(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
H05K5/02 D
(21)【出願番号】P 2017250343
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000144393
【氏名又は名称】株式会社三社電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北谷 健二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達規
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-077275(JP,U)
【文献】特開平04-113705(JP,A)
【文献】特開2007-250836(JP,A)
【文献】特開2012-226661(JP,A)
【文献】特開昭61-144900(JP,A)
【文献】特開昭60-233890(JP,A)
【文献】実開昭62-089189(JP,U)
【文献】特開平7-95626(JP,A)
【文献】実公平6-6537(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/02
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天壁を有する筐体と、
前記天壁の外面に固定された把手と、
前記筐体内に設けられ、少なくとも前記天壁の内面に
ネジ部材によって連結された仕切板と、
前記仕切板の両面にそれぞれ固定された第1回路構成部及び第2回路構成部と、
を備え
、
前記仕切板は、前記筐体とは別部材で形成されており、
前記天壁において、前記ネジ部材による前記仕切板の連結位置から前記把手の固定位置までの距離は、前記天壁の縁から前記把手の前記固定位置までの距離より小さい、電気機器。
【請求項2】
前記筐体は、略平行に配置された2つの側壁を更に有し、
前記仕切板は、その両面が前記2つの側壁の内面にそれぞれ対向するように配置され、
前記把手は、前記仕切板の上方位置にて当該仕切板に沿って設けられている、請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記筐体は、底壁、前壁、及び後壁を更に有し、これらの壁の少なくとも何れか1つに前記仕切板が固定されると共に、当該仕切板は、前記天壁に対して着脱可能に連結されており、
前記筐体は、前記天壁と前記2つの側壁とで構成されたカバー部を、残りの壁で構成されたベース部から分離することが可能である、請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記把手は、前記天壁を構成する部材よりも熱伝導率が低い部材で構成されている、請求項1~3の何れかに記載の電気機器。
【請求項5】
前記第2回路構成部は、前記第1回路構成部と構成が同じであり、
前記第2回路構成部は、前記第1回路構成部の配置状態に対して上下が反転する様に裏返した状態で前記仕切板に固定されている、請求項1~4の何れかに記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器を持ち運ぶための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器には、例えばスポットライト等の光源に用いられる電源装置など、ある程度の重量を持ったものが多く存在する。電源装置の場合、筐体内に設置される回路構成部(回路基板など)には、容量の大きいコンデンサや大型のトランス等の電子部品、更にはこれらの電子部品を冷却するフィンなどが含まれている。このため、電源装置では、回路構成部を含めた全体の重量が数十キログラム程度になることがある。そして、この様な電気機器には、筐体の天壁に把手を固定することにより、当該把手を持って持ち運ぶことを可能にしたものが存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電気機器では、当該電機機器の重量の大部分を占める回路構成部は、筐体内に構築されたラックに設置されたり、筐体内の底面や側面に直接的に設置されたりしていた。このため、把手を持って電気機器を持ち上げたとき、電気機器の全体の重量が筐体の側壁を介して天壁の縁にかかり、従って、天壁に対して曲げ応力が生じていた。そして、重量が大きい電気機器ほど、天壁に対して大きな曲げ応力が生じ、それが原因となって天壁が変形してしまう虞があった。
【0005】
