(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】粉体供給装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20220706BHJP
B65G 65/32 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
B65G65/40 B
B65G65/32 B
(21)【出願番号】P 2022522074
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(86)【国際出願番号】 JP2021040292
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2020184019
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507001162
【氏名又は名称】株式会社ツカサ
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】関 知憲
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-227302(JP,A)
【文献】特開2001-130748(JP,A)
【文献】登録実用新案第3005747(JP,U)
【文献】登録実用新案第3152723(JP,U)
【文献】特開2018-122922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/40-65/46
B65G 65/32
B65G 69/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体と接続し、粉体を内部に貯留する複数のストッカと、
集塵部と、を備え、
前記ストッカが、該ストッカの内部に前記粉体を投入可能な投入口と、供給口を含み、前記ストッカの内部に貯留された前記粉体を前記供給口から、上部が開口した前記粉体の計量用の容器に供給する供給部と、を有し、
前記集塵部が、ケーシングと、排気部と、濾過部材と、を有し、前記容器の上方に配置され
、
前記ケーシングが、天井と、側部と、を含み、前記天井と対向する面が開口した蓋状体であり、
前記側部が、前記供給部が挿通する切り欠き部を有し、
前記濾過部材が、前記切り欠き部の上方、かつ前記天井の下方の前記ケーシングの内部に設置され、前記粉体を捕集し、
前記ケーシングの内部が、前記濾過部材により、第1の領域と、第2の領域と、に画定され、
前記第1の領域が、前記濾過部材の下方の領域であり、前記排気部によって前記隙間を通じて外部から空気が流入する領域であり、
前記第2の領域が、前記濾過部材の上方の領域であり、前記排気部によって該第2の領域の内部の空気が排気され、前記濾過部材を通過した空気が流入する領域であ
り、
前記容器の上方に配置された前記集塵部と前記容器との隙間の幅を調整可能にし、前記粉体の粒子径に応じて決定し、前記隙間から前記ケーシングの前記第1の領域に流入する空気の流速を変化させる構成とする、ことを特徴とする粉体供給装置。
【請求項2】
前記集塵部が、前記濾過部材から落下する前記粉体を受ける受け部材を有し、
前記受け部材が、前記切り欠き部の上方、かつ前記濾過部材の下方に位置する請求項1に記載の粉体供給装置。
【請求項3】
前記ストッカが、前記集塵部を中心として、放射状に複数個、配置され、前記本体に着脱可能に接続される構造であり、
前記供給部が、前記切り欠き部に挿脱可能に挿通する構造であり、該供給部の中心軸が前記集塵部の中心に向くように配置される請求項1または2に記載の粉体供給装置。
【請求項4】
前記本体が、前記供給部による前記粉体の供給と、前記排気部の駆動と、を制御する制御部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項5】
前記
ストッカ側にはガイド部材があり、前記本体側にはガイド受け部があり、前記ストッカが前記本体に装着された時に前記ガイド部材が前記ガイド受け部と嵌合する構成を有する請求項
1~4のいずれか1項に記載の粉体供給装置。
【請求項6】
前記ガイド部材の外側に位置し、前記ストッカが前記本体に装着された状態で前記本体と接触する弾性体を備える請求項5に記載の粉体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体供給装置に関し、より詳細には、粉体を供給する際に生じる粉塵を集塵する集塵部を備える粉体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
