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特許7100598情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラム
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  • 特許-情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラム 図1
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  • 特許-情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラム 図6A
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  • 特許-情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラム 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20220706BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20220706BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220706BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
H04N1/00 127A
B41J29/38
G03G21/00 388
G03G21/00 376
G06F3/12 304
G06F3/12 357
G06F3/12 373
G06F3/12 385
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019036492
(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公開番号】P2020141314
(43)【公開日】2020-09-03
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】橋本 健介
(72)【発明者】
【氏名】屋敷 光宏
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-103541(JP,A)
【文献】特開2012-044457(JP,A)
【文献】特開2011-019090(JP,A)
【文献】特開2018-106612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00 -29/70
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
G06F 13/00
G06F 3/09 - 3/12
H04L 13/00 -13/18
H04L 51/00 -51/58
67/00 -67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、前記複数の端末装置と通信接続可能なサーバ装置と、を有する情報処理システムであって、
前記サーバ装置は、
前記複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが前記複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データを記憶するサーバ記憶部を有し、
前記複数の端末装置のそれぞれは、
当該端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを記憶する端末記憶部と、
前記サーバ装置から取得した設定データの中から、前記第2データに基づいて、当該端末装置において使用頻度が最も高い設定データを前記端末記憶部に記憶するとともに、当該端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが前記端末記憶部に記憶されていない場合、前記第1データに基づいて、当該端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データを前記サーバ装置から取得して前記端末記憶部に記憶する記憶制御部と、
前記第2データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データ、又は、前記第1データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行する処理部と、を有する、
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記複数の設定データは、複数の処理毎に設定され、
前記記憶制御部は、前記処理部が実行する処理に対応する設定データが前記端末記憶部に記憶されていない場合、当該設定データを前記サーバ装置から新たに取得し、
前記処理部は、前記新たに取得した設定データを使用して処理を実行する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記処理部が前記設定データを使用したときに、前記第2データに基づいて前記端末記憶部に記憶する設定データを更新する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記複数の端末装置のそれぞれは、表示部をさらに有し、
前記複数の設定データは、複数の言語毎に設定され、
前記複数の設定データのそれぞれには、前記表示部に表示するための各言語に対応する表示フォーマット、フォント、メッセージ又はボタンの情報が含まれる、請求項1~3の何れか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、前記複数の端末装置と通信接続可能であり、且つ、前記複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが前記複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データを記憶するサーバ装置とを有する情報処理システムにおける端末装置であって、
前記端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを記憶する端末記憶部と、
前記サーバ装置から取得した設定データの中から、前記第2データに基づいて、前記端末装置において使用頻度が最も高い設定データを前記端末記憶部に記憶するとともに、前記端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが前記端末記憶部に記憶されていない場合、前記第1データに基づいて、当該端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データを前記サーバ装置から取得して前記端末記憶部に記憶する記憶制御部と、
