(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】ドアウェザストリップ
(51)【国際特許分類】
B60J 10/36 20160101AFI20220706BHJP
B60J 10/18 20160101ALI20220706BHJP
B60J 10/21 20160101ALI20220706BHJP
B60J 10/23 20160101ALI20220706BHJP
B60J 10/86 20160101ALI20220706BHJP
B60J 5/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
B60J10/36
B60J10/18
B60J10/21
B60J10/23
B60J10/86
B60J5/00 Z
(21)【出願番号】P 2018183109
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】岩田 和也
(72)【発明者】
【氏名】森 紘亮
(72)【発明者】
【氏名】千葉 健二
(72)【発明者】
【氏名】山中 善陽
(72)【発明者】
【氏名】大西 敦
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-34385(JP,A)
【文献】特開2011-183912(JP,A)
【文献】特開平7-186724(JP,A)
【文献】特開2016-135645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0021708(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 10/00 - 10/90
B60R 13/06
B60J 5/00 ; 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア上辺部のサッシュに組付けられる第1ウェザストリップと、
ドア縦辺部のフランジに組付けられる第2ウェザストリップとを別体に作製してドア周縁に組付けるドアウェザストリップであって、
前記サッシュの端部には、モールエンドキャップが組付けられ、
前記第2ウェザストリップは、前記モールエンドキャップに固定される固定部と、
前記固定部よりも上端に近い部分には係合部を有し、
前記第2ウェザストリップは、前記固定部において、前記モールエンドキャップにクリップで固定されるとともに、
前記第2ウェザストリップの前記係合部は、前記モールエンドキャップに形成されたモールエンドキャップ爪部若しくは/及び前記第1ウェザストリップの端部に形成された第1ウェザストリップ爪部に係合して固定されることを特徴とするドアウェザストリップ。
【請求項2】
前記第1ウェザストリップは、本体部と前記第2ウェザストリップと係合する接続部を有し、前記本体部は、リップ部と基底部を有し、前記接続部は、前記本体部の前記基底部に比較して硬度が低くなっている請求項1に記載のドアウェザストリップ。
【請求項3】
前記第1ウェザストリップの前記接続部には、樹脂製のインサートを有する請求項2に記載のドアウェザストリップ。
【請求項4】
前記第1ウェザストリップは、前記接続部において、前記ドア上辺部の前記サッシュにクリップで固定される請求項2または請求項3に記載のドアウェザストリップ。
【請求項5】
前記ドアの材質は、アルミ合金である請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のドアウェザストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアの上辺部のサッシュと、縦辺部のフランジに組付けられるドアウェザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11に示すように、自動車100のリヤドア300と車体開口部周縁との間のシールは、ドアフレーム等の外周に組付けられるドアウェザストリップ500と車体開口部周縁のフランジに組付けられるオープニングトリムウエザストリップ510によりなされる。 また、ドアガラス400とリヤドア300との間のシールは、ドアフレームの内周のチャンネルに組付けられるガラスラン520によってなされる。なお、フロントドア200とフロントドア200の車体開口部周縁との間のシールも上記と同じ部材が使用される。
【0003】
