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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】作業装置、及び、作業方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20220706BHJP
【FI】
H05K13/02 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018112725
(22)【出願日】2018-06-13
(65)【公開番号】P2019216185
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2020-12-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小峯 正道
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-302282(JP,A)
【文献】特開2002-340962(JP,A)
【文献】特開2016-153165(JP,A)
【文献】国際公開第2013/099538(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークが搭載されている搬送治具を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路の第1の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記搬送経路の側方に位置する作業位置との間、及び、前記搬送経路の前記第1の停止位置より下流側の第2の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記作業位置との間で前記ワークを移載する移載部と、
前記作業位置に移載された前記ワークに所定の作業を行う作業部と、
前記第1の停止位置に搬送された第1の前記搬送治具に搭載されている前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第1の前記搬送治具を前記第2の停止位置に搬送させるとともに第2の前記搬送治具を前記第1の停止位置に搬送させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記ワークを、前記第2の停止位置に搬送された前記第1の前記搬送治具に移載させる制御部と、
を備える作業装置。
【請求項2】
請求項1に記載の作業装置であって、
前記搬送治具は複数の前記ワークが搭載されるものであり、
前記制御部は、前記搬送治具に搭載されている第1の前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第1の前記ワークを当該搬送治具に移載させた後、当該搬送治具に搭載されている第2の前記ワークを前記作業位置に移載させるものであり、
前記第1の停止位置及び前記第2の停止位置において前記移載部の可動範囲内となる第1種の前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第1の前記搬送治具を前記第2の停止位置に搬送させるとともに前記第2の前記搬送治具を前記第1の停止位置に搬送させる、作業装置。
【請求項3】
請求項2に記載の作業装置であって、
前記制御部は、前記第1の停止位置では前記移載部の可動範囲内となるが前記第2の停止位置では可動範囲外となる第2種の前記ワークについては、前記搬送治具が前記第1の停止位置に停止しているときに前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第2種の前記ワークを、前記第1の停止位置に停止している当該搬送治具に移載させる、作業装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3のいずれか一項に記載の作業装置であって、
前記制御部は、前記第1の停止位置では前記移載部の可動範囲外となるが前記第2の停止位置では可動範囲内となる第3種の前記ワークについては、前記搬送治具が前記第2の停止位置に搬送された後に前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第3種の前記ワークを、前記第2の停止位置に搬送された当該搬送治具に移載させる、作業装置。
【請求項5】
ワークが搭載されている搬送治具を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記搬送経路の側方に位置する作業位置との間で前記ワークを移載する移載部と、
前記作業位置に移載された前記ワークに所定の作業を行う作業部と、
最初に搬送される第3の前記搬送治具より後に搬送される第4の前記搬送治具には前記ワークを搭載可能な空き領域が確保されており、前記停止位置に搬送された前記第3の前記搬送治具に搭載されている前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第3の前記搬送治具を下流側に搬出させるとともに前記第4の前記搬送治具を前記停止位置に搬送させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記ワークを、前記停止位置に搬送された前記第4の前記搬送治具の前記空き領域に移載させる制御部と、
を備える作業装置。
【請求項6】
請求項5に記載の作業装置であって、
前記搬送治具は複数の前記ワークが搭載されるものであり、
前記制御部は、前記搬送治具に搭載されている第1の前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第1の前記ワークを当該搬送治具に移載させた後、当該搬送治具に搭載されている第2の前記ワークを前記作業位置に移載させるものであり、
前記第3の前記搬送治具に搭載されている前記ワークのうち最後の前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第3の前記搬送治具を下流側に搬出させるとともに前記第4の前記搬送治具を前記停止位置に搬送させる、作業装置。
【請求項7】
作業装置を用いた作業方法であって、
前記作業装置は、
ワークが搭載されている搬送治具を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路の第1の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記搬送経路の側方に位置する作業位置との間、及び、前記搬送経路の前記第1の停止位置より下流側の第2の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記作業位置との間で前記ワークを移載する移載部と、
