(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-07-05
(45)【発行日】2022-07-13
(54)【発明の名称】カプセル、そのようなカプセルから飲用可能な飲料を調製するシステム、及び飲料調製装置におけるそのようなカプセルの使用
(51)【国際特許分類】
A47J 31/36 20060101AFI20220706BHJP
A47J 31/06 20060101ALI20220706BHJP
B65D 85/804 20060101ALI20220706BHJP
【FI】
A47J31/36 120
A47J31/06 320
B65D85/804 200
(21)【出願番号】P 2019518432
(86)(22)【出願日】2017-10-09
(86)【国際出願番号】 NL2017050663
(87)【国際公開番号】W WO2018067013
(87)【国際公開日】2018-04-12
【審査請求日】2020-10-07
(32)【優先日】2016-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】512164779
【氏名又は名称】コーニンクラケ ダウ エグバート ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(72)【発明者】
【氏名】カンマービーク,ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】グルーソーンテ,アレンド ヘンドリク
(72)【発明者】
【氏名】ディークストラ,ヒエルケ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ガースビーク,エリク ピエテル
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-524485(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2538630(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/36
A47J 31/06
B65D 85/804
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧下で流体をカプセル内へ供給することにより物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を収容するカプセルであって、前記カプセルは、カプセル本体中心軸線を有するアルミニウムカプセル本体を備え、前記アルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、前記カプセルは、前記外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、前記蓋は、前記カプセルを密封して閉じており、前記カプセルは、前記外向きに延びるフランジに封止部材を更に備え、前記封止部材は、前記カプセルが前記飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、前記囲み
部材が前記飲料調製装置の閉じ部材によって閉鎖された場合、前記カプセルの前記外向きに延びるフランジ及び前記カプセルの封止部材の少なくとも一部分が前記飲料調製装置の前記囲み部材と前記閉じ部材との間に封止的に係合されるように、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触をもたらし、前記飲料調製装置の前記囲み部材は、環状要素中心軸線と自由接触端とを有する環状要素を備
える、カプセルにおいて、前記封止部材は、前記外向きに延びるフランジと一体であり、環状突起部を備え、前記環状突起部は、内側フランジ部分の半径方向外側に内側突起部足部から前記カプセル本体底部に向かって軸線方向に突出する突起部頂部と、外側フランジ部分の半径方向内側の外側突起部足部とを備え、前記外向きに延びるフランジは、前記内側突起部足部と前記側壁との間に環状トラフを備え、前記環状トラフは、前記外側突起部足部から前記カプセル本体の前記底部に向かって軸線方向に間隔が空いている底部を
有し、前記突起部の半径方向外壁は、前記カプセル本体軸線に対して8°未満の内角で配向され、
前記外向きに延びるフランジは、前記カプセル本体中心軸線を少なくとも実質的に横断する方向に前記側壁の前記自由端から延び、
前記外向きに延びるフランジは、1つだけの環状突起部を有し、
前記突起部頂端は、直径31.9~32.4mmでカプセル軸線の周りに延び、
前記トラフの前記底部は、前記蓋から軸線方向に間隔が空いており、
前記封止部材は、使用中、前記囲み部材の閉鎖により前記外側突起部足部と前記トラフの前記底部との間の軸線方向の間隔が小さくなるように変形可能であり、
前記カプセルが前記飲料調製装置の前記囲み部材内に位置決めされ、前記囲み部材が前記飲料調製装置の前記閉じ部材によって閉じられるときに、前記アルミニウムカプセル本体が容易に変形するように構成され、前記アルミニウムカプセル本体の厚さは、20~200マイクロメートルであり、
前記アルミニウム蓋は、前記カプセル内の流体圧の影響下で、前記飲料調製装置の前記閉じ部材上で裂開されるように構成されており、
外向きに延びるフランジは、丸められた外縁部を含み
前記囲み部材が閉じられているときに前記囲み部材の前記自由接触端が最初に接触する前記封止部材部分の高さは、少なくとも0.8mm、かつ最大2mmであり、かつ
前記封止部材及び前記カプセル本体の残部は、同じ板状材料から作られている
ことを特徴とする、カプセル。
【請求項2】
前記カプセル本体軸線を通る平面に沿って切り取った断面で見ると、前記トラフの前記底部は、連続して実質的に直線であり、又は前記突起部及び前記側壁への遷移部の曲率半径よりも大きい曲率半径で湾曲している、請求項1に記載のカプセル。
【請求項3】
前記トラフの前記底部は、連続して実質的に直線の区分を有し、前記トラフの前記底部の直線区分が、
上記カプセル本体軸に対して垂直な平面に内角で傾斜している、請求項2に記載のカプセル。
【請求項4】
前記内角が0~10度
である、請求項3に記載のカプセル。
【請求項5】
前記カプセル本体軸線を通る平面に沿って切り取った断面で見ると、前記トラフの前記底部から前記突起部への遷移部は、前記傾斜区分の内側及び外側の隣接する湾曲区分よりも直線の傾斜区分を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項6】
前記傾斜区分は、前記カプセル本体軸線に垂直な平面に対して少なくとも
10°、多くとも
60°の内角で配向された、請求項5に記載のカプセル。
【請求項7】
前記突起部の前記外側足部で、前記突起部から前記外向きに延びるフランジの半径方向外向きに突出する部分への
遷移部は、0.15mm未満の内径を持つ、請求項1~6のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項8】
前記少なくとも1つの突起部は、前記カプセルが前記飲料調製装置の前記囲み部材内に位置決めされ、前記囲み部材が前記飲料調製装置の前記閉じ部材によって閉鎖された場合に、その突起部頂部が前記環状要素の前記自由接触端に半径方向外向きの力をかけるように構成された、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項9】
前記封止部材は、使用中、前記囲み部材の閉鎖により前記外側突起部足部と前記トラフの前記底部との間の軸線方向の間隔が小さくなるように変形可能である、請求項1~
8のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項10】
前記突起部は、前記カプセル本体軸線に対して
8°未満の内角で延びる概ね内向きの表面部分を有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項11】
前記突起部及び前記トラフの前記底部は、前記カプセルが前記囲み部材内に位置決めされ、前記囲み部材が前記閉じ部材によって閉鎖された場合、前記環状要素の前記自由接触端が前記トラフの前記底部に接触するように配置された、請求項1~10のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項12】
前記カプセルは、前記カプセルが前記囲み部材内に位置決めされ、前記囲み部材が前記閉じ部材によって閉じられているときに、前記囲み部材のための支承部を備え、前記支承部は少なくとも前記突起部によって形成されている、請求項1から
11のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項13】
前記突起部は、軸線方向に圧縮されると、前記環状要素の自由端の外向きに面する表面と接触したまま、半径方向外向きに逃げて座屈するような形状となっている、請求項1から
12のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項14】
前記カプセルは、飲用可能な飲料を調製するための物質として抽出可能な製品を収容し、前記抽出可能な製品
は、5~20
グラムの焙煎され挽かれたコーヒーである、請求項1~
13のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項15】
