(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】取替ヘッド及び取替ヘッドを含む口腔ケア用具
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20220706BHJP
A46B 3/22 20060101ALI20220706BHJP
A46B 5/00 20060101ALI20220706BHJP
A46B 9/04 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A61C17/22 C
A46B3/22
A46B5/00 C
A46B9/04
(21)【出願番号】P 2018528612
(86)(22)【出願日】2016-11-28
(86)【国際出願番号】 US2016063830
(87)【国際公開番号】W WO2017095733
(87)【国際公開日】2017-06-08
【審査請求日】2019-11-28
(32)【優先日】2015-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002611
【氏名又は名称】コルゲート・パーモリブ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COLGATE-PALMOLIVE COMPANY
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】岡井 孝英
【審査官】関口 知寿
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/101300(WO,A1)
【文献】米国特許第08800093(US,B2)
【文献】韓国登録実用新案第20-0427125(KR,Y1)
【文献】韓国登録特許第10-1263260(KR,B1)
【文献】米国意匠特許発明第00632894(US,S)
【文献】特開2006-081760(JP,A)
【文献】特開2007-300986(JP,A)
【文献】実開平02-143036(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 1/00-17/08
A46D 1/00-99/00
A61C 17/22
A61C 17/24
A61C 17/26
A61C 17/28
A61C 17/30
A61C 17/32
A61C 17/34
A61C 17/36
A61C 17/38
A61C 17/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル部と取替ヘッドとを有する口腔ケア用具であって、
ハンドル部は、
第1端と第2端を有する把持部、
把持部の第2端から延在し、封止された終端を有するステムキャビティを含むステム、
電源、
ステムキャビティ内に配置され、電源に動作可能に連結された振動源
を含み,
取替ヘッドは、
閉じられた上端部から開かれた下端部までの長手方向軸に沿って延びるスリーブキャビティを有し、開かれた下端部は、ステムに挿入可能であるスリーブ部、
前記スリーブ部の上端部に位置し、前記スリーブ部と共に剛性材料で構成されるヘッド部、
ヘッド部の後面からヘッド部の前面までヘッド部を貫通する通路、
ヘッド部に取り付けられ、ヘッド部の前面から延びる複数の剛毛房、
エラストマー材料で一体的に形成され、
(1)ヘッド部の後面に位置するエラストマーパッド部と、
(2)ヘッド部の前面から延びるエラストマー歯接触部材と、
(3)エラストマー歯接触部材とエラストマーパッド部とを結合する通路内のエラストマーアンカー部と、
(4)スリーブ部を全周して環状に延在し、その一部がエラストマーパッド部に接続され、環状の面に含まれる線(B-B)がスリーブキャビティの長手方向軸(A-A)に対して傾斜して配向されるように配置されたエラストマーリング部と、を備えたモノリシック塊、
を含み、
取替ヘッドは、
(1)取替ヘッドがハンドル部から分離された分離状態と、
(2)ハンドル部のステムが取替ヘッドのスリーブキャビティ内に配置され、振動源によって生成された振動エネルギーが剛毛房およびエラストマー歯接触部材に振動運動を与える結合状態と、
の間で状態変更し、
エラストマー歯接触部材は、ヘッド部の前面の2本の対角線上に位置する4つの周辺部分と、2本の対角線の交点に位置する中央部分に配置され、剛毛房は、ヘッド部の前面の残りの部分に配置されている、
ことを特徴とする口腔ケア用具。
【請求項2】
エラストマー材料で一体的に形成されたモノリシック塊は、
エラストマーパッド部の後面から延びる複数のエラストマー突起をさらに含み、結合状態では、振動源によって発生された振動エネルギーは、複数のエラストマー突起に振動運動を与える、請求項1に記載の口腔ケア用具。
【請求項3】
エラストマーリング部は、スリーブ部の外面に形成された環状窪み内に入れ子状に配置され、エラストマーリング部の外面は、スリーブ部の外面と同一な面に含まれる、請求項1~2のいずれか一項に記載の口腔ケア用具。
【請求項4】
前記ステムは、
ステムキャビティを含む本体部と、
取替ヘッドのスリーブ部の内面に係合するステムの第2端の係合部と、
を含み、
結合状態では、係合部とエラストマーリング部とが横方向に整列され、スリーブキャビティの長手方向軸に垂直な横断面が、ステムの係合部と取替ヘッドのエラストマーリング部の両方を横切る、請求項1~3のいずれか一項に記載の口腔ケア用具。
【請求項5】
ステムの係合部は、ステムの本体部の上面から延びるステム先端を備え、ステムの本体部の上面は、ステム先端を取り囲む環状の横方向の肩部を形成する、請求項4に記載の口腔ケア用具。
【請求項6】
取替ヘッドのスリーブ部の内面は、結合状態になるとステム本体部の上面に接触する環状の横方向の肩部を含む、請求項5に記載の口腔ケア用具。
【請求項7】
振動源は、ステムキャビティ内に回転可能に取り付けられた偏心体を備える、請求項5~6のいずれか一項に記載の口腔ケア用具。
【請求項8】
前記偏心体の上端は、前記ステム先端内に、または前記ステム先端に隣接して取り付けられる、請求項7に記載の口腔ケア用具。
【請求項9】
ハンドル部は、駆動シャフトを備えたモータをさらに含み、前記振動源はモータと動作可能に結合され、モータの駆動軸は偏心体に作動可能に結合されている、請求項7~8のいずれかに記載の口腔ケア用具。
【請求項10】
エラストマーリング部は、エラストマーパッド部の最大厚さよりも大きい最大厚さを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の口腔ケア用具。
