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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】微小突起を有する起伏形成フィルム
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/511 20060101AFI20220706BHJP
   A61F 13/512 20060101ALI20220706BHJP
   A61F 13/539 20060101ALI20220706BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A61F13/511 100
A61F13/512
A61F13/539
A61F13/511 400
A61F13/15 352
【請求項の数】 39
(21)【出願番号】P 2018554730
(86)(22)【出願日】2017-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 US2017028382
(87)【国際公開番号】W WO2017184744
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-03-12
(31)【優先権主張番号】62/324,382
(32)【優先日】2016-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520462724
【氏名又は名称】フィテサ フィルム プロダクツ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FITESA FILM PRODUCTS LLC
【住所又は居所原語表記】840 SE Main Street Simpsonville, SC United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】マスキノ アンドリュー ディー
(72)【発明者】
【氏名】ルーミス ブライアン シー
(72)【発明者】
【氏名】レンナー ジョン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】クラーク ティモシー レーン
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/012399(WO,A1)
【文献】特開平01-264839(JP,A)
【文献】特開昭62-057551(JP,A)
【文献】国際公開第2016/030284(WO,A1)
【文献】特表2005-511171(JP,A)
【文献】特表2003-530243(JP,A)
【文献】特開2012-029838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位フィルム表面と遠位フィルム表面とを有し、
基準面を画定する少なくとも一の非膨隆エリアと、
前記少なくとも一の非膨隆エリアによって互いに分けられて、それぞれが弾性ブリスターのように前記基準面から外側に向けて遠位に弓なりに曲がる複数の膨隆部と、
前記遠位フィルム表面から遠位に外側に向けて伸長し、それぞれ頂点を有する複数の環状微小突起と、
を備え、
前記複数の環状微小突起の第1部分は、前記少なくとも一の非膨隆エリアから伸長し、前記複数の環状微小突起の第2部分は、前記複数の膨隆部から伸長し、
前記第1部分は、第1の突起のふくらみを有し、
前記第2部分は、第2の突起のふくらみを有し、
前記複数の環状微小突起の前記第1部分は前記複数の環状微小突起の前記第2部分に比較して圧縮されており、前記第1の突起のふくらみは前記第2の突起のふくらみよりも小さい、
高分子フィルム。
【請求項2】
前記複数の環状微小突起の前記第2部分の頂点は開口を有し、前記開口を通した液体連通を可能とする、請求項1に記載の高分子フィルム。
【請求項3】
前記複数の環状微小突起の断面は、0.9から1.1の範囲の軸比を持つ実質的に楕円形である、請求項1に記載の高分子フィルム。
【請求項4】
前記複数の環状微小突起は、40から75の範囲であるメッシュ数を持つ、請求項1に記載の高分子フィルム。
【請求項5】
前記複数の膨隆部は所定のパターンに形成される、請求項1に記載の高分子フィルム。
【請求項6】
前記少なくとも一の非膨隆エリアは、吸収性基材と付着し、積層体構造を形成するように構成された請求項2に記載の高分子フィルム。
【請求項7】
前記複数の膨隆部は、前記少なくとも一のランド部に囲まれた複数のエアポケットを画定する、請求項6に記載の高分子フィルム。
【請求項8】
前記第2部分にある前記複数の環状微小突起はそれぞれ、前記遠位フィルム表面の遠位側のエリアと、前記複数のエアポケットとの間において流体連通を可能にする、請求項7に記載の高分子フィルム。
【請求項9】
前記第2の突起のふくらみは、0.0035インチから0.0180インチの範囲である、請求項1に記載の高分子フィルム。
【請求項10】
前記複数の膨隆部のそれぞれは、前記基準面から遠位に測定した高さ寸法が、前記第2の突起のふくらみの1.5から5.0倍の範囲である、請求項9に記載の高分子フィルム。
【請求項11】
近位基材表面と遠位基材表面とを有する吸収性基材と、
近位フィルム表面と遠位フィルム表面と、を有する高分子フィルムとを備え、
前記高分子フィルムは、
基準面を画定し、前記近位フィルム表面が前記遠位基材表面に付着している、少なくとも一の非膨隆エリアと、
前記少なくとも一の非膨隆エリアによって互いに分けられて、それぞれが弾性ブリスターのように前記基準面から外側に向けて遠位に曲がり、前記近位フィルム表面と前記遠位基材表面との中間の複数のエアポケットを画定する複数の膨隆部と、
