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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】集合住宅
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20220706BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20220706BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02S20/23 Z
H02J13/00 301A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017225045
(22)【出願日】2017-11-22
(65)【公開番号】P2019097308
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595106969
【氏名又は名称】大東建託株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一生
(72)【発明者】
【氏名】加藤 富美夫
(72)【発明者】
【氏名】岡本 修司
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕
(72)【発明者】
【氏名】菅野 匡文
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02S 20/23
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引込盤と戸別負荷と共用負荷と分散型電源と戸別電力量計とを備え、
前記引込盤は、
所定値未満の電力を受電する一括受電契約に基づいて、前記戸別負荷と前記共用負荷に電力を供給するために電力網から一括受電し、
前記電力網に接続可能であり、集合住宅に設けられている前記戸別負荷及び前記共用負荷に電力を供給するために前記電力網から一括受電する電力量を測定する第1電力量計と、
前記共用負荷に接続可能であり、前記第1電力量計に接続されている第2電力量計と
前記第1電力量計と前記第2電力量計とが接続されている配線の少なくとも一部と、前記分散型電源との間に接続されており、前記分散型電源が出力する電力量を測定する第3電力量計と、
少なくとも前記第1電力量計、前記第2電力量計、及び前記第3電力量計のいずれかから測定結果を取得する取得部と、
前記測定結果をサーバに送信可能な通信部と
を備え
前記第2電力量計は、前記分散型電源から前記共用負荷に供給される電力量と、前記電力網から前記共用負荷に供給される電力量とを合わせた電力量を測定し、
前記戸別電力量計は、前記引込盤の外にあり、前記第1電力量計と前記第2電力量計とが接続されている配線の少なくとも一部と、前記戸別負荷との間に接続されており、前記戸別負荷に供給される電力量を測定する、集合住宅。
【請求項2】
前記取得部は、前記戸別電力量計から測定結果を取得する、請求項1に記載の集合住宅。
【請求項3】
前記引込盤は、扉と窓とを備え、
前記窓は、前記扉が閉じられている状態で前記窓を通して前記第1電力量計、前記第2電力量計、及び前記第3電力量計を視認できる位置に備えられている、請求項1又は2に記載の集合住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、引込盤及び集合住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅の共用部に太陽光発電装置等の再生可能エネルギー発電設備を含む分散型電源から電力を供給する構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-37354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅における省エネルギー対策の観点から、再生可能エネルギー発電設備を含む分散型電源の電力が集合住宅において自家消費されることが求められる。
【0005】