前記カプセルの前記外向きに延びるフランジの外径は、前記カプセルの前記底部の直径よりも大きい、請求項1から
14のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項16】
前記外向きに延びるフランジの前記外径は約37.1mmであり、前記カプセルの前記底部の前記直径は約23.3mmである、請求項1~
15のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項17】
前記アルミニウム蓋の厚さは、15~65マイクロメー
トルである、請求項1から
16のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項18】
前記アルミニウム蓋の壁厚は、前記アルミニウムカプセル本体の壁厚よりも薄い、請求項1から
17のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項19】
前記アルミニウムカプセル本体の前記側壁は、前記底部の反対側にある自由端を有
する、請求項1~
18のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項20】
前記カプセル本体中心軸線の周りの前記外向きに延びるフランジの前記丸められた外縁部の内縁部の半径は、少なくとも32mmである、請求項1~
19のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項21】
前記封止部材は、前記アルミニウムカプセル本体の前記側壁の前記自由端と、前記外向きに延びるフランジの前記丸められた外縁部の内縁部との間に位置決めされた、請求項
19~20のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項22】
前記外向きに延びるフランジの前記丸められた外縁部の最大寸法は、約1.2ミリメートルである、請求項
1~21のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項23】
前記アルミニウムカプセル本体の前記側壁の前記自由端の内径は、約29.5mmである、請求項
19に記載のカプセル。
【請求項24】
前記アルミニウムカプセル本体の前記側壁の前記自由端と、前記外向きに延びるフランジの最外縁部との間の距離は、約3.8ミリメートルである、請求項
19に記載のカプセル。
【請求項25】
前記アルミニウムカプセル本体の高さは、約28.4mmである、請求項1~
24のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項26】
前記アルミニウムカプセル本体は切頭形であり、
前記アルミニウムカプセル本体の前記側壁は前記カプセル本体中心軸線を横断する線に対して約97.5°の角度を形成している、請求項1から
25のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項27】
前記アルミニウムカプセル本体の前記底部の最大内径は、約23.3mmである、請求項1~
26のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項28】
前記アルミニウムカプセル本体の前記底部は、切頭形で
あり、約4.0mmの底部高さを有し、前記底部は、前記蓋の反対側に約8.3mmの直径を有する概ね平らな中心部分を更に有する、請求項
27に記載のカプセル。
【請求項29】
前記カプセルは内側表面を含み、前記カプセルの少なくとも前記側壁の前記内側表面に内側コーティングが施されている、請求項1から
28のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項30】
前記カプセルの前記アルミニウム蓋は、封止ラッカによって前記外向きに延びるフランジに取り付けられ、前記内側コーティングは、前記封止ラッカと同じ材料から構成されている、請求項
29に記載のカプセル。
【請求項31】
前記封止部材は、内側コーティングを
有さない、請求項
29又は30に記載のカプセル。
【請求項32】
前記カプセルは外側表面を備え、前記カプセルの前記外側表面にカラーラッカが施されている、請求項1から
31のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項33】
前記カラーラッカの外面上に、外側コーティングが施されている、請求項
32に記載のカプセル。
【請求項34】
前記封止部材は、カラーラッカを
有さない、請求項
32又は33に記載のカプセル。
【請求項35】
前記突起部、前記アルミニウムカプセル本体の前記側壁、及び前記トラフの前記底部は、前記カプセルが前記飲料調製装置の前記囲み部材内に位置決めされ、前記囲み部材が前記飲料調製装置の前記閉じ部材によって閉鎖された場合、前記環状要素の前記自由接触端が前記トラフの前記底部に接触するように配置された、請求項1~
34のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項36】
封止部材は、使用中に前記飲料調製装置の前記囲み部材内の最大流体圧力が6~20バー
ルの範囲内である場合、前記突起部が前記環状要素の前記自由接触端の少なくとも一部分に流体封止接触するように変形可能である、請求項1~
35のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項37】
前記封止
部材は、淹出中、前記環状要素の前記自由接触端が、前記カプセルの前記封止部材に力F2をかけた場合、前記突起部が前記環状要素の前記自由接触端の少なくとも一部分に流体封止接触するように変形可能であり、前記カプセル外側の前記囲み部材内の前記流体圧力P2が6~20
バールの範囲内であるとき、F2は、500~1500Nの
範囲内である、請求項1~
36のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項38】
前記封止
部材は、使用中、淹出する前又は淹出開始時に、前記環状要素の前記自由接触端が前記カプセルの前記封止部材に力F1をかけた場合、前記突起部が前記環状要素の前記自由接触端の少なくとも一部分に流体封止接触するように変形可能であり、前記カプセル外での前記飲料調製装置の前記囲み部材内の前記流体圧力P1が0.1~4
バールの範囲内であるとき、前記力F1は、30~
150Nの範囲内である、請求項1~
37のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項39】
前記封止部材は、前記封止部材に押圧される前記環状要素の前記自由接触端が、前記環状要素の前記自由接触端の円周方向に互いに対して均一に間隔を空けて配置された、複数の半径方向に延びる開放溝を有する場合、前記突起部が前記環状要素の前記自由接触端の少なくとも一部分に流体封止接触するように変形可能である、請求項1~
38のいずれか一項に記載のカプセル。
【請求項40】
前記封止
部材は、前記溝のそれぞれの最大幅が0.9~1.1
mmである場合、前記突起部が前記環状要素の前記自由接触端の少なくとも一部分に封止接触するように変形可能であり、前記飲料調製装置の前記囲み部材の軸線方向における前記溝のそれぞれの最大高さは、0.01~0.09
mmであり、前記溝の数は、90~
110本である、請求項
39に記載のカプセル。
【請求項41】
加圧下でカプセル内へ供給される流体を使用してカプセルから飲用可能な飲料を調製するシステムであって、
前記カプセルを受け入れる囲み部材を備える飲料調製装置であって、前記囲み部材は、加圧下で流体を前記カプセル内へ供給する流体注入手段を備え、前記飲料調製装置は、前記飲料調製装置の前記囲み部材を閉鎖する抽出プレートなどの閉じ部材を更に備え、前記飲料調製装置の前記囲み部材は、環状要素中心軸線と自由接触端とを有する環状要素を更に備
える、飲料調製装置と、
請求項1~
40のいずれか一項に記載のカプセルと、
を備えたシステム。
【請求項42】
前記環状要素の前記自由接触端は、複数の半径方向に延びる開放溝を備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記環状要素の前記自由接触端部分は、前記カプセルが前記囲み部材内に位置決めされ、前記囲み部材が前記閉じ部材によって閉鎖された場合、前記突起部に接触する外周面部分を有し、前記半径方向に延びる開放溝は、前記外面部分よりも内面部分内で深くなっており、又は前記外面部分内に前記半径方向に延びる開放溝がない、請求項
42に記載のシステム。
【請求項44】
前記トラフの半径方向幅が、前記環状要素の前記自由接触端部分の半径方向の厚さよりも実質的に大きく、したがって前記環状要素の前記自由接触端部分と前記カプセル本体の前記側壁との間に隙間が残る、請求項
41~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記カプセルは、請求項
10に記載のカプセルであり、前記環状要素は、前記概ね内向きの表面部分を変形させるように配置された、請求項