前記第2データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データ、又は、前記第1データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行する処理部と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項6】
端末記憶部を有し且つ複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、サーバ記憶部を有し且つ前記複数の端末装置と通信接続可能なサーバ装置と、を有する情報処理システムにおけるデータ処理方法であって、
前記サーバ装置が、
前記複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが前記複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データを前記サーバ記憶部に記憶し、
前記複数の端末装置のそれぞれが、
当該端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを前記端末記憶部に記憶し、
前記サーバ装置から取得した設定データの中から、前記第2データに基づいて、当該端末装置において使用頻度が最も高い設定データを前記端末記憶部に記憶するとともに、当該端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが前記端末記憶部に記憶されていない場合、前記第1データに基づいて、当該端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データを前記サーバ装置から取得して前記端末記憶部に記憶し、
前記第2データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データ、又は、前記第1データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行する、
ことを特徴とするデータ処理方法。
【請求項7】
端末記憶部を有し且つ複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、前記複数の端末装置と通信接続可能であり、且つ、前記複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが前記複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データを記憶するサーバ装置とを有する情報処理システムにおける端末装置に実行させる制御プログラムであって、
前記端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを前記端末記憶部に記憶し、
前記サーバ装置から取得した設定データの中から、前記第2データに基づいて、前記端末装置において使用頻度が最も高い設定データを前記端末記憶部に記憶するとともに、前記端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが前記端末記憶部に記憶されていない場合、前記第1データに基づいて、当該端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データを前記サーバ装置から取得して前記端末記憶部に記憶し、
前記第2データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データ、又は、前記第1データに基づいて前記端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行する、
ことを前記端末装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラムに関し、特に、設定データを使用して処理を実行する情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、プリンタ等の組込装置である端末装置を複数有する情報処理システムにおいて、各端末装置が、複数の利用者に共有されて利用される場合がある。一般に、各端末装置は、複数の処理のそれぞれを実行するために使用される設定データを予め記憶しておき、記憶しておいた各設定データを使用して各処理を実行する。しかしながら、端末装置は、利用者毎に様々なサービスを提供する場合、全ての利用者に対して全てのサービスを提供するために必要な設定データを記憶しておくためには、膨大な記憶容量を有する記憶装置を備えておく必要がある。
【0003】
近距離無線通信により外部デバイスから取得した言語関連情報に基づき、表示言語を決定する情報処理装置が開示されている(特許文献1)。この情報処理装置は、表示言語を表示するために用いられる言語データを記憶していない場合、外部装置から言語データを取得し、表示言語を表示する必要がなくなった後で、直近の特定期間内の使用頻度が特定の基準を満たさない場合、その言語データを消去する。
【0004】
無線タグにその使用者の第1言語を登録しておき利用者に合わせて表示言語を切り替える画像形成装置が開示されている(特許文献2)。
【0005】
複数の言語による文字コードで表現した操作画面を登録しておき、機器使用ユーザの指定言語を確認して指定言語による操作画面を情報機器に送る配信サーバが開示されている(特許文献3)。
【0006】
使用者が使用したい言語を選択指示すると、指示された言語データ及び対応するフォントデータをサーバからダウンロードするファクシミリ装置が開示されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-47643号公報
【文献】特開2006-235186号公報
【文献】特開2005-151415号公報
【文献】特開2005-72912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数の利用者に使用される端末装置を有する情報処理システムにおいて、各端末装置の記憶容量を増大させることなく、より円滑に処理を実行することが望まれている。
【0009】
本発明の目的は、複数の利用者に使用される端末装置を有する情報処理システムにおいて、各端末装置の記憶容量を増大させることなく、円滑に処理を実行することが可能な情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面に係る情報処理システムは、複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、複数の端末装置と通信接続可能なサーバ装置と、を有する情報処理システムであって、サーバ装置は、複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データを記憶するサーバ記憶部を有し、複数の端末装置のそれぞれは、その端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを記憶する端末記憶部と、サーバ装置から取得した設定データの中から、第2データに基づいて、その端末装置において使用頻度が最も高い設定データを端末記憶部に記憶するとともに、その端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが端末記憶部に記憶されていない場合、第1データに基づいて、その端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データをサーバ装置から取得して端末記憶部に記憶する記憶制御部と、第2データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データ、又は、第1データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行する処理部と、を有する。