そこで本発明の目的は、筐体の天壁に把手が固定されている電気機器において、当該電気機器を持ち上げたときに生じ得る天壁の変形を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気機器は、天壁を有する筐体と、当該天壁の外面に固定された把手と、仕切板と、第1回路構成部及び第2回路構成部と、を備える。仕切板は、筐体内に設けられ、少なくとも天壁の内面に連結されている。又、第1回路構成部及び第2回路構成部は、仕切板の両面にそれぞれ固定されている。
【0007】
上記電気機器によれば、天壁における仕切板の連結位置から把手の固定位置までの距離が、天壁の縁から把手の固定位置までの距離より小さくなる。従って、第1回路構成部及び第2回路構成部を仕切板に固定して当該仕切板に電源装置の重量を集中させることにより、把手を持って電源装置を持ち上げたときに天壁に生じる曲げ応力が小さくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電気機器を持ち上げたときに生じ得る天壁の変形を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態である電源装置を示した斜視図である。
【
図3】(A)
図2に示されたIIIA-IIIA線に沿う縦断面図、及び(B)
図2に示されたIIIB-IIIB線に沿う縦断面図である。
【
図4】(A)
図2に示されたIVA-IVA線に沿う縦断面図、及び(B)
図2に示されたIVB-IVB線に沿う縦断面図である。
【
図5】電源装置においてカバーを取り外した状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を電源装置に適用した実施形態について、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態である電源装置を示した斜視図であり、
図2は、当該電源装置を示した上面図である。
図3(A)は、
図2に示されたIIIA-IIIA線に沿う縦断面図であり、
図3(B)は、
図2に示されたIIIB-IIIB線に沿う縦断面図である。又、
図4(A)は、
図2に示されたIVA-IVA線に沿う縦断面図であり、
図4(B)は、
図2に示されたIVB-IVB線に沿う縦断面図である。
図1~
図4(B)に示される様に、電源装置は、筐体1と、把手2と、仕切板3と、第1回路構成部4Aと、第2回路構成部4Bと、を備える。
【0011】
筐体1は、箱型を呈しており、外壁として、天壁10Aと、底壁10Bと、前壁10Cと、後壁10Dと、2つの側壁10E及び10Fと、を有している。本実施形態では、筐体1は、直方体状を呈し、互いに対向する壁どうしが互いに略平行に配置されている。又、筐体1は、その外壁を2つに分離することが可能な構成を有している。具体的には、筐体1は、天壁10Aと2つの側壁10E及び10Fとで構成されたカバー部11を、残りの壁(底壁10B、前壁10C、及び後壁10D)で構成されたベース部12から分離することが可能である(
図5参照)。一例として、カバー部11は、所定形状(天壁10Aと2つの側壁10E及び10Fとを平面に展開した形状)に打ち抜かれた一枚の金属板をコの字状に屈曲変形させることにより形成される。尚、
図5は、電源装置においてカバー部11を取り外した状態を示した斜視図である。
【0012】
把手2は、天壁10Aの外面に固定されている(
図1参照)。本実施形態では、把手2はアーチ状を呈しており、その両端部のそれぞれが、ビス等のネジ部材71によって天壁10Aの外面に固定されている(
図4(A)~
図5参照)。具体的に、把手2の各端部には、ネジ留め用の座面21aを形成するための切欠き部分21が形成されている。そして、座面21aに設けられたネジ穴を通じて、ネジ部材71が、座面21a側から天壁10Aに捩じ込まれる。これにより、把手2の両端部が、天壁10Aの外面にネジ留めされる。又、把手2には、当該把手2の外面が滑らかな形状となる様に、切欠き部分21を覆う着脱可能な化粧カバー22が設けられている。尚、天壁10Aの外面における把手2の位置や姿勢の詳細については後述する。
【0013】
本実施形態では、電源装置に電力(例えば、商用電源からの電力)を入力するための入力端子61が後壁10Dに設けられ、電源装置から電力(例えば、電力供給対象に応じて所望の電圧に変換されたもの)を出力するための出力端子62が前壁10Cに設けられている(
図2参照)。更に、電源装置の操作部63が、前壁10Cに設けられた窓18から操作面を露出させた状態で、当該前壁10Cの内面に固定されている(
図1及び
図4(A)参照)。
【0014】
仕切板3は、筐体1内に設けられ、当該筐体1内の空間を2つの部屋(第1室13Aと第2室13B)に仕切る(
図3(A)~