41~44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記カプセルは、請求項13に記載のカプセルであり、前記環状要素は、外側隆起と内側隆起との間に1つ以上架橋部を有し、前記架橋部又は各架橋部は、前記外側隆起と前記内側隆起との間の環状空間の中断部を構成している、請求項41~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
使用中に前記飲料調製装置の前記囲み部材内の最大流体圧力は、6~20
バールの範囲内である、請求項
41~46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記システムは、使用中、淹出中に、前記飲料調製装置の前記囲み部材の自由端が、前記カプセルの前記封止部材に力F2をかけて、前記カプセルの前記外向きに延びるフランジと前記飲料調製装置の前記囲み部材との間の流体封止接触をもたらすように配置され、前記カプセル外側の前記前記飲料調製装置の前記囲み部材内の前記流体圧力P2が6~20
バールの範囲内であるとき、F2は、500~1500Nの
範囲内である、請求項
41~47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記システムは、使用中、淹出する前又は淹出開始時に、前記飲料調製装置の前記囲み部材の自由端が、前記カプセルの前記封止部材に力F1をかけて、前記カプセルの前記外向きに延びるフランジと前記飲料調製装置の前記囲み部材との間の流体封止接触をもたらすように配置され、前記カプセル外側の前記飲料調製装置の前記囲み部材内の前記流体圧力P1が0.1~4
バールの範囲内であるとき、F1は、30~150Nの範囲内である、請求項
41~48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記複数の半径方向に延びる開放溝は、前記飲料調製装置の前記環状要素の前記自由接触端の接線方向に、互いに対して均一に間隔を空けて配置されている、
請求項42に従う場合の請求項45~49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
前記環状要素の自由接触端は、複数の半径方向に延びる開放溝を備え、各溝の最大幅は、0.9~1.1
mmであり、前記飲料調製装置の前記囲み部材の軸線方向における各溝の最大高さは、0.01~0.09
mmであり、溝の数は、90~110
本であり、
前記溝の位置における前記自由接触端の半径方向幅は、0.05~0.9
mmである、
請求項42に従う場合の請求項43~50のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
使用中、前記飲料調製装置の前記閉じ部材が前記飲料調製装置の前記囲み部材を閉鎖するとき、少なくとも前記飲料調製装置の前記囲み部材の前記自由接触端は、前記飲料調製装置の前記閉じ部材の方への前記飲料調製装置の前記囲み部材内の前記流体の圧力の影響下で、前記カプセルの前記フランジと前記飲料調製装置の前記囲み部材の前記自由端との間に最大の力を加えるように、前記飲料調製装置の前記閉じ部材に対して動くことができ、
前記囲み部材は、第1の部分及び第2の部分を備え、前記第2の部分は、前記囲み部材の前記自由接触端を備え、前記第2の部分は、第1の位置と第2の位置との間で前記第1の部分に対して動くことができ、前記第2の部分は、前記囲み部材内の流体圧力の影響下で前記閉じ部材の方向に前記第1の位置から前記第2の位置の方へ動くことができ、
前記第2の部分が請求項
49に記載の前記囲み部材内の流体圧力P1で前記第1の位置にある場合、請求項
49に記載の前記力F1に到達し、
前記第2の部分が請求項
48に記載の前記囲み部材内の前記流体圧力P2の影響下で前記第2の位置の方へ動かされた場合、請求項
48に記載の前記力F2に到達する、請求項
41~51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
使用中、前記飲料調製装置の前記閉じ部材が前記飲料調製装置の前記囲み部材を閉鎖するとき、前記飲料調製装置の前記囲み部材は、前記飲料調製装置の前記閉じ部材に向かう前記飲料調製装置の前記囲み部材内の前記流体の前記圧力の影響下で、前記カプセルの前記フランジと前記飲料調製装置の前記囲み部材の前記自由端との間に最大の力を加えるように、前記飲料調製装置の前記閉じ部材に対して動くことができる、請求項41~52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
カプセルを受け入れる囲み部材を備える飲料調製装置における請求項1~
40のいずれか一項に記載のカプセルの使用であって、前記囲み部材は、加圧下で流体を前記カプセル内へ供給する流体注入手段を備え、前記飲料調製装置は、前記飲料調製装置の前記囲み部材を閉鎖
する閉じ部材を更に備え、前記飲料調製装置の前記囲み部材は、環状要素中心軸線と自由接触端とを有する環状要素を更に
備え、前記カプセルは、前記飲料調製装置の前記流体注入手段によって加圧下で前記カプセル内へ供給される前記流体により物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を収容し、前記カプセルは、カプセル本体中心軸線を有するアルミニウムカプセル本体を備え、前記アルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、前記カプセルは、前記外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、前記蓋は、前記カプセルを密封して閉じており、前記カプセルは、前記外向きに延びるフランジと一体の封止部材を更に備え
、前記カプセルが前記飲料調製装置の前記囲み部材内に位置決めされ、前記囲み部材が前記閉じ部材によって閉鎖された場合、前記カプセルの前記外向きに延びるフランジ及び前記カプセルの前記封止部材の少なくとも一部分が前記飲料調製装置の前記囲み部材と前記閉じ部材との間に封止的に係合
される、前記使用。
【請求項55】
使用中に前記飲料調製装置の前記囲み部材内の最大流体圧力は、6~20
バールの範囲内である、請求項
54に記載の使用。
【請求項56】
使用中、淹出中に、前記飲料調製装置の前記囲み部材の自由端が、前記カプセルの前記封止部材に力F2をかけて、前記カプセルの前記外向きに延びるフランジと前記飲料調製装置の前記囲み部材との間の流体封止接触をもたらし、前記カプセル外側の前記飲料調製装置の前記囲み部材内の前記流体圧力P2が6~20
バールの範囲内であるとき、F2は、500~1500Nの
範囲内であり、前記流体封止接触が存在する、請求項
54又は55に記載の使用。
【請求項57】
使用中、淹出する前又は淹出開始時に、前記飲料調製装置の前記囲み部材の自由端は、前記カプセルの前記封止部材に力F1をかけて、前記カプセルの前記外向きに延びるフランジと前記飲料調製装置の前記囲み部材との間の流体封止接触をもたらし、前記カプセル外側の前記飲料調製装置の前記囲み部材内の前記流体圧力P1が0.1~4
バールの範囲内であるとき、F1は、30~
150Nの範囲内であり、前記流体封止接触が存在する、請求項
54~56のいずれか一項に記載の使用。
【請求項58】
前記環状要素の前記自由接触端は、複数の半径方向に延びる開放溝を備え、前記複数の半径方向に延びる開放溝は、前記飲料調製装置の前記環状要素の前記自由接触端の接線方向に、互いに対して均一に間隔を空けて配置されている、請求項
54~57のいずれか一項に記載の使用。
【請求項59】
前記環状要素は、前記突起部を外向きに付勢している、請求項
54~58のいずれか一項に記載の使用。
【請求項60】
前記トラフの前記底部は、前記囲み部材が閉鎖されると、前記環状要素によって軸線方向に変位され
て、前記突起部を傾け
かつ前記環状要素の前記自由
接触端に対して内向きに逃げるように、
前記突起部を付勢
する、請求項
54~59のいずれか一項に記載の使用。
【請求項61】
前記囲み部材の閉鎖により、前記外側突起部足部と前記トラフの前記底部との間の軸線方向の間隔が小さくなるか又は無くなる、請求項
54~60のいずれか一項に記載の使用。
【請求項62】
請求項46に記載のシステムが使用され、前記突起部は、前記架橋部によって圧縮されると半径方向外向きに逃げて座屈する、請求項
54~61のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧下で流体をカプセル内へ供給することにより物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を収容するカプセルに関し、カプセルは、カプセル本体中心軸線を有するアルミニウムカプセル本体を備え、アルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、カプセルは、外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、蓋は、カプセルを密封して閉鎖し、カプセルは、外向きに延びるフランジに封止部材を更に備え、封止部材は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、囲み部材が飲料調製装置の抽出プレートなどの飲料調製装置の閉じ部材によって閉鎖された場合、カプセルの外向きに延びるフランジ及びカプセルの封止部材の少なくとも一部分が飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間に封止的に係合されるように、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触をもたらし、飲料調製装置の囲み部材は、環状要素中心軸線と自由接触端とを有する環状要素を備え、環状要素の自由接触端は、複数の半径方向に延びる開放溝を任意選択的に備える。