前記作業位置に移載された前記ワークに所定の作業を行う作業部と、
を備え、
当該作業方法は、
前記第1の停止位置に搬送された第1の前記搬送治具に搭載されている前記ワークを前記作業位置に移載させる工程と、
前記作業位置で前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第1の前記搬送治具を前記第2の停止位置に搬送させるとともに第2の前記搬送治具を前記第1の停止位置に搬送させる工程と、
前記作業位置で前記作業が行われた前記ワークを、前記第2の停止位置に搬送された前記第1の前記搬送治具に移載させる工程と、
を含む、作業方法。
【請求項8】
作業装置を用いた作業方法であって、
前記作業装置は、
ワークが搭載されている搬送治具を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、
前記搬送経路の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記搬送経路の側方に位置する作業位置との間で前記ワークを移載する移載部と、
前記作業位置に移載された前記ワークに所定の作業を行う作業部と、
を備え、
最初に搬送される第3の前記搬送治具より後に搬送される第4の前記搬送治具には前記ワークを搭載可能な空き領域が確保されており、
当該作業方法は、
前記停止位置に搬送された前記第3の前記搬送治具に搭載されている前記ワークを前記作業位置に移載させる工程と、
前記作業位置で前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第3の前記搬送治具を下流側に搬出させるとともに前記第4の前記搬送治具を前記停止位置に搬送させる工程と、
前記作業位置で前記作業が行われた前記ワークを、前記停止位置に搬送された前記第4の前記搬送治具の前記空き領域に移載させる工程と、
を含む、作業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、順に搬送されてくる搬送治具に搭載されているワークを作業位置に移載し、作業位置で作業が行われたワークを搬送治具に移載する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを搬送経路の作業位置に搬送し、作業位置でワークに所定の作業を行う作業装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の電子部品実装用装置(作業装置)は、前工程装置から受け取った基板(ワーク)を搬送経路の作業位置に搬送し、作業位置で基板に部品を実装した後に基板を後工程装置に搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4893696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、搬送経路の作業位置に搬送されたワークに直接作業を行うのではなく、ワークが搭載されている搬送治具を搬送経路の停止位置に搬送し、停止位置に搬送された搬送治具に搭載されているワークを、搬送経路の側方に位置する作業位置に移載して作業を行う作業装置も知られている。例としては、停止位置に搬送された搬送治具に搭載されているワークを作業位置に移載し、作業位置でワークの姿勢を3次元で変位させてワークに部品を実装する表面実装機が挙げられる。
【0005】
一般にこのような作業装置では、作業が終わったワークをそのワークが搭載されていた元の搬送治具に移載して当該搬送治具を後工程に搬出し、前工程から送り出された次の搬送治具を停止位置に搬送している。このため、作業が終わったワークを元の搬送治具に移載してから次の搬送治具が停止位置に搬送されてくるまでに待ち時間が生じ、作業効率が低下するという問題があった。
【0006】
本明細書では、順に搬送されてくる搬送治具に搭載されているワークを作業位置に移載し、作業位置で作業が行われたワークを搬送治具に移載する場合の作業効率を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示する作業装置は、ワークが搭載されている搬送治具を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送経路の第1の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記搬送経路の側方に位置する作業位置との間、及び、前記搬送経路の前記第1の停止位置より下流側の第2の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記作業位置との間で前記ワークを移載する移載部と、前記作業位置に移載された前記ワークに所定の作業を行う作業部と、前記第1の停止位置に搬送された第1の前記搬送治具に搭載されている前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第1の前記搬送治具を前記第2の停止位置に搬送させるとともに第2の前記搬送治具を前記第1の停止位置に搬送させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記ワークを、前記第2の停止位置に搬送された前記第1の前記搬送治具に移載させる制御部と、を備える。
【0008】
上記の作業装置によると、搬送治具に搭載されているワークのうち最後に作業が行われるワーク(以下、最後のワークという)に対する作業が終わって最後のワークが当該搬送治具に移載されたとき(すなわち最後のワークが元の搬送治具に戻されたとき)、既に次の搬送治具が第1の停止位置に搬送されている。このため、最後のワークを搬送治具(ここでは元の搬送治具)に移載してから次の搬送治具が停止位置に搬送されてくるまでの待ち時間を短縮できる。これにより、単位時間当たりに作業が可能なワークの数を増やすことができる。よって上記の作業装置によると、順に搬送されてくる搬送治具に搭載されているワークを作業位置に移載し、作業位置で作業が行われたワークを搬送治具に移載する場合の作業効率を向上させることができる。
【0009】
前記搬送治具は複数の前記ワークが搭載されるものであり、前記制御部は、前記搬送治具に搭載されている第1の前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第1の前記ワークを当該搬送治具に移載させた後、当該搬送治具に搭載されている第2の前記ワークを前記作業位置に移載させるものであり、前記第1の停止位置及び前記第2の停止位置において前記移載部の可動範囲内となる第1種の前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第1の前記搬送治具を前記第2の停止位置に搬送させるとともに前記第2の前記搬送治具を前記第1の停止位置に搬送させてもよい。