【0011】
本発明の一側面に係る端末装置は、複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、複数の端末装置と通信接続可能であり、且つ、複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データを記憶するサーバ装置とを有する情報処理システムにおける端末装置であって、端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを記憶する端末記憶部と、サーバ装置から取得した設定データの中から、第2データに基づいて、端末装置において使用頻度が最も高い設定データを端末記憶部に記憶するとともに、端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが端末記憶部に記憶されていない場合、第1データに基づいて、その端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データをサーバ装置から取得して端末記憶部に記憶する記憶制御部と、第2データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データ、又は、第1データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行する処理部と、を有する。
【0012】
本発明の一側面に係るデータ処理方法は、端末記憶部を有し且つ複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、サーバ記憶部を有し且つ複数の端末装置と通信接続可能なサーバ装置と、を有する情報処理システムにおけるデータ処理方法であって、サーバ装置が、複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データをサーバ記憶部に記憶し、複数の端末装置のそれぞれが、その端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを端末記憶部に記憶し、サーバ装置から取得した設定データの中から、第2データに基づいて、その端末装置において使用頻度が最も高い設定データを端末記憶部に記憶するとともに、その端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが端末記憶部に記憶されていない場合、第1データに基づいて、その端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データをサーバ装置から取得して端末記憶部に記憶し、第2データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データ、又は、第1データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行する。
【0013】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、端末記憶部を有し且つ複数の利用者がログイン可能な複数の端末装置と、複数の端末装置と通信接続可能であり、且つ、複数の端末装置で実行される何れかの処理で使用される複数の設定データ、及び、複数の利用者のそれぞれが複数の端末装置で使用した設定データ毎の使用頻度を表す第1データを記憶するサーバ装置とを有する情報処理システムにおける端末装置に実行させる制御プログラムであって、端末装置において使用される設定データ毎の使用頻度を表す第2データを端末記憶部に記憶し、サーバ装置から取得した設定データの中から、第2データに基づいて、端末装置において使用頻度が最も高い設定データを端末記憶部に記憶するとともに、端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データが端末記憶部に記憶されていない場合、第1データに基づいて、その端末装置にログインした利用者による使用頻度が最も高い設定データをサーバ装置から取得して端末記憶部に記憶し、第2データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データ、又は、第1データに基づいて端末記憶部に記憶した設定データを使用して処理を実行することを端末装置に実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報処理システム、端末装置、データ処理方法及び制御プログラムは、複数の利用者に使用される端末装置を有する情報処理システムにおいて、各端末装置の記憶容量を増大させることなく、円滑に処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】情報処理システム1の一例の構成図である。
図2A】設定データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図2B】利用者テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図3】端末テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図4】端末記憶装置210及び端末CPU220の概略構成を示す図である。
図5】データ処理の動作の例を示す動作シーケンスである。
図6A】開始画面600の一例を示す模式図である。
図6B】処理画面610の一例を示す模式図である。
図6C】結果画面620の一例を示す模式図である。
図7】他の制御回路330の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一側面に係る情報処理システムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0017】
図1は、実施形態に従った情報処理システム1の一例の構成図である。
【0018】
情報処理システム1は、サーバ装置100と、複数の端末装置200とを有する。
【0019】
サーバ装置100と、各端末装置200とは、それぞれ、有線又は無線による通信機能を有し、ネットワーク300に接続され、ネットワーク300を介して相互に通信接続可能である。例えば、各端末装置200は、一つの建物内の異なるフロアにそれぞれ配置され、イントラネット等のネットワーク300を介してサーバ装置100と通信する。なお、各端末装置200は、異なる建物にそれぞれ配置され、インターネット、電話回線網(携帯端末回線網、一般電話回線網を含む)等のネットワーク300を介してサーバ装置100と通信してもよい。