【0002】
本発明はまた、加圧下でカプセル内へ供給される流体を使用してカプセルから飲用可能な飲料を調製するシステムに関し、このシステムは、カプセルを受け入れる囲み部材を備える飲料調製装置であって、囲み部材が、加圧下で流体をカプセル内へ供給する流体注入手段を備え、飲料調製装置が、飲料調製装置の囲み部材を閉鎖する抽出プレートなどの閉じ部材を更に備え、飲料調製装置の囲み部材が、環状要素中心軸線と自由接触端とを有する環状要素を更に備え、環状要素の自由接触端が、複数の半径方向に延びる開放溝を任意選択的に備える、飲料調製装置と、飲料調製装置の流体注入手段によって加圧下でカプセル内へ供給される流体により物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を収容するカプセルであって、カプセルが、カプセル本体中心軸線を有するアルミニウムカプセル本体を備え、アルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、カプセルが、外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、蓋が、カプセルを密封して閉鎖し、カプセルが、外向きに延びるフランジに封止部材を更に備え、封止部材が、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉鎖された場合、カプセルの外向きに延びるフランジ及びカプセルの封止部材の少なくとも一部分が、飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間に封止的に係合されるように、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触をもたらす、カプセルとを備える。
【0003】
更に、本発明は、カプセルを受け入れる囲み部材を備える飲料調製装置におけるカプセルの使用に関し、囲み部材は、加圧下で流体をカプセル内へ供給する流体注入手段を備え、飲料調製装置は、飲料調製装置の囲み部材を閉鎖する抽出プレートなどの閉じ部材を更に備え、飲料調製装置の囲み部材は、環状要素中心軸線と自由接触端とを有する環状要素を更に備え、環状要素の自由接触端は、複数の半径方向に延びる開放溝を任意選択的に備え、カプセルは、飲料調製装置の流体注入手段によって加圧下でカプセル内へ供給される流体により物質を抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を収容し、カプセルは、カプセル本体中心軸線を有するアルミニウムカプセル本体を備え、アルミニウムカプセル本体は、底部、側壁、及び外向きに延びるフランジを備え、カプセルは、外向きに延びるフランジに取り付けられたアルミニウム蓋を更に備え、蓋は、カプセルを密封して閉鎖し、カプセルは、外向きに延びるフランジに封止部材を更に備え、封止部材は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉鎖された場合、カプセルの外向きに延びるフランジ及びカプセルの封止部材の少なくとも一部分が、飲料調製装置の囲み部材と閉じ部材との間に封止的に係合されるように、飲料調製装置の囲み部材との流体封止接触をもたらす。
【背景技術】
【0004】
そのようなカプセル、システム、及び使用は、欧州特許第1700548(B1)号から知られている。公知のシステムにおいて、カプセルは、段差形状、すなわちカプセルの側壁の直径の急な増加を有する封止部材を備え、そしてこの公知のシステムの囲み部材は、封止部材にたわみを与えるように封止部材に作用する封止表面を有し、この封止表面は、この封止部材のたわみが段状の内側及び下側への変形となるように傾けられている。公知のシステムにおいて更に、囲み部材は、カプセルホルダと、囲み部材及びカプセルホルダの相対移動のための手動操作機構又は自動機構と、を備えている。手動操作機構又は自動機構は、囲み部材がカプセルホルダ上で閉じるときに、カプセルの封止部材に力を加える。この力は、囲み部材とカプセルとの間の流体密封を確実にするであろう。手動操作機構又は自動機構が基部に相対的に移動するように配置されているため、システムの封止能力は、流体注入手段によって注入される流体の圧力に依存し得る。流体の圧力が増加すると、カプセルの封止部材と囲み部材の自由端との間の力も増大し、それによりカプセルの封止部材と囲み部材の自由端との間の力もまた、増大する。係るシステムは後で説明される。カプセルの封止部材は、囲み部材内において最大流体圧に到達するときに、封止部材は囲み部材とカプセルとの間に流体封止接触をやはりもたらすべきであるように構成されていなければならない。しかしながら、封止部材はまた、淹出する前又は淹出開始時の、カプセルの外の囲み部材内の流体の圧力が比較的低いときに、封止部材がまた、囲み部材とカプセルとの間に流体封止接触をもたらすように構成されていなければならない。淹出開始時に、カプセルと囲み部材との間に流体封止接触が存在しない場合、漏れが生じる。しかしながら、もし漏れが生じると、手動操作機構又は自動機構が囲み部材をカプセルホルダの方へ移動させたときに、囲み部材の自由端による封止部材への力を増加させるための、囲み部材内及びカプセルの外側の圧力が、十分に上昇しないことが現実に生じる。十分な初期封止があるときにのみ、囲み部材内の圧力は増加し、それによりカプセルの封止部材上で作用する囲み部材の自由端の力は増加した流体圧でもまた十分な流体封止接触をもたらすように増加する。更に、こうして増大したカプセル外側の流体圧力はまた、カプセル内側の流体圧力も増大させる。これは、カプセル内の流体圧力の影響下で、飲料調製装置のカプセルホルダのリリーフ部材(抽出プレートとも呼ぶ)上に裂開するように配置された蓋が、カプセルに設けられている場合に重要である。
【0005】
上記のことから、封止部材は設計上極めて重要な部材であるということになる。囲み部材の自由端によって比較的小さな力しか封止部材に加えられないときには、比較的低い流体圧で囲み部材とカプセルとの間に流体封止接触をもたらすことができるべきである。しかし、囲み部材の自由端によってカプセルの封止部材により強い力が加えられるときには、カプセルの外の囲み部材内に、遥かに高い流体圧で流体封止接触がもたらされるべきである。特に、囲み部材とカプセルホルダとの間の力が解放されると空気流入路として働き、それにより、使用者がより容易にカプセルを取り出せるようになる、半径方向に延びる開放溝を、囲み部材の自由接触端が備える場合、封止部材はまた、効果的な封止をもたらすために半径方向に延びる開放溝を「閉じる」ことができなければならない。
【0006】
本発明の目的は、比較的容易に製造でき、カプセルが使用後に廃棄される場合に環境に優しく、かつ/又は半径方向に延びる開放溝が自由接触端に設けられた囲み部材の場合でも、囲み部材の自由端によって比較的小さい力が封止部材に加えられる場合の比較的低い流体圧力(場合により、初期封止とも呼ぶ)と、囲み部材の自由端によってよりも大きい力がカプセルの封止部材に加えられる場合(例えば、淹出中)の遥かに高い流体圧力との両方で、満足な密封を提供する、代替の封止部材を提供することである。
【0007】
本発明はまた、カプセルから飲用可能な飲料を調製するための代替のシステムを提供する、及び飲料調製装置におけるカプセルの代替の使用を提供する、という目的も有する。
【0008】
本発明によれば、第1の態様として、請求項1に記載のカプセルが提供される。
【0009】
封止部材は、外向きに延びるフランジと一体であり、環状突起部を含み、環状突起部は、内側封止部材部分の半径方向外側に内側突起部足部からカプセル本体底部に向かって軸線方向に突出する突起部頂部と、外側フランジ部分の半径方向内側の外側突起部足部とを含み、外向きに延びるフランジは、内側突起部足部と側壁との間に環状トラフを含み、環状トラフは、外側突起部足部からカプセル本体の底部に向かって軸線方向に間隔が空いている底部を有するので、封止部材は、比較的容易に製造でき、半径方向に延びる開放溝を備えた自由接触端への満足な封止を提供する。特に、外側突起部足部からカプセル本体の底部に向かって軸線方向に間隔が空いている環状トラフの底部により、突起部の外側に対して閉じ部材の方へ底部を押すことが可能になり、突起部の傾き及び「逃げる(roll off)」ことにより突起部が内向きに押されて、それによって環状要素の自由接触端にかかる半径方向の接触圧力が増大し、満足な封止の実現に寄与する。
【0010】
突起部の安定した支持のために、好ましくは、外側フランジ部分は、カプセル本体中心軸線を横断して、好ましくはそれに直交して配向される。更に、突起部の外壁は、好ましくは、カプセル本体中心軸線に対して10°未満、より好ましくは5°未満の角度で、外側突起部足部から上向きに配向される。
【0011】
この用途において、流体封止接触の存在とは、飲料を調製するための囲み部材に供給される流体の総量の0~6%、好ましくは0~4%、より好ましくは0~2.5%が、自由接触端とカプセルの封止部材との間の漏れに起因して漏れ出る場合があることを意味する。
【0012】