【0010】
例えば第1の停止位置では移載部の可動範囲内であるが第2の停止位置では移載部の可動範囲外となるワークは、そのワークを作業位置に移載して作業を行っている間にそのワークが搭載されていた搬送治具を第2の作業位置に搬送すると、作業が終わったワークを元の搬送治具に移載すること(すなわち元の搬送治具に戻すこと)ができない。
上記の作業装置によると、第1の停止位置及び第2の停止位置において移載部の可動範囲内となるワークに作業が行われている間に搬送治具を第2の停止位置に搬送させるので、そのワークが作業位置に移載されて実装作業が行われている間に搬送治具が第2の作業位置に搬送されても、そのワークを元の搬送治具に移載できる。
【0011】
前記制御部は、前記第1の停止位置では前記移載部の可動範囲内となるが前記第2の停止位置では可動範囲外となる第2種の前記ワークについては、前記搬送治具が前記第1の停止位置に停止しているときに前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第2種の前記ワークを、前記第1の停止位置に停止している当該搬送治具に移載させてもよい。
【0012】
上記作業装置によると、第1の停止位置及び第2の停止位置において移載部の可動範囲内となるワークと、第1の停止位置では移載部の可動範囲内であるが第2の停止位置では可動範囲外となるワークとが一の搬送治具に搭載されている場合に、いずれのワークについても作業が終わった後に元の搬送治具に移載すること(すなわち元の搬送治具に戻すこと)ができる。
【0013】
前記制御部は、前記第1の停止位置では前記移載部の可動範囲外となるが前記第2の停止位置では可動範囲内となる第3種の前記ワークについては、前記搬送治具が前記第2の停止位置に搬送された後に前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第3種の前記ワークを、前記第2の停止位置に搬送された当該搬送治具に移載させてもよい。
【0014】
上記作業装置によると、第1の停止位置及び第2の停止位置において移載部の可動範囲内となるワークと、第1の停止位置では移載部の可動範囲外であるが第2の停止位置では可動範囲内となるワークとが一の搬送治具に搭載されている場合に、いずれのワークについても作業が終わった後に元の搬送治具に移載すること(すなわち元の搬送治具に戻すこと)ができる。
【0015】
本明細書で開示する作業装置は、ワークが搭載されている搬送治具を搬送経路に沿って搬送する搬送部と、前記搬送経路の停止位置に搬送された前記搬送治具と前記搬送経路の側方に位置する作業位置との間で前記ワークを移載する移載部と、前記作業位置に移載された前記ワークに所定の作業を行う作業部と、最初に搬送される第3の前記搬送治具より後に搬送される第4の前記搬送治具には前記ワークを搭載可能な空き領域が確保されており、前記停止位置に搬送された前記第3の前記搬送治具に搭載されている前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第3の前記搬送治具を下流側に搬出させるとともに前記第4の前記搬送治具を前記停止位置に搬送させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記ワークを、前記停止位置に搬送された前記第4の前記搬送治具の前記空き領域に移載させる制御部と、を備える。
【0016】
上記の作業装置によると、ワークに対する作業が終わったとき、ワークが搭載されていた元の搬送治具は既に下流側に搬出されているが、次の搬送治具が停止位置に搬送されているので、ワークを次の搬送治具の空き領域に移載することができる。このようにすると、ワークを次の搬送治具の空き領域に移載したとき、次の搬送治具は既に停止位置に搬送されていることから、ワークを搬送治具(ここでは次の搬送治具)に移載してから次の搬送治具が停止位置に搬送されてくるまでの待ち時間を短縮できる。これにより、単位時間当たりに作業が可能なワークの数を増やすことができる。よって上記の作業装置によると、順に搬送されてくる搬送治具に搭載されているワークを作業位置に移載し、作業位置で作業が行われたワークを搬送治具に移載する場合の作業効率を向上させることができる。
【0017】
前記搬送治具は複数の前記ワークが搭載されるものであり、前記制御部は、前記搬送治具に搭載されている第1の前記ワークを前記作業位置に移載させ、前記作業位置で前記作業が行われた前記第1の前記ワークを当該搬送治具に移載させた後、当該搬送治具に搭載されている第2の前記ワークを前記作業位置に移載させるものであり、前記第1の前記搬送治具に搭載されている前記ワークのうち最後の前記ワークに前記作業が行われている間に、前記第3の前記搬送治具を下流側に搬出させるとともに前記第4の前記搬送治具を前記停止位置に搬送させてもよい。
【0018】
上記の作業装置によると、搬送治具に複数のワークが搭載されている場合は、搬送治具に搭載されているワークのうち最後のワークに作業が行われている間に搬送治具を下流側に搬出させるので、搬送治具に搭載されている全てのワークについて作業を行うことができる。
【0019】
本明細書によって開示される発明は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1に係る表面実装機の上面図
図2】ワークに実装作業が行われる順番を示す模式図
図3】ロボットの斜視図
図4】表面実装機を前側から見た模式図
図5】表面実装機の電気的構成を示すブロック図
図6】搬送治具の搬送を説明するための模式図(例1:搬送治具が第1の作業位置に停止している状態)
図7】搬送治具の搬送を説明するための模式図(例1:第1の停止位置に停止していた搬送治具が第2の停止位置に搬送され、次の搬送治具が第1の停止位置に搬送された状態)
図8】搬送治具の搬送を説明するための模式図(例2)
図9】制御処理のフローチャート
図10】実施形態2に係る停止位置を示す模式図
図11】搬送治具の搬送を説明するための模式図(最初の搬送治具が停止位置に停止している状態)
図12】搬送治具の搬送を説明するための模式図(最初の搬送治具が後工程に搬出され、次の搬送治具が停止位置に搬送された状態)
図13】制御処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態1>