本開示の目的は、再生可能エネルギー発電設備を含む分散型電源の電力が自家消費されやすくなる引込盤及び集合住宅を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る集合住宅は、引込盤と戸別負荷と共用負荷と分散型電源と戸別電力量計とを備える。前記引込盤は、所定値未満の電力を受電する一括受電契約に基づいて、前記戸別負荷と前記共用負荷に電力を供給するために電力網から一括受電する。前記引込盤は、第1電力量計と、第2電力量計と、第3電力量計と、取得部と、通信部とを備える。前記第1電力量計は、前記電力網に接続可能であり、集合住宅に設けられている前記戸別負荷及び前記共用負荷に電力を供給するために前記電力網から一括受電する電力量を測定する。前記第2電力量計は、前記共用負荷に接続可能であり、前記第1電力量計に接続されている。前記第3電力量計は、前記第1電力量計と前記第2電力量計とが接続されている配線の少なくとも一部と、前記分散型電源との間に接続されており、前記分散型電源が出力する電力量を測定する。前記取得部は、少なくとも前記第1電力量計、前記第2電力量計、及び前記第3電力量計のいずれかから測定結果を取得する。前記通信部は、前記測定結果をサーバに送信可能である。前記第2電力量計は、前記分散型電源から前記共用負荷に供給される電力量と、前記電力網から前記共用負荷に供給される電力量とを合わせた電力量を測定する。前記戸別電力量計は、前記引込盤の外にあり、前記第1電力量計と前記第2電力量計とが接続されている配線の少なくとも一部と、前記戸別負荷との間に接続されており、前記戸別負荷に供給される電力量を測定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一実施形態に係る引込盤及び集合住宅によれば、再生可能エネルギー発電設備を含む分散型電源の電力が集合住宅において自家消費されやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る集合住宅と引込盤の概略構成例を示すブロック図である。
図2】一実施形態に係る集合住宅と引込盤の概略構成例を示すブロック図である。
図3】比較例に係る引込盤の概略構成例を示すブロック図である。
図4】集合住宅の構成例を示す(A)正面図、及び、(B)側面図である。
図5】(A)引込盤の扉が閉じている状態の構成例を示す平面図、及び、(B)引込盤の扉が開いている状態の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
住宅における省エネルギー対策として、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスが提案されている。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスは、ZEH(net Zero Energy House)ともいう。住宅は、太陽光発電又は風力発電等の再生可能エネルギー発電設備を備えてよい。住宅は、自家に設けられている負荷40(図1参照)で、再生可能エネルギー発電設備が出力する電力を自家消費することによって、ZEHとして認められうる。ZEHにおいて自家消費される電力が増加することによって、電力網50(図1参照)から受ける電力が低減しうる。
【0011】
近年、ZEHとして建設される戸建住宅が増加している。一方、マンション若しくはアパート等の集合住宅1(図1参照)がZEHとして建設されてもよい。集合住宅1は、再生可能エネルギー発電設備を備えてよい。再生可能エネルギー発電設備から出力される電力のうち自家消費される電力があることによって、集合住宅1は、ZEHとして認められうる。集合住宅1において、再生可能エネルギー発電設備から出力される電力が共用部に設けられている共用負荷42(図1参照)だけでなく各戸に設けられている戸別負荷41(図1参照)で消費されることによって、自家消費される電力が増加しうる。つまり、再生可能エネルギー発電設備から出力される電力が戸別負荷41で消費されることが求められる。
【0012】
図1に示されるように、一実施形態に係る集合住宅1は、引込盤10と、戸別負荷41と、共用負荷42と、分散型電源60とを備える。引込盤10は、電力網50に接続されており、電力網50から電力を受けうる。引込盤10は、分散型電源60に接続されており、分散型電源60から出力される電力を受けうる。引込盤10は、戸別負荷41及び共用負荷42に接続されており、戸別負荷41及び共用負荷42に電力を供給しうる。引込盤10は、分散型電源60から出力される電力が戸別負荷41及び共用負荷42の消費電力を超える場合、余剰電力を電力網50に売電してよい。
【0013】
分散型電源60は、太陽光発電設備61を含んでよい。太陽光発電設備61は、PV61(PhotoVoltaics)ともいう。分散型電源60は、太陽光発電設備61又は風力発電設備等の再生可能エネルギー発電設備を含んでよい。再生可能エネルギー発電設備は、太陽光発電設備61又は風力発電設備等に限られず、他の設備を含んでよい。分散型電源60は、蓄電池62を含んでよい。分散型電源60は、再生可能エネルギー発電設備又は蓄電池62から出力される電力を制御するパワーコンディショナを含んでよい。
【0014】