図4(B)参照)。具体的には、仕切板3は、天壁10Aから底壁10Bまで鉛直方向に拡がった仕切平板部31を有し、当該仕切平板部31の両面(第1面31aと第2面31b)が2つの側壁10E及び10Fの内面にそれぞれ対向する様に配置されている。従って、筐体1内には、第1室13Aとして、仕切板3と側壁10Eとの間を前壁10Cから後壁10Dまで拡がった部屋が形成され、又、第2室13Bとして、仕切板3と側壁10Fとの間を前壁10Cから後壁10Dまで拡がった部屋が形成されている(
図2及び
図5参照)。
【0015】
又、仕切平板部31の前端縁には、操作部63を設置する空間を確保するための切欠き311が設けられている(
図4(A)及び(B)参照)。本実施形態では、切欠き311は、仕切平板部31の上端縁側にも切り開かれている。そして、この切欠き311は、後述するネジ部材761(天壁10Aを前壁10Cに連結するためのネジ部材)が仕切板3に接触することを回避するための切欠きとしても用いられる。
【0016】
更に、仕切平板部31の上端縁には、後述するネジ部材762(天壁10Aを後壁10Dに連結するためのネジ部材)が仕切板3に接触することを回避するための切欠き312が形成されている。加えて、仕切平板部31の上端縁には、上述した2つのネジ部材71(把手2を天壁10Aに固定するためのネジ部材)が仕切板3に接触することを回避するための2つの切欠き313が形成されている。より詳細には、各切欠き313は、後述する第1連結平板部32A(天壁10Aへの仕切板3の連結に用いられる部分)と仕切平板部31との角部に設けられている(
図5参照)。即ち、各切欠き313は、仕切平板部31から第1連結平板部32Aに亘って形成されている。
【0017】
そして、仕切板3は、筐体1内の空間を2つの部屋(第1室13Aと第2室13B)に仕切った状態で、筐体1に連結固定されている。具体的には、仕切板3は、筐体1の天壁10A、底壁10B、及び後壁10Dへの連結固定にそれぞれ用いられる部分として、第1連結平板部32Aと、第2連結平板部32Bと、第3連結平板部32Cと、を有する(
図3(B)及び
図4(B)参照)。又、前壁10Cの内面には、仕切板3との連結固定に用いられる第4連結平板部16が形成されている(
図3(B)及び
図4(B)参照)。
【0018】
ここで、第1連結平板部32Aは、仕切平板部31の上端縁(天壁10Aに沿って直線状に延びた縁)の位置で仕切板3をL字状に屈曲させることで形成された部分であり、仕切平板部31の上端縁から天壁10Aに沿って第2室13B側へ拡がっている(
図3(A)及び(B)参照)。本実施形態では、第1連結平板部32Aは、仕切平板部31の上端縁のうちの切欠き311及び312が形成された箇所を除いた残りの部分から第2室13B側へ拡がっている(
図4(B)参照)。尚、第1連結平板部32Aは、第2室13Bとは反対側(即ち、第1室13A側)に設けられてもよい。
【0019】
第2連結平板部32Bは、仕切平板部31の下端縁(底壁10Bに沿って直線状に延びた縁)の位置で仕切板3をL字状に屈曲させることで形成された部分であり、仕切平板部31の下端縁から底壁10Bに沿って第2室13B側へ拡がっている(
図3(A)及び(B)参照)。本実施形態では、第2連結平板部32Bは、仕切平板部31の下端縁全体から第2室13B側へ拡がっている(
図4(B)参照)。尚、第2連結平板部32Bは、第2室13Bとは反対側(即ち、第1室13A側)に設けられてもよい。
【0020】
第3連結平板部32Cは、仕切平板部31の後端縁に舌片状に形成された部分であり、仕切平板部31の後端縁から後壁10Dに沿って第2室13B側へ突出している(
図4(B)参照)。尚、第3連結平板部32Cは、第2室13Bとは反対側(即ち、第1室13A側)に設けられてもよい。
【0021】
第4連結平板部16は、前記10Cの内面において窓18の直下の位置に形成された舌片状であり(
図4(B)参照)、仕切平板部31の第2面31bと面接触することが可能になる様に形成されている(
図3(B)参照)。
【0022】
そして、仕切板3は、筐体1に対して次の様に連結固定されている。先ず、筐体1のベース部12への連結固定の態様について、
図3(B)~
図4(B)を用いて説明する。
【0023】
仕切板3は、ベース部12に対してネジ留めで固定されている。具体的には、底壁10Bのうちの第2連結平板部32Bと対向する領域に設けられたネジ穴を通じて、ネジ部材72が、底壁10Bの外面側から第2連結平板部32Bに捩じ込まれている(
図3(B)及び4(B)参照)。本実施形態では、第2連結平板部32Bは、底壁10Bに対して2箇所でネジ留めされている。又、後壁10Dのうちの第3連結平板部32Cと対向する領域に設けられたネジ穴を通じて、ネジ部材73が、後壁10Dの外面側から第3連結平板部32Cに捩じ込まれている(
