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特許7100593骨関節の炎症および疼痛ならびに軟骨損傷の予防および/または治療に有用な組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】骨関節の炎症および疼痛ならびに軟骨損傷の予防および/または治療に有用な組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/87 20060101AFI20220706BHJP
   A61K 31/235 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 31/7008 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 36/63 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 36/758 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20220706BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220706BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220706BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A61K36/87
A61K31/235
A61K31/7008
A61K36/63
A61K36/758
A61K36/9068
A61K47/54
A61P3/10
A61P19/02
A61P29/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018568667
(86)(22)【出願日】2017-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-18
(86)【国際出願番号】 EP2017066002
(87)【国際公開番号】W WO2018002144
(87)【国際公開日】2018-01-04
【審査請求日】2020-06-12
(31)【優先権主張番号】102016000067621
(32)【優先日】2016-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】591092198
【氏名又は名称】インデナ エッセ ピ ア
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ボンバルデッリ、 エツィオ
【審査官】菊池 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-013031(JP,A)
【文献】国際公開第2015/124616(WO,A1)
【文献】特表2013-532671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/87
A61K 31/235
A61K 31/7008
A61K 36/63
A61K 36/758
A61K 36/9068
A61K 47/54
A61P 3/10
A61P 19/02
A61P 29/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨関節の炎症および骨関節の疼痛ならびに骨関節の軟骨損傷の予防および/または治療に使用するための以下を含む組成物:
a)リン脂質と複合されたビティス・ビニフェラ抽出物を0.1~2.5%w/wの範囲;
b)ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物を0.1~1%w/wの範囲;
c)ザントキシラム・ブンゲアヌムおよび/またはザントキシラム・ピペリツムの親油性抽出物を0.1~1%w/wの範囲;および
d)オリーブ油(オレア・ユーロパエア)の非鹸化性画分を0.1~1%w/wの範囲。
【請求項2】
d)オリーブ油(オレア・ユーロバエア)の非鹸化性画分が、e)N-アセチルグルコサミン、または、f)ジアセレインに置き換わった、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
以下を含む、請求項1に記載の組成物:
a)リン脂質と複合されたビティス・ビニフェラ抽出物を1%w/w;
b)ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出を0.5%w/w;
c)ザントキシラム・ブンゲアヌムおよび/またはザントキシラム・ピペリツムの親油性抽出物を0.5%w/w;および
d)オリーブ油(オレア・ユーロパエア)の非鹸化性画分を0.5%。
【請求項4】
小関節および膝および大腿骨窩のような大関節における末梢疼痛、および全身性疼痛の予防および/または治療における、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
抹消痛、筋肉痛、および、皮膚炎症からなる群より選択される炎症状態の予防および/または治療における、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
抹消痛が、糖尿病性ニューロパチーによる疼痛および/または化学療法によって誘発される疼痛である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