さらに、リヤドア300のドア上辺部310には、車体開口部の上部とドア上辺部310の間をシールする第1ドアウェザストリップ600が組付けられ、前側のドア縦辺部320のベルトラインより上側には、リヤドア300を閉めたときに、フロントドア200の後側の縦辺部210の車内側に当接してリヤドア300の前側のドア縦辺部320とフロントドア200の後側の縦辺部210の間をシールする第2ドアウェザストリップ700が組付けられている。第1ドアウェザストリップ600と第2ドアウェザストリップ700は、車外からの騒音の車内への進入を抑制し、車内の静粛性を向上するために装着される。なお、
図11において、第1ドアウェザストリップ600の前側端部と第2ドアウェザストリップ700の上側端部、すなわち、リヤドア300の前側上部のコーナー部は、接続されていない。
【0004】
ところで、上記のドアウェザストリップ500、第1ドアウェザストリップ600と第2ドアウェザストリップ700においては、ドア周縁のコーナー部に組付けられた部分で位置ズレが起き易いという問題がある。そこで、特許文献1では、ドアウェザストリップに関し、
図12に示すように、ドアパネル800の上端縁に外向きに形成した水平フランジ810に型成形ウエルト部820を嵌着し、鉛直端面当接部830を鉛直サッシュ部840に当接させ、クリップ900により固定するようにした、ウェザストリップのコーナー部であって、型成形ウエルト部820に埋設するインサート水平部860に、ウエルト部820のコーナー端部から鉛直端面当接部830に亙って埋設するインサート鉛直部870を一体に結合し、クリップ900で鉛直サッシュ部840に固定することにより、型成形ウエルト部820の剛性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
第1ドアウェザストリップ600と第2ドアウェザストリップ700については、ドア周縁のコーナー部に組付けられた部分における位置ズレを改善しつつ、さらなるNV(騒音振動)性能の改善のため、第2ドアウェザストリップ700をドア縦辺部320の下部まで延長すること、また、下部まで延長した前側のドア縦辺部320の第2ドアウェザストリップ700とドア上辺部310側の第1ドアウェザストリップ600を、リヤドア300の前側上部のコーナー部において、一体化したいというニーズがある。
【0007】
しかしながら、第1ドアウェザストリップ600の前側端部と第2ドアウェザストリップ700の上側端部を単に重ね合わせる、若しくは第2ドアウェザストリップ700の上端の第1ドアウェザストリップ600側を2重構造として、第1ドアウェザストリップ600の前側端部を挟む構造では、重ね合わせ部分に力が加わる、例えば、手で触れ、重ね合わせ部分に引っ張り応力が生じると重ね合わせ部分が剥がれる問題がある。
【0008】
また、下部まで延長した第2ドアウェザストリップ700と第1ドアウェザストリップ600を一体成型する方法では、車両への組付け作業時に取り回しが非常に悪くなるという問題がある。なお、一体成形のみでは、コーナー部に組付けられた部分で位置ズレの課題は依然として解消されない。
【0009】
一方、上記の特許文献1の取付構造では、特に、ドアの材質がアルミ合金である場合、前側のドア縦辺部のフランジにおいてクリップ取付孔を形成する場合の加工性が悪く、クリップによる固定を適用した場合でも、ドアウェザストリップを固定する力の向上が難しいという問題がある。
【0010】
これは、アルミ合金は、鋼材と比較して、材料の伸び、n値、γ値、ヤング率が低いため、従来の鋼板では成形可能な形状でも、割れ、しわ、形状凍結性(スプリングバック)などの問題の発生する場合があり、鋼板と同様な成形が難しいからである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、請求項1の本発明は、ドア上辺部のサッシュに組付けられる第1ウェザストリップと、ドア縦辺部のフランジに組付けられる第2ウェザストリップとを別体に作製してドア周縁に組付けて一体化するドアウェザストリップであって、サッシュの端部には、モールエンドキャップが組付けられ、第2ウェザストリップは、モールエンドキャップに固定される固定部と、固定部よりも上端に近い部分には係合部を有し、第2ウェザストリップは、固定部において、モールエンドキャップにクリップで固定されるとともに、第2ウェザストリップの係合部は、モールエンドキャップに形成されたモールエンドキャップ爪部若しくは/及び第1ウェザストリップの端部に形成された第1ウェザストリップ爪部に係合して固定されることを特徴とするドアウェザストリップである。