前記遠位フィルム表面から外側に伸長する複数の環状微小突起であって、前記複数の環状微小突起はそれぞれ頂点を有し、前記複数の環状微小突起の第1部は、前記高分子フィルムの前記少なくとも一の非膨隆エリアから伸長し、前記複数の環状微小突起の第2部分は前記複数の膨隆部から伸長する、複数の環状微小突起と、を有し、
前記第1部分は、第1の突起のふくらみを有し、
前記第2部分は、第2の突起のふくらみを有し、
前記複数の環状微小突起の前記第1部分は前記複数の環状微小突起の前記第2部分に比較して圧縮されており、前記第1の突起のふくらみは前記第2の突起のふくらみよりも小さい、
積層体構造。
【請求項12】
前記複数の環状微小突起の前記第2部分の頂点は、前記遠位フィルム表面の遠位側のエリアと、前記複数のエアポケットと、の間の流体連通を可能にする開口を有する、請求項11に記載の積層体構造。
【請求項13】
前記環状微小突起の断面は、0.9から1.1の範囲の軸比を持つ実質的に楕円形である、請求項11に記載の積層体構造。
【請求項14】
前記複数の環状微小突起は、40から75の範囲であるメッシュ数を持つ、請求項11に記載の積層体構造。
【請求項15】
前記複数の膨隆部は、所定のパターンに形成される、請求項11に記載の積層体構造。
【請求項16】
前記複数のエアポケットは、前記少なくともの非膨隆エリアに囲まれている、請求項11に記載の積層体構造。
【請求項17】
前記第2の突起のふくらみは、0.0035インチから0.0180インチの範囲である、請求項11に記載の積層体構造。
【請求項18】
前記複数の膨隆部のそれぞれは、前記基準面から遠位に測定した高さ寸法が、前記第2の突起のふくらみの1.5から5.0倍の範囲である、請求項17に記載の積層体構造。
【請求項19】
更に、前記複数のエアポケットの少なくとも一つに配置された不織布材を備える、請求項11に記載の積層体構造。
【請求項20】
前記不織布材は、8gsmから22gsmの範囲の目付けを有する、請求項19に記載の積層体構造。
【請求項21】
近位フィルム表面と遠位フィルム表面とを有する高分子フィルムを提供すること、
前記高分子フィルムに、前記高分子フィルムの前記遠位フィルム表面から遠位に外側に向けて伸長し、それぞれが頂点を有する複数の環状微小突起を形成すること、及び
前記高分子フィルムを、基準面を画定する少なくともの非膨隆エリアと、前記少なくともの非膨隆エリアによって互いに分けられており、それぞれが弾性ブリスターのように前記基準面から外側に向けて遠位に弓なりに曲がる複数の膨隆部と、に形成すること、
を含み、
前記複数の環状微小突起の第1部は、前記高分子フィルムの前記少なくとも一の非膨隆エリアから伸長し、前記複数の環状微小突起の第2部分は前記複数の膨隆部から伸長し、
前記第1部分は、第1の突起のふくらみを有し、
前記第2部分は、第2の突起のふくらみを有し、
前記複数の環状微小突起の前記第1部分は前記複数の環状微小突起の前記第2部分に比較して圧縮されており、前記第1の突起のふくらみは前記第2の突起のふくらみよりも小さい、
起伏形成高分子フィルム構造の製造方法。
【請求項22】
前記複数の環状微小突起のそれぞれは、その頂点に開口が形成されている、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記複数の環状微小突起のそれぞれは、0.9から1.1の範囲の軸比を持つ実質的に楕円形の断面を有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記複数の環状微小突起は、40から75の範囲であるメッシュ数を持つ、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記複数の膨隆部は所定のパターンに形成される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の環状微小突起を形成することは、ハイドロフォーム法を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記複数の環状微小突起を形成することは、真空フォーム法を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記真空フォーム法は、負圧を作用させる前に、前記高分子フィルムを柔らかくするために前記高分子フィルムを加熱することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の環状微小突起を形成することは、ニードルパンチング法を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記複数の環状微小突起を形成することは、
前記高分子フィルムを、微小開口部のパターンを有する成形スクリーンに配置することと、
前記微小開口のパターンを通して前記高分子フィルムを引っ張るために、前記高分子フィルムに亘る差圧を作用させることと、を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項31】
前記差圧は、前記複数の環状微小突起のそれぞれの頂点に穿孔を形成する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記高分子フィルムを前記少なくとも1の非膨隆エリアと前記複数の膨隆部とに形成することは、ハイドロフォーム法を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記高分子フィルムを前記少なくとも1の非膨隆エリアと前記複数の膨隆部とに形成することは、真空フォーム法を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項34】
前記高分子フィルムを前記少なくとも1の非膨隆エリアと前記複数の膨隆部とに形成することは、エンボス加工を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項35】