ニューロパチーが、白金誘導体によって引き起こされる請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
組成物が、経口により投与される、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)抽出物の遊離形またはリン脂質との複合体の形、またはプニカ・グラナツム(Punica granatum)抽出物;
ジンジバー・オフィシナーレ(Zingiber officinale)の親油性抽出物;および
多価不飽和脂肪酸イソブチルアミドを含有する植物から得られる抽出物を、
オリーブ油および/またはコーン油の非鹸化性画分と組み合わせて、あるいはN-アセチルグルコサミンまたはジアセレインと組み合わせて含んでなり、
骨関節の炎症および疼痛ならびに軟骨損傷の予防および/または治療に有用である組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢炎症、特に関節摩耗、骨関節炎、リウマチ性関節炎および乾癬性関節炎に関連するものが、中年および高齢者における身体障害の主な原因に含まれる。
【0003】
前記障害はかなり異なる病因を有する。ある場合には、それらは自己免疫障害であり、他のものでは、特に個体が過体重であるときに一定のストレスを受ける主関節の機械的磨耗、および加齢過程に関連する代謝異常生化学的変化が原因の障害である。生化学的変化は、プロテオグリカン合成の変化およびサイトカインの過剰産生を含み、それらが炎症を維持する。
【0004】
骨関節炎(OA)は、滑膜の変性および関節軟骨および軟骨下骨の破壊を特徴とする変性疾患である。この症状は、65~73歳の人口の約10%に影響を及ぼし衰弱させている。
【0005】
リウマチ性関節炎および乾癬性関節炎の治療は存在するが、それらは不快で衰弱的であり、また、骨関節炎のための特定の治療は現時点で存在しない。
【0006】
第一選択薬は、相変わらず、対症療法の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)であり、それはしばしば患者によってあまり耐容されない。
【0007】
高用量アスピリンから最新世代のものまでの古典的な消炎剤は、特に胃レベルで、そして最近発見されたように心臓レベルおよび血管レベルでも、必然的に長時間の治療および重篤な副作用を伴う。
【0008】
関節へのヒアルロン酸の浸潤または自己幹細胞の浸潤が、関節の損傷、したがってその症状を軽減するために使用される。
【0009】
近年、OAサプリメントの消費量が急激に増加している。これらサプリメントは、実質的にコンドロイチン硫酸、グルコサミンまたはそれらの誘導体、ジアセレインおよびいくつかの油の非鹸化性画分に基づく製剤であり、常に、痛みを軽減するための主要な薬剤と組み合わせて使用されている。
【0010】
これらすべての製品、および他の多くの植物由来の製品が使用されているが、関連する問題の1つは疼痛軽減のレベルの低さであり、患者は上記の鎮痛剤を使用せざるを得ないが、それは、最新の分析によれば、骨幹端軟骨を回復するように設計された治療の利益を減らすものである。
【0011】
したがって、治療効果を損なうことなく治療の耐容性を改善する新しい骨関節炎製品が必要とされている。
【0012】
ジンジバー・オフィシナーレ(Zingiber officinale)、エキナセア種(Echinacea spp)、ザントキシラム・ブンゲアヌム(Zanthoxylum bungeanum)、ピペリツム(piperitum)またはアルマツム(armatum)またはアクメラ・オレラセア(Acmella oleracea)(またはスピランテス・オレラセア(Spilanthes oleracea))の抽出物のような薬用植物由来の親油性抽出物は、局所または全身適用されて、カンナビノイド受容体CB1及びCB2およびバニロイドのリガンドである多価不飽和脂肪酸イソブチルアミドの存在を伴って、抗炎症および鎮痛作用を奏し、特にTRPV1アゴニストとして作用することが知られている。しかしながら、それらの抗炎症活性および鎮痛活性は、それらが障害の発症をもたらす最終原因に作用しないので、骨関節問題を解決するのに不十分である。
【0013】
ヒアルロニダーゼ、コラゲナーゼおよびエラスターゼのような抗ラジカルおよびプロテアーゼ阻害活性を有する分子が、標的器官に到達することを条件として、インターロイキン1および6阻害剤と一緒になって、関節機能を改善することが薬理学から知られている。
【0014】
臨床文献に報告されたデータは、一般的な疼痛治療条件が、副作用の発生により治療を時期尚早に中断する必要なく、一部の物質を充分に長期間使用することを許容するならば、充分に長期間摂取された場合、関節損傷の防止に役立ち得ることを示している。
【0015】
したがって、骨関節の炎症および疼痛ならびに関節軟骨の損傷の予防および/または治療に有用な代替製品を同定することが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、
a)ビスティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)抽出物の遊離形またはリン脂質との複合体の形、またはプニカ・グラナツム(Punica granatum)抽出物;および
b)ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物;および