【請求項11】
剛性材料は硬質プラスチックであり、エラストマー材料は熱可塑性エラストマーである、請求項1~10のいずれか一項に記載の口腔ケア用具。
【請求項12】
ハンドル部のステムは連結部を備え、取替ヘッドのスリーブ部も連結部を備え、ステムの連結部とスリーブ部との連結部は互いに噛み合い、結合状態で取替ヘッドをハンドル部にロックする、請求項1~11のいずれか一項に記載の口腔ケア用具
【請求項13】
前記剛毛房は剛毛領域を形成し、エラストマー歯接触部材は、剛毛領域内に配置される、請求項1~12のいずれか一項に記載の口腔ケア用具。
【請求項14】
電動歯ブラシのハンドル部に対する取替ヘッドであって、
閉じられた上端部から開かれた下端部までの長手方向軸に沿って延びるスリーブキャビティを有するスリーブ部、
前記スリーブ部の上端部に位置し、前記スリーブ部と共に剛性材料で構成されるヘッド部、
ヘッド部の後面からヘッド部の前面までヘッド部を貫通する通路、
ヘッド部に取り付けられ、ヘッド部の前面から延びる複数の剛毛房、
エラストマー材料で一体的に形成され、
(1)ヘッド部の後面に位置するエラストマーパッド部と、
(2)ヘッド部の前面から延びるエラストマー歯接触部材と、
(3)エラストマー歯接触部材とエラストマーパッド部とを結合する通路内のエラストマーアンカー部と、
(4)スリーブ部を全周して環状に延在し、その一部がエラストマーパッド部に接続され、環状の面に含まれる線(B-B)がスリーブキャビティの長手方向軸(A-A)に対して傾斜して配向されるように配置されたエラストマーリング部と、
を備えたモノリシック塊、
を含み、
エラストマー歯接触部材は、ヘッド部の前面の2本の対角線上に位置する4つの周辺部分と、2本の対角線の交点に位置する中央部分に配置され、剛毛房は、ヘッド部の前面の残りの部分に配置されている、
取替ヘッド。
【請求項15】
エラストマー材料の一体的に形成されたモノリシック塊は、
エラストマーパッド部の後面から延びる複数のエラストマー突起をさらに含む、請求項14に記載の取替ヘッド。
【請求項16】
エラストマーリング部は、スリーブ部の外面に形成された環状窪み内に入れ子状に配置され、エラストマーリング部の外面は、スリーブ部の外面と同一な面に含まれる、請求項14~15のいずれか一項に記載の取替ヘッド。
【請求項17】
スリーブキャビティは、入口部と係合部を有し、
該入口部は、第1の最小直径を有し、スリーブキャビティの開放底端部を形成する、
該係合部は、第1の最小直径よりも小さい第2の最小直径を有する、
ここで、スリーブキャビティを特定するスリーブ部の内面は、入口部と係合部との間に位置する環状の横方向の肩部を備える、請求項14~16のいずれか一項に記載の取替ヘッド。
【請求項18】
スリーブキャビティの長手方向軸に垂直な横断面がスリーブキャビティの係合部およびエラストマーリング部の両方を横切るように、スリーブキャビティの係合部およびエラストマーリング部は、横方向に整列している、請求項17に記載の取替ヘッド。
【請求項19】
前記スリーブキャビティは、前記係合部の上方に位置する最上部を含み、最上部は、係合部から離れるにつれて減少する横断面積を有する、請求項17~18のいずれか一項に記載の取替ヘッド。
【請求項20】
エラストマーリング部は、エラストマーパッド部の最大厚さよりも大きい最大厚さを有する、請求項14~19のいずれか一項に記載の取替ヘッド。
【請求項21】
剛性材料は硬質プラスチックであり、エラストマー材料は熱可塑性エラストマーである、請求項14~20のいずれか一項に記載の取替ヘッド。
【請求項22】
前記剛毛房は剛毛領域を形成し、エラストマー歯接触部材は、剛毛領域内に配置される、請求項14~21のいずれか一項に記載の取替ヘッド。
【請求項23】
ヘッド部の前面から伸びるエラストマー歯接触部材は、
エラストマーパッド部の後面から伸びるエラストマー突起の1つと同一線上に整列していると共に同じ形状を有している、請求項14~22のいずれかに記載の取替ヘッド。
【請求項24】
ハンドル部と取替ヘッドとを有する口腔ケア用具であって、
ハンドル部は、
第1端と第2端を有する把持部、
把持部の第2端から延在し、封止された終端を有するステムキャビティを含むステム、
電源、
ステムキャビティ内に配置され、電源に動作可能に連結された振動源
を含み,
取替ヘッドは、
閉じられた上端部から開かれた下端部までの長手方向軸に沿って延びるスリーブキャビティを有し、開かれた下端部は、ステムに挿入可能であるスリーブ部、
前記スリーブ部の上端部に位置し、前記スリーブ部と共に剛性材料で構成されるヘッド部、
ヘッド部の後面からヘッド部の前面までヘッド部を貫通する複数の通路、
ヘッド部に取り付けられ、ヘッド部の前面から延びる複数の剛毛房、
エラストマー材料で一体的に形成され、
(1)ヘッド部の後面に位置するエラストマーパッド部と、
(2)ヘッド部の前面から延びる複数のエラストマー歯接触部材と、
(3)複数のエラストマー歯接触部材とエラストマーパッド部とを結合する複数の通路内の複数のエラストマーアンカー部と、
(4)エラストマーパッド部の後面から延びる複数のエラストマー突起と、
(5)スリーブ部を全周して環状に延在し、その一部がエラストマーパッド部に接続され、環状の面に含まれる線(B-B)がスリーブキャビティの長手方向軸(A-A)に対して傾斜して配向されるように配置されたエラストマーリング部と、
を備えたモノリシック塊、
を含み、
取替ヘッドは、
(1)取替ヘッドがハンドル部から分離された分離状態と、
(2)ハンドル部のステムが取替ヘッドのスリーブキャビティ内に配置され、振動源によって生成された振動エネルギーが剛毛房およびエラストマー歯接触部材に振動運動を与える結合状態と、
の間で状態変更し、
複数のエラストマー歯接触部材の配置形状は、複数のエラストマー突起の配置形状と同一である、
ことを特徴とする口腔ケア用具。
【請求項25】
電動歯ブラシのハンドル部に対する取替ヘッドであって、
閉じられた上端部から開かれた下端部までの長手方向軸に沿って延びるスリーブキャビティを有するスリーブ部、
前記スリーブ部の上端部に位置し、前記スリーブ部と共に剛性材料で構成されるヘッド部、
ヘッド部の後面からヘッド部の前面までヘッド部を貫通する複数の通路、
ヘッド部に取り付けられ、ヘッド部の前面から延びる複数の剛毛房、
エラストマー材料で一体的に形成され、
(1)ヘッド部の後面に位置するエラストマーパッド部と、
(2)ヘッド部の前面から延びる複数のエラストマー歯接触部材と、
(3)複数のエラストマー歯接触部材とエラストマーパッド部とを結合する複数の通路内の複数のエラストマーアンカー部と、