カプセル本体軸線を通る平面に沿って切り取った断面で見ると、トラフの底部は、好ましくは、連続して実質的に直線であり、又は突起部及び側壁への遷移部の曲率半径よりも大きい(例えば、少なくとも5倍若しくは10倍の)曲率半径で湾曲しており、したがって突起部を内向き押すことに起因する反応力が効果的に伝達される。
【0013】
トラフの底部の直線区分は、軸線方向成分がカプセル本体の底部の方を向いた状態で、外向き方向に傾斜しており、したがって実質的に直線又は軽度に湾曲している3Dで概ね円錐形の区分が、板ばね又はばねカラーとして効果的に作用し、その外側部分が、反軸線方向圧力を突起部に弾性的に作用させ、したがって軸線方向圧力が円周方向に均一に分散される。
【0014】
トラフの底部の実質的に直線の区分は、好ましくは、カプセル本体軸線に垂直な平面に対して0~10度、より好ましくは3~8度、又は4~7度の内角で傾斜している。
【0015】
カプセル本体軸線を通る平面に沿って切り取った断面で見ると、トラフの底部から突起部への遷移部は、好ましくは、傾斜区分の内側及び外側の隣接する湾曲区分よりも直線の傾斜区分を有する。これはまた、半径方向封止圧力の損失を招き得る突起部の外向きの動きを効果的に抑制することに寄与する。
【0016】
傾斜区分は、好ましくは、カプセル本体軸線に垂直な平面に対して少なくとも10°、より好ましくは少なくとも20°、多くとも60°、より好ましくは多くとも50°の内角で配向される。
【0017】
突起部の半径方向外壁は、好ましくは、カプセル本体軸線に対して8°未満、より好ましくは6°未満の内角で配向される。したがって、突起部の上部部分は、崩壊しないように効果的に支持され、深絞り動作と同様の突起部の内向きの「逃げ」が容易になる。同じ目的で、突起部の外側足部で、突起部から外向きに延びるフランジの半径方向外向きに突出する部分への遷移部の内径が、0.15mm未満、好ましくは0.12mm未満である場合、更に有利である。圧縮運動により、突起部の塑性座屈が誘起され、囲み部材の自由端に加えられる接触力が増大する。
【0018】
好ましくは、外向きに延びるフランジは、1つの環状突起部だけを有し、環状突起部は、内側フランジ部分の半径方向外側に内側突起部足部から底部に向かって軸線方向に突出する突起部頂部と、外側フランジ部分の半径方向内側の外側突起部足部とを備える。したがって、特にカプセルをプレート材料から深絞りするとき、カプセル本体を効率的に製造することができる。
【0019】
カプセルの一実施形態において、カプセルが、飲用可能な飲料の調製のための物質として抽出可能製品を含み、この抽出可能製品が、好ましくは5~20グラム、好ましくは5~10グラム、より好ましくは5~7グラムの、焙煎され挽かれたコーヒーなどの抽出可能製品である場合に、本発明は特に有利である。
【0020】
本発明に係る、特に製造が簡単なカプセルの一実施形態では、カプセルの外向きに延びるフランジの外径は、カプセルの底部の直径よりも大きい。好ましくは、外向きに延びるフランジの外径は約37.1mmであり、カプセルの底部の直径は約23.3mmである。
【0021】
本発明は、カプセルの一実施形態において、アルミニウムカプセル本体の厚さが、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉鎖された場合、容易に変形するようになっており、好ましくはアルミニウムカプセル本体の厚さが、20~200マイクロメートル、好ましくは100マイクロメートルであるとき、特に有利である。
【0022】
カプセルの一実施形態において、アルミニウム蓋の厚さが15~65マイクロメートルであり、好ましくは30~45マイクロメートルであり、より好ましくは39マイクロメートルである場合に、本発明は特に有利である。
【0023】
本発明に係るカプセルの一実施形態では、アルミニウム蓋の壁厚は、アルミニウムカプセル本体の壁厚よりも薄い。
【0024】
本発明に係るカプセルの更なる実施形態では、アルミニウム蓋は、カプセル内の流体圧の影響下で、飲料調製装置の抽出プレートなどの飲料調製装置の閉じ部材上で裂開されるように構成されている。
【0025】
特に容易に製造できる本発明によるカプセルの一実施形態では、アルミニウムカプセル本体の側壁は、底部の反対側にある自由端を有し、外向きに延びるフランジは、カプセル本体中心軸線を少なくとも実質的に横断する方向に側壁の自由端から延びる。好ましくは、外向きに延びるフランジは、丸められた外縁部を備え、半径方向に延びる開放溝を備えた自由接触端との満足な封止を得るのに有益である。外向きに延びるフランジの丸められた外縁部の内縁部のカプセル本体中心軸線の周りの半径は、好ましくは少なくとも32mmであり、したがって囲み部材の環状端面からの隙間が確保される。次いで、封止部材は、更に満足な封止を得るために、アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端と、外向きに延びるフランジの丸められた外縁部の内縁部との間に位置決めされることが好ましい。
【0026】
丸められた外縁部が、多種多様な、市販の及び将来の飲料調製装置の動作を妨害しないことを確実にするために、外向きに延びるフランジの丸められた外縁部は、約1.2ミリメートルの最大寸法を有する。
【0027】
本発明は、アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端の内径が約29.5mmであるカプセルにとって特に有益である。アルミニウムカプセル本体の側壁の自由端と外向きに延びるフランジの最外縁部との間の距離は、約3.8ミリメートルとすることができる。アルミニウムカプセル本体の好ましい高さは、約28.4mmである。
【0028】
使用後に使用者が飲料調製装置からより簡単に取り出せる本発明に係るカプセルの一実施形態では、アルミニウムカプセル本体は切頭形であり、好ましくはアルミニウムカプセル本体の側壁は、カプセル本体中心軸線を横断する線に対して約97.5°の角度を形成している。
【0029】
本発明によるカプセルの有利な実施形態では、アルミニウムカプセル本体の底部の最大内径は約23.3mmである。アルミニウムカプセル本体の底部は切頭形であり、好ましくは底部高さが約4.0mmであり、底部は、蓋の反対側にある直径約8.3mmの概ね平坦の中心部分を更に有することが好ましい。
【0030】
包囲部材が閉じたときに包囲部材の自由端に最初に接触する封止部材部分の高さが少なくとも約0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、及び最も好ましくは少なくとも0.8mmで、最大3mm、より好ましくは最大2mm、及び最も好ましくは最大1.2mmである、本発明に係るカプセルの一実施形態において、実質的にすべての場合で良好な封止を得ることができる。
【0031】
本発明に係るカプセルの好ましい実施形態では、カプセルは内側表面を備え、カプセルの少なくとも側壁の内側表面に、内側コーティングが施される。特に、カプセルが深絞りによって製造される場合、内側コーティングにより、深絞り成形法が容易になる。カプセルのアルミニウム蓋が封止ラッカによって外向きに延びるフランジに取り付けられている場合に、この内側コーティングが封止ラッカと同一の材料で構成されていると、特に有利である。封止部材から内側コーティングが崩壊しないようにするために、使用する内側コーティングによっては、封止部材に内側コーティングがないことが好ましい。
【0032】
本発明に係るカプセルの更なる実施形態では、カプセルは外側表面を備え、カプセルの外側表面上には、カラーラッカが施される。深絞りを容易にするために、カラーラッカの外側表面上に外側コーティングを設けることが好ましい。封止部材からカラーラッカ/外側コーティングが崩壊しないようにするために、使用されるカラーラッカ及び外側コーティングによっては、封止部材がカラーラッカ(及び結果として外側コーティング)を有さないことが好ましい。
【0033】
突起部、アルミニウムカプセル本体の側壁、及びトラフの底部は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉鎖された場合、環状要素の自由接触端がトラフの底部に接触するように配置することができる。
【0034】
確実な封止を実現するために、突起部が、直径31.9~32.4mmでカプセル軸線の周りに延びる極限頂端を有する場合も有利である。したがって、Citiz、Lattisima、U、Maestria、Pixie、Inissia、及びEssenzaなどの市販のコーヒー準備装置で使用されるとき、囲み部材の自由端の外縁領域は、突起部にしっかりと押圧される。
【0035】
本発明によれば、第2の態様として、請求項51に記載の飲用可能な飲料を調製するためのシステムが提供される。
【0036】
トラフの半径方向幅は、好ましくは、環状要素の自由接触端部分の半径方向の厚さよりも実質的に大きく、したがって環状要素の自由接触端部分とカプセル本体の側壁との間に隙間が残る。このため、軸線方向の全ての力が、囲み部材と封止部材との間の封止を生成するために利用可能となることが、保証される。
【0037】
突起部頂部は、突起部の足部から軸線方向において最も遠位にある、突起部の例えば半分、3分の1、又は4分の1の部分を構成し得る。
【0038】
カプセルに関する従属請求項の特徴と同じ特徴に関する、従属請求項に記載されたようなシステムの好ましい実施形態に関しては、上記が参照される。