戸別負荷41は、集合住宅1の各戸に設けられている電力負荷である。戸別負荷41は、例えば、各戸で使用される照明器具、冷蔵庫、テレビ、又はエアコンディショナ等の電気機器であってよい。共用負荷42は、集合住宅1の共用部に設けられている電力負荷である。共用部は、例えば、集合住宅1の廊下又は階段等であってよい。共用負荷42は、例えば、共用部に設けられている外灯等の照明器具を含んでよい。共用負荷42は、共用部に設けられている浄化槽ブロア電源を含んでもよい。共用負荷42は、火災報知機等の非常用設備を含んでもよい。共用負荷42は、これらに限られず、空調機器等の他の機器を含んでもよい。戸別負荷41及び共用負荷42は、負荷40と総称される。図1に示されている戸別負荷41の数は、2つであるが、3つ以上であってもよい。図1に示されている共用負荷42の数は、1つであるが、2つ以上であってもよい。
【0015】
本実施形態において、集合住宅1の管理主体は、電力網50に電力を供給する電力会社との間で一括受電契約を結んでいるものとする。一括受電契約が結ばれている場合、引込盤10が電力網50から一括して電力を受け、各負荷40に電力を供給する。電力会社は、集合住宅1が電力網50から一括受電した電力量に基づいて、集合住宅1の管理主体に対して電気料金を課金してよい。集合住宅1の管理主体は、各戸が受電した電力量に基づいて、各戸の居住者に対して電気料金を課金してよい。一括受電契約が結ばれている場合、集合住宅1の各負荷40における消費電力が合算されることによって、集合住宅1全体として消費電力が平準化されうる。つまり、集合住宅1全体として、消費電力のピークカットが実現されうる。消費電力のピークカットが実現されることによって、電気料金が低減されうる。例えば、電気料金の基本料金又は単価が低減されうる。
【0016】
集合住宅1の管理主体が一括受電契約を結ぶ場合、高圧一括受電契約及び低圧一括受電契約のいずれかが選択される。高圧一括受電契約は、所定値以上の電気容量で一括受電する契約である。低圧一括受電契約は、所定値未満の電気容量で一括受電する契約である。所定値は、電力会社によって適宜定められる。所定値は、例えば50kW等であってよい。集合住宅1の管理主体は、集合住宅1の戸数に基づいて、高圧一括受電契約及び低圧一括受電契約のいずれかを結んでよい。
【0017】
高圧一括受電契約が結ばれている場合、キュービクル等の高圧受電設備の設置が必要とされたり、電気主任技術者等の保安管理者の選任が必要とされたりする一方で、電気料金の単価が低減されうる。集合住宅1の戸数が少ない場合、集合住宅1全体としての電力需要が所定値未満にとどまることがある。集合住宅1全体としての電力需要が所定値未満にとどまる場合、集合住宅1の管理主体は、低圧一括受電契約を結んでよい。低圧一括受電契約が結ばれている場合、高圧受電設備の設置、及び、電気主任技術者等の保安管理者の選任が必要とされない。つまり、高圧受電設備の設置、及び、保安管理者の選任にかかるコストの負担が回避される。低圧一括受電契約が結ばれている場合、集合住宅1の管理主体は、高圧一括受電契約に付随する電気料金の単価の低減等のメリットを享受できない。一方で、高圧一括受電契約及び低圧一括受電契約のいずれが結ばれていても、集合住宅1全体として消費電力が平準化されることによる消費電力のピークカットは実現されうる。したがって、高圧一括受電契約ではなく低圧一括受電契約が結ばれている場合であっても、集合住宅1の管理主体は、消費電力のピークカットによる電気料金の単価の低減のメリットを享受しうる。
【0018】
引込盤10は、第1電力量計21を備える。第1電力量計21は、電力網50に接続されている。引込盤10が集合住宅1に設置されていない状態において、第1電力量計21は、電力網50に接続可能な構成を有する。引込盤10は、第1ブレーカ31を備えてよい。第1ブレーカ31は、第1電力量計21に直列に接続されていてよい。第1電力量計21は、引込盤10が電力網50から一括受電する電力量を測定する。第1電力量計21は、分散型電源60から引込盤10を介して電力網50に売電される電力量を測定してよい。第1電力量計21は、集合住宅1の管理主体が一括受電契約を結んでいる電力会社によって管理されてよい。第1電力量計21は、検定付きの電力量計であってよい。電力会社は、第1電力量計21の測定結果に基づいて、集合住宅1の管理主体に電気料金を課金してよい。
【0019】