(4)エラストマーパッド部の後面から延びる複数のエラストマー突起と、
(5)スリーブ部を全周して環状に延在し、その一部がエラストマーパッド部に接続され、環状の面に含まれる線(B-B)がスリーブキャビティの長手方向軸(A-A)に対して傾斜して配向されるように配置されたエラストマーリング部と、
を備えたモノリシック塊、
を含み、
複数のエラストマー歯接触部材の配置形状は、複数のエラストマー突起の配置形状と同一である、
取替ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2015年12月1日に出願された米国仮特許出願第62 / 261,711号に対し優先権を主張し、その出願に記載の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
歯の表面から歯垢および破片を除去することによって歯を清掃するために、歯ブラシなどの口腔ケア器具が使用される。歯ブラシは、把持用のハンドルと、歯と口腔表面の洗浄のために使用者の口に挿入されるヘッドとを有する。電動式の電動歯ブラシが存在する。電動歯ブラシは、電子構成部材のすべてを収納するハンドル構成部材と、ハンドル構成部材に取り外し可能に結合される取替ヘッド(または補充ヘッド)とを含む。従来、歯ブラシの性能を向上させるために、電動歯ブラシの歯清掃部材に振動運動、回転運動および並進運動を付与するための技術的研究が盛んに行われてきた。しかし、取替ヘッドおよびその上の歯清掃部材の快適性および性能を改善することに向けた開発はほとんど行われていない。したがって、上述の必要性に対処する口腔ケア器具およびそのための取替ヘッドが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明の対象は、1つの態様において、電動歯ブラシハンドルのための取替ヘッドであり、またハンドル部品および取替ヘッドを含む口腔ケア器具である。取替ヘッドは、口腔ケア器具のハンドル構成部材に対し、取り外し可能に結合されている。取替ヘッドは、スリーブ部と、前面及び後面を有するヘッド部とを含む。複数の剛毛房は、ヘッド部に取り付けられ、ヘッド部の前面から延びる。さらに、エラストマー(弾性)材料で一体的に形成されたモノリシックな集合体をヘッド部に結合することができる。エラストマー材料で一体的に形成されたモノリシックな集合体は、次の内の1つ以上を含む:ヘッドの後面に設けたエラストマーパッド;前記パッドの裏面から延在する複数の突起部;前記ヘッドの前面から伸びるエラストマー材料で形成された歯のクリーニング部;通路内に設けたエラストマー材料で構成されるアンカー部。
【0004】
第1の観点による本発明は、ハンドル部と取替ヘッドとを有する口腔ケア用具である。ハンドル部は、近位端から遠位端まで延びる把持部、把持部の遠位端から延在し、封止された遠位端で終端するステムキャビティを含むステム、電源、ステムキャビティ内に配置され、電源に動作可能に連結された振動源を含む。取替ヘッドは、閉じられた上端部から開かれた下端部までの長手方向軸に沿って延びるスリーブキャビティを有するスリーブ部(ここで、開かれた下端部は、スリーブ部の近位端に位置する。)、前記スリーブ部の先端に位置するヘッド部(ここで、前記ヘッド部及び前記スリーブ部とは剛性材料で構成される。)、ヘッド部の後面からヘッド部の前面までヘッド部を貫通する通路、ヘッド部に取り付けられ、ヘッド部の前面から延びる複数の剛毛房、エラストマー材料で一体的に形成されたモノリシック塊を含む。モノリシック塊は、(1)ヘッド部の後面に位置するエラストマーパッド部と、(2)ヘッド部の前面から延びるエラストマー歯接触部材と、(3)エラストマー歯接触部材とエラストマーパッド部分とを結合する通路内のエラストマーアンカー部と、を備える。取替ヘッドは次の間で状態変更する。(1)取替ヘッドがハンドル部から分離された分離状態。(2)ハンドル部のステムが取替ヘッドのスリーブキャビティ内に配置され、振動源によって生成された振動エネルギーが剛毛房およびエラストマー歯接触部材に振動運動を与える結合状態。
【0005】
別の観点による本発明は、電動歯ブラシのハンドル部に対する取替ヘッドである。取替ヘッドは、閉じられた上端部から開かれた下端部までの長手方向軸に沿って延びるスリーブキャビティを有するスリーブ部(ここで、開かれた下端部は、スリーブ部の近位端に位置する。)、前記スリーブ部の先端に位置するヘッド部(ここで、前記ヘッド部及び前記スリーブ部とは剛性材料で構成される。)、ヘッド部の後面からヘッド部の前面までヘッド部を貫通する通路、ヘッド部に取り付けられ、ヘッド部の前面から延びる複数の剛毛房、エラストマー材料で一体的に形成されたモノリシック塊を含む。モノリシック塊は、(1)ヘッド部の後面に位置するエラストマーパッド部と、(2)ヘッド部の前面から延びるエラストマー歯接触部材と、(3)エラストマー歯接触部材とエラストマーパッド部分とを結合する通路内のエラストマーアンカー部と、を備える。
【0006】
本発明が適用可能なさらなる領域は、以下に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および実施形態は、本発明の好ましい実施形態を示すものであり、例示を目的としているので、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、詳細な説明および添付図面からより十分に理解されるであろう。
【
図1】本発明の一実施形態によるハンドル部品および取替ヘッドを有する口腔ケア器具の斜視図。
【
図2】
図1の口腔ケア器具のハンドル部の把持部およびステムの一部の断面図。
【
図8】
図6の線VIII-VIIIに沿った断面図。
【
図10】本発明の別の実施形態による取替ヘッドの正面斜視図。
【0008】
好ましい実施形態についての以下の説明は、例示に過ぎず、決して本発明、その用途、または使用を限定するものではない。
【0009】
