を形成してもよい。図10Aに示す例では、蓋孔部44より蓋壁部43a側にフック部46が形成されているので、フック部46が第1蓋部保持凸部6に当接した状態で溶液を投入すると、溶液は蓋孔部44から開口部23に確実に補給できる。また、図10Aに示すように、フック部46を蓋孔部44に接するように配置すると、フック部46は蓋孔部44から溶液が落下する際のガイド部Mとしても機能する。図5および図7に示す実施形態においても、第2蓋部4の壁部22c側の端部に図10Aと同様のフック部46を形成すれば、フック部46は係止機構Nを形成すると共に、投入した溶液のガイド部Mとしても機能する。
【0058】
また、図10Bに示すように、第2蓋部下面4bは壁部22aの上端部に当接しながらスライドすることから、第2蓋部下面4bより下側にフック部46を形成すれば、フック部46は壁部22aに当接する。したがって、係止機構Nは、第2蓋部4に形成したフック部46と壁部22aで形成してもよい。
【0059】
なお、溶液タンク1は、上記各実施形態およびその変形例に限定されず、本出願で開示する技術思想の範囲内において、各実施形態は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。例えば、図2Cに示す例に替え、図11に示すように、第1蓋部保持凸部6の上面に傾斜部6aを設けてもよい。図11に示す例では、傾斜部6aは壁部22a側より壁部22c側の方が第1蓋部保持凸部6の上面に近づくように形成されている。傾斜部6aを設けることで、第1蓋部3および第2蓋部4を引き出す際に、第1蓋部3および第2蓋部4が壁部22aに引っかかることを防止し、引き出す動作が容易となる。傾斜部6aは、第1蓋部保持凸部6と一体的に形成してもよいし、別体として形成した後に第1蓋部保持凸部6の上面と壁部22aに当接するように固定してもよい。なお、図11に示す例では、傾斜部6aは壁部22aに当接し、傾斜部6aの壁部22a側の端部と壁部22aの上端の高さは同じである。代替的に、第1蓋部3および第2蓋部4が壁部22aを引き出す際に引っかかることが防止できる範囲内であれば、傾斜部6aと壁部22aは離間してもよく、また、傾斜部6aの壁部22a側の端部は壁部22aの上端より高くても低くてもよい。なお、第1蓋部保持凸部6に当接する傾斜部6aの長さをL6aとした場合、溶液タンク1から溶液が蒸発することを低減するため、L=L1+L2+L6aとしてもよい。また、図示は省略するが、図5C図6C図7C図9Cおよび図10Aに示す例においても傾斜部6aを設けてもよい。更に、各実施形態およびその変形例で用いられる任意の構成要素を、他の実施形態およびその変形例に組み合わせることが可能であり、また、各実施形態およびその変形例において任意の構成要素を省略することも可能である。
【0060】
本出願で開示する溶液タンク1を用いると、以下の効果を奏する。
(1)環境試験機の筐体の内部に溶液タンク1を配置した場合であっても、第2蓋部4を環境試験機の筐体の外側に引き出せ、且つ、第2蓋部4には溶液のガイド部Mが形成されていることから、溶液タンク1を筐体の外側に引き出すことなく、溶液タンク1に溶液を補給できる。
(2)溶液タンク1は、第1蓋部3および第2蓋部4の2つの蓋部を備えていることから、溶液タンク1内の溶液のpHや塩分濃度等をモニタする場合には、第1蓋部3を取り外すことで簡単に実施できる。
(3)スライド機構Sの実施形態およびその変形例、第2蓋部4のガイド部Mの実施形態およびその変形例、補助部材8、並びに、係止機構Nの実施形態及びその変形例で示す具体例を採用した場合には、各実施形態および変形例に記載した効果を相乗的に奏する。
【0061】
(環境試験機の実施形態)
図12を参照して、環境試験機の実施形態について説明する。図12Aは環境試験機10の概略を示す正面図、図12Bは環境試験機10の概略を示す断面図である。環境試験機10は、上記の溶液タンク1を含む。環境試験機10は外周を規定する筐体11を含み、溶液タンク1は筐体11の内側に配置されている。なお、本明細書において筐体とは、環境試験機を構成する外枠を意味する。また、溶液タンク1を環境試験機10の内部に配置するとは、環境試験機10を図12Aに示す正面視、図12Bに示す側面視、および、図12の矢印Z方向の上面視をした際に、環境試験機10の輪郭より内側に第1蓋部3および第2蓋部4を開口部23に載置した溶液タンク1が配置されているといってもよい。