【0039】
本発明は、使用中に飲料調製装置の囲み部材内の最大流体圧が6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にある、本発明に係るシステムにおいて使用するのに特に好適である。このような高圧であっても、カプセルと飲料調製装置との間に十分な封止が得られ得る。
【0040】
システムは好ましくは、使用中、淹出中に、カプセルの外向きに延びるフランジと飲料調製装置の囲み部材との間に流体封止接触をもたらすように、飲料調製装置の囲み部材の自由端がカプセルの封止部材に力F2をかけるように構成されており、カプセルの外での飲料調製装置の囲み部材内の流体圧P2が6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にあるときに、F2は500~1500Nの範囲内にあり、好ましくは750~1250Nの範囲内にある。特に、システムは、使用中、淹出する前又は淹出開始時に、カプセルの外向きに延びるフランジと飲料調製装置の囲み部材との間に流体封止接触をもたらすように、飲料調製装置の囲み部材の自由端がカプセルの封止部材に力F1をかけるように構成されており、カプセルの外での飲料調製装置の囲み部材内の流体圧P1が0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内にあるときに、F1は、30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nの範囲内にある。
【0041】
本発明に係るシステムの一実施形態において、カプセルと飲料調製装置との間の十分な封止を依然としてもたらし得ながら、使用者がより簡単にカプセルを取り出せるように、半径方向に延びる複数の開放溝は、飲料調製装置の環状要素の自由接触端の接線方向に、互いに対して均一に間隔を空けて配置される。
【0042】
本発明に係るシステムの有利な実施形態において、各溝の最大の接線方向の幅(頂部と頂部、すなわち溝と溝とのピッチに等しい)は、0.9~1.1mm、好ましくは0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmであり、飲料調製装置の囲み部材の軸線方向における各溝の最大高さは、0.01~0.09mm、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、最も好ましくは0.05mmであり、溝の数は90~110本、好ましくは96本である。溝の位置における環状端面の半径方向幅は、例えば0.05~0.9mm、好ましくは0.2~0.7mm、より好ましくは0.3~0.55mmとすることができる。本発明は、本発明によるシステムの一実施形態に適用されるとき、使用中、飲料調製装置の閉じ部材が飲料調製装置の囲み部材を閉鎖するとき、少なくとも飲料調製装置の囲み部材の自由接触端が、飲料調製装置の閉じ部材の方への飲料調製装置の囲み部材内の流体の圧力の影響下で、カプセルのフランジと飲料調製装置の囲み部材の自由端との間に最大の力を加えるように、飲料調製装置の閉じ部材に対して動くことができるとき、特に好適である。囲み部材は、第1の部分と第2の部分とを含んでもよく、第2の部分は、囲み部材の自由接触端を含み、第2の部分が、第1の位置と第2の位置との間で第1の部分に対して動くことができる。第2の部分は、囲み部材内の流体圧の影響下で閉じ部材の方向に第1の位置から第2の位置の方へ動くことができる。上述の力F1は、第2の部分が流体圧P1で第1の位置にあるときに達成され得る。上述の力F2は、第2の部分が囲み部材内の流体圧P2の影響下で第2の位置に向かって動かされるときに達成され得る。
【0043】
本発明によれば、第3の態様として、請求項63に記載の発明に係るカプセルの使用が提供される。
【0044】
本発明の特定の実施形態は、従属請求項に記載されている。カプセルに関する従属請求項又はシステムに関する従属請求項の特徴と同じ特徴に関する、新規な使用の利点及び従属請求項に記載されたような使用の好ましい実施形態に関しては、上記が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の更なる特徴、詳細、及び効果は、図面を参照して非限定的な例によって、以下で更に明らかにされる。
【
図1】本発明に係るシステムの一実施形態の概略図である。
【
図2】半径方向に延びる複数の開放溝を備えた飲料調製装置の囲み部材の自由接触端を示す、本発明に係るシステムの飲料調製装置の一実施形態を示す斜視図である。
【
図3A】使用前の本発明に係るカプセルの一実施形態を示す概略断面図である。
【
図3B】
図3Aのカプセルの拡大詳細図を概略的に示し、外向きに延びるフランジ及び封止部材を示す図である。
【
図3C】使用後の
図3A及び
図3Bにおけるカプセルの外向きに延びるフランジの拡大詳細図を概略的に示す図である。
【
図4A】飲料準備装置の囲み部材及び閉じ部材の端部部分と組み合わせた、本発明によるカプセルの外向きに延びるフランジにある封止部材の一実施形態の拡大断面図である。
【
図4B】囲み部材及び閉じ部材が閉鎖位置にある、
図4Aによる断面図である。
【
図5】囲み部材の自由端の内側リムと外側リムとの間に架橋部が存在する、変形されたフランジ部分及び囲み部材の一部分の概略断面図である。
【
図6】飲料準備装置の囲み部材及び閉じ部材の端部部分と組み合わせた、本発明によるカプセルの外向きに延びるフランジにある封止部材の第2の実施形態の拡大断面図である。
【
図7】飲料準備装置の囲み部材及び閉じ部材の端部部分と組み合わせた、本発明によるカプセルの外向きに延びるフランジにある封止部材の第3の実施形態の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面及び以下の説明では、同様の参照番号は、同様の特徴を指す。
【0047】
図1は、加圧下でカプセル内に供給された流体を使用してカプセルから飲用可能な飲料を調製するためのシステム1の一実施形態の概略断面図である。システム1は、カプセル2と、飲料調製装置4とを備えている。装置4は、カプセル2を保持するための囲み部材6を含む。装置4は、カプセル2を支持するための閉じ部材、例えば抽出プレート8を更に備えている。
【0048】
図1では、明瞭にするために、カプセル2と囲み部材6と抽出プレート8との間に間隙が描かれている。使用中、カプセル2は、囲み部材6及び抽出プレート部材8に接触することができることが理解されよう。一般的には、囲み部材6は、カプセル2の形状に補完的な形状を有する。飲料調製装置4は、ある量の水などの流体を、6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内の加圧下で、交換可能なカプセル2に供給するための流体注入手段10を更に備えている。
【0049】
図1に示された例において、交換可能なカプセル2は、カプセル本体中心軸線12A及びアルミニウム蓋14を有するアルミニウムカプセル本体12を備えている。本文脈において、「アルミニウム」の意味は、アルミニウム合金をも含むと理解される。本例では、アルミニウムカプセル本体12は、側壁16、第1の端部で側壁16を閉じる底部18、及び底部18とは反対側の第2の端部で周囲壁16から外向きに延びる外向きに延びるフランジ20を備えている。側壁16、底部18、及び蓋14は内部空間22を取り囲み、内部空間22は、抽出及び/又は溶解することによって飲用可能な飲料を調製するための物質を含んでいる。好ましくは、物質は、飲用可能な飲料を調製するための抽出可能製品であり、抽出可能製品は、一杯の飲料の調製のための、好ましくは5~20グラム、好ましくは5~10グラム、より好ましくは5~7グラムの、焙煎され挽かれたコーヒーである。カプセルは、最初に封止されている、すなわち使用前は密封して閉じられている。
【0050】
図1のシステム1は、底部18に少なくとも1つの入口開口部25を作るようにカプセル2の底部18を穿孔し、入口開口部25を介して流体を抽出可能製品に供給するための底部穿孔手段24を備えている。
【0051】
図1のシステム1は、カプセル2の蓋14を穿孔するために、蓋穿孔手段26(ここでは閉じ部材8の突起部として具現化されている)を更に備えている。蓋穿孔手段26は、一度内部空間22内部の(流体)圧力が閾値圧を超え、蓋14を蓋穿孔手段26に対して十分な力で押圧することで蓋14が裂開するように構成され得る。こうして、アルミニウム蓋14は、カプセル内の流体圧の影響下で、飲料調製装置の閉じ部材8上で裂開するように構成されている。
【0052】
カプセル2は、外向きに延びるフランジと一体の封止部材28を更に備えており(
図1、
図3A、及び
図3Bでは一般的なボックスとして示されているが、
図4を参照してより詳細に記載される)、封止部材28は、カプセル2が囲み部材6内に位置決めされ、囲み部材6が抽出プレート8によって閉じられるときに、カプセル2の外向きに延びるフランジ20と、封止部材28の少なくとも一部分とが、囲み部材6と抽出プレート8との間に封止係合するように、囲み部材6との流体封止接触をもたらすように構成されている。これは、封止部材28と自由接触端との間の流体封止接触が確立されることを意味する。
【0053】