本発明の原理に基づく実施形態の説明は、例示的なものであり、添付の図面と関連して読まれることを意図しており、添付の図面は明細書の開示の一部とみなされるべきである。本明細書に開示された本発明の実施形態の説明では、方向または向きに対する言及は、単に説明の便宜を意図したものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「上」、「下」、「上」および「下」などの相対用語およびそれらの派生物(例えば、・「下方に」、「上方に」等)は、便宜上、図に示された方向を説明するためだけに用いられたものと解釈すべきである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためのものであり、明示的に示されない限り、装置が特定の方向に構築または操作されることを意味するもので無い。「取り付けられた」、「取り付けられた」、「接続された」、「結合された」、「相互接続された」などの用語は、明示的に示されない限り、直接的または構造を介して間接的に互いに固定され、可動的にまたは堅固に取り付けられた関係を意味するものとする。さらに、本発明の特徴および利点は、例示された実施形態を参照して説明される。したがって、本発明は、単独でまたは他の特徴の組み合わせで存在し得る特徴のいくつかの可能な非限定的な組み合わせを示した例示的な実施形態に限定されるべきではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【0010】
全体を通して、ある範囲内のある値を表すために、範囲自身が速やかな表現(shorthand)として使用される。範囲内のある値を範囲の到達点(terminus)として選択することができる。更に、本明細書において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書における開示と引用文献の開示において矛盾が生じた場合は、本明細書の開示が支配する。
【0011】
図1および
図2に基づき、口腔ケア器具1を実施形態に従って説明する。実施形態に示す口腔ケア器具1は、電動駆動式の電動歯ブラシである。しかし、本発明は、すべての実施形態においてそれに限定されるものではない。ある実施形態に基づく装置は、交換可能なヘッド部を有する手動歯ブラシであってもよい。したがって、本発明は、明示的に主張されない限り、すべての実施形態における電気駆動式の口腔ケア器具1に限定されない。
【0012】
口腔ケア用具1は、ハンドル部2および取替ヘッド100を備える。ハンドル部2は、近位端8から遠位端9まで延びる把持部10と、把持部10の遠位端9から延びるステム83とを含む。例示的な実施形態では、口腔ケア用具1が電動式の電動歯ブラシである場合に、ハンドル部2の把持部10は、口腔ケア用具1の電源をオンまたはオフにすることを容易にするボタンなどのアクチュエータ3を備える。言うまでも無く、アクチュエータ3は、他の実施形態の図面に示されているものよりハンドル部2上の他の位置に配置することもできる。取替ヘッド100は、以下に説明するように、口腔ケア器具1のステム83に取り外し可能に結合されている。ハンドル部2に結合または分離される取替ヘッドは、様々な形態のものを準備し、使用者が希望する取替ヘッドのタイプを選択できるようにすることができる。
【0013】
取替ヘッド100は、スリーブ部110およびヘッド部130を備える。取替ヘッド100をステム83に結合するために、取替ヘッド100のスリーブ部110は、ハンドル部2のステム83上を摺動する。ヘッド部130には、複数の歯清掃部材133が取り付けられ、取替ヘッド100のヘッド部130の前面131から延在する。取替ヘッド100のヘッド部130の後面132には、エラストマー(弾性)材料から形成された軟組織クリーナ122が結合されているか、または装着されている。取替ヘッド100の一実施形態の詳細については、
図3~
図8を参照して以下に詳細に説明する。まて、別の取替ヘッド200の詳細については、
図10~
図13を参照して以下に詳細に説明する。
【0014】
口腔ケア用具1のハンドル部2は、把持部10、シャーシ20、電源(図示していないが、電源は、充電式電池、非充電式電池、乾電池、印刷電池、スーパーキャパシタ、電気エネルギーを貯蔵する制御回路などであってもよい。)、回路基盤50、駆動軸66を有するモータ60(図示のように円筒体を有してもよい)、振動源70、モータ60の駆動軸66を振動源70に動作可能に連結するスピンドル68を有する。ユーザは、把持部10を把持または保持することにより、口腔ケア器具1を操作することができる。また、把持部10は、電動式の電動歯ブラシである口腔ケア器具1の操作に必要な電子回路および構成部材を収容する。ある実施形態では、電源を省いてもよい。この場合は、壁のコンセントなどの電源に接続されたプラグによって装置に電力を供給する。ハンドル部2の把持部10は、シャーシ20、電源及び回路基板50を収容するための内部キャビティを有する。把持部10の内部キャビティは、ある実施形態では円筒形であってもよいが、本発明ではいずれの実施形態においてもそれに限定されるものではない。
【0015】
ある実施形態では、ステム83は、振動源70を受け入れ、保持するためのキャビティ86を備える。他の実施形態では、振動源70は、ハンドル部2内の他の位置に配置されてもよい。ある実施形態では、モータ60は、ハンドル部2の把持部10内に配置されるが、他の実施形態では、ステム83内に配置されてもよい。ステム83は、開口された底端部93を有し、その開口された底端部93はキャビティ86内に通じている。ステム83は、シールされた遠位端91で終端している。
【0016】
振動源70の底部には、凹部または突起が形成されていてもよい。凹部または突起は、スピンドル68および/またはモーター60の駆動シャフト66と係合し、モーター60が振動源70を回転させて、取替ヘッド100に所望の動きを与える。モータ60の底面から2本のワイヤ62a、62bが延びており、回路基板50と電気的に接続され、電源に接続される。振動源70は、偏心部77と軸方向に延びる軸部78とを含む。
【0017】
上述したように、モータ60は電源に接続され動作可能となる。モータ60の駆動シャフト66は、振動源70の偏心部77(直接的に又はスピンドル68を介して)に動作可能に結合され、偏心部77を回転させて、取替ヘッド100、特にヘッド部130またはそこに設けた歯清掃部材133を振動する。振動源70がモータ60によってその軸を中心に回転すると、偏心部77は高周波振動を発生し、ステム83およびこれに結合された取替ヘッド100に伝達される。
【0018】
ステム83は、本体部99を有し、本体部99は、キャビティ86と、ステム83の遠位端91に設けた係合部98とを含む。
図9に具体的に示されているように、取替ヘッド100がハンドル構成部材10に連結されたとき、ステム83の係合部98は取替ヘッド100のスリーブ部110の内面と係合する。ステム83の係合部98は、ステム83の本体部99の上面96から延びるステム先端部97を有する。ステム83の本体部99の上面96は、ステム先端部97を環状に取り囲み横方向に延びた肩部で形成される。
【0019】