【0062】
環境試験機10は、溶液タンク1を必須の構成として含めば、その他は環境試験機で一般的に用いられている構成を必要に応じて含めばよい。例えば、環境試験機10として腐食試験機を用いる場合は、試験槽、溶液タンク1に塩水等の試験液を貯蔵する場合は試験液の加熱装置、試験槽と溶液タンク1を連結する配管、試験液を噴霧する噴霧部、温度および湿度を制御した空気を試験槽に送気するための調温調湿槽等が挙げられる。環境試験機10として耐候性試験機を用いる場合は、試験槽、光源、溶液タンク1に光源の冷却水を貯蔵する場合は冷却水の循環機構、調温調湿槽等が挙げられる。勿論、上記例示は代表的な構成であって、必要に応じて、その他の構成を含んでいてもよい。
【0063】
(環境試験機が具備する溶液タンクに溶液を補給する方法)
次に、図13を参照して、環境試験機10が具備する溶液タンク1に溶液を補給する方法について説明する。図13A乃至図13Dは、図9に示す溶液タンク1fを用いた場合の、溶液タンク1に溶液を補給する方法の手順を示す概略断面図である。なお、図13は、環境試験機10の内部に配置した溶液タンク1の周辺部分のみ示す。
【0064】
溶液タンク1に溶液を補給する方法は、
(ST1)第1蓋部3取り外し工程と、
(ST2)第1蓋部3を配置していた方向に、第2蓋部4の少なくとも一部が筐体11の外側に出るようにスライドする第2蓋部4スライド工程と、
(ST3)第2蓋部4のガイド部Mを介してタンク本体部2に溶液を補給する溶液補給工程と、
を含む。
【0065】
なお、上記のとおり、第2蓋部下面4bが第1蓋部3に干渉しないように、第1蓋部3および第2蓋部4を設計すれば、第1蓋部3を開口部23に載置した状態で第2蓋部4をスライドできる。したがって、溶液タンク1に溶液を補給する方法において、(ST1)第1蓋部3取り外し工程は、任意付加的な工程であって必須の工程ではないが、図13では(ST1)を含めて説明する。
【0066】
図13Aは、溶液を補給する前の状態を示しており、第1蓋部3および第2蓋部4は、開口部23を覆うように載置されている。図13BはST1実施後の状態を示しており、第1蓋部取手31を引き上げることで、第1蓋部3が取り外されている。図13CはST2実施後の状態を示しており、第2蓋部取手47を引っ張ることで第2蓋部4の一部を筐体11の外側にスライドし、フック部46が第1蓋部保持凸部6に係止することで、第2蓋部4がタンク本体部2から離脱することを防止している。図13Dは、任意付加的な工程である補助部材8の起立工程を実施後の状態を示している。溶液タンク1が補助部材8を含む場合は、ST2で第2蓋部4の一部を筐体11の外側に引き出した後、第2蓋部4に収納されている補助部材8を取り出し、補助部材8の一端側は蓋底部42に接触し、他端側が筐体11に接触するように起立する。そして、図13Dの矢印に示すように、筐体11の外側に引き出した第2蓋部4に溶液を投入すると、第2蓋部4のガイド部Mを介してタンク本体部2に溶液を補給できる。
【0067】
本出願で開示する環境試験機10および溶液タンク1に溶液を補給する方法を用いると、環境試験機10の内部に溶液タンク1を配置した状態で、溶液のモニタを行ったり、溶液の補給ができるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本出願で開示する溶液タンク1により、環境試験機10の利便性が向上する。したがって、試験機産業にとって有用である。
【符号の説明】
【0069】
1…溶液タンク、2…タンク本体部、21…底部、22、22a~22d…壁部、23…開口部、3…第1蓋部、31…第1蓋部取手、4…第2蓋部、4a…第2蓋部凸部、4b…第2蓋部下面、4c…第2蓋部上面、41…ガイド溝、42…蓋底部、43、43a、43c…蓋壁部、44…蓋孔部、45…切欠部、46…フック部、46a…フック第1部分、46b…フック第2部分、46b1…フック第2部分の先端、47…第2蓋部取手、5a…壁部凸部、5b…壁部凹部、5b1…壁部凹部開口部、5b2…略直線部分、5b3…略傾斜部分、5c…壁部段差部、6…第1蓋部保持凸部、6a…傾斜部、7…第2蓋部保持凸部、8…補助部材、8a…第1部材、8b…第2部材、8c…第3部材、81…溶液通過孔、10…環境試験機、11…筐体、M…ガイド部、N…係止機構、S…スライド機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13