図2に示すように、飲料調製装置の囲み部材6は、環状要素中心軸線41Aと自由接触端30とを有する環状要素41を備えている。環状要素41の自由接触端30は、半径方向に延びる複数の開放溝40を備えている。半径方向に延びる複数の開放溝40は、環状要素41の自由接触端30の接線方向に、互いに対して均一に間隔を空けて配置されている。各溝40の最も長い接線方向幅は、0.9~1.1mm、好ましくは0.95~1.05mm、より好ましくは0.98~1.02mmであり、囲み部材6の軸線方向における各溝40の最大高さは、0.01~0.09mm、好ましくは0.03~0.07mm、より好ましくは0.045~0.055mm、最も好ましくは0.05mmである。溝40の数は、90~110本の範囲内、好ましくは96本である。通常、溝の位置での自由端の半径方向の幅は、0.05~0.9mm、より具体的には0.2~0.7mm、より具体的には0.3~0.55mmである。
【0054】
本発明に係るカプセルの一実施形態を、
図3A及び
図3Bにより詳細に示している。図示の実施形態では、外向きに延びるフランジ20の外径ODFは、カプセル2の底部18の直径DBよりも大きい。図示の実施形態では、外向きに延びるフランジ20の外径ODFは約37.1mmであり、底部18の直径DBは約23.3mmである。アルミニウムカプセル本体12の厚さは、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材によって閉鎖された場合、容易に変形するようになっており、好ましくはアルミニウムカプセル本体の厚さは100マイクロメートルであるが、他の実施形態では、厚さは20~200マイクロメートルとすることができる。
【0055】
図示の実施形態では、アルミニウム蓋14の壁厚は39マイクロメートルである。好ましくは、アルミニウム蓋14の壁厚は、アルミニウムカプセル本体12の厚さよりも薄い。
【0056】
アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、底部18とは反対側にある自由端42を有する。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42の内径IDFは約29.5mmである。外向きに延びるフランジ20は、カプセル本体中心軸線12Aを少なくとも実質的に横断する方向にその自由端42から延びる。外向きに延びるフランジ20は、カプセルと囲み部材との間で封止を得るのに有益な丸められた外縁部43を含む。図示の実施形態では、外向きに延びるフランジ20の丸められた外縁部43の最大寸法は、約1.2ミリメートルである。アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42と丸められた外縁部43の内縁部43Aとの間の距離DIFは約2.7mmであるが、一方、アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端42と外向きに延びるフランジ20の最外縁部43Bとの間の距離DOFは約3.8ミリメートルである。丸められた外縁部43の内縁部43Aの、カプセル本体中心軸線を中心とした半径は、好ましくは少なくとも32mmである。
【0057】
図3A及び
図3Bに示すように、封止部材28は、アルミニウムカプセル本体12の側壁16の自由端と外向きに延びるフランジの丸められた外縁部42の内縁部43Aとの間に位置決めされている。封止部材28は一般的なボックスとして示されているが、以下でより詳細に説明される。封止部材28の実施形態にかかわらず、包囲部材が閉じたときに、正しい封止を提供するための包囲部材の自由端に最初に接触する封止部材部分の高さは、少なくとも約0.1mm、より好ましくは少なくとも0.2mm、及び最も好ましくは少なくとも0.8mmで、最大3mm、より好ましくは最大2mm、及び最も好ましくは最大1.2mmである。
【0058】
図3Aから分かるように、アルミニウムカプセル本体12は切頭形である。示された実施形態では、アルミニウムカプセル本体12の側壁16は、カプセル本体中心軸線12Aを横断する線に対して約97.5°の角度Aを形成している。アルミニウムカプセル本体12の底部18の最大内径DBは約23.3mmである。アルミニウムカプセル本体12の底部18もまた切頭形であり、図示の実施形態では、底部高さBHは約4.0mmである。底部18は、蓋14の反対側に概ね平坦の中心部分18Aを更に有し、中心部分18Aの直径DEEは約8.3mmであり、中心部分18A内に入口開口部25を形成することができる。入口開口部はまた、中心部分18Aと側壁16との間の切頭部分に設けられてもよい。カプセルのアルミニウムカプセル本体12の全高THは、約28.4mmである。
【0059】
図1に示すシステム1は、一杯の飲用可能な飲料(本例においてはコーヒーであり、物質は焙煎され挽かれたコーヒーである)を調製するために、以下のように操作される。
【0060】
カプセル2を、囲み部材6内に置く。抽出プレート8を、カプセル2と接触させる。底部穿孔手段24は、入口開口部25を作るようにカプセル2の底部18を穿孔する。流体(ここでは加圧下の熱湯)が、入口開口部25を介して内部空間22内の抽出可能製品に供給される。挽かれたコーヒーを湯で湿らせ、所望の物質を抽出してコーヒー飲料を形成する。
【0061】
内部空間22に加圧下で水が供給される間に、カプセル2内部の圧力は上昇する。圧力の上昇により蓋14が変形し、抽出プレートの蓋穿孔手段26に押し付けられる。一度圧力があるレベルに達すると、蓋14の引裂き強度を上回り、蓋14は蓋穿孔手段26とぶつかって断裂し、出口開口部を作る。調製されたコーヒーは、抽出プレート8の出口開口部及び出口32(
図1を参照)を通じてカプセル2から排出され、カップなどの容器(図示せず)に供給され得る。
【0062】
システム1は、淹出する前又は淹出開始時に、囲み部材6の自由端30が、カプセル2の外向きに延びるフランジ20と飲料調製装置の囲み部材6との間に流体封止接触をもたらすように、カプセル2の封止部材28上に力F1をかけるように構成されており、カプセルの外の飲料調製装置の囲み部材内の流体圧P1が0.1~4バール、好ましくは0.1~1バールの範囲内にあるとき、F1は、30~150N、好ましくは40~150N、より好ましくは50~100Nの範囲内にある。淹出中、囲み部材6の自由端30は、カプセル2の外向きに延びるフランジ20と囲み部材6との間に流体封止接触をもたらすようにカプセル2の封止部材28上に力F2をかける。ここで、カプセル2の外の飲料調製装置の囲み部材6内の流体圧P2が6~20バール、好ましくは12~18バールの範囲内にあるとき、F2は、500~1500Nの範囲内にあり、好ましくは750~1250Nの範囲内にある。図示の実施形態では、囲み部材6の自由接触端は、外向きに延びるフランジ20と囲み部材6の自由端30との間に最大の力F2を加えるための、囲み部材6装置内の流体の抽出プレート8への圧力の影響下で、抽出プレート8に対して動くことができる。この移動は、使用中、すなわち特に淹出開始時及び淹出中に起こり得る。囲み部材6は、第1の部分6Aと第2の部分6Bとを有し、第2の部分は、自由接触端30を含む。第2の部分6Bは、第1の位置と第2の位置との間で第1の部分6Aに対して動くことができる。第2の部分6Bは、囲み部材6内の流体圧の影響下で閉じ部材8の方向において第1の位置から第2の位置方へ動くことができる。上述の力F1は、第2の部分6Bが流体圧P1を伴って第1の位置にあるときに達成し得る。上述の力F2は、第2の部分6Bが囲み部材6内の流体圧P2の影響下にある第2の位置に向かって動かされるときに達成し得る。
【0063】
加えられた力の結果として、本発明に係るカプセルの封止部材28は、塑性変形を受け、自由接触端30の溝40に密接に追従し、これにより淹出開始時には比較的低い流体圧で囲み部材6とカプセル3との間に流体封止接触をもたらすが、淹出中はカプセルの外側の囲み部材内の遥かに高い流体圧でもまた、流体封止接触をもたらす。囲み部材の溝40に対する密接な追従が、使用後の本発明のカプセル2を示す
図3Cに示されており、本図は外向きに延びるフランジ20が、囲み部材の溝40に追従する変形部40’を含むことを明瞭に示している。
【0064】
本発明によるカプセル2の外向きに延びるフランジ20に封止部材28が位置する実施形態について、
図4に関してより詳細に次に説明する。
【0065】
図4Aは、封止部材28がカプセル本体12の外向きに延びるフランジ20に追加の支承部を形成する第1の実施形態を示す。封止部材28及びカプセル本体12の残部は同じプレート材料で作られる。封止部材28は、内側足部部分53及び外側足部部分54から軸線方向55にカプセル本体12の底部に向かって軸線方向に突出する突起部50を有する。底部52を有するトラフが、突起部50に内向きに隣接して位置する。トラフの底部52は、カプセル本体12の底部の方向55に突起部50の外側足部54から、また外向きに延びるフランジ20のうち封止部材28と丸められた縁部43との間に位置する部分56から、軸線方向に距離を空けて位置決めされており、実質的に平坦である。
【0066】
更に、トラフの突起部50及び底部52は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材内に位置決めされ、囲み部材が閉鎖された場合、環状要素41の自由接触端30がトラフの底部52によって接触されるように配置される。
【0067】