例示的な実施形態では、キャビティ86は、振動源70を収容し、実施形態では示されていないが、モータ60も収容することができる。ステム83の遠位端91に隣接するキャビティ86の終端に凹部87を形成してもよい。凹部87は、振動源70の軸方向に延びる軸部78をスライド可能に受ける。したがって、軸方向に延びる軸部78を含む振動源70の偏心部77の上端は、ステム先端97内に、またはそれに隣接した位置に取り付けられる。したがって、例示された実施形態では、振動源70の偏心部77は、キャビティ86内に回転可能に取り付けられている。振動源70は、ワイヤ等のような必要な電気部品を介して電源に接続されている。凹部87は、振動源70の軸方向に延びる軸部78を自由に保持するための軸受としての役割を果たす。振動源70は、高周波振動下でもキャビティ86内で自由に回転することができる。実施形態では、凹部87が軸受として機能するので、軸方向に延びる軸部78を回転可能に保持するための別個の軸受装置を設ける必要はない。もちろん、他の実施形態では、環状ベアリング71のような別個のベアリングアセンブリを設けてもよい。
【0020】
上述したように、キャビティ86は、ステム83の下端に開口端93を有する。モータ60の2本のワイヤ62a、62bは、キャビティ86の開口端93を通り、シャーシ20に形成された開口を介して延び、回路基板50に形成された電極52a、52bまで延びる。キャビティ86は、断面積が一定である内壁88、またはテーパ状の内壁88を有する。
【0021】
ある実施形態では、ステム83および把持部10を、一体的に形成してもよい。この場合、把持部10の下端に開口を設け、振動源70、モータ60、および電源と回路基板50が取り付けられたシャーシ20のアセンブリの挿入を可能とする。アセンブリが下端の開口から挿入された後、その開口はキャップ部材により密閉状態になるように閉鎖すべきである。
【0022】
図3から
図8を参照して、口腔ケア器具1のハンドル構成部10、特にステム83に対し、着脱可能に結合することができる取替ヘッド100の実施形態を説明する。上述したように、取替ヘッド100は、ステム83に直接連結されるスリーブ部110およびヘッド部130を備える。ある実施形態では、ヘッド部130およびスリーブ部110は、限定されないが、エチレン、プロピレン、ブタジエン、ビニル化合物およびポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマーおよびコポリマーを含む剛性プラスチック材料などの剛性材料で形成される。ヘッド部130とスリーブ部110とは、一体的に形成されていてもよいし、別体に形成されていてもよい。例示された実施形態では、ヘッド部およびスリーブ部110,130は、射出成形プロセスで一体的に形成される。
【0023】
スリーブ部110は、近位端111から遠位端112まで延びる。スリーブ部110は、ブラインド上端114からスリーブ部110の近位端111に位置する開口端115まで、長手方向軸A-Aに沿って延びるスリーブキャビティ113を含む。スリーブキャビティ113のブラインド上端114は、取替ヘッド100の外部から見えないので、ブラインドである。特に
図9で示されるように、スリーブキャビティ113には、ハンドル部2のステム83が収容され、取替ヘッド100をハンドル部品2に結合させる。
【0024】
スリーブキャビティ113は、入口セクション171と係合セクション172とを含む。スリーブキャビティ113の入口セクション171は、第1の最小直径を有し、スリーブキャビティ113の開口端115を含む。スリーブキャビティ113の係合セクション172は、第1の最小直径よりも小さい第2の最小直径を有する。ある実施形態では、係合セクション172の最大直径は、入口セクション171の最小直径よりも小さい。
【0025】
スリーブ部110は、外面119と、内面173とを備え、内面173は、スリーブキャビティ113を画定する。スリーブ部分110の内面173は、スリーブキャビティ113の入口セクション171とスリーブキャビティ113の係合セクション172との間に配置された環状の横方向に延びる肩部174を含む。スリーブキャビティ113は、係合セクション172とスリーブキャビティ113のブラインド上端114との間に配置された最上セクション175をさらに備える。例示された実施形態では、スリーブキャビティ113の最上セクション175の横断面積は、スリーブキャビティ113の係合セクション172からスリーブキャビティ113のブラインド上端114に向かうにつれて連続的に減少する。
【0026】
取替ヘッド100は、スリーブ部110の近位端111の近くに配置された連結部140を含む。この実施形態では、連結部140は、スリーブ部110に形成された切欠部である。切欠部は、取替ヘッド100のスリーブ部110の開口した開口端115から頭部130の方向に向かって延びている。連結部140は特定の構造または形状を有し、連結部140がステム83に設けた被連結部と嵌合することを可能にして、取替ヘッド100とステム83とを結合し、固着する。
【0027】
取替ヘッド100のヘッド部130は、スリーブ部110の遠位端112に配置され、前面131と、対向する後面132とを有する。上述したように、取替ヘッド100のヘッド部130の前面131から複数の歯清掃部材133が延びる。複数の歯清掃部材133は、ヘッド部130に取り付けられ、ヘッド部130の前面131から延びる複数の毛房134を含む。毛房134の各々は、複数の剛毛を含むことができる。毛房は、フィラメント毛房、繊維毛房、スパイラル毛房、ナイロン毛房などであってもよい。上記の毛房のそれぞれは、端部が丸くなっていても先細りであってもよい。毛房134は、ステープル技術、アンカーフリータフティング技術などを使用して、ヘッド部130に結合される。
【0028】
毛房134に加えて、歯清掃部材133として、ヘッド部130の前面131から延びる1つ以上のエラストマー歯接触部材135を含むことができる。ある実施形態では、毛房134は剛毛場を形成し、剛毛場内にエラストマー歯接触部材135が配置される。例示された実施形態では、
図7及び
図8に示すように、取替ヘッド100のヘッド部130の前面131の上方に延びるエラストマー歯接触部材135の高さ以上の高さまで、毛房134は、取替ヘッド100のヘッド部130の前面131の上に延びる。
【0029】
例示的な実施形態では、毛房134およびエラストマー歯接触部材135は、取替ヘッド100のヘッド部130上に特定のパターンを提供する。しかし、これは、1つの例示的な実施形態に過ぎず、
図10から
図13を参照して以下に説明するように、毛房134およびエラストマー歯接触部材135は他のパターンを提供してもよい。
【0030】