前記エンボス加工は、前記高分子フィルムをニップに通すことを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ニップは、隆起線同士の間にキャビティを画定する隆起線のパターンを有するスチール製ローラーと、ゴム製ローラーとの間に形成される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ゴム製ローラーは、ショアA硬度30からショアA硬度55の範囲の硬度を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記ゴム製ローラーは、ショアA硬度40の硬度を有する、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記ゴム製ローラーは、前記スチール製ローラーの前記キャビティと位置決めされた隆起エリアを持たせるために、レーザー彫刻されている、請求項36に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年4月19日に出願され「微小突起を有する起伏形状フィルム(CONTOURED FILM WITH MICRO-PROTRUSIONS)」と題された米国仮特許出願第62/324,382号からの優先権の利益に依拠するものであり、この米国仮特許出願の内容の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、該して流体輸送のための吸収性デバイスに有用である多孔性高分子フィルムに関連する。本発明はとりわけ、三次元の微小開口部及び積層体を有する起伏形状フィルム並びに、吸収性デバイスに使用するためのそのようなフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
この分野では柔らかさを向上するために三次元微小構造を持つフィルムから形成されたトップシートを有する吸収性積層体を形成することが知られている。そのようなフィルムは、真空フォーム法及びハイドロフォーム法を含むいくつかの方法のうちの一つを使用して製造することができる。それら両方法においては、フィルムは所望のパターンに対応する開口を有する回転スクリーンに置かれる。真空フォーム法において、スクリーンに亘る相対負圧が設けられフィルムは開口内に引っ張られる。それによりフィルム表面に一連の突起を形成する。負圧の差分が十分であれば、フィルムには各突起の頂点において開口(微小開口部)が形成される。ハイドロフォーム法においては、フィルムのスクリーンと反対の側に高圧の水流を向けることで類似する突起/微小開口部が形成される。水流の圧力はフィルムをスクリーンの穴へと押し込む。十分な圧力が適用されると、フィルムには各突起の頂点において開口部が形成される。微小開口部はニードルパンチ法などの機械的な方法によっても形成される。しかし、そのような方法は、最終物の知覚される柔らかさの向上に資する三次元性を提供するためには追加のステップが必要となる傾向がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フィルムに開口部が形成されると、フィルムには追加の起伏が形成され得る。しかしながら、下記により詳細に説明するように、先行技術は微小開口部とフィルムの起伏形成との組合せを最大限に活用していない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、本発明は近位表面と遠位表面とを有する高分子フィルムを提供する。高分子フィルムは、基準面において実質的に同一平面上である一又は複数のランド部及び、一又は複数のランド部によって互いに分けられている複数の膨隆部を含む。膨隆部は基準面から外側に向けて遠位に弓なりに曲がる。高分子フィルムは、更に、遠位フィルム表面から外側に向けて伸長する複数の環状の微小突起を含む。それぞれの突起は頂点を有する。複数の環状微小突起の一部分は、高分子フィルムの一又は複数のランド部のそれぞれ及び高分子フィルムの膨隆部のそれぞれから伸長する。
【0006】
本発明の別の態様によれば、本発明は、吸収性のコア層と近位表面及び遠位表面を有する高分子フィルムとを有する、フレキシブルな吸収性の基材を含む積層体を提供する。高分子フィルムは、基準面において実質的に同一平面である一又は複数のランド部を含む。高分子フィルムの近位表面は、吸収性の基材の遠位表面に接している。高分子フィルムは、更に、一又は複数のランド部によって互いに分けられている複数の膨隆部を含む。膨隆部は、基準面から外側に向けて遠位に弓なりに曲がり、高分子フィルムの近位表面と遠位表面との中間に位置するエアポケットを画定する。高分子フィルムはまた、遠位フィルム表面から外側に向けて伸長する複数の環状微小を含む。それぞれの微小突起は頂点を有する。環状微小突起の一部分は、高分子フィルムの一又は複数のランド部のそれぞれ及び高分子フィルムの膨隆部のそれぞれから伸長する。
【0007】
本発明の更に別の態様によれば、本発明は、起伏形状高分子フィルム構造を形成する方法を提供する。この方法は、近位側と遠位側とを有する高分子フィルムを提供することと、高分子フィルムに複数の環状微小突起を形成することとを含む。環状微小突起は、高分子フィルムの初期基準面から遠位に伸長する。この方法は、更に、高分子フィルムを一又は複数のランド部及び複数の膨隆部に形成することを含む。ランド部は、実質的に初期基準面と同一平面である。膨隆部は初期基準面から外側に向けて遠位に弓なりに曲がり、一又は複数のランド部によって互いに分けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来例のエンボス加工のためのベースシートである、微小開口部を含むプリエンボス成形フィルムの断面図である。