充填容器や計量容器等に対する粉体の落下投入による供給作業の際には、粉体の粒子径によっては、粉塵が発生する。作業者が微細な粉塵を吸入した場合には、人体に悪影響を及ぼす可能性がある。また、飛散した粉塵によって周辺の視界が悪くなること、供給作業を行う周辺が汚れること等の作業環境の悪化により、確認作業のミスや機器の操作ミス等の人為的ミスが生じ易くなる。
【0003】
特許文献1では、粉体を収容する第一の容器と、当該第一の容器の下方に配置される第二の容器と、の間を囲う集塵フードであって、上面に設けられ、前記粉体を投入するための上面開口部と、側面に設けられ、前記第一の容器に対して作業を施すための側面開口部と、前記粉体の投入により発生する粉塵を吸引する複数の集塵口と、前記上面開口部から前記側面開口部の下部近傍まで垂直下方に向けて延出して設けられ、前記上面開口部及び前記側面開口部から前記集塵口へ向かう空気の流れを整流する整流部材と、を具備する集塵フードを開示している。
【0004】
特許文献2では、供給口を有する容器内に粉体を投入するのに用いるホッパ装置であって、投入口、およびこの投入口と連通する排出口、ならびにこの排出口に並設された粉塵吸引口を有するホッパ部と、前記粉塵吸引口を介して吸引を行うとともに吸引した粉塵を集塵する吸引集塵装置とを備えた、粉塵防止機能付ホッパ装置を開示している。
【0005】
特許文献3では、計量器の上方に、この計量器上の計量容器内に粉体を落下供給する粉体供給口を配設してある粉体用計量器における集塵装置であって、前記計量器を載置する床部とこれに上下方向で相対向する天井部とのうちの一方に、前記計量器及び粉体供給口の周囲を取り囲む状態で気流を吹出す実質的に環状の吹出口を形成するとともに、他方に、前記吹出口から吹出された気流を吸引する吸込口を形成してある粉体用計量器における集塵装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-42448号公報
【文献】特開2005-263468号公報
【文献】実全平01-71627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2の発明は、上方に設置されたフレキシブルコンテナバッグやホッパ等の第1の容器から下方に設置された第2の容器に落下供給する際に生じる粉塵を集塵するために第1の容器と第2の容器の間を繋ぐように接続するものであるため、スクリューコンベアやベルトコンベア等の側方から粉体を供給する粉体供給装置に対しての使用に適していない。
【0008】
特許文献1の集塵フードは、集塵装置と接続して使用するものであり、集塵フードのみで集塵することができない。特許文献2の粉塵防止機能付ホッパ装置は、ホッパ部とは別に吸引集塵装置を備える構成であり、同様に、ホッパ部のみで集塵することができない。したがって、特許文献1、2の発明は、集塵する箇所とは別の場所に集塵装置が必要であり、結果的に粉体供給装置が大型になり、必要な空間が大きくなってしまう。
【0009】
特許文献3の発明は、粉体供給口の上下にブロアに連通接続された気流吹出用ダクト、集塵機に連通接続された集塵用ダクトを配設した構成である。したがって、装置構造が複雑、かつ、大型であるため、特許文献1、2の発明と同様に、粉体供給装置を設置するために必要な空間が大きくなってしまう。
【0010】
そこで、本発明では、側方から粉体を供給する際に生じる粉塵を捕集する集塵部を備え、かつ、省スペースで、簡素な粉体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、本体と、前記本体と接続し、粉体を内部に貯留する複数のストッカと、集塵部と、を備え、前記ストッカは、該ストッカの内部に前記粉体を投入可能な投入口と、供給口を含み、前記ストッカの内部に貯留された前記粉体を前記供給口から、上部が開口した前記粉体の計量用の容器に供給する供給部と、を有し、前記集塵部は、ケーシングと、排気部と、濾過部材と、を有し、前記容器の上方に配置され、前記ケーシングが、天井と、側部と、を含み、前記天井と対向する面が開口した蓋状体であり、前記側部が、前記供給部が挿通する切り欠き部を有し、前記濾過部材が、前記切り欠き部の上方かつ前記天井の下方の前記ケーシングの内部に設置され、前記粉体を捕集し、前記ケーシングの内部が、前記濾過部材により、第1の領域と、第2の領域と、に画定され、前記第1の領域が、前記濾過部材の下方の領域であり、前記排気部によって前記隙間を通じて空気が流入する領域であり、前記第2の領域が、前記濾過部材の上方の領域であり、前記排気部によって該第2の領域の内部の空気が排気され、前記濾過部材を通過した空気が流入する領域であり、前記容器の上方に配置された前記集塵部と前記容器との隙間の幅を前記粉体の粒子径に応じて決定し、前記隙間から前記ケーシングの前記第1の領域に流入する空気の流速を変化させる構成とする、ことを特徴とする粉体供給装置である。