【0012】
請求項1の本発明では、ドア上辺部のサッシュに組付けられる第1ウェザストリップと、ドア縦辺部のフランジに組付けられる第2ウェザストリップとを別体に作製し、第2ウェザストリップは、モールエンドキャップに固定される固定部と、固定部よりも上端に近い部分には係合部を有し、第2ウェザストリップは、固定部において、モールエンドキャップにクリップで固定されるとともに、第2ウェザストリップの係合部は、モールエンドキャップに形成されたモールエンドキャップ爪部若しくは/及び第1ウェザストリップの端部に形成された第1ウェザストリップ爪部に係合して固定されるので、フランジよりも加工のしやすいモールエンドキャップに取付孔を形成して固定することで、ドアと第2ドアウェザストリップの間の固定力を向上させることができる。
【0013】
また、第2ウェザストリップにおいて、モールエンドキャップにクリップ止めされた位置より上端側で第1ウェザストリップと係合されるので、第1ドアウェザストリップと第2ウェザストリップの間の固定力を向上させることができる。したがって、ドアと第1ドアウェザストリップと第2ウェザストリップの間の固定力を向上させることができ、ドアのコーナー部に組付けられた部分における位置ズレの問題を解消することができる。
【0014】
さらに、ドア上辺部のサッシュに組付けられる第1ウェザストリップと、ドア縦辺部のフランジに組付けられる第2ウェザストリップとを別体に作製し、それを上記により係合することで一体化できるので、ドア縦辺部の下部まで延長した第2ウェザストリップを使用する場合でも、車両への組付け作業時の取り回しが改善される。
【0015】
請求項2の本発明は、第1ウェザストリップは、本体部と第2ウェザストリップと係合する接続部を有し、本体部は、リップ部と基底部を有し、接続部は、本体部の基底部に比較して硬度が低くなっている第1ウェザストリップである。
【0016】
請求項2の本発明では、第1ウェザストリップは、本体部と第2ウェザストリップと係合する接続部を有し、本体部は、リップ部と基底部を有し、接続部は、全体的に、本体部の基底部に比較して硬度が低くなっている、すなわち、柔らかい材料で形成されている。その結果、接続部を少し伸ばして作業することができるので、モールエンドキャップに固定された第2ウェザストリップの係合部に第1ウェザストリップ爪部を係合させて固定する場合や、第1ウェザストリップをドア上辺部のサッシュにクリップで固定する場合など位置を調整するときの作業性が向上する。また、本体部の基底部は、接続部に比較して硬度が高いので、伸びにくく、サッシュに組付けたときに外れにくい。
【0017】
請求項3の本発明は、第1ウェザストリップの接続部には、樹脂製のインサートを有するドアウェザストリップである。請求項3の本発明では、第1ウェザストリップの接続部には、樹脂製のインサートを有するので、第2ウェザストリップの係合部を第1ウェザストリップ爪部に係合して固定する場合や、第1ウェザストリップをドア上辺部のサッシュにクリップで固定する場合の作業性を維持しつつ、接続部の硬度も確保することができる。その結果、接続部に力が加わった場合も、接続部の変形を抑制し、コーナー部における位置ズレを防止することができる。
【0018】
請求項4の本発明は、第1ウェザストリップは、接続部において、ドア上辺部のサッシュにクリップで固定されるドアウェザストリップである。請求項4の本発明では、第1ウェザストリップは、接続部において、ドア上辺部のサッシュにクリップで固定されるので、第1ウェザストリップとドアとの固定を確実に、且つ簡便に行うことができる。
【0019】
請求項5の本発明は、ドアの材質は、アルミ合金であるドアウェザストリップである。ここで、ドアの材質のアルミ合金とは、アルミニウム(Al)にシリコン(Si)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)等が~数%程度含まれている合金を言い、代表的なアルミ合金としては、2000系(Al-Cu系)、5000系(Al-Mg系)、6000系(Al-Mg-Si系)などがある。
【0020】