図4(B)参照)。本実施形態では、第3連結平板部32Cは、後壁10Dに対して1箇所でネジ留めされている。この様にして、仕切板3は、底壁10B及び後壁10Dにネジ留めで固定されている。
【0024】
更に、仕切平板部31のうちの前壁10Cに形成された第4連結平板部16と面接触する領域に設けられたネジ穴を通じて、ネジ部材74が、仕切平板部31の第1面31a側から第4連結平板部16に捩じ込まれている(4(B)参照)。本実施形態では、仕切平板部31は、第4連結平板部16に対して1箇所でネジ留めされている。この様にして、仕切板3は、前壁10Cにもネジ留めで固定されている。
【0025】
この様に、仕切板3がベース部12に対して複数箇所で連結固定されることにより、仕切板3は、筐体1に対して強固に取り付けられている。これにより、仕切板3の耐震強度が高められる。尚、仕切板3をベース部12にネジ留めする位置や数は、上述したものに限らず、仕切板3に持たせる強度や仕切板3を設ける位置等に応じて適宜変更することができる。又、仕切板3は、底壁10B、前壁10C、及び後壁10Dの全てに固定される場合に限らず、仕切板3に必要とされる強度等に応じて、それらの壁の少なくとも何れか1つに選択的に固定することができる。
【0026】
次に、筐体1のカバー部11への連結固定の態様について、
図2、
図4(B)、及び
図5を用いて説明する。仕切板3は、カバー部11に対してもネジ留めで固定される。具体的には、天壁10Aのうちの第1連結平板部32Aと対向する領域に設けられたネジ穴を通じて、ネジ部材75が、天壁10Aの外面側から第1連結平板部32Aに捩じ込まれる。これにより、仕切板3は、2つの側壁10E及び10Fの間の位置において、把手2が設けられている天壁10Aの内面に直接的に連結される。本実施形態では、第1連結平板部32Aは、天壁10Aに対して2箇所でネジ留めされる。尚、第1連結平板部32Aを天壁10Aにネジ留めする位置や数は、上述したものに限らず、後述する仕切板3に固定される第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bの重量等に応じて適宜変更することができる。
【0027】
一方、把手2を天壁10Aに固定するためのネジ部材71の先端は、第1連結平板部32Aと仕切平板部31との角部に設けられた切欠き313に挿入される。このため、把手2は、ネジ部材71によって仕切板3に直接的に連結されるのではなく、天壁10Aのうちの把手2の固定位置(ネジ部材71の位置)から第1連結平板部32Aの連結位置(ネジ部材75の位置)までの部分を介して、仕切板3の第1連結平板部32Aに間接的に連結される。
【0028】
この様に仕切板3が天壁10Aの内面に直接的に連結された構成においては、天壁10Aにおける仕切板3の連結位置から把手2の固定位置までの距離が、天壁10Aの縁(例えば、前後の縁)から把手2の固定位置までの距離より小さくなる。従来、把手2を持って電源装置を持ち上げたとき、天壁10Aの縁に全体の重量がかかることで、天壁10Aに対して大きな曲げ応力が生じ、それが原因となって天壁10Aが変形してしまう虞があった。これに対し、本実施形態の電源装置によれば、仕切板3の連結位置から把手2の固定位置までの距離が小さいため、仕切板3に電源装置の重量を集中させることにより、把手2を持って電源装置を持ち上げたときに天壁10Aに生じる曲げ応力が小さくなる。その結果として、天壁10Aの変形が防止される。
【0029】
そして、この様な構成において、上述した把手2は、仕切板3の上方位置にて当該仕切板3に沿って(即ち、前後方向に)設けられることが好ましい(
図2参照)。これにより、天壁10Aにおける仕切板3の連結位置から把手2の固定位置までの距離を著しく小さくすることができる。従って、天壁10Aには曲げ応力が生じ難くなり、天壁10Aの変形が確実に防止される。又、仕切板3の第1連結平板部32Aに把手2を直接的に連結して重量物を持ち上げたときと同じ感覚で、電源装置を持ち上げることが可能になる。尚、把手2は、仕切板3の上方位置にて当該仕切板3に沿って複数設けられてもよい。
【0030】
従って、本実施形態の電源装置では、仕切板3に電源装置の重量を集中させるべく、仕切平板部31の両面(第1面31aと第2面31b)に、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bがそれぞれ固定されている。第1回路構成部4Aには、容量の大きいコンデンサや大型のトランス等の電子部品、更にこれらの電子部品を冷却するフィンなどが含まれる。第2回路構成部4Bについても同様である。従って、電源装置においては、その重量の大部分を、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bが占めている。