実施形態1を図1ないし図9に基づいて説明する。以降の説明では図1に示す左右方向をX方向、前後方向をY方向、図4に示す上下方向をZ方向という。また、以降の説明では図1に示す右側を上流側、左側を下流側という。また、以降の説明では同一の構成部材には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0022】
(1)表面実装機
図1を参照して、実施形態1に係る表面実装機1(作業装置の一例)について説明する。表面実装機1は立体形状を有するワークWの姿勢を3次元で変位させてワークWに電子部品などの部品Eを実装するものである。部品Eの実装は所定の作業の一例である。以降の説明では当該作業のことを実装作業という。実装作業はワークWに半田ペーストや接着剤等を塗布する作業と、半田ペーストや接着剤等が塗布されたワークWに部品Eを搭載する作業とを含む。ワークWとしては自動車のヘッドランプや補聴器などを例示することができる。
【0023】
(1-1)搬送治具
先ず、図1を参照して、ワークWが搭載されている搬送治具2について説明する。ワークWは搬送治具2に搭載されて表面実装機1に供給される。搬送治具2はトレイ状の部材であり、一つの搬送治具2に6個のワークWが搭載されている。各ワークWはそれぞれ円盤状のベース部材Bに固定された状態で搬送治具2に搭載されている。
【0024】
図2を参照して、ワークWに実装作業が行われる順番について説明する。図2においてワークWに付されている番号は実装作業が行われる順番を示している。すなわち、本実施形態では搬送治具2の搬送方向前側のワークWから順に実装作業が行われる。なお、1番のワークW1及び2番のワークW2についてはこれらのうちどちらが先に実装作業が行われてもよい。3番のワークW3及び4番のワークW4、5番のワークW5及び6番のワークW6についても同様である。
【0025】
表面実装機1は、搬送治具2に搭載されている1番のワークW1(第1のワークの一例)を作業位置T(図1参照)に移載させ、作業位置Tで実装作業が行われた1番のワークW1を搬送治具2に移載させた後、搬送治具2に搭載されている2番のワークW2(第2のワークの一例)を作業位置Tに移載させる。これを繰り返すことによって各ワークWに実装作業が行われる。
【0026】
(1-2)表面実装機の構成
図1を参照して、表面実装機1の構成について説明する。表面実装機1は基台10、搬送治具2を搬送経路Gに沿って搬送する搬送装置11(搬送部の一例)、ワークWに実装する部品Eを供給する部品供給装置12、搬送治具2に搭載されているワークWを搬送経路Gの側方に位置する作業位置Tに移載し、作業位置TでワークWに実装作業を行った後、ワークWを搬送治具2に移載する部品実装装置13(移載部及び作業部の一例)、及び、これらの装置を制御する制御部14(図5参照)を備えている。
【0027】
(1-2-1)搬送装置
搬送装置11は搬送コンベア15、及び、図示しない2つの固定部を有している。搬送コンベア15はX方向に循環移動する一対のコンベアベルト15A及び15B、これらのコンベアベルトを駆動する図示しないコンベア駆動モータなどを備えている。コンベアベルト15Aと15Bとの間隔は搬送治具2の幅に応じて調整可能である。
【0028】
搬送経路G上には搬送治具2が停止される停止位置Sとして上流側の停止位置S1(第1の停止位置の一例)と下流側の停止位置S2(第2の停止位置の一例)とが設定されている。図示しない2つの固定部のうち一方は上流側の停止位置S1に搬送された搬送治具2を固定するものであり、他方は下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2を固定するものである。固定部は搬送治具2を停止位置に固定できる構成であれば任意の構成であってよい。例えば搬送治具2の下面を吸着することによって固定してもよいし、搬送治具2を挟み込むことによって固定してもよい。
【0029】
(1-2-2)部品供給装置
部品供給装置12は表面実装機1の後側においてX方向に並んで2箇所に配されている。これらの部品供給装置12には複数のフィーダ16がX方向に横並び状に整列して取り付けられている。各フィーダ16は所謂テープフィーダであり、複数の部品Eが収容された部品テープが巻回されたリール、及び、リールから部品テープを引き出す電動式のテープ送出装置等を備えており、作業位置T側の端部に設けられた部品供給位置から部品Eを一つずつ供給する。
なお、部品供給装置12は部品Eが載置されているトレイを供給する所謂トレイフィーダであってもよいし、半導体ウェハを供給するものであってもよい。
【0030】
(1-2-3)部品実装装置
部品実装装置13は、ワークWの姿勢を3次元で変位させるロボット17、ヘッドユニット18、及び、ヘッド搬送部19を備えている。
【0031】
図3に示すように、ロボット17は支柱17A、支柱17Aに沿ってZ方向にスライドするスライド部17B、スライド部17BをZ方向にスライドさせるモータM1、スライド部17Bに支持されている第1回転軸Ls1、第1回転軸Ls1を軸周りに回転させるモータM2、第1回転軸Ls1の先端に取り付けられている回転板17C、回転板17Cに支持されている第2回転軸Ls2、第2回転軸Ls2を軸周りに回転させるモータM3、及び、第2回転軸Ls2の上端部に取り付けられている保持部17Dを有している。
【0032】
支柱17Aの内側にはZ方向に沿ってボールねじ軸17E(図4参照)が取り付けられている。ボールねじ軸17Eはスライド部17Bに取り付けられたナット17F(図4参照)と共にボールねじ機構を構成している。モータM1はボールねじ機構の動力源であり、ベルトを介してボールねじ軸17Eに連結されている。モータM1を駆動させるとスライド部17BがZ方向にスライドする。
【0033】
第1回転軸Ls1は軸線が水平方向に沿った水平軸であり、スライド部17Bに軸受けを介して回転可能に支持されている。モータM2のモータ軸はベルトを介して第1回転軸Ls1に連結されている。モータM2を駆動させると回転板17Cが第1回転軸Ls1回りに回転する。
【0034】
第2回転軸Ls2は、回転板17Cのチルト角がゼロ度のとき、軸線がZ方向に沿った姿勢となる軸である。モータM3のモータ軸はベルトを介して第2回転軸Ls2に連結されている。モータM3を駆動させると保持部17Dが第2回転軸Ls2周りに回転する。
【0035】
保持部17Dは筒状の本体部、及び、本体部の上面に配置された3つのツメ部17Gを有している。3つのツメ部17Gは周方向に等間隔で配置されており、本体部に対して径方向(中心に向かう方向、中心から離れる方向)に移動自在である。保持部17Dは空圧式のシリンダ装置であり、空圧により3つのツメ部17Gを移動させることができる。
【0036】