【0012】
この構成によれば、前記粉体は、前記切り欠き部に挿通した前記供給部により前記ケーシングの側方から第1の領域に供給され、重力により落下し、前記天井と対向する開口した面から前記ケーシングの外部へと排出される。この粉体の供給の際に、前記第1の領域において発生する粉塵は、前記排気部による前記第1の領域から前記第2の領域への空気の流入に伴って上方へと移動し、前記濾過部材によって捕集される。したがって、前記粉体供給装置は、前記供給部により側方から粉体を供給する際の使用に適した集塵部を備えており、ブロア等の機器との接続が不要であるため、省スペースで、簡素な構造である。また、前記ケーシングの外部から前記第1の領域の内部に流入する空気の流速を調整することが可能である。
【0013】
本発明は、前記集塵部が、前記濾過部材から落下する前記粉体を受ける受け部材を有し、前記受け部材が、前記切り欠き部の上方、かつ前記濾過部材の下方に位置することが好ましい。この構成によれば、捕集された前記粉粒が前記濾過部材から落下する場合であっても、該落下する粉体は前記受け部材により受け止められる。したがって、前記濾過部材から落下する粉体のケーシングの外部への流出を防止することができる。
【0014】
本発明は、前記ストッカが、前記集塵部を中心として、放射状に複数個、配置され、前記本体に着脱可能に接続される構造であり、前記供給部が、前記切り欠き部に挿脱可能に挿通する構造であり、該供給部の中心軸が前記集塵部の中心に向くように配置されることが好ましい。この構成によれば、複数の前記ストッカからの前記粉体の供給に伴い発生する粉塵を集塵部で捕集することが可能である。前記ストッカは、前記本体と、前記集塵部と、から取り外すことが可能であり、前記粉体供給装置から供給される粉体を別の粉体に切り替える作業が簡略化される。さらに、前記粉体供給装置の整備性も向上する。
【0015】
本発明は、前記本体が、前記供給部による前記粉体の供給と、前記排気部の駆動と、を制御する制御部を有することが好ましい。この構成によれば、前記制御部により効率的に前記供給部による前記粉体の供給と、前記排気部の駆動と、を制御することでき、前記粉体の計量精度が向上する。さらに、前記粉体供給装置や前記容器や周辺への粉塵の付着を抑制でき、作業環境の悪化を防止することができる。
【0016】
本発明は、前記ストッカ側にはガイド部材があり、前記本体側にはガイド受け部があり、前記ストッカが前記本体に装着された時に前記ガイド部材が前記ガイド受け部と嵌合する構成を有することが好ましい。これにより、ストッカと本地とが固定され、供給口の向きがずれるのを防止できる。本発明は、前記ガイド部材の外側に位置し、前記ストッカが前記本体に装着された状態で前記本体と接触する弾性体を備えることが好ましい。これにより、ストッカが予期しない衝撃を受けたとき、その衝撃を弾性体が吸収するため、ストッカの破損を防止することができる。
【0017】
本明細書において、字句の解釈は次の通りである。「粉体」とは、粉体に加え、粒体、または粉体と粒体の混合体のいずれも含む。食品、薬品、建築・土木、半導体等、粉体の用途は限定されない。
【0018】
「粉体を供給口から供給」とは、供給口からストッカの外部に粉体を排出することを意味する。
【0019】
「排気」とは、内部の気体を外部へ排出することを意味する。
【0020】
「排気部」としては、ファンが例示されるが、空気を排気可能なものであれば他のもの、例えば、ポンプ等も採択できる。
【0021】
「濾過部材」としては、濾布が例示されるが、空気等の気体が通過可能であり、粉体を捕集可能なものであれば他のもの、例えば、濾紙等も採択できる。
【0022】
「濾過部材によって捕集される」とは、濾過部材に向かって移動する粉体が濾過部材を通過せずに、濾過部材の表面または内部に留まることを意味する。
【0023】