【0020】
サーバ装置100は、サーバ通信装置101と、サーバ記憶装置102と、サーバCPU(Central Processing Unit)103とを有する。以下、サーバ装置100の各部について詳細に説明する。
【0021】
サーバ通信装置101は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の有線の通信インタフェース回路を有する。サーバ通信装置101は、イーサネット(登録商標)等の通信方式に従って、ネットワーク300と通信接続する。サーバ通信装置101は、ネットワーク300を介して各端末装置200から受信したデータをサーバCPU103に供給し、サーバCPU103から供給されたデータを、ネットワーク300を介して各端末装置200に送信する。なお、サーバ通信装置101は、外部の装置と通信できるものであればどのようなものでもよい。例えば、サーバ通信装置101は、無線LAN(Local Area Network)通信方式に従って不図示のアクセスポイントを介して各端末装置200と通信してもよい。または、サーバ通信装置101は、携帯電話通信方式に従って不図示の基地局装置を介して各端末装置200と通信してもよい。
【0022】
サーバ記憶装置102は、サーバ記憶部の一例である。サーバ記憶装置102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、サーバ記憶装置102には、サーバ装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM(compact disk read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disk read only memory)等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体からインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、公知のセットアッププログラム等を用いてサーバ記憶装置102にインストールされる。
【0023】
また、サーバ記憶装置102には、データとして、複数の設定データ、設定データテーブル及び利用者テーブルが記憶される。各設定データは、複数の端末装置200で実行される複数の処理の内の何れかの処理で使用されるデータである。即ち、各設定データは、複数の処理毎に設定され、複数の端末装置200で共通に使用される。各端末装置200で実行される処理には、開始処理及び通常処理が含まれる。開始処理は、利用者が端末装置200にログインしたときに、端末装置200に開始画面を表示させる処理である。情報処理システム1では、利用者毎に、実行可能な通常処理が事前に設定されており、開始画面には、ログインした利用者によって実行可能な通常処理が指定可能に一覧表示される。通常処理は、端末装置200に特有の機能を実施する処理である。例えば端末装置200がイメージスキャナである場合、通常処理は、原稿の読み取り、読み取った画像の補正、又は、補正した画像の送信等である。通常処理は、二以上の利用者に共通して実行され得る。
【0024】
設定データには、処理内容及び表示リソース等の各情報が含まれる。処理内容は、各処理で実施される一又は複数のジョブ(仕事)である。表示リソースは、各処理が実行される際に端末装置200に表示される表示画面に関する情報であり、表示リソースには、言語、表示フォーマット、フォント、メッセージ及びボタン等の各情報が含まれる。言語は、表示画面に表示される文字の言語であり、例えば日本語、英語、中国語等である。表示フォーマットは、表示画面における文字、画像等の配置を示す。フォントは、表示画面に表示される文字のフォントであり、例えば明朝体、ゴシック体等である。メッセージは、表示画面に文字により表示されるメッセージである。ボタンは、表示画面に表示される文字を含むボタンである。
【0025】
このように、各設定データは、複数の言語毎に設定され、各設定データには、端末装置200の表示装置203に表示するための各言語に対応する表示フォーマット、フォント、メッセージ又はボタンの情報が含まれる。設定データテーブル及び利用者テーブルの詳細については後述する。
【0026】
サーバCPU103は、予めサーバ記憶装置102に記憶されているプログラムに基づいて動作する。サーバCPU103は、汎用プロセッサであってもよい。なお、サーバCPU103に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてよい。また、サーバCPU103に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0027】
サーバCPU103は、サーバ通信装置101及びサーバ記憶装置102と接続され、これらの各部を制御する。サーバCPU103は、サーバ通信装置101を介したデータ送受信制御及びサーバ記憶装置102の制御等を行って、各端末装置200で使用された設定データの使用頻度を管理する。
【0028】
各端末装置200は、情報処理システム1を利用する複数の利用者が共有して利用可能な装置であり、複数の利用者がログイン可能な装置である。情報処理システム1において、各利用者は全ての端末装置200を使用することができる。端末装置200は、例えばイメージスキャナ、MFP(Multifunction Peripheral)のような画像読取装置、又は、プリンタのような画像形成装置等の組込装置である。なお、端末装置200は、PC(Personal Computer)、ノートPC等の情報処理装置でもよい。
【0029】
各端末装置200は、端末通信装置201と、操作装置202と、表示装置203と、撮像装置204と、端末記憶装置210と、端末CPU220と、制御回路230とを有する。以下、端末装置200の各部について詳細に説明する。
【0030】
端末通信装置201は、サーバ通信装置101と同様の通信インタフェース回路を有し、サーバ通信装置101と同様の通信方式に従って、ネットワーク300と通信接続する。端末通信装置201は、ネットワーク300を介してサーバ装置100から受信したデータを端末CPU220に供給し、端末CPU220から供給されたデータを、ネットワーク300を介してサーバ装置100に送信する。
【0031】
操作装置202は、タッチパネル式の入力装置、キーボード、マウス等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有する。操作装置202は、ユーザにより入力された入力データを受け付け、受け付けた入力データに応じた信号を端末CPU220に対して出力する。
【0032】
表示装置203は、表示部の一例であり、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等から構成されるディスプレイ及びディスプレイに画像データ又は各種の情報を出力するインタフェース回路を有する。表示装置203は、端末CPU220から出力された画像データをディスプレイに表示する。なお、タッチパネルディスプレイを用いて、操作装置202と表示装置203を一体に構成してもよい。