前述したようにワークWはベース部材Bに固定された状態で搬送治具2に搭載されている。ベース部材Bの下面は保持部17Dが備える3つのツメ部17Gに対応する形に形成されており、3つのツメ部17Gを保持部17Dの径方向の中心に向かう方向に移動させることによってベース部材Bが保持部17Dに固定される。保持部17Dにおいてベース部材Bが固定される位置は作業位置Tである。
【0037】
上述したようにロボット17は3つの駆動軸(ボールねじ軸17E、第1回転軸Ls1、第2回転軸Ls2)を備えており、Z方向(上下方向)への移動、第1回転軸Ls1周りの回転、及び、第2回転軸Ls2周りの回転の3つの自由度を有している。このため、ベース部材Bに固定されているワークWの姿勢を3次元で変位させることができる。
【0038】
図4を参照して、ヘッドユニット18について説明する。なお、図4ではロボット17を模式的に示している。このため図4に示すロボット17の形状は図3に示す形状と必ずしも一致していない。
図4に示すように、ヘッドユニット18には3つの移載ヘッド20(20A、20B、20C)、塗布ヘッド21、移載ヘッド20をZ方向に移動させるモータM4、及び、塗布ヘッド21をZ方向に移動させるモータM5を備えている。移載ヘッド20A~20C及び塗布ヘッド21はX方向に並んで取り付けられている。なお、移載ヘッド20の数は3つに限定されるものではなく、適宜に決定できる。塗布ヘッド21についても同様である。
【0039】
移載ヘッド20は部品供給装置12によって供給される部品Eを吸着してワークWに搭載するものである。移載ヘッド20はヘッドシャフト20Eと、ヘッドシャフト20Eの下端部に着脱可能に取り付けられている吸着ノズル20Fとを備えている。吸着ノズル20Fにはヘッドシャフト20Eを介して外部から負圧及び正圧が供給される。吸着ノズル20Fは負圧が供給されることによって部品Eを吸着し、正圧が供給されることによってその部品Eを解放する。
塗布ヘッド21は先端に吐出孔を有しており、外部から供給される半田ペーストや接着剤等を吐出する。
【0040】
図1を参照して、ヘッド搬送部19について説明する。ヘッド搬送部19はヘッドユニット18を所定の可動範囲内でX方向及びY方向に搬送するものである。ヘッド搬送部19はヘッドユニット18をX方向に往復移動可能に支持しているビーム19A、ビーム19AをY方向に往復移動可能に支持している一対のY軸ガイドレール19B、ヘッドユニット18をX方向に往復移動させるX軸サーボモータ19C、及び、ビーム19AをY方向に往復移動させるY軸サーボモータ19Dを備えている。
【0041】
3つの移載ヘッド20のうち移載ヘッド20A及び20Cは部品Eを吸着してワークWに搭載する搭載用として用いられるだけでなく、搬送治具2に搭載されているベース部材Bを吸着して作業位置Tに移載する移載用としても用いられる。すなわち、本実施形態では作業部(すなわち部品実装装置13)の一部であるヘッドユニット18及びヘッド搬送部19が移載部も兼ねている。
【0042】
(1-2-4)制御部
図5を参照して、制御部14について説明する。制御部14はCPU14A、ROM14B、RAM14C、インタフェース部14Dなどを備えている。制御部14はインタフェース部14Dを介して搬送装置11、部品供給装置12及び部品実装装置13と接続されている。CPU14AはROM14Bに記憶されている制御プログラムを実行することによってこれらの装置を制御する。
制御部14はCPU14Aに替えて、あるいはCPU14Aに加えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備えていてもよい。
【0043】
(2)ワークの移載及び実装作業
図1を参照して、ワークWの移載及び実装作業について説明する。詳しくは後述するが、ワークWの移載及び実装作業には以下の3つのパターンがある。
【0044】
パターン1:上流側の停止位置S1に停止している搬送治具2に搭載されているワークWを作業位置Tに移載し、実装作業が終わったワークWを上流側の停止位置S1に停止している搬送治具2に移載する。
パターン2:上流側の停止位置S1に停止している搬送治具2に搭載されているワークWを作業位置Tに移載し、実装作業が終わったワークWを、当該ワークWに対する実装作業が行われている間に下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2に移載する。
パターン3:下流側の停止位置S2に停止している搬送治具2に搭載されているワークWを作業位置Tに移載し、実装作業が終わったワークWを下流側の停止位置S2に停止している搬送治具2に移載する。
【0045】
以下、ワークWの移載及び実装作業について、パターン1を例に説明する。制御部14は、上流側の停止位置S1に固定されている搬送治具2の上方にヘッドユニット18を移動させ、ワークWが固定されているベース部材Bを2本の移載ヘッド20A及び20Cによって2か所で吸着する。そして、制御部14はベース部材Bを保持部17Dの上方に移動させ、保持部17Dにベース部材Bを保持させる。これによりワークWが作業位置Tに移載される。
【0046】
次に、制御部14はロボット17を制御して、ワークWにおいて部品Eが実装される面である実装面が水平になるようにワークWの向きを調整するとともに、ワークWの上下方向の位置を調整する。そして、制御部14はワークWの実装面に向けて塗布ヘッド21を下降させつつヘッド先端から半田ペーストを吐出させる。これによりワークWの実装面に半田ペーストが塗布させる。
【0047】
次に、制御部14はヘッドユニット18を部品供給装置12の上方に移動させ、移載ヘッド20A~20Cを下降させて部品Eを吸着させる。そして、制御部14はヘッドユニット18をワークWの上方に移動させ、移載ヘッド20A~20Cを順に下降させてワークWの実装面に部品Eを搭載させる。
【0048】
制御部14は、ワークWに部品Eが搭載された後、移載ヘッド20A及び20Cを下降させてベース部材Bを吸着させる。そして、制御部14は保持部17Dによるベース部材Bの保持を解除させ、ヘッドユニット18を上流側の搬送治具2の上方に移動させる。そして、制御部14は移載ヘッド20A及び20Cを下降させてベース部材Bを上流側の搬送治具2の元の位置に移載させる。
【0049】
(3)搬送治具の搬送
搬送治具の搬送について、2つの例を挙げて説明する。
【0050】
(例1)
図6を及び図7を参照して、例1について説明する。図6において点線25はヘッドユニット18の可動範囲を示している。例1では上流側の停止位置S1に搬送された搬送治具2に搭載されている全てのワークW、及び、下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2に搭載されている全てのワークWがヘッドユニット18の可動範囲内となる。ワークW1~W6は第1種のワークの一例である。
【0051】