【0031】
ここで、電源装置の重量の大部分を占める第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bの全体の重心位置は、各回路構成部の重量や固定位置、更には各回路構成部を構成する電子部品の配置等に応じて変化する。従って、2つの側壁10E及び10Fの間に配置される仕切板3の位置は、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bの全体の重心位置を考慮して、その重心位置が2つの側壁10E及び10Fの間の中間位置に一致する様に規定されることが好ましい。これにより、電源装置全体の重心を、2つの側壁10E及び10Fの間の中間位置へ近づけることができる。
【0032】
本実施形態では、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bに同じ回路基板が用いられており、これらの全体の重心位置が仕切板3の位置に一致しているか、或いは、重心位置が仕切板3の位置からずれていたとしても、そのズレは僅かである。従って、仕切板3自身が2つの側壁10E及び10Fの間の中間位置に配されることにより、電源装置全体の重心が、2つの側壁10E及び10Fの間の中間位置又はそれに近い位置に配される。
【0033】
この様に重心位置が考慮された電源装置において、上述した把手2は、当該重心位置の上方位置に設けられることが好ましい。これにより、把手2を持って電源装置を運ぶ際に、当該電源装置をバランス良く持ち上げることが可能になる。本実施形態では、上述した様に、仕切板3自身が2つの側壁10E及び10Fの間の中間位置に配されることにより、電源装置全体の重心が、2つの側壁10E及び10Fの間の中間位置又はそれに近い位置に配される。よって、把手2が、仕切板3の上方位置にて当該仕切板3に沿って設けられることにより、その把手2は、重心位置の上方位置にも設けられることになる。よって、本実施形態の電源装置では、把手2を持って電源装置を持ち上げたときのバランスの良さと天壁10Aの変形防止とを、両立させることができる。
【0034】
本実施形態では更に、前壁10Cに、その上端部を内側(後壁10D側)へ向けて屈曲させることで第5連結平板部171が形成され、後壁10Dに、その上端部を内側(前壁10C側)へ向けて屈曲させることで第6連結平板部172が形成されている(
図4(A)及び(B)参照)。そして、天壁10Aのうちの第5連結平板部171と対向する領域に設けられたネジ穴を通じて、ネジ部材761が、天壁10Aの外面側から第5連結平板部171に捩じ込まれる。又、天壁10Aのうちの第6連結平板部172と対向する領域に設けられたネジ穴を通じて、ネジ部材762が、天壁10Aの外面側から第6連結平板部172に捩じ込まれる。このとき、ネジ部材761及び762の先端はそれぞれ、切欠き311及び312内に収まるため、仕切板3に接触することがない。これにより、カバー部11とベース部12とが互いに直接的に連結されて1つの筐体1が構成される。
【0035】
本実施形態では、把手2が、天壁10Aにネジ留めで連結される一方で仕切板3には連結されず、且つ、天壁10Aが、仕切板3、前壁10C、及び後壁10Dに対してネジ留めで着脱可能に連結されている。従って、天壁10Aから把手2を取り外さなくても、仕切板3、前壁10C、及び後壁10Dに対する天壁10Aの連結を解除することにより、カバー部11とベース部12との分離が可能になる。よって、ベース部12からカバー部11を取り外す際には、把手2を持ってカバー部11を持ち上げることができる(
図5参照)。
【0036】
そして、カバー部11には2つの側壁10E及び10Fが含まれているため、カバー部11を取り外すことにより、仕切板3の両面(第1面31aと第2面31b)を左右に露出させることができる(
図5参照)。よって、当該両面にそれぞれ固定された第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bに対して、メンテナンスを左右から容易に行うことができる。
【0037】
更に、本実施形態では、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bには同じ回路基板(即ち、回路、当該回路に含まれる回路部品、及びその配置等、が同じ構成のもの)が用いられており、第2回路構成部4Bが、第1回路構成部4Aの配置状態に対して上下が反転する様に裏返した状態で仕切板3の片面(第2面31b)に固定されている。よって、電源装置におけるバランスの良さを実現し易くなっている。又、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bは、回路基板の前後の位置関係が同じになる様に配置されている。