【0033】
端末記憶装置210は、端末記憶部の一例であり、不揮発性記憶装置211及び揮発性記憶装置212を有する。不揮発性記憶装置211は、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を含む。揮発性記憶装置212は、RAM等のメモリ装置等を含む。また、不揮発性記憶装置211には、端末装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体からインストールされてもよい。コンピュータプログラムは、公知のセットアッププログラム等を用いて不揮発性記憶装置211にインストールされる。
【0034】
また、端末記憶装置210には、データとして、設定データ及び端末テーブル等が記憶される。不揮発性記憶装置211には、サーバ記憶装置102に記憶される複数の設定データの内、その端末装置200において使用頻度が高い順に第1所定数の設定データが、長期的に記憶される。第1所定数は、1以上の数に予め設定され、例えば3である。不揮発性記憶装置211に記憶された設定データは、端末記憶装置210の電源が切断されても保持される。また、揮発性記憶装置212には、サーバ記憶装置102に記憶される複数の設定データの内の一部の設定データが、短期的に記憶される。揮発性記憶装置212に記憶された設定データは、端末記憶装置210の電源が切断された場合に消去される。端末テーブルは、不揮発性記憶装置211に記憶される。端末テーブルの詳細については後述する。
【0035】
端末CPU220は、予め端末記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。端末CPU220は、汎用プロセッサであってもよい。なお、端末CPU220に代えて、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0036】
端末CPU220は、端末通信装置201、操作装置202、表示装置203、撮像装置204、端末記憶装置210及び制御回路230と接続され、これらの各部を制御する。端末CPU220は、端末通信装置201を介したデータ送受信制御、操作装置202の入力制御、表示装置203の出力制御、撮像装置204の撮像制御、端末記憶装置210の制御及び制御回路230の制御等を行い、所定の処理を実行する。
【0037】
制御回路230は、撮像装置204により撮像された画像の補正等を実行する。
【0038】
図2Aは、サーバ装置100が記憶する設定データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0039】
図2Aに示すように、設定データテーブルには、端末装置200で実行される各処理で使用される複数の設定データ毎に、各設定データの識別情報(データID)及び内容情報等が関連付けて記憶される。内容情報は、各設定データの内容を示し、内容情報には、処理内容及び表示リソース等の各情報が含まれる。表示リソースには、言語、表示フォーマット、フォント、メッセージ、ボタン等の各情報が含まれる。内容情報として、サーバ記憶装置102内で各情報が格納されているアドレスが設定されてもよい。
【0040】
図2Bは、サーバ装置100が記憶する利用者テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0041】
図2Bに示すように、利用者テーブルには、複数の利用者毎に、各利用者の識別情報(利用者ID)、パスワード、使用言語、データID及び使用頻度等が関連付けて記憶される。使用言語は、各利用者が使用する言語である。データIDは、各利用者が使用可能な設定データのデータIDであり、各利用者の使用言語に対応する設定データのデータIDである。各利用者が使用可能な設定データは、各利用者によって実行可能な処理で使用される設定データである。使用頻度は、その利用者による所定期間内の各設定データの使用回数、即ち各処理の実行回数である。この使用頻度は、全ての端末装置200における、その利用者による所定期間内の各設定データの使用回数の合計である。所定期間は、直近の期間であり、例えば直近の一か月間等である。なお、所定期間は、各端末装置200が使用され始めてからの全期間でもよい。
【0042】
利用者テーブルは、第1データの一例であり、複数の利用者のそれぞれが複数の端末装置200で使用した設定データ毎の使用頻度を表す。なお、図2Bに示す例では、利用者毎に一つの使用言語が設定されているが、一人の利用者に複数の使用言語が設定されてもよい。また、利用者テーブルにおいて、使用言語は設定されなくてもよい。
【0043】
図3は、各端末装置200が記憶する端末テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【0044】
図3に示すように、端末テーブルには、複数の設定データ毎に、各設定データのデータID、言語、使用頻度及び記憶フラグ等が関連付けて記憶される。データIDは、その端末テーブルが記憶された端末装置200において使用された設定データのデータIDである。言語は、各設定データに対応する言語である。使用頻度は、その端末テーブルが記憶された端末装置200における所定期間内の各設定データの使用回数、即ち各処理の実行回数である。この使用頻度は、その端末装置200における、全ての利用者による所定期間内の各設定データの使用回数の合計である。記憶フラグは、各設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されているか否かを示す。
【0045】
端末テーブルは、第2データの一例であり、その端末テーブルを記憶する端末装置200において使用される設定データ毎の使用頻度を表す。なお、端末テーブルにおいて、各設定データに対応する言語は記憶されなくてもよい。
【0046】
図4は、端末記憶装置210及び端末CPU220の概略構成を示す図である。
【0047】
図4に示すように、端末記憶装置210(不揮発性記憶装置211)には、記憶制御プログラム213及び処理プログラム214等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。端末CPU220は、端末記憶装置210に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、端末CPU220は、記憶制御部221及び処理部222として機能する。
【0048】
図5は、情報処理システム1によるデータ処理の動作の例を示す動作シーケンスである。
【0049】
以下に説明する動作シーケンスは、予めサーバ記憶装置102及び端末記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて、主にサーバCPU103及び端末CPU220により、サーバ装置100及び端末装置200の各要素と協働して実行される。
【0050】