図6では上流側の停止位置S1に搬送された搬送治具2A(第1の搬送治具の一例)に搭載されているワークWのうち1番のワークW1~5番のワークW5については既に実装作業が終わっており、最後のワークWである6番のワークW6が作業位置Tに移載された状態を示している。
図7は6番のワークW6に実装作業が行われている状態である。上流側の停止位置S1に停止していた搬送治具2Aは、6番のワークW6に実装作業が行われている間に下流側の停止位置S2に搬送される。これと並行して、前工程から送り出された次の搬送治具2B(第2の搬送治具の一例)が上流側の停止位置S1に搬送される。6番のワークW6は実装作業が終わると下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2Aの元の位置に移載される(すなわち搬送治具2Aの元の位置に戻される)。
【0052】
ここでは6番のワークW6(すなわち最後のワークW)に実装作業が行われている間に搬送治具2Aが下流側の停止位置S2に搬送される場合を例に説明したが、これは一例である。全てのワークWが上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となる場合は、搬送治具2AはいずれのワークWに実装作業が行われている間に下流側の停止位置S2に搬送されてもよい。
【0053】
例えば、3番のワークW3に対する実装作業が行われている間に搬送治具2Aを下流側の停止位置S2に搬送するとした場合、1番のワークW1及び2番のワークW2については上流側の停止位置S1に停止している搬送治具2Aから作業位置Tに移載され、実装作業が終わると上流側の停止位置S1に停止している当該搬送治具2Aの元の位置に移載される(パターン1)。
【0054】
3番のワークW3は上流側の停止位置S1に停止している搬送治具2から作業位置Tに移載され、3番のワークW3に対する実装作業が行われている間に搬送治具2Aが下流側の停止位置S2に搬送される。実装作業が終わった3番のワークW3は下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2Aの元の位置に移載される(パターン2)。
4番のワークW4から6番のワークW6については下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2Aから作業位置Tに移載され、実装作業が終わると下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2Aの元の位置に移載される(パターン3)。
【0055】
(例2)
図8を参照して、例2について説明する。図8において点線26はヘッドユニット18の可動範囲を示している。例2では一部のワークW(すなわち3番のワークW3及び4番のワークW4、第1種のワークの一例)だけが上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となっている。
【0056】
具体的には、上流側の停止位置S1では1番のワークW1から4番のワークW4がヘッドユニット18の可動範囲内であるが、5番のワークW5及び6番のワークW6は可動範囲外となっている。一方、下流側の停止位置S2では3番のワークW3から6番のワークW6がヘッドユニット18の可動範囲内であるが、1番のワークW1及び2番のワークW2は可動範囲外となっている。
【0057】
例2の場合は、上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となるワークW(すなわち3番のワークW3及び4番のワークW4)のうちいずれか一つのワークWが作業位置Tに移載されて実装作業が行われている間に搬送治具2が下流側の停止位置S2に搬送される。当該一つのワークWは実装作業が終わると下流側の停止位置S2に搬送された搬送治具2の元の位置に移載される(パターン2)。
【0058】
上流側の停止位置S1ではヘッドユニット18の可動範囲内であるが下流側の停止位置S2では可動範囲外となるワークW(すなわち1番のワークW1及び2番のワークW2、第2種のワークの一例)、及び、上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となるワークW(3番のワークW3及び4番のワークW4)のうち上述した一つのワークWより先に移載されるワークW(例えば上述した一つのワークWが4番のワークW4である場合は3番のワークW3)については、搬送治具2が上流側の停止位置S1に停止しているときに作業位置Tに移載され、実装作業が終わると上流側の停止位置S1に停止している搬送治具2の元の位置に移載される(パターン1)。
【0059】
上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2において移載ヘッドの可動範囲内となるワークW(3番のワークW3及び4番のワークW4)のうち上述した一つのワークWより後に移載されるワークW(例えば上述した一つのワークWが3番のワークW3である場合は4番のワークW4)、及び、上流側の停止位置S1では移載ヘッドの可動範囲外であるが下流側の停止位置S2では可動範囲内となるワークW(すなわち5番のワークW5及び6番のワークW6、第3種のワークの一例)については、搬送治具2が下流側の停止位置S2に搬送された後、下流側の停止位置S2に停止している搬送治具2から作業位置Tに移載され、実装作業が終わると下流側の停止位置S2に停止している搬送治具2の元の位置に移載される(パターン3)。
【0060】
(4)制御処理
図9を参照して、制御部14によって実行される制御処理について説明する。以下に説明する制御処理は前述した例1及び例2のどちらにも適用できる。
以下の説明では、上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となるワークWが複数ある場合は、それらのワークWのうち最初に実装作業が行われるワークW(すなわちそれらのワークWのうち番号が最も小さいワークW)に対する実装作業が行われている間に搬送治具2を下流側の停止位置S2に搬送するものとする。
【0061】
S101では、制御部14は前工程から送り出された搬送治具2(以下、「対象治具2」という)を上流側の停止位置S1に搬送し、固定部を制御して上流側の停止位置S1に固定する。
S102では、制御部14は対象治具2に搭載されているワークWのうち未だ実装作業が行われていないワークWの中で番号が最も小さいワークWを作業位置Tに移載する。
【0062】
S103では、制御部14は部品実装装置13を制御して、作業位置Tに移載されたワークWに対する実装作業を開始する。