引込盤10は、第2電力量計22を備える。第2電力量計22は、共用負荷42に接続されている。引込盤10が集合住宅1に設置されていない状態において、第2電力量計22は、共用負荷42に接続可能な構成を有する。引込盤10は、第2ブレーカ32を備えてよい。第2ブレーカ32は、第2電力量計22に直列に接続されていてよい。第2電力量計22は、共用負荷42が受電する電力量を測定してよい。共用負荷42が受電する電力量は、共用負荷42が電力網50から受電する電力量と、共用負荷42が分散型電源60から受電する電力量とを合わせた電力量であってよい。第2電力量計22は、共用負荷42が電力網50から受電する電力量、及び、共用負荷42が分散型電源60から受電する電力量を測定してよい。第2電力量計22は、集合住宅1の管理主体によって管理されてよい。第2電力量計22は、検定付きの電力量計であってよい。第2電力量計22が検定付きの電力量計であることによって、共用負荷42が受電する電力量がより信頼性の高い数値で測定されうる。
【0020】
第1電力量計21と第2電力量計22とを接続している配線の少なくとも一部は、分散型電源60に接続されている。引込盤10が集合住宅1に設置されていない状態において、第1電力量計21と第2電力量計22とを接続している配線の少なくとも一部は、分散型電源60に接続可能な構成を有する。
【0021】
引込盤10は、第1端子11を備えてよい。第1端子11は、第1電力量計21と電力網50とを接続してよい。第1端子11は、電力網50から電力を受けうる。引込盤10は、第2端子12を備えてよい。第2端子12は、第2電力量計22と共用負荷42とを接続してよい。第2端子12は、共用負荷42に電力を供給しうる。引込盤10が集合住宅1に設置されていない状態において、第1端子11及び第2端子12はそれぞれ、電力網50及び共用負荷42に接続可能な構成を有する。引込盤10は、分岐節点18を備えてよい。分岐節点18は、第1電力量計21と第2電力量計22とを接続している配線の少なくとも一部に位置してよい。分岐節点18は、第1端子11及び第2端子12それぞれに接続されていてよい。第1端子11と第1電力量計21と第1ブレーカ31と分岐節点18とは、直列に接続されていてよい。第1電力量計21が接続されている位置と第1ブレーカ31が接続されている位置とは、交換されてよい。分岐節点18と第2電力量計22と第2ブレーカ32と第2端子12とは、直列に接続されていてよい。第2電力量計22が接続されている位置と第2ブレーカ32が接続されている位置とは、交換されてよい。
【0022】
引込盤10は、第3電力量計23を備えてよい。第3電力量計23は、分散型電源60に接続されていてよい。引込盤10が集合住宅1に設置されていない状態において、第3電力量計23は、分散型電源60に接続可能な構成を有してよい。引込盤10は、第3端子13を備えてよい。第3端子13は、第3電力量計13と分散型電源60とを接続してよい。第3端子13は、分散型電源60から電力を受けうる。引込盤10は、第3ブレーカ33を備えてよい。第3ブレーカ33は、第3電力量計23に直列に接続されていてよい。第3電力量計23は、分散型電源60から引込盤10が受電する電力量を測定してよい。分散型電源60の蓄電池62が蓄電する場合、分散型電源60は、電力網50から電力を受けうる。第3電力量計23は、分散型電源60が電力網50から受電する電力量を測定してよい。第3電力量計23は、集合住宅1の管理主体によって管理されてよい。第3電力量計23は、検定付きの電力量計であってよいし、検定無しの電力量計であってもよい。分岐節点18と第3電力量計23と第3ブレーカ33と第3端子13とは、直列に接続されていてよい。第3電力量計23が接続されている位置と第3ブレーカ33が接続されている位置とは、交換されてよい。
【0023】
引込盤10が第3電力量計23を備えない場合、引込盤10は、第1電力量計21の測定結果と第2電力量計22の測定結果とに基づいて、分散型電源60から引込盤10が受電する電力量を算出してよい。引込盤10は、第1電力量計21の測定結果を取得できないことがある。なお、引込盤10が第3電力量計23を備えることによって、引込盤10が第1電力量計21の測定結果を取得できない場合であっても、分散型電源60から引込盤10が受電する電力量が測定されうる。
【0024】
引込盤10が第3電力量計23を備えない場合、引込盤10は、分散型電源60の出力に関するデータを取得し、そのデータに基づいて、分散型電源60から引込盤10が受電する電力量を算出してよい。分散型電源60の出力に関するデータは、例えば、パワーコンディショナの運転データであってよい。引込盤10は、第3電力量計23を備える場合、第3電力量計23を備えない場合と比較して、より簡便に、分散型電源60から受電する電力量を取得しうる。
【0025】