最初に、端末装置200の記憶制御部221は、利用者による端末装置200へのログインを受け付ける(ステップS101)。記憶制御部221は、利用者により操作装置202を用いて利用者IDが入力された場合にログインを受け付ける。なお、記憶制御部221は、利用者により、利用者IDが記憶されたIDカードが不図示のカードリーダにかざされて、カードリーダが利用者IDを読み取った場合にログインを受け付けてもよい。また、記憶制御部221は、利用者IDとともにパスワードの入力を受け付け、利用者ID及びパスワードの照合(認証)に成功した場合にログインを受け付けてもよい。その場合、記憶制御部221は、サーバ装置100に利用者ID及びパスワードの照合を要求し、サーバ装置100が利用者ID及びパスワードの照合に成功した場合にログインを受け付けてもよい。このように、各端末装置200には、情報処理システム1を利用する複数の利用者がログイン可能である。
【0051】
次に、記憶制御部221は、ログインを受け付けた場合、端末通信装置201を介してサーバ装置100に問合せ信号を送信する(ステップS102)。問合せ信号は、ログインした利用者が高頻度に使用する設定データを問い合わせるための信号であり、問合せ信号には、端末装置200にログインした利用者の利用者IDが含まれる。
【0052】
次に、サーバ装置100のサーバCPU103は、サーバ通信装置101を介して端末装置200から問合せ信号を受信し、受信した問合せ信号に含まれる利用者IDを特定する。サーバCPU103は、利用者テーブルから、特定した利用者IDに関連付けられたデータIDの内、その利用者による使用頻度が高い順に第2所定数の設定データのデータIDを抽出する(ステップS103)。第2所定数は、1以上の数に予め設定され、例えば3である。
【0053】
次に、サーバCPU103は、サーバ通信装置101を介して端末装置200に応答信号を送信する(ステップS104)。応答信号は、ログインした利用者が高頻度に使用する設定データを示す信号であり、応答信号には、ステップS103で抽出したデータIDが含まれる。
【0054】
次に、記憶制御部221は、端末通信装置201を介してサーバ装置100から応答信号を受信し、受信した応答信号に含まれるデータIDを特定する。記憶制御部221は、端末テーブルの記憶フラグを参照して、特定したデータIDに対応する設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されているか否かを判定する(ステップS105)。特定したデータIDに対応する設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されている場合、ステップS106~S108の処理は省略される。
【0055】
一方、特定したデータIDに対応する設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されていない場合、記憶制御部221は、端末通信装置201を介してサーバ装置100に要求信号を送信する(ステップS106)。要求信号は、設定データの取得をサーバ装置100に要求するための信号であり、要求信号には、取得を要求する設定データのデータIDが含まれる。ステップS106で送信される要求信号には、受信した応答信号に含まれるデータIDの内、不揮発性記憶装置211に記憶されていない設定データのデータIDが含まれる。
【0056】
さらに、記憶制御部221は、端末テーブルの記憶フラグを参照し、ログインした利用者に対する開始処理に対応する設定データ、即ちその利用者に対応する開始画面を表示させるための設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されているか否かを判定する。記憶制御部221は、ログインした利用者に対応する開始画面を表示させるための設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されていない場合も、サーバ装置100に要求信号を送信する。その場合、要求信号には、ログインした利用者に対応する開始画面を表示させるための設定データのデータIDが含まれる。なお、端末装置200は、全ての利用者に対応する各開始画面を表示させるための設定データを不揮発性記憶装置211に事前に記憶しておいてもよい。
【0057】
次に、サーバCPU103は、サーバ通信装置101を介して端末装置200から要求信号を受信し、受信した要求信号に含まれるデータIDを特定する。サーバCPU103は、設定データテーブルから、特定したデータIDに関連付けられた設定データを読み出し、読み出した各設定データを、サーバ通信装置101を介して端末装置200に送信する(ステップS107)。
【0058】
一方、記憶制御部221は、端末通信装置201を介してサーバ装置100から設定データを受信し、受信した設定データを揮発性記憶装置212に記憶する(ステップS108)。この場合、受信した設定データは、揮発性記憶装置212に短期的に記憶される。
【0059】
このように、記憶制御部221は、その端末装置200にログインした利用者による使用頻度が高い順に第2所定数の設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されていない場合、その設定データをサーバ装置100から取得して揮発性記憶装置212に記憶する。即ち、記憶制御部221は、その利用者による使用頻度が最も高い設定データが不揮発性記憶装置211に記憶されていない場合、その設定データをサーバ装置100から取得して揮発性記憶装置212に記憶する。各設定データは、サーバ装置100により、利用者テーブルに記憶された使用頻度に基づいて抽出され、端末装置200に送信される。端末装置200は、その利用者により実行される可能性が高い処理に対応する設定データを事前に取得しておくことにより、その処理が利用者に指定されたときに、その処理を即時に実行できる。したがって、端末装置200は、高確率で実行される処理に要する時間を短縮でき、利用者の利便性を向上させることができる。
【0060】
次に、処理部222は、開始画面を表示装置203に表示する(ステップS109)。処理部222は、不揮発性記憶装置211又は揮発性記憶装置212から、ログインした利用者に対応する開始画面を表示させるための設定データを読み出し、読み出した設定データに従って、開始画面を表示装置203に表示する。
【0061】
図6Aは、開始画面600の一例を示す模式図である。
【0062】
図6Aに示すように、開始画面600には、ログインした利用者により実行可能な各通常処理601~604が利用者によって指定可能に一覧表示される。
【0063】
次に、処理部222は、利用者による処理の指定を受け付ける(ステップS110)。処理部222は、表示装置203に表示された開始画面内で、利用者により操作装置202を用いて何れかの処理が指定された場合に、その処理の指定を受け付ける。
【0064】
次に、記憶制御部221は、端末通信装置201を介してサーバ装置100に通知信号を送信する(ステップS111)。通知信号は、端末装置200が使用した設定データをサーバ装置100に通知するための信号であり、通知信号には、ログインした利用者の利用者ID及び利用者により指定された処理に対応する設定データのデータIDが含まれる。ステップS111で送信される通知信号には、ステップS110で指定された設定データのデータIDが含まれる。