S104では、制御部14は作業位置Tに移載したワークWが、上流側の停止位置S1に停止している対象治具2から移載したものであるか否かを判断し、上流側の停止位置S1に停止している対象治具2から移載したものである場合はS105に進み、下流側の停止位置S2に搬送された対象治具2から移載したものである場合はS107に進む。
【0063】
S105では、制御部14は、上流側の停止位置S1に停止している対象治具2において現在作業が行われているワークWが搭載されていた位置が、対象治具2を下流側の停止位置S2に搬送した場合にヘッドユニット18の可動範囲内であるか否かを判断し、可動範囲内である場合はS106に進み、可動範囲内ではない場合(すなわち可動範囲外である場合)はS107に進む。
【0064】
S106では、制御部14は上流側の停止位置S1に停止している対象治具2の固定を解除する。下流側の停止位置S2に先行する別の搬送治具2が停止している場合は、制御部14は別の搬送治具2の固定も解除する。
そして、制御部14は対象治具2を下流側の停止位置S2に搬送させる。このとき、先行する別の搬送治具2が後工程に搬出されるとともに、前工程から送り出された次の搬送治具2が上流側の停止位置S1に搬送される。ただし、対象治具2が最後の搬送治具2である場合は次の搬送治具2は搬送されない。
そして、制御部14は上流側の停止位置S1に搬送した搬送治具2及び下流側の停止位置S2に搬送した搬送治具2をそれぞれ固定部によって固定する。
【0065】
S107では、制御部14は作業位置Tに移載されたワークWに対する実装作業が完了するまで待機し、実装作業が完了するとS108に進む。
S108では、制御部14は作業位置TにあるワークWを対象治具2の元の位置に移載する。
S109では、制御部14は対象治具2に搭載されている全てのワークWについて実装作業が行われたか否かを判断し、全てのワークWについて実装作業が行われた場合はS110に進み、まだ実装作業が行われていないワークWがある場合はS102に戻って処理を繰り返す。
【0066】
S110では、制御部14は上流側の停止位置S1に次の搬送治具2が固定されているか否かを判断し、固定されている場合は次の搬送治具2を対象治具2とし、S102に戻って処理を繰り返す。上流側の停止位置S1に次の搬送治具2が固定されていない場合は、制御部14はS111に進む。
S111では、制御部14は下流側の停止位置S2に停止している対象治具2の固定を解除し、後工程に搬出する。
【0067】
(5)実施形態の効果
実施形態1に係る表面実装機1によると、搬送治具2に搭載されているワークWのうち最後に実装作業が行われるワークW(以下、最後のワークWという)に対する実装作業が終わって最後のワークWが当該搬送治具2に移載されたとき(すなわち最後のワークWが元の搬送治具2に戻されたとき)、既に次の搬送治具2が上流側の停止位置S1に搬送されている。このため、最後のワークWを搬送治具2(ここでは元の搬送治具2)に移載してから次の搬送治具2が停止位置に搬送されてくるまでの待ち時間を短縮できる。これにより、単位時間当たりに実装作業が可能なワークWの数を増やすことができる。よって表面実装機1によると、順に搬送されてくる搬送治具2に搭載されているワークWを作業位置Tに移載し、作業位置Tで実装作業が行われたワークWを搬送治具2に移載する場合の作業効率を向上させることができる。
【0068】
更に、表面実装機1によると、上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となるワークWに実装作業が行われている間に搬送治具2を下流側の停止位置に搬送させるので、そのワークWが作業位置Tに移載されて実装作業が行われている間に搬送治具2が下流側の作業位置Tに搬送されても、そのワークWを元の搬送治具2に移載できる。
【0069】
更に、表面実装機1によると、上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となるワークWと、上流側の停止位置S1ではヘッドユニット18の可動範囲内であるが下流側の停止位置S2では可動範囲外となるワークWとが一の搬送治具2に搭載されている場合に、いずれのワークWについても作業位置Tに移載させ、実装作業が行われた後にその搬送治具2に移載させること(すなわち元の搬送治具2に戻すこと)ができる。
【0070】
更に、表面実装機1によると、上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となるワークWと、上流側の停止位置S1ではヘッドユニット18の可動範囲外であるが下流側の停止位置S2では可動範囲内となるワークWとが一の搬送治具2に搭載されている場合に、いずれのワークWについても作業位置Tに移載させ、実装作業が行われた後にその搬送治具2に移載させること(すなわち元の搬送治具2に戻すこと)ができる。
【0071】
<実施形態2>
次に、実施形態2を図10ないし図13によって説明する。
図10に示すように、実施形態2では搬送治具2の停止位置が1か所(停止位置S3)だけである。図10において搬送治具2Cは最初に停止位置S3に搬送される搬送治具2(第3の搬送治具の一例)であり、搬送治具2Dは次に停止位置S3に搬送される搬送治具2(第4の搬送治具の一例)である。搬送治具2はいずれも6個のワークWを搭載可能である。
【0072】
ただし、図10に示すように、最初に搬送される搬送治具2Cには6個のワークWが搭載されるが、次の搬送治具2D以降の搬送治具2は搭載されるワークWが5個であり、ワークWが搭載される6か所のうち1か所が空き領域Pとなっている。すなわち、次の搬送治具2D以降の搬送治具2にはワークWを搭載可能な空き領域Pが確保されている。
【0073】
図11では停止位置S3に搬送された最初の搬送治具2Cに搭載されているワークWのうち1番のワークW1~5番のワークW5については既に実装作業が終わっており、最後のワークWである6番のワークW6が作業位置Tに移載された状態を示している。
図12は6番のワークW6に実装作業が行われている状態である。停止位置S3に停止していた搬送治具2Cは、最後に実装作業が行われるワークW(すなわち6番のワークW6)が作業位置Tに移載されて実装作業が行われている間に表面実装機1から搬出される。このため、搬送治具2Cは5個のワークWが搭載されている状態で後工程に搬出される。そして、その間に次の搬送治具2Dが前工程から停止位置S3に搬送される。作業位置Tで実装作業が行われた最後のワークW(すなわち6番のワークW6)は、停止位置S3に搬送された次の搬送治具2Dの空き領域Pに移載される。
【0074】
(1)制御処理
図13を参照して、実施形態2に係る制御処理について説明する。
S201では、制御部14は搬送治具2(以下、「対象治具2」という)を前工程から停止位置S3に搬送し、固定部を制御して停止位置S3に固定する。