「供給部」としては、スクリューコンベアまたはスクリューフィーダが例示されるが、粉体の移送機能を有するものであれば、他のもの、例えば、振動フィーダ、ベルトコンベア等でも採択できる。
【0024】
「粉体を受け止める」とは、濾過部材から落下した粉体を受け部材に保持することを意味する。
【0025】
「濾過部材から落下する」とは、濾過部材に捕集された粉体が、濾過部材から離脱し、下方に落ちることを意味する。
【0026】
「受け部材」とは、上方に開口を有する箱状体、皿状体等が例示され、粉体を受け止めて内部に保持できる構造を有するものである。
【0027】
「粉塵」とは、空気中に浮遊する微小な粉体を意味する。
【0028】
「集塵」とは、粉塵を1か所に集めることを意味する。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、側方から粉体を供給する際に生じる粉塵を捕集し、かつ、省スペースで、簡素な装置で粉体を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の実施形態における粉体供給装置の正面図である。
【
図4】同、供給部が挿通した集塵部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
粉体供給装置1(以下、供給装置1という。)を、
図1~4を参照して説明する。供給装置1は、本体2と、本体2と接続し、粉体Pを内部に貯留する複数のストッカ3と、集塵部4と、を備え、さらに上部が開口した粉体Pの計量用の容器5と、計量器6と、を備える構成である。
【0032】
本体2は、本体部21と、本体部21を支持する架台22を備え、架台22にストッカ3が着脱可能な構造である。本体部21は、制御部211を有しており、制御部211は、本体2がストッカ3と接続されることにより、後述する供給部32による粉体Pの供給を制御し、本体2が集塵部4と接続されることにより、後述する排気部42を制御する。これらの制御は、手動的にまたは設定により自動的に実行可能である。
【0033】
架台22は、内部が中空であり、本体部21を載置する載置部221と、脚部222と、ストッカ3が本体2に挿入された際に、後述するガイド部35とする嵌合するガイド受け部223と、を含む。架台22は、後述する集塵部4が有する繋止部4122が繋止可能な部材である繋止用部材2221をさらに有し、繋止用部材2221は、脚部222に設置され、架台22の内側に向かって延伸している。繋止用部材2221の設置される高さは可変であり、調整可能である。架台22の内部には計量器6と、粉体Pの貯留が可能であり、計量器6上に載置された容器5と、集塵部4と、が配置される。集塵部4は、後述する集塵部4の側部412に、繋止用部材2221に繋止可能な繋止部4122を有している。繋止部4122と繋止用部材2221とにより集塵部4は脚部222に繋止され、計量器6の上に載置された容器5の上方に配置される。集塵部4と容器5との間には、隙間7(
図1、4参照)が存在し、隙間7を通じて集塵部4の内部に空気が流入する。
【0034】
ストッカ3は、ストッカ3の内部に粉体Pを投入可能な投入口31と、供給口321を含み、ストッカ3の内部に貯留された粉体Pを供給口321から供給する供給部32と、を有する。ストッカ3内に貯留された粉体Pは、供給部32を介して、供給口321から供給される。例えば、
図1中右側のストッカ3から容器5に粉体Pを供給する場合には、粉体Pは供給口321から矢印Cで示す方向に排出される。本実施形態の供給部32は筒状のスクリューフィーダである。ストッカ3は、さらに、底部に回転ストッパ付きのものを含む複数のキャスタ33と、弾性部材34と、本体2に挿入するガイド部35と、を有している。ストッカ3は、キャスタ33により任意の方向に移動可能である。
【0035】
ストッカ3は、集塵部4を中心として、放射状に複数個(ここでは4個)、配置され、本体2に着脱可能に接続される構造である。例えば、機械的な差し込み・引き抜き構造が例示できる。ストッカ3を本体2に対して押し込み、ガイド部35を本体2に挿入して、ストッカ3を本体2に装着する。ストッカ3を本体2から引き抜き、ガイド部35を本体2から引き離して、本体2からストッカ3を離脱させる。このとき、ストッカ3が本体2に装着されている状態では、ガイド部35は、本体2に挿入されており、ガイド受け部223と嵌合している。これにより、ストッカ3と、本体2と、が固定され、供給口321の中心軸Yの向きがずれることを防止できる。弾性部材34は、弾性を有し、弾性変形により衝撃を緩衝する部材であり、ガイド部35の外側に位置し、ストッカ3が本体2に装着されている状態では、本体2と接触している。弾性部材34により、ストッカ3が外部からの予期しない衝撃を受けた際、その衝撃を吸収してストッカ3自体が本体2と接触して破損することを防止できる。