【0065】
次に、サーバCPU103は、サーバ通信装置101を介して端末装置200から通知信号を受信し、受信した通知信号に含まれる利用者ID及びデータIDを特定する。サーバCPU103は、利用者テーブルにおいて、特定した利用者ID及びデータIDに関連付けられた使用頻度を更新する(ステップS112)。サーバCPU103は、利用者テーブルにおいて、特定した利用者ID及びデータIDに関連付けられた使用頻度をインクリメント(+1)する。また、サーバCPU103は、端末装置200から通知信号を受信した時刻を記憶しておき、その通知信号を受信してから所定期間が経過した場合、その使用頻度をデクリメント(-1)する。
【0066】
一方、記憶制御部221は、通知信号をサーバ装置100に送信した場合、端末テーブルにおいて、利用者により指定された処理に対応する設定データのデータIDに関連付けられた使用頻度を更新する(ステップS113)。記憶制御部221は、端末テーブルにおいて、そのデータIDに関連付けられた使用頻度をインクリメント(+1)する。なお、記憶制御部221は、利用者により処理の指定を受け付けた時刻を記憶しておき、その処理の指定を受け付けてから所定期間が経過した場合、その使用頻度をデクリメント(-1)する。
【0067】
次に、記憶制御部221は、利用者により指定された処理に対応する設定データが不揮発性記憶装置211又は揮発性記憶装置212に記憶されているか否かを判定する(ステップS114)。利用者により指定された処理に対応する設定データが不揮発性記憶装置211又は揮発性記憶装置212に記憶されている場合、ステップS115~S117の処理は省略される。
【0068】
一方、利用者により指定された処理に対応する設定データが不揮発性記憶装置211又は揮発性記憶装置212に記憶されていない場合、記憶制御部221は、端末通信装置201を介してサーバ装置100に要求信号を送信する(ステップS115)。ステップS115で送信される要求信号には、利用者により指定された処理に対応する設定データのデータIDが含まれる。
【0069】
次に、サーバCPU103は、サーバ通信装置101を介して端末装置200から要求信号を受信し、受信した要求信号に含まれるデータIDを特定する。サーバCPU103は、設定データテーブルから、特定したデータIDに関連付けられた設定データを読み出し、読み出した各設定データを、サーバ通信装置101を介して端末装置200に送信する(ステップS116)。
【0070】
一方、記憶制御部221は、端末通信装置201を介してサーバ装置100から設定データを受信し、受信した設定データを揮発性記憶装置212に記憶する(ステップS117)。この場合、受信した設定データは、揮発性記憶装置212に短期的に記憶される。
【0071】
このように、記憶制御部221は、処理部222が実行する処理に対応する設定データが端末記憶装置210に記憶されていない場合、その設定データをサーバ装置100から新たに取得する。端末装置200は、各処理を実行するための設定データを保持していない場合でも、その設定データをサーバ装置100から新たに取得するため、全ての処理を確実に実行することができる。
【0072】
次に、記憶制御部221は、端末テーブルに記憶された使用頻度に基づいて、不揮発性記憶装置211に長期的に記憶する設定データを更新する(ステップS118)。記憶制御部221は、その端末装置200において使用頻度が高い順に第1所定数の設定データを不揮発性記憶装置211に記憶しておく。そのために、記憶制御部221は、その端末装置200において、ステップS108又はS117で新たに取得した設定データの使用頻度の順位が第1所定数に係る順位以内であるか否か(例えば、第1所定数が3である場合は3位以内であるか否か)を判定する。
【0073】
記憶制御部221は、その端末装置200において、新たに取得した設定データの使用頻度の順位が第1所定数に係る順位以内である場合、その設定データを不揮発性記憶装置211に記憶する。代わりに、記憶制御部221は、不揮発性記憶装置211に記憶されていた設定データの内、使用頻度の順位が第1所定数に係る順位外になった設定データを不揮発性記憶装置211から消去する。また、記憶制御部221は、端末テーブルにおいて、不揮発性記憶装置211に新たに記憶した設定データに関連付けられた記憶フラグをONに設定し、不揮発性記憶装置211から消去した設定データに関連付けられた記憶フラグをOFFに設定する。
【0074】
このように、記憶制御部221は、サーバ装置100から取得した設定データの中から、端末テーブルに記憶された使用頻度に基づいて、その端末装置200において使用頻度が高い順に第1所定数の設定データを不揮発性記憶装置211に記憶しておく。即ち、記憶制御部221は、その端末装置200において使用頻度が最も高い設定データを含む第1所定数の設定データを不揮発性記憶装置211に記憶しておく。これにより、端末装置200は、その端末装置200で実行される可能性が高い処理が利用者により指定されたときに、その処理を即時に実行できる。したがって、端末装置200は、実行される可能性が高い処理に要する時間を短縮でき、利用者の利便性を向上させることができる。
【0075】
次に、処理部222は、ステップS110で利用者により指定された処理に対応する処理画面を表示装置203に表示する(ステップS119)。処理部222は、不揮発性記憶装置211又は揮発性記憶装置212から、利用者により指定された処理に対応する設定データを読み出し、読み出した設定データに従って、処理画面を表示装置203に表示する。
【0076】
図6Bは、処理画面610の一例を示す模式図である。
【0077】
図6Bに示すように、処理画面610には、開始画面600で利用者により指定された通常処理に関する各情報が表示される。処理画面610には、その通常処理の名称611、内容612及び開始ボタン613等が表示される。利用者により開始ボタン613が押下されると、処理部222は、利用者によるその通常処理の実行指示を受け付ける。
【0078】
次に、処理部222は、利用者による処理の実行指示を受け付けた場合、その処理を実行する(ステップS120)。処理部222は、その処理に対応する設定データに従って、処理を実行する。例えば、処理部222は、所定サイズの原稿を撮像装置204に撮像させ、撮像した画像を制御回路230に補正させ、補正した画像を、端末通信装置201を介して不図示の情報処理装置に送信する処理を実行する。
【0079】
このように、処理部222は、端末テーブルに記憶された使用頻度に基づいて不揮発性記憶装置211に記憶した設定データ、又は、利用者テーブルに記憶された使用頻度に基づいて端末記憶装置210に記憶した設定データを使用して各処理を実行する。特に、処理部222は、ステップS117で記憶制御部221がサーバ装置100から新たに設定データを取得していた場合、その新たに取得した設定データを使用して処理を実行する。
【0080】
次に、処理部222は、処理の実行結果を示す結果画面を表示装置203に表示する(ステップS121)。
【0081】
図6Cは、結果画面620の一例を示す模式図である。
【0082】