請求項5の本発明では、ドアの材質は、アルミ合金であるので、ドア縦辺部のフランジには直接加工を行わず、第2ウェザストリップについては、フランジよりも加工のしやすいモールエンドキャップにクリップの取付孔を形成し、クリップによって固定し、さらに、第1ウェザストリップをドア上辺部のアルミ合金のサッシュにクリップで固定することにより、ドアウェザストリップとドアの間の固定を確実に行うことができる。したがって、ドアの材質がアルミ合金である場合であっても、コーナー部における位置ズレを防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
第2ウェザストリップは、固定部において、モールエンドキャップにクリップで固定されるとともに、第2ウェザストリップの係合部は、モールエンドキャップに形成されたモールエンドキャップ爪部若しくは/及び第1ウェザストリップの端部に形成された第1ウェザストリップ爪部に係合して固定されるので、ドアと第2ドアウェザストリップの間の固定力を向上させることができる。
【0022】
第2ウェザストリップは、モールエンドキャップにクリップ止めされた位置より上端側で第1ウェザストリップと係合されるので、ドアと第1ドアウェザストリップと第2ウェザストリップの間の固定力を向上させることができ、ドアのコーナー部に組付けられた部分における位置ズレの問題を解消することができる。また、第1ウェザストリップと第2ウェザストリップを簡便に一体化することができる。
【0023】
第1ウェザストリップは、本体部と第2ウェザストリップと係合する接続部を有し、接続部は、本体部に比較して硬度が低くなっているので、接続部を少し伸ばして作業することができ、モールエンドキャップに固定された第2ウェザストリップの係合部を第1ウェザストリップ爪部に係合して固定する場合や、第1ウェザストリップをドア上辺部のサッシュにクリップで固定する場合などの位置を調整する場合の作業性が向上する。
さらに、接続部には、樹脂製のインサートを有するので、左記の作業性を維持しつつ、接続部の硬度も確保することができ、接続部に力が加わった場合も、接続部の変形を抑制し、第2ウェザストリップの位置ズレを防止することができる。
【0024】
第1ウェザストリップは、接続部において、ドア上辺部のサッシュにクリップで固定されるので、ドアウェザストリップとドアとの固定を確実に、且つ簡便におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に用いる自動車のリヤドアを車内側から見た図である。
【
図2】本発明の実施形態に用いる第1ウェザストリップの側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に用いる第1ウェザストリップの要部拡大図であり、車内側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に用いる第1ウェザストリップの要部拡大図であり、車外側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に用いる第2ウェザストリップの側面図であり、(a)は全体図、(b)は(a)のC部の拡大図である。
【
図6】本発明の実施形態に用いる第2ウェザストリップのA-A断面図である。
【
図7】本発明の実施形態に用いる第2ウェザストリップのB-B断面図である。
【
図8】本発明の実施形態に用いる第1ウェザストリップと第2ウェザストリップをドアに組付けたときの側面図である。
【
図9】
図8におけるX-X断面図であり、
図6と同じ位置に相当する断面図である。
【
図10】
図8におけるY-Y断面図であり、
図7と同じ位置に相当する断面図である。
【
図11】自動車のリヤドアを開けた時の車内側から見た図である。
【
図12】従来のウェザストリップのコーナー部の固定方法である(特許文献1)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態について
図1から
図10に基づき説明する。リヤドア3の材質は、アルミ合金である。なお、
図1から
図10は車両の右側のリヤドア3を示したものであるが、本実施形態は、左側のリヤドアについても適用できる。また、本実施形態はヒンジタイプのドアであるが、スライドタイプのドアにも適用できる。
【0027】
図1に示すように、自動車のリヤドア3と車体開口部周縁との間のシールは、ドアフレーム等の外周に組付けられるドアウェザストリップ5及び/または、車体開口部周縁のフランジに組付けられる図示しないオープニングトリムウエザストリップによりなされる。また、ドアガラス4とリヤドア3との間のシールは、ドアフレームの内周のチャンネルに組付けられるガラスラン7によってなされる。