【0036】
供給部32は、後述する集塵部4の切り欠き部4121に挿脱可能に挿通する構造であり、供給部32の中心軸Yが集塵部4の中心に向くように配置される。
【0037】
ストッカ3は、供給口321を含む供給部32の先端付近が、架台22の内部に差し込まれ、切り欠き部4121に供給部32が挿通した状態で本体2に装着された際には、供給口321は、後述する第1の領域Aの内部、かつ容器5の上部開口の上方に位置にする。供給部32の他の部分は、ストッカ3の内部空間に位置しており、供給部32の開口から、ストッカ3に貯留された粉体Pが供給部32の内部に供給される。
【0038】
本体2へのストッカ3の装着は、ストッカ3を、粉体Pを供給する位置に移動させ、ストッカ3のガイド部35と、供給口321を含む供給部32の先端付近を本体2の架台22の内部に押し込み、ガイド部35とガイド受け部223とを嵌合させ、キャスタ33の回転ストッパを作動させてストッカ3の位置を固定し、本体2と、ストッカ3と、をケーブル(図示略)で接続することにより完了する。一方、本体2からのストッカ3の離脱は、本体2とストッカ3とを接続するケーブルを取外し、キャスタ33の回転ストッパを解除し、ストッカ3を本体2から引き抜き、ストッカ3を、粉体Pを供給する位置から移動させることにより完了する。本体2とストッカ3とは容易に着脱可能であり、装着されているストッカ3と、他のストッカ3と、を容易に交換可能である。すなわち、本体2に対して個別のストッカ3がそれぞれ相互に交換可能に装着されている。
【0039】
ストッカ3と他のストッカ3との交換が可能であることにより、容器5に供給する粉体Pの種類の切り替えが容易となる。本体2からストッカ3を離脱可能なことにより、ストッカ3を本体2から離脱した状態で整備が可能であり、供給装置1の整備性が向上する。例えば、供給部32が故障した場合には、修理交換が容易である。
【0040】
集塵部4は、ケーシング41と、排気部42と、濾過部材43と、を有する。ケーシング41は、天井411と、側部412と、を含み、天井411と対向する面が開口した略円筒形の蓋状体である。側部412は、供給部32が挿通する切り欠き部4121を有する。ケーシング41は、天井411を含むケーシング上部41aとケーシング下部41bとからなり、ケーシング上部41aと、ケーシング下部41bと、がそれぞれの有するフランジ同士で接続される構成である。
【0041】
本実施形態の排気部42は、天井411に設置されるファンである。排気部42の設置位置は、天井411に限定されず、排気部42の駆動により、後述する濾過部材43が後述する第1の領域Aの内部の粉塵を捕集可能となる位置であればよく、他の排気部42の設置位置としては、例えば側部412であって後述する第2の領域B内に含まれる位置が挙げられる。排気部42としては、ファンの他にポンプが例示されるが、特に限定せず、排気機能を有するものであればよい。
【0042】
濾過部材43は、切り欠き部4121の上方、かつ天井411の下方のケーシング41の内部に設置される。濾過部材43は、粉体Pを捕集可能である。本実施形態の濾過部材43は、濾布である。濾過部材43としては、濾布の他に濾紙が例示されるが、特に限定せず、濾過機能を有するものであればよい。されない。
【0043】
濾過部材43の目開き度合いおよび厚み寸法は、供給する粉体Pを捕集可能であり、濾過部材43を通過する空気の流量が低下しすぎない範囲であれば特に限定されず、捕集する粉体Pの粒子径に応じて、適宜変更可能である。
【0044】
ケーシング41の内部は、濾過部材43により、第1の領域Aと、第2の領域Bと、に画定される。第1の領域Aは、濾過部材43の下方の領域である。第2の領域Bは、濾過部材43の上方の領域であり、排気部42によって第2の領域Bの内部の空気が排気され、濾過部材43を通過した空気が流入する領域である。排気部42の駆動により、天井411と対向する開口した面から第1の領域Aの内部に空気が流入し、当該空気は、濾過部材43を通過して第2の領域Bに流入し、排気部42を介してケーシング41の外部へと排出される。
【0045】