引込盤10は、第4端子14を備えてよい。第4端子14は、分岐節点18に接続されていてよい。第4端子14は、戸別負荷41と、集合住宅1の各戸に設けられている第4電力量計24とに接続されていてよい。引込盤10が集合住宅1に設置されていない状態において、第4端子14は、戸別負荷41と第4電力量計24とに接続可能な構成を有してよい。引込盤10が集合住宅1に設置された状態において、戸別負荷41と第4電力量計24と第4端子14と分岐節点18とは、直列に接続されていてよい。第4電力量計24は、戸別負荷41が受電する電力量を測定してよい。戸別負荷41が受電する電力量は、戸別負荷41が電力網50から受電する電力量と、戸別負荷41が分散型電源60から受電する電力量とを合わせた電力量であってよい。第4電力量計24は、戸別負荷41が電力網50から受電する電力量、及び、戸別負荷41が分散型電源60から受電する電力量を測定してよい。第4電力量計24は、集合住宅1の管理主体によって管理されてよい。第4電力量計24は、検定付きの電力量計であってよい。第4電力量計24が検定付きの電力量計であることによって、戸別負荷41が受電する電力量がより信頼性の高い数値で測定されうる。集合住宅1の管理主体は、第4電力量計24の測定結果に基づいて、各戸の居住者に電気料金を課金してよい。結果として、集合住宅1の管理主体は、各戸の居住者に対してより信頼性の高い数値で電気料金を課金しうる。
【0026】
引込盤10は、電力量計の測定結果を外部のサーバ81等に送信可能なルータ70を備えてよい。ルータ70は、取得部71と通信部72とを備えてよい。取得部71は、第2電力量計22に通信可能に接続されていてよい。取得部71は、第3電力量計23に通信可能に接続されていてよい。取得部71は、第4電力量計24に通信可能に接続されていてよい。取得部71は、さらに第1電力量計21に通信可能に接続されていてもよい。通信部72は、取得部71に通信可能に接続されていてよい。通信部72は、サーバ81に通信可能に接続されていてよい。通信部72は、サーバ81に限られず、他の外部装置に通信可能に接続されていてよい。通信部72は、インターネット等の通信ネットワーク80を介してサーバ81又は他の外部装置等と通信してよい。通信部72は、通信用の電波を送受信するアンテナ73を備えてよい。
【0027】
取得部71、通信部72、第1電力量計21、第2電力量計22、第3電力量計23、及び第4電力量計24はそれぞれ、他の各構成部と通信する通信デバイスを備えてよい。通信デバイスは、例えば、RS485規格に準拠する通信インターフェースであってよいし、LAN(Local Area Network)等の通信インターフェースであってもよい。通信デバイスは、有線又は無線によって、他の構成部に通信可能に接続されていてよい。
【0028】
取得部71は、第1電力量計21、第2電力量計22、第3電力量計23又は第4電力量計24から測定結果を取得してよい。通信部72は、取得部71から、第1電力量計21、第2電力量計22、第3電力量計23又は第4電力量計24の測定結果を取得してよい。通信部72は、取得部71で取得した、第1電力量計21、第2電力量計22、第3電力量計23又は第4電力量計24の測定結果を、サーバ81又は他の外部装置等に送信してよい。
【0029】
電力量計の測定結果がサーバ81等に送信されることによって、目視によってメータの検針が行われる場合と比較して、検針の誤りが発生しにくくなるとともに、検針にかかる費用が削減されうる。
【0030】
図2に示されるように、一実施形態に係る引込盤10は、図1に示される引込盤10と異なり、第4電力量計24を備えてよい。第4電力量計24は、戸別負荷41に接続されていてよい。引込盤10が集合住宅1に設置されていない状態において、第4電力量計24は、戸別負荷41に接続可能な構成を有してよい。引込盤10は、図1に示される引込盤10と異なり、第4ブレーカ34を備えてよい。第4ブレーカ34は、第4電力量計24に直列に接続されていてよい。分岐節点18と第4電力量計24と第4ブレーカ34と第4端子14とは、直列に接続されていてよい。第4電力量計24が接続されている位置と第4ブレーカ34が接続されている位置とは、交換されてよい。引込盤10が第4電力量計24を備えることによって、集合住宅1の各戸において、第4電力量計24の設置スペースが削減されうる。
【0031】
第1電力量計21、第2電力量計22、第3電力量計23、及び第4電力量計24は、電力量計と総称される。第1ブレーカ31、第2ブレーカ32、第3ブレーカ33、及び第4ブレーカ34は、ブレーカと総称される。
【0032】
次に、一実施形態に対する比較例が説明される。図3に示される第1比較例において、集合住宅1は、引込盤90を備える。第1比較例において、集合住宅1の管理主体は、電力会社との間で一括受電契約を結んでいない。その代わりに、集合住宅1の各戸の居住者は、電力会社との間で戸別受電契約を結んでいる。戸別負荷41は、戸別受電契約に基づいて、電力網50から戸別に電力を受ける。集合住宅1の管理主体は、共用負荷42について、電力会社との間で戸別受電契約を結んでいる。共用負荷42は、戸別受電契約に基づいて、戸別負荷41とは別に電力網50から電力を受ける。電力会社は、各戸の居住者及び集合住宅1の管理主体それぞれに対して電気料金を課金する。