この実施形態では、エラストマー歯接触部材135は、4つの周辺接触部材135aと2つの中央接触部材135bを含む。周辺接触部材135aは、ヘッド部130の近位端近傍で横方向に整列された2つの周辺接触部材135aと、ヘッド部130の遠位端近傍で横方向に整列された2つの周辺接触部材135aとを含む。周辺接触部材135は、その内面から突き出たリブ139を有する線状の壁状セグメントである。したがって、周辺接触部材135のリブ139は、ヘッド部130の中心に向かった内側にある。
【0031】
2つの中央接触部材135bは、取替ヘッド100のヘッド部130の中心に位置する円弧状の接触部材である。2つの中央接触部材135bは、ギャップを有するループを形成するように配置される。そのギャップは、長手方向の軸線A-Aに対して横方向に延びる平面に沿って列んでいる。2つの中央接触部材135bは、互いに向かい合う凹面と、互いに離反する凸面とを有し、取替ヘッド100の頭部130の近位端および遠位端に向かってそれぞれ延びている。
【0032】
毛房134は、ヘッドの両サイド沿ってそれぞれ3つの周辺の毛房を含み、この3つの周辺の毛房は、2つの周辺接触部材135aの間に配置され、かつ取替ヘッド100のヘッド部130の長手方向に配置される。毛房はまた、下側の中央接触部材135bとヘッド部130の近位端との間に配置された4つの近位側の毛房を含むと共に、上側の中央接触部材135bとヘッド部130の近位端との間に配置された6つの遠位側の毛房を含む。4つの近位側の毛房は、ヘッド部130の近位端の近くに位置する2つの周辺接触部材135aの間に配置される。6つの遠位側の毛房は、ヘッド部130の遠位端の近くに位置する2つの周辺接触部材135aの間に配置される。
【0033】
上述したエラストマー歯接触部材135は、以下で説明するように、エラストマー材料150のモノリシック塊の一体部分として形成される。ある実施形態では、エラストマー材料150のモノリシック塊は、熱可塑性エラストマーから形成されてもよいが、すべての実施形態においてそれに限定されるものではなく、他のタイプの弾性材料またはゴムであってもよい。
【0034】
ある実施形態では、ヘッド部130の前面131から後面132まで、ヘッド部130を貫通して延びる1つ以上の通路136を有する。さらに、一体的に形成されたモノリシック塊のエラストマー材料150がヘッド部130に結合される。具体的には、エラストマー材料150のモノリシック塊は、ヘッド部130の後面132に位置するエラストマーパッド部151と、パッド部151から延びるエラストマー突起153と、エラストマー歯接触部材135と、エラストマー歯接触部材135をパッド部151に接続する通路136内のエラストマーアンカー部155とを含む。
【0035】
実施形態では、ヘッド部130の後面132にたまり部137が形成されている。たまり部137は、凹部またはへこみ部であり、床138を有する。たまり部137内には一体的に形成されたモノリシック塊のエラストマー材料150のエラストマーパッド部151で満たされ、床138と接触している。エラストマーパッド部151は、取替ヘッド100のヘッド部130の後面132の少なくとも一部を形成する後面152を含む。エラストマー材料150のモノリシック塊は、エラストマーパッド部151の後面152から延びる複数のエラストマー突起部153を含む。エラストマーパッド部151およびエラストマー突起部153は、上述した軟組織クリーナー122として機能する。
【0036】
ヘッド部130の後面132に設けたたまり部137内に1つ以上の通路136が配置されている。具体的には、1つまたは複数の通路136は、たまり部137の床138の開口部を一方の終端とし、ヘッド部130の前面131の開口部を他方の終端する。従って、エラストマー材料150のモノリシック塊は、通路136を通り、エラストマーパッド部151、エラストマーアンカー部155、およびエラストマー歯接触部材135を同時に形成することができる。この点で、上述したように、エラストマー材料150のモノリシック塊は、ヘッド部130の前面131から延びる1つ以上のエラストマー歯接触部材135と、通路136内に配置された1つまたは複数のエラストマーアンカー部155を含む。1つ以上のエラストマーアンカー部155は、エラストマー歯接触部材135をエラストマーパッド部151と連結する。
【0037】
ある実施形態では、一体的に形成されたモノリシック塊であるエラストマー材料150は、シングルショット射出成形プロセスで形成することができる。したがって、金型キャビティ内に取替ヘッド100のヘッド部130が配置され、次いで、エラストマー材料が、金型キャビティ内の取替ヘッド100のヘッド部130に盛られるように射出される。エラストマーパッド部151、エラストマー突起部153、エラストマー歯接触部材135、およびエラストマーアンカー部155がエラストマー材料で同時に形成される。
【0038】
更に、取替ヘッド100のスリーブ部分110に外接するエラストマーリング部160もエラストマー材料150のモノリシック塊で形成される。したがって、エラストマーリング部160は、エラストマーパッド部151、エラストマー突出部153、エラストマー歯接触部材135、およびエラストマーアンカー部155と一体的に形成されてもよい。例示の実施形態では、エラストマーリング部160は、スリーブ部分110の全周に延在している。エラストマーパッド部151は、近位端158から、取替ヘッド100のヘッド部130の遠位端に隣接する遠位端159まで延びている。エラストマーリング部160は、エラストマーパッド部151の近位端158に接続され、エラストマーパッド部151の近位端158から延びている。
【0039】
取替ヘッド100のスリーブ部110の外面119は、前面101とそれに対向する後面102とを含む。エラストマーリング部160は、取替ヘッド100のスリーブ部110の外面119に形成された環状凹部161内に入れ子状に配置される。エラストマーリング部160は、取替ヘッド100のスリーブ部110の外面119と実質的に同一平面にある外面162を有する。したがって、エラストマーリング部160は、取替ヘッド100のスリーブ部110の外面119から突き出るのではなく、むしろ、スリーブ部110の外面119に沿って取替ヘッド100の滑らかで連続的な外面を形成する。取替ヘッド100のヘッド部130の前面131から見ると、エラストマーリング部160は、凹状の上端部163と凸状の下端部164とを有する。取替ヘッド100のヘッド部130の後面132から見ると、エラストマーリング部分160は、凹状の下端部165を有する。後面132から見ると、エラストマーリング部160の上端は、エラストマーパッド部151と連続的に繋がっている。