供給部32が切り欠き部4121に挿通した状態では、供給口321は、第1の領域Aの内部に位置する。供給口321からの粉体Pの供給に伴って発生する粉塵は、上述のケーシング41の内部を流れる空気に伴って濾過部材43へ向かって移動し、濾過部材43により捕集される。粉体Pの供給に伴う粉塵の発生による作業環境の悪化を防止することができる。
【0046】
集塵部4は、計量器6の上に載置された容器5の上方に配置される。集塵部4が粉塵を捕集することにより、供給口321からの粉体Pの供給に伴い発生する粉塵の容器5の内外面への付着を防止することができる。
【0047】
集塵部4は、さらに切り欠き部4121の上方、かつ濾過部材43の下方に位置し、濾過部材43から落下する粉体Pを受ける受け部材44を有する。濾過部材43から落下した粉体Pは、受け部材44の内部に保持される(
図3、4参照)。本実施形態の受け部材44は、上方が開口した開口部441を有する円形の皿状部材である。
【0048】
受け部材44は、開口部441が上方に向かって広がる、例えばラッパ形状のものが好ましい。これにより、濾過部材43から落下する粉体Pを受け止める効果を向上させることができる。
【0049】
受け部材44の形状としては開口部441を有し、濾過部材43から落下する粉体Pを受け止められる形状であれば特に限定されない。例えば、開口部441が上方に向いた直方体、円形体、楕円体、多角形体等が挙げられる。
【0050】
受け部材44の大きさとしては、濾過部材43から落下する粉体Pを受け止めるのに十分な大きさであれば特に限定されないが、ケーシング41等、他の部材への干渉防止、ケーシング41の内部を流れる空気の流量低下防止の観点からも、その大きさが定められる。
【0051】
受け部材44の材質としては特に限定されず、粉体Pの特性に応じて既存の材料を適宜使用可能である。例えば、既存の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ステンレス鋼等の金属材料が使用可能である。
【0052】
計量器6は、供給装置1から供給され、容器5に貯留された粉体Pの重量を計測可能である。本体2と、計量器6と、をケーブル(図示略)で接続することにより、計量器6により計測された容器5に貯留された粉体Pの重量に応じて、本体2により、ストッカ3から供給される粉体Pの供給流量を制御することも可能である。計量器6は、その上部に容器5を搬送可能なコンベアを有するものも採用可能である。このような計量器6を採用することにより、容器5の搬送と設置が容易となる。コンベアとしては、ローラコンベア、ベルトコンベア等が例示される。供給装置1は、上述の粉塵の容器5の外側面および内側面への付着を防止できることと、上述の本体2によるストッカ3から供給される粉体Pの供給流量を制御可能であることと、により、ストッカ3から、所定の重量の粉体Pを精度よく容器5に供給することが可能である。
【0053】
供給装置1は、脚部222における集塵部4の繋止位置を調整することにより、集塵部4と容器5との隙間7の大きさ(幅寸法)を調整可能な構造である。
【0054】
排気部42の駆動によってケーシング41の外部から第1の領域Aの内部に流入する空気の流速は、隙間7の大きさに応じて変化する。隙間7の大きさを小さくすることにより、ケーシング41の外部から第1の領域Aの内部に流入する空気の流速が増加し、より粒子径の大きい粉体Pも集塵部4により捕集可能となる。隙間7の大きさは、供給する粉体Pの粒子径に応じて適宜決定することができる。
【0055】
隙間7の大きさを調整する方法は特に限定されない。脚部222における集塵部4の繋止位置を調整する方法の他に、例えば、計量器6の高さを調整する方法等が挙げられる。
【0056】
供給装置1の動作手順を説明する。まず、集塵部4を設置する。供給する粉体Pの粒子径を考慮して隙間7の大きさを決定し、容器5および計量器6の高さから集塵部4の繋止位置を決めて脚部222に繋止する。
【0057】
本体2にストッカ3を装着する。本体2に装着するストッカ3の数は任意であり、供給する粉体Pの種類、量等を考慮して装着するストッカ3の数を決定することができる。ストッカ3の内部に貯留する粉体Pをストッカ3に投入するタイミングは粉体Pを供給する前であればいつでもよいが、操作性の観点から、粉体Pをストッカ3に投入した後に、ストッカ3を本体2に装着すること好ましい。
【0058】
本体2の制御部211を操作し、本体2に装着されたストッカ3から粉体Pを供給する。このとき、排気部42が駆動し、隙間7からケーシング41の内部へと流入し、第1の領域A、濾過部材43、第2の領域B、排気部42の順に通過して、ケーシング41の外部へと排気される空気の流れF(