【0028】
また、リヤドア3のドア上辺部31側には、リヤドア3を閉めたときに、ドア上辺部31と車体開口部の上部の間をシールする第1ウェザストリップ8が組付けられ、ドア縦辺部32側には、リヤドア3の前側のドア縦辺部32と図示しないフロンドアの後側縦辺部の車内側に当接してリヤドア3の前側のドア縦辺部32とフロンドアの後側縦辺部をシールする第2ウェザストリップ9が組付けられている。なお、第2ウェザストリップ9は、リヤドア3の前側のドア縦辺部32の全域に渡って形成され、組付けられる。
【0029】
まず、本発明の実施形態に使用する第1ウェザストリップ8について、
図1から
図4に基づいて説明する。第1ウェザストリップ8は、
図2に示すように、接続部81と本体部82から構成される。形状はリヤドア3のドア上辺部31の形状に沿っており、
図1に示すように、リヤドア3のドア上辺部31の車内側に組付けられる。また、
図3と
図4に示すように、本体部82は、基底部87とリップ83を有しており、接続部81、本体部82に形成されたリップ83は、車体開口部の上部に当接し、車体開口部の上部と第1ウェザストリップ8の間をシールする。
【0030】
本体部82の基底部87は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)のソリッドゴム、接続部81は、本体部82より軟質であるEPDMのスポンジゴムを使用した。また、接続部81と本体部82のリップ83は、EPDMのスポンジゴムを使用した。
【0031】
図2と
図3に示すように、接続部81は、本体部82から連続して形成されており、車内側から見たときに、前側端部が下側に突き出た形状になっており、また、断面は、逆さL字状である。そして、前側端部には、後述する第2ウェザストリップ9の第1係合腕92を固定するための第1ウェザストリップ爪部84が形成されている。
【0032】
また、接続部81には、第1ウェザストリップ8をリヤドア3のドア上辺部31のサッシュに突出して形成された接続部取付部30の取付孔33にクリップ10で固定するための取付孔85が形成されている。なお、本体部82の基底部87は、リヤドア3のドア上辺部31のサッシュに組付けられる。
【0033】
さらに、
図4に示すように、取付孔85を含む接続部81には、接続部81の逆L字状の断面と同様の逆L字状に樹脂製のインサート86が埋設されている。樹脂製のインサート86は、ナイロン(6,6-ナイロン)を使用した。ナイロンは融点が高いので、成形時に変形しない利点を有している。インサート86は、成形時に変形しない材料であれば、ナイロンには限られない。また、インサート86は、第1ウェザストリップ8の内部に埋設されていてもよいし、第1ウェザストリップ8の車外側において、部分的に露出していてもよい。なお、接続部81の形状や厚さ、使用する材料等によっては、樹脂製のインサート86を省略してもよい。
【0034】
次に、本発明の実施形態に使用する第2ウェザストリップ9について、
図1と
図5から
図7に基づいて説明する。第2ウェザストリップ9は、リヤドア3の前側のドア縦辺部32の形状に沿った形状でドア縦辺部32全域に組付けられる。第2ウェザストリップ9には、図示しないフロンドアの後側縦辺部の車内側に当接するリップ91が形成されている。第2ウェザストリップ9において、
図5のCの領域で第1ウェザストリップ8と一体化される。第2ウェザストリップ9は、全体をEPDM(エチレンプロピレンゴム)のソリッドゴムを使用した。
【0035】
図6(
図5(b)における第2ウェザストリップ9のA-A断面図)に示すように、第2ウェザストリップ9の上側先端部より下側であって、第1ウェザストリップ8と一体化される部分には、モールエンドキャップ34に固定される固定部94が形成され、固定部94には、取付孔95が形成されている。
【0036】
図7(
図5(b)における第2ウェザストリップ9のB-B断面図)に示すように、第2ウェザストリップ9の上側先端部には、第1ウェザストリップ爪部84と係合する第1係合腕92とモールエンドキャップ34のモールエンドキャップ爪部35と係合する第2係合腕93が形成されている。
【0037】
また、第2ウェザストリップ9の第1ウェザストリップ8と一体化される以外の部分は、
図5(b)に示すように、ドア縦辺部32のフランジに第2ウェザストリップ9をと組付けるための車内側側壁96と車外側側壁97、車内側側壁96と車外側側壁97の先端部に当接リップ98が形成されている。