c)エキナセア種抽出物またはザントキシラム種抽出物またはアクメラ・オレラセア(またはスピランテス・オレラセア)抽出物からなる群から選択される多価不飽和脂肪酸イソブチルアミドを含有する植物から得られる親油性抽出物;および
d)オリーブ油および/またはコーン油の非鹸化性画分;または
e)N-アセチルグルコサミン;または
f)ジアセレイン
を含む組成物に関する。
【0017】
本発明はまた、骨関節の炎症および疼痛ならびに軟骨損傷の予防および/または治療における前記組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
驚くべきことに、ビスティス・ビニフェラ抽出物の遊離形またはリン脂質との複合体の形、またはプニカ・グラナツム抽出;ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物;および多価不飽和脂肪酸イソブチルアミドを含有する植物から得られる抽出物を、オリーブ油および/またはコーン油の非鹸化性画分と組み合わせて、あるいはN-アセチルグルコサミンと、またはジアセレインと組み合わせて含む組成物が、骨関節の炎症および疼痛、ならびに、関節窩の摩耗、特に露出した骨部の摩耗によって引き起こされる損傷の予防および/または治療に有効であることが、今回発見された。
【0019】
本発明は以下を含む組成物に関する:
a)ビスティス・ビニフェラ抽出物の遊離形またはリン脂質との複合体の形、またはプニカ・グラナツム抽出物;および
b)ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物;および
c)エキナセア種抽出物またはザントキシラム種抽出物またはアクメラ・オレラセア(またはスピランテス・オレラセア)抽出物からなる群から選択される多価不飽和脂肪酸イソブチルアミドを含有する植物から得られる親油性抽出物;および
d)オリーブ油(オレア・ユーロパエア)および/またはコーン油の非鹸化性画分;または
e)N-アセチルグルコサミン;または
f)ジアセレイン。
【0020】
プニカ・グラナツム抽出物は、好ましくは熟した果実からエタノールでの抽出および吸収性樹脂上での精製によって得られる。この抽出物は、40%w/wのプニカラギン含有量によっても特徴付けられ得る。
【0021】
ビスティス・ビニフェラ抽出物は、好ましくは、英国特許第15441469号、欧州特許第2189062号または欧州特許第1909750号に記載されているように種子から得られる。
【0022】
本発明によれば、「ビスティス・ビニフェラ抽出物のリン脂質との複合体の形」は、欧州特許第0275224号に従って調製される生成物を意味する。
【0023】
ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出は、根および根茎から得られることが好ましい。抽出物は、また、好ましくはジンゲロールおよびショウガオール含有量が高く;30%w/wのジンゲロールおよびショウガオール、好ましくは25%w/wのジンゲロールを含有するジンジバー・オフィシナーレ抽出物が特に好ましい。
【0024】
エキナセア種、ザントキシラム種またはアクメラ・オレラセア(またはスピランテス・オレラセア)抽出物は、通常抽出に用いられる非プロトン性溶媒で抽出することによって各植物の果実又は部分から得ることができる。
【0025】
エキナセア種、ザントキシラム種、ジンジバー・オフィシナーレおよびアクメラ・オレラセアの親油性抽出物は、根または根茎から、アルコール、ケトンまたは脂肪族エーテルで、または好ましくは超臨界条件下の二酸化炭素で抽出することによって得ることができる。エキナセア種抽出物はEP0464298A1(2頁1~52行、および5頁45行目~6頁7行)に従って調製することができる。ザントキシラム種の親油性抽出物は、WO00/02570A1(1頁26行~2頁13行、および4頁28行~7頁21行)に従って調製することができる。ザントキシラム種の親油性抽出物は、好ましくは、ザントキシラム・ブンゲアヌムまたはピペリツム抽出物であり、より好ましくは、25%w/wのイソブチルアミドを含む標準化抽出物である。
【0026】
オリーブ油の非鹸化性画分は、核果から抽出することができる油も含むオリーブ搾りかす油を鹸化し、トリテルペン、ステロール、長鎖分岐または非分岐アルコールおよびスクアレンから非鹸化性画分を単離することによって調製することができる。オレア・ユーロパエアの副産物が好ましく使用される。テルペンおよびポリアルコールの含有量は、40~90%w/wの範囲であり、好ましくは60%w/wである。
【0027】
本発明の好ましい態様によれば、組成物は以下を含む。
a)ビスティス・ビニフェラ抽出物の遊離形またはリン脂質との複合体の形、またはプニカ・グラナツム抽出物;
b)ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物;
c)エキナセア種、ザントキシラム種またはアクメラ・オレラセア(またはスピランテス・オレラセア)の親油性抽出物、好ましくザントキシラム種抽出物、さらに好ましくはザントキシラム・ブンゲアヌム;および
d)オリーブ油(オレア・ユーロパエア)の非鹸化性画分。
【0028】
経口投与用の本発明による組成物は、投与単位あたり、以下を含むことができる。
a)ビスティス・ビニフェラ抽出物の遊離形またはリン脂質との複合体の形、またはプニカ・グラナツム抽出物を50~1000mgの範囲、好ましくは200mg;