【0038】
具体的には、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bは何れも、電力の入力側が後壁10D(入力端子61が設けられた壁)の方を向き、且つ、電力の出力側が前壁10C(出力端子62が設けられた壁)の方を向く様に、配置されている。これにより、筐体1内において、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bの何れをも入力端子61や出力端子62に対して短い配線で接続することが可能になっている。尚、筐体1内において配線が長くなることが許容できる場合には、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bの配置状態は、上述したものに限定されない様々な状態へ適宜変更することができる。
【0039】
又、本実施形態の電源装置では、回路部品の全てが、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bに含まれている。従って、回路部品の全てが、底壁10Bから浮いた状態になっている。よって、液体や粉塵等が、電源装置内に入り込んで筐体1内の底(即ち、底壁10B上)に溜まったり付着したりした場合でも、回路部品には影響が及び難い。
【0040】
更に、本実施形態の電源装置は、第1室13A及び第2室13Bをそれぞれ空気で冷却するための冷却構造を有する。具体的には、後壁10Dに、第1室13A及び第2室13Bのそれぞれに空気を吸入するための吸気口14A及び14Bが形成され、前壁10Cに、第1室13A及び第2室13Bのそれぞれから空気を排出するための排気口15A及び15Bが形成されている(
図4(A)及び(B)参照)。又、筐体1内には、吸気口14A及び14Bのそれぞれの近傍の位置にファン64が設けられている(
図4(A)~
図5参照)。そして、当該ファン64の駆動により、第1室13Aを通って吸気口14Aから排気口15Aへ空気が流れ、第2室13Bを通って吸気口14Bから排気口15Bへ空気が流れる。この様な冷却構造によれば、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bを冷却することができる。
【0041】
又、仕切板3及び天壁10Aが金属板で形成されている場合、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bで生じた熱は、仕切板3を通じて天壁10Aに伝わり易い。よって、天壁10Aからの放熱によっても、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bが冷却される。尚、天壁10Aに伝わった熱が更に把手2にも伝わって当該把手2が熱せられたとすれば、把手2を手で持つことが困難になる虞がある。そこで、把手2は、筐体1(主に天壁10A)を構成する部材(本実施形態では金属)よりも熱伝導率が低い部材(例えば、樹脂など)で構成されていることが好ましい。
【0042】
更に、第1回路構成部4A及び第2回路構成部4Bが仕切板3に設けられることにより、電源装置における主な熱源が2つの側壁10E及び10Fから離れて設置されることになる。従って、それらの熱源によって2つの側壁10E及び10Fが直接的に熱せられることが防止される。
【0043】
尚、上記電源装置の各部構成は、電源装置に限らず、種々の電気機器に適用することができる。
【0044】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0045】
1 筐体
2 把手
3 仕切板
4A 第1回路構成部
4B 第2回路構成部
10A 天壁
10B 底壁
10C 前壁
10D 後壁
10E、10F 側壁
11 カバー部
12 ベース部
13A 第1室
13B 第2室
14A、14B 吸気口
15A、15B 排気口
16 第4連結平板部
18 窓
21 切欠き部分
21a 座面
22 化粧カバー
31 仕切平板部
31a 第1面
31b 第2面
32A 第1連結平板部
32B 第2連結平板部
32C 第3連結平板部
61 入力端子
62 出力端子
63 操作部
64 ファン
71、72、73、74、75、761、762 ネジ部材
171 第5連結平板部
172 第6連結平板部
311、312、313 切欠き