【0033】
引込盤90は、電力網50に接続されている第5端子91と、戸別負荷41に接続されている第6端子92と、共用負荷42に接続されている第7端子93と、分散型電源60に接続されている第8端子94とを備える。引込盤90は、第5端子91と第6端子92とに接続されている第1分岐節点95を備える。引込盤90は、第1分岐節点95と、第7端子93及び第8端子94とに接続されている第2分岐節点96とを備える。引込盤90は、第6端子92に接続されている第5電力量計97と、第7端子93及び第8端子94に接続されている第6電力量計98とを備える。第5電力量計97は、電力会社によって管理され、戸別負荷41が受電する電力量を測定する。第6電力量計98は、電力会社によって管理され、共用負荷42が受電する電力量を測定する。分散型電源60から出力される電力は、共用負荷42に供給される。分散型電源60から出力される電力が共用負荷42の消費電力より大きい場合、余剰電力が電力網50の側に逆潮流される。第6電力量計98は、逆潮流される余剰電力の電力量を測定する。引込盤90は、第5ブレーカ99を備える。第5ブレーカ99は、第5端子91と第1分岐節点95との間、第1分岐節点95と第6端子92との間、及び、第2分岐節点96と第7端子93及び第8端子94との間に接続されている。
【0034】
第1比較例において、分散型電源60から出力される電力は、共用負荷42に対して直接供給される。一方で、戸別負荷41に対しては、第6電力量計98を介して電力網50の側に逆潮流された余剰電力が、第5電力量計97を介して供給される。第6電力量計98を介して電力網50の側に逆潮流された余剰電力は、一旦売電された後に電力網50から供給される電力とみなされることがある。つまり、分散型電源60から出力される電力のうち戸別負荷41で消費される電力は、集合住宅1内で自家消費されたとみなされないことがある。
【0035】
一方で、本実施形態において、分散型電源60から出力される電力は、戸別負荷41に対して第1電力量計21を介さずに直接供給されうる。このようにすることで、分散型電源60から出力される電力は、集合住宅1内で自家消費されたとみなされうる。結果として、集合住宅1がZEHとして認められやすくなる。
【0036】
第1比較例において、共用負荷42は、分散型電源60から出力される電力を直接受ける。この場合、共用負荷42の消費電力量に基づいて集合住宅1の管理主体に課金される電気料金は、分散型電源60から出力される電力によって低減される。第1比較例において、戸別負荷41は、分散型電源60から出力される電力を直接受けない。この場合、戸別負荷41の消費電力量に基づいて各戸の居住者に課金される電気料金は、分散型電源60から出力される電力によって低減されない。つまり、各戸の居住者は、集合住宅1が分散型電源60を備えることによるメリットを享受できないことがある。
【0037】
一方で、本実施形態において、集合住宅1の各負荷40が全体として消費する電力と、分散型電源60から出力される電力とが相殺されることによって、集合住宅1が電力網50から一括受電する電力量が低減しうる。この場合、電力会社が集合住宅1の管理主体に課金する金額が減少しうる。結果として、各戸の居住者に課金される電気料金が低減されうる。つまり、各戸の居住者は、集合住宅1が分散型電源60を備えることによるメリットを享受しうる。例えば、分散型電源60としてPV61から出力される電力によって、集合住宅1の各負荷40が全体として消費する電力が相殺されうる。つまり、各負荷40で消費する電力は、PV61で出力される電力でまかなわれうる。PV61から出力される電力は、電力網50から受電する電力の単価が高い昼間時間帯において、多くなりうる。つまり、PV61から出力される電力によって、単価が高い電力の受電量が削減されうる。結果として、各戸の居住者に課金される電気料金が低減されうる。
【0038】
第2比較例は、分散型電源60が各戸別負荷41に対して設けられている点で図3に示される第1比較例と異なる。第2比較例において、各分散型電源60から出力される電力は、各戸別負荷41に直接供給される。各分散型電源60から出力される電力のうち、各戸別負荷41の消費電力を超える余剰電力は、戸別受電契約に基づいて電力網50に売電される。戸別受電契約は、各戸の居住者の入れ替わりに応じて新たに結ばれるものである。余剰電力の売電に関する契約は、売電した電気料金の振り込み先の登録等の煩雑な手続きを必要としうる。余剰電力の売電に関する契約が戸別受電契約に含まれる場合、各戸の居住者が入れ替わるたびに、新たな居住者に対して、煩雑な手続きが強いられる。
【0039】