b)ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物を10~80mgの範囲、好ましくは50mg;
c)ザントキシラム種の親油性抽出物を1~50mgの範囲、好ましくは20mg、あるいは、エキナセア種またはアクメラ・オレラセア(またはスピランテス・オレラセア)の親油性抽出物を5~50mgの範囲、好ましくは10mg;および
d)オリーブ油(オレア・ユーロパエア)の非鹸化性画分を50~500mgの範囲、好ましくは150mg。
【0029】
本発明のさらなる態様によれば、組成物中の非鹸化性画分は、50~500mgの範囲の量、好ましくは150mgのN-アセチルグルコサミン、または20~200mgの範囲の量、好ましくは50mgのジアセレインによって置き換えられてもよい。
【0030】
特に好ましい態様によれば、経口投与用の組成物は、投与単位あたり、リン脂質と複合されたビスティス・ビニフェラ抽出物200mg、30%w/wのジンゲロールとショウガオールを含むジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物50mg、ザントキシラムラム種の親油性抽出物10mg、およびオリーブ油(オレア・ユーロパエア)の非鹸化性画分100mgまたはN-アセチルグルコサミン150mgまたはジアセレイン50mgを含む。
【0031】
好ましい態様によれば、局所投与用の本発明による組成物は、以下を含むことができる。
a)リン脂質と複合されたビスティス・ビニフェラ抽出物を0.1~2.5%w/wの範囲、好ましくは1%w/w;
b)ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物を0.1~1%w/wの範囲、好ましくは0.5%w/w;
c)ザントキシラム種の親油性抽出物を0.1~1%w/wの範囲、好ましくは0.5%w/w;および
d)オリーブ油(オレア・ユーロパエア)の非鹸化性画分を0.1~1%w/wの範囲、好ましくは0.5%w/w。
【0032】
本発明はまた、骨関節の炎症および疼痛ならびに軟骨損傷の予防および/または治療における前記組成物の使用に関する。
【0033】
これらの組成物は骨関節の炎症および疼痛の予防および/または治療に有用であることが分かった。それらは、骨幹端軟骨および滑液中におけるプロテオグリカン加水分解の合成または阻害に作用する。
【0034】
本発明による組成物は、全ての種類の抹消痛、例えば、糖尿病性ニューロパチー、化学療法によって誘発される、特に白金誘導体によって引き起こされる神経性疼痛、種々の起源の筋肉痛、および、種々の起源の皮膚炎症のような炎症状態の予防および/または治療において有用であると分かった。
【0035】
これらの組成物は、特に小関節および大関節における、骨関節の炎症および疼痛、特に末梢および全身性の疼痛の治療に特に有効であることが分かった。歩行に不可欠な膝や大腿骨窩などの大きな関節へのそれらの影響は特に重要である。
【0036】
本発明による組成物は、ステロイド系および非ステロイド系抗炎症薬とは異なり、治療を中止した後でも、強力で長期にわたる鎮痛作用および抗炎症作用を示した。
【0037】
本発明による組成物は、関節マトリックスの生理的回復ができるようにし、それ故、関節への潤滑剤またはステロイドの浸潤などの侵襲的治療を減らすのに有用である。
【0038】
本発明による組成物の成分は、個々に摂取された場合、小さな効果を示したが、本発明により適切に組み合わされた場合、忍容性及び有効性の点で全く異なるプロファイルを生じ、相乗的効果を示した。本発明による組成物は、大きな長期的副作用を伴わずに鎮痛および抗炎症効果を有するので、患者にとって極めて有利である。
【0039】
本発明による組成物を含む製剤は、例えば、米国ニューヨーク州マック出版の「Remington’s Pharmaceutical Handbook」に記載されているような従来の技術によって得ることができる。特に、本発明による組成物は、植物ベースの成分を配合するために従来から使用されている技術によって配合することができる。
【0040】
本発明による組成物は経口的または局所的に投与することができる。
【0041】
経口製剤の例は、錠剤、糖衣錠、ソフトおよびハードゼラチンカプセル、ならびにセルロースカプセルである。
【0042】
本発明による組成物は、好ましくはソフトゼラチンカプセル剤または乳剤の形態で処方することができる。
【0043】
以下の実施例により本発明をさらに説明する。
【実施例1】
【0044】
以下の成分を含有するソフトゼラチンカプセルを調製した。
リン脂質と複合されたビスティス・ビニフェラ抽出物を200.00mg
ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物(25%w/wジンゲロール)を50.00mg
25%w/wイソブチルアミドに標準化されている、COでの抽出により得られるザントキシラム・ブンゲアヌムの親油性抽出物を15.00mg
オレア・ユーロパエアの非鹸化性画分を150.00mg
アマニ油を800mgまで
【実施例2】
【0045】
以下の成分を含有するソフトゼラチンカプセルを調製した。
プニカ・グラナツム抽出物を200.00mg
25%w/wイソブチルアミドに標準化されている、COでの抽出により得られるザントキシラム・ピペリツムの親油性抽出物を15.00mg
ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物(25%w/wジンゲロール)を50.00mg