図2】従来例のエンボス成形フィルムに使用される杉綾模様の図形の平面図である。
図3図2に示されるフィルムの断面図である。
図4】微小開口部を含む成形フィルムの断面図である。
図5】本発明の一実施形態による成形フィルムの断面図である。
図6】本発明の一実施形態による積層体構造の断面図である。
図7】本発明の一実施形態による積層体構造の断面図である。
図8】本発明のフィルムに適用可能な例示的な起伏パターンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
柔らかいという感覚の一要素は、材料が触れられることで圧縮を受け、萎むことである。ふわふわした枕は柔らかく、圧縮できない岩は硬い。コガモの羽毛は柔らかいが、サンドペーパー上の硬い粒はざらざらしており引っ掛かる。当分野ではエンボス加工によって開口部が形成されたフィルムに起伏を形成することは知られているものの、得られるフィルムは圧縮性効果の利点を利用し損なっている。本発明のフィルムは、特にフィルムとフィルムが当てられる吸収性基材との間にエアポケットを提供するように構成されている膨隆起伏形状を提供する。これらのエアポケットは、得られる積層体のフィルム部分に圧縮性を提供しそれは柔らかさを加える。これらのエアポケットのフィルム中の微小開口部との伝達性は、空気がエアポケットを出入りするように提供しても良い。それにより、積層体が接触している皮膚を冷却する気流を作る。
【0010】
上述の通り、当分野では開口部を有するフィルムを形成し、その後エンボス加工によって追加の起伏を設けることが知られている。例えばカーター(Carter)に譲渡された米国特許第4,798604号(カーター‘604)は、一層はポリエチレン、一層はエラストマーである二層のウェブ(web)の上から点状に圧縮し、圧力の作用点においてエラストマーはポリエチレンウェブに接着することで、エラストマーのウェブから圧縮孔を引き出す方法を記載している。ポリエチレンウェブが取り去られると、ポリエチレンウェブに接着しているエラストマーの押圧点は取り除かれ、穿孔が形成された平坦なエラストマーのウェブができる。穿孔が形成されたウェブはその後、一方は窪みを有し、他方は隆起部を有する二本のローラーの間でエンボス加工される。これらの窪みと隆起部は位置合わせされており、孔の開いたウェブがローラーの間で圧迫されると、隆起した起伏がウェブに形成される。エンボス加工された隆起した起伏は、それぞれ一以上の平坦な穿孔を有する。
【0011】
吸収性デバイスのトップシートとして使用されるとき、カーターのウェブの隆起した起伏はユーザ側に背を向け吸収性コアの方を向き、カップとなっている。そのため、それらは穿孔を通じて吸収性コアまで液体をじょうごのように通す、又は導くことができる。この種のトップシート材は、流体を輸送することができるものの、使用中に極度に熱くなったりべたついたりする。たった19%の開放エリアと81%の平坦な開口部が形成されたフィルムは接触している皮膚を閉塞し、皮膚の毛穴からの汗の蒸発を妨げる。平坦な開口部付近のフィルム表面が組織化(texturization)されていないことと、エラストマー高分子の接着性の傾向とによって、ユーザの皮膚に張り付いて、デバイスの使用中だけでなく取り外す際にも不快感を引き起こすことすらあり得る。
【0012】
ケイブ(Cabe)に譲渡された米国特許第4,859,519号(ケイブ‘519)もまた、開口部が形成されたフィルムに布様テクスチャーを提供するエンボス加工の方法を使用している。ケイブによれば、「おむつやサニタリーナプキンのような吸収剤製品に用いる液体透過性化粧材は、デュアルエンボス加工プロセスによりテクスチャー化される(textured)。フィルムは、好ましくは初めにはっきりしたテキスタイル様パターンにエンボス加工され、それから細かく刻まれた仕上げロールでエンボス加工され、先にエンボス加工されたパターンを維持しつつ、マット仕上げされた、薄く滑らかなフィルムを製造する。二度エンボス加工されたフィルムは柔らかく形状適合性があり、より皮膚に対して快適である。」ケイブ’519の要約より引用。はっきりしたパターンは、クロスダッシュ(cross-dash)模様、杉綾模様、バスケット織模様から成るグループから選択されるテキスタイル様パターンである。一次通過マクロエンボス加工フィルムの第二通過微小エンボス加工は、マクロエンボス加工パターンを維持したまま、フィルムのZ方向における厚さを実質的にその元のユニット厚まで減少させるために行われる。
【0013】
図1から3は、ケイブ‘519に開示されたものと類似する、典型的な従来例によるフィルムの模式図を提供する。ここで図1を参照すると、三次元突起を含む従来例の成形フィルムのセグメント10の断面図が示されている。フィルムは上部雌面11と、底部雄(又は頂点)面12とを有する。ケイブ’519で述べられているように、吸収性積層体のトップシートとして使用されるとき、雄面12は積層体の吸収性コアの方向に向き、雌面11はユーザの皮膚と向き合っている。雌面11上で、突起13はランド15によって相互に接続された開口14を有する。突起13は、ランド15から雄面12に向けて伸び、頂点17で終わる側壁16を有する。突起13は、フィルムに有効厚さ又はふくらみLを与える。頂点17は、雄面12において相互に接続されていない。突起13は雌面11に開口幅18aの開口14aを有し、雄面12の頂点17において開口14bを有し、貫通開口部を形成する。いくつかのフィルムでは、突起13は頂点において開口を有しておらず、フィルムを貫通する開口部がなくてもよい。いくつかのフィルムは、いくつかの貫通開口部を備える突起13と、開口部を備えない突起13を有してもよい。開口幅18aは、通常、開口幅18bよりも大きい。成形フィルムの設計者たちは、先細りした開口部を有する成形スクリーンを有することで、故意にテーパを設けても良い。もし直線状の側壁16が望ましくても、形成過程によっていくらかのテーパが発生してしまう。雌面開口14aの間のランドは、ランド幅19を有する。