一方で、本実施形態において、分散型電源60から出力される電力のうち、集合住宅1全体の負荷40の消費電力を超える余剰電力は、一括受電契約に基づいて電力網50に売電される。一括受電契約は、各戸の居住者の入れ替わりにかかわらず、継続されうる。集合住宅1の管理主体が余剰電力の売電に関する契約を含む一括受電契約を結ぶことによって、各戸の居住者が入れ替わった場合に、新たな居住者は、煩雑な手続きを避けうる。
【0040】
第2比較例において、分散型電源60は、集合住宅1の各戸に対応して設置される。つまり、分散型電源60の設置台数は、集合住宅1の戸数に等しくなりうる。この場合、分散型電源60の設置コストが増大するとともに、各戸における分散型電源60の設置スペースが必要とされる。
【0041】
一方で、本実施形態において、分散型電源60は、集合住宅1の共用設備であってよい。この場合、分散型電源60が各戸に対応して設置される場合と比較して、分散型電源60の設置コスト及び設置スペースが削減されうる。
【0042】
図4(A)及び図4(B)に示されるように、集合住宅1は、屋根に沿って位置するPV61を備えてよい。PV61は、各戸の屋根にまたがって設置されてよい。PV61が各戸の屋根にまたがって設置されている場合、PV61が各戸の屋根に分割して設置されている場合と比較して、PV61の設置面積が広げられうる。つまり、PV61が集合住宅1の各戸の設備ではなく、共有設備であることによって、PV61の設置面積が広げられうる。
【0043】
集合住宅1は、外壁に沿って位置する引込盤10を備えてよい。引込盤10は、1棟の集合住宅1に対して1台設けられていてよい。1台の引込盤10は、集合住宅1の各戸に接続されていてよい。
【0044】
図4(A)に示される集合住宅1の戸数は3であるが、2であってもよいし、4以上であってもよい。図4(A)に示される集合住宅1は、平屋の建物であるが、2階建て以上の建物であってもよい。
【0045】
図5(A)及び図5(B)に示されるように、引込盤10は、窓15を有する扉16と、筐体17とを備えてよい。引込盤10は、筐体17に、第1電力量計21と、第2電力量計22と、第3電力量計とを実装してよい。引込盤10は、筐体17に、第1ブレーカ31と、第2ブレーカ32と、第3ブレーカ33とを実装してよい。引込盤10は、筐体17に、ルータ70を実装してよい。引込盤10は、筐体17に、各構成部を接続する配線を実装してよい。引込盤10が電力量計を実装することによって、電力量計が別体として設置されている場合と比較して、電力量計の設置に必要となるスペース又は費用が削減されうる。
【0046】
図5(A)に示されるように扉16が閉じている状態で、引込盤10に実装されている電力量計又はブレーカ等は、引込盤10の外部から保護されうる。図5(B)に示されるように扉16が開いている状態で、電力量計又はブレーカ等が操作されうる。言い換えれば、図5(A)に示されるように扉16が閉じている状態で、電力量計又はブレーカ等は、引込盤10の外部から操作されないように保護されうる。
【0047】
窓15は、透明な部材を含んでよい。電力量計は、引込盤10の扉16が閉じている状態のまま、窓15を通して視認されうる。窓15は、電波を透過させやすい部材を含み、アンテナ73の近傍に位置してよい。このようにすることで、アンテナ73による電波の送受信の効率が向上されうる。
【0048】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0049】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形又は修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部などに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部などを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0050】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1端子は、第2端子と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0051】
1 集合住宅
10 引込盤
11~14 第1~第4端子
15 窓
16 扉
17 筐体
18 分岐節点
21~24 第1~第4電力量計
31~34 第1~第4ブレーカ
40(41、42) 負荷(戸別負荷、共用負荷)
50 電力網
60 分散型電源
61 太陽光発電設備(PV)
62 蓄電池
70 ルータ
71 取得部
72 通信部
73 アンテナ
80 通信ネットワーク
81 サーバ
図1
図2
図3
図4
図5