図6Cに示すように、結果画面620には、処理画面610で実行指示を受け付けた処理の実行結果621及び戻るボタン622等が表示される。利用者により戻るボタン622が押下されると、処理部222は、処理をステップS109に戻し、開始画面600を再度表示する。
【0083】
以後、端末装置200は、利用者による端末装置200からのログアウトを受け付けるまで、ステップS109~S121の処理を繰り返す。端末装置200は、ログアウトを受け付けると、処理をステップS101に戻し、新たな利用者によるログインを受け付けるまで待機する。
【0084】
なお、ステップS111~S113の使用頻度の更新処理は、ステップS119もしくはS120の処理と並行して、又は、ステップS119もしくはS120の処理の後に実行されてもよい。同様に、ステップS118の設定データの更新処理は、ステップS119もしくはS120の処理と並行して、又は、ステップS119もしくはS120の処理の後に実行されてもよい。即ち、記憶制御部221は、処理部222が設定データを使用したときに、不揮発性記憶装置211に記憶する設定データを更新する。これにより、端末装置200は、設定データが使用されたタイミングで不揮発性記憶装置211に記憶しておく設定データを適切に更新することができる。
【0085】
また、開始処理に対応する設定データの使用頻度は、各通常処理に対応する設定データの使用頻度と同様に更新されてもよい。例えば、記憶制御部221は、ステップS109で処理部222が開始画面を表示装置203に表示するたびに、開始画面を表示させるための設定データのデータIDを含む通知信号をサーバ装置100に送信する。一方、サーバCPU103は、その通知信号を受信した場合、利用者テーブルにおいて、その設定データのデータIDに関連付けられた使用頻度を更新する。同様に、記憶制御部221は、ステップS109で処理部222が開始画面を表示装置203に表示するたびに、端末テーブルにおいて、開始画面を表示させるための設定データのデータIDに関連付けられた使用頻度を更新する。
【0086】
以上詳述したように、情報処理システム1では、各端末装置200が、各端末装置200での使用頻度が高い設定データを記憶しつつ、ログインした利用者の全端末装置200での使用頻度が高い設定データを記憶する。これにより、各端末装置200は、使用される可能性が高い設定データを効率良く記憶しておき、その設定データを、使用直前にサーバ装置100からダウンロードすることなく使用することができる。したがって、複数の利用者に使用される端末装置200を有する情報処理システム1において、各端末装置200の記憶容量を増大させることなく、円滑に処理を実行することが可能となった。
【0087】
一般に、各端末装置200は、配置されるエリアによって使用態様が異なる。例えば、銀行等では、顧客の対応窓口に配置された端末装置200は、顧客によって記入された帳票等を処理するために使用され、バックヤードに配置された端末装置200は、職員が使用するコピー用紙等を処理するために使用される。情報処理システム1では、各端末装置200が、各端末装置200での使用頻度が高い設定データを記憶するため、各端末装置200の使用態様に応じた設定データを事前に記憶しておくことができる。
【0088】
一方、各端末装置200は、利用者によっても使用態様が異なる。例えば、銀行等では、顧客対応を行う担当者は、顧客によって記入された帳票等を処理するために端末装置200を使用し、行内向けの作業を行う作業者は、コピー用紙等を処理するために端末装置200を使用する。情報処理システム1では、各端末装置200が、ログインした利用者の全端末装置200での使用頻度が高い設定データを事前に取得するため、各利用者の使用態様に応じた設定データを事前に記憶しておくことができる。これにより、利用者は、特定の端末装置200を使用した後でその端末装置200から離れた位置に配置された端末装置200を使用する場合でも、自身が使用する可能性が高い設定データを、使用直前にサーバ装置100からダウンロードすることなく使用できる。
【0089】
特にスキャナ、プリンタ等の組込装置では、装置コスト及び装置サイズを低減させるために、記憶容量を低減させることが望まれている。一方、近年のグローバル化に伴い、一つの組込装置が、日本人だけでなく様々な外国人にも使用されるシーンが増加している。そのため、このような組込装置は、表示装置に表示させるために、様々な言語に対応した表示フォーマット、フォント、メッセージ又はボタン等の表示リソースを記憶しておく必要がある。しかしながら、個々の表示リソースのデータサイズは大きく、多数の言語に対応した表示リソースを記憶しておくためには、記憶容量を増大させる必要がある。情報処理システム1では、各端末装置200が、使用される可能性が高い設定データを効率良く記憶しておくため、各端末装置200の記憶容量の増大を抑制させることができる。
【0090】
また、各端末装置200は、利用者がログインしたときに、その利用者に対応する設定データを自動的に取得するため、利用者は所望する設定データを取得するための操作を行う必要がなく、利用者の利便性を向上させることができる。
【0091】
また、情報処理システム1では、サーバ装置100が、各利用者が全ての端末装置200で使用した設定データ毎の使用頻度を管理するため、全ての端末装置200を一元管理することができ、システム構成を単純化することができる。
【0092】
図7は、他の実施形態に係る端末装置における制御回路330の概略構成を示す図である。
【0093】
制御回路330は、端末装置200の制御回路230の代わりに使用され、CPU220の代わりに、データ処理を実行する。制御回路330は、記憶制御回路331及び処理回路332等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0094】
記憶制御回路331は、記憶制御部の一例であり、記憶制御部221と同様の機能を有する。記憶制御回路331は、端末通信装置201を介してサーバ装置100から設定データを受信し、端末テーブルに記憶された使用頻度に基づいて、端末装置において使用頻度が高い設定データを端末記憶装置210に記憶する。また、記憶制御回路331は、利用者テーブルに記憶された使用頻度に基づいてサーバ装置100から受信した、利用者による使用頻度が高い設定データを端末記憶装置210に記憶する。
【0095】
処理回路332は、処理部の一例であり、処理部222と同様の機能を有する。処理回路332は、操作装置202から利用者による処理の実行指示を受け付け、端末記憶装置210から設定データを読み出す。処理回路332は、読み出した設定データを使用して、撮像装置204等に処理を実行させ、処理結果を表示装置203に表示する。
【0096】
以上詳述したように、端末装置は、制御回路330を用いる場合においても、記憶容量を増大させることなく、円滑に処理を実行することが可能となった。
【符号の説明】
【0097】
1 情報処理システム
100 サーバ装置
102 サーバ記憶装置
200 端末装置
210 端末記憶装置
221 記憶制御部
222 処理部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7