【0040】
取替ヘッド100のヘッド部130は、取替ヘッド100の前面131と後面312との間に延びる周縁部146を含む。周縁部146は、対向する第1および第2の側縁部147,148および遠位縁部149を含む。例示の実施形態では、取替ヘッド100のヘッド部130の周縁部146の全体に、エラストマー材料150または他のエラストマー材料のモノリシック塊が存在しない。このようにして、取替ヘッド100のヘッド部130の周縁部146は、全体に沿って剛性材料が露出される。
【0041】
エラストマーリング部160の形状及び配向を完全に理解するため、
図5~
図7を参照する。エラストマーリング部160の環状に延びる中心線B-Bがスリーブキャビティ113の長手方向軸A-Aに対して傾斜して配向されるように、エラストマーリング部160が配置される。この傾斜した配向は、部分的には、取替ヘッド100のスリーブ部110の近位端111からエラストマーリング部160の下端部までの距離が、取替ヘッドの前面101と後面102とで異なる距離であることに由来する。具体的には、取替ヘッド100のスリーブ部110の前面101にあるエラストマーリング部160の凸状の下端部164は、取替ヘッド100のスリーブ部110の近位端111から第1の距離D1だけ離間している。取替ヘッド100のスリーブ部110の後面102にあるエラストマーリング部160の凹状の下端部165は、取替ヘッド100のスリーブ部110の近位端111から第2の距離D2だけ離間している。第2の距離D2は、第1の距離D1よりも大きい。さらに、取替ヘッド100のスリーブ部110の前面101にあるエラストマーリング部160の凹状の上端部163は、取替ヘッド100のスリーブ部110の近位端111から第3の距離D3だけ離間され、第3の距離D3は、第1の距離D1および第2の距離D2のいずれよりも大きい。長手方向軸線A-Aに垂直に延び、取替ヘッド100のスリーブ部110の前面101および後面102の両方のエラストマーリング部160の一部と交差する平面D-Dのような横断面が存在する。
【0042】
エラストマー材料150のモノリシック塊であるエラストマーリング部160の厚さは、エラストマー材料のモノリシック塊であるエラストマーパッド部151の厚さよりも厚い。特に、エラストマーリング部160の最大厚さは、エラストマーパッド部151の最大厚さよりも大きい。ある実施形態では、エラストマーリング部160の最小厚さを、エラストマーパッド部151の最大厚さよりも大きくすることができる。これにより、取替ヘッド100のスリーブ部110と比べ、エラストマーリング部160の周りにおいて、取替ヘッド100のヘッド部130のより大きな柔軟性を提供することができる。
【0043】
エラストマー材料150のモノリシック塊であるエラストマーリング部160は、スリーブキャビティ113の係合部分172と横方向に列んでいる。したがって、スリーブキャビティ113の長手方向軸線A-Aに垂直な横断面C-Cは、スリーブキャビティ113の係合部分172とエラストマーリング部分160の両方と交差する。
【0044】
図9は、口腔ケア器具1の一部の断面図が示されており、補充される取替ヘッド100がステム83に結合されている。上述したように、取替ヘッド100は、ハンドル部2、特にステム83に取り外し可能に結合されてもよい。したがって、歯の洗浄部134,135が磨耗したとき、取替ヘッド100だけを交換することができ、ハンドル部2やすべての回路は、新しい取替ヘッドに対しそのまま使用を続けることができる。同じハンドル部2に対し、歯の洗浄部の構造やパターンが異なっている、異なる取替ヘッドを使用すれば、異なる洗浄効果および性能を達成することができる。
【0045】
取替ヘッド100は、ハンドル部2に対し、装着状態と脱着状態をとることができ、装着状態では
図1および
図9に示すように、ハンドル部2のステム83が取替ヘッド100のスリーブキャビティ113内に配置され、脱着状態(不図示)では、取替ヘッド100がハンドル部2から離間されている。結合された装着状態では、振動源70によって発生された振動エネルギーは、毛房134、エラストマー歯接触部材135、およびエラストマー突起153に振動運動を与える。
【0046】
図9において、取替ヘッド100の構成部分とハンドル部2およびステム83の構成部分との間の連結構造について、取替ヘッド100が連結されている状態で説明する。取替ヘッド100をハンドル部2に連結する場合、ステム83が取替ヘッド100のスリーブキャビティ113に挿入されると、ステム83の本体部分99の上面96が、取替ヘッド100のスリーブキャビティ113を形成する、スリーブ部110の内面173の環状横断方向の肩部174に接触する。この位置では、ステム83の本体部分99は、スリーブキャビティ113の入口部分171内に配置され、ステム先端97は、スリーブキャビティ113の係合部分172内に延びる。さらに、ある実施形態では、結合状態にあるステム83の遠位端の係合部98は、取替ヘッド100のスリーブ部110の内面173と係合する。
【0047】
ステム83は連結部94を含み、取替ヘッド100の連結部140と協働する。具体的には、ステム83の連結部94は、所定のサイズ及び形状を有する突起であり、ステム83がスリーブキャビティ113に挿入されると、ステムの連結部94が取替ヘッド100の連結部140に入り、連結部140と係合する。ステム83の連結部94と取替ヘッド100の連結部140とが嵌合することにより、取替ヘッド100をハンドル部2にロックすることができ、連結状態が得られる。取替ヘッド100およびハンドル部2は、軸方向A-Aであって互いに離間する方向に引っ張られるまで、互いに結合されたままである。ここで、引っ張る力は、ステム83と取替ヘッド100との間の連結部94,140のロック係合を解除するのに十分な力である。
【0048】