【0014】
ランド幅19は、典型的には一定である。いくつかの実施形態ではランド幅は変化しても良い。雌面11において、開口幅18aとランド幅19とを足し合わせると突起13の中心間間隔に等しい距離となる。並んだ突起の場合は、この距離は一インチ当たりに徐されて当分野で「メッシュ数」と呼ばれる値となる。換言すると、一インチの距離に並んだ突起(及び開口部又は微小開口部)の数である。当分野で一般的に「微小開口部」領域を生じさせると考えられるメッシュ数は、約40から約120の範囲である。複数の環状微小突起は、約40から約75の範囲であるメッシュ数を持つ二次元表面パターンに形成される。
【0015】
次に図2を参照すると、従来例のフィルム20のセグメントが平面視で示されている。フィルム20は、事前に形成された微小開口部(図示しない)のウェブにエンボス加工したケイブ‘519のパターンに類似する杉綾模様を有している。ゾーン25はエンボス加工によって原平面から移動しなかった微小開口部領域の平坦エリアである。ゾーン26は、ケイブ’519のエンボス加工ステップによって得られる杉綾模様の圧縮エリアである。
【0016】
図3は、図2のフィルム20の一部分の断面図で、一連のエンボス加工されていない突起23及びエンボス加工された突起24を示している。前述のように、エンボス加工されたフィルム20は、突起23側を示す雄面22と、雌面21とを有する。エリア26a及びエリア26bは、エンボス加工によって微小開口部領域に圧縮された杉綾模様のエリアである。エリア25a、25b及び25cは、エンボス加工によって圧縮されていないエリアである。従来技術の目的として規定されているように、元のふくらみLは、エンボス加工ステップの実施後、エンボス加工されていないエリア25において本質的に維持されている。従来例に述べられているように、この種のフィルムが吸収性積層体のトップシートとして使用されるとき、雄面22は積層体の吸収性コアに面する。したがって、窪んでいないエリアのランド27は、そのような積層体を使用するデバイスの装着者の皮膚に接触する一方で、杉綾模様のエンボス加工されて窪んでいるエリアのランド28は皮膚に接触しないかもしれない。やはり、皮膚に接触しているフィルムは毛穴を閉塞し、不快な熱くべたつく感覚を引き起こす可能性がある。
【0017】
図4は、本発明の実施形態によるフィルムの前駆体として使用可能な微小開口部が形成されたウェブの断面図を図解している。ウェブ30は、ランド35によって分割された複数の微小突起33を有し、吸収性積層体のトップシートとして使用可能である。しかしながら、前述のフィルムとは異なり、ウェブ30は吸収性積層体中での使用において、雌面31は吸収性コアに面し、雄面32はユーザの皮膚に接触するように構成されている。この違いは、雄面32は上方に向け、雌面31は下方に向けて模式的に図解されている。もし突起33が十分なふくらみLを有するとすれば、吸収性デバイスにおいて雄面32を装着者の皮膚に対面させることで柔らかいという感覚が向上することは、当業者に理解されるであろう。ふくらみは、触れられたときしなったり曲がったりするために必要で、そのために柔らかいという感覚が生じる。本発明の微小開口部が形成されたウェブの場合、前駆体ウェブ30の少なくとも約0.0035インチである。ふくらみは、0.0180インチの高さであっても良い。0.0180インチよりも高いふくらみは、典型的にマクロ開口部領域で見受けられ、本発明の方法における前駆体ウェブとしては最適ではないかもしれない。
【0018】
このように使用されるとき、微小突起/微小開口部(しばしば三次元微小開口部又は3D微小開口部と呼ぶことがある)のパターンは二重の機能を持ちうる。すなわち、1)それらは、微小開口部を通して吸収性コアに向けて流体を移動させることができ、2)それらの外側に向けられた微小突起は触り心地に柔らかさを加え、より大きな快適さをもたらす。相互に接続されていない雄面の微小開口部が形成された頂点の全面積は、とても小さい皮膚との接触面積を提供する。図4に示すように、頂点が開放されている場合、開口34を取り囲むエリア39のみが皮膚と接触する。この接触エリア39は、図1の従来例のように突起13間のランド15皮膚に接触する場合に比較して、著しく小さい。エリア39による皮膚の閉塞は軽微である。また、本発明の微小開口部が形成されたウェブのふくらみによって、皮膚に隣接して空気の層が提供される。ふくらみL及び、近接する微小突起33の側壁36間に形成される空間によって空気が保たれるからである。
【0019】
三次元の開口部が形成された前駆体ウェブ30は、真空フォーム法、ハイドロフォーム法、及び機械的方法を含む、当分野において既知のいかなる方法によって製造しても良い。他を除外せずここに含まれるのは、ルーカス(Lucas)に譲渡された米国特許第4,151,240号に見られるような方法である。しばしば「再加熱法」と呼ばれるこの方法では、フィルムを柔らかくするためにホットエアカーテンが当てられ、真空吸引力はフィルムを成形スクリーンの上に引っ張り、そこで柔らかくなったウェブは成形スクリーンのセルパターンを複写する。加えて、トーマス(Thomas)に譲渡された米国特許第4,535,020号は、真空フォーム法を説明する。その方法では、押出溶融ウェブが真空吸引力によって成形スクリーンの上に引っ張られ、スクリーンのセルパターンを複写する三次元パターンをもたらし、その後スクリーン上にある間にその新しい形状にクエンチする。クーロ(Curro)に譲渡された米国特許第4,839,216号は、典型的には水であり、典型的にはフィルムを柔らかくするために熱せられている高圧液体流が、成形スクリーンの開口部パターンに対応する微小開口部をフィルムに容易に形成することができる方法を教えている。機械的なニードルパンチング法もまた適用されることができ、その方法では、パターン化されたニードルは、フィルムを通してゴムのローラーに打ち込まれる。ローラーは、ニードルと位置決めされたキャビティを有していても良いし、有していなくても良い。ニードルパンチング法は、それほど接近している場所にニードルを集めることは難しいため、大きなメッシュ数が望ましい場合には適さないかもしれない。