図3、4参照)が生じる。ストッカ3からの粉体Pの供給に伴って発生する粉塵は、上述のケーシング41の内部を流れる空気によって濾過部材43に向かって移動するため、粉塵を濾過部材43によって捕集することができる。
【0059】
ストッカ3からの粉体Pの供給を手動的に、または自動的に停止する場合には、排気部42は、ストッカ3から容器5への粉体Pの供給が停止してから所定の時間の経過後に停止する。したがって、粉体Pの供給が行われている間は排気部42が駆動している。これにより、排気部42の停止後に粉塵が発生することを防止することができる。
【0060】
上記のストッカ3からの粉体Pの供給の開始と停止は、供給作業の状況に応じて任意の回数を繰り返して行われてもよい。その際には、排気部42は、ストッカ3からの粉体Pの最初の供給開始時に駆動し、繰り返し行われる粉体Pの供給の全てが終了してから所定の時間の経過後に停止する。これにより排気部42の停止後に粉塵が発生することを防止することができる。
【0061】
複数のストッカ3から粉体Pの供給を行う場合には、各ストッカ3は、1つずつ順番に粉体Pの供給を行う。その際には、排気部42は、粉体Pを供給する最初のストッカ3からの供給開始時に駆動し、粉体Pを供給する最後のストッカ3からの供給が終了してから所定の時間の経過後に停止する。この場合にも、排気部42の停止後に粉塵が発生すること防止することができる。
【0062】
計量器6により、容器5に貯留された粉体Pの重量が所定の重量になったと判断されると、粉体供給処理は終了し、容器5を搬出し、新たな容器5を設置し、次の粉体供給処理を行う。
【0063】
粉体供給処理が終了した後、ストッカ3を本体2から離脱する。
【0064】
以上に説明した通り、供給装置1は、粉体Pを供給部32により側方から供給する際に生じる粉塵を捕集でき、作業環境の悪化を防止することが可能であり、かつ省スペースで、簡素な構造である。さらに、濾過部材43から落下した粉体Pの集塵部4の外部への流出を防止することができ、供給部32と排気部42とを効率的に制御することできるため、粉体Pの重量を精度よく計量可能である。供給する粉体Pの粒子径に応じて集塵部4の内部に流入する空気の流速を調整することも可能である。
【0065】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることができるものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。例えば、本体2へ装着するストッカ3の数は、上記実施形態では4個であったが、1、2、3、5・・・等、適宜の数を採択できる。上記実施形態では、容器5へ供給された粉体Pの重量を計量するために集塵部4が用いられているが、他の用途の粉体処理機器への適用も可能である。
【符号の説明】
【0066】
1・・・粉体供給装置
2・・・本体
21・・・本体部
211・・・制御部
22・・・架台
221・・・載置部
222・・・脚部
2221・・・繋止用部材
223・・・ガイド受け部
3・・・ストッカ
31・・・投入口
32・・・供給部
321・・・供給口
33・・・キャスタ
34・・・弾性部材
35・・・ガイド部
4・・・集塵部
41・・・ケーシング
41a・・・ケーシング上部
41b・・・ケーシング下部
411・・・天井
412・・・側部
4121・・・切り欠き部
4122・・・繋止部
42・・・排気部
43・・・濾過部材
44・・・受け部材
441・・・開口部
5・・・容器
6・・・計量器
7・・・隙間
A・・・第1の領域
B・・・第2の領域
C・・・矢印
F・・・空気の流れ
P・・・粉体
Y・・・中心軸
【要約】
側方から粉体を供給する際に生じる粉塵を捕集する集塵部を備え、かつ、省スペースで、簡素な粉体供給装置を提供すること。本発明の粉体供給装置1は、本体2と、複数のストッカ3と、集塵部4と、を備え、ストッカ3は、投入口31と、供給部32と、を有し、集塵部4は、ケーシング41と、排気部42と、濾過部材43と、を有し、ケーシング41は、天井411と、側部412と、を含み、天井411と対向する面が開口した蓋状体であり、側部412は、供給部32が挿通する切り欠き部4121を有し、濾過部材43は、切り欠き部4121の上方かつ天井411の下方のケーシング41の内部に設置され、粉体Pを捕集し、ケーシング41の内部は、濾過部材43により、第1の領域と、第2の領域と、に画定されることを特徴とする。