取替ヘッド100がハンドル部2に連結されると、取替ヘッド100のスリーブ部110は、ハンドル部2のステム83を円周方向に取り囲むと共に、取替ヘッド100の頭部110は、ハンドル部2のステム83から延在する。さらに、ステム83はスリーブキャビティ113の全体を詰めた状態にしない。具体的には、結合状態では、スリーブキャビティ113の最上部セクション175は空間になっており、ステム83を含まない。さらに、結合状態では、ステム83の係合部分98とエラストマー材料150のモノリシック塊のエラストマーリング部160とが横方向に列んだ状態にある。したがって、スリーブキャビティ113の長手の軸方向A-Aに垂直な横断面E-Eは、ステム83の係合部分98とエラストマー材料150のモノリシック塊のエラストマーリング部160との両方と交差する。例示の実施形態では、ステム83の係合部分98は、取替ヘッド100のスリーブ部分110の前面101においてエラストマーリング部分160の一部と列んだ状態にあるが、同係合部分98は、取替ヘッド100のスリーブ部分110の後面102においては、エラストマーリング部分160の一部と列んだ状態にはない。したがって、例示の実施形態では、ステム83および取替ヘッド100のスリーブ部分110の後面102に位置するエラストマーリング部160と交差する、縦軸A-Aに垂直な横断面は存在しない。上述したように、エラストマーリング部160は、スリーブキャビティ113の最上部175であって空洞になっている部分と横方向に列んでいる。これにより、取替ヘッド100のエラストマーリング部160が存在するの領域の周りにおいて、取替ヘッド100のスリーブ部110に対するヘッド部130のしなやかさをさらに高める。なぜなら、その領域において、剛性材料の厚さが薄くなっているからである。
【0049】
図10~
図13を参照して、口腔ケア器具1のハンドル部品2に連結することができる代替の取替ヘッド200を説明する。取替ヘッド200の構造の大部分は、上述した取替ヘッド100の構造と同じであるので、ここでは簡潔ため、その説明は繰り返さない。むしろ、以下に説明する以外は、取替ヘッド100の説明が取替ヘッド200にも適用される。取替ヘッド200には、200番台の数字が使用されることを除いて、取替ヘッド100に用いた番号と同様に番号が付けられる。取替ヘッド100の特徴部分と同様の番号が付けられた取替ヘッド200の特徴部分については、以下に別段の記載がない限り、取替ヘッド100に関するその特徴部分の説明も取替ヘッド200に適用可能である。番号が付けられているが説明されていない取替ヘッド200の特徴部分については、上記の取替ヘッド100の説明が適用される。
【0050】
取替ヘッド200は、一般に、スリーブキャビティ213を特定するスリーブ部210と、前面231および反対側の後面232を有するヘッド部230とを備える。毛房234のような歯の洗浄部材は、ヘッド部230の前面231から延びている。エラストマー材料250の一体モノリック塊は、取替ヘッド200に結合され、ヘッド部230の後面232に位置するエラストマーパッド部251と、パッド部251の裏面から延伸するエラストマー突起253、259と、ヘッド部230の通路236内通って延びるエラストマーアンカー部分255と、ヘッド部分230の前面231から伸びるエラストマー歯接触部材235を含む。エラストマー材料250のモノリシック塊はまた、取替ヘッド100に関して上述したエラストマーリング部150と同様のエラストマーリング部260を含むことができる。
【0051】
取替ヘッド200と取替ヘッド100との間の主な違いは、剛毛房234とエラストマー接触部材235とのパターンであると共に、エラストマー材料250のモノリシック塊のエラストマーパッド部251から延びる突起259の構造である。具体的には、この実施形態では、ヘッド部230の中心点CPの回りにループ状に配置された4つのエラストマー歯接触部材235がある。エラストマー歯接触部材235の各々は、中心点CP側にある凹面と、中心点CPから離れた側にある凸面とを有する円弧形状である。エラストマー歯接触部材235は、中心点CPから等距離に離間している。4つのエラストマー接触部材235によって形成されたループ内に配置された4つの剛毛房234がある。ある実施形態では、取替ヘッド200のヘッド部230の前面231から測った、4つの剛毛房234の高さは、取替ヘッド200のヘッド部230の前面231から測った、エラストマー歯接触部材235の高さよりも高い。また、ある実施形態では、取替ヘッド200のヘッド部230の前面231から測った、全ての剛毛房234の高さは、取替ヘッド200のヘッド部230の前面231から測った、エラストマー歯接触部材235の高さよりも高い。
【0052】
エラストマー歯接触部材235は、ヘッド部230の通路236を通って延びるアンカー部255を介してエラストマーパッド部251に結合される。さらに、エラストマー歯接触部材235と整列する突起259は、エラストマー歯接触部材235の形状と一致する形状を有する。従って、中心点CPの回りにループ状に配置された4つの突起259がある。4つの突起259は、それらと整列している4つのエラストマー歯接触部材235と同じサイズ、形状、および位置を有する。ただし、4つの突起259は、取替ヘッド200のヘッド部230の後面232から延びている一方、4つのエラストマー歯接触部材235は、取替ヘッド200のヘッド部230の前面231から延びている。従って、4つの突起259は、中心点CPに面する内側の凹面と、中心点CPから離れた面である外側の凸面とを有する円弧形状である。他の突起253は、円錐形または円筒形を有するナブ状の突起である。
【0053】
ある実施形態では、歯への接触要素235、通路236、アンカー部255、および突起259はすべて同じ形状を有する。これは、歯への接触要素235がヘッド部230を通って延在し、取替ヘッド200のヘッド部230の前面231および後面232の両方から突出するような外観を与える。
【0054】
ループ内に配置された4つの剛毛房234に加えて、ヘッド部230の前面231の周縁部のエラストマー歯接触部材235の上方および下方に配置された2つの剛毛房234と、最上部エラストマー歯接触部材235とヘッド部230の遠位端との間に正方形のパターンで配置された4つの剛毛房234と、最下部エラストマー歯接触部材235とヘッド部230の近位端との間に配置された2つの剛毛房234を含む。最上部および最下部のエラストマー歯接触部材235は、一群の剛毛房234、特に8つの剛毛房234によって実質的に取り囲まれている。ヘッド部230の前面231の側方のエラストマー歯接触部材235は、グループ化された剛毛房234(すなわち、4つの剛毛房234)と隣接すると共に、ヘッド部230の側方の辺に隣接する。
【0055】
本発明は、本発明を実施するための好ましい実施態様を含む上述の実施形態に記載された通りであるが、当業者は、上述のシステムおよび技術には多くの変形例や代替技術があることを理解するであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、構造的および機能的変更を行うことができることを理解されたい。従って、本発明の概念および範囲は、添付の特許請求の範囲に記載されるように広義に解釈されるべきである。