【0020】
本発明のフィルム/ウェブはいかなる適切な高分子からも形成できることが理解されるであろう。とりわけ適切な高分子は、これらに限られないが、ポリエチレン、低密度及び超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、直鎖状低密度及び中密度ポリエチレン、メタロセン、ブロック共重合体、酢酸ビニル共重合体、並びに種々のエラストマーを含む。それらは、フィルム押出の分野の当業者が、様々なフィルムの特性条件を満たすために設計し得るように、単層フィルムに混合されて、若しくは独立して押出しされて、又は二層から五層又はそれ以上の層を有する共押出しフィルムに形成されて使用されても良い。
【0021】
図5は、本発明の一実施形態による例示的な起伏形成フィルム40の断面図である。図4の前駆体フィルム30と同様に、起伏形成フィルム40は複数の微小突起43a、43bを有し、それらは典型的には(しかし必ずしも必要という訳ではなく)その頂点に穿孔を有する。起伏形成フィルム40は、また、非膨隆エリア53によって接続されている膨隆エリア51に、複数の膨隆49を有する。膨隆エリア51は非膨隆エリア53の面から外側に向けて伸長した弾性ブリスターに似ている。後ほどより詳しく説明するように、フィルム40が基材に配置されたり積層されたりする場合、膨隆エリア51及び基材は合同して空気を満たすことのできるボイド又はポケットを規定する。
【0022】
ここで、起伏形成フィルム40についてより詳細に議論する。起伏形成フィルム40の膨隆エリア51は、典型的には非膨隆エリア53を拘束してフィルムに圧力差を適用することで製造される。こうすることで、拘束されたエリアの間のエリアを引き出す又は膨隆させることができる。得られた膨隆は、非膨隆エリア53におけるランド45の面からの膨隆高さHを有する。
【0023】
フィルム40は、膨隆エリア51に微小突起43aを、非膨隆エリア53に微小突起43bを有する。膨隆工程における非膨隆エリア53の拘束の効果により、微小突起43bは圧縮され得る。このステップの前には、微小突起43a、43bは全て図4の前駆体ウェブ30の微小突起に実質的に類似し得る。実際に、本発明のいくつかの実施形態では、起伏形成フィルム40は、前駆体ウェブ30又は、開口部が形成された若しくは開口部が形成されていないプレ形成された微小突起を有するその他の類似するウェブに、追加の形成動作を行うことで、形成され得る。その他の実施形態では、前駆体ウェブ30を形成するために使用する方法は、同時に(又は順次すぐに)三次元微小突起及び起伏形成フィルム40の膨隆を製造するように変更され得る。開口部が形成された微小突起とフィルムの膨隆が順次行われる操作により形成されるときは、非膨隆エリア53における微小突起の圧縮は、これらのエリアにおける開口部の閉鎖をもたらすことが理解されるであろう。
【0024】
前駆体ウェブに膨隆工程が施されるとき、圧縮されていない微小突起43aのふくらみは膨隆工程の前後で実質的に同一である。ふくらみLを有する前駆体ウェブから形成された適切な実施形態では、膨隆高さHは、有利に、前駆体ウェブのふくらみLよりも少なくとも1.50倍大きい。いくつかの実施形態では、膨隆高さHは、ウェブの元のふくらみLよりも5.00倍大きいか、又はそれ以上であっても良い。
【0025】
本発明の起伏形成ウェブは、女性用ナプキン、パンティーライナー、乳児用おむつ、成人用おむつ、失禁用インサート、包帯その他といったような吸収性物品に使用される積層体材料におけるトップシートとして使用しても良い。図6は、起伏形成フィルム40と吸収性基材60とを含む吸収性積層体100を図解する。吸収性基材は、それ自体が吸収性コア層(図示しない)を含む複数層の材料であって良い。起伏形成フィルム40は、熱又は二次接着加工、スティッチングを含む、当分野で知られたいかなる適切な方法によって基材60に保持されても良く、その方法では、ランド35は基材60の上側表面62に接する。
【0026】
起伏形成フィルム40の膨隆エリア51は基材60の上側表面62と合同して、起伏形成フィルム40と基材60の間にボイド又はポケット110を画定する。起伏形成フィルム40が貫通穴を有している場合に、ポケット110は起伏形成フィルム40の雄面の周囲環境と流体連通している。したがって、空気は、フィルム40の穿孔を通ってポケット110の中に、又はポケット110から外に通過できる。ポケット110は、空気で満たされているとき、緩衝効果を提供する。穿孔の大きさと数は、フィルム40の相対空隙率が基材60よりも大きくなるように選択しても良い。そのため、ポケット110に空気があると、膨隆49の圧縮は、空気がポケット110からフィルム40の穿孔を通って、「微小パフ(micro puff)」とも称され得るものの中に押し出される。圧縮力が解除されると、膨隆49は元の状態に戻り、それにより空気はポケット110に引き戻される。この働きは、このトップシート材のもつ、涼しく乾いているという感覚を増強可能な気流による微小パフを生じる、ふっくら効果を発揮することができる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、吸収性積層体は、起伏形成フィルムを、得られたエアポケットを満たすふくらんだ不織布層70と共に、包含しても良い。図7は、起伏形成フィルム40と、吸収性基材60と、フィルム40及び基材60の間のポケット210を満たすように配置される中間不織布材70と、を使用する、積層体200の断面図である。