突起部50とカプセル本体12の側壁16との間の距離は、好ましくは0.9~1.25mmであり、これにより、広く使用されている市販の飲料調製装置(Citiz、Lattisima、U、Maestria、Pixie、Inissia、及びEssenzaなど)の囲み部材6の内側隆起60が、側壁16が密接した状態で突起部50に対して確実に圧搾されるが、側壁16からわずかに間隔が空いていることが可能になる。
【0068】
突起部50は、突起部50の足部53、54から軸線方向において最も遠位にある、突起部の例えば半分、3分の1、又は4分の1の部分を構成する、突起部頂部を有する。突起部50は、カプセルが飲料調製装置の囲み部材6内に位置決めされ、囲み部材が飲料調製装置の閉じ部材8によって閉鎖された場合、その突起部頂部が環状要素41の自由接触端30に半径方向の力をかけるように構成される。
【0069】
図4Bに示すように、囲み部材6と閉じ部材8との間にカプセルの封止部材28が位置する状態で、囲み部材6及び/又は閉じ部材8が他方の方へ動かされた場合、囲み部材6の自由接触端30は突起部50に接触する。これにより、カプセルが囲み部材6に対して中心に位置合わせされる。突起部50の剛性が比較的大きいことで、変形する際、大きい接触力をかけることが可能になり、逆圧が比較的大きいことで、大きい圧力抵抗を伴う特に確実な封止が提供される。また、突起部50が外向きに付勢されると、加えられた負荷に突起部50内のフープ応力が反対にかかり、これが円周方向に均一に分散され、したがって均一に分散された封止圧力が実現される。
【0070】
同じく
図4Bを見ると分かるように、囲み部材6の自由接触端30は、内周面部分71と、突起部50に接触する外周面部分70とを有する。半径方向に延びる開放溝40は、外面部分70内よりも内面部分71内で深くなっており、又は外面部分70にはこれらの溝がなくてもよい。したがって、突起部50は、自由接触端30の比較的平滑な外面部分70に対して堅固かつ正確に押圧される。
【0071】
図4Bを見ると分かるように、環状トラフの底部52は、外側突起部足部54から軸線方向55にカプセル本体12の底部に向かって軸線方向に間隔が空いているので、突起部の外側足部54に対して閉じ部材8の方へ底部52を押すことができ、突起部50の傾き及び「逃げ」により突起部50が内向き押されて、それによって環状要素41の自由接触端30にかかる半径方向の接触圧力が増大する。
【0072】
環状要素6と封止部材28との間の接触が確立される第1の段階で、突起部50の概ね内向きの表面部分と環状要素6の自由端30の外面部分70との間に、初期封止が形成される。突起部50のこの内向きの表面部分の半径方向位置及び突起部50の局所曲率半径は、互いに接触するこれらの面がほぼ垂直に配向されることを確実にするように配置される。これにより、非常に強いくさび効果を実現することが可能になり、したがって非常に小さい垂直方向の閉鎖力が、非常に大きい水平方向の接触圧力をもたらす。表面接触によって生成される反応力が主に突起部50内のフープ応力によって抑制されるため、これらの大きい水平方向の力は、外側突起部50をほとんど変形させることなく作用する。また、そのようなフープ応力は、残りの封止部材28からほとんど独立しており、したがって大きい密封力をかける大きい剛性と、カプセルの公差及び誤配置に対応する適応性とを組み合わせることができる。
【0073】
第2の段階で、密封リング上への淹出チャンバの閉鎖及び更なる圧縮が、液圧の蓄積によって支持される。
図4Bに示すように、圧縮力が蓄積されるにつれて、環状トラフの底部52は、機械及び液圧による負荷によって下方へ押され、突起部50は、突起部50の外側足部54の周りで旋回し、内向きに逃げて、環状トラフ55の底部52が蓋に接触する。こうして旋回し、逃げた動きの結果、封止部材28の「剛体」タイプの運動と、封止部材の形状の変形との両方が生じ、更にこれら両方の要因の結果、接触圧力が主密封面へ伝達される。変形の大部分は塑性的に生じるので、接触領域はエリアを封止することに事実上追従し、ある程度の位置のずれ及び製造公差に対処することを可能にする。
【0074】
第3段階では、軸線方向(ここでは垂直方向)の力の更なる増大により、封止部材28が更に僅かに変形することになる。本実施形態では、トラフの突起部50から底部52への遷移部を形成する内側突起部足部53の傾斜区分58の変形によって、大きい接触圧力での大きい圧力降下でも確実に非常に漏れにくい封止が得られ、区分58は、トラフの底部52及び外側突起部50のより湾曲した区分同士の間に、比較的直線の区分を構成する。そのような変形の結果、突起部50と環状要素6の自由端30の外面部分70との間の狭い線に沿って、特に大きい接触圧力が得られる。傾斜区分58は、好ましくは、カプセル本体軸線に垂直な平面に対して少なくとも10°、より好ましくは少なくとも20°、多くとも60°、より好ましくは多くとも50°の内角で配向される。
【0075】
カプセル本体軸線を通る平面に沿って切り取った断面で見ると、トラフの底部52は、連続して実質的に直線であり、したがって突起部50を内向き押すことに起因する反応力が効果的に伝達される。
【0076】
わずかに湾曲していることもあるトラフの底部52の直線区分は、軸線方向成分55がカプセル本体12の底部の方を向いた状態で、外向き方向に傾斜しており、したがって直線の事実上円錐形の区分が、板ばね又はばねカラーとして効果的に作用し、その外側部分が、反軸線方向圧力を突起部50に弾性的に作用させ、したがって軸線方向圧力が円周方向に均一に分散される。トラフの底部52の実質的に直線の区分は、好ましくは、カプセル本体軸線に垂直な平面に対して0~10度の内角で傾斜している。
【0077】
この例では、トラフの底部52は、突起部50の外側で環状フランジ部分に取り付けられた蓋14から軸線方向に間隔が空いている。この(好ましくはアルミニウムの)蓋14はまた、囲み部材6の自由端30によって突起部50にかかる半径方向外向きへの力に対して、突起部50を軸線方向内向きに保持するのに寄与する。この効果はまた、蓋がトラフの底部に取り付けられている場合に実現することができ、それによって突起部は、囲み部材6の自由端30によって突起部にかかる半径方向外向きへの力に対して、軸線方向内向きに更に保持される。後者の解決策の利点は、カプセル内側の物質がトラフの底部と蓋との間に入ることが防止されることである。
【0078】
突起部50の半径方向外壁は、カプセル本体軸線に対して実質的に平行に配向され、したがって突起部50の上部部分は、崩壊から効果的に支持され、深絞り動作と同様の突起部50の内向きの「逃げ」が容易になる。同じ目的で、突起部50の外側足部53で、突起部から外向きに延びるフランジ20の半径方向外向きに突出する部分56への遷移部の内径が小さい場合、例えば0.15mm未満、好ましくは0.12mm未満である場合、更に有利である。
【0079】
外向きに延びるフランジ20は、1つの環状突起部だけを有するので、特にカプセルをプレート材料から深絞りするとき、カプセル本体12を効率的に製造することができる。
【0080】
特に環状要素6及び封止部材28の最終的な相互変位に関連して、特定の問題は、実際には、ほとんどの環状要素が環状要素41の外側隆起59と内側隆起60との間に1つ以上架橋部61(
図5)を有することである。そのような架橋部61は、環状ヘッド空間62の中断部を構成し、第3の段階中、その中に突起部50が押し込まれる。突起部50は半径方向外向きへ逃げて座屈するような形状であるので、特に円周方向に架橋部61が開始及び終了する遷移部での漏れが減少し、したがって余分な封止部材材料は、突起部50と環状要素6との間の封止から局所的に変位し、それによってこの封止との干渉が低減し、架橋部61の下を通る線に沿って実質的に連続する封止が可能になる。
【0081】
図6に、本発明によるカプセル第2の例を示す。側壁116は、側壁116のうち肩部157よりも上の上部部分158と、側壁116のうち肩部157よりも下の下部部分159との間に、心出し肩部157を備える。側壁116の下部部分158は、突起部150の反対側に半径方向内向きに位置する。肩部157は、カプセル本体中心軸線に対して、カプセル本体中心軸線と上部側壁部分158及び下部側壁部分159との間の角度C及びDよりも大きい角度Bで配向された、斜め外向き上方を向いた肩部面を有する。
【0082】
肩部157の外向き上方を向いた表面は、好ましくは、カプセル本体中心軸線に対して、少なくとも30°、より好ましくは少なくとも40°の角度Bで配向され、したがってカプセル102に対する環状要素141の自由接触端130の制限された軸線方向変位で、実質的な距離にわたってカプセル102の移動を実現することができる。
【0083】
図7には、本発明によるカプセル202の第3の例を示し、カプセル202は、第1の例に示すように、カプセル本体軸線を通る平面に沿って切り取った断面で見ると、トラフの底部252が連続して実質的に直線であり、わずかに湾曲していることもあるトラフの底部252の直線区分が、軸線方向成分255がカプセル本体212の底部の方を向いた状態で、外向き方向に傾斜している点で、
図6に示すカプセルとは異なる。
【0084】
ここまでの明細書では、本発明は、本発明の実施形態の具体例を参照して説明されてきた。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載されている本発明の広い趣旨及び範囲から逸脱することなしに、様々な修正及び変更を行うことができることは明白であろう。