S202では、制御部14は対象治具2に搭載されているワークWのうち未だ実装作業が行われていないワークWの中で番号が最も小さいワークWを作業位置Tに移載する。
【0075】
S203では、制御部14は部品実装装置13を制御して、作業位置Tに移載されたワークWへの部品Eの実装を開始する。
S204では、制御部14は現在実装作業が行われているワークWが最後のワークW(最初に搬送される搬送治具2の場合は6番のワークW6、最初に搬送される搬送治具2より後に搬送される搬送治具2の場合は5番のワークW5)であるか否かを判断する。制御部14は、最後のワークWではない場合はS205に進み、最後のワークWである場合はS207に進む。
【0076】
S205では、制御部14は作業位置Tに移載されたワークWに対する実装作業が完了するまで待機し、実装作業が完了するとS206に進む。
S206では、制御部14は作業位置TにあるワークWを対象治具2の元の位置に移載する。制御部14はワークWを対象治具2に移載した後、S202に戻って処理を繰り返す。
【0077】
S207では、制御部14は次の搬送治具2があるか否かを判断し、ある場合はS208に進み、ない場合はS212に進む。
S208では、制御部14は停止位置S3に停止している対象治具2の固定を解除し、後工程に搬出する。
S209では、制御部14は前工程から送り出された次の搬送治具2を停止位置S3に搬送し、停止位置S3に固定する。
【0078】
S210では、制御部14は作業位置Tに移載されたワークWに対する実装作業が完了するまで待機し、実装作業が完了するとS211に進む。
S211では、制御部14は作業位置TにあるワークWを次の搬送治具2の空き領域Pに移載する。そして、制御部14は当該次の搬送治具2を対象治具2とし、S202に戻って処理を繰り返す。
【0079】
S212では、制御部14は作業位置Tに移載されたワークWに対する実装作業が完了するまで待機し、実装作業が完了するとS213に進む。
S213では、制御部14は作業位置TにあるワークWを対象治具2の元の位置に移載する。
S214では、制御部14は停止位置S3に停止している対象治具2の固定を解除し、後工程に搬出する。
【0080】
(2)実施形態の効果
実施形態2に係る表面実装機1によると、搬送治具2に搭載されているワークWのうち最後のワークWに対する実装作業が終わったとき、最後のワークWが搭載されていた元の搬送治具2は既に下流側に搬出されているが、次の搬送治具2が停止位置S3に搬送されているので、最後のワークWを次の搬送治具2の空き領域Pに移載することができる。このようにすると、最後のワークWを次の搬送治具2の空き領域Pに移載したとき、次の搬送治具2は既に停止位置S3に搬送されていることから、最後のワークWを搬送治具2(ここでは次の搬送治具2)に移載してから次の搬送治具2が停止位置S3に搬送されてくるまでの待ち時間を短縮できる。これにより、単位時間当たりに実装作業が可能なワークWの数を増やすことができる。よって表面実装機1によると、順に搬送されてくる搬送治具2に搭載されているワークWを作業位置Tに移載し、作業位置Tで実装作業が行われたワークWを搬送治具2に移載する場合の作業効率を向上させることができる。
【0081】
更に、実施形態2に係る表面実装機1によると、搬送治具2に複数のワークWが搭載されている場合は、搬送治具2に搭載されているワークWのうち最後のワークWに実装作業が行われている間に搬送治具2を下流側に搬出させるので、搬送治具2に搭載されている全てのワークWについて実装作業を行うことができる。
【0082】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0083】
(1)上記実施形態では所定の作業として実装作業を例に説明したが、所定の作業は実装作業に限られない。所定の作業は適宜に決定することができる。
【0084】
(2)上記実施形態では一つの搬送治具2に6個のワークWが搭載されている場合を例に説明したが、一つの搬送治具2に搭載されるワークWの数は6個に限られるものではなく、例えば1個であってもよい。
【0085】
(3)上記実施形態では作業部の一部であるヘッドユニット18及びヘッド搬送部19が移載部も兼ねているが、表面実装機1は移載部と作業部とを別構成として備えてもよい。
【0086】
(4)上記実施形態1では、S104において、現在作業が行われているワークWが上流側の停止位置S1に停止している対象治具2から移載したものであるか否かを判断し、上流側の停止位置S1に停止している対象治具2から移載したものである場合は、S105において、現在作業が行われているワークWが搭載されていた位置が、対象治具2を下流側の停止位置S2に搬送した場合にヘッドユニット18の可動範囲内であるか否かを判断し、可動範囲内である場合にS106に進んで対象治具2を下流側の停止位置S2に搬送する場合を例に説明した。
これに対し、上流側の停止位置S1及び下流側の停止位置S2においてヘッドユニット18の可動範囲内となるワークWのうちどの番号のワークWに対する実装作業が行われている間に搬送治具2を下流側の停止位置S2に搬送するかを予め決めておき、現在作業が行われているワークWの番号が予め決められている番号である場合にS106に進んでもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…表面実装機(作業装置の一例)、2…搬送治具、2A…搬送治具(第1の搬送治具の一例)、2B…搬送治具(第2の搬送治具の一例)、2C…搬送治具(第3の搬送治具の一例)、2D…搬送治具(第4の搬送治具の一例)、11…搬送装置(搬送部の一例)、13…部品実装装置(移載部及び作業部の一例)、14…制御部、18…ヘッドユニット(移載部及び作業部の一例)、19…ヘッド搬送部(移載部及び作業部の一例)、25…可動範囲、26…可動範囲、G…搬送経路、P…空き領域、S1…上流側の停止位置(第1の停止位置の一例)、S2…下流側の停止位置(第2の停止位置の一例)、S3…停止位置、T…作業位置、W…ワーク、W1…1番のワーク(第1のワークの一例、図6に示す1番のワークは第1種のワークの一例、図8に示す1番のワークは第2種のワークの一例、)、W2…2番のワーク(第2のワークの一例、図6に示す2番のワークは第1種のワークの一例、図8に示す2番のワークは第2種のワークの一例)、W3…3番のワーク(第1種のワークの一例)、W4…4番のワーク(第1種のワークの一例)、W5…5番のワーク(図6に示す5番のワークは第1種のワークの一例、図8に示す5番のワークは第3種のワークの一例)、W6…6番のワーク(図6に示す6番のワークは第1種のワークの一例、図8に示す6番のワークは第3種のワークの一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13