少なくとも約8g/m(gsm)から約22gsmの目付けの不織布が使用されて良い。スパンボンド不織布、カード(carded)不織布、エアレイド不織布、若しくはスパンレース不織布又はその他の種類の不織布が使用されて良い。理想的な不織布は、低いマス/空間比率(mass-to-space ratio)及び低い圧縮抵抗を与える小さな繊維径を有する。その目的は、フィルムの膨隆49の下方のエアポケット210を満たすふわふわした不織布繊維を得ることである。ふわふわした不織布は低いマス/空間比率を有するため、ポケット210の空気と目立つほどには置き換わらない。更に、ふわふわした繊維は低い圧縮抵抗を有するため、上記のふっくら効果にそれほど影響しない。これらの繊維は、しかしながら、ポケット210内に存在する繊維間に毛細管吸引手段を提供することで、増強された液体輸送時間を与えることができる。
【0028】
経済的であり、かつ効果的であることが見いだされた一つの組合せは、スパンボンド不織布層と、膨隆起伏を生成するのと同時に、開口部が形成された若しくは微小開口部が形成された、又は開口部が形成される若しくは微小開口部が形成されるフィルム層とを組み合わせることである。これを成し遂げる一つの方法は、参照により本明細書に組み込まれるマスキノ(Maschino)に譲渡された米国特許第7,364,687に開示された方法に類似する、ハイドロフォーム法である。クーロに譲渡された米国特許第4,839,216に示される上述の技術等の、その他のいくつかの高圧ウォータージェット法も使用可能である。スパンボンド不織布材は、最終的なふくらみ又は「ふわふわ感」を減らす可能性のある特異接着点を有する。一方、ハイドロフォーム法のウォータージェットの力は、これらの繊維の結合のいくつかを解消し、繊維を垂直方向又はやや垂直方向に配向させ、より多くのふくらみと毛羽立ちを生成する。したがって、不織布を毛羽立たせると同時に開口部が形成されたフィルムに膨隆エリアを生成するハイドロフォーム法は、比類のない実施形態を作り出すことができる。
【0029】
更に難しいかもしれないものの、ここに示される種類の膨隆並びに、開口部が形成された微小突起及び開口部が形成されていない微小突起を生成するのに使用し得るその他のフィルム形成方法がある。それらの方法は、微小開口部の領域内にキャビティのパターンを有するスクリーン上にフィルムを形成することを含み、キャビティは、フィルムの膨隆エリアを形成する。真空フォーム法もまた、それを達成することができる。しかし、より高圧を使用するハイドロフォーム法は、よく適している。特に理想的であるのは、ハイドロフォーム法がフィルムと不織布とを一緒に流し、ウォータージェットの力を使用して垂直に配向した繊維の一部を微小開口部の開口に押し入れる時である。繊維を微小開口部の頂点の開口に有することは、更なる流体の捕捉を強化する、わずかな毛細管現象を提供する。また、この例において不織布の原繊維及びハイドロフォーム法による細繊維化が共存するため、一層材料の柔らかいという感覚を増強することができる。
【0030】
上述の通り、非膨隆エリア53の微小突起43bは、膨隆工程において圧縮され得る。ハイドロフォーム法による工程の例では、フィルムの一部を膨隆させる圧力差は高圧ウォータージェットに由来し、微小突起43bの圧縮は非膨隆エリア53を成形スクリーンのパターンの一部に対して押し付けることによって引き起こされる。より一般的に使用される方法であるニップエンボス法では、圧力は、噛み合わせのニップ点(nipped point)において回転している間にゴム製のローラーに押し付けられる、隆起線のパターンを備えたスチール製のエンボス加工用ローラーに由来する。
【0031】
隆起線のパターンを備えたスチール製ローラーを有する例示的な一実施形態では、「Y」形の隆起線のネスティングされた(nested)パターンが利用される。図8は、スチール製のエンボス加工用ローラーの一部の平面図である。示されたパターンは、ローラーの表面と連結される点における隆起線の基部を表す。この構成においては、基部の幅63は0.040インチである。「Y」形の線がローラーの表面から上るにつれてそれらは上方に向けて先細りし、約0.040インチの高さにおいて最も狭い0.018インチの幅となる。
【0032】
再び図8を参照すると、太い「Y」61と細い「Y」82とは集まって基本的にダイヤモンド形である輪郭を形成する。このダイヤモンドの内接円は約0.150インチの直径を有する。これらの集合はその後、縦軸に約0.30インチである距離64を置いて集合を配置することで、ネスティングされて、総パターン配置を形成する。集合は、横軸にも約0.25インチである距離65を置いてネスティングされる。望ましい場合には、縦軸と横軸との配向は90度回転しても良い。図8に見られるように、この並びでは、ダイヤモンド様集合の間に他の多角形エリアが生成される。これらの他の多角形エリアもまた、ダイヤモンド形の囲まれたエリアと同様に、パフを形成する。パフの形成に使用するその他の多くの隆起線の形状が適用されてもよい。環状、曲線状、又は種々の多角形は、設計者の望みによって、消費者の目を楽しませるために使用されても良い。
【0033】
機械的エンボス加工技術においてよく知られているように、スチール製のパターンローラーは、典型的には回転のニップ点においてゴム製ローラーに押し付けられる。本発明の技術では、ゴム製ローラーは、従来のゴム製ニップローラーに比較して幾分柔らかい。この特有のパターンの例では、ショアA硬度40の圧縮率である。少なくともショアA硬度約30からショアA硬度約55以下の圧縮率の値が使用可能である。十分なニップ圧は、柔らかいゴムを「Y」形の隆起線の間のキャビティに、わずかに押し込む。これは、図5に描写されるように、非膨隆エリア53を形成することと、膨隆49とを隆起させることとの両方の助けになる。圧力が小さすぎると、膨隆高さHは低くなる可能性がある。圧力が高すぎると、全ての微小開口部は押しつぶされ、柔らかいと感じさせる効果や流体を移動させる効果を失う可能性がある。ローラー表面の温度もまた、フィルムが新しい形状に変形する能力を向上させることのできる変数である。圧力と同様に、高すぎても低すぎても逆効果となり得る。ニップから出てくるフィルムを観察することで、適切な圧力と温度のバランスが設定できる。