N-アセチルグルコサミンを150.00mg
アマニ油を700.00mgまで
【実施例3】
【0046】
以下の成分を含有するソフトゼラチンカプセルを調製した。
プニカ・グラナツム抽出物を200.00mg
25%w/wイソブチルアミドに標準化されている、COでの抽出により得られるザントキシラム・ピペリツムの親油性抽出物を20.00mg
ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物(25%w/wジンゲロール)を50.00mg
ジアセレインを50.00mg
アマニ油を700.00mgまで
【実施例4】
【0047】
以下の成分を含有するソフトゼラチンカプセルを調製した。
リン脂質と複合されたビスティス・ビニフェラ抽出物を250.00mg
25%w/wイソブチルアミドに標準化されている、COでの抽出により得られるザントキシラム・ピペリツムの親油性抽出物を20.00mg
ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物(25%w/wジンゲロール)を50.00mg
ジアセレインを50.00mg
アマニ油を700.00mgまで
【実施例5】
【0048】
ヒトにおける活性の試験
リン脂質と複合されたビスティス・ビニフェラ、ジンジバー・オフィシナーレの親油性抽出物、ザントキシラム・ピペリツムの親油性抽出物およびオレア・ユーロパエアの非鹸化性画分を含む本発明による組成物の鎮痛活性を、ピロキシカムおよびプラセボの活性と比較した。
【0049】
主に膝に位置する骨関節炎の患者180人を対象とした盲検試験で、無作為化後3ヶ月の治療を行い、治療中止後6ヶ月間関節機能を調べることによって、実施例1の組成物をピロキシカムおよびプラセボと比較した。
【0050】
開始時は、Western Ontario and McMaster University Osteoarthritis(WOMAC)スケールで測定した鎮痛効果を、実施例1の組成物で2カプセル/日とピロキシカムおよびプラセボの600mgの2カプセルとで7日間処理した後、評価した。最初の7日後、治療を3ヶ月間続け、鎮痛効果を月に一度測定した。
【0051】
実施例1の組成物およびピロキシカムで処置した2つの群は同程度の鎮痛作用を有したが、ピロキシカムで処置した群の一部の患者の処置は明らかな副作用のために中止しなければならなかったので、実施例1の組成物は耐容性が高いと分かった。プラセボ群では改善は見られず、悪化する傾向があった。
【0052】
第三の月の治療の間、実施例1の組成物とピロキシカムを含有する製剤との結果は-76%±28.6%対-72%±31.4%(P ns)であったが、プラセボ結果は-25%±21%であった。
【0053】
4月目の治療の中止後、ピロキシカムで治療した群において疼痛が-41%±38%悪化し、その結果は5月目においてさらに-24%±23%に低下し、プラセボ群に非常に近いスコアであった。実施例1の組成物のスコアは4月目において-68%±26%、5ヶ月目で-70.06%±31%であった。
【0054】
この場合、ピロキシカム/プラセボと実施例1の組成物との間の相違は非常に重要である。この結果は、明らかに、実施例1の組成物について、骨幹端軟骨の異化についての保護効果、または軟骨の何らかの回復を示している。病理学的状況において関節内の厚さが平均2mmであったX線で示された損傷は、定性的に減少したが、実験的困難が統計的評価を妨げた。
【0055】
実際、本発明による組成物を用いると、二重盲検試験において患者の滑膜軟骨表面の回復が改善された後、その有効性は治療の中止後さらに6ヶ月間維持されたのに対して、対照化合物ピロキシカムで治療した患者は治療を継続することが必要であった。
【実施例6】
【0056】
ヒトにおける鎮痛活性の評価
絶え間ない痛みを伴う膝関節疾患に罹患している40人の患者を無作為化し、実施例4の組成物、またはプラセボ(キャリアのみからなる)、または実施例4の組成物中に存在しているものと同じ量でプラセボ組成に個々に添加された実施例1の組成物の成分を、朝に1錠、夜に1錠の1日2錠で治療した。
【0057】
有効性は、0~10スコアの国際アナログ疼痛スケールで採点され、10ポイントは最大疼痛を示し、そして0は疼痛の消失を示す。効果は、錠剤の投与後2日目の朝に、処置後60および120分で評価した。
【0058】
結果を下記の表1に示す。
【0059】
【表1】
【実施例7】
【0060】
ヒトにおける鎮痛活性の評価
有効性の選択および評価の両方についてKarnofsky Scale(J. Clin. Oncology 1984; 2:187-193)に従って、募集した患者に対して、骨関節炎の全体的な影響について、実施例3の組成物を用いて3ヶ月まで治療した後のおよび治療終了後6ヶ月までの結果を表2に示す。
【0061】
評価は、3Km/hおよび10%の傾斜に設定されたトレッドミル上で、痛みを伴わずに、および異なる程度の痛みを伴って移動した距離を測定することによって行われた。
【0062】
膝の骨関節炎を患っている80人の患者を2つの群に分けた。ランダム化した後、一つの群は、プラセボで治療し、他の群は実施例3の組成物で治療した。治療中、疼痛を毎週、WOMACで評価し、炎症性パラメータを示す体液性パラメータを毎月評価し、改善していることが発見された。
【0063】
【表2】
【0064】
治療終了後6ヶ月の移動距離は320mであった。
xx:倫理的な理由で試験を終了し、他の薬剤で治療された患者