【0038】
次に、第1ウェザストリップ8と第2ウェザストリップ9をリヤドア3に組付ける場合について、
図8から
図10に基づいて説明する。 まず、リヤドア3のドア上辺部31に形成されているモールの前側の先端部にモールエンドキャップ34を組付ける。
図10に示すように、モールエンドキャップ34には、第2ウェザストリップ9の第2係合腕93と係合して第2係合腕93を固定するモールエンドキャップ爪部35が形成されている。また、
図9に示すように、第2ウェザストリップ9の固定部94をクリップ10で固定するための固定腕36が形成されている。固定腕36にはクリップ10が貫通する取付孔37が形成されている。
【0039】
モールエンドキャップ34は樹脂製であり、本実施形態では、硬質樹脂のPP(ポリプロピレン)を用いた。なお、硬質樹脂であれば、他の樹脂を使用してもよい。
【0040】
次に、第2ウェザストリップ9の固定部94に形成されている取付孔95をモールエンドキャップ34の固定腕36の取付孔37の位置に合せ、第2ウェザストリップ9側からクリップ10を挿入し、モールエンドキャップ34と第2ウェザストリップ9を固定する。
【0041】
また、第2ウェザストリップ9の上側先端部に形成されている第2係合腕93をモールエンドキャップ34のモールエンドキャップ爪部35と係合させる。その後、第2ウェザストリップ9の他の部分に形成された車内側側壁96、車外側側壁97と当接リップ98をドア縦辺部32のフランジに挿入し、リヤドア3への第2ウェザストリップ9の装着が完了する。
【0042】
次に、第1ウェザストリップ8の本体部82の基底部87を、リヤドア3のドア上辺部31のサッシュに組付ける。そして、
図10に示すように、第1ウェザストリップ8の接続部81を第2ウェザストリップ9およびモールエンドキャップ34に被せる。このとき、第2ウェザストリップ9の上側先端部に形成されている第1係合腕92と第1ウェザストリップ8の接続部81に形成した第1ウェザストリップ爪部84とを係合させる。
【0043】
そして、第1ウェザストリップ8の取付孔85と、サッシュに突出して形成された第1ウェザストリップ8の接続部取付部30の取付孔33の位置を合わせ、クリップ10で固定することにより、リヤドア3への第1ウェザストリップ8の装着が完了する。その後に、リヤドア3と車体開口部周縁との間をシールし、ドアフレームの外周に組付けられるドアウェザストリップ5を装着する。
【0044】
なお、上記の実施形態では、第2ウェザストリップ9は、モールエンドキャップ34に形成したモールエンドキャップ爪部35と第1ウェザストリップ8の接続部81に形成した第1ウェザストリップ爪部84の両方に係合させたが、どちらか一方と係合させた場合であってもよい。第2ウェザストリップ9は、下部において、モールエンドキャップ34の固定腕36にクリップ10で固定されるので、上部先端部において係合させることにより、上下2カ所で固定されることになり、位置ズレを防止することができるからである。
【0045】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0046】
例えば、本実施形態における第1ウェザストリップ8は、ドアフレーム等の外周に組付けられるドアウェザストリップ5とは別に形成したが、一体に成形して形成してもよい。
【0047】
本実施形態における第2ウェザストリップ9は、全体をEPDM(エチレンプロピレンゴム)のソリッドゴムを使用したが、例えば、ベルトラインより下の部分をEPDMのスポンジゴムとしてもよい。
【0048】
例えば、第1ウェザストリップ8と第2ウェザストリップ9は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)で形成したが、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)で形成してもよい。
【符号の説明】
【0049】
3 リヤドア
5 ウェザストリップ
31 ドア上辺部
32 ドア縦辺部
33 取付孔
34 モールエンドキャップ
35 モールエンドキャップ爪部
36 固定腕
37 取付孔
8 第1ウェザストリップ
81 接続部
82 本体部
83 リップ
84 第1ウェザストリップ爪部
85 取付孔
86 インサート
87 基底部
9 第2ウェザストリップ
91 リップ
92 第1係合腕
93 第2係合腕
94 固定部
95 取付孔
96 車内側側壁
97 車外側側壁
98 当接リップ