【0034】
いくつかのモデルでは、ゴム製ローラーの表面は、スチール製ローラーの隆起線の間のキャビティと位置決めされた隆起エリアを持たせるために、レーザー彫刻されている。ゴム製ローラーの隆起ゾーンは、その高さに関し、付される圧力と温度とのバランスと連動して適合されて良い。高すぎると開口部を押しつぶしてしまうかもしれないし、低すぎると効果的でないかもしれない。しかしながら、ゴム製ローラーに隆起エリアを加えることは、この方法を向上させる。
【0035】
本発明による膨隆部起伏ウェブトップシートを有する吸収性積層体は、従来技術に対する2つの性能利点を生じる。柔らかさの一次的変数の一つは触れられたときに材料が圧縮する能力であるため、膨隆によって提供されるエアポケットは、そのような圧縮時に備える。柔らかさの更なる向上は、ハイドロフォーム法による微小開口部の製造によって成し遂げられる。その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願番号第62/266,256に開示されているように、ハイドロフォーム法は雄面側の微小開口部の頂点において微繊維化を引き起こす。‘256出願に記述されているように、先行技術のハイドロフォーム法によって製造された楕円形に対して、本質的に丸い形である43.5メッシュ数の3D微小開口部を形成するために、特別に適合させたスクリーンと技術が使用され得る。‘256出願に示されている方法は、0.9から1.1までの幅の軸比を持つ楕円形の断面を有する微小突起/微小開口部を生成するために使用できる。43.5メッシュ数の実体的に円形の微小開口部は、87微小知覚ポイント(nicro-sensory points)を生成する。80ポイントを超えると柔らかいという感覚を生むと信じられており、付加された微繊維化は、滑るような動きで撫でられたときウェブを一層柔らかくする。
【0036】
この微小開口部が形成された材料のプレエンボス加工されたふくらみは、約0.0140インチである。上述の方法によってこの材料を膨隆工程にかけた後、ウェブの実効ふくらみは膨隆高さである。この方法論の一試みにおいて、膨隆高さは約0.0228インチである。そのため、この実施例の膨隆高さは、前駆体ウェブの元のふくらみよりも約1.63倍も高い。膨隆エリアにおけるこの拡張された高さは、柔らかさの二次的変数、つまり、全体的な圧縮、又はマクロエリアスケールに対する圧縮に備える。上述されたふくらみの値は、直径2.50インチの脚部を有するノギスによって、脚部と軸部とのごくわずかな質量以外の荷重をかけずに測定された。圧縮を避けるというために非常にわずかな荷重しか掛けないことを意図した機構であるThwing-Albert社の低荷重マイクロメータモデルNo.89-1を利用して、このウェブを測定し、膨隆を持つフィルムは0.0146インチと測定された。この意図的な軽い荷重は、膨隆をほぼ完全に圧縮する。このことは、膨隆が圧縮の際に接触に対して柔らかいという感覚を増強するために、消費者の軽いタッチですらこの材料の全体的なマクロエリアでの圧縮に起因する柔らかいという感覚を生むことを示唆する。また、ふっくら効果は、気流による微小パフを引き起こすために自在に生じ得ることも示す。
【0037】
このようなフィルムの望ましい利用法であるトップシートとして使用されるとき、柔らかく快適であるべきのみならず、流体捕捉時間(fluid acquisition time)と再湿潤(rewet)に対する適切な性能を有するべきである。このフィルムは、標準EDANA ERT 151.3-02法により試験されたとき、平均流体捕捉時間2.48秒及び再湿潤値0.072gを有していた。最大で約3.50秒未満の捕捉時間が機能し得るところ、この材料は基準を満たす。再湿潤値1.00g未満は一般的に濡れている感覚を与えると知覚されないところ、この材料は一貫して少なくとも約0.80gまたはそれ以下の再湿潤であり、約0.02gの低さにもなり得る。再湿潤に関しては、0.072gの値を有しており、確かにドライのカテゴリーに属する。
【0038】
この材料はパンティーライナーのトップシートとして使用することを意図しているものの、いかなる種類の吸収性デバイスの一層としても有用であり得る。そのようなデバイスは、サニタリーナプキン、成人失禁用インサートまたはおむつ、乳児用おむつ、ベッドカバー、包帯、創傷包帯、創傷クレンザー、クレンジングワイプ、外科用ドレープ等を含み、これらに制限されるものではない。
【0039】
本発明は幅広い実用・応用が可能であることは、当業者に容易に理解されるであろう。本発明の、本明細書に説明した以外の多くの実施形態と適応例は、多くの変形例、修正例及び均等な改変例と共に、本発明の実体又は範囲から逸脱することなく、本発明及び本発明の上述の説明から明白であり又は合理的に示唆されている。
【0040】
したがって、本発明は、本明細書において好ましい実施形態との関係において詳細に説明されたものの、本開示は本発明の例示に過ぎず、単に本発明の全体的かつ有効な開示を提供することを目的としたものであると理解されるべきである。上述の実施形態に対する多くの修正例は本発明の趣旨と範囲から逸脱せずに行うことが可能である。そのため、上記の開示は、本発明を解釈若しくは制限すること又は反対にその他の実施形態、適応例、変形例、修正例、均等な改変例